IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 本田技研工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-培養装置 図1
  • 特開-培養装置 図2
  • 特開-培養装置 図3
  • 特開-培養装置 図4
  • 特開-培養装置 図5
  • 特開-培養装置 図6
  • 特開-培養装置 図7
  • 特開-培養装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112335
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】培養装置
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/04 20060101AFI20240814BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20240814BHJP
   C12N 1/12 20060101ALN20240814BHJP
【FI】
C12M1/04
C12M1/00 E
C12N1/12 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017219
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】後藤 稔
(72)【発明者】
【氏名】塩原 のぞみ
(72)【発明者】
【氏名】木下 翔平
(72)【発明者】
【氏名】土肥 瑞穂
(72)【発明者】
【氏名】町田 賢司
(72)【発明者】
【氏名】高橋 研介
(72)【発明者】
【氏名】原田 健
(72)【発明者】
【氏名】荒川 結
(72)【発明者】
【氏名】塩崎 諭
【テーマコード(参考)】
4B029
4B065
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029BB04
4B029CC01
4B029DB11
4B065AA83X
4B065BC07
4B065CA54
(57)【要約】      (修正有)
【課題】微細藻類の培養が促進される培養装置を提供する。
【解決手段】培養装置(100)は、培養液(L)及び微細藻類を収容する収容部(42)を備える。収容部には、ガイド部(50)及びガス供給部(84)が設けられる。ガス供給部は、ガイド部の深さ方向における上部から下部にわたって延在する延在管部(84p)を有する。延在管部は、ガイド部における深さ方向の下部でガスを供給する。このガスにより、培養液に対流(A、B)が生じる。対流は、収容部における深さ方向の下部から上部に向かう上昇流を含む。上昇流が通過する部分を上昇流領域(UA)とするとき、延在管部は、上昇流領域に配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
培養液中で微細藻類を培養する培養装置であって、
前記培養液及び前記微細藻類を収容可能な収容部と、
前記収容部の内部に設けられ、前記収容部の深さ方向に沿って延在するガイド部と、
前記ガイド部における前記深さ方向の下部でガスを供給するガス供給部と、
を備え、
前記ガス供給部は、前記ガイド部の前記深さ方向における上部から前記下部まで前記ガイド部に沿って延在する延在管部を有し、
前記培養液中に供給された前記ガスによって前記培養液の対流が生じ、
前記対流のうち前記収容部における前記深さ方向の前記下部から前記収容部における前記深さ方向の前記上部に向かう上昇流が通過する部分を上昇流領域とするとき、前記ガス供給部の前記延在管部は、前記ガイド部に沿って前記上昇流領域に配置される、培養装置。
【請求項2】
請求項1記載の培養装置において、前記ガイド部は、前記深さ方向に沿って延びるガイド本体を有し、
前記ガイド本体は、互いに向かい合う第1壁部及び第2壁部と、前記第1壁部と前記第2壁部との間に介在し且つ前記第1壁部及び前記第2壁部に連なる第3壁部とを有し、前記第1壁部、前記第2壁部及び前記第3壁部により、前記深さ方向に対して直交する方向に沿って該ガイド本体を切断したときの断面がU字形状をなし、
前記ガイド本体の中空内部は、前記上昇流領域の一部である、培養装置。
【請求項3】
請求項2記載の培養装置において、前記ガイド部は、前記ガス供給部の前記延在管部を前記ガイド本体に位置決め固定する1以上の支持部を有し、
前記1以上の支持部は、前記第1壁部の内面、前記第2壁部の内面、又は前記第3壁部の内面に設けられる、培養装置。
【請求項4】
請求項3記載の培養装置において、前記1以上の支持部は、前記第1壁部の内面、前記第2壁部の内面、又は前記第3壁部の内面から前記ガイド本体の中空内部に向かって突出した突出部と、前記突出部に形成されて前記ガイド本体の前記深さ方向に沿って延びる貫通孔とを有し、前記貫通孔は前記ガス供給部の前記延在管部を支持する、培養装置。
【請求項5】
請求項4記載の培養装置において、前記1以上の支持部は、前記ガイド本体の延在方向に沿って並べられた複数個の支持部を有し、前記複数個の支持部のうち前記深さ方向の最下方に位置する支持部を最下支持部とするとき、前記最下支持部に形成された貫通孔の開口面積は、前記最下支持部以外の支持部に形成された貫通孔の開口面積よりも小さい、培養装置。
【請求項6】
請求項1記載の培養装置において、前記ガス供給部の前記延在管部は、前記収容部に向けてガスを吐出するガス吐出口を有し、前記ガス吐出口は、前記収容部の底部に向かって開口する、培養装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の培養装置において、前記ガイド部は、前記ガス供給部の前記延在管部から供給された前記ガスを水平方向に向かわせる偏向部を有し、前記偏向部は、前記ガイド部における前記深さ方向の前記上部に配置され、
且つ前記偏向部は、前記ガス供給部が挿通される挿通孔を有する、培養装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細藻類を培養するための培養装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、気候変動の緩和又は影響軽減を目的とした取り組みが継続され、この実現に向けて二酸化炭素の排出量低減に関する研究開発が行われている。この観点から、微細藻類が着目されている。微細藻類は、光合成によって二酸化炭素を消費するからである。従って、微細藻類を培養する培養システムは、気候変動の緩和又は影響軽減に寄与するシステムとして期待されている。
【0003】
培養システムは、微細藻類を培養するための培養装置を備える。特許文献1及び特許文献2に記載されるように、培養装置は、培養液及び微細藻類を収容した収容部と、培養液内にガスを供給するガス供給部とを有する。多くの場合、ガスとして、二酸化炭素を含むガスが用いられる。微細藻類に二酸化炭素を供給し、該微細藻類に光合成を行わせるためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4-370087号公報
【特許文献2】特開平8-38156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
培養液中に二酸化炭素を万遍なく拡散させるため、培養液を撹拌することが好ましい。そこで、例えば、培養液に対流を生じさせ、この対流によって培養液を撹拌することが考えられる。しかしながら、この場合、培養液中のガス供給部の位置によっては、対流が阻害される場合があり得る。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、培養液中で微細藻類を培養する培養装置であって、前記培養液及び前記微細藻類を収容可能な収容部と、前記収容部の内部に設けられ、前記収容部の深さ方向に沿って延在するガイド部と、前記ガイド部における前記深さ方向の下部でガスを供給するガス供給部と、を備え、前記ガス供給部は、前記ガイド部の前記深さ方向における上部から前記下部まで前記ガイド部に沿って延在する延在管部を有し、前記培養液中に供給された前記ガスによって前記培養液の対流が生じ、前記対流のうち前記収容部における前記深さ方向の前記下部から前記収容部における前記深さ方向の前記上部に向かう上昇流が通過する部分を上昇流領域とするとき、前記ガス供給部の前記延在管部は、前記ガイド部に沿って前記上昇流領域に配置される、培養装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明においては、ガス供給部の延在管部が上昇流領域に配置されているため、微細藻類がガイド部に堆積することが回避される。従って、培養液中では、微細藻類が対流に乗じて撹拌される。しかも、対流によってガスが培養液に十分に拡散されて溶解される。以上のような理由から、微細藻類の培養が促進される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施形態に係る培養装置を水平方向の一方向に沿って見た概略断面図である。
図2図2は、培養装置を水平方向の別の一方向に沿って見た概略断面図である。
図3図3は、培養装置を構成するガイド部及び延在管部を示す要部概略斜視図である。
図4図4は、図3中のIV-IV線断面図である。
図5図5は、図3中のV-V線断面図である。
図6図6は、図3中のVI-VI線断面図である。
図7図7は、図1図3に示される末端形状と異なる末端形状を有する延在管部の要部拡大図である。
図8図8は、変形例に係る培養装置を図2と同一方向から見た概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本実施形態に係る培養装置100を矢印X方向に沿って見た概略断面図である。図2は、培養装置100を矢印Y方向に沿って見た概略断面図である。ここで、矢印X方向及び矢印Y方向は、互いに直交する水平方向である。なお、矢印Z方向は、槽部10の深さ方向である。図1及び図2に示した態様では、槽部10の深さ方向(矢印Z方向)は鉛直方向である。従って、この態様では、矢印Z方向は、矢印X方向及び矢印Y方向に対してそれぞれ直交する。
【0011】
図1及び図2に示すように、培養装置100は、槽部10と、該槽部10を保持する保持フレーム20(図2参照)とを備える。先ず、保持フレーム20について概略説明する。保持フレーム20の下部は、2個の下梁部22aと、2個の下桁部24aと、2個の補強用下桁部26aとを有する。なお、図2においては、2個の下梁部22aのうち1個が示されており、2個の下梁部22aのうち残る1個は示されていない。
【0012】
下梁部22aには、2個の柱部28の下端が接合される。2個の下桁部24aは、2個の下梁部22aのうち1個に接合された柱部28の下端と、2個の下梁部22aのうち残る1個(不図示)に接合された柱部28(不図示)の下端との間に介在する。2個の補強用下桁部26aは、2個の下桁部24aよりも外側に位置する。
【0013】
保持フレーム20の上部は、2個の上梁部22bと、2個の上桁部24bと、2個の補強用上桁部26bとを有する。1個の上梁部22bには、2個の柱部28の上端が接合される。下梁部22aと同様に、図2においては、2個の上梁部22bのうち1個が示されており、2個の上梁部22bのうち残る1個は示されていない。
【0014】
2個の上桁部24bは、2個の上梁部22bのうち1個に接合された柱部28の上端と、2個の上梁部22bのうち残る1個(不図示)に接合された柱部28(不図示)の上端との間に介在する。2個の補強用上桁部26bは、2個の上梁部22bよりも外側に位置する。保持フレーム20の上部は、支持桁部30をさらに有する。支持桁部30は、2個の上桁部24bの間に位置し、且つ2個の上梁部22bに連なる。
【0015】
下梁部22a及び上梁部22bは、矢印Y方向に沿って延在する。下桁部24a、補強用下桁部26a、上桁部24b、補強用上桁部26b及び支持桁部30は、矢印X方向に沿って延在する。
【0016】
次に、槽部10について説明する。上記したように、図1及び図2に示した態様では、槽部10の深さ方向(矢印Z方向)は鉛直方向である。このため、この態様では、深さ方向における下部(下方)は、鉛直方向における下部(下方)に対応する。同様に、深さ方向における上部(上方)は、鉛直方向における上部(上方)に対応する。
【0017】
槽部10は、図2に示す貯水部40と、収容部42とを有する。貯水部40と収容部42とは、区画部44を介して区分されている。貯水部40、収容部42及び区画部44は、例えば、可撓性及び透光性を示す素材から形成されている。そのような素材の典型例は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)である。
【0018】
貯水部40の内部は、貯留水Wを貯留するスペースである。収容部42の内部は、微細藻類及び培養液Lを収容するスペースである。微細藻類の具体例としては、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許生物寄託センターに寄託した「HondaDREAMO株」が挙げられる。製品評価技術基盤機構特許生物寄託センターの所在地は、千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室である。HondaDREAMO株の受託日は2016年4月22日であり、受託番号はFERM BP-22306である。この場合、培養液Lは、典型的には水である。
【0019】
槽部10の底部は、2個の下桁部24aによって下方から支持される。また、2個の上桁部24bには、図示しない第1クランプがそれぞれ設けられる。第1クランプは、収容部42又は貯水部40の上縁部を把持する。支持桁部30には、図示しない第2クランプが設けられる。第2クランプは、区画部44の上縁部を把持する。以上により、槽部10が保持フレーム20に支持される。第1クランプ及び第2クランプは、貯水部40に貯留水Wが貯留され且つ収容部42に培養液Lが収容されたとき、槽部10が垂れ下がることを防止する。
【0020】
図1及び図2に示すように、収容部42には、ガイド部50が挿入される。本実施形態においては、図1に示すように、ガイド部50が4個である場合を例示する。しかしながら、ガイド部50の個数は4個に限定されない。ガイド部50の個数は1~3個であってもよい。又は、ガイド部50の個数は4個以上であってもよい。
【0021】
以下では、図1における最左方に位置するガイド部50を第1ガイド部50aと呼ぶことがある。第1ガイド部50aの右隣に配置されたガイド部50を第2ガイド部50bと呼び、第2ガイド部50bの右隣に配置されたガイド部50を第3ガイド部50cと呼ぶことがある。図1における最右方に位置するガイド部50を第4ガイド部50dと呼ぶことがある。
【0022】
第1ガイド部50a~第4ガイド部50dは、収容部42の水平方向に沿った幅方向(矢印X方向)において、間隔を置いて並べられている。第1ガイド部50aと第2ガイド部50bとの間隔と、第2ガイド部50bと第3ガイド部50cとの間隔と、第3ガイド部50cと第4ガイド部50dとの間隔と、第4ガイド部50dと収容部42の右内面42Rとの間隔は、互いに略同じである。
【0023】
ガイド部50につき、図3図6も参照して説明する。図3に示すように、ガイド部50は、ガイド本体52と、偏向部54と、略逆U字形状の被保持部56と、ガイド本体52に設けられた支持部60とを有する。
【0024】
ガイド本体52は、保持フレーム20の柱部28と同様に、収容部42の深さ方向(矢印Z方向/鉛直方向)に沿って延在する。本実施形態において、ガイド本体52は、第1壁部62、第2壁部64及び第3壁部66を有する。第1壁部62及び第2壁部64は、互いに向かい合う。第3壁部66は、第1壁部62及び第2壁部64のそれぞれに対し、略直交するように連なる。従って、第1壁部62と第2壁部64とは、略平行関係にある。このため、深さ方向に対して直交する方向(矢印X方向又は矢印Y方向)に沿って切断された状態のガイド本体52を深さ方向から見たとき、図4図6に示すように、第1壁部62、第2壁部64及び第3壁部66によってU字形状が形成される。
【0025】
図3に示すように、ガイド本体52において、深さ方向の下端と、延在方向の一端とは開口している。この開口により、ガイド本体52に取込口70が形成されている。ガイド本体52の中空内部53は、取込口70を介して、収容部42の内部に向かって開放されている。なお、ガイド本体52は、深さ方向の下端のみが取込口70として開口した筒形状体であってもよい。また、ガイド本体52は、第1壁部62又は第2壁部64のいずれか一方と、第3壁部66とで形成されてもよい。この場合、ガイド本体52を矢印X方向に沿って切断したとき、ガイド本体52を矢印Z方向から見た断面は、略L字形状となる。
【0026】
図1図6に示すように、ガイド本体52において、中空内部53を形成する内面には、支持部60が設けられている。図示例において、支持部60は、第3壁部66の内面に設けられている。しかしながら、支持部60は、第1壁部62の内面又は第2壁部64の内面に設けられてもよい。
【0027】
図1図3に示すように、支持部60は、最下支持部60aと、中間支持部60bと、最上支持部60cとを有する。すなわち、本実施形態において、支持部60の個数は3個である。しかしながら、支持部60の個数は特に限定されない。最下支持部60aは、ガイド本体52の深さ方向において最も下方に位置する。中間支持部60bは、ガイド本体52の深さ方向において略中間に位置する。最上支持部60cは、ガイド本体52の深さ方向において最も上方に位置する。
【0028】
図4図6に示すように、最下支持部60a、中間支持部60b及び最上支持部60cの各々は、第3壁部66の内面から、矢印X方向に沿って取込口70に向かって突出する突出部67a、突出部67b及び突出部67cをそれぞれ有する。突出部67a、突出部67b及び突出部67cの突出量T1、突出量T2及び突出量T3は、それぞれ、ガイド本体52の中空内部53に収まる大きさである。換言すれば、最下支持部60a、中間支持部60b及び最上支持部60cが、取込口70からガイド本体52の外部に露出することはない。本実施形態において、突出部67a~67cの突出量T1~T3は、互いに略同じである。しかしながら、突出量T1~T3は互いに相違してもよい。
【0029】
図4に示すように、突出部67aには、深さ方向(矢印Z方向)に沿って延びる第1貫通孔68aが形成されている。第1貫通孔68aの直径を、D1とする。図5及び図6に示すように、突出部67b及び突出部67cには、第2貫通孔68b及び第3貫通孔68cがそれぞれ形成されている。第2貫通孔68b及び第3貫通孔68cの直径を、それぞれ、D2及びD3とする。直径D2及び直径D3は、直径D1よりも大きい。従って、第1貫通孔68aの開口面積は、第2貫通孔68b及び第3貫通孔68cの開口面積よりも小さい。直径D2及び直径D3は、例えば、互いに等しい。直径D2及び直径D3は、互いに相違してもよい。
【0030】
偏向部54は、ガイド本体52の深さ方向上端において、深さ方向に対して略90°屈曲する。偏向部54は、ガイド本体52の深さ方向上端から、矢印X方向に向かって突出する。これにより、偏向部54は、取込口70の深さ方向上端に位置し、取込口70の天井壁部を形成している。偏向部54には、深さ方向に沿って延びる挿通孔72が形成される。挿通孔72の直径は、後述する延在管部84pの外径DGAより若干大きく、例えば、直径D2及び直径D3と等しい。挿通孔72の直径は、直径D2及び直径D3より小さくてもよい。
【0031】
図3に示すように、第1壁部62及び第2壁部64の深さ方向に沿った長さは、第3壁部66の深さ方向に沿った長さよりも大きい。被保持部56は、第1壁部62及び第2壁部64の深さ方向上端に設けられる。図2に示すように、被保持部56は、保持フレーム20の2個の上桁部24bに引っ掛けられる。この引っ掛けにより、ガイド部50が保持フレーム20に保持される。
【0032】
培養装置100は、図1及び図3に示すガス供給装置80を備える。ガス供給装置80は、管状のガス供給部84と、ガス供給部84の一端に接続されるガス供給源86とを有する。ガス供給部84は、ガイド部50に沿って延びる延在管部84pを有する。延在管部84pの末端部には、ガス吐出口88が開口する。本態様において、延在管部84pは略直管形状である。従って、ガス吐出口88は、深さ方向の下方を向く。具体的に、ガス吐出口88は、収容部42の底部42Bを向く。
【0033】
図4図6に示すように、延在管部84pは外径DGAを有する。挿通孔72の直径、第3貫通孔68cの直径D3及び第2貫通孔68bの直径D2は、外径DGAよりも大きい。一方、第1貫通孔68aの直径D1は、外径DGAと同程度か、それよりも若干小さい程度である。
【0034】
延在管部84pは、ガイド部50の中空内部53中で位置決め固定される。具体的に、ガイド部50には、図3に示すように、第1壁部62、第2壁部64及び被保持部56によって囲まれる枠内空間69が形成される。ガス供給部84は、枠内空間69と、偏向部54に形成された挿通孔72とに挿通される。ガス供給部84の延在管部84pは、最上支持部60cの第3貫通孔68cと、中間支持部60bの第2貫通孔68bとに挿通される(図4図6参照)。挿通孔72(図3参照)の直径、第3貫通孔68cの直径D3(図6参照)及び第2貫通孔68bの直径D2(図5参照)が、延在管部84pの外径DGAよりも大きいので、以上の挿通は容易である。
【0035】
図4に示すように、第1貫通孔68aの直径D1は、延在管部84pの外径DGAと同程度か、又は、若干大きい程度である。このため、延在管部84pの第1貫通孔68aへの挿通は容易ではない。従って、この挿通は、例えば、軽圧入となる。このため、延在管部84pが第1貫通孔68aから離脱することは困難である。また、延在管部84pが第1貫通孔68a内で回転することも困難である。
【0036】
図1図3に示した態様では、延在管部84pにおいて、ガス吐出口88を含む末端部は略直管形状である。しかしながら、延在管部84pの末端部は、図7に示すように、深さ方向上方に向かうように湾曲部89を有する形状であってもよい。この場合、ガス吐出口88は、深さ方向の上方を向く。図7では湾曲部89を誇張しているが、湾曲部89は、培養液Lの対流を阻害しない程度に小さいことが好ましい。
【0037】
第1ガイド部50a~第4ガイド部50dが収容部42に挿入されたとき、図1に示すように、第1ガイド部50a~第4ガイド部50dの取込口70は全て、同一方向を向く。具体的に、第1ガイド部50aの取込口70は、第2ガイド部50bを向く。第2ガイド部50bの取込口70は、第3ガイド部50cを向く。第3ガイド部50cの取込口70は、第4ガイド部50dを向く。第4ガイド部50dの取込口70は、収容部42の右内面42Rを向く。なお、第1ガイド部50aの第3壁部66は、収容部42の左内面42Lに近接するように配置される。
【0038】
第1ガイド部50aにおける偏向部54は、第2ガイド部50bに向かって突出する。第2ガイド部50bにおける偏向部54は、第3ガイド部50cに向かって突出する。第3ガイド部50cにおける偏向部54は、第4ガイド部50dに向かって突出する。第4ガイド部50dにおける偏向部54は、収容部42の右内面42Rに向かって突出する。
【0039】
本実施形態に係る培養装置100は、基本的には以上のように構成される。次に、微細藻類の培養について説明する。
【0040】
保持フレーム20及び槽部10は、例えば、屋外に設置される。この場合、太陽光が収容部42に入射する。なお、屋内において、人工光を収容部42に照射してもよい。
【0041】
この状態で、微細藻類の培養を行う。具体的に、ガス供給源86(図1参照)から、例えば、二酸化炭素を含むガスが供給される。ガスはガス供給部84を流通し、第1ガイド部50a~第4ガイド部50dにおけるガイド本体52の中空内部53において、ガス吐出口88から吐出される。
【0042】
図1に模式的に示すように、ガス供給部84から導出されたガスは気泡90となる。気泡90は、ガイド本体52の中空内部53に沿って上昇する。ここで、ガイド本体52には取込口70が形成されている。このため、気泡90が上昇するとき、図1に矢印Sで示すように、気泡90の周囲の培養液Lが、取込口70から取り込まれる。すなわち、気泡90の周囲の培養液Lが気泡90に巻き込まれる。巻き込まれた培養液Lは、ガイド本体52に沿って上昇する。すなわち、ガイド本体52の中空内部53には、上昇流が通過する。
【0043】
取込口70の深さ方向上端には、天井壁部として偏向部54が設けられている。図1における最左方の第1ガイド部50aと、該第1ガイド部50aに隣接する第2ガイド部50bとを例として説明すると、第1ガイド部50aにおける偏向部54は、第2ガイド部50bに向かって突出している。従って、培養液Lは、気泡90によって第1ガイド部50aにおけるガイド本体52に案内されて上昇した後、偏向部54により、第2ガイド部50bに向う。すなわち、培養液Lは、深さ方向上方に向かって流れた後、水平方向に沿って流れる。このとき、偏向部54の挿通孔72の直径が延在管部84pの外径DGAより若干大きい程度であるので、ほとんどの培養液Lは、挿通孔72から偏向部54の上方に流れ出ることなく、水平方向に沿って流れる。このように、偏向部54により、気泡90及び培養液Lの進行方向が変更される。このように、偏向部54は、気泡90(ガス)及び培養液Lを、ガイド部50が並ぶ幅方向の一方に向かわせる役割を果たす。以上の結果、収容部42において、液面に水平流が生じる。
【0044】
第2ガイド部50bに向かった気泡90及び培養液Lは、第2ガイド部50bにおけるガイド本体52の第3壁部66の外面に接触する。培養液Lは、第3壁部66の外面に沿って下降する。すなわち、下降流が生じる。下降した培養液Lは、上記したように、第1ガイド部50aにおいてガス供給部84から導出されたガスに巻き込まれる。従って、第2ガイド部50bの第3壁部66の外面に沿って下降した培養液Lは、第1ガイド部50aに向かって引き寄せられる。
【0045】
第1ガイド部50aに向かって引き寄せられた培養液Lは、第1ガイド部50aの中空内部53を上昇する気泡90に巻き込まれる。これにより、培養液Lが再上昇する。以上の経緯に基づき、図1に矢印Aで示すように、第1ガイド部50aと第2ガイド部50bとの間で小対流が発生する。同様に、第2ガイド部50bと第3ガイド部50cとの間にも小対流が発生する。第3ガイド部50cと第4ガイド部50dとの間にも、小対流が発生する。第4ガイド部50dと収容部42の右内面42Rとの間にも、小対流が発生する。
【0046】
4個の小対流が複合することにより、収容部42内において、矢印Bで示すように大対流が発生する。このとき、第1ガイド部50a~第4ガイド部50dがそれぞれ第1壁部62及び第2壁部64を有しているので、気泡90及び培養液Lがガイド本体52から漏れ出すことが回避される。その結果、良好に大対流を発生させることができる。小対流及び大対流により、気泡90が拡散する。すなわち、ガスに含まれる二酸化炭素が培養液Lの全体に拡散し、且つ培養液Lに十分に溶解する。また、小対流及び大対流により、微細藻類が撹拌される。このため、微細藻類が沈殿又は凝集することが防止される。
【0047】
ここで、ガイド本体52の中空内部53には、上記から理解されるように、小対流又は大対流のうち上昇流が通る。換言すれば、中空内部53は上昇流領域UAである。このため、中空内部53内の延在管部84p、最下支持部60a、中間支持部60b及び最上支持部60cは、上昇流領域UAに位置している。上昇流領域UAでは、微細藻類は上昇流に乗じて上昇する。従って、延在管部84p、最下支持部60a、中間支持部60b及び最上支持部60cにおいて、微細藻類が堆積又は凝集することが回避される。
【0048】
以上のような理由から、微細藻類が収容部42の全体において良好に培養される。微細藻類は、培養の最中、光合成を活発に行うことに基づいて二酸化炭素を十分に固定する。これにより、二酸化炭素が消費される。以上のような理由から、培養装置100にて微細藻類を培養することにより、二酸化炭素を低減することができる。その結果として、培養装置100は、気候変動の緩和又は影響軽減に寄与することができる。
【0049】
また、上記のようにして微細藻類を撹拌することができるので、本実施形態では、収容部42に撹拌翼及びモータ等を設ける必要がない。従って、保持フレーム20の剛性を過度に大きくする必要がない。このため、培養装置100の小規模化と、設備投資の低廉化とを図ることができる。
【0050】
延在管部84pは、第1貫通孔68a、第2貫通孔68b及び第3貫通孔68cに通されることに基づいて、最下支持部60a、中間支持部60b及び最上支持部60cに支持されている。特に、延在管部84pは、第1貫通孔68aに対し、例えば、軽圧入によって嵌合されている。この嵌合により、延在管部84pの第1貫通孔68aからの抜け止めがなされている。以上のように、延在管部84pは、第1貫通孔68a~第3貫通孔68cに挿通されることで位置決め固定されている。このような理由から、中空内部53内で上昇流に接触する延在管部84pが、ガイド本体52から離脱することが回避される。
【0051】
本実施形態は、以下の効果を奏する。
【0052】
培養液L中で微細藻類を培養する培養装置100は、培養液L及び微細藻類を収容可能な収容部42と、収容部42の内部で該収容部42の深さ方向(矢印Z方向)に沿って延在するガイド部50と、ガイド部50における深さ方向の下部でガスを供給するガス供給部84とを備える。ガス供給部84は、延在管部84pを有する。延在管部84pは、ガイド部50の深さ方向における上部から下部までガイド部50に沿って延在する。
【0053】
培養液L中に供給されたガスによって、培養液Lに対流(小対流A及び大対流B)が生じる。この対流のうち、収容部42における深さ方向の下部から収容部42における深さ方向の上部に向かう上昇流が通過する部分を、上昇流領域UAとする。ガス供給部84の延在管部84pは、ガイド部50に沿って上昇流領域UAに配置される。
【0054】
対流のうち下降流が通過する部分では、微細藻類が収容部42の底部に向かう。従って、微細藻類が比較的容易に堆積する。しかしながら、上記から理解されるように、延在管部84pは、下降流が通過する部分に配置されていない。従って、ガイド部50に微細藻類が堆積することが回避される。
【0055】
従って、微細藻類が対流に乗じて撹拌される。しかも、対流によってガスが培養液Lに十分に拡散されて溶解される。以上のような理由から、微細藻類の培養が促進される。
【0056】
ガスが二酸化炭素を含有する場合、微細藻類が活発に光合成を行うと、微細藻類が多量の二酸化炭素を固定する。換言すれば、多量の二酸化炭素が消費される。このため、培養装置は、気候変動の緩和又は影響軽減に寄与することができる。
【0057】
さらに、上記のようにして培養液Lが撹拌されるので、収容部42に撹拌翼及びモータ等を設ける必要がない。従って、保持フレーム20の剛性を過度に大きくする必要がない。このため、培養装置100の小規模化と、設備投資の低廉化とを図ることができる。
【0058】
ガイド部50は、深さ方向に沿って延びるガイド本体52を有する。上記したように、本実施形態では、ガイド本体52は、互いに向かい合う第1壁部62及び第2壁部64と、第1壁部62と第2壁部64との間に介在する第3壁部66とを有する。第3壁部66は、第1壁部62及び第2壁部64に対し、略直交するように連なる。このため、ガイド本体52を深さ方向に対して直交する方向に沿って切断したときの断面に、第1壁部62、第2壁部64及び第3壁部66により、U字形状が形成される。U字形状の内部であるガイド本体52の中空内部53は、上昇流領域UAの一部である。
【0059】
この場合、ガイド部50におけるガイド本体52の中空内部53が上昇流領域UAとなる。従って、ガイド部50が上昇流を遮ることが回避される。
【0060】
ガイド部50は、ガス供給部84の延在管部84pをガイド本体52に位置決め固定する1以上の支持部60を有する。1以上の支持部60は、第3壁部66の内面に設けられる。代替的に、1以上の支持部60は、第1壁部62の内面又は第2壁部64の内面に設けられてもよい。
【0061】
支持部60により、延在管部84pをガイド部50に支持することが容易である。また、この場合、支持部60が上昇流領域UAに位置する。上昇流領域UAでは微細藻類が上昇しているので、支持部60に微細藻類が堆積することを回避することができる。
【0062】
1以上の支持部60は、第3壁部66の内面からガイド本体52の中空内部53に向かって突出した突出部67a、突出部67b及び突出部67cを有する。突出部67a、突出部67b及び突出部67cには、第1貫通孔68a、第2貫通孔68b及び第3貫通孔68cがそれぞれ形成される。第1貫通孔68a、第2貫通孔68b及び第3貫通孔68cは、延在管部84pを支持する。
【0063】
第1貫通孔68a、第2貫通孔68b及び第3貫通孔68cに延在管部84pを挿通することにより、ガス供給部84をガイド部50に容易に支持することができる。
【0064】
1以上の支持部60は、ガイド本体52の延在方向に沿って並べられた最下支持部60a、中間支持部60b及び最上支持部60cを有する。深さ方向の最下方に位置する最下支持部60aに形成された第1貫通孔68aの開口面積は、中間支持部60bに形成された第2貫通孔68bの開口面積よりも小さく、且つ最上支持部60cに形成された第3貫通孔68cの開口面積よりも小さい。
【0065】
この構成において、第2貫通孔68b及び第3貫通孔68cの開口面積を、それぞれ、延在管部84pが挿通可能な程度の大きさとする。且つ第1貫通孔68aの開口面積を、延在管部84pが軽圧入によって嵌合可能な程度の大きさとする。この場合、延在管部84pが第1貫通孔68aから離脱することは容易ではない。これにより、ガス供給部84をガイド部50に位置決め固定することが容易である。
【0066】
ガス供給部84の延在管部84pは、収容部42に向けてガスを吐出するガス吐出口88を有する。ガス吐出口88は、収容部42の底部42Bに向かって開口する。
【0067】
上記の構成によれば、延在管部84pを、直線状に延在する略直管形状とすることができる。すなわち、延在管部84pに折曲部を設ける必要がない。従って、折曲部によって培養液Lの対流が阻害される懸念が払拭される。なお、延在管部84pに折曲部を設ける場合、折曲部の大きさは、該折曲部が培養液Lの対流を阻害しない程度であればよい。
【0068】
ガイド部50は、ガス供給部84の延在管部84pから供給されたガスを水平方向に向かわせる偏向部54を有する。偏向部54は、ガイド部50における深さ方向の上部に配置される。且つ偏向部54は、ガス供給部84が挿通される挿通孔72を有する。
【0069】
偏向部54により、図1に示すように、上昇流の流れ方向が水平方向に変更される。このため、対流を生じさせることが容易である。
【0070】
図1図7は、槽部10の深さ方向(矢印Z方向)が鉛直方向(重力方向)に略一致している態様を示している。これに対し、図8に示す培養装置110においては、槽部10が、傾斜した保持フレーム120に支持される。その結果、培養装置110では、槽部10の深さ方向(矢印Z方向)が鉛直方向に対して傾斜している。この態様では、太陽光の受光面積が大きくなる。また、この態様においても、図1図7に示す態様と同様の効果が得られる。
【0071】
上述した開示に関し、更に以下の付記を開示する。
【0072】
(付記1)
培養液(L)中で微細藻類を培養する培養装置(100)は、前記培養液及び前記微細藻類を収容可能な収容部(42)と、前記収容部の内部に設けられ、前記収容部の深さ方向(Z)に沿って延在するガイド部(50)と、前記ガイド部における前記深さ方向の下部でガスを供給するガス供給部(84)と、を備える。前記ガス供給部は、前記ガイド部の前記深さ方向における上部から前記下部まで前記ガイド部に沿って延在する延在管部(84p)を有する。前記培養液中に供給された前記ガスによって前記培養液の対流(A、B)が生じる。前記対流のうち前記収容部における前記深さ方向の前記下部から前記収容部における前記深さ方向の前記上部に向かう上昇流が通過する部分を、上昇流領域(UA)とする。前記ガス供給部の前記延在管部は、前記ガイド部に沿って前記上昇流領域に配置される。
【0073】
ガス供給部の延在管部が上昇流領域に配置されているので、微細藻類がガイド部に堆積することが回避される。従って、微細藻類が対流に乗じて撹拌される。しかも、対流によってガスが培養液に十分に拡散されて溶解される。以上のような理由から、微細藻類の培養が促進される。
【0074】
(付記2)
付記1に記載の培養装置において、前記ガイド部は、前記深さ方向に沿って延びるガイド本体(52)を有し、前記ガイド本体は、互いに向かい合う第1壁部(62)及び第2壁部(64)と、前記第1壁部と前記第2壁部との間に介在し且つ前記第1壁部及び前記第2壁部に連なる第3壁部(66)とを有してもよい。前記第1壁部、前記第2壁部及び前記第3壁部により、前記深さ方向に対して直交する方向に沿って該ガイド本体を切断したときの断面がU字形状をなし、前記ガイド本体の中空内部(53)は、前記上昇流領域の一部であってもよい。
【0075】
この場合、ガイド部のガイド本体が上昇流領域となる。従って、ガイド部が対流の妨げとなることが回避される。
【0076】
(付記3)
付記2に記載の培養装置において、前記ガイド部は、前記ガス供給部の前記延在管部を前記ガイド本体に位置決め固定する1以上の支持部(60)を有し、前記1以上の支持部は、前記第1壁部の内面、前記第2壁部の内面、又は前記第3壁部の内面に設けられてもよい。
【0077】
支持部により、延在管部をガイド部に容易に支持することができる。また、この場合、支持部が上昇流領域に位置する。従って、支持部に微細藻類が堆積することを回避することもできる。
【0078】
(付記4)
付記3に記載の培養装置において、前記1以上の支持部は、前記第1壁部の内面、前記第2壁部の内面、又は前記第3壁部の内面から前記ガイド本体の中空内部に向かって突出した突出部(67a~67c)と、前記突出部に形成されて前記ガイド本体の前記深さ方向に沿って延びる貫通孔(68a~68c)とを有し、前記貫通孔は前記ガス供給部の前記延在管部を支持してもよい。
【0079】
貫通孔に延在管部を挿通することにより、ガス供給部をガイド部に容易に支持することができる。
【0080】
(付記5)
付記3又は付記4に記載の培養装置において、前記1以上の支持部は、前記ガイド本体の延在方向に沿って並べられた複数個の支持部(60a~60c)を有し、前記複数個の支持部のうち前記深さ方向の最下方に位置する支持部を最下支持部(60a)とするとき、前記最下支持部に形成された貫通孔(68a)の開口面積は、前記最下支持部以外の支持部(60b、60c)に形成された貫通孔(68b、68c)の開口面積よりも小さくてもよい。
【0081】
この構成において、例えば、最下支持部以外の支持部に形成された貫通孔の開口面積を、延在管部が挿通可能な程度の大きさとする。且つ最下支持部に形成された貫通孔の開口面積を、例えば、延在管部が軽圧入によって嵌合可能な程度の大きさとする。従って、延在管部が最下支持部の貫通孔から離脱することは容易ではない。
【0082】
以上から理解されるように、この構成では、最下支持部以外の支持部に形成された貫通孔に延在管部を通すことに基づいて、延在管部が位置決めされる。また、最下支持部に形成された貫通孔に延在管部を嵌合することに基づいて、延在管部の貫通孔からの抜け止めがなされる。以上により、ガス供給部が位置決め固定される。このように、この構成によれば、ガス供給部をガイド部に位置決め固定することが容易である。
【0083】
(付記6)
付記1~付記5のいずれかに記載の培養装置において、前記ガス供給部の前記延在管部は、前記収容部に向けてガスを吐出するガス吐出口(88)を有し、前記ガス吐出口は、前記収容部の底部(42B)に向かって開口してもよい。
【0084】
上記の構成によれば、延在管部を略直管形状とすることができる。すなわち、延在管部に折曲部を設ける必要がない。従って、折曲部によって培養液の対流が阻害される懸念が払拭される。
【0085】
(付記7)
付記1~付記6のいずれかに記載の培養装置において、前記ガイド部は、前記ガス供給部の前記延在管部から供給された前記ガスを水平方向に向かわせる偏向部(54)を有し、前記偏向部は、前記ガイド部における前記深さ方向の前記上部に配置され、且つ前記偏向部は、前記ガス供給部が挿通される挿通孔(72)を有してもよい。
【0086】
偏向部により、上昇流の流れ方向が水平方向に変更される。このため、対流を生じさせることが容易である。
【0087】
しかも、ガス供給部が挿通孔に通されることで、延在管部が上昇流領域に配置される。これに対し、ガス供給部において、偏向部よりも上方の部分は、挿通孔を介して培養液の外方に露出する。従って、培養液内において、ガス供給部が、上昇流領域以外の領域に位置することが回避される。このため、ガス供給部によって対流が阻害されることが回避される。
【0088】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0089】
10…槽部 20、120…保持フレーム
40…貯水部 42…収容部
42B…底部 50、50a~50d…ガイド部
52…ガイド本体 53…中空内部
54…偏向部 56…被保持部
60、60a~60c…支持部 62…第1壁部
64…第2壁部 66…第3壁部
67a~…67c突出部 68a~68c…貫通孔
70…取込口 72…挿通孔
80…ガス供給装置 84…ガス供給部
84p…延在管部 86…ガス供給源
88…ガス吐出口 90…気泡
100、110…培養装置 L…培養液
W…貯留水 UA…上昇流領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8