(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112245
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】燃料ホルダ
(51)【国際特許分類】
G21C 19/32 20060101AFI20240813BHJP
G21F 5/012 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
G21C19/32 040
G21F5/012
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017196
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000165697
【氏名又は名称】原子燃料工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】井坂 浩順
(72)【発明者】
【氏名】河野 智美
(72)【発明者】
【氏名】齋木 洋平
(72)【発明者】
【氏名】作花 拓
(57)【要約】
【課題】簡単な構造で適切な固縛力が得られる燃料ホルダを提供する。
【解決手段】角筒状の収納殻2に燃料集合体10を収納可能な燃料ホルダ1であって、燃料集合体10の上部タイプレート12を固縛する上部固縛機構20と、燃料集合体10の下部タイプレートを固縛する下部固縛機構と、を備え、上部固縛機構20は、上部タイプレート12を押さえる上部押さえ板21と、上部押さえ板21を保持する上部保持部22と、を含み、上部保持部22は、単一の上部固縛ネジ24の雄ネジ241が螺合される単一の雌ネジ221が形成され、上部押さえ板21は、上部固縛ネジ24の螺合により収納殻2の対向面2a,2cを結ぶ方向に移動可能である。
【選択図】
図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の燃料棒を保持する上部タイプレート及び下部タイプレートを有し、
角筒状の収納殻に燃料集合体を収納可能な燃料ホルダであって、
前記燃料集合体の上部タイプレートを固縛する上部固縛機構と、燃料集合体の下部タイプレートを固縛する下部固縛機構と、を備え、
前記上部固縛機構は、前記上部タイプレートを押さえる上部押さえ板と、前記上部押さえ板を保持する上部保持部と、を含み、
前記上部保持部は、単一の上部固縛ネジの雄ネジが螺合される単一の雌ネジが形成され、
前記上部押さえ板は、前記上部固縛ネジの螺合により前記収納殻の対向面を結ぶ方向に移動可能である、
ことを特徴とする燃料ホルダ。
【請求項2】
前記上部固縛機構は、前記上部押さえ板を前記上部保持部の側に付勢する上部付勢部材を含み、
前記上部付勢部材は、前記上部押さえ板と前記上部保持部との間に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の燃料ホルダ。
【請求項3】
前記雌ネジは、前記上部固縛ネジの挿入側に密着するように、回転防止用ネジが螺合されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料ホルダ。
【請求項4】
前記燃料ホルダは、前記下部タイプレートに対する前記上部タイプレートの長手方向の間隔が異なる燃料タイプの燃料集合体が収納可能であり、
前記上部固縛ネジの直径は、異なる燃料タイプの燃料集合体を収納した場合における前記上部タイプレートの長手方向の最大偏差量以上である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料ホルダ。
【請求項5】
前記下部固縛機構は、前記下部タイプレートを押さえる下部押さえ板と、前記下部押さえ板を保持する下部保持部と、を含み、
前記下部保持部は、下部固縛ネジの雄ネジが螺合される第2の雌ネジを有し、
前記下部固縛ネジは、中心に逆ネジが螺刻された逆雌ネジを有し、
前記下部押さえ板は、逆ネジが螺刻された逆雄ネジを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の燃料ホルダ。
【請求項6】
前記下部固縛機構は、前記下部押さえ板を前記下部保持部の側に付勢する下部付勢部材を含み、
前記下部付勢部材は、前記下部押さえ板と前記下部保持部との間に位置する、
ことを特徴とする請求項5に記載の燃料ホルダ。
【請求項7】
前記第2の雌ネジは、前記下部固縛ネジの挿入側に密着するように、第2の回転防止用ネジが螺合されている、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の燃料ホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料集合体を収納する燃料ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、MOX燃料など原子炉用の燃料集合体を輸送する場合、燃料集合体を燃料ホルダに収納し、この燃料ホルダを輸送容器に設けられた複数のロジメント穴に挿入し、輸送している。
【0003】
一般に、沸騰水型原子炉の燃料集合体は、異なる製造メーカや燃料タイプにより、長手方向の寸法(全長)は大きくは変わらないが、燃料体集合体の下端部を起点とした長手方向位置に関し、上部タイプレート位置は最大30mm程度異なることがある。
【0004】
そのため、燃料ホルダは、複数の燃料タイプの燃料集合体を収納可能とすることが求められている。例えば、特許文献1に記載の燃料ホルダは、上部タイプレートの位置に応じて、上部固縛機構の上部タイプレート受け部材(上部押さえ板)の方向を変更して、上部タイプレートを固縛するようになっている(
図4A~
図4C参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の燃料ホルダは、異なる燃料タイプごとに、上部タイプレート受け部材(上部押さえ板)の方向を変更する必要があり、燃料タイプに応じた適切な方向に上部タイプレート受け部材(上部押さえ板)を装着しないと、固縛力が上部タイプレートに十分伝わらないことがある。また、上部タイプレート保持部材(上部保持部)は、上部タイプレート受け部材(上部押さえ板)の中心(重心)を固縛しないため(
図4B及び
図4C参照)、上部タイプレート受け部材(上部押さえ板)が傾くことがあり、設計どおりの固縛力が得られないなどの問題が懸念される。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で適切な固縛力が得られる燃料ホルダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明に係る1つの態様は、複数の燃料棒を保持する上部タイプレート及び下部タイプレートを有し、角筒状の収納殻に燃料集合体を収納可能な燃料ホルダであって、前記燃料集合体の上部タイプレートを固縛する上部固縛機構と、燃料集合体の下部タイプレートを固縛する下部固縛機構と、を備え、前記上部固縛機構は、前記上部タイプレートを押さえる上部押さえ板と、前記上部押さえ板を保持する上部保持部と、を含み、前記上部保持部は、単一の上部固縛ネジの雄ネジが螺合される単一の雌ネジが形成され、前記上部押さえ板は、前記上部固縛ネジの螺合により前記収納殻の対向面を結ぶ方向に移動可能である。
(2)上記(1)の態様において、前記上部固縛機構は、前記上部押さえ板を前記上部保持部の側に付勢する上部付勢部材を含み、前記上部付勢部材は、前記上部押さえ板と前記上部保持部との間に位置してもよい。
(3)上記(1)又は(2)の態様において、前記雌ネジは、前記上部固縛ネジの挿入側に密着するように、回転防止用ネジが螺合されてもよい。
(4)上記(1)から(3)までのいずれか1つの態様において、前記燃料ホルダは、前記下部タイプレートに対する前記上部タイプレートの長手方向の間隔が異なる燃料タイプの燃料集合体が収納可能であり、前記上部固縛ネジの直径は、異なる燃料タイプの燃料集合体を収納した場合における前記上部タイプレートの長手方向の最大偏差量以上であってもよい。
(5)上記(1)から(4)までのいずれか1つの態様において、前記下部固縛機構は、前記下部タイプレートを押さえる下部押さえ板と、前記下部押さえ板を保持する下部保持部と、を含み、前記下部保持部は、下部固縛ネジの雄ネジが螺合される第2の雌ネジを有し、前記下部固縛ネジは、中心に逆ネジが螺刻された逆雌ネジを有し、前記下部押さえ板は、逆ネジが螺刻された逆雄ネジを有してもよい。
(6)上記(5)の態様において、前記下部固縛機構は、前記下部押さえ板を前記下部保持部の側に付勢する下部付勢部材を含み、前記下部付勢部材は、前記下部押さえ板と前記下部保持部との間に位置してもよい。
(7)上記(5)又は(6)の態様において、前記第2の雌ネジは、前記下部固縛ネジの挿入側に密着するように、第2の回転防止用ネジが螺合されてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡単な構造で適切な固縛力が得られる燃料ホルダを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】本発明に係る実施形態の燃料ホルダを示す概略正面断面図である。
【
図1B】本発明に係る実施形態の燃料ホルダを示す概略側面断面図である。
【
図2B】上部固縛機構を備える燃料ホルダを示す上部断面図である。
【
図2C】上部固縛ネジの出没の様子を示す部分断面図である。
【
図3B】下部固縛機構を備える燃料ホルダを示す下部断面図である。
【
図3C】下部固縛ネジの出没の様子を示す部分断面図である。
【
図4B】従来の上部固縛機構による燃料集合体の固縛状態を示す断面図である。
【
図4C】従来の上部固縛機構による異なる燃料タイプの燃料集合体の固縛状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通じて同じ要素には同じ符号を付して説明する。
【0012】
図1Aは、本発明に係る実施形態の燃料ホルダ1を示す概略正面断面図である。
図1Bは、本発明に係る実施形態の燃料ホルダ1を示す概略側面断面図である。
【0013】
燃料集合体10を収納する燃料ホルダ1は、互いに対面する4つの長尺面2a,2b,2c,2dからなる角筒状の収納殻2と、収納殻2の一方端側に設けられた上蓋と、収納殻2の他方端側に設けられた底板と、で構成されている。
【0014】
収納殻2は、2つの長尺な断面視L字状の半割体を蝶番により開閉可能に組み付けられるとともに、施錠手段により角筒状態を維持できるように形成されている。したがって、収納殻2が角筒状態になると、一方の半割体の長尺面2a,2bは、他方の半割体の長尺面2c,2dと対向することになる。なお、収納殻2の各長尺面2c,2dの内面には、後述する上部保持部22とともに受け板4が設けられている。なお、受け板4は、弾性材料で形成されており、燃料ホルダ1内での燃料集合体10の予備位置決めを行う。
【0015】
上蓋及び底板は、略矩形状(正方形)の板状部材であり、収納殻2にボルトなどの固着手段でそれぞれ固定されている。なお、底板は、角筒状の収納殻2の一部を含むこともある。
【0016】
燃料集合体10は、燃料タイプによって、8×8燃料や9×9燃料など、異なる燃料棒間隔で格子状に配列された複数の燃料棒で形成されている。そして、燃料棒は、金属製の長尺な被覆管の中に複数の円柱状の核燃料ペレットが封じ込められて構成されている。
【0017】
この燃料集合体10は、複数の燃料棒を束ねておく上部タイプレート12及び下部タイプレート13を有している。上述したように、燃料集合体10,10’は、燃料タイプによって、長手方向の全長(高さ)が異なり、結果として、各燃料棒を保持する下部タイプレート13に対する上部タイプレート12,12’の長手方向の間隔も異なっている(
図2B参照)。なお、
図2Bにおいて、上部タイプレート12’は、長手方向の位置ずれ(偏差量)を表現するもので、対向面2a,2c方向の位置を表現するものではない。
【0018】
そして、下部タイプレート13に対する上部タイプレート12,12’の長手方向の間隔が、最も大きいものと最も小さいものとの最大差(最大偏差量)は、例えば、燃料集合体10の全長が4000mm程度であれば、最大30mm程度となる。
【0019】
そのため、本実施形態の燃料ホルダ1(収納殻2)も、下部タイプレート13に対する上部タイプレート12の長手方向の間隔が異なる燃料タイプの燃料集合体10を収納可能になっている。
【0020】
ここで、上部タイプレート12を固縛する上部固縛機構20について説明する。
図2Aは、上部固縛機構20を示す分解斜視図である。
図2Bは、上部固縛機構20を備える燃料ホルダ1を示す上部断面図である。
図2Cは、上部固縛ネジ24の出没の様子を示す部分断面図である。
【0021】
上部固縛機構20は、収納殻2の各長尺面2a,2bに形成された開口に取り付け固定されている(
図2B参照)。
【0022】
この上部固縛機構20は、上部タイプレート12を押さえる上部押さえ板21と、上部押さえ板21を保持する上部保持部22と、上部押さえ板21を上部保持部22の側に付勢する上部付勢部材23と、を含んで構成されている(
図2A参照)。
【0023】
上部押さえ板21は、中央に段部212を有する略矩形の板状であり、上部固縛ネジ24の螺合により収納殻2の対向する長尺面(対向面)2a,2c又は2b,2dを結ぶ方向に移動可能である、
【0024】
上部保持部22は、略矩形のブロック状であり、収納殻2の長尺面2aに装着される略矩形のフランジ部222と、角筒又は円筒状のボス部223とから形成されている。フランジ部222は、板バネ3を収納可能な収納開口224が形成されている。なお、板バネ3は、図示されない輸送容器のロジメント穴内での燃料ホルダ1の衝撃吸収を行う。
【0025】
ボス部223は、後述する上部固縛ネジ24の雄ネジ241と螺合する単一の雌ネジ221が螺刻されている。
【0026】
つぎに、上部付勢部材23は、上部押さえ板21と上部保持部22との間に位置する略矩形の板状である。この上部付勢部材23は、上部押さえ板21を上部保持部22の側に付勢可能なように、両端付近で屈曲又は湾曲されており、上部押さえ板21が収納殻2の対向面2a,2cを結ぶ方向に移動した際、屈曲による段差の分だけ追従するようになっている。
【0027】
なお、上部付勢部材23は、上部押さえ板21の段部212が遊嵌される貫通開口232が形成されている。また、上部付勢部材23の両端は、図示されない固着手段により収納殻2の内面に固定されている。
【0028】
そして、上部固縛ネジ24は、六角穴止めネジのような円柱状であり、外周に雄ネジ241が螺刻されている。この雄ネジ241の呼び径は、上述した燃料タイプによる最大偏差量に応じて設定されるが、例えば、最大偏差量以上のM30であるとよい。なお、上部固縛ネジ24の内周の六角穴は、貫通していてもよい。
【0029】
回転防止用ネジ25は、上部固縛ネジ24と同様に、六角穴止めネジのような円筒状である。回転防止用ネジ25は、上部保持部22の雌ネジ221に螺合する雄ネジ251が螺刻されている。この雄ネジ251の呼び径は、雄ネジ241の呼び径と同一である。
【0030】
この回転防止用ネジ25は、上部固縛ネジ24と密着するように、上部固縛ネジ24の挿入側から螺合され、上部固縛ネジ24の緩みを防止している。なお、回転防止用ネジ25の内周の六角穴は、貫通しているとよい。
【0031】
つづいて、下部タイプレート13を固縛する下部固縛機構30について説明する。
図3Aは、下部固縛機構30を示す分解斜視図である。
図3Bは、下部固縛機構30を備える燃料ホルダ1を示す下部断面図である。
図3Cは、下部固縛ネジ34の出没の様子を示す部分断面図である。
【0032】
この下部固縛機構30も、収納殻2の各長尺面2a,2bに形成された開口に取り付け固定されている(
図3B参照)。
【0033】
下部固縛機構30は、下部タイプレート13を押さえる下部押さえ板31と、下部押さえ板31を保持する下部保持部32と、下部押さえ板31を下部保持部32の側に付勢する下部付勢部材33と、を含んで構成されている(
図3A参照)。
【0034】
下部押さえ板31は、略矩形の板状であり、逆ネジが螺刻された逆雄ネジ312を中央に突出するように有している。
【0035】
下部保持部32は、収納殻2の長尺面2aに装着される略矩形のフランジ部322と、中央の円筒状のボス部323とから形成されている。ボス部323は、後述する下部固縛ネジ34の雄ネジ341と螺合する単一の第2の雌ネジ321が螺刻されている。この雌ネジ321の呼び径は、例えば、M30であるとよい。
【0036】
つぎに、下部付勢部材33は、下部押さえ板31と下部保持部32との間に位置する略矩形の板状である。下部付勢部材33は、下部押さえ板31を下部保持部32の側に付勢可能なように、両端付近で屈曲又は湾曲されており、下部押さえ板31が収納殻2の対向面2a,2cを結ぶ方向に移動した際、屈曲による段差の分だけ追従するようになっている。
【0037】
なお、下部付勢部材33は、下部押さえ板31の逆雌ネジ342が遊嵌される貫通孔332が形成されている。また、下部付勢部材33の両端は、図示されない固着手段により収納殻2の内面に固定されている。
【0038】
そして、下部固縛ネジ34は、六角穴止めネジのような円柱状であり、外周に雄ネジ341が螺刻され、中心に逆ネジ(左ネジ)の逆雌ネジ342が螺刻されている。この雄ネジ341の呼び径は、上部固縛ネジ24の呼び径と同一である必要はないが、例えば、M30であってもよく、また、逆雌ネジ342の呼び径は、例えば、M10であるとよく、逆雌ネジ342のリード(ピッチ)は、雄ネジ341のリード(ピッチ)と同じであるとよい。なお、下部固縛ネジ34の内周の六角穴は、貫通していない。
【0039】
第2の回転防止用ネジ35は、下部固縛ネジ34と同様に、六角穴止めネジのような円柱状である。回転防止用ネジ35は、第2の雌ネジ321に螺合する雄ネジ351が螺刻されている。この雄ネジ351の呼び径は、雄ネジ341の呼び径と同一である。
【0040】
この回転防止用ネジ35は、下部固縛ネジ34と密着するように、下部固縛ネジ34の挿入側から螺合され、下部固縛ネジ34の緩みを防止している。なお、回転防止用ネジ35の内周の六角穴は、貫通しているとよい。
【0041】
燃料ホルダ1の上述した収納殻2、上部固縛機構20及び下部固縛機構30の各部品は、収容する燃料集合体10の寸法や重量による強度、耐熱性などを考慮して、SUS304などのステンレス鋼や耐熱ニッケル基合金などの材料から形成されるとよい。
【0042】
最後に、上部固縛機構20及び下部固縛機構30が上部タイプレート12及び下部タイプレート13を固縛する様子について説明する。
【0043】
上部固縛機構20において、上部固縛ネジ24を締めるように螺合させていくと、上部固縛ネジ24によって上部押さえ板21が押圧され、長尺面2aの内面から上部押さえ板21までの距離が、例えば、H2からH1まで大きくなるようになっている(
図2C参照)。しがたって、上部タイプレート12は、上部押さえ板21を介して上部固縛ネジ24の適切な固縛力が伝達される。なお、上部固縛ネジ24を緩めると、上部付勢部材23によって、長尺面2aの内面から上部押さえ板21までの距離は小さくなる。
【0044】
一方、下部固縛機構30において、下部固縛ネジ34を締めるように螺合させていくと、下部固縛ネジ34は下方に移動するとともに、下部固縛ネジ34の逆雌ネジ342に螺合する下部押さえ板31の逆雄ネジ312が緩まる方向に相対的に回転し、長尺面2aの内面から下部押さえ板31までの距離が、例えば、J2からJ1まで大きくなる(
図3C参照)。しがたって、下部タイプレート13は、下部押さえ板31を介して下部固縛ネジ34の適切な固縛力が伝達される。なお、下部固縛ネジ34を緩めると、下部付勢部材33によって、長尺面2aの内面から下部押さえ板31までの距離は小さくなる。
【0045】
以上説明したとおり、本発明に係る実施形態の燃料ホルダ1は、角筒状の収納殻2に燃料集合体10を収納可能な燃料ホルダ1であって、燃料集合体10の上部タイプレート12を固縛する上部固縛機構20と、燃料集合体10の下部タイプレート13を固縛する下部固縛機構30と、を備え、上部固縛機構20は、上部タイプレート12を押さえる上部押さえ板21と、上部押さえ板21を保持する上部保持部22と、を含み、上部保持部22は、単一の上部固縛ネジ24の雄ネジ241が螺合される単一の雌ネジ231が形成され、上部押さえ板21は、上部固縛ネジ24の螺合により収納殻2の対向面2a,2cを結ぶ方向に移動可能である。これにより、単一の上部固縛ネジ24の螺合により、適切な固縛力を得ることができる。
【0046】
実施形態の上部固縛機構20は、上部押さえ板21を上部保持部22の側に付勢する上部付勢部材23を含み、上部付勢部材23は、上部押さえ板21と上部保持部22との間に位置する。これにより、上部固縛ネジ24の螺合による没出によって、上部押さえ板21が収納殻2の対向面2a,2cを結ぶ方向に移動するが、上部付勢部材23によって支持又は付勢されているため、上部押さえ板21が傾いて上部タイプレート12に接触するようなことがなく、脱落することもない。また、上部押さえ板21が上部保持部22の側に付勢されているため、燃料集合体10を収納殻2へ収納する際、余裕空間を確保することができる。
【0047】
実施形態の雌ネジ231は、上部固縛ネジ24の挿入側に密着するように、回転防止用ネジ24が螺合されている。これにより、ダブルナット構造のように作用し、上部固縛ネジ24の緩みを防止することができる。
【0048】
実施形態の燃料ホルダ1は、下部タイプレート13に対する上部タイプレート12の長手方向の間隔が異なる燃料タイプの燃料集合体10が収納可能であり、上部固縛ネジ24の直径は、異なる燃料タイプの燃料集合体10を収納した場合における上部タイプレート12の長手方向の最大偏差量以上である。これにより、上部固縛ネジ24の直径(外径あるいは、呼び径)が、燃料タイプごとに異なる上部タイプレート12の位置の違い(最大偏差量)以上になるため、燃料タイプに違いがあっても、上部固縛ネジ24が上部押さえ板21を介して上部タイプレート12に重なる面積を等しくする(上部固縛ネジ24の先端の全面積を上部タイプレート12に重ねる)ことができ、燃料集合体10を固縛する荷重を等しくすることができる。
【0049】
実施形態の下部固縛機構30は、下部タイプレート13を押さえる下部押さえ板31と、下部押さえ板31を保持する下部保持部32と、を含み、下部保持部32は、下部固縛ネジ34の雄ネジ341が螺合される第2の雌ネジ321を有し、下部固縛ネジ34は、中心に逆ネジが螺刻された逆雌ネジ342を有し、下部押さえ板31は、逆ネジが螺刻された逆雄ネジ312を有する。これにより、下部タイプレート13と収納殻2との空隙は、上部タイプレート12と収納殻2との空隙よりも狭いものの、下部固縛ネジ34の逆雌ネジ342に、下部押さえ板31の逆雄ネジ312を螺合させることで、下部固縛ネジ34を1回転させることで、実質的に2回転分下部押さえ板31を移動させることができる。
【0050】
実施形態の下部固縛機構30は、下部押さえ板31を下部保持部32の側に付勢する下部付勢部材33を含み、下部付勢部材33は、下部押さえ板31と下部保持部32との間に位置する。これにより、下部固縛ネジ34の螺合による没出によって、下部押さえ板31が収納殻10の対向面10a,10cを結ぶ方向に移動するが、下部付勢部材33によって支持又は付勢されているため、下部押さえ板31が傾いて下部タイプレート13に接触するようなことがなく、脱落することもない。また、下部押さえ板31が下部保持部32の側に付勢されているため、燃料集合体10を収納殻2へ収納する際、余裕空間を確保することができる。
【0051】
実施形態の第2の雌ネジ321は、下部固縛ネジ34の挿入側に密着するように、第2の回転防止用ネジ35が螺合されている。これにより、ダブルナット構造のように作用し、下部固縛ネジ34の緩みを防止することができる。
【0052】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 燃料ホルダ
2 収納殻、2a,2b,2c,2d 長尺面(対向面)、3 板バネ、4 受け板
10 燃料集合体、12,12a,12b,12c,12d 上部タイプレート、13 下部タイプレート
20 上部固縛機構
21 上部押さえ板、212 段部、22 上部保持部、221 雌ネジ、222 フランジ部、223 ボス部、224 収納開口、23 上部付勢手段、24 上部固縛ネジ、241 雄ネジ、25 回転防止用ネジ、251 雄ネジ
30 下部固縛機構
31 下部押さえ板、312 逆雄ネジ、32 下部保持部、321 雌ネジ(第2の雌ネジ)、322 フランジ部、323 ボス部、33 下部付勢手段、332 貫通孔、34 下部固縛ネジ、341 雄ネジ、35 回転防止用ネジ(第2の回転防止用ネジ)、351 雄ネジ