(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112290
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】ガス噴射モジュール及びこれを備えるレーザー装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/268 20060101AFI20240813BHJP
H01L 21/20 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
H01L21/268 G
H01L21/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024009719
(22)【出願日】2024-01-25
(31)【優先権主張番号】10-2023-0016409
(32)【優先日】2023-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】510223380
【氏名又は名称】エーピー システムズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム ソンジン
(72)【発明者】
【氏名】チャ ウンヒ
(72)【発明者】
【氏名】キム デユ
(72)【発明者】
【氏名】イ ジュンヨン
(72)【発明者】
【氏名】コ ジンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ユン ジュンソン
【テーマコード(参考)】
5F152
【Fターム(参考)】
5F152AA20
5F152BB02
5F152BB06
5F152CE05
5F152EE10
5F152EE12
5F152EE16
5F152FF01
(57)【要約】
【課題】基板の上に不活性気体を噴射して基板上の酸素の濃度を制御するガス噴射モジュール及びこれを備えるレーザー装置 を提供すること。
【解決手段】相対向する第1の面と第2の面を貫通する開口部を有する噴射ブロックと、前記噴射ブロックの内側面に形成されて、前記開口部に第1のガスを供給する第1の噴射部と、前記噴射ブロックの前記第1の面と第2の面のうちの基板に面する面に形成されて、前記基板に向かって第2のガスを噴射する第2の噴射部と、を備えるガス噴射モジュール。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対向する第1の面と第2の面を貫通する開口部を有する噴射ブロックと、
前記噴射ブロックの内側面に形成されて、前記開口部に第1のガスを供給する第1の噴射部と、
前記噴射ブロックの前記第1の面と第2の面のうちの基板に面する面に形成されて、前記基板に向かって第2のガスを噴射する第2の噴射部と、
を備える、ガス噴射モジュール。
【請求項2】
前記第2の噴射部は、前記基板に面する面において複数の副領域に分割され、
前記複数の副領域のそれぞれは、前記第2のガスの噴射量がそれぞれ別々に制御される、請求項1に記載のガス噴射モジュール。
【請求項3】
前記複数の副領域に対応して配設され、前記基板に面する面側の位置ごとの酸素の濃度を検出する酸素検出部をさらに備える、請求項2に記載のガス噴射モジュール。
【請求項4】
前記噴射ブロックは、
前記第2の噴射部の噴射孔が形成され、前記基板に面する面側に配設されるノズルプレートと、
前記ノズルプレートの上に配設され、前記噴射孔と連通する第1の連通孔を備える第1の接続プレートと、
前記ノズルプレートと前記第1の接続プレートとの間に配設され、前記噴射孔と前記第1の連通孔とを連通させる第1の貫通部を備える第1の整流板と、
前記第1の接続プレートの上に配設されるカバープレートと、
を備える、請求項1に記載のガス噴射モジュール。
【請求項5】
前記第1の貫通部は、
前記第1の連通孔に連絡される第1の流入口と、
前記第1の流入口と離隔し、前記噴射孔に連絡される第1の流出口と、
前記第1の流入口と前記第1の流出口とを連絡させる第1のチャンネルと、
を備える、請求項4に記載のガス噴射モジュール。
【請求項6】
前記第1のチャンネルは、一つ以上のうねりを有する、請求項5に記載のガス噴射モジュール。
【請求項7】
前記カバープレートは、隔壁により画定される複数の分割空間を有し、
前記噴射ブロックは、
前記隔壁に対応して形成され、前記隔壁と前記第1の接続プレートとの間に配設されるシールプレートをさらに備える、請求項4に記載のガス噴射モジュール。
【請求項8】
前記噴射ブロックは、
前記シールプレートと前記第1の接続プレートとの間に配設されて前記シールプレートと接触し、前記第1の連通孔と連通する第2の連通孔を備える第2の接続プレートと、
前記第1の接続プレートと前記第2の接続プレートとの間に配設され、前記第1の連通孔と前記第2の連通孔とを連通させる第2の貫通部を備える第2の整流板と、
をさらに備える、請求項7に記載のガス噴射モジュール。
【請求項9】
前記第2の貫通部は、
前記第2の連通孔に連絡される第2の流入口と、
前記第2の流入口と離隔し、前記第1の連通孔に連絡される第2の流出口と、
前記第2の流入口と前記第2の流出口とを連絡させる第2のチャンネルと、
を備える、請求項8に記載のガス噴射モジュール。
【請求項10】
前記カバープレートは、
前記複数の分割空間のうちの少なくとも一つの分割空間に前記第1のガスを供給するための第1の供給ポートと、
前記複数の分割空間のうちの残りの分割空間に前記第2のガスを供給するための第2の供給ポートと、
を備える、請求項7に記載のガス噴射モジュール。
【請求項11】
前記ノズルプレートは、前記複数の分割空間に対応して複数枚のサブプレートに分割され、
前記少なくとも一つの分割空間に対応するサブプレートは、前記開口部に接して位置し、前記第1の噴射部を形成する、請求項10に記載のガス噴射モジュール。
【請求項12】
前記第1の噴射部は、
前記少なくとも一つの分割空間に対応するサブプレートの内部に配設されて、前記第1のガスの拡散空間を提供するガス拡散部と、
前記少なくとも一つの分割空間に対応するサブプレートの前記開口部に面する側壁に形成され、前記ガス拡散部と連通する噴射孔又は噴射スリットと、
を備える、請求項11に記載のガス噴射モジュール。
【請求項13】
前記第1の噴射部は、前記ガス拡散部と前記噴射孔又は噴射スリットとを連通させる屈曲流路をさらに備える、請求項12に記載のガス噴射モジュール。
【請求項14】
前記ノズルプレートは、前記基板に面する面が前記開口部から遠ざかるにつれて前記基板から遠ざかるように傾斜しているか、又は曲がりくねっている、請求項4に記載のガス噴射モジュール。
【請求項15】
前記第1のガスと前記第2のガスは、種類、流量、濃度、温度及びガス分圧のうちの少なくともいずれか一つが互いに異なる、請求項1に記載のガス噴射モジュール。
【請求項16】
請求項1乃至請求項15のいずれか一項に記載のガス噴射モジュールと、
前記ガス噴射モジュールが配設される工程チャンバーと、
前記工程チャンバーの内部空間に配設されて、前記基板を支持する工程テーブルと、
前記開口部を介して前記基板にレーザーを照射するレーザー部と、
前記工程チャンバー内から前記第1のガスと前記第2のガスを排気する排気部と、
を備える、レーザー装置。
【請求項17】
前記第1のガスと前記第2のガスは、不活性気体であり、
前記ガス噴射モジュールは、前記第1のガスと前記第2のガスを前記基板の上に供給して前記基板上の酸素の濃度を制御する、請求項16に記載のレーザー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス噴射モジュール及びこれを備えるレーザー装置に関し、さらに詳しくは、基板の上に不活性気体を噴射して基板上の酸素の濃度を制御するガス噴射モジュール及びこれを備えるレーザー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光ディスプレイなどのディスプレイ装置の場合、各画素の発光有無や発光の度合いを当該画素に電気的に接続された薄膜トランジスターを用いて制御することになり、このような薄膜トランジスターは多種多様な構成をとり得るが、高い移動度などの長所をもった多結晶シリコン(Poly-Silicon)膜を活性層として用いることが好ましい。
【0003】
このとき、非晶質シリコン(Amorphous Silicon; α-Si膜)を多結晶シリコン膜に結晶化させる工程が必要であり、このために、基板のアニーリング(焼き鈍し)工程が行われる。
【0004】
アニーリング工程とは、金属やガラスを熱処理することにより、物質に蓄積されている歪み、水気、応力などを取り除き、内部の組織を一様にして電気的又は機械的な性質を改善するための工程のことを意味し、一般に、有機発光ディスプレイ装置などのフラットパネルディスプレイのレーザーアニーリング工程とは、シリコンウェーハの上にレーザービームを照射して非晶質シリコン膜を結晶化させることにより、多結晶シリコン膜を形成する工程のことを意味する。
【0005】
基板のアニーリング装備の工程チャンバーの内部には酸素(O2)及び/又は不純物が存在する可能性があり、酸素は、基板の上に形成された薄膜を酸化させる虞があり、不純物は、薄膜の品質を低下させたり性質を変化させたりして基板の不良の発生の原因となる。
【0006】
このような問題を解決するために、レーザービームを照射して熱処理を行う過程において基板が酸素に曝露されないようにレーザービームが照射される部位に不活性気体を噴射することにより、その部位の酸素を外部に追い払って取り除き、基板の上にシリコン酸化物が形成されることを防止可能な技術が求められている。
【0007】
しかしながら、従来の脱酸素装置は、レーザービームの長さが長くなるにつれて、その長さが長くなることを余儀なくされ、長さが長くなることに起因して、脱酸素装置の内部及びアニーリング工程が行われる部分に不活性気体の流量及び流速の均一性を確保し難くなるとともに、加工を行い難くなり、それに伴う製作コストが高騰してしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国登録特許第10-0522643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、第1の噴射部と第2の噴射部を介して噴射ブロックの開口部と基板に向かって第1のガスと第2のガスをそれぞれ噴射するガス噴射モジュール及びこれを備えるレーザー装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態に係るガス噴射モジュールは、相対向する第1の面と第2の面を貫通する開口部を有する噴射ブロックと、前記噴射ブロックの内側面に形成されて、前記開口部に第1のガスを供給する第1の噴射部と、前記噴射ブロックの前記第1の面と第2の面のうちの基板に面する面に形成されて、前記基板に向かって第2のガスを噴射する第2の噴射部と、を備えていてもよい。
【0011】
前記第2の噴射部は、前記基板に面する面において複数の副領域に分割され、前記複数の副領域のそれぞれは、前記第2のガスの噴射量がそれぞれ別々に制御されてもよい。
【0012】
前記ガス噴射モジュールは、前記複数の副領域に対応して配設され、前記基板に面する面側の位置ごとの酸素の濃度を検出する酸素検出部をさらに備えていてもよい。
【0013】
前記噴射ブロックは、前記第2の噴射部の噴射孔が形成され、前記基板に面する面側に配設されるノズルプレートと、前記ノズルプレートの上に配設され、前記噴射孔と連通する第1の連通孔を備える第1の接続プレートと、前記ノズルプレートと前記第1の接続プレートとの間に配設され、前記噴射孔と前記第1の連通孔とを連通させる第1の貫通部を備える第1の整流板と、前記第1の接続プレートの上に配設されるカバープレートと、を備えていてもよい。
【0014】
前記第1の貫通部は、前記第1の連通孔に連絡される第1の流入口と、前記第1の流入口と離隔し、前記噴射孔に連絡される第1の流出口と、前記第1の流入口と前記第1の流出口とを連絡させる第1のチャンネルと、を備えていてもよい。
【0015】
前記第1のチャンネルは、一つ以上のうねりを有していてもよい。
【0016】
前記カバープレートは、隔壁により画定される複数の分割空間を有し、前記噴射ブロックは、前記隔壁に対応して形成され、前記隔壁と前記第1の接続プレートとの間に配設されるシールプレートをさらに備えていてもよい。
【0017】
前記噴射ブロックは、前記シールプレートと前記第1の接続プレートとの間に配設されて前記シールプレートと接触し、前記第1の連通孔と連通する第2の連通孔を備える第2の接続プレートと、前記第1の接続プレートと前記第2の接続プレートとの間に配設され、前記第1の連通孔と前記第2の連通孔とを連通させる第2の貫通部を備える第2の整流板と、をさらに備えていてもよい。
【0018】
前記第2の貫通部は、前記第2の連通孔に連絡される第2の流入口と、前記第2の流入口と離隔し、前記第1の連通孔に連絡される第2の流出口と、前記第2の流入口と前記第2の流出口とを連絡させる第2のチャンネルと、を備えていてもよい。
【0019】
前記カバープレートは、前記複数の分割空間のうちの少なくとも一つの分割空間に前記第1のガスを供給するための第1の供給ポートと、前記複数の分割空間のうちの残りの分割空間に前記第2のガスを供給するための第2の供給ポートと、を備えていてもよい。
【0020】
前記ノズルプレートは、前記複数の分割空間に対応して複数枚のサブプレートに分割され、前記少なくとも一つの分割空間に対応するサブプレートは、前記開口部に接して位置し、前記第1の噴射部を形成してもよい。
【0021】
前記第1の噴射部は、前記少なくとも一つの分割空間に対応するサブプレートの内部に配設されて、前記第1のガスの拡散空間を提供するガス拡散部と、前記少なくとも一つの分割空間に対応するサブプレートの前記開口部に面する側壁に形成され、前記ガス拡散部と連通する噴射孔又は噴射スリットと、を備えていてもよい。
【0022】
前記第1の噴射部は、前記ガス拡散部と前記噴射孔又は噴射スリットとを連通させる屈曲流路をさらに備えていてもよい。
【0023】
前記ノズルプレートは、前記基板に面する面が前記開口部から遠ざかるにつれて前記基板から遠ざかるように傾斜していてもよいし、あるいは、曲がりくねっていてもよい。
【0024】
前記第1のガスと前記第2のガスは、種類、流量、濃度、温度及びガス分圧のうちの少なくともいずれか一つが互いに異なっていてもよい。
【0025】
本発明の他の実施形態に係るレーザー装置は、本発明の一実施形態に係るガス噴射モジュールと、前記ガス噴射モジュールが配設される工程チャンバーと、前記工程チャンバーの内部空間に配設されて、前記基板を支持する工程テーブルと、前記開口部を介して前記基板にレーザーを照射するレーザー部と、前記工程チャンバー内から前記第1のガスと前記第2のガスを排気する排気部と、を備えていてもよい。
【0026】
前記第1のガスと前記第2のガスは、不活性気体であり、前記ガス噴射モジュールは、前記第1のガスと前記第2のガスを前記基板の上に供給して前記基板上の酸素の濃度を制御してもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明の実施形態に係るガス噴射モジュールは、噴射ブロックの開口部に第1のガスを供給する第1の噴射部と、基板に向かって第2のガスを噴射する第2の噴射部とを備えることにより、基板の上にガス(例えば、不活性ガス)を均一に供給することができ、ガスを開口部及び/又は噴射ブロックと基板との間に均一に分布させることができる。また、開口部にガスを供給して開口部及び開口部と対向する基板の表面の上にガス雰囲気(例えば、不活性ガス雰囲気)を形成することができるだけではなく、開口部の周りにおいて基板の表面と交差する向き(例えば、垂直な方向)にもガスを噴射することができる。
【0028】
このことから、第1のガス及び第2のガスとして不活性気体を用いる場合には酸素(O2)及びパーティクル(Particle)などの不純物が基板(特に、開口部と対向する基板の表面)の上に流れ込んだり基板の上に残留したりすることを抑止及び/又は防止することができる。
【0029】
そして、本発明のレーザー装置は、ガス噴射モジュールを脱酸素モジュール(Oxygen Partial Degassing Module;OPDM)として用いることができ、これにより、第1のガスとして不活性気体を開口部に供給して開口部及び開口部と対向する基板の表面の上に不活性気体雰囲気(又は、不活性ガス雰囲気)を形成することにより、レーザーが照射されて処理(又は、工程)が行われる部分(すなわち、開口部と対向する基板の表面)が酸素(O2)及び/又はパーティクルに曝露されることを防ぐことができる。また、第2のガスとして不活性気体を基板の上に噴射して基板の上に酸素(O2)及び/又はパーティクルが浸透する(又は、流れ込む)ことを防止(又は、遮断)することができる。
【0030】
ここで、第2の噴射部を複数の副領域に分割して各副領域における噴射量をそれぞれ別々に制御することにより、基板上の酸素の濃度を一定に保持することができる。このとき、ノズルプレートを複数枚のサブプレートに分割して構成することにより、益々肥大化しつつある基板のサイズに応じて噴射ブロックのサイズを広げ易い。
【0031】
一方、複数の副領域に対応して酸素検出部を配設することにより、基板上の各領域ごとの酸素の濃度をモニターリング(monitoring)することができ、これにより、有効に各副領域ごとの噴射量をそれぞれ制御してより一層有効に基板上の酸素の濃度を全体として一定に保持することができる。
【0032】
このため、基板及び/又は基板上の薄膜が酸素(O2)により酸化されないことが可能になり、パーティクルによる工程不良が生ぜず、基板の歩留まりを高め、生産性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の一実施形態に係るガス噴射モジュールを示す概略断面図。
【
図2】本発明の一実施形態に係る噴射ブロックの分解斜視図。
【
図3】本発明の一実施形態に係る噴射ブロックの底面図。
【
図4】本発明の他の実施形態に係るレーザー装置を示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下では、添付図面に基づいて、本発明の実施形態についてさらに詳しく説明する。しかしながら、本発明は以下に開示される実施形態に何ら限定されるものではなく、互いに異なる様々な形態に具体化される筈であり、以下の実施形態は、単に本発明の開示を完全たるものにし、通常の知識を有する者に発明の範ちゅうを完全に知らせるために提供されるものである。本発明を説明するに当たって、同じ構成要素に対しては同じ参照符号を付し、図面は、本発明の実施形態を正確に説明するために大きさが部分的に誇張されてもよく、図中、同じ符号は、同じ構成要素を指し示す。
【0035】
図1は、本発明の一実施形態に係るガス噴射モジュールを示す概略断面図である。
【0036】
図1を参照すると、本発明の一実施形態に係るガス噴射モジュール100は、相対向する第1の面と第2の面を貫通する開口部110aを有する噴射ブロック110と、前記噴射ブロック110の内側面に形成されて、前記開口部110aに第1のガスを供給する第1の噴射部120と、前記噴射ブロック110の前記第1の面と第2の面のうちの基板10に面する面に形成されて、前記基板10に向かって第2のガスを噴射する第2の噴射部130と、を備えていてもよい。
【0037】
噴射ブロック110は、相対向する第1の面と第2の面(例えば、上部面と下部面)を貫通する開口部110aを有していてもよく、第1の噴射部120と第2の噴射部130が形成されてもよい。開口部110aは、噴射ブロック110の中央(部)に配設されてもよく、レーザー20が通過可能な径路を提供することができ、(第1の)ガス(例えば、不活性ガス)が混入されて圧縮されてもよい。ここで、開口部110aの基板10に面していない側(又は、前記基板に面する側の反対側)にレーザー20が透過されるウィンドウ150が配設されてもよく、ウィンドウ150は、石英(Quartz)などから作製されてもよく、開口部110aの基板10に面していない側(例えば、上部側)を閉塞して(又は、密閉して)開口部110aの基板10に面していない側(例えば、上側)に前記(第1の)ガスが抜け出る(又は、排出される)ことを防止(又は、遮断)することができる。これにより、前記(第1の)ガスが開口部110aに混入された後に、開口部110aの内部を満たして圧縮されることが可能になり、その後に、開口部110aの基板10に面する側(例えば、下側)に排出されることが可能になる。
【0038】
このとき、開口部110aの前記基板10に面する側(例えば、下部側)は、基板10に近づくにつれて内径が狭くなる形状に形成されてもよく、基板10に近づくにつれてその内径が狭くなって噴射ブロック110の内側面が所定の曲げ率を有したり、又は湾曲した形状を有したりすることができる。すなわち、開口部110aは、「U」字状の空洞からなり得、ウィンドウ150の熱平衡を保持することができる。
【0039】
例えば、開口部110aは、基板10の一方向(例えば、前記基板の搬送方向と交差する向き)に延びてもよく、開口部110aの前記基板10に面する側は、基板10の一方向に延びるライン形状のスリット(slit)として形成(又は、構成)されてもよく、これにより、ライン形状のレーザービームが通過して基板10に届くことができる。ここで、開口部110aの前記基板10に面する側は、開口部110aに噴射(又は、供給)される前記(第1の)ガスが乱流になることなく円満に開口部110a内に満たされるように陥凹した曲面状を呈していてもよく、開口部110a内に満たされた前記(第1の)ガスが前記スリットを介して基板10側に上手く噴出されるように前記スリットの付近は凸状を呈していてもよい。このように、前記スリットを介して基板10の上に噴出される前記(第1の)ガスは、レーザー20が照射されている部位の酸素(O2)及びパーティクル(Particle)などを基板10の外郭に追い払うことができる。一方、開口部110aの形状はこれに何ら限定されるものではなく、レーザービームの形状、基板10の形状及びサイズなどに応じて種々に構成可能である。
【0040】
第1の噴射部120は、開口部110aに面する(又は、開口部110aを形成する)噴射ブロック110の内側面(又は、前記開口部の周面)に形成されてもよく、開口部110aに第1のガスを供給(又は、噴射)することができる。ここで、第1の噴射部120は、開口部110aに第1のガスを供給して開口部110a内を前記第1のガスにより満たすことにより、開口部110a内に第1のガス雰囲気(例えば、不活性ガス雰囲気)を形成することができ、開口部110a内に満たされた前記第1のガスが開口部110aの前記基板10に面する側に噴出されて開口部110aと対向する基板10の表面上にも前記第1のガス雰囲気を形成することができる。
【0041】
第2の噴射部130は、噴射ブロック110の前記第1の面と第2の面のうちの基板10に面する面(例えば、下部面)に形成されてもよく、基板10に向かって第2のガスを噴射することができる。ここで、第2の噴射部130は、基板10の表面と交差する向き(例えば、垂直な方向)に第2のガスを噴射することができ、基板10上の酸素(O2)、パーティクルなどの不純物及び/又は基板10の上に残留する前記第1のガスをパージ(purge)することができ、基板10の上から酸素(O2)及びパーティクルを取り除くことができる。また、第2の噴射部130は、基板10の表面に向かって前記第2のガスを噴射してエアカーテン(air curtain)の役割を果たすこともでき、基板10の外郭から噴射ブロック110の基板10に面する面と基板10との間に酸素(O2)及び/又はパーティクルが侵さない(又は、流れ込まない)ようにすることができる。
【0042】
したがって、本発明に係るガス噴射モジュール100は、噴射ブロック110の開口部110aに前記第1のガスを供給する第1の噴射部120と、基板10に向かって前記第2のガスを噴射する第2の噴射部130とを備えることにより、基板10の上に前記第1のガスと第2のガス(例えば、不活性ガス)を均一に供給することができ、開口部110aに供給される前記第1のガスを開口部110a及び開口部110aと基板10との間に均一に分布させることができ、基板10に向かって噴射される前記第2のガスを噴射ブロック110と基板10との間に均一に分布させることができる。このことから、開口部110a及び開口部110aと対向する基板10の表面の上に前記第1のガス雰囲気を形成することができ、前記第2のガスが開口部110aの周りにおいて前記基板10の表面と交差する向きに噴射されて酸素(O2)及びパーティクルなどが基板10の上(特に、前記開口部と対向する基板の表面上)に流れ込んだり基板10の上に残留したりすることを抑止及び/又は防止することができる。
【0043】
第2の噴射部130は、噴射ブロック110の前記基板10に面する面において複数の副領域に分割されてもよく、前記複数の副領域のそれぞれは、前記第2のガスの噴射量がそれぞれ別々に制御されてもよい。第2の噴射部130は、複数の副領域に分割されてもよく、前記複数の副領域は、基板10と平行な方向に並べられてもよく、基板10上の領域ごとに(それぞれ)配設されてもよい。
【0044】
第1の噴射部120は、開口部110aの形状に応じて、開口部110aを中心として対称的に形成できなくなる場合もあり、このような場合には、基板10の形状及びサイズなどに応じて、基板10上において前記第1のガスの流れが一定(又は、均一)ではない可能性があり、基板10及び/又は工程チャンバー210のサイズが大きくなるにつれて、前記第1のガスの流れの予測を行い難くなる虞がある。
【0045】
このように、前記第1のガスの流れが基板10上において全般的に(又は、全体的に)均一(又は、一定)ではない場合に、第2の噴射部130が単一の空間(又は、領域)から振り分けて前記第2のガスを噴射すると、基板10上において領域ごとに(前記第1のガスと第2のガスの)ガス分圧が異なってくる虞があり、前記ガス分圧が低い領域(又は、部分)にガスの流れ(又は、気流)が形成されて酸素(O2)及びパーティクルなどが流れ込んだり基板10上から抜け出たり(又は、取り除かれたり)することができなくなる虞がある。
【0046】
このため、前記複数の副領域のそれぞれの前記第2のガスの噴射量をそれぞれ別々に制御することにより、基板10上において全体的に(又は、全般的に)前記ガス分圧を均一(又は、一定)にすることができ、酸素(O2)及びパーティクルなどが噴射ブロック110と基板10との間に流れ込むことなく、噴射ブロック110と基板10との間から上手く抜け出るようにすることができる。また、本発明のガス噴射モジュール100が前記第1のガス及び第2のガスとして不活性気体を基板10の上(又は、前記基板の上部側)に供給して酸素(O2)を基板10の外郭に追い払って取り除く脱酸素モジュール(Oxygen Partial Degassing Module;OPDM)として用いられる場合には、前記複数の副領域のそれぞれの前記第2のガスの噴射量をそれぞれ別々に制御して全体的に基板10上の酸素の濃度を一定(又は、均一)に保持することができる。このとき、本発明のガス噴射モジュール100は、第2の噴射部120を制御する制御部(図示せず)をさらに備えていてもよく、制御部(図示せず)が前記複数の副領域のそれぞれの前記第2のガスの噴射量をそれぞれ別々に制御することができる。
【0047】
したがって、本発明に係るガス噴射モジュール100は、第2の噴射部120を前記複数の副領域に分割して各前記副領域における噴射量をそれぞれ別々に制御することにより、基板10上の酸素の濃度を全体的に一定に保持することができる。
【0048】
図2は、本発明の一実施形態に係る噴射ブロックの分解斜視図である。
【0049】
図2を参照すると、噴射ブロック110は、第2の噴射部130の噴射孔131が形成され、前記基板10に面する面側に配設されるノズルプレート111と、前記ノズルプレート111の上に配設され、前記噴射孔131と連通する第1の連通孔112aを備える第1の接続プレート112と、前記ノズルプレート111と前記第1の接続プレート112との間に配設され、前記噴射孔131と前記第1の連通孔112aとを連通させる第1の貫通部113aを備える第1の整流板113と、前記第1の接続プレート112の上に配設されるカバープレート114と、を備えていてもよい。
【0050】
ノズルプレート111は、前記基板10に面する面側に基板10と対向して配設されてもよく、第2の噴射部130の噴射孔131が形成されてもよく、第2の噴射部130の噴射孔131を介して基板10に(又は、前記基板の表面に)前記第2のガスが噴射されてもよい。ここで、ノズルプレート111には複数本の噴射孔131が形成されてもよい。例えば、ノズルプレート111は、金属材質(例えば、アルミニウム)から作製されてもよく、レーザー20を用いた工程によって温度が上昇しても影響(例えば、歪み)が出ない材料から作製されてもよい。
【0051】
第1の接続プレート112は、第2の噴射部130の噴射孔131と連通する第1の連通孔112aを備えていてもよく、ノズルプレート111の上(例えば、前記ノズルプレートの上部)に(積層されて)配設されてもよく、第1の連通孔112aに供給される前記第2のガスを第2の噴射部130の噴射孔131に伝達することができる。第1の連通孔112aは、第2の噴射部130の噴射孔131と連通していてもよく、第2の噴射部130の噴射孔131に直結(又は、連通)されていなくてもよく、(連通する)第2の噴射部130の噴射孔131と形成位置が異なっていてもよい。このとき、複数本の噴射孔131の本数に応じて、第1の連通孔112aもまた複数本で形成されてもよい。例えば、第1の接続プレート112もまた金属材質(例えば、アルミニウム又はステンレス鋼)から作製されてもよく、レーザー20を用いた工程によって温度が上昇しても影響が出ない材料から作製されてもよい。
【0052】
第1の整流板113は、第2の噴射部130の噴射孔131と第1の連通孔112aとを連通させる第1の貫通部113aを備えていてもよく、ノズルプレート111と第1の接続プレート112との間に配設されて介在してもよく、第1の連通孔112aから流れ込む(又は、供給される)前記第2のガスを整流(rectification)して第2の噴射部130の噴射孔131に伝達することができる。第1の貫通部113aは、第2の噴射部130の噴射孔131と第1の連通孔112aとを連通させることができ、第1の連通孔112aと連絡される一方の側(又は、流入口)及び第2の噴射部130の噴射孔131と連絡される他方の側(又は、流出口)を有していてもよく、前記第2のガスを整流するために前記一方の側と前記他方の側の位置、(開口)の形状及び口径のうちの少なくともいずれか一つが異なっていてもよい。このとき、第1の貫通部113aもまた複数本の噴射孔131及び第1の連通孔112aの本数に応じて複数本で構成されてもよい。
【0053】
第1の整流板113を介して複数本の噴射孔131に供給される前記第2のガスの流れを一様に(又は、均一に)することができ、同じ前記副領域から前記第2のガスが供給(又は、伝達)される2本以上(又は、複数本)の噴射孔131の間に前記第2のガスの流量(又は、流れ)が均一に(又は、一様に)なる。
【0054】
例えば、第1の整流板113は、金属材質(例えば、ステンレス鋼)から作製されてもよく、レーザー20を用いた工程によって温度が上昇しても影響(例えば、歪み)が出ないのみならず、ボルト(bolt)など他の構成要素(例えば、前記ノズルプレートと前記第1の接続プレートなど)に密着されて締結されながら、第1の貫通部113aが歪まない剛性(rigidity)を有する材料から作製されてもよい。このことから、すべての第1の貫通部113aが同一の形状を保持することができ、これにより、すべての第1の貫通部113aに同じ体積(又は、サイズや面積)が確保されることが可能になり、前記第2のガスの有効な整流が行われて複数本の噴射孔131の間に前記第2のガス流量の均一性が確保されることが可能になる。
【0055】
カバープレート114は、第1の接続プレート112の上に配設されてもよく、第1の接続プレート112に接して配設されてもよく、第1の接続プレート112の間に他の構成要素(例えば、シールプレート、第2の接続プレート、第2の整流板など)が介在してもよい。例えば、カバープレート114は、噴射ブロック110の前記第1の面と第2の面のうちの基板10に面していない面側(例えば、最上側又は最上部)に配設されてもよく、蓋体(又は、カバー)の役割を果たして前記基板10に面していない面を密閉(又は、閉塞)することにより、ガス供給源(図示せず)から噴射ブロック110へと供給される前記第1のガス及び/又は前記第2のガスが前記基板10に面していない面側に抜け出ることなく、前記基板10に面する面側に有効にかつ円滑に供給(又は、伝達)されるようにすることができる。例えば、カバープレート114は、金属材質(例えば、アルミニウム)から作製されてもよく、レーザー部230が近くに存在してレーザー20によって温度が上昇しても影響(例えば、歪み)が出ない材料から作製されてもよい。
【0056】
ここで、第1の貫通部113aは、前記第1の連通孔112aに連絡される第1の流入口13aと、前記第1の流入口13aと離隔し、前記噴射孔131に連絡される第1の流出口13bと、前記第1の流入口13aと前記第1の流出口13bとを連絡させる第1のチャンネル13cと、を備えていてもよい。第1の流入口13aは、第1の連通孔112aに連絡されてもよく、第1の連通孔112aから前記第2のガスが流れ込んでも(又は、供給されても)よい。
【0057】
第1の流出口13bは、第2の噴射部130の噴射孔131に連絡されてもよく、第1の連通孔112aから伝達された(又は、流れ込んだ)前記第2のガスを第2の噴射部130の噴射孔131に伝達(又は、供給)することができ、第1の流入口13aから離隔していてもよい。これにより、(互いに連通し合う)第2の噴射部130の噴射孔131と第1の連通孔112aの(形成)位置が互いに異なっていてもよく、前記第2のガスが第1の流入口13aから第1の流出口13bへと移動しながら整流されることができ、第1の連通孔112aから伝達される前記第2のガスが整流されて第2の噴射部130の噴射孔131に供給(又は、伝達)されることができる。
【0058】
第1のチャンネル13cは、第1の流入口13aと第1の流出口13bとを連絡させることができ、互いに離れ合っている第1の流入口13aと第1の流出口13bとの間に前記第2のガスの移動流路を形成して前記第2のガスが第1の流入口13aから第1の流出口13bへと移動しながら整流されるようにすることができる。
【0059】
このとき、第1のチャンネル13cは、一つ以上のうねりを有していてもよく、前記第2のガスが第1の流入口13aから第1の流出口13bへと移動しながら前記うねりによって移動が制限されて前記第2のガスの流れが一様になり、前記第2のガスが有効に整流されることが可能になる。
【0060】
カバープレート114は、隔壁により画定される複数の分割空間114a、114bを有していてもよく、複数の分割空間114a、114bにより第2の噴射部130が前記複数の副領域に分割されてもよい。複数の分割空間114a、114bのそれぞれは、前記隔壁により画定されて互いに隔離し合ってもよく、複数の分割空間114a、114bのそれぞれには前記第1のガス又は前記第2のガスがそれぞれ供給されてもよく、前記第1のガスが複数の分割空間114a、114bのうちから選択されるどちらか一方以上の分割空間114aに供給され、前記第2のガスが複数の分割空間114a、114bのうちの残りの他方の分割空間114bに供給されてもよい。このとき、前記第1のガスと前記第2のガスのうち、同じガスが供給される分割空間114a又は114bには一つのガス供給源(図示せず)から振り分けられて前記第1のガス又は前記第2のガスがそれぞれ供給されてもよく、前記同じガスが供給される分割空間114a又は114bに対応する数のガス供給源(図示せず)からそれぞれ前記第1のガス又は前記第2のガスが供給されてもよい。一方、カバープレート114がアルミニウム(Al)製のものである場合には加工性が良好であるので、複数の分割空間114a、114bを形成し易くなる可能性もある。
【0061】
そして、噴射ブロック110は、前記隔壁に対応して形成され、前記隔壁と第1の接続プレート112との間に配設されるシールプレート115をさらに備えていてもよい。シールプレート115は、カバープレート114と第1の接続プレート112との間にカバープレート114と接して配設されてもよく、カバープレート114の隔壁に接触する(又は、密着される)ようにカバープレート114の隔壁(又は、前記複数の分割空間)に対応して形成されてもよく、複数の分割空間114a、114bに(それぞれ)対応(又は、積層方向に連通)する複数の隔離空間115aを有していてもよい。ここで、シールプレート115は、隣り合う第1の接続プレート112又は第2の接続プレート116とカバープレート114との間に介在して前記隣り合う第1の接続プレート112又は第2の接続プレート116及びカバープレート114に密着されてもよい。これにより、前記隣り合う第1の接続プレート112又は第2の接続プレート116とカバープレート114の隔壁の間の隙間(gap)をなくすことができ、このような隙間に前記第1のガス又は前記第2のガスが漏れたり(leak)、前記第1のガスと前記第2のガスとが混合(mixing)されたりすることを抑止もしくは防止することができる。
【0062】
例えば、シールプレート115もまた、金属材質(例えば、アルミニウム)から作製されてもよく、レーザー20を用いた工程によって温度が上昇しても影響が出ない材料から作製されてもよく、前記隣り合う第1の接続プレート112又は第2の接続プレート116及びカバープレート114に密着可能な材料から作製されてもよい。一方、シールプレート115は、耐熱性を有する限り、弾性を有する材質(例えば、ゴム)から作製されてもよく、前記隣り合う第1の接続プレート112又は第2の接続プレート116及びカバープレート114との密着力を高めることができる。
【0063】
そして、噴射ブロック110は、前記シールプレート115と前記第1の接続プレート112との間に配設されて前記シールプレート115と接触し、前記第1の連通孔112aと連通する第2の連通孔116aを備える第2の接続プレート116と、前記第1の接続プレート112と前記第2の接続プレート116との間に配設され、前記第1の連通孔112aと前記第2の連通孔116aとを連通させる第2の貫通部117aを備える第2の整流板117と、をさらに備えていてもよい。
【0064】
第2の接続プレート116は、第1の連通孔112aと連通する第2の連通孔116aを備えていてもよく、シールプレート115と第1の接続プレート112との間に配設されてシールプレート115と接触してもよく、第2の連通孔116aに供給される前記第2のガスを第1の連通孔112aに伝達することができる。第2の連通孔116aは、第1の連通孔112aと連通していてもよく、第1の連通孔112aに直結され(又は、連通して)いなくてもよく、(連通する)第1の連通孔112aと形成位置が異なっていてもよい。このとき、第1の連通孔112aの本数に応じて、第2の連通孔116aもまた複数本で構成されてもよい。例えば、第2の接続プレート116もまた、金属材質(例えば、アルミニウム又はステンレス鋼)から作製されてもよく、レーザー20を用いた工程によって温度が上昇しても影響が出ない材料から作製されてもよい。
【0065】
第2の整流板117は、第1の連通孔112aと第2の連通孔116aとを連通させる第2の貫通部117aを備えていてもよく、第1の接続プレート112と第2の接続プレート116との間に配設されて介在してもよく、第2の連通孔116aから流れ込む(又は、供給される)前記第2のガスを整流させて第1の連通孔112aに伝達することができる。第2の貫通部117aは、第1の連通孔112aと第2の連通孔116aとを連通させることができ、第2の連通孔116aと連絡される一方の側(又は、流入口)及び第1の連通孔112aと連絡される他方の側(又は、流出口)を有していてもよく、前記第2のガスを整流させるために前記一方の側と前記他方の側の位置、(開口)の形状及び口径のうちの少なくともいずれか一つが異なっていてもよい。このとき、第2の貫通部117aもまた、第1の連通孔112aと第2の連通孔116aの本数に応じて複数本で構成されてもよい。
【0066】
第2の整流板117を介して複数本の第1の連通孔112aに供給される前記第2のガスの流れを一様にすることができ、同じ前記副領域から前記第2のガスが供給される2本以上(又は、複数本)の第1の連通孔112aの間における前記第2のガスの流量が均一になる。
【0067】
例えば、第2の整流板117もまた、金属材質(例えば、ステンレス鋼)から作製されてもよく、レーザー20を用いた工程によって温度が上昇しても影響(例えば、歪み)が出ないのみならず、ボルトなどによって他の構成要素(例えば、前記第1の接続プレートと前記第2の接続プレートなど)に密着されて締結されながら、第2の貫通部117aが歪まない剛性を有する材料から作製されてもよい。このことから、すべての第2の貫通部117aが同じ形状を保持することができ、これにより、すべての第2の貫通部117aに同じ体積が確保されることが可能になり、前記第2のガスの有効な整流が行われて複数本の第1の連通孔112aの間に前記第2のガス流量の均一性が確保されることが可能になる。
【0068】
ここで、第2の貫通部117aは、前記第2の連通孔116aに連絡される第2の流入口17aと、前記第2の流入口17aと離隔し、前記第1の連通孔112aに連絡される第2の流出口17bと、前記第2の流入口17aと前記第2の流出口17bとを連絡させる第2のチャンネル17cと、を備えていてもよい。第2の流入口17aは、第2の連通孔116aに連絡されてもよく、第2の連通孔116aから前記第2のガスが流れ込む(又は、供給される)ことができる。
【0069】
第2の流出口17bは、第1の連通孔112aに連絡されてもよく、第2の連通孔116aから伝達された(又は、流れ込んだ)前記第2のガスを第1の連通孔112aに伝達(又は、供給)することができ、第2の流入口17aから離隔していてもよい。これにより、(互いに連通し合う)第1の連通孔112aと第2の連通孔116aの(形成)位置が異なっていてもよく、前記第2のガスが第2の流入口17aから第2の流出口17bへと移動しながら整流されることができ、第2の連通孔116aから伝達される前記第2のガスが整流されて第1の連通孔112aに供給(又は、伝達)されることができる。このとき、第2の流出口17bは、第1の流入口13aと形成位置が同一であってもよく(又は、垂直に位置合わせされていてもよく)、第2の流入口17aは、第1の流出口13bと形成位置が同じであってもよいし、あるいは、異なっていてもよい。すなわち、(互いに連通し合う)第2の噴射部130の噴射孔131と第2の連通孔116aは、形成位置が同一であってもよいし(又は、垂直に位置合わせされていてもよく)、あるいは、異なっていてもよい。一方、(互いに連通し合う)第2の噴射部130の噴射孔131と第2の連通孔116aの形成位置が同じである場合にさらに多くの前記噴射孔131と第2の連通孔116a及び/又は第1の連通孔112aが形成されてもよい。
【0070】
第2のチャンネル17cは、第2の流入口17aと第2の流出口17bとを連絡させることができ、互いに離れ合っている第2の流入口17aと第2の流出口17bとの間に前記第2のガスの(移動)流路を形成して前記第2のガスが第2の流入口17aから第2の流出口17bへと移動しながら整流されるようにすることができる。
【0071】
ここで、第2のチャンネル17cもまた、一つ以上のうねりを有していてもよく、前記第2のガスが第2の流入口17aから第2の流出口17bへと移動しながら前記うねりによって移動が制限されて前記第2のガスの流れが一様になり、前記第2のガスが有効に整流されることが可能になる。
【0072】
一方、第1の整流板113と第2の整流板117は、密着パッドの役割を果たすこともでき、第1の整流板113は、十分な剛性を提供して相対的に剛性が弱めのノズルプレート111と第1の接続プレート112とがボルトなどによって第1の整流板113と締結されながら密着されることができ、第2の整流板117もまた、十分な剛性を提供して相対的に剛性が弱めの第1の接続プレート112と第2の接続プレート116とがボルトなどによって第2の整流板117と締結されながら密着されることができる。このことから、第1の整流板113にノズルプレート111と第1の接続プレート112が密着されることにより、ノズルプレート111と第1の整流板113との間及び第1の整流板113と第1の接続プレート112との間の隙間をなくすことができる。また、このような隙間に前記第1のガス又は前記第2のガスが漏れ出ることを防ぐことができ、第2の整流板117に第1の接続プレート112と第2の接続プレート116が密着されることにより、第1の接続プレート112と第2の整流板117との間及び第2の整流板117と第2の接続プレート116との間の隙間をなくすことができ、このような隙間に前記第1のガス又は前記第2のガスが漏れ出ることを防ぐことができる。
【0073】
ここで、カバープレート114は、前記複数の分割空間114a、114bのうちの少なくともどちらか一方の分割空間114aに前記第1のガスを供給するための第1の供給ポート14aと、前記複数の分割空間114a、114bのうちの残りの他方の分割空間114bに前記第2のガスを供給するための第2の供給ポート14bと、を備えていてもよい。
【0074】
カバープレート114には、第1の供給ポート14aと第2の供給ポート14bが形成されてもよく、第1の供給ポート14aは、複数の分割空間114a、114bのうちの少なくともどちらか一方の分割空間114aと連通して前記第1のガスが前記少なくとも一つの分割空間114aに供給されることができ、第2の供給ポート14bは、複数の分割空間114a、114bのうちの残りの他方の分割空間114bと連通して前記第2のガスが前記残りの他方の分割空間114bに供給されることができる。このとき、前記少なくともどちらか一方の分割空間114aの数に応じて、第1の供給ポート14aが複数で構成されてもよく、前記残りの分割空間114bの数に応じて、第2の供給ポート14bが複数で構成されてもよく、前記少なくともどちらか一方の分割空間114aには前記第1のガスのみを供給でき、前記残りの他方の分割空間114bには前記第2のガス(のみ)を供給できればよい。
【0075】
すなわち、複数の分割空間114a、114bは、前記第1のガスが供給される前記少なくともどちらか一方の分割空間114aと、前記第2のガスが供給される前記残りの他方の分割空間114bと、から構成されてもよい。前記少なくともどちらか一方の分割空間114aは、前記第1のガスが開口部110aに供給できるように開口部110aの近くに位置していてもよいが、これに特に限定されるものではなく、第1の噴射部120を介して前記第1のガスを開口部110aに上手く供給できればよい。
【0076】
前記残りの他方の分割空間114bには、前記第2のガスが供給されてもよく、第2の連通孔116aと連通していてもよく、前記第1のガスは、開口部110aに(のみ)供給されれば済むため、基板10の広い面積に前記第2のガスが噴射できるように前記少なくともどちらか一方の分割空間114aよりも本数が多くてもよいし、あるいは、前記少なくともどちらか一方の分割空間114aの(総)面積(又は、体積)よりも(総)面積(又は、体積)が大きくてもよい。
【0077】
このとき、前記少なくともどちらか一方の分割空間114aから開口部110aへと前記第1のガスが供給(又は、伝達)できるように、第1の接続プレート112と第2の接続プレート116は、第1の副孔と第2の副孔をそれぞれ(さらに)備えていてもよく、第1の整流板113と第2の整流板117は、第1の副貫通部と第2の副貫通部をそれぞれ(さらに)備えていてもよい。前記第1の副孔は、後述する第1の噴射部120のガス拡散部121などと連通していてもよく、前記第2の副孔は、前記少なくともどちらか一方の分割空間114a及び前記第1の副孔と連通していてもよい。そして、前記第1の副貫通部は、第1の噴射部120のガス拡散部121などと前記第1の副孔とを連通させることができ、前記第2の副貫通部は、前記第1の副孔と前記第2の副孔とを連通させることができる。ここで、前記第1の副貫通部と第2の副貫通部は、第1の貫通部113a及び/又は第2の貫通部117aと同じであってもよいし、あるいは、互いに異なっていてもよい。
【0078】
ノズルプレート111は、前記複数の分割空間114a、114bに対応して複数枚のサブプレート111a、111bに分割されてもよく、前記少なくともどちらか一方の分割空間114aに対応するサブプレート111aは、前記開口部110aに接して位置していてもよく、前記第1の噴射部120を形成することができる。ノズルプレート111は、複数枚のサブプレート111a、111bに分割されてもよく、複数枚のサブプレート111a、111bのそれぞれは、複数の分割空間114a、114bのそれぞれに対応していてもよい。すなわち、各分割空間114a又は114bに供給される前記第1のガス又は前記第2のガスは、対応するサブプレート111a又は111bを介して噴射(又は、供給)されることができる。
【0079】
ここで、複数枚のサブプレート111a、111bのうちの前記少なくともどちらか一方の分割空間114aに対応するサブプレート111aは、第1の噴射部120を形成することができ、開口部110aに前記第1のガスを噴射(又は、供給)できるように開口部110aに接して位置していてもよい。
【0080】
したがって、本発明に係るガス噴射モジュール100は、ノズルプレート111を複数枚のサブプレート111a、111bに分割して構成することにより、益々肥大化しつつある基板10及び/又は工程チャンバー210のサイズに応じて、噴射ブロック110のサイズを広げ易い。
【0081】
このとき、第1の整流板113もまた、ノズルプレート111に応じて、サブ整流プレート113bに分割されてもよい。複数枚のサブ整流プレート113bのうちの前記少なくともどちらか一方の分割空間114aに対応するサブ整流プレート113bには、前記少なくともどちらか一方の分割空間114aに対応するサブプレート111aに前記第1のガスを供給するために前記第1の副貫通部が形成されてもよい。
【0082】
ここで、第1の噴射部120は、前記少なくともどちらか一方の分割空間114aに対応するサブプレート111aの内部に配設されて、前記第1のガスの拡散空間を提供するガス拡散部121と、前記少なくともどちらか一方の分割空間114aに対応するサブプレート111aの前記開口部110aに面する側壁に形成され、前記ガス拡散部121と連通する噴射孔又は噴射スリット122と、を備えていてもよい。
【0083】
ガス拡散部121は、前記第1のガスの拡散空間を提供することができ、前記少なくともどちらか一方の分割空間114aに対応するサブプレート111aの内部に配設されてもよい。ガス拡散部121は、前記第1の副貫通部を介して前記第1の副孔と連通していてもよく、前記第1の副孔から供給(又は、伝達)される前記第1のガスが行き渡って緩衝的に満たされることができる。ガス拡散部121を介して前記第1のガスがガス拡散部121に満たされた後、噴射孔(又は、噴射スリット122)に供給(又は、噴射)されることができて、開口部110aが基板10の一方向に延びる形状を呈する場合であっても、(前記基板の一方向に)開口部110aのすべての位置(又は、領域)に一様に(又は、均一に)前記第1のガスが供給(又は、噴射)されることが可能になる。例えば、ガス拡散部121は、開口部110aと並ぶように形成されてもよい。
【0084】
噴射孔又は噴射スリット122は、前記少なくともどちらか一方の分割空間114aに対応するサブプレート111aの開口部110aに面する側壁に形成されてもよく、ガス拡散部121と連通していてもよく、ガス拡散部121から伝達(又は、供給)される前記第1のガスを開口部110aに噴射(又は、供給)することができる。ここで、噴射孔又は噴射スリット122は、開口部110aと連通して開口部110aに前記第1のガスを噴射する開口であって、開口部110aに向かって前記基板10に面する側(例えば、下方)に(僅かに)傾斜するように設けられてもよい。これにより、前記第1のガス(又は、不活性気体)が開口部110a内に前記基板10に面する側に向かって(僅かに)下向きの角度にて噴射されて開口部110a内における前記第1のガスの流れが均一になるようにすることができ、基板10にぼけ(blur)が生じないようにすることができる。仮に、前記第1のガスの流れが均一にならなければ、レーザー20が照射される部位(又は、部分)の環境(及び/又は、前記開口部内の環境)を均一にすることができず、レーザー20を用いた工程に際して基板10の上にぼけを生じさせてしまう虞がある。
【0085】
例えば、前記第1のガスが開口部110a内に(僅かに)下向きの角度にて噴射され、開口部110aの前記基板10に面する側(例えば、底面部)が陥凹した曲線状を呈していて、前記第1のガスが乱流を形成することなく、開口部110a内を均一に満たすことができる。すなわち、噴射ブロック110の内側面が前記基板10に面する側に陥凹した曲面を有することにより、前記第1のガスが噴射されて前記陥凹した曲面に反射されることができ、開口部110a内に均一に満たされることができる。また、開口部110aが基板10の一方向に延びる形状を呈する場合、噴射孔又は噴射スリット122は、前記基板10の一方向に並べられる複数本の(噴射)孔として構成されてもよく、前記基板10の一方向に延びて開口部110aと並ぶ(噴射)スリットとして構成されてもよい。しかしながら、噴射孔又は噴射スリット122の形状及び構成はこれに何ら限定されるものではなく、開口部110aに前記第1のガスを均一に供給可能である限り、多種多様な形状及び構成に変更可能である。
【0086】
そして、第1の噴射部120は、前記ガス拡散部121と前記噴射孔又は噴射スリット122とを連通させる屈曲流路123をさらに備えていてもよい。屈曲流路123は、ガス拡散部121と噴射孔又は噴射スリット122とを連通させることができ、曲がりくねった部分を有して緩衝流路の役割を果たすことができる。屈曲流路123を介してガス拡散部121から噴射孔又は噴射スリット122へと前記第1のガスが緩衝的に供給(又は、伝達)されて(又は、整流されて)噴射孔又は噴射スリット122に開口部110a内のすべての位置(又は、領域)に均一に噴射(又は、供給)されることができ、これにより、前記第1のガスが均一に開口部110a内に満たされることができる。ここで、屈曲流路123の一方の端(又は、流入端)は、ガス拡散部121に接続されてもよく、屈曲流路123の他方の端(又は、流出端)は、噴射孔又は噴射スリット122に接続されてもよい。
【0087】
例えば、ガス拡散部121及び/又は屈曲流路123は、前記少なくともどちらか一方の分割空間114aに対応するサブプレート111aのみを加工して前記少なくともどちらか一方の分割空間114aに対応するサブプレート111aの内部に形成されてもよく、前記少なくともどちらか一方の分割空間114aに対応するサブプレート111aの表面を加工して前記少なくともどちらか一方の分割空間114aに対応するサブプレート111aの表面に溝などを形成することにより、第1の整流板113と併せて形成されてもよい。このとき、第1の整流板113と併せて屈曲流路123が形成される場合には、屈曲流路123を覆う(又は、屈曲流路123に接する)第1の整流板113の部分には前記第1の副貫通部が形成されない場合もある。
【0088】
一方、前記複数の副領域は、複数の分割空間114a、114bと、複数枚のサブプレート111a、111bと、から構成されてもよい。
【0089】
そして、ノズルプレート111とカバープレート114との間に配設される(又は、介在する)少なくとも一つの構成要素(例えば、前記第1の整流板及び/又は前記第2の整流板)は、ノズルプレート111及びカバープレート114とは素材(又は、材質)が異なっていてもよく、互いに異なる剛性を有していてもよい。このことから、ノズルプレート111とカバープレート114を備える噴射ブロック110の構成要素同士がボルトなどにより締結されて組み合わせられながら相互間に密着されることができ、構成要素同士の隙間が密閉(又は、シール)されることができ、これにより、各構成要素の間の隙間をなくして前記第1のガス及び/又は前記第2のガスが噴射ブロック110の内部から漏れ出ることを防ぐことができる。例えば、第1の整流板113と第2の整流板117が相対的に強めの剛性を有することができ、これにより、第1の整流板113と第2の整流板117が十分な剛性を提供して相対的に剛性が弱めのノズルプレート111と第1の接続プレート112及び第2の接続プレート116とカバープレート114がボルトなどにより締結されながら、第1の整流板113及び/又は第2の整流板117に密着されることが可能になる。
【0090】
また、ノズルプレート111、第1の整流板113、第1の接続プレート112、第2の整流板117、第2の接続プレート116及びカバープレート114などの噴射ブロック110の構成要素は、それぞれ開口部110aをなす開口を有していてもよく、噴射ブロック110の各構成要素の開口は「U」字状の空洞を形成するために口径(又は、面積)が異なっていてもよい。
【0091】
図3は、本発明の一実施形態に係る噴射ブロックの底面図である。
【0092】
図3を参照すると、本発明に係るガス噴射モジュール100は、前記複数の副領域に対応して配設され、前記基板10に面する面側の位置ごとの酸素の濃度を検出する酸素検出部140をさらに備えていてもよい。
【0093】
酸素検出部140は、前記基板10に面する面側の位置ごとの酸素の濃度を検出することができ、前記複数の副領域に対応して配設されてもよく、複数の分割空間114a、114b及び/又は複数枚のサブプレート111a、111bに対応して配設されてもよい。このとき、前記第1のガスと前記第2のガスは、不活性気体であってもよい。酸素検出部140を介して基板10上の各領域ごとの酸素の濃度をモニターリング(monitoring)することができ、モニターリングされる前記各領域ごとの酸素の濃度に応じて、前記各領域に対応する各前記副領域における前記第2のガスの噴射量をそれぞれ別々に制御することができる。
【0094】
例えば、酸素検出部140は、基板10上において分布されたガスなどを吸い込んで、吸い込まれたガスを分析することにより、酸素の濃度を検出することができる。このとき、酸素検出部140の検出位置の数は、前記複数の副領域の数(又は、前記複数の分割空間の数及び/又は前記複数枚のサブプレートの枚数)と同じであってもよいし、あるいは、異なっていてもよいが、開口部110aと対向する基板10の表面上においても酸素の濃度を検出できるように前記複数の副領域の数よりもさらに多いことが好ましい。
【0095】
したがって、本発明に係るガス噴射モジュール100は、前記複数の副領域に対応して酸素検出部140を配設することにより、基板10上の各領域ごとの酸素の濃度をモニターリングすることができ、これにより、有効に各前記副領域ごとの前記第2のガスの噴射量をそれぞれ制御することができ、さらに有効に基板10上の酸素の濃度を全体的に一定に保持することができる。
【0096】
一方、ノズルプレート111は、前記基板10に面する面が前記開口部110aから遠ざかるにつれて前記基板10から遠ざかるように傾斜していてもよいし、あるいは、曲がりくねっていてもよい。すなわち、ノズルプレート111の前記基板10に面する面は、開口部110aに近い中央(部)において基板10に(相対的に)近くてもよく、開口部110aから遠い周縁(部)において基板10から(相対的に)遠くてもよい。このことから、ノズルプレート111と基板10との間に局部的な陽圧(又は、相対的に高めの圧力)が生成(又は、形成)されるように誘導することができ、これにより、ノズルプレート111と基板10との間において相対的に圧力が低めの基板10の外郭に気流(又は、ガスの流れ)が形成されることができ、前記第1のガス及び/又は前記第2のガスなどのガスがノズルプレート111と基板10との間から基板10の外郭へと有効に排出される(又は、抜け出る)ことができる。このため、たとえ基板10及び/又は工程チャンバー210の大型化が進むとしても、ノズルプレート111と基板10との間に前記ガスが残留することなく、基板10の外郭に有効に排出されることができ、基板10及び/又は工程チャンバー210の大型化に有効に対応することができる。
【0097】
前記第1のガスと前記第2のガスは、種類、流量、濃度、温度及びガス分圧のうちの少なくともいずれか一つが異なっていてもよい。例えば、前記第1のガスと前記第2のガスは、両方とも不活性気体であってもよく、両方とも前記不活性気体として窒素(N2)を用いてもよく、流量及び/又はガス分圧が異なっていてもよい。前記第1のガスは、開口部110a内及び/又は開口部110aと対向する基板10の表面の上に不活性気体雰囲気(又は、不活性ガス雰囲気)を形成するために(相対的に)多め(又は、高め)の流量(及び/又は、ガス分圧)にて供給されてもよく、前記第2のガスは、噴射ブロック110と基板10との間(空間)をパージできれば済むため、(相対的に)少なめ(又は、低め)の流量(及び/又は、ガス分圧)にて供給されてもよい。また、前記第1のガスが(相対的に)多め(又は、高め)の流量(及び/又は、ガス分圧)にて供給される場合には、開口部110aが形成された中央(部)に局部的な陽圧が生成可能であり、これにより、噴射ブロック110と基板10との間の中央(部)から周縁部へと前記ガスが有効に排出されることもできる。ここで、前記第1のガスは、30~100LPM(liter/min)にて供給されてもよく、前記第2のガスは、5~30LPM(liter/min)にて供給されてもよい。
【0098】
図4は、本発明の他の実施形態に係るレーザー装置を示す概略断面図である。
【0099】
図4に基づいて、本発明の他の実施形態に係るレーザー装置についてさらに詳しく述べるが、本発明の一実施形態に係るガス噴射モジュールに関連して上述した部分と重複する事項についての説明は省略する。
【0100】
本発明の他の実施形態に係るレーザー装置200は、本発明の一実施形態に係るガス噴射モジュール100と、前記ガス噴射モジュール100が配設される工程チャンバー210と、前記工程チャンバー210の内部空間に配設されて、前記基板10を支持する工程テーブル220と、前記開口部110aを介して前記基板10にレーザー20を照射するレーザー部230と、前記工程チャンバー210内から前記第1のガスと前記第2のガスを排気する排気部240と、を備えていてもよい。
【0101】
ガス噴射モジュール100は、本発明の一実施形態に係るガス噴射モジュール100であってもよく、開口部110a内にのみ不活性気体などのガスを供給したり、基板10に向かってのみ不活性気体などのガスを供給したりせず、開口部110a内のみならず、基板10に向かっても不活性気体などの前記第1のガスと前記第2のガスをそれぞれ噴射(又は、供給)することができる。
【0102】
工程チャンバー210には、ガス噴射モジュール100が配設されてもよく、基板10が処理される内部空間を有していてもよく、内部に基板10の処理(又は、レーザーを用いた工程)のためのガス雰囲気が形成されてもよい。例えば、工程チャンバー210内には、不活性気体雰囲気(例えば、窒素雰囲気)が形成されてもよい。
【0103】
工程テーブル220は、工程チャンバー210の内部空間に配設されてもよく、基板10を支持することができる。例えば、工程テーブル220は、基板10を安定的に吸着支持(又は、固定)することができ、レーザー20により基板10がスキャンできるように工程の進行方向に移動することができる。
【0104】
レーザー部230は、開口部110aを介して工程テーブル220の上に支持された基板10にレーザー20を照射することができる。例えば、レーザー部230は、基板10の上にレーザー20を照射して基板10上の薄膜及び/又は基板10の表面を結晶化させることができる。このとき、レーザー20が照射される基板10の領域が酸素(O2)に曝露されれば、基板10の上部面に蒸着されている薄膜が結晶化される過程において結晶質シリコンになれず、酸化物になる虞があり、工程チャンバー210内の不純物が基板10の上側に浸透すれば、前記不純物によって薄膜が汚れたり、性質が変化したりする虞がある。
【0105】
排気部240は、工程チャンバー210内から前記第1のガスと前記第2のガスを排気することができ、酸素(O2)、パーティクル(Particle)などの不純物及び/又は工程副産物を工程チャンバー210内に排出することができる。例えば、排気部240は、工程チャンバー210に形成される排気ポートを備えていてもよく、排気ポートを介して工程チャンバー210内から前記第1のガスと前記第2のガス及び/又は工程副産物(又は、不純物)を(前記工程チャンバー)の外部に排気(又は、排出)することができる。
【0106】
前記第1のガスと前記第2のガスは、不活性気体であってもよく、前記ガス噴射モジュール100は、前記第1のガスと前記第2のガスを前記基板10の上に供給して前記基板10上の酸素の濃度を制御することができる。すなわち、ガス噴射モジュール100は、脱酸素モジュール(Oxygen Partial Degassing Module;OPDM)として用いられてもよく、前記第1のガス及び前記第2のガスとして窒素(N2)などの不活性気体を基板10の上に供給(又は、噴射)することにより、基板10上の酸素(O2)を基板10の外郭に追い払って取り除くことができ、このように、前記第1のガス及び/又は前記第2のガスにより基板10の外郭に追い払われた酸素(O2)は、前記第1のガス及び/又は前記第2のガスとともに排気部240を介して(前記工程チャンバーの)外部に排気されることができる。このことから、前記ガス噴射モジュール100は、前記第1のガスと前記第2のガスを前記基板10の上に供給して前記基板10上の酸素の濃度を制御することができる。
【0107】
したがって、本発明に係るレーザー装置200は、前記第1のガスとして窒素(N2)などの不活性気体を開口部110aに供給(又は、噴射)して開口部110a及び開口部110aと対向する基板10の表面の上に不活性気体雰囲気(又は、不活性ガス雰囲気)を形成することにより、レーザー20が照射されて処理(又は、工程)が行われる部分(すなわち、前記開口部と対向する前記基板の表面)が酸素(O2)及び/又はパーティクルに曝露されることを防ぐことができ、前記第2のガスとして不活性気体を基板10の上に噴射して基板10の上に酸素(O2)及び/又はパーティクルが浸透する(流れ込む)ことを防止(又は、遮断)することができる。このため、基板10及び/又は基板10上の薄膜が酸素(O2)により酸化されないことが可能になり、パーティクルによる工程不良が生ぜず、基板10の歩留まりを高めて生産性を確保することができる。
【0108】
このように、本発明においては、噴射ブロックの開口部に第1のガスを供給する第1の噴射部と基板に向かって第2のガスを噴射する第2の噴射部を備えることにより、基板の上に不活性ガスを均一に供給することができ、不活性ガスを開口部及び/又は噴射ブロックと基板との間に均一に分布させることができ、開口部にガスを供給して開口部及び開口部と対向する基板の表面の上にガス雰囲気を形成することができるだけではなく、開口部の周りにおいて基板の表面と交差する向きにガスを噴射して酸素及びパーティクルなどの不純物が基板の上に流れ込んだり基板の上に残留したりすることを抑止及び/又は防止することができる。そして、ガス噴射モジュールを脱酸素モジュールとして用いることにより、第1のガスとして不活性気体を開口部に供給して開口部及び開口部と対向する基板の表面の上に不活性気体雰囲気を形成し、レーザーが照射されて処理が行われる部分が酸素(O2)及び/又はパーティクルに曝露されることを防ぐことができ、第2のガスとして不活性気体を基板の上に噴射して基板の上に酸素(O2)及び/又はパーティクルが浸透することを遮断することができる。ここで、第2の噴射部を複数の副領域に分割して各副領域における噴射量をそれぞれ別々に制御することにより、基板上の酸素の濃度を一定に保持することができる。このとき、ノズルプレートを複数枚のサブプレートに分割して構成することにより、益々肥大化しつつある基板のサイズに応じて噴射ブロックのサイズを広げ易い。一方、複数の副領域に対応して酸素検出部を配設することにより、基板上の各領域ごとの酸素の濃度をモニターリングすることができ、これにより、有効に各副領域ごとの噴射量をそれぞれ制御してより一層有効に基板上の酸素の濃度を全体的に一定に保持することができる。このため、基板及び/又は基板上の薄膜が酸素により酸化されないことが可能になり、パーティクルによる工程不良が生ぜず、基板の歩留まりを高め、生産性を確保することができる。
【0109】
上記の説明の際に使われた「~上に」という言い回しの意味合いは、直接的に接触する場合と直接的に接触はしないものの、上部又は下部に対向して位置する場合を含み、上部面又は下部面の全体に対向して位置することも可能であれば、部分的に対向して位置することも可能であり、位置上に離れて対向したり、上部面又は下部面に直接的に接触したりするという意味合いとして使われている。
【0110】
以上、本発明に好適な実施形態について図示しかつ説明したが、本発明は、上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲において請求する本発明の要旨を逸脱することなく、当該本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、様々な変形及び均等な他の実施形態が可能であるということは理解できる筈である。よって、本発明の技術的な保護範囲は、特許請求の範囲によって定められるべきである。
【符号の説明】
【0111】
10:基板
13a:第1の流入口
13b:第1の流出口
13c:第1のチャンネル
14a:第1の供給ポート
14b:第2の供給ポート
17a:第2の流入口
17b:第2の流出口
17c:第2のチャンネル
20:レーザー
100:ガス噴射モジュール
110:噴射ブロック
110a:開口部
111:ノズルプレート
112:第1の接続プレート
112a:第1の連通孔
113:第1の整流板
113a:第1の貫通部
114:カバープレート
114a:少なくとも一つの分割空間
114b:残りの分割空間
115:シールプレート
115a:隔離空間
116:第2の接続プレート
116a:第2の連通孔
117:第2の整流板
117a:第2の貫通部
120:第1の噴射部
121:ガス拡散部
122:噴射孔又は噴射スリット
123:屈曲流路
130:第2の噴射部
131:噴射孔
140:酸素検出部
200:レーザー装置
210:工程チャンバー
220:工程テーブル
230:レーザー部
240:排気部