(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112344
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】吊りボルト取付部材及び電気電子機器収納用キャビネット
(51)【国際特許分類】
H05K 5/02 20060101AFI20240814BHJP
H02B 1/30 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
H05K5/02 N
H02B1/30 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017248
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 宏野
(72)【発明者】
【氏名】宮副 勉
(72)【発明者】
【氏名】村田 聡
(72)【発明者】
【氏名】澤井 良介
【テーマコード(参考)】
4E360
5G016
【Fターム(参考)】
4E360AB11
4E360AB52
4E360ED18
4E360FA05
4E360GA11
4E360GB91
5G016AA03
5G016CA07
(57)【要約】
【課題】吊りボルトを用いて電気電子機器収納用キャビネットを吊り上げる場合に、吊りボルトに対して斜め上方向に力が掛けられてもフレーム枠体の変形を抑制できるようにすること。
【解決手段】電気電子機器収納用キャビネットに備えられたフレーム枠体の上部に位置するコーナー部に取り付けられる吊りボルト取付部材であって、吊りボルトが装着される穴部を備えた吊りボルト取付面と、吊りボルト取付面の端部から下方に延びる補強部と、を備え、補強部には、フレーム枠体の水平フレームの側面と当接して接続可能なフレーム側面当接部と、フレーム枠体の水平フレームの下面と当接可能なフレーム下面当接部と、を備え、フレーム枠体の上部で異なる方向に延びる二つの水平フレームの一方の側面及び下面に接することが可能であるとともに、他方の水平フレームの側面及び下面に接することが可能である構成とする。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気電子機器収納用キャビネットに備えられたフレーム枠体の上部に位置するコーナー部に取り付けられる吊りボルト取付部材であって、
吊りボルトが装着される穴部を備えた吊りボルト取付面と、吊りボルト取付面の端部から下方に延びる補強部と、を備え、
補強部には、フレーム枠体の水平フレームの側面と当接して接続可能なフレーム側面当接部と、フレーム枠体の水平フレームの下面と当接可能なフレーム下面当接部と、を備え、
フレーム枠体の上部で異なる方向に延びる二つの水平フレームの一方の側面及び下面に接することが可能であるとともに、他方の水平フレームの側面及び下面に接することが可能である吊りボルト取付部材。
【請求項2】
フレーム側面当接部とフレーム下面当接部の水平フレームに対して接続する面は、それぞれ長板状である請求項1に記載の吊りボルト取付部材。
【請求項3】
吊りボルト取付面と角度をつけるように延びる変形抑制部を、吊りボルト取付面の端部であって補強部が設けられていない辺に備えた請求項2に記載の吊りボルト取付部材。
【請求項4】
補強部は複数のアーム部を備え、
アーム部の一つに備えられたフレーム側面当接部と、他のアーム部の一つに備えられたフレーム側面当接部と、を連結するように固定した請求項2又は請求項3に記載の吊りボルト取付部材。
【請求項5】
水平方向に延びる水平フレームと、上下方向に延びる垂直フレームと、を有するフレーム枠体を備えた電気電子機器収納用キャビネットであって、
吊りボルトが装着される穴部を備えた吊りボルト取付部材が、フレーム枠体の上部に位置するコーナー部から異なる方向に延びる二つの水平フレームに掛け渡すように、かつ、前記水平フレームの双方に対して、水平フレームの側面及び下面と接するように取り付けられた電気電子機器収納用キャビネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊りボルト取付部材及び電気電子機器収納用キャビネットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気電子機器収納用キャビネットは、客先への搬出や搬入などの際に吊り上げられることがある。このようなことに対応するために、特許文献1には、フレーム枠体からなる電気電子機器収納用キャビネットのコーナー部に備えた基台金具に吊り下げ金具が付いたボルトを装着することが記載されている。なお、電気電子機器収納用キャビネットを吊り上げるときには、アイボルトと呼ばれる吊りボルトを使用することが一般的である。また、電気電子機器収納用キャビネットの移動の際には、電気電子機器収納用キャビネットの上部の複数のコーナーに取り付けられた吊りボルトに対して掛けられたワイヤなどをクレーンのフックに引っ掛けて、吊り上げることなどがなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
ところで、近年では、材料費や輸送コストを抑えるために、フレーム枠体の軽量化がなされている。このため、フレーム枠体としては強度が低減している場合があった。また、電気電子機器収納用キャビネットに蓄電池などの重量物を収納することも増えている。蓄電池などを備えた電気電子機器収納用キャビネットは重くなるため、吊り上げた際にフレーム枠体にかかる荷重が大きくなる。また、上記したようにクレーンのフックなどを用いて電気電子機器収納用キャビネットを吊り上げる場合、吊りボルトに引っ掛けられたワイヤを筐体の中央の上方に位置するフックに引っ掛けて吊り上げることが多い。この場合、吊りボルトが取り付けられている個所に対して斜め方向に力が掛かる。しかしながら、フレーム枠体の強度が抑えられていたり、電気電子機器収納用キャビネットが重くなっていたりすると、フレーム枠体だけでは斜め方向に係る力に耐えられない場合があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明が解決しようとする課題は、吊りボルトを用いて電気電子機器収納用キャビネットを吊り上げる場合に、吊りボルトに対して斜め上方向に力が掛けられてもフレーム枠体の変形を抑制できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、電気電子機器収納用キャビネットに備えられたフレーム枠体の上部に位置するコーナー部に取り付けられる吊りボルト取付部材であって、吊りボルトが装着される穴部を備えた吊りボルト取付面と、吊りボルト取付面の端部から下方に延びる補強部と、を備え、補強部には、フレーム枠体の水平フレームの側面と当接して接続可能なフレーム側面当接部と、フレーム枠体の水平フレームの下面と当接可能なフレーム下面当接部と、を備え、フレーム枠体の上部で異なる方向に延びる二つの水平フレームの一方の側面及び下面に接することが可能であるとともに、他方の水平フレームの側面及び下面に接することが可能である吊りボルト取付部材とする。
【0007】
また、フレーム側面当接部とフレーム下面当接部の水平フレームに対して接続する面は、それぞれ長板状とすることが好ましい。
【0008】
また、吊りボルト取付面と角度をつけるように延びる変形抑制部を、吊りボルト取付面の端部であって補強部が設けられていない辺に備えた構成とすることが好ましい。
【0009】
また、補強部は複数のアーム部を備え、アーム部の一つに備えられたフレーム側面当接部と、他のアーム部の一つに備えられたフレーム側面当接部と、を連結するように固定した構成とすることが好ましい。
【0010】
また、水平方向に延びる水平フレームと、上下方向に延びる垂直フレームと、を有するフレーム枠体を備えた電気電子機器収納用キャビネットであって、吊りボルトが装着される穴部を備えた吊りボルト取付部材が、フレーム枠体の上部に位置するコーナー部から異なる方向に延びる二つの水平フレームに掛け渡すように、かつ、前記水平フレームの双方に対して、水平フレームの側面及び下面と接するように取り付けられた電気電子機器収納用キャビネットとすることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、吊りボルトを用いて電気電子機器収納用キャビネットを吊り上げる場合に、吊りボルトに対して斜め上方向に力が掛けられてもフレーム枠体の変形を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態における電気電子機器収納用キャビネットの斜視図である。ただし、扉が開いた状態である。
【
図2】
図1に示す電気電子機器収納用キャビネットの分解斜視図である。
【
図3】実施形態の吊りボルト取付部材の斜視図である。
【
図4】
図3に示す吊りボルト取付部材を別方向から見た斜視図である。
【
図6】
図2のV領域を
図5とは異なる方向から見た状態を示す図である。
【
図8】実施形態における電気電子機器収納用キャビネットに取り付けた吊りボルトにワイヤをかけて吊り上げる例を示す図である。
【
図9】
図3に示す吊りボルト取付部材の側面図である。
【
図10】
図3とは異なる吊りボルト取付部材の例の斜視図である。
【
図11】
図10に示す吊りボルト取付部材を別方向から見た斜視図である。
【
図12】
図10及び
図11に示す吊りボルト取付部材をフレーム枠体に取り付けた例を示す図である。
【
図13】
図10及び
図11に示す吊りボルト取付部材をフレーム枠体に取り付けた例を
図12とは異なる方向から見た状態を示す図である。
【
図14】
図10及び
図11に示す吊りボルト取付部材をフレーム枠体に取り付けた例における筐体本体の一部の断面図である。ただし、吊りボルト取付部材にボルトをねじ込んでいる状態である。
【
図15】
図13及び
図10とは異なる吊りボルト取付部材をフレーム枠体に取り付けた例における筐体本体の一部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に発明を実施するための形態を示す。
図1乃至
図6に示されていることから理解されるように、本実施形態の吊りボルト取付部材1は、電気電子機器収納用キャビネット8に備えられたフレーム枠体81の上部に位置するコーナー部に取り付けられる。この吊りボルト取付部材1は、吊りボルト91が装着される穴部11aを備えた吊りボルト取付面11と、吊りボルト取付面11の端部から下方に延びる補強部12と、を備え、補強部12には、フレーム枠体81の水平フレーム81aの側面と当接して接続可能なフレーム側面当接部121と、フレーム枠体81の水平フレーム81aの下面と当接可能なフレーム下面当接部122と、を備え、フレーム枠体81の上部で異なる方向に延びる二つの水平フレーム81aの一方の側面及び下面に接することが可能であるとともに、他方の水平フレーム81aの側面及び下面に接することが可能である。このため、吊りボルト91を用いて電気電子機器収納用キャビネット8を吊り上げる場合に、吊りボルト91に対して斜め上方向に力が掛けられてもフレーム枠体81の変形を抑制できる。
【0014】
また、水平方向に延びる水平フレーム81aと、上下方向に延びる垂直フレーム81bと、を有するフレーム枠体81を備えた電気電子機器収納用キャビネット8であって、吊りボルト91が装着される穴部11aを備えた吊りボルト取付部材1が、フレーム枠体81の上部に位置するコーナー部から異なる方向に延びる二つの水平フレーム81aに掛け渡すように、かつ、前記水平フレーム81aの双方に対して、水平フレーム81aの側面及び下面と接するように取り付けられた構成とする。このため、吊りボルト91を用いて電気電子機器収納用キャビネット8を吊り上げる場合に、吊りボルト91に対して斜め上方向に力が掛けられてもフレーム枠体81の変形を抑制できる。
【0015】
ここで、電気電子機器収納用キャビネット8について説明をする。電気電子機器収納用キャビネット8は、内部に電気電子機器を収納可能な筐体本体80を備えている。なお、一般的に電気電子機器収納用キャビネット8は、遮断器、開閉器、変圧器、継電器、通信装置、計測装置、制御装置、センサ機器、空調機器、サーバ、蓄電池などの電気電子機器と、それを収納する筐体本体80で構成され、例えば、分電盤、配電盤、制御盤、高圧受電設備(キュービクル式高圧受電設備を含む)、システムラックなどをいう。しかしながら、ここでは、電気電子機器収納用キャビネット8に作業用ボックスを含むものとする。なお、作業用ボックスは一般的に、通信装置や照明機器、机、椅子などを備え、内部で人が作業するためのものである。
【0016】
図1及び
図2に示すことから理解されるように実施形態の電気電子機器収納用キャビネット8の筐体本体80は、フレーム枠体81とフレーム枠体81に対して取り付けられる扉82、右側板83、左側板84、天井板85、底板86、背面板87を備えている。なお、扉82はフレーム枠体81に設けた蝶番88を介して、回動自在に取り付けられ、ハンドルやラッチ錠などの鎖錠装置を操作して開閉することが可能な構成となっている。
【0017】
図2に示すことから理解されるように実施形態のフレーム枠体81は、横方向および奥行き方向に延びる八本の水平フレーム81aと、縦方向に延びる四本の垂直フレーム81bを備えており、それらが直方体状に組まれている。このため、フレーム枠体81の上部には、水平フレーム81aと垂直フレーム81bで形成された四つのコーナー部が備えられている。
【0018】
一つのコーナー部は二本の水平フレーム81aと一本の垂直フレーム81bが互いに90度をなすように接続されることで構成されている。このようにしてフレーム枠体81に設けられたコーナー部に吊りボルト取付部材1が固定される。
【0019】
図2に示す例では、電気電子機器収納用キャビネット8の上部に設けられた四つのコーナー部のそれぞれに吊りボルト取付部材1が固定されている。ただし、電気電子機器収納用キャビネット8の上部に設けられた全てのコーナー部に吊りボルト取付部材1が固定されなくてもよい。例えば、二つのコーナー部だけに吊りボルト取付部材1が固定されているようにしてもよい。
【0020】
電気電子機器収納用キャビネット8の上部に設けられたコーナー部の一部にのみ吊りボルト取付部材1を取り付ける場合は、水平フレーム81aで構成される多角形における対角線と対応する角となる位置に設けられたコーナー部に吊りボルト取付部材1を取り付ける構成とするのが好ましい。
【0021】
図3及び
図4に示すことから理解されるように、吊りボルト取付部材1は、アイボルトと呼ばれる吊りボルト91が挿着される穴部11aを備えた吊りボルト取付面11と、吊りボルト取付面11の端部から下方に延びる補強部12と、を備えている。補強部12はフレーム枠体81の水平フレーム81aの側面と当接して接続可能なフレーム側面当接部121と、フレーム枠体81の水平フレーム81aの下面と当接可能なフレーム下面当接部122と、を備えた構成とする。このような構成とすることにより、フレーム枠体81の上部で異なる方向に延びる二つの水平フレーム81aの一方の側面及び下面に接することが可能であるとともに、他方の水平フレーム81aの側面及び下面に接することを可能とする。
【0022】
また、フレーム側面当接部121とフレーム下面当接部122の水平フレーム81aに対して接続する面は、それぞれ長板状とするのが好ましい。このような構成とすることにより、フレーム側面当接部121とフレーム下面当接部122の双方について、水平フレーム81aに対して接触する面積を確保することが可能となる。したがって、吊り上げ時に水平フレーム81aにかかる力を分散することができる。
【0023】
図4に示す例では、補強部12は、吊りボルト取付面11の端部から下方に延びる複数のアーム部12aを備えている。補強部12は複数のアーム部12aを備えた構成でなくてもよいが、強度などを考慮すると、複数のアーム部12aを備えた構成とするのが好ましい。
【0024】
なお、
図3及び
図4に示す吊りボルト取付部材1は、
図5及び
図6に示すことから理解されるように、吊りボルト取付面11の端部のうち、フレーム枠体81の上部で異なる方向に延びる二つの水平フレーム81aの一方と対向する位置となる一辺から吊りボルト取付面11に対して90度をなすように延びるアーム部12aと、吊りボルト取付面11の端部のうち、前記二つの水平フレーム81aの他方と対向する位置となる一辺から吊りボルト取付面11に対して90度をなすように延びるアーム部12aと、を備えている。
【0025】
各々のアーム部12aは、吊りボルト取付面11の下方に延びるように構成されるが、その一部が、フレーム枠体81の水平フレーム81aの側面と当接して接続可能なフレーム側面当接部121となるように構成され、他の一部が、フレーム枠体81の水平フレーム81aの下面と当接可能なフレーム下面当接部122となるように構成されている。
【0026】
吊りボルト取付部材1のフレーム側面当接部121は水平フレーム81aと接した状態を維持するように接続されるが、
図7に示す例では、溶接により接続されている。したがって、水平フレーム81aと吊りボルト取付部材1のフレーム側面当接部121は一体となるように構成されることとなり、吊り上げた際に掛けられる水平方向の力に耐えやすくなる。このため、
図8に示すように電気電子機器収納用キャビネット8が吊り上げられ、ワイヤ92などから吊りボルト取付部材1に斜め方向に力が掛けられても、フレーム枠体81が変形しにくい構成とすることができる。
【0027】
また、吊りボルト取付部材1のフレーム下面当接部122が、水平フレーム81aの下方に位置するため、吊り上げた際に掛けられる上方向の力を水平フレーム81aに対して分散して伝えやすくなる。また、実施形態では、吊りボルト取付部材1のフレーム下面当接部122についても水平フレーム81aと接続されるが、
図7に示す例では、溶接により接続されている。このため、水平フレーム81aに対して吊りボルト取付部材1のフレーム側面当接部121と、フレーム下面当接部122とがしっかりと接続されることになり、吊り上げた際に掛けられる力に耐えやすくなる。
【0028】
なお、実施形態の吊りボルト取付部材1は、金属製の板に対して切断及び折り曲げの加工を加えることで構成されており、一つの部材で構成されている。吊りボルト取付部材1は、複数の部材を組み合わせて構成してもよいが、一つの部材で構成するのが好ましい。
【0029】
図3及び
図4に示す例では、水平方向に延びる吊りボルト取付面11、水平方向に延びる吊りボルト取付面11の端部から垂直方向に延びるフレーム側面当接部121、フレーム側面当接部121の下端から水平方向に延びるフレーム下面当接部122、の全てが一続きとなるように、一枚の板から構成している。したがって、吊りボルト取付面11とフレーム側面当接部121は、板を折り曲げた部分がそれらの境界となっており、フレーム側面当接部121とフレーム下面当接部122についても、板を折り曲げた部分がそれらの境界となっている。
【0030】
また、
図3及び
図9に示す例の吊りボルト取付部材1は、吊りボルト取付面11の端部に設けられる辺のうち、補強部12が設けられる辺とは異なる辺に変形抑制部13を備えている。この変形抑制部13は、吊りボルト取付面11と角度をつけるように延びるものである。変形抑制部13を設けることにより、吊りボルト取付部材1の変形を抑制することが可能となり、フレーム枠体81の変形も抑制することが可能となる。
【0031】
変形抑制部13は、フレーム枠体81の上部で異なる方向に延びる二つの水平フレーム81aの双方に対して非平行となるように延びる構成とすることが好ましい。
図5に示す例では、双方の水平フレーム81aに対して45度をなすように延びる構成となっている。
【0032】
図3及び
図5に示す例の変形抑制部13は、水平フレーム81aと当接しない辺に対して設けられている。変形抑制部13は、この位置とは異なる位置に設けてもよいが、水平フレーム81aと当接しない辺に変形抑制部13を設けるのが好ましい。
【0033】
また、
図9に示す変形抑制部13は、吊りボルト取付面11と90度の角度をつけて延びるように構成されている。しかしながら、変形抑制部13と吊りボルト取付面11とがなす角度が90度以外の角度となるようにしてもよい。ただし、角度があまりない状態よりも、略90度になるように角度をつける方が強度を高めることができる。曲げ加工の作業性を考慮すると、90度より更に角度をつけて折り曲げ加工するとなると作業性が悪くなるため、変形抑制部13は、吊りボルト取付面11と90度の角度をつけるように延びる構成とするのが好ましい。
【0034】
ところで、
図4に示す吊りボルト取付部材1は、吊りボルト取付面11と2つのフレーム側面当接部121とが隣設し合う箇所に、開口14が設けられている。この開口14は、吊りボルト取付部材1をフレーム枠体81の取り付けた状態において、コーナー部の角に配置されることになるが、吊りボルト取付部材1をフレーム枠体81に取り付けた状態においても閉じられるものではない(
図6参照)。
【0035】
この開口14は、フレーム枠体81に対して吊りボルト取付部材1などを組立てた後に塗装を行う場合に、塗装の抜き穴として使用することができる。塗装を行う際には、コーナー部に空気や塗料が溜まりやすくなるが、吊りボルト取付面11と二つのフレーム側面当接部121とが隣設し合う箇所に開口14を設けることで、この部分から空気や塗料が流れ出やすくなる。このため、塗装不良を抑制することができる。
【0036】
ここまでは、水平フレーム81aと吊りボルト取付部材1のフレーム側面当接部121との接続や、水平フレーム81aと吊りボルト取付部材1のフレーム下面当接部122との接続が溶接で行われる例について説明をしているが、水平フレーム81aと吊りボルト取付部材1のフレーム側面当接部121との接続や、水平フレーム81aと吊りボルト取付部材1のフレーム下面当接部122との接続は、溶接以外によっておこなうようにしてもよい。例えば、ねじを用いて吊りボルト取付部材1のフレーム側面当接部121やフレーム下面当接部122を水平フレーム81aと接続してもよい。
【0037】
ねじを用いて吊りボルト取付部材1のフレーム側面当接部121やフレーム下面当接部122を水平フレーム81aと接続する場合、吊りボルト取付部材1にねじ固定用の取付孔12Aを設ける。例えば、フレーム側面当接部121及びフレーム下面当接部122の一方だけに取付孔12Aを設けたり、フレーム側面当接部121及びフレーム下面当接部122に取付孔12Aを設けたりすればよい(
図10及び
図11参照)。
【0038】
フレーム側面当接部121及び/又はフレーム下面当接部122に設けられた取付孔12Aに差し込んだねじを締め付けて吊りボルト取付部材1を水平フレーム81aに固定する場合、一つの水平フレーム81aに対向するフレーム側面当接部121に対して二つ以上のねじを用いて締め付けるか、一つの水平フレーム81aに対向するフレーム下面当接部122に対して二つ以上のねじを用いて締め付けるのが好ましい。もちろん、一つの水平フレーム81aに対向するフレーム側面当接部121に対して二つ以上のねじを用いて締め付けるとともに、一つの水平フレーム81aに対向するフレーム下面当接部122に対して二つ以上のねじを用いて締め付けるようにしてもよい(
図12及び
図13参照)。
【0039】
特に、フレーム側面当接部121及び/又はフレーム下面当接部122の水平フレーム81aに対して接続する面が長板状である場合、その長板状の部分ごとに二つ以上のねじを用いて締め付ける構成とすることが好ましい。
【0040】
締め付け箇所が複数になることにより、電気電子機器収納用キャビネット8が吊り上げられた場合に水平フレーム81aに掛けられる荷重を分散することができる。したがって、フレーム枠体81の変形を抑制することができる。
【0041】
ところで、吊りボルト取付部材1の補強部12に複数のアーム部12aを備える場合、アーム部12aの一つに備えられたフレーム側面当接部121と、他のアーム部12aの一つに備えられたフレーム側面当接部121と、を連結するように固定するのが好ましい。アーム部12aに備えられたフレーム側面当接部121どうしを連結するように固定すれば、アーム部12aに備えられたフレーム側面当接部121の変形を抑制することができる。
【0042】
特に、アーム部12aに備えられたフレーム側面当接部121を水平フレーム81aにねじ固定する場合、アーム部12aに備えられたフレーム側面当接部121どうしを連結するように固定するのが好ましい。このようにすれば、アーム部12aに備えられたフレーム側面当接部121を水平フレーム81aにねじ固定する場合であっても、フレーム側面当接部121が水平フレーム81aに対して移動することを抑制することができる。
【0043】
図11に示す例では、アーム部12aに備えられたフレーム側面当接部121どうしを連結するように固定するために、アーム部12aに備えられたフレーム側面当接部121どうしを当接させて溶接により固定している。ただし、これ以外の方法でアーム部12aに備えられたフレーム側面当接部121どうしを連結するようにしても構わない。例えば、アーム部12aに備えられたフレーム側面当接部121どうしを、別途設けた連結部材でつなぐようにしてもよい。
【0044】
ところで、ここまでの例では、
図7や
図14に示すように、吊りボルト取付面11と、フレーム側面当接部121と、フレーム下面当接部122は、フレーム側面当接部121に対して吊りボルト取付面11の延びる方向と、フレーム下面当接部122の延びる方向が逆となり、断面略Z形状になっている。しかし吊りボルト取付面11と、フレーム側面当接部121と、フレーム下面当接部122は、フレーム側面当接部121に対して吊りボルト取付面11の延びる方向と、フレーム下面当接部122の延びる方向を同じにして、断面略U形状にしてもよい(
図15参照)。
【0045】
また、
図7、
図14、
図15に示す例では、「吊りボルト取付部材1の吊りボルト取付面11とフレーム側面当接部121」が直角をなすように、かつ、「フレーム側面当接部121とフレーム下面当接部122」が直角をなすように板状の部材を折り曲げて形成している。ただし、吊りボルト取付面11とフレーム側面当接部121やフレーム側面当接部121とフレーム下面当接部122は、直角をなすように形成される必要はない。吊りボルト取付部材1は、当接する水平フレーム81aの形状に合わせた形状とすることが好ましい。
【0046】
なお、フレーム枠体81を構成する水平フレーム81aと垂直フレーム81bの形状は、さまざまな形態が考えられるが、水平フレーム81aは、吊りボルト取付部材1のフレーム下面当接部122と当接する面を十分広く備えることが好ましい。
【0047】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。例えば、実施形態では、吊りボルト取付部材の吊りボルト取付面は平面視で略三角形状としているが、吊りボルト取付面の形状はこれに限る必要はない。例えば平面視で四角形状の吊りボルト取付面としてもよい。
【0048】
また、吊りボルト取付部材は、板状の部材を屈曲させて形成する必要はないし、吊りボルト取付部材を、上記した例よりも多く水平フレームに当接するように構成してもよい。
【0049】
また、吊りボルト取付部材のフレーム下面当接部が水平フレーム81aと固定されていない構成としてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 吊りボルト取付部材
11 吊りボルト取付面
11a 穴部
12 補強部
12a アーム部
121 フレーム側面当接部
122 フレーム下面当接部
13 変形抑制部
81 フレーム本体
81a 水平フレーム
81b 垂直フレーム