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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011229
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】貯湯式給湯装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/172 20220101AFI20240118BHJP
   F24H 1/18 20220101ALI20240118BHJP
   F24H 15/269 20220101ALI20240118BHJP
   F24H 15/355 20220101ALI20240118BHJP
   F24H 15/395 20220101ALI20240118BHJP
【FI】
F24H15/172
F24H1/18 A
F24H15/269
F24H15/355
F24H15/395
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113061
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 徹
(72)【発明者】
【氏名】巖 憲介
(72)【発明者】
【氏名】諸橋 徳子
【テーマコード(参考)】
3L122
【Fターム(参考)】
3L122AA02
3L122AA23
3L122AA73
3L122AB22
3L122BA44
3L122BD12
3L122CA13
3L122EA42
3L122FA02
3L122FA04
3L122FA07
3L122FA12
3L122FA13
3L122FA34
(57)【要約】
【課題】必要な沸き上げ時間を確保できないことによる湯切れや追加の沸き増し運転を抑制することができる貯湯式給湯装置を提供する。
【解決手段】湯水を貯湯する貯湯タンク10と、湯水を加熱する加熱手段と加熱手段が貯湯タンク10内の湯水を加熱する沸き上げ運転の制御を行う制御装置31と、制御装置31と通信可能な端末装置とを備えた貯湯式給湯装置1において、端末装置は、沸き上げ運転の運転開始可能時刻と運転終了可能時刻とを設定情報としてそれぞれ任意に設定が可能であり、制御装置31には、設定情報が貯湯タンク10内の湯水を満タンにする全量沸き上げ可能な時間を確保できるように誘導する設定誘導手段32を設けた。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯湯する貯湯タンクと、
前記湯水を加熱する加熱手段と
前記加熱手段が前記貯湯タンク内の前記湯水を加熱する沸き上げ運転の制御を行う制御装置と、
前記制御装置と通信可能な端末装置とを備えた貯湯式給湯装置において、
前記端末装置は、前記沸き上げ運転の運転開始可能時刻と運転終了可能時刻とを設定情報としてそれぞれ任意に設定が可能であり、
前記制御装置には、前記設定情報が前記貯湯タンク内の前記湯水を満タンにする全量沸き上げ可能な時間を確保できるように誘導する設定誘導手段を設けたことを特徴とする貯湯式給湯装置。
【請求項2】
前記設定誘導手段は、前記端末装置で設定された前記設定情報が前記全量沸き上げ可能な時間を確保できていない場合、前記全量沸き上げ可能な時間を確保できるように再設定させる旨の報知を前記端末装置から行うようにしたことを特徴とする請求項1記載の貯湯式給湯装置。
【請求項3】
前記設定誘導手段は、前記端末装置で設定された前記設定情報が前記全量沸き上げ可能な時間を確保できていない場合、前記全量沸き上げ可能な時間を確保できるように少なくとも前記運転開始可能時刻と前記運転終了可能時刻のどちらか一方の時刻を離れる方向に自動で切り替えて表示するようにしたことを特徴とする請求項1記載の貯湯式給湯装置。
【請求項4】
前記運転開始可能時刻と前記運転終了可能時刻はそれぞれ複数の選択肢から任意に選択可能であり、
前記設定誘導手段は、前記設定情報のうち少なくともどちらか一方の時刻を設定すると、前記全量沸き上げ可能な時間が確保できるように他方の時刻の前記複数の選択肢を狭めるようにしたことを特徴とする請求項1記載の貯湯式給湯装置。
【請求項5】
前記設定情報は、所定の昼間帯の範囲内から任意に設定するものであることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項記載の貯湯式給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯タンク内の湯水を沸き上げる沸き上げ運転を実施する時間帯を任意に設定可能な貯湯式給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽光発電システムと連携する貯湯式給湯装置では、太陽光発電システムが発電した電力を用いて、昼間帯の時間に効率的な湯水の沸き上げを行うことが知られている。
【0003】
また、近年では太陽光発電システムと貯湯式給湯装置とを設置するユーザー向けとして昼間帯と夜間帯の電気料金を同一にする電気料金プランが知られており、太陽光発電システムと連携する貯湯式給湯装置では、日の出ている昼間帯に太陽光発電システムが発電した電力で沸き上げ運転を行い、日の出ていない昼間帯でも夜間帯に沸き上げ運転するのと同等の電気料金で沸き上げ運転を行うので、日の出ている昼間帯に太陽光発電システムで発電した電力を用いて沸き上げる分、電気代を抑えることができる昼間運転貯湯式給湯装置が知られている。
【0004】
そして、特許文献1のように使用者は自分の生活スケジュールに合わせて、貯湯タンク内の湯を使用できるようにするため、沸き上げ運転の時間帯を任意に設定するものが知られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平02-30610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のように、沸き上げ運転の時間帯を任意に設定した場合、一日に使用すると予測される湯量を設定した沸き上げ時間では湯量を確保できない可能性があり、湯量不足になると、湯切れや太陽光発電システムを利用できない時間帯の沸き増し運転を行う可能性があり、使い勝手が悪いという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る貯湯式給湯装置は、湯水を貯湯する貯湯タンクと、前記湯水を加熱する加熱手段と前記加熱手段が前記貯湯タンク内の前記湯水を加熱する沸き上げ運転の制御を行う制御装置と、前記制御装置と通信可能な端末装置とを備えた貯湯式給湯装置において、前記端末装置は、前記沸き上げ運転の運転開始可能時刻と運転終了可能時刻とを設定情報としてそれぞれ任意に設定が可能であり、前記制御装置には、前記設定情報が前記貯湯タンク内の前記湯水を満タンにする全量沸き上げ可能な時間を確保できるように誘導する設定誘導手段を設けた。
【0008】
また、前記設定誘導手段は、前記端末装置で設定された前記設定情報が前記全量沸き上げ可能な時間を確保できていない場合、前記全量沸き上げ可能な時間を確保できるように再設定させる旨の報知を前記端末装置から行うようにした。
【0009】
また、前記設定誘導手段は、前記端末装置で設定された前記設定情報が前記全量沸き上げ可能な時間を確保できていない場合、前記全量沸き上げ可能な時間を確保できるように少なくとも前記運転開始可能時刻と前記運転終了可能時刻のどちらか一方の時刻を離れる方向に自動で切り替えて表示するようにした。
【0010】
また、前記運転開始可能時刻と前記運転終了可能時刻はそれぞれ複数の選択肢から任意に選択可能であり、前記設定誘導手段は、前記設定情報のうち少なくともどちらか一方の時刻を設定すると、前記全量沸き上げ可能な時間が確保できるように他方の時刻の前記複数の選択肢を狭めるようにした。
【0011】
また、前記設定情報は、所定の昼間帯の範囲内から任意に設定するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る貯湯式給湯装置においては、端末装置で設定情報を設定した際、全量沸き上げに必要な時間を確保できていない場合、誘導設定手段は、全量沸き上げ運転に必要な時間を確保することができるように誘導するため、沸き上げ時間が足りなくなる事態を回避して、湯切れや追加の沸き増し運転を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態における貯湯式給湯装置を含む給湯システムのシステム構成図。
図2】本実施形態のリモコン。
図3】設定情報を設定するときの端末装置の画面。
図4】設定情報を設定するときの端末装置の画面。
図5】設定情報を設定するときの端末装置の画面。
図6】設定情報の一方を選択したときの他方の選択可能範囲を示す表。
図7】本実施形態の昼間沸き上げ運転を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る貯湯式給湯装置1の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、本実施形態における貯湯式給湯装置1を含む給湯システム100のシステム構成図である。
【0016】
給湯システム100は、分電盤2と、太陽光発電システム3と、サーバー6と、貯湯式給湯装置1(以下単に「給湯装置1」という。)と、を有する。
【0017】
分電盤2は、太陽光発電システム3および給湯装置1とともに、住宅などの建造物(以下単に「住宅」という。)に設置されている。分電盤2は、商用電源2aおよび太陽光発電システム3に接続されている。分電盤2は、商用電源2aから供給される商用電力および太陽光発電システム3により発電された自家発電電力を、住宅で使用される給湯装置1や、給湯装置1以外のエアコンなどの宅内の電気負荷機器(以後の説明および図1においては単に「エアコン等7」と示す。)に供給する。
【0018】
太陽光発電システム3は、太陽光発電パネル4と、インバータ5と、を有する。太陽光発電パネル4は、住宅の屋根などに設置される。インバータ5は、太陽光発電パネル4の発電電力を交流電源に変換する。
【0019】
サーバー6は、ネットワーク8を介して、給湯装置1およびユーザー端末9と接続されている。サーバー6は、給湯装置1で実行される種々の処理に必要な情報を給湯装置1およびユーザー端末9と送受信する。ユーザー端末9は、給湯装置1のユーザーの所有する、スマートフォンやタブレット、パーソナルコンピュータなどのネットワーク8を介してサーバー6と通信可能な機器である。
【0020】
給湯装置1は、貯湯タンク10と、ヒートポンプユニット19と、循環回路27と、リモコン33と、制御装置31と、を有する。
【0021】
貯湯タンク10は、風呂や台所などの給湯端末に供給される湯水を貯湯する。貯湯タンク10は、給水管11と、出湯管12と、給水バイパス管13と、給湯管15と、貯湯温度センサ18と、を有する。
【0022】
給水管11は、貯湯タンク10の底部で貯湯タンク10に接続され、貯湯タンク10に給水する。出湯管12は、貯湯タンク10の頂部で貯湯タンク10に接続され、貯湯タンク10から出湯する。給水バイパス管13は、給水管11から分岐した配管であり、混合弁14を介して出湯管12と接続される。混合弁14は、出湯管12からの湯と給水バイパス管13からの水を、リモコン33によって設定された給湯設定温度になるように混合する。
【0023】
給湯管15は、混合弁14を介して供給される湯水を給湯端末に給湯する。給湯管15は、給湯流量センサ16と、給湯温度センサ17と、を有する。給湯流量センサ16は、給湯流量を検出し、対応する検出信号を制御装置31に出力する。給湯温度センサ17は、給湯温度を検出し、対応する検出信号を出力する。
【0024】
貯湯温度センサ18は、貯湯タンク10内の湯水の温度を検出し、対応する検出信号を制御装置31に出力する。貯湯温度センサ18は、貯湯タンク10の側面に高さ位置を変えて複数個設けられている。これら複数の貯湯温度センサ18のそれぞれは、例えば、十分に加熱された状態の湯の温度に対応して予め設定された、所定のしきい値以上の湯水温度を検出したとき、対応する検出信号を制御装置31へ出力する。制御装置31は、検出信号を出力する貯湯温度センサ18の個数に基づき、貯湯タンク10内において湯水が十分に加熱された状態となっている湯の量(すなわち貯湯量)を検出する。
【0025】
ヒートポンプユニット19は、自家発電電力および商用電力で作動し、湯水との熱交換を行い湯水を沸上げる。ヒートポンプユニット19は、圧縮機20と、水冷媒熱交換器21と、膨張弁22と、空気熱交換器23と、冷媒管26と、送風機24と、を有する。
【0026】
圧縮機20は、冷媒を高温高圧に圧縮搬送する。水冷媒熱交換器21は、高温の高圧の冷媒と貯湯タンク10からの水との熱交換を行う。膨張弁22は、水冷媒熱交換器21で熱交換された冷媒を減圧膨張させる。空気熱交換器23は、外気と低圧冷媒との熱交換を行い低圧冷媒を蒸発させる。冷媒管26は、圧縮機20、水冷媒熱交換器21、膨張弁22、および空気熱交換器23に冷媒を循環させる。送風機24は、空気熱交換器23へ外気を送風する。
【0027】
また、ヒートポンプユニット19は、吐出温度センサ25と、外気温度センサ30と、を有する。吐出温度センサ25は、圧縮機20から吐出される冷媒の温度を検出し、対応する検出信号を制御装置31へ出力する。外気温度センサ30は、外気温度を検出し、対応する検出信号を制御装置31へ出力する。
【0028】
循環回路27は、貯湯タンク10と水冷媒熱交換器21との間で貯湯タンク10内の湯水を循環させる。循環回路27は、加熱往き管27aと、加熱戻り管27bと、加熱循環ポンプ28と、沸上げ温度センサ29と、を有する。
【0029】
加熱往き管27aは、貯湯タンク10の下部と水冷媒熱交換器21の水側入口とを接続する。加熱戻り管27bは、水冷媒熱交換器21の水側出口と貯湯タンク10の上部とを接続する。加熱循環ポンプ28は、加熱往き管27a上に配置され、湯水を循環させる。沸上げ温度センサ29は、加熱戻り管27b上に配置され、検出信号を制御装置31へ出力する。
【0030】
リモコン33は、給湯端末に供給される湯水の設定温度などの給湯装置1に関するユーザーからの指示を受け付ける。
【0031】
また、従来の貯湯式給湯装置1のように深夜帯に沸き上げ運転を行い、ユーザーが湯を必要とする前に沸き上げ運転を終わらせておく貯湯式給湯装置1と違い、本実施形態は、太陽光発電システム3を有し、時間帯によらず同一の電気料金プランに対応した貯湯式給湯装置1であるため、ユーザーの生活スケジュールや太陽光発電パネル4の設置角度や方角に応じて、任意に沸き上げ運転の時間帯を設定する必要がある。そのため、リモコン33またはユーザー端末9である端末装置には、運転開始可能時刻と運転終了可能時刻を含む設定情報を任意に設定することが可能である。
【0032】
制御装置31は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有し、制御装置31の制御に必要な各種プログラムや、データを記憶する。制御装置31は、各種プログラムに従って給湯装置1全体の作動を制御する。制御装置31は、リモコン33と接続され、リモコン33と双方向に通信する。
【0033】
制御装置31は、リモコン33またはユーザー端末9で設定した設定情報に基づいて昼間帯の沸き上げ運転を行う。ここでの昼間帯とは、主に太陽光発電システム3で自家発電電力を用いて沸き上げ運転を行える時間帯のことで、例えば7時から17時の間のことを示す。
【0034】
また、制御装置31には、運転開始可能時刻と運転終了可能時刻を含む設定情報が貯湯タンク10内の湯水を満タンにする全量沸き上げ可能な時間を確保できるように誘導する設定誘導手段32が設けられている。全量沸き上げ可能な時間とは、昼間帯の湯の使用によって沸き上げ開始前に貯湯タンク10内の湯水が少なくなっている場合、貯湯タンク10の全量を沸き上げるときに必要な時間であり、ここでは少なくとも5時間以上必要なため、設定情報が5時間以上になるように設定誘導手段32がユーザーの操作を誘導している。
【0035】
リモコン33は、ユーザーへの情報伝達のために画面に文字やマーク等を表示する報知手段である表示部34、ユーザーへの情報伝達のために予め記憶された音声や音を発生させる報知手段である報知部35、上下左右に対応したスイッチで、項目の移動やメニューの変更、給湯設定温度の上げ下げや、時間の上げ下げが可能な上下左右スイッチ36を有している。
【0036】
次に設定誘導手段32の動作について図2から図4に基づいて説明する。
【0037】
図3の(1)はリモコン33の表示部34またはユーザー端末9の画面であり、運転時間帯設定のメニューで、開始(運転開始可能時刻)を10時、終了(運転終了可能時刻)を14時に設定したときを表している。
【0038】
そして、開始(運転開始可能時刻)を10時、終了(運転終了可能時刻)を14時に設定後、ユーザーが「決定」の操作をしたとき、図3の(2)のように、全量沸き上げに必要な時間である5時間以上が確保できていない場合、設定誘導手段32は、リモコン33またはユーザー端末9の画面上から「5時間以上設定してください」という旨の報知を行い、全量沸き上げに必要な時間が確保されていないので、設定情報を再設定するように誘導する。
【0039】
設定誘導手段32は、表示による報知だけでなく、リモコン33の報知部35やユーザー端末9のスピーカーからエラー音や音声による方法で設定情報を再設定するように誘導することも可能である。
【0040】
このように、リモコン33またはユーザー端末9で設定情報を設定した際、全量沸き上げに必要な時間である5時間以上が確保できていない場合はエラー音や音声、または画面の表示によって、ユーザーに再設定させるように誘導するため、全量沸き上げ運転に必要な時間を確保することができ、沸き上げ時間が足りなく、湯切れや追加の沸き増し運転を抑制することができる。
【0041】
図4の(1)はリモコン33の表示部34またはユーザー端末9の画面であり、運転時間帯設定のメニューで、開始を10時と先に設定した後、終了を14時に設定したときを表している。
【0042】
一方の設定情報が設定された状態で、他方の設定情報を設定したとき、全量沸き上げに必要な時間である5時間以上が確保できていない場合、設定誘導手段32は、図4の(2)のように、先に設定された運転開始可能時刻の10時を基準に、運転開始可能時刻よりも後に設定された運転終了可能時刻の14時を15時に自動で切り替える。このとき、設定誘導手段32が自動で切り替えた旨の報知を行ってもよく、自動の切り替えは他方の設定情報を設定したときとしたが、ユーザーが「決定」の操作をしたときでも良い。
【0043】
また、図示されていないが、運転終了可能時刻の14時を先に設定し、運転開始可能時刻に10時を後に設定したとき、設定誘導手段32は、先に設定した運転終了可能時刻の14時を基準として運転開始可能時刻の10時を9時に自動で切り替えても良い。
【0044】
このように、運転開始可能時刻と運転終了可能時刻とのどちらか一方の時刻を基準として、他方の時刻の表示を自動で切り替えることで、確実に全量沸き上げ運転に必要な時間を確保することができ、沸き上げ時間が足りなく、湯切れや追加の沸き増し運転を抑制することができる。
【0045】
図5の(1)はリモコン33の表示部34またはユーザー端末9の画面であり、運転開始可能時刻は「7時、8時、9時、10時、11時」からユーザーが任意に選択でき、運転終了可能時刻は「14時、15時、16時」からユーザーが任意に選択することができるようにしたものである。なお、それぞれの設定情報の選択肢が分かりやすいように吹き出しを用いて図5に表しているが、選択方法としては、リモコン33の表示部34またはユーザー端末9の画面内をスクロールして選択する方法でも、上下左右スイッチ36で1時間ずつ操作させるものでも良い。
【0046】
図5の(2)では、ユーザーが運転開始可能時刻を「10時」を基準として運転終了可能時刻よりも先に選択した場合、設定誘導手段32は、運転終了可能時刻の選択可能な選択肢を「15時、16時」と狭めるようにしている。
【0047】
この基準について詳しく説明すると、図6の表のように、基準とするのは、運転開始可能時刻でも運転終了可能時刻のどちらでも良く、どちらか一方の時刻を先に設定すると、表に基づいて全量沸き上げに必要な時間である5時間以上が確保できない選択肢を無くし、後から設定する方の選択肢を狭めている。
【0048】
このように、運転開始可能時刻の選択肢から基準として1つを選択すると、全量沸き上げに必要な時間である5時間以上が確保できない運転終了可能時刻の選択肢を自動で狭めることで、確実に全量沸き上げ運転に必要な時間を確保することができ、沸き上げ時間が足りなく、湯切れや追加の沸き増し運転を抑制することができる。
【0049】
次に本実施形態の昼間沸き上げ運転について図7のフローチャートに基づいて詳しく説明する。
昼間帯になると(ここでは7時)、制御装置31は、1日に使用する使用湯量履歴から必要な沸き上げ量を算出し、昼間沸き上げ運転を開始してから終了するまでに必要な沸き上げ運転時間を算出する(S1)。
【0050】
制御装置31は、任意に設定された沸き上げ運転終了可能時刻から算出した必要な沸き上げ運転時間遡り、沸き上げ運転の開始時刻を決定する(S2)。
【0051】
S2で決定した沸き上げ運転開始時刻に到達した場合(S3がYes)、制御装置31は、予測される1日の使用湯量分の昼間沸き上げ運転を実施する(S4)。ここで、昼間沸き上げ運転中に日が出ていて、太陽光発電システム3による発電がある場合、太陽光発電システム3により発電された自家発電電力を用いて、昼間沸き上げ運転を行う。また、日が出ておらず、太陽光発電システム3による発電がない場合、商用電源2aからの電力で昼間沸き上げ運転を行う。
【0052】
リモコン33またはユーザー端末9で設定された昼間沸き上げ運転終了可能時刻に到達した場合(S5がYes)、制御装置31は、昼間沸き上げ運転を終了する(S6)。
【0053】
このように、昼間沸き上げ運転の運転開始可能時刻と運転終了可能時刻とを任意に設定可能としたことで、ユーザーの生活スケジュールや、太陽光発電パネル4の設置角度や、方角に応じて沸き上げ運転の時間をユーザーが設定でき、使い勝手の良い太陽光発電システム3を有した貯湯式給湯装置1を提供することができる。
【0054】
本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる
【0055】
例えば、昼間帯と夜間帯の電気料金が同一である電気料金設定であると望ましいが、多少夜間帯のほうが電気代が安くても良く、日が出ている場合は自家発電電力で昼間沸き上げ運転を行えるので、長期的に行うと太陽光発電システムを用いている分効率が良い。
【0056】
また、全量沸き上げ運転に必要な時間を5時間としているが、貯湯タンク10の容量やヒートポンプユニット19の沸き上げ能力によって必要な時間を適宜変更しても良い。
【0057】
また、本実施形態では端末装置はリモコン33とユーザー端末9であると説明しているが、ユーザー端末9で設定情報を設定できないのであれば、サーバー6やネットワーク8に接続する必要がなく、太陽光発電システム3で自家発電電力を用いて昼間沸き上げ運転を行うことができれば、天気が良く日が出ている場合に自家発電電力を用いて昼間沸き上げ運転を行う分電気代コストを抑えることができる。
【0058】
また、本実施形態では、昼間沸き上げ運転だけで1日に必要な使用湯量分を沸き上げているが、夜間帯に少量分の沸き上げ運転を行っても良く、昼間沸き上げ運転実施前の湯量を確保しておいても良い。
【0059】
また、図7のフローチャートのS2で、任意に設定された沸き上げ運転終了可能時刻から算出した必要な沸き上げ運転時間遡り、沸き上げ運転の開始時刻を決定しているが、沸き上げ運転開始可能時刻を沸き上げ運転の開始時刻として決定しても良い。
【符号の説明】
【0060】
1 貯湯式給湯装置(給湯装置)
3 太陽光発電システム
9 ユーザー端末
10 貯湯タンク
19 ヒートポンプユニット
31 制御部
32 設定誘導手段
33 リモコン
34 表示部(報知手段)
35 報知部(報知手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7