(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112282
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】貸出ボックスの共有システム及び方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/40 20240101AFI20240813BHJP
G06Q 10/08 20240101ALI20240813BHJP
【FI】
G06Q50/40
G06Q10/08
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023207654
(22)【出願日】2023-12-08
(31)【優先権主張番号】112104177
(32)【優先日】2023-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】523464705
【氏名又は名称】張雪莉
(71)【出願人】
【識別番号】517133219
【氏名又は名称】張瑞洋
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】張雪莉
(72)【発明者】
【氏名】張瑞洋
(57)【要約】
【課題】貸出ボックスの共有システム及び方法を提供する。
【解決手段】電子装置に組み込まれ、ストレージモジュールと、販売端が生成した注文情報を受信するための受信モジュールと、計算モジュールと、サーバーと、を備えている。前記サーバーと販売端、消費端、保有者、保険端、物流端、及び支払いシステムとは通信接続されている。前記計算モジュールは分配金を計算し、前記分配金は、配達員の分配金と、物流端の分配金と、保有者の分配金と、保険端の分配金と、を少なくとも含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子装置に組み込まれる貸出ボックスの共有システムであって、
複数の貸出ボックス番号及び複数のID情報を保存するためのストレージモジュールと、
販売端が生成した注文情報を受信するための受信モジュールと、
前記販売端、複数のユーザー端、及び支払いシステムに通信接続され、これら前記ユーザー端として、物流端と、消費端と、保険端と、保有者と、を含むサーバーと、
配達員の分配金と、物流端の分配金と、保有者の分配金と、保険端の分配金と、を少なくとも含むレンタル料の分配金を計算するための計算モジュールと、を備えていることを特徴とする貸出ボックスの共有システム。
【請求項2】
前記貸出ボックスの共有システムは、前記貸出ボックスの前記貸出ボックス番号を読み取るための読み取りモジュールを更に有していることを特徴とする請求項1に記載の貸出ボックスの共有システム。
【請求項3】
前記貸出ボックスの共有システムは、氏名及び従業員番号を含むID情報を入力するための入力インターフェースを更に有していることを特徴とする請求項1に記載の貸出ボックスの共有システム。
【請求項4】
前記注文情報は、物品名と、購入者氏名と、購入者電話番号と、配達先住所と、を少なくとも含むことを特徴とする請求項1に記載の貸出ボックスの共有システム。
【請求項5】
貸出ボックスの共有システムに用いる貸出ボックスの共有方法であって、前記貸出ボックスの共有システムは、ストレージモジュールと、受信モジュールと、サーバーと、計算モジュールと、を備え、前記サーバーと販売端、物流端、消費端、保険端、保有者、及び支払いシステムとは相互に通信を行い、前記貸出ボックスの共有方法は、
前記販売端が生成した注文情報を受信するステップ(a)と、
前記サーバーが前記注文情報に基づいて貸出ボックスを物品の包装に使用しているかどうか判断し、していると判断した場合、前記サーバーは保有者に対してレンタル料を支払って貸出ボックスを借りるように前記販売端に通知し、デポジットを支払って前記貸出ボックスを使用するように前記消費端に通知するステップ(b)と、
前記サーバーは前記貸出ボックスの貸出ボックス番号を取得するように前記物流端に通知し、且つ前記注文情報、ID情報、及び前記貸出ボックス番号に基づいて配送伝票を生成するステップ(c)と、
前記サーバーは前記販売端から物品を取得して前記貸出ボックスに納入するように前記物流端に通知し、且つ前記物品を前記消費端に配達するステップ(d)と、
前記サーバーは前記貸出ボックスを回収すると共に前記貸出ボックスの前記貸出ボックス番号を再度読み取るように前記物流端に通知するステップ(e)と、
前記サーバーは前記貸出ボックスを前記保有者に返送するように前記物流端に通知し、前記デポジットを前記消費端に返金するように前記支払いシステムに通知し、且つ配達員の分配金と、物流端の分配金と、保有者の分配金と、保険端の分配金と、を少なくとも含む前記レンタル料の分配金を計算するステップ(f)と、を含むことを特徴とする貸出ボックスの共有方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貸出ボックスの共有システム及び方法(A circulation box sharing system and method)に関し、更に詳しくは、消費者がデポジットを支払い、複数のユーザー端が利益を分配する貸出ボックス共有システム及びその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オンラインショッピングは既に人々の生活にとって重要な要素となっている。
商品の運送過程における損壊を防止するため、大部分の販売業者では、発泡ポリエチレン袋や免震フィルムを使用して商品を包装した後、商品を段ボール箱やポリ袋に入れて運送している。
これらの包装材は消費者が商品を取得した後に廃棄されるため、環境汚染の大きな要因になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、気候の変動に伴い、持続可能な発展の意識も商業の発展の主軸となっている。
現在すでに少数の速達業者や電子商取引プラットフォームではリサイクル可能な包装材を消費者及び販売業者に提供しているが、ただし、包装材の輸送過程でぶつかって損壊することが間々あり、損壊すると速達業者が賠償責任を負うことになるため、実際には多くの速達業者が損壊リスクを負うことを避ける傾向にあった。
また、購入者から包装を回収する場合、速達業者は更に多くの人材資源を投入しなければならず、速達業者が購入者から包装材を回収する意欲は高くなかった。
【0004】
よって、現在すでに消費者が自分で包装材を特定の回収場所に捨てることが主要なトレンドとなっているが、ただし、回収場所自体が少なく、回収場所が遠い場合、消費者がリサイクルを行う意欲が低下した。
また、一部の消費者は出ボックスを返さなくても損失は無いと考えており、包装材の回収率が間接的に低下し、リサイクル包装材を推進する効果が全体的に低下し、リサイクル包装材が実際にリサイクルされて使用されることが無くなった。
【0005】
そこで、本発明者は上記の欠点が改善可能と考え、鋭意検討を重ねた結果、合理的設計で上記の課題を効果的に改善する本発明の提案に至った。
【0006】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものである。上記課題解決のため、本発明は、貸出ボックスの共有システム及び方法を提供することを主目的とする。
本発明は、特に、消費者(すなわち、消費端)がデポジットを支払い、複数のユーザー端が共同で利益を分配する貸出ボックスの共有システム及び方法に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様である貸出ボックスの共有システムは、電子装置に組み込まれ、複数の貸出ボックス番号及び複数のID情報を保存するためのストレージモジュールと、販売端が生成した注文情報を受信するための受信モジュールと、販売端、複数のユーザー端(消費端、保険端、及び物流端)、及び支払いシステムに通信接続されているサーバーと、配達員の分配金と、物流端の分配金と、保有者の分配金と、保険端の分配金と、を少なくとも含む分配金を計算するための計算モジュールと、を備えている。
【0008】
また、本発明に係る貸出ボックスの共有システムにおいて、前記貸出ボックスの共有システムは、前記貸出ボックスの前記貸出ボックス番号を読み取るための読み取りモジュールを更に有している。
【0009】
また、本発明に係る貸出ボックスの共有システムにおいて、前記貸出ボックスの共有システムは、氏名及び従業員番号を含むID情報を入力するための入力インターフェースを更に有している。
【0010】
また、本発明に係る貸出ボックスの共有システムにおいて、前記注文情報は、物品名と、購入者氏名と、購入者電話番号と、配達先住所と、を少なくとも含む。
【0011】
また、上記目的を達成するために、本発明の別の態様である貸出ボックスの共有方法は、下記ステップを含む。
(a)販売端が生成した注文情報を受信する。
(b)前記販売端が保有者に対してレンタル料を支払って貸出ボックスを借り、消費端がデポジットを支払って前記貸出ボックスを使用する。
(c)前記貸出ボックスの貸出ボックス番号を読み取ると共に、前記注文情報、ID情報、及び前記貸出ボックス番号に基づいて配送伝票を生成する。
(d)前記販売端から物品を取得して前記貸出ボックスに納入し、前記物品を消費端に配達する。
(e)前記貸出ボックスを回収すると共に前記貸出ボックスの前記貸出ボックス番号を再度読み取る。
(f)前記貸出ボックスを前記保有者に返送し、前記デポジットを前記消費端に返金し、且つ配達員の分配金と、物流端の分配金と、保有者の分配金と、保険端の分配金と、を少なくとも含む前記レンタル料の分配金を計算する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施例に係る貸出ボックスの共有システム及び方法を示すブロック図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る貸出ボックスの共有システムを示すシステムフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0014】
貸出ボックスの共有システム60は電子装置に組み込まれ、ストレージモジュール61と、受信モジュール65と、計算モジュール62と、入力インターフェース64と、読み取りモジュール63と、サーバー66と、を含んで構成されている。
前記サーバー66は販売端20(すなわち、販売業界)、消費端10(すなわち、消費者)、保有者50、保険端40(すなわち、保険業界)、物流端30(すなわち、物流業界)、及び支払いシステム70に通信接続されている(
図1参照)。
前記電子装置は携帯電話、パソコン、または携帯型電子装置である。
前記支払いシステム70は、LINE Pay(登録商標)、Google Pay(登録商標)、Apple Pay(登録商標)、Alipay(登録商標)、或いはWeChat Pay(登録商標)をサポートしている。
前記保険端40は保険業者または政府指定の銀行であり、前記物流端30は物流会社であり、前記物流会社は貨物を配達するための複数の配達員31を有している。
【0015】
前記入力インターフェース64は配達員31のID情報61bを入力するために用いられ、前記ID情報61bとして前記配達員31の氏名及び従業員番号を含む。
前記読み取りモジュール63は貸出ボックス51の貸出ボックス番号61a読み取るために用いられている。
前記ストレージモジュール61には複数の貸出ボックス番号61a及び複数のID情報61bが保存されている。
【0016】
本実施例において、前記保有者50は任意の人間でよく、例えば、前記販売端20、前記物流端30、前記保険端40、出資者、或いは任意の外部の自然人または法人でもよい。
前記保有者50は1つまたは複数の貸出ボックス51を保有し、貸出ボックス51のそれぞれは貸出ボックス番号61aを有している。
前記貸出ボックス番号61aは2次元バーコードに記載されている。
【0017】
本実施例において、前記販売端20は前記保有者50に対してレンタル料を支払って貸出ボックス51を借り、前記消費端10はデポジットを支払って前記貸出ボックス51を使用する。
【0018】
本実施例において、前記保険端40は前記貸出ボックス51に対して保険サービスを提供する。
前記レンタル料は部分的な比率を保険金として割り当て、保険端40は前記貸出ボックス51の配達過程で生じる可能性のある損壊リスクを負担し、前記物流端30は前記消費端10が前記貸出ボックス51を回収する意欲を高める。
【0019】
図2は本発明の一実施例に係る貸出ボックスの共有システムを示すシステムフローチャートである。詳しくは、以下のとおりである。
(a)前記消費端10は前記販売端20の物品を購入した後、前記販売端20が注文情報21を生成する。前記受信モジュール65は前記注文情報21を受信すると共に、前記サーバー66により前記注文情報21を前記物流端30に伝送する。
消費端10が購入する際に、貸出ボックス51を物品の包装に使用するかどうかを自分で選択するため、前記物流端30が注文情報21を受信した後に前記注文が貸出ボックス51を使用することを選択していることを確認し、且つ物流端30が配達員31を派遣して注文された物品を配達する責任を負う。
(b)前記注文が貸出ボックス51を使用することを選択していることを確認し、前記販売端20は前記保有者50に対してレンタル料を支払って貸出ボックス51を借り、消費端10はデポジットを支払って前記貸出ボックス51を使用する。
(c)配達員31はID情報61bを入力した後に前記保有者50から貸出ボックス51を取得し、読み取りモジュール63により貸出ボックス51の貸出ボックス番号61aを読み取り、サーバー66は前記注文情報21、前記貸出ボックス番号61a、及び前記ID情報61bに基づいて配送伝票を生成する。
(d)前記配達員31は前記配送伝票に記載された注文情報21に基づいて前記販売端20から物品を受け取って前記貸出ボックス51に納入し、前記物品を前記消費端10に配達する。
(e)前記消費端10が前記物品を受け取った後、前記配達員31は前記貸出ボックス51を回収すると共に、前記読み取りモジュール63により前記貸出ボックス番号61aを再度読み取り、前記貸出ボックス番号61aが前記配送伝票に記載された前記貸出ボックス番号61aと同じであることを確認する。
(f)前記配達員31が前記貸出ボックス51を取得した後、前記貸出ボックス51を清掃し、消毒した後に前記保有者50に返送する。前記デポジットを前記消費端10に返金し、前記計算モジュール62が配達員の分配金と、物流端の分配金と、保有者の分配金と、保険端の分配金と、を少なくとも含む前記レンタル料の分配金を計算する(すなわち、前記分配金は前記配達員31、前記保有者50、前記物流端30、及び前記保険端40に少なくとも分配する)。
ちなみに、ステップ(e)において、日中は多くの人が仕事をしていることを考慮し、通常は物流管理場で包装を代理回収するため、回収係が物流管理場である場合、配達員31は貸出ボックス51を即時回収できない。
前記消費端10がデポジットを支払って前記貸出ボックス51を使用しているため、前記貸出ボックス51は前記消費端10に最長3日間放置し、消費端10が物業管理場から貸出ボックス51内にある物品を受け取った後、3日以内に物流管理場から前記貸出ボックス51を回収するように配達員31に通知する。
【0020】
より詳しくは、本発明の実施例に係る前記分配金は下記表に示す比率に基づいて計算する。
【0021】
1つの貸出ボックス51のレンタル料を2.7元として貸出ボックス51を1回使用した場合を計算すると、関連人員が実際に獲得する分配金は、前記配達員31が1.35元獲得し、前記保有者50及び前記物流端30は各々0.54元獲得し、前記貸出ボックスの共有システム60及び前記保険端40は各々0.135元獲得する。
【0022】
より詳しくは、本発明の実施例では、前記配達員31が前記消費端10から前記貸出ボックス51を回収するため、前記配達員31が獲得する分配金の比率を最高とすることで配達員31が消費端10から貸出ボックス51を回収する意欲を高め、前記消費端10が前記貸出ボックス51を返送しない状況を発生させないようにし、貸出ボックス51のそれぞれを実際にリサイクルする。
【0023】
他の実施例において、前記保有者50が出資者である場合、前記出資者が前記貸出ボックス51を使用することを選択すると、前記出資者はデポジットを支払わずに前記貸出ボックス51を使用できる。
或いは、前記保有者50が消費端10である場合、前記消費端10はデポジットを支払わずに前記貸出ボックス51を使用できる。
【0024】
他の実施例において、消費端10が前記貸出ボックス51を使用することを選択するがデポジットは支払いたくない場合、前記消費端10が自分で前記物流端30まで行って物品を受け取るか、前記配達員31が前記消費端10まで配達した後、貸出ボックス51を消費端10に放置せずに前記配達員31がすぐに回収する。
【0025】
1年で8000万個の包装材が使用されると計算すると、そのうちの50%の人間が貸出ボックス51を選択した場合、使用される包装材が4000万個減少し、これは50%の炭素排出量削減に相当する。
本発明は配達員31、保有者50、物流端30、及び保険端40の利益のバランスも考慮し、配達員31が貸出ボックス51を回収する意欲を高め、貸出ボックス51が損壊するリスクを分散させ、双方が貸出ボックス51を使用する意欲を高め、貸出ボックス51を実際にリサイクルし、持続的に運用するサイクルを実現する。
【0026】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0027】
a~f ステップ
10 消費端
20 販売端
21 注文情報
30 物流端
31 配達員
40 保険端
50 保有者
51 貸出ボックス
60 貸出ボックスの共有システム
61 ストレージモジュール
61a 貸出ボックス番号
61b ID情報
62 計算モジュール
63 読み取りモジュール
64 入力インターフェース
65 受信モジュール
66 サーバー
70 支払いシステム