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特開2024-112288改善された熱及びOSRヒューズ性能のための勾配ブリッジ断面
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112288
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】改善された熱及びOSRヒューズ性能のための勾配ブリッジ断面
(51)【国際特許分類】
   H01H 85/06 20060101AFI20240813BHJP
【FI】
H01H85/06
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024004522
(22)【出願日】2024-01-16
(31)【優先権主張番号】63/483,633
(32)【優先日】2023-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519226506
【氏名又は名称】リテルフューズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファウスト、スコット
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ、クリストファー エイチ.
【テーマコード(参考)】
5G502
【Fターム(参考)】
5G502AA01
5G502AA09
5G502BB07
5G502BB17
5G502BC03
5G502FF10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ヒューズのアーク放電に関し、より具体的には、オープン状態抵抗を改善するためのヒューズ設計に関する。
【解決手段】ヒューズエレメントは、中心部分の一方の側に隣接して位置するブリッジアセンブリを備える。ブリッジアセンブリは、ヒューズ端子に接続された複数のブリッジを有する。各ブリッジは、互いのブリッジとは異なる断面積を有する。第1のブリッジは、中心部分に隣接し、第1の断面積を有する。最後のブリッジは、ヒューズ端子に隣接し、第1の断面積よりも大きい第2の断面積を有する。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端子及び第2の端子の間に配置されたヒューズエレメントを備えるヒューズエレメントアセンブリであって、前記ヒューズエレメント、前記第1の端子、及び前記第2の端子は、導電性材料を含み、前記ヒューズエレメントは:
中心部分;及び
前記中心部分及び前記第1の端子の間に配置されたブリッジアセンブリ
を有し、前記ブリッジアセンブリは:
第1の分量の導電性材料を含む第1のブリッジ;及び
第2の分量の導電性材料を含む第2のブリッジ
を更に含み、前記第1のブリッジは、前記第2のブリッジ及び前記中心部分の間に挟まれ、前記第2の分量は、前記第1の分量よりも大きい、ヒューズエレメントアセンブリ。
【請求項2】
前記ブリッジアセンブリは、第3の分量の導電性材料を含む第3のブリッジを更に含み、前記第2のブリッジは、前記第1のブリッジ及び前記第3のブリッジの間に挟まれ、前記第3の分量は、前記第2の分量よりも大きい、請求項1に記載のヒューズエレメントアセンブリ。
【請求項3】
前記第1のブリッジは、第1の断面積を含む第1のブリッジ頂部を含み;
前記第2のブリッジは、第2の断面積を含む第2のブリッジ頂部を含み、前記第2の断面積は、前記第1の断面積よりも大きい、請求項2に記載のヒューズエレメントアセンブリ。
【請求項4】
前記第3のブリッジは、第3の断面積を含む第3のブリッジ頂部を含み、前記第3の断面積は、前記第1の断面積よりも大きい、請求項3に記載のヒューズエレメントアセンブリ。
【請求項5】
前記第1のブリッジは、前記第1のブリッジ頂部の下に配置された第1の開口部を含み;
前記第2のブリッジは、前記第2のブリッジ頂部の下に配置された第2の開口部を含み;
前記第3のブリッジは、前記第3のブリッジ頂部の下に配置された第3の開口部を含む、
請求項4に記載のヒューズエレメントアセンブリ。
【請求項6】
前記第1の開口部、前記第2の開口部及び前記第3の開口部は、同じサイズである、請求項5に記載のヒューズエレメントアセンブリ。
【請求項7】
前記第1の開口部は、第1の面積を有し、前記第2の開口部は、第2の面積を有し、前記第3の開口部は、第3の面積を有し、前記第1の面積は、前記第2の面積よりも大きく、前記第2の面積は、前記第3の面積よりも大きい、請求項5に記載のヒューズエレメントアセンブリ。
【請求項8】
前記第1のブリッジは、前記第1の開口部の下に配置された第1のブリッジ底部を含み;
前記第2のブリッジは、前記第2の開口部の下に配置された第2のブリッジ底部を含み;
前記第3のブリッジは、前記第3の開口部の下に配置された第3のブリッジ底部を含む、
請求項5に記載のヒューズエレメントアセンブリ。
【請求項9】
前記第1の開口部は、前記第2の開口部からの第1の距離であり、前記第2の開口部は、前記第3の開口部からの第2の距離である、請求項5から8の何れか一項に記載のヒューズエレメントアセンブリ。
【請求項10】
前記第1の距離は、前記第2の距離に等しい、請求項9に記載のヒューズエレメントアセンブリ。
【請求項11】
前記第1の距離は、前記第2の距離よりも小さい、請求項9に記載のヒューズエレメントアセンブリ。
【請求項12】
中心部分の第1の側に隣接して配置されたブリッジアセンブリを備えるヒューズエレメントであって、前記ブリッジアセンブリは、ヒューズの端子に結合された複数のブリッジを有し、
前記複数のブリッジの各ブリッジは、前記複数のブリッジの互いのブリッジとは異なる断面積を含み;
前記複数のブリッジの第1のブリッジは、前記中心部分に隣接し、第1の断面積を有し;
前記複数のブリッジの最後のブリッジは、前記端子に隣接し、第2の断面積を有し、前記第2の断面積は、前記第1の断面積よりも大きい、ヒューズエレメント。
【請求項13】
前記第1のブリッジ及び前記最後のブリッジの間の前記複数のブリッジの追加のブリッジは、隣接したブリッジよりも大きい断面積を有し、前記隣接したブリッジは、前記追加のブリッジよりも中心部分に近い、請求項12に記載のヒューズエレメント。
【請求項14】
前記中心部分の第2の側に隣接して配置された第2のブリッジアセンブリを更に備え、前記第2の側は、前記第1の側と反対であり、前記第2のブリッジアセンブリは、前記ヒューズの第2の端子に結合された第2の複数のブリッジを有し、
前記第2の複数のブリッジの各ブリッジは、前記複数のブリッジの互いのブリッジとは異なる断面積を含み;
前記第2の複数のブリッジの第1のブリッジは、前記中心部分に最も近く、最小断面積を有し;
前記第2の複数のブリッジの最後のブリッジは、前記第2の端子に最も近く、最大断面積を有する、請求項12又は13に記載のヒューズエレメント。
【請求項15】
前記第1のブリッジ及び前記最後のブリッジの間の前記第2の複数のブリッジの追加のブリッジは、隣接したブリッジよりも大きい断面積を有し、前記隣接したブリッジは、前記追加のブリッジよりも中心部分に近い、請求項14に記載のヒューズエレメント。
【請求項16】
端子及び中心部分の間に配置されたブリッジアセンブリを備えるヒューズエレメントであって、前記ブリッジアセンブリは、複数のブリッジを有し、オープン事象の際に:
前記ブリッジアセンブリの第1のブリッジが、第1の期間において、アーク放電し、その後溶融して、第1の面積を有する第1の溶融銅堆積になり;
前記ブリッジアセンブリの第2のブリッジが、第2の期間において、アーク放電し、その後溶融して、第2の面積を有する第2の溶融銅堆積になり、前記第1のブリッジは、前記第2のブリッジよりも前記中心部分に近く、前記第1の期間は、前記第2の期間よりも前である、ヒューズエレメント。
【請求項17】
前記第1の面積は、前記第2の面積よりも大きい、請求項16に記載のヒューズエレメント。
【請求項18】
第2の端子及び前記中心部分の間に配置された第2のブリッジアセンブリを更に備え、前記第2のブリッジアセンブリは、第2の複数のブリッジを有し、オープン事象の際に:
前記第2のブリッジアセンブリの第3のブリッジが、第3の期間において、アーク放電し、その後溶融して、第3の面積を有する第3の溶融銅堆積になり;
前記第2のブリッジアセンブリの第4のブリッジが、第4の期間において、アーク放電し、その後溶融して、第4の面積を有する第4の溶融銅堆積になり、前記第3のブリッジは、前記第4のブリッジよりも前記中心部分に近く、前記第3の期間は、前記第4の期間よりも前である、請求項16又は17に記載のヒューズエレメント。
【請求項19】
前記第3の面積は、前記第4の面積よりも大きい、請求項18に記載のヒューズエレメント。
【請求項20】
前記第1の期間は、前記第3の期間に等しく;
前記第2の期間は、前記第4の期間に等しい、
請求項19に記載のヒューズエレメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、ヒューズのアーク放電に関し、より具体的には、オープン状態抵抗を改善するためのヒューズ設計に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒューズは、電気システム内で過電流からの保護のために使用され、過電流状態が生じた場合に破断する犠牲デバイスである。ヒューズは、2つの金属接点端子をともにつなぐ、金属線又は金属ストリップ等の、ヒューズエレメントを含み、これは、過剰な電流が流れる場合に溶融/破断する。この破断により、開回路がもたらされ、それゆえ、ヒューズが接続されるデバイスが保護される。ヒューズは、多様な形状及びサイズで提供され、小型の回路電子部品から大規模産業用途まで、多くの用途を有する。コンポーネント保護デバイスであることに加えて、ヒューズは、車両において使用される場合等では、車両事故に応じた火災からの保護を行うので、安全デバイスでもある。
【0003】
1つの重要なヒューズ性能メトリックは、オープン状態抵抗(OSR)であり、これは、破断に起因して開放された際のヒューズの端子にわたる測定される電気抵抗である。OSRメトリックは、漏れ電流をベンチマーク評価するために使用され、当該漏れ電流は、通常動作電圧においてオープン事象に続いてヒューズを通過する電流の量である。電気車両(EV)ヒューズの場合、製品仕様は、典型的には、最大漏れ電流が0.5ミリアンペアであることを要求し、これはひいては、一般的にはメガオーム範囲における最小OSR値を要求する。実用時には、高電力オープン事象の確率的性質は、少なくとも6桁の大きさにまたがる予想OSR分布をもたらす。この理由で、OSRを最大化する設計は価値がある。
【0004】
ブリッジのアセンブリ又はアレイであるヒューズエレメントを有するヒューズは、高電流障害状態(オープン事象)に起因したヒューズ破断中に一度に全て燃焼する傾向がある。各ブリッジは、同時に燃焼し、溶融銅(ヒューズエレメントのブリッジ)及び周囲の閃電岩(フィラーとして使用される溶融砂)の堆積物が残る。溶融銅がヒューズ端子間で幾分か一様である場合、ヒューズが切れているにもかかわらず、電流が流れる経路がもたらされ得る。これは、電流が保護される回路に流れることを防止するというヒューズの目的とは対照的である。
【0005】
これら及び他の考慮事項に対して、本改善が有用になり得る。
【発明の概要】
【0006】
この発明の概要は、発明を実施するための形態において以下で更に説明される概念の選択を簡略化した形態で導入するために提供されている。この発明の概要は、特許請求される主題の重要又は不可欠な特徴を特定することを意図するものではなく、特許請求される主題の範囲を決定する助けとなることを意図するものでもない。
【0007】
本開示に係るヒューズエレメントアセンブリの例示的な実施形態は、導電性材料から作製された2つの端子の間に位置するヒューズエレメントを備えてよい。ヒューズエレメントは、中心部分及びブリッジアセンブリを有する。ブリッジアセンブリは、中心部分及び端子のうちの1つの間に位置する。ブリッジアセンブリは、2つのブリッジ、すなわち、第1の分量の導電性材料を有する第1のブリッジ及び第2の分量の導電性材料を有する第2のブリッジを含む。第1のブリッジは、第2のブリッジ及び中心部分の間に挟まれる。導電性材料の第2の分量は、第1の分量よりも大きい。
【0008】
本開示に係るヒューズエレメントの例示的な実施形態は、中心部分の一方の側に隣接して位置するブリッジアセンブリを含んでよい。ブリッジアセンブリは、ヒューズ端子に接続された複数のブリッジを有する。各ブリッジは、互いのブリッジとは異なる断面積を有する。第1のブリッジは、中心部分に隣接し、第1の断面積を有する。最後のブリッジは、ヒューズ端子に隣接し、第1の断面積よりも大きい第2の断面積を有する。
【0009】
本開示に係るヒューズエレメントの例示的な実施形態は、端子及び中心部分の間に位置するブリッジアセンブリを含んでよい。ブリッジアセンブリは、複数のブリッジを有する。高電流障害状態(オープン事象)の発生の際に、第1の期間において、ブリッジアセンブリの第1のブリッジがアーク放電し、その後、溶融して第1の面積を有する第1の溶融銅堆積になる。第2の期間において、ブリッジアセンブリの第2のブリッジがアーク放電し、その後、溶融して第2の面積を有する第2の溶融銅堆積になる。第1のブリッジは、第2のブリッジよりも中心部分に近く、第1の期間は、第2の期間よりも前である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】従来技術に係るヒューズエレメントアセンブリを示す図である。
図1B】従来技術に係るヒューズエレメントアセンブリを示す図である。
【0011】
図2A】例示的な実施形態に係るヒューズエレメントアセンブリを示す図である。
図2B】例示的な実施形態に係るヒューズエレメントアセンブリを示す図である。
【0012】
図3A】例示的な実施形態に係るブリッジアセンブリを示す図である。
図3B】例示的な実施形態に係るブリッジアセンブリを示す図である。
【0013】
図4A】例示的な実施形態に係るブリッジアセンブリを示す図である。
図4B】例示的な実施形態に係るブリッジアセンブリを示す図である。
【0014】
図5図5のA及びBは、例示的な実施形態に係る、図2AのヒューズエレメントアセンブリのX線を示す図である。
【0015】
図6】従来技術に係る、図1Aのヒューズエレメントアセンブリの模擬短絡の図である。
【0016】
図7】例示的な実施形態に係る、図2Aのヒューズエレメントアセンブリの模擬短絡の図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
オープン事象中のヒューズ挙動を改善するためのヒューズエレメントアセンブリが本明細書において開示される。ヒューズエレメントアセンブリは、中心部分の両側にブリッジアセンブリを含み、一方のブリッジアセンブリは中心部分及び一方の端子の間に配置され、他方のブリッジアセンブリは、中心部分及び他方の端子の間に配置される。各ブリッジアセンブリは、複数のブリッジを有する。ブリッジは、各ブリッジを構成する導電性材料の分量(量)が中心部分からのブリッジの距離に基づいて変化するように構成されている。中心部分に(両側で)最も近いブリッジは、最小分量の導電性材料を有し、中心部分から離れた各後続のブリッジは、導電性材料の増加する分量を有し、中心部分から(両側で)最も離れ、かつ端子に最も近いブリッジは、導電性材料の最大分量を有する。ヒューズ端子が溶融を経験し、アーク放電が後続し、その後、続いて更なる溶融が後続する破断事象中、中心部分に最も近いブリッジがまずアーク放電し、その後溶融し、隣接したブリッジが後続し、全てのブリッジがアーク放電し、続いて溶融するまで以降も同様である。この効果は、レガシーヒューズを特徴付ける端子間の溶融銅材料の一様分布を回避しながら、ヒューズの中心部における引き延ばされたアーク放電を通して溶融銅材料をより良好に分散させることである。
【0018】
便宜性及び明確性のために、「頂部」、「底部」、「上側」、「下側」、「鉛直」、「水平」、「横」、「横断」、「径方向」、「内部」、「外部」、「左」及び「右」等の用語は、各々本明細書において提供される斜視図、分解斜視図、及び断面図に現れる他の特徴及びコンポーネントのジオメトリ及び配向に対する、特徴及びコンポーネントの相対的な配置及び配向を説明するために本明細書において使用され得る。当該用語は、限定を意図するものではなく、具体的に言及される語、それに関する派生語、及び同様の意味の語を含む。
【0019】
図1A図1Bは、従来技術に係るヒューズエレメントアセンブリ100の代表図である。図1Aは、ヒューズエレメントアセンブリ100の上面視図であり、図1Bは、ヒューズエレメントアセンブリのブリッジアセンブリ部分の詳細図である。ヒューズエレメントアセンブリ100は、2つの端子102a及び102b(集合的に、「端子102」)の間に配置されたヒューズエレメント118を特徴とする。ヒューズエレメントアセンブリ100は、過電流事象に応答して破断するように設計されたヒューズの部分である。ヒューズエレメント118は、典型的にはハウジング(図示せず)内に収容され、端子102がハウジングの両側から延在する。ハウジングには、砂等のフィラー材料が充填されてよい。
【0020】
ヒューズエレメント118は、4つのブリッジアセンブリ106a~d及び中心部104からなり、ブリッジアセンブリ106a及び106cは、中心部104の第1の側にあり、ブリッジアセンブリ106b及び106d(集合的に、「ブリッジアセンブリ106」)は、中心部104の第2の側にあり、第2の側は第1の側の反対である。さらに、ブリッジアセンブリ106a及びブリッジアセンブリ106cは、端子102a及び中心部104の間に配置され、中心部104の第1の側でダイヤモンド形状を形成する。同様に、ブリッジアセンブリ106b及びブリッジアセンブリ106dは、中心部104及び端子102bの間に配置され、中心部104の第2の側でダイヤモンド形状を形成する。
【0021】
ヒューズエレメントアセンブリ100は、銅等の導電性材料から作製される。概して、ヒューズエレメントアセンブリ100は、端子102及びヒューズエレメント118が単一の一体的構造となるように、銅板からスタンピング加工される。ヒューズの意図的な弱いリンクとして、ブリッジアセンブリ106を含むヒューズエレメント118が、本明細書においてオープン事象としても知られている高電流障害状態に続いて材料の分散を促進するように設計される。オープン事象中、ブリッジアセンブリは溶融し、この溶融は、金属の分離を引き起こし、その後、2つの金属の間にアークが形成し、このアークは、残りのヒューズ材料を溶融させ、周囲のフィラーに分散させ、これは全て非常に短い時間フレーム内で行われる。
【0022】
オープン事象中、ヒューズエレメントアセンブリ100の固体銅は、溶融し、電気アークプラズマの圧力によって溶融したフィラー材料を介して液体粒子内に分散される。オープンに続いて、ヒューズ内容物が冷却し、銅の固体粒子が散在した閃電岩(主に溶融砂)に固化する。銅は、相当の導電性を有する唯一のヒューズ成分であり、それゆえ、より低いオープン状態抵抗(OSR)値を可能にする主な電荷キャリアである。
【0023】
ヒューズエレメントアセンブリ100の各ブリッジアセンブリ106は、複数の相互接続されたブリッジを含む。ブリッジアセンブリ106aは、ブリッジ108a、108b、108c、及び108dを特徴とし、ブリッジ108aは、ブリッジ108bに隣接し、ブリッジ108bは、ブリッジ108cに隣接し、ブリッジ108cは、ブリッジ108dに隣接する。ブリッジ108a及び108bは、第1の配置において配向され、一方、ブリッジ108c及び108dは、第2の配置において配向され、第1の配置及び第2の配置は、中心部104の第1の側に配置されたダイヤモンド形状の1つの部分として鋭角をなす。ブリッジアセンブリ106bは、ブリッジ108e、108f、108g、及び108hを特徴とし、ブリッジ108eは、ブリッジ108fに隣接し、ブリッジ108fは、ブリッジ108gに隣接し、ブリッジ108hは、ブリッジ108gに隣接する。ブリッジ108e及び108fは、第1の配置において配向され、一方、ブリッジ108g及び108hは、第2の配置において配向され、第1の配置及び第2の配置は、中心部の第2の側に配置されたダイヤモンド形状の1つの部分として鋭角をなす。ブリッジアセンブリ106c(ブリッジ108i、108j、108k、及び108lを有する)及び106d(ブリッジ108m、108n、108o、及び108pを有する)(集合的に、「ブリッジ108」)は、本質的には、ブリッジアセンブリ106a及び106bの鏡像である。ブリッジアセンブリ106aとともに、ブリッジアセンブリ106cは、中心部104の第1の側に配置されたダイヤモンド形状を形成する。ブリッジアセンブリ106bとともに、ブリッジアセンブリ106dは、中心部104の第2の側に配置されたダイヤモンド形状を形成する。
【0024】
ブリッジアセンブリ106aの詳細図が、図1Bにおいて示されており、ここで、ブリッジアセンブリ106b、106c、及び106dは同様に構成されていることを理解されたい。ブリッジアセンブリ106aは、ブリッジ108a、108b、108c、及び108dを特徴とし、ブリッジ108a及び108bは、第1の配置であり、ブリッジ108c及び108dは、第2の配置であり、第1の配置及び第2の配置は、鋭角をなす。各ブリッジ108(点線の矩形で示されている)は、開口部、ブリッジ頂部、及びブリッジ底部を特徴とする。ブリッジ108aは、開口部110a、ブリッジ頂部112a、及びブリッジ底部114aを含み;ブリッジ108bは、開口部110b、ブリッジ頂部112b、及びブリッジ底部114bを含み;ブリッジ108cは、開口部110c、ブリッジ頂部112c、及びブリッジ底部114cを含み;ブリッジ108dは、開口部110d、ブリッジ頂部112d、及びブリッジ底部114dを含む(集合的に、「開口部110」、「ブリッジ頂部112」、及び「ブリッジ底部114」)。
【0025】
ブリッジアセンブリ106aは、接続部116a~eも特徴とし、開口部110aは、接続部116a及び116bの間に挟まれ、開口部110bは、接続部116b及び116cの間に挟まれ、開口部110cは、接続部116c及び116dの間に挟まれ、開口部110dは、接続部116d及び116eの間に挟まれる(集合的に、「接続部116」)。ブリッジアセンブリ106b、106c、及び106dは、開口部110が接続部116の間に配置された状態で同様に構成されている。接続部116eは、中心部104とリンクし、一方、接続部116aは、端子102aとリンクする。
【0026】
接続部116b及び116dの寸法は類似である一方、接続部116cは、ブリッジ対108a/108b及び108c/108dの間の鋭角を考慮するために異なる。しかしながら、ブリッジアセンブリ106のブリッジ頂部112及びブリッジ底部114は、同じ寸法を有する。各ブリッジ頂部112は、他のブリッジ頂部と同じ面積を有し;各ブリッジ底部114は、他のブリッジ底部と同じ面積を有する。言い換えると、各ブリッジ頂部112a、112b、112c、及び112dを形成する銅の分量(量)は、実質的に同じであり、各ブリッジ底部114a、114b、114c、及び114dを形成する銅の分量は、実質的に同じである。これが意味することは、オープン事象が発生すると、ブリッジアセンブリ106の各ブリッジ108は、同時にアーク放電を経験し、したがって、同時に溶融することになるということである。さらに、ヒューズエレメントアセンブリ100のブリッジ108の全てが、同時にアーク放電を経験し、したがって、同時に溶融することになる。各「弱点」(ブリッジ)において同じ断面積を有することによって、ジオメトリは、短絡中にヒューズエレメントアセンブリ100の点の各々を通してほぼ等しいアーク放電を強制する。不都合なことに、ヒューズエレメントアセンブリ100のこの特性は、ヒューズエレメント118の長さに沿って溶融銅の一様な分散をもたらし、これは、電流経路ともなってしまう。2つの端子102間の経路に沿った銅の一様な分散は、オープン事象の発生にもかかわらず、電流がヒューズエレメントアセンブリ100の2つの端子102間で流れることを可能にし得る。
【0027】
図2A図2Bは、例示的な実施形態に係るヒューズエレメントアセンブリ200の代表図である。図2Aは、ヒューズエレメントアセンブリ200の上面視図であり、図2Bは、ヒューズエレメントアセンブリのブリッジアセンブリ部分の詳細図である。ヒューズエレメントアセンブリ200は、2つの端子202a及び202b(集合的に、「端子202」)の間に配置されたヒューズエレメント218を特徴とする。ヒューズエレメントアセンブリ100と同様に、ヒューズエレメントアセンブリ200は、過電流事象に応答して破断するように設計されたヒューズの部分である。ヒューズエレメント218は、ハウジング(図示せず)内に収容され、端子202がハウジングの両側から延在する。ハウジングには、砂等のフィラー材料が充填されてよい。
【0028】
ヒューズエレメント218は、4つのブリッジアセンブリ206a~d及び中心部204からなり、ブリッジアセンブリ206a及び206cは、中心部204の第1の側にあり、ブリッジアセンブリ206b及び206d(集合的に、「ブリッジアセンブリ206」)は、中心部204の第2の側にあり、第2の側は第1の側の反対である。ブリッジアセンブリ206a及びブリッジアセンブリ206cは、端子202a及び中心部204の間に配置され、ブリッジアセンブリ206a及びブリッジアセンブリ206cは、中心部204の第1の側でダイヤモンド形状を形成する。同様に、ブリッジアセンブリ206b及びブリッジアセンブリ206dは、中心部204及び端子202bの間に配置され、ブリッジアセンブリ206b及びブリッジアセンブリ206dは、中心部204の第2の側でダイヤモンド形状を形成する。
【0029】
ヒューズエレメントアセンブリ200は、銅等の導電性材料から作製される。ヒューズエレメントアセンブリ200は、典型的には、端子202及びヒューズエレメント218が単一の一体的構造であるように、銅板からスタンピング加工される。ヒューズの意図的な弱いリンクとして、ブリッジアセンブリ206を含むヒューズエレメント218が、オープン(ヒューズ破断)事象に続いて材料の分散を促進するように設計される。
【0030】
各ブリッジアセンブリ206は、複数の相互接続されたブリッジを含む。ブリッジアセンブリ206aは、ブリッジ208a、208b、208c、及び208dを特徴とし、ブリッジ208aは、ブリッジ208bに隣接し、ブリッジ208bは、ブリッジ208cに隣接し、ブリッジ208cは、ブリッジ208dに隣接する。言い換えると、ブリッジ208aは、端子202a及びブリッジ202bの間に挟まれ、ブリッジ202bは、ブリッジ208a及びブリッジ208cの間に挟まれ、ブリッジ208cは、ブリッジ208b及びブリッジ208dの間に挟まれ、ブリッジ208dは、ブリッジ208c及び中心部204の間に挟まれる。
【0031】
ブリッジ208a及び208bは、第1の配置において配向され、一方、ブリッジ208c及び208dは、第2の配置において配向され、第1の配置及び第2の配置は、中心部204の第1の側に配置されたダイヤモンド形状の1つの部分として鋭角をなす。ブリッジアセンブリ206bは、ブリッジ208e、208f、208g、及び208hを特徴とし、ブリッジ208eは、ブリッジ208fに隣接し、ブリッジ208fは、ブリッジ208gに隣接し、ブリッジ208hは、ブリッジ208gに隣接する。ブリッジ208e及び208fは、第1の配置において配向され、一方、ブリッジ208g及び208hは、第2の配置において配向され、第1の配置及び第2の配置は、中心部の第2の側に配置されたダイヤモンド形状の1つの部分として鋭角をなす。
【0032】
ブリッジアセンブリ206c(ブリッジ208i、208j、208k、及び208lを有する)及び206d(ブリッジ208m、208n、208o、及び208pを有する)(集合的に、「ブリッジ208」)は、本質的には、ブリッジアセンブリ206a及び206bの鏡像であり、ブリッジアセンブリ206cは、中心部204の第1の側に配置されたダイヤモンド形状の第2の部分を形成し、ブリッジアセンブリ206dは、中心部の第2の側に配置されたダイヤモンド形状の第2の部分を形成する。
【0033】
ブリッジアセンブリ206aの詳細図が、図2Bにおいて示されており、ここで、ブリッジアセンブリ206b、206c、及び206dは同様に構成されていることを理解されたい。ブリッジアセンブリ206aは、ブリッジ208a、208b、208c、及び208dを特徴とし、ブリッジ208a及び208bは、第1の配置であり、ブリッジ208c及び208dは、第2の配置であり、第1の配置及び第2の配置は、鋭角をなす。各ブリッジ208(点線の矩形で示されている)は、開口部、ブリッジ頂部、及びブリッジ底部を特徴とする。ブリッジ208aは、開口部210a、ブリッジ頂部212a、及びブリッジ底部214aを含み;ブリッジ208bは、開口部210b、ブリッジ頂部212b、及びブリッジ底部214bを含み;ブリッジ208cは、開口部210c、ブリッジ頂部212c、及びブリッジ底部214cを含み;ブリッジ208dは、開口部210d、ブリッジ頂部212d、及びブリッジ底部214dを含む(集合的に、「開口部210」、「ブリッジ頂部212」、及び「ブリッジ底部214」)。
【0034】
ブリッジ206aは、接続部216a~eも特徴とし、開口部210aは、接続部216a及び216bの間に挟まれ、開口部210bは、接続部216b及び216cの間に挟まれ、開口部210cは、接続部216c及び216dの間に挟まれ、開口部210dは、接続部216d及び216eの間に挟まれる(集合的に、「接続部216」)。ブリッジアセンブリ206b、206c、及び206dは、開口部210が接続部216間に配置された状態で同様に構成されている。接続部216eは、中心部204とリンクし、一方、接続部216aは、端子202aとリンクする。接続部216b及び216dの寸法は類似である一方、接続部216cは、ブリッジ対208a/208b及び208c/208dの間の鋭角を考慮するために異なる。
【0035】
例示的な実施形態では、ヒューズエレメントアセンブリ100とは対照的に、ブリッジ206のブリッジ頂部212及びブリッジ底部214の断面は、中心部204に対する各ブリッジのロケーションに基づいて、連続的に減少する寸法を有し、ここで、寸法は、概して、「銅の分量」を意味する。ブリッジ頂部212aは、第1の断面寸法dを有し、ブリッジ頂部212bは、第2の断面寸法dを有し、ブリッジ頂部212cは、第3の断面寸法dを有し、ブリッジ頂部212dは、第4の断面寸法dを有し、ここで、d>d>d>dである。言い換えると、各ブリッジ頂部212の断面寸法は、中心部204からのそのブリッジの距離が増加するにつれて増加し、これは、各ブリッジアセンブリ206について真である。
【0036】
それゆえ、各ブリッジ頂部212a、212b、212c、及び212dを形成する銅の分量は、中心部204からの距離に基づいて連続的に減少する。ブリッジ208の数及びブリッジアセンブリ206の数は、単なる例示であり、限定するものとしては意図されず、これはなぜならば、本明細書における原理は、中心部の各側に単一のブリッジアセンブリが存在するのか、又は中心部から外側に延在する複数のブリッジアセンブリが存在するのかを問わず、かつ各ブリッジアセンブリ内に存在するブリッジの数に関係なく、多くの異なる構成を有するヒューズエレメントアセンブリに適用され得るためである。
【0037】
図2Aのヒューズエレメントアセンブリ200について、中心部204に最も近いブリッジ頂部212(ブリッジ208d、208e、208l、及び208mのブリッジ頂部)は、最小断面寸法dを有し、中心部204に2番目に近いブリッジ頂部(ブリッジ208c、208f、208k、及び208nのブリッジ頂部)は、次に最小の断面寸法dを有し、中心部204に3番目に近いブリッジ頂部(ブリッジ208b、208f、208j、及び208oのブリッジ頂部)は、3番目に最小の断面寸法dを有し、中心部204から最も離れたブリッジ頂部(ブリッジ208a、208h、208i、及び208pのブリッジ頂部)は、最大断面寸法dを有する。最も内側のブリッジ(208d、208e、208l、及び208m)における断面は最小であり、各後続のブリッジの断面は増加する。それゆえ、ヒューズエレメントアセンブリ200は、勾配ヒューズエレメントと考えられてよく、ブリッジの異なる断面が端子間で形成される導電経路の発生率を減少させる。
【0038】
例示的な実施形態では、この原理は、ブリッジ底部214に同様に当てはまる。それゆえ、ブリッジ底部214aは、第1の断面寸法dを有し、ブリッジ底部214bは、第2の断面寸法dを有し、ブリッジ底部214cは、第3の断面寸法dを有し、ブリッジ底部214dは、第4の断面寸法dを有し、ここで、d>d>d>dである。ここでも、各ブリッジ底部214の断面寸法は、中心部204からのそのブリッジの距離が増加するにつれて増加し、これは、各ブリッジアセンブリ206について真である。
【0039】
図2Aのヒューズエレメントアセンブリについて、中心部204に最も近いブリッジ底部214(ブリッジ208d、208e、208l、及び208mのブリッジ底部)は、最小断面寸法dを有し、中心部204に2番目に近いブリッジ底部(ブリッジ208c、208f、208k、及び208nのブリッジ底部)は、次に最小の断面寸法dを有し、中心部204に3番目に近いブリッジ底部(ブリッジ208b、208f、208j、及び208oのブリッジ底部)は、3番目に最小の断面寸法dを有し、中心部204から最も離れたブリッジ底部(ブリッジ208a、208h、208i、及び208pのブリッジ底部)は、最大断面寸法dを有する。非限定的な実施形態では、それぞれのブリッジ頂部212及びブリッジ底部214の寸法は同じである:d=d、d=d、d=d、及びd=dである。
【0040】
例示的なヒューズエレメントアセンブリ200を説明する更に別の方式は、ブリッジ頂部212、ブリッジ底部214、及びブリッジの両側の接続部216の更なる部分を含むブリッジ208全体の観点からのものである。例示的な実施形態では、各ブリッジ208の総面積は、中心部204からのそのブリッジの距離に依存して変更され、各ブリッジを形成する銅の分量が中心部204からの距離に基づいて連続的に減少する。
【0041】
例示的な実施形態では、ヒューズエレメントアセンブリ200についてのオープン事象の発生は、レガシーヒューズエレメントアセンブリ100のものとは異なる。例示的な実施形態では、オープン事象(溶融、続いてアーク放電、続いて更なる溶融)は、同時ではなく、連続的にブリッジ208に生じる。中心部204に最も近いブリッジ(208d、208e、208l、及び208m)が、まずアーク放電を経験して溶融し、ブリッジ208c、208f、208k、及び208nが後続し、ブリッジ208b、208g、208j、及び208oが後続し、その後、最後にブリッジ208a、208h、208i、及び208pが後続する。
【0042】
それゆえ、例示的なヒューズエレメントアセンブリ200の設計は、最も内側のエレメントブリッジから開始し、中心部から離れる各ロケーションにおいて増加する、断面における勾配によって作成される線形順序において、アーク放電事象のシーケンスが発生するように強制する。この設計の効果は、中心部から連続的に外側に移動するブリッジを溶融するのに必要とされるエネルギーの増加であり、これにより、直前のブリッジ(中心部により近い隣接したブリッジ)がより長い期間アーク放電することが可能になり、フィラーに更に銅粒子を分散させ、閃電岩が冷却すると高抵抗の領域を作成する。例示的な実施形態では、ヒューズ性能は、外側の各ブリッジが引き延ばされた溶融時間に起因してより少ない利用可能なアーク放電エネルギーを有する状態で、ヒューズの中心部においてアーク放電の大半が発生するように強制することによってこの勾配によっても向上され、これにより、ヒューズの端部を通るアーク放電の機会が最小化される。
【0043】
図3A図3B及び図4A図4Bは、ヒューズエレメントアセンブリのブリッジが隣接したブリッジの勾配断面を実現し、それゆえ、オープン事象中の所望の順序的な挙動を確実にするように操作され得る際に従う機構のうちの幾つかを示している。当業者の設計者であれば、ヒューズエレメントアセンブリの勾配断面を実現することができる多くの異なる方式を認識するので、これらの例は網羅的なものではない。
【0044】
図3A図3Bは、例示的な実施形態に係る、連続的にアーク放電及び溶融するブリッジを作成するための機構を示すのに使用されるブリッジアセンブリ306の代表図である。図3Aは、開口部勾配を有するブリッジアセンブリ306aであり、図3Bは、頂部/底部勾配を有するブリッジアセンブリ306bである。各ブリッジアセンブリ306が4つのブリッジを含むが、本明細書において説明される原理は、整数Nについて、2個~N個のブリッジを有するブリッジに適用され得る。
【0045】
ブリッジアセンブリ306a(図3A)は、ブリッジ308a、308b、308c、及び308dを特徴とし、各ブリッジは、それぞれの開口部310a、310b、310c、及び310dを有し、ブリッジアセンブリ306b(図3B)は、ブリッジ308e、308f、308g、及び308hを特徴とし、各ブリッジは、それぞれの開口部310e、310f、310g、及び310hを有する(集合的に「ブリッジ308」及び「開口部310」)。説明を容易にするために、開口部310は、単純な矩形形状として示されているが、本明細書において説明される原理を実装するヒューズエレメントアセンブリは、無数の異なる形状のうちの任意のものを取り得る。各ブリッジは、ブリッジ頂部及びブリッジ底部を有する。ブリッジ308aは、例えば、ブリッジ頂部312a及びブリッジ底部314aを特徴とし、ブリッジ308bは、ブリッジ頂部312b及びブリッジ底部314bを特徴とし、以降も同様である(集合的に、「ブリッジ頂部312」及び「ブリッジ底部314」)。非限定的な実施形態では、説明を容易にするために、ブリッジ頂部312及びそれぞれのブリッジ底部314は、同じ寸法を有する。
【0046】
ブリッジアセンブリ306a(図3A)では、ブリッジ308aは、仮定上のヒューズエレメントアセンブリの中心部304に隣接し、一方、ブリッジ308dは、端子302に隣接する。ブリッジアセンブリ306aの開口部310は、中心部に対するそのロケーションに基づいて、各ブリッジについてサイズが減少する。それゆえ、開口部310aが最大であり、開口部310bが後続し、開口部310cが後続し、そして開口部310dが4つの開口部のうちの最小のものである。開口部サイズの変更により、ブリッジ頂部312及びブリッジ底部314の面積が変化する。それゆえ、ブリッジ308aは、各々面積wの断面を有するブリッジ頂部312a及びブリッジ底部314aを有し、ブリッジ308bは、各々面積wの断面を有するブリッジ頂部312b及びブリッジ底部314bを有し、ブリッジ308cは、各々面積wの断面を有するブリッジ頂部312c及びブリッジ底部314cを有し、ブリッジ308dは、各々面積wの断面を有するブリッジ頂部312d及びブリッジ底部314dを有し、ここで、w<w<w<wである。それゆえ、ブリッジアセンブリ306aにおける各開口部310のサイズを変動させることによって、所望の結果、すなわち、ブリッジ頂部312及びブリッジ底部314の断面の面積が中心部304からのブリッジ308の距離に基づいて変動すること、が実現される。言い換えると、各ブリッジ308内に含有される銅の分量は、中心部304からのその距離に基づいて変動し、ブリッジ308aは、最小分量の銅を有し(それゆえ、まずアーク放電及び溶融する)、一方、ブリッジ308dは、最大分量の銅を有する(それゆえ、最後にアーク放電及び溶融する)。
【0047】
ブリッジアセンブリ306b(図3B)では、ブリッジ308eは、仮定上のヒューズエレメントアセンブリの中心部304に隣接し、一方、ブリッジ308hは、端子302に隣接する。ブリッジアセンブリ306aとは対照的に、ブリッジアセンブリ306bの開口部310は、各ブリッジ308についてサイズが変化するのではなく、一定である(ヒューズエレメントアセンブリ200と同様)。その代わりに、ブリッジ頂部及びブリッジ底部の断面は、サイズが変動する。それゆえ、各々面積wの断面を有するブリッジ頂部312e及びブリッジ底部314eが最小であり、(各々面積wの断面を有する)ブリッジ頂部312f及びブリッジ底部314fが後続し、(各々面積wの断面を有する)ブリッジ頂部312g及びブリッジ底部314gが後続し、そして(各々面積wの断面を有する)ブリッジ頂部312h及びブリッジ底部314hが4つのブリッジ頂部/ブリッジ底部対のうちの最大のものであり、ここで、w<w<w<wである。ここでも、各ブリッジ308内に含有される銅の分量は、中心部304からのその距離に基づいて変動し、ブリッジ308eは、最小分量の銅を有し(それゆえ、まずアーク放電及び溶融する)、一方、ブリッジ308hは、最大分量の銅を有する(それゆえ、最後にアーク放電及び溶融する)。
【0048】
図4A図4Bは、それぞれ、例示的な実施形態に係る、開口部間の距離が変動する図3A図3Bのブリッジアセンブリ306の代表図である。図4Aは、開口部勾配を有するブリッジアセンブリ306a'であり、図4Bは、頂部/底部勾配を有するブリッジアセンブリ306b'である。ブリッジアセンブリ306a(図4A)では、開口部310間の距離は、変更され、これは、開口部310のうちの幾つかの面積及び各ブリッジ308における銅の総量に影響を与える。例えば、開口部310a'は、開口部310b'からの距離dであり、ここで、開口部310b'は、水平方向において伸張され、それゆえ、開口部310b(図3A)よりも大きい面積を有する。開口部310b'は、開口部310c'からの距離d10であり、ここで、開口部310c'は、水平方向において伸張され、それゆえ、開口部310cよりも大きい面積を有する。開口部310c'は、開口部310d'からの距離d11であり、ここで、開口部310d'は、水平方向において伸張され、それゆえ、開口部310dよりも大きい面積を有し、ここで、d<d10<d11である。
【0049】
開口部310がより大きい箇所では、ブリッジ308における銅の総量は減少する。それゆえ、例えば、ブリッジ308b'は、ブリッジ308bよりも少ない銅を有し、これはなぜならば、開口部310b'は、開口部310bよりも大きいためである。各ブリッジ308における銅の分量は、ブリッジ頂部312及びブリッジ底部314の一方又は両方の断面積を変化させること、開口部310のサイズを変化させること、及び/又は開口部間の距離を変化させることによって変更することができる。
【0050】
ブリッジアセンブリ306b'(図4B)を参照すると、開口部310間の距離は、変更され、これは、開口部310のうちの幾つかの面積及び各ブリッジ308における銅の総量に影響を与える。例えば、開口部310e'は、開口部310f'からの距離d12であり、ここで、開口部310f'は、水平方向において伸張され、それゆえ、開口部310f(図3B)よりも大きい面積を有する。開口部310f'は、開口部310g'からの距離d13であり、ここで、開口部310g'は、水平方向において伸張され、それゆえ、開口部310gよりも大きい面積を有する。開口部310g'は、開口部310h'からの距離d14であり、ここで、開口部310h'は、水平方向において伸張され、それゆえ、開口部310hよりも大きい面積を有し、ここで、d12<d13<d14である。
【0051】
ブリッジ306a'及び306b'の両方について、ブリッジ308a'における銅の総量が水平方向における変化に起因してブリッジ308aよりも少なくなり得るという結果になり、308b'/308b、308c'/308c、及び308d'/308dについても同様である。それゆえ、各ブリッジ308における銅の分量は、ブリッジ頂部312及びブリッジ底部の断面積の観点で変動し得、同様に開口部310間の距離を変動させることによって、それが、開口部のサイズを変化させることを意味するにせよ、又はそれらを互いに対して移動させることを意味するにせよ、水平方向においても変動し得る。ブリッジアセンブリの中心部から外側に移動する、各ブリッジからの勾配及び/又は変動する断面を有することによって、アーク/溶融パターンのより良好な制御を実現することができる。
【0052】
その効果は、最初にアーク放電を受けることになる、中心部に近いブリッジを溶融するのに必要とされるエネルギーを高めることであり、その後、中心部から離れたブリッジについてはエネルギーが小さくなる。これは、銅を、より大きい分散パターンに、更にフィラーに分散することに役立ち、高抵抗の領域を生成することに役立ち、当該高抵抗の領域は、オープン状態抵抗のために重要である。さらに、例示的な実施形態では、ヒューズエレメントアセンブリ200は、高エネルギーのアーク放電のより多くをヒューズの中心部に向かうことを強制することによって全体ヒューズ熱性能を向上させ、その結果、アーク放電エネルギーが外側に移動するにつれてエネルギーが小さくなり、したがって、ヒューズの内側に総アーク放電/エネルギーを収容することに役立ち、かつアーク放電エネルギーがヒューズの外側に逃げることを可能にしない。
【0053】
例示的な実施形態では、水平方向においてであれ、鉛直方向においてであれ、各ブリッジにおける銅の分量を変動させることによって、又は開口部サイズを変化させることによって、中心部304に最も近いブリッジが最小分量の銅を有し、それゆえそのブリッジのアーク放電及びその後の溶融が最初に生じ、次の隣接したブリッジがわずかにより多くの銅を有し、端子に最も近いブリッジが一連のブリッジの最大(最大分量の)銅を有するまで、以降も同様になるように、隣接したブリッジを構成することができる。ヒューズエレメントの中心部から端子まで線形方式でアーク放電/溶融事象を引き起こす概念は、ヒューズエレメントがブリッジを収容する実質的に任意のヒューズ設計に適用することができる。特に電気車両(EV)市場のための、自動車ヒューズは、それらの厳格なOSR要件に起因して特に魅力的である。
【0054】
例示的な実施形態では、ヒューズエレメントアセンブリ200は、単一の銅片からスタンピング加工され、これは、通常、厚さが変動しない。しかしながら、ブリッジごとに銅の厚さを変動させることによって各ブリッジにおける銅の量を変動させることが可能である。それゆえ、ヒューズエレメントの中心に最も近いブリッジはより薄くなり得、一方、各後続のブリッジの厚さが増加する。技術的にはより困難であるが、各後続のブリッジのための銅の厚さを変動させることは、幾つかの応用のために実行可能な解決策を提供し得る。それゆえ、任意の寸法における銅の量の拡張又は減少が、中心部に最も近いブリッジがまずアーク放電し、その後溶融し、隣接したブリッジが後続し、以降も同様であり、端子に最も近いブリッジが最後にアーク放電及び溶融するという所望の効果を生み出すことができる。
【0055】
図5のA~Bは、例示的な実施形態に係る、図2Aのヒューズエレメントアセンブリ200の代表X線図である。図5のAは、ヒューズエレメントアセンブリ200のブリッジアセンブリ206cの側面視x線であり、図5のBは、オープン事象に続くヒューズエレメントアセンブリ200のブリッジアセンブリ206dの上面X線図である。X線図は、ヒューズエレメントアセンブリ200のブリッジ206c(図5のA)及びブリッジ206d(図5のB)から取得される。
【0056】
側面視(図5のA)では、ブリッジアセンブリ206cのブリッジ208lは、溶融銅堆積504aを生成し、ブリッジ208kは、溶融銅堆積504bを生成し、ブリッジ208jは、溶融銅堆積504cを生成し、ブリッジ208iは、溶融銅堆積504dを生成する。さらに、例示的な実施形態では、溶融銅堆積504aは、第1の期間tにおいて形成し、溶融銅堆積504bは、第2の期間tにおいて形成し、溶融銅堆積504cは、第3の期間tにおいて形成し、溶融銅堆積504dは、第4の期間tにおいて形成し、ここで、t<t<t<tである。それゆえ、溶融銅堆積504aが最初に生じ、溶融銅堆積504b、その後、溶融銅堆積504c、その後最終的に溶融銅堆積504dが後続する。各期間の持続時間は、期間同士が重複するようなものであってよい。例えば、溶融銅堆積504bは、第2の期間tにおいて形成し、これは、溶融銅堆積504aが第1の期間tにおいてまだ形成している間に生じ得る。
【0057】
上面視(図5のB)では、ブリッジアセンブリ206dのブリッジ208mは、溶融銅堆積504eを生成し、ブリッジ208nは、溶融銅堆積504fを生成し、ブリッジ208oは、溶融銅堆積504gを生成し、ブリッジ208pは、溶融銅堆積504hを生成する(集合的に、「溶融銅堆積504」)。さらに、例示的な実施形態では、溶融銅堆積504eは、第1の期間tにおいて形成し、溶融銅堆積504fは、第2の期間tにおいて形成し、溶融銅堆積504gは、第3の期間tにおいて形成し、溶融銅堆積504hは、第4の期間tにおいて形成し、ここで、t<t<t<tである。それゆえ、溶融銅堆積504eが最初に生じ、溶融銅堆積504f、その後、溶融銅堆積504g、その後最終的に溶融銅堆積504hが後続する。ブリッジアセンブリ206cのブリッジ504がブリッジアセンブリ206dのブリッジと同時に溶融する、すなわち、t=t、t=t、t=t、及びt=tであることが可能である一方、中心部204の両側のアーク放電及び溶融事象が一様ではないことが可能である。
【0058】
溶融銅堆積504の周囲には閃電岩プルーム502があり、これらは、ともに溶融されたヒューズ砂である。中心部204に最も近い溶融銅堆積504が最大である。溶融銅堆積504aは、溶融銅堆積504dよりもはるかに大きい。同様に、溶融銅堆積504eは、溶融銅堆積504hよりもはるかに大きい。
【0059】
これは、溶融銅堆積が全て同じサイズであり、それゆえ、端子間の経路に沿った銅の一様堆積に起因して電流が端子間で移動することが可能になる幾分かのリスクがあるという状態である、ヒューズの中心部及び端子の間の溶融銅の一様分布が存在する、図1Aのヒューズエレメントアセンブリ100等のレガシーヒューズエレメントアセンブリとは著しく対照的である。
【0060】
例示的な実施形態では、ヒューズエレメントアセンブリ200の新規の設計は、内側のブリッジ(例えば、それぞれ、図5のA及び図5のBにおけるブリッジ208l及び208m)がヒューズの中心部における閃電岩502に膨張することが可能になる時間を引き延ばす。閃電岩プルーム502は、中心部204においてより大きく、端子に近くなるにつれてはるかに小さくなる。閃電岩の均等な分布は、閃電岩が直列の抵抗になることを意味するので、一様な閃電岩の増大は、より低いOSRを意味する。中心部に向かってより多くの閃電岩の増大は、より高い絶縁及び溶融銅材料のより多くの分散を意味する。これは、電流経路が端子間で形成する可能性を軽減する。
【0061】
図6は、従来技術に係る、図1Aのヒューズエレメントアセンブリ100の模擬短絡の代表図である。図6は、各ブリッジについて、同じエネルギーが解放されることを示しており、これは、ヒューズエレメントアセンブリ100の全てのブリッジがともにアーク放電し、その後溶融することを意味する。
【0062】
図7は、例示的な実施形態に係る、図2Aのヒューズエレメントアセンブリ200の模擬短絡の代表図である。図7は、中心部により近いブリッジがより高いエネルギーを経験し、その一方で端子に最も近いブリッジがはるかにより低いエネルギーを有することを示している。
【0063】
本明細書において使用される場合、単数形で記載され、「a」又は「an」という語で始まる要素又は段階は、複数の要素又は段階の除外が明示的に記載されていない限り、そのような除外はしないものとして理解されるべきである。さらに、本開示の「1つの実施形態」への言及は、記載された特徴も組み込む追加の実施形態の存在を除外するものとして解釈されることを意図するものではない。
【0064】
本開示は特定の実施形態に言及しているが、添付の特許請求の範囲で定義されるような本開示の領域及び範囲から逸脱することなく、説明された実施形態に対して多くの改変、修正、及び変更を行うことが可能である。したがって、本開示は、説明された実施形態に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲及びその均等物の文言によって定義される全範囲を有することが意図されている。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
【外国語明細書】