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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112359
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】連動設定生成システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
G08B17/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017284
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 高嗣
【テーマコード(参考)】
5G405
【Fターム(参考)】
5G405AA01
5G405AA04
5G405AA06
5G405CA22
5G405CA26
5G405CA30
5G405CA53
(57)【要約】
【課題】火災受信機、及び当該火災受信機に接続される複数の防災設備の連動設定に係るユーザの負荷を軽減できる連動設定生成システムを得る。
【解決手段】建物に設置される火災受信機、及び当該火災受信機に接続される複数の防災設備の連動設定を生成する連動設定生成システムであって、火災受信機及び複数の防災設備に関する設備情報、並びに、火災受信機又は複数の防災設備により火災を監視する監視区域を示す監視区域情報の入力を受け付ける入力部と、入力された設備情報及び監視区域情報に含まれる情報を読み取る読取部と、読み取られた設備情報及び監視区域情報に基づいて、火災受信機に設定する、複数の防災設備の連動に関する連動設定情報を生成する生成部とを備えた。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に設置される火災受信機、及び当該火災受信機に接続される複数の防災設備の連動設定を生成する連動設定生成システムであって、
前記火災受信機及び前記複数の防災設備に関する設備情報、並びに、前記火災受信機又は前記複数の防災設備により火災を監視する監視区域を示す監視区域情報の入力を受け付ける入力部と、
入力された前記設備情報及び前記監視区域情報に含まれる情報を読み取る読取部と、
読み取られた前記設備情報及び前記監視区域情報に基づいて、前記火災受信機に設定する、前記複数の防災設備の連動に関する連動設定情報を生成する生成部とを備えた
連動設定生成システム。
【請求項2】
前記設備情報は、前記監視区域における前記火災受信機及び前記防災設備の配置、前記火災受信機と前記防災設備それぞれとの設置間距離、並びに前記防災設備の種類のいずれか一つ以上を含み、
前記監視区域情報は、前記建物の用途、前記監視区域の階層、前記監視区域の面積、及び前記火災受信機又は前記防災設備の配線のいずれか一つ以上を含む
請求項1記載の連動設定生成システム。
【請求項3】
前記生成部は、読み取られた前記監視区域情報に基づいて、前記火災受信機が表示する表示情報を生成する
請求項1又は請求項2に記載の連動設定生成システム。
【請求項4】
前記設備情報及び前記監視区域情報は設備図データに含まれるものであり、
前記設備図データは、画像データ又は画像生成のためのデータである
請求項1又は請求項2に記載の連動設定生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物に設置される火災受信機、及び当該火災受信機に接続される複数の防災設備の連動設定を生成する連動設定生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の防災設備が火災受信機に接続され、防災設備の一つである感知器の発報に伴って他の防災設備が連動制御される技術がある。連動制御される防災装置としては、例えば、音響装置、防火戸、又は排煙装置等が挙げられる。火災受信機は、連動元となる例えば複数の感知器又は感知器に接続された回線それぞれに対し、連動制御される防災装置を連動先として設定可能である。
【0003】
特許文献1には、火災受信機に設定される連動設定のデータベースを作成するシステムとして、データベースを作成するためのプログラムを記憶したサーバと、サーバと通信接続された通信端末とを備えたシステムが開示されている。特許文献1のシステムでは、通信端末を利用するユーザは、サーバに記憶されたデータベース作成プログラムから提供される画面を利用して、連動設定のデータベースを作成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-170080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたシステムにおいては、ユーザは通信端末に表示される画面を利用して連動設定のデータベースを作成するが、連動元及び連動先に設定される防災設備は複数あり、これら複数の防災設備を正しく連動設定することは容易ではない。さらに、火災受信機及びこれに接続された防災設備からなる防災システムの規模が大きくなるほど、連動設定の内容は複雑化し、連動設定も困難になる。
【0006】
本発明は、上記のような課題を背景としてなされたものであり、火災受信機、及び当該火災受信機に接続される複数の防災設備の連動設定に係るユーザの負荷を軽減できる連動設定生成システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る連動設定生成システムは、建物に設置される火災受信機、及び当該火災受信機に接続される複数の防災設備の連動設定を生成する連動設定生成システムであって、前記火災受信機及び前記複数の防災設備に関する設備情報、並びに、前記火災受信機又は前記複数の防災設備により火災を監視する監視区域を示す監視区域情報の入力を受け付ける入力部と、入力された前記設備情報及び前記監視区域情報に含まれる情報を読み取る読取部と、読み取られた前記設備情報及び前記監視区域情報に基づいて、前記火災受信機に設定する、前記複数の防災設備の連動に関する連動設定情報を生成する生成部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、火災受信機及び防災機器に関する設備情報と、監視区域情報とに基づいて、複数の防災設備の連動に関する連動設定情報を生成することができる。このため、ユーザによる連動設定の負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態に係る連動設定生成システムで生成される連動設定が適用される自動火災報知設備の構成例を説明する図である。
図2】実施の形態に係る連動設定生成システムの機能ブロック図である。
図3】実施の形態に係る設備図の例を説明する図である。
図4】実施の形態に係る連動設定情報の例を説明する図である。
図5】実施の形態に係る連動設定生成システムの動作例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る連動設定生成システム1を、図面を参照して説明する。本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。
【0011】
実施の形態.
本実施の形態の連動設定生成システム1は、建物に設置される火災受信機10及び防災設備20を備えた自動火災報知設備100で使用される、火災受信機10と防災設備20との連動、及び防災設備20同士の連動に関する連動設定を生成するシステムである。連動設定生成システム1の説明に先立ち、連動設定が使用される自動火災報知設備100を説明する。
【0012】
図1は、実施の形態に係る連動設定生成システム1で生成される連動設定が適用される自動火災報知設備100の構成例を説明する図である。自動火災報知設備100は、火災受信機10と、火災受信機10に感知器回線30又は防排煙回線31で接続された防災設備20とを備える。防災設備20は、火災感知器と、火災感知器の発報に応じて連動する被制御機器の総称である。図1では、防災設備20として、煙感知器21、熱感知器22、発信機23及び防排煙装置24を例示している。自動火災報知設備100の火災受信機10又は防災設備20によって火災の発生が監視される区域を、監視区域と称する。なお、火災感知器及び防火戸は、防災機器の一例であり、これらの防災機器が複数集まって設備を構成する際、防災設備と呼ぶ。
【0013】
火災受信機10は、建物内の例えば管理人室等に設置され、煙感知器21又は熱感知器22等の火災感知器が発報すると、その旨を表示及び/又は音声により報知するとともに、発信機23又は防排煙装置24等の他の防災設備20を動作させる。火災受信機10は、P型又はR型のいずれであってもよい。火災受信機10は、制御部11と、記憶部12と、表示装置13とを備える。
【0014】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ及び入出力ポートを備え、CPUがメモリに記憶されたプログラムを実行することで、火災受信機10全体を制御する。制御部11は、火災感知器の発報に応じて他の防災設備20を連動させる連動制御も行う。
【0015】
記憶部12は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、又はメモリカード等の記憶装置である。記憶部12は、後述する連動設定情報42及び表示情報43、及びこれらを生成するための各種情報を記憶する。
【0016】
表示装置13は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等の、文字及び/又は図を表示する装置である。表示装置13は、火災感知器が発報した場合には発報に関する情報を表示するとともに、火災受信機10の記憶部12に記憶された各種情報を表示する。
【0017】
火災受信機10には、1以上の感知器回線30が接続されている。感知器回線30には、煙感知器21と、熱感知器22と、発信機23とが接続されている。煙感知器21及び熱感知器22は、火災感知器の一例である。これらのほかに、炎感知器又はガス感知器等の火災感知器が設けられていてもよい。火災受信機10には、1以上の防排煙回線31が接続されている。防排煙回線31には、防排煙装置24が接続されている。
【0018】
発信機23及び防排煙装置24は、火災感知器の発報に応じて連動制御される被制御機器の例である。発信機23は、ベルである。防排煙装置24は、防火扉、防火ダンパ、防火シャッター、排煙機、排煙口の開閉扉等である。被制御機器である防災設備20は、音声を出力するスピーカ、視覚的な警報を出力するフラッシュライト又は表示灯、非常放送設備等を含んでいてもよい。
【0019】
なお、図1では、自動火災報知設備100に1台の火災受信機10が設けられた例を示すが、自動火災報知設備100に複数台の火災受信機10が設けられていてもよい。この場合、互いに通信接続された複数の火災受信機10が信号を授受して、火災受信機10同士で連動することもできる。
【0020】
図2は、実施の形態に係る連動設定生成システム1の機能ブロック図である。連動設定生成システム1は、設備情報40及び監視区域情報41の入力を受けて、連動設定情報42及び表示情報43を出力する。
【0021】
設備情報40は、自動火災報知設備100を構成する火災受信機10及び防災設備20に関する情報である。具体的には、例えば、設備情報40は、監視区域における火災受信機10及び防災設備20の位置、火災受信機10と防災設備20との間の距離である設置間距離、並びに防災設備20の種類のうちいずれか一つ以上を含む。
【0022】
監視区域情報41は、火災受信機10及び防災設備20の監視区域を示す情報である。具体的には、例えば、自動火災報知設備100が設置された建物の用途、監視区域の階層、監視区域の面積、及び監視区域における火災受信機10又は防災設備20の配線のいずれか一つ以上を含む。
【0023】
設備情報40及び監視区域情報41は、例えば、設備図の画像データ、当該設備図の画像を生成するためのCADデータ、一覧表の画像データ、文字列データ等の任意の形式で提供される。
【0024】
ここで、図3を参照して、設備情報40及び監視区域情報41が設備図の画像データによって提供される場合の設備図の例を説明する。図3は、実施の形態に係る設備図50の例を説明する図である。設備図50は、監視区域図51と、書誌事項52とを含んでいる。監視区域図51は、火災受信機10及び防災設備20の監視区域を図示したものであり、図3の例では監視区域の平面図である。図3は、P型の火災受信機10によって監視される監視区域の1つを示している。
【0025】
監視区域図51は、部屋名称53と、部屋仕切り54と、火災受信機記号55と、防災設備記号56a~56dと、番号57a~57dと、配線58と、警戒区域番号59を含んでいる。部屋名称53は、各部屋の名称を文字で表したものである。部屋仕切り54は、部屋の仕切りを線で表したものである。火災受信機記号55は、火災受信機10の図記号である。防災設備記号56a、56b、56c、56dは、それぞれ、煙感知器、定温式スポット型の熱感知器、定温式スポット型で防水型の熱感知器、防排煙機器、の図記号である。なお、区別する必要がないときには、防災設備記号56a~56dを防災設備記号56と総称する。番号57a、57b、57c、57dは、それぞれ、防災設備記号56a、56b、56c、56dを特定する番号である。なお、区別する必要がないときには、番号57a~57dを番号57と総称する。配線58は、図中においては、各防災設備記号56同士を接続する線で表されている。警戒区域番号59は、P型の火災受信機10の警戒区域の番号である。警戒区域番号59は、図1に示した感知器回線30と一対一で対応している。なお、監視区域図51に含まれる各種情報は、文字であっても図記号であってもよく、例えば部屋名称53が図記号で表現されていてもよい。
【0026】
書誌事項52は、監視区域図51を特定する情報である。書誌事項52は、例えば、建物の名称、監視区域図51の階層、図面番号、縮尺、作成日、作成者、床面積等の情報を含みうる。書誌事項52は、文字であっても図記号であってもよい。
【0027】
自動火災報知設備100の監視区域が複数の階層に渡る場合には、階層ごと、あるいは階層を複数に分割した単位で、設備図50が作成されうる。
【0028】
図2に戻って説明を続ける。連動設定生成システム1によって出力される連動設定情報42は、火災受信機10と防災設備20、又は防災設備20と他の防災設備20との間での連動に関する設定の情報である。連動設定情報42は、火災受信機10に記憶され、火災受信機10による連動制御に用いられる。
【0029】
ここで、図4を参照して連動設定情報42を説明する。図4は、実施の形態に係る連動設定情報42の例を説明する図である。連動設定情報42は、連動元情報421と、連動先情報422とを対応づけたデータベースであり、図4では表形式で示している。連動元情報421には、火災受信機10又は防災設備20のいずれかが設定され、典型的には火災感知器が設定される。火災受信機10の動作又は火災受信機10への入力もまた、連動元情報421となりうる。連動先情報422には、火災感知器の発報に応じて動作する防災設備20のいずれかが設定され、典型的には発信機23又は防排煙装置24が設定される。連動元情報421は、連動元の防災設備20が接続された回線番号、設備区分、種別名称、防災設備20の場所、防災設備20の階情報を含みうるが、これらに限定されず、連動元情報421を特定できる情報であればよい。連動先情報422は、連動先の防災設備20を特定する情報、又は連動先の防災設備20が接続された回線番号を含みうるが、これらに限定されず、連動先情報422を特定できる情報であればよい。
【0030】
図2に戻って説明を続ける。本実施の形態の連動設定生成システム1によって出力される表示情報43は、火災受信機10の表示装置13で表示するための情報である。表示情報43は、例えば、火災受信機10に接続された感知器回線30又は防排煙回線31と、これらに接続された防災設備20の一覧である。
【0031】
連動設定生成システム1の構成を説明する。連動設定生成システム1は、入力部2と、読取部3と、生成部4と、記憶部5と、出力部6とを備える。連動設定生成システム1を構成する各部は、1台のコンピュータによって実現されてもよいし、通信接続された複数台のコンピュータによって実現されてもよい。
【0032】
入力部2は、設備情報40及び監視区域情報41の入力を受け付ける入力インタフェースである。例えば、設備情報40及び監視区域情報41が、他のコンピュータから通信によって入力される場合、入力部2は通信回路である。例えば、小型記憶媒体であるメモリカードに記憶された設備情報40及び監視区域情報41が入力される場合、入力部2は、メモリカードの情報を読み取る回路である。
【0033】
読取部3は、入力部2に入力された設備情報40及び監視区域情報41から、連動設定情報42の生成に必要な情報を読み取る。連動設定情報42の生成に必要な情報の種類は、予め記憶部5に記憶されている。
【0034】
設備情報40及び監視区域情報41が、図3に例示した設備図50という画像データとして入力される場合、読取部3は、画像認識により文字及び図記号を読み取る画像認識手段である。この場合、読取部3は、設備図50に含まれる文字又は図記号等の輪郭を識別する等の公知の抽出技術を用いることによって、設備図50に含まれる情報を読み取る。さらに、読取部3は、機械学習によって設備情報40及び監視区域情報41の読み取りを行ってもよい。具体的には、読取部3は、学習済みの画像認識モデルを有しており、設備図50が入力されると、画像認識モデルを用いて設備図50に含まれる情報を認識する。
【0035】
図3に例示された設備図50において、設備情報40のうち監視区域における火災受信機10及び防災設備20の配置は、監視区域図51の火災受信機記号55及び防災設備記号56と、部屋仕切り54とを画像認識することによって、読み取られる。また、設備情報40のうち火災受信機10と防災設備20それぞれとの設置間距離は、監視区域図51に図記号として示される火災受信機記号55及び防災設備記号56の画像認識と、書誌事項52の縮尺情報の文字認識とによって、読み取られる。また、設備情報40のうち防災設備20の種類については、監視区域図51に図記号として示される防災設備記号56を画像認識することによって、読み取られる。また、防災設備20それぞれを特定する情報は、番号57を画像認識することによって、読み取られる。
【0036】
また、図3に例示された設備図50において、監視区域情報41のうち建物の用途は、書誌事項52を文字認識することによって、オフィスビルであるか商業施設であるかといった情報が読み取られる。また、監視区域情報41のうち監視区域の階層は、監視区域図51又は書誌事項52を文字認識することによって、読み取られる。また、監視区域情報41のうち監視区域の面積及び火災受信機10又は防災設備20の配線は、監視区域図51を画像認識することによって読み取られる。
【0037】
なお、読取部3は、設備情報40及び監視区域情報41のデータ形式に応じて、情報を読み取る手段であればよい。例えば、設備情報40及び監視区域情報41が、CADデータとして提供される場合、読取部3は、当該CADデータのフォーマットに従って各種情報を読み取る。また、設備情報40及び監視区域情報41が、設備仕様書内の一覧表の画像データとして提供される場合、読取部3は、一覧表内の文字を画像認識することによって、各種情報を読み取る。また、設備情報40及び監視区域情報41が、文字列データとして提供される場合、読取部3は、当該文字列データのフォーマットに従って各種情報を読み取る。
【0038】
生成部4は、読取部3が読み取った設備情報40及び監視区域情報41の情報に基づいて、複数の防災設備20の連動に関する連動設定情報42を生成する。例えば、生成部4は、読取部3が読み取った設備情報40及び監視区域情報41の情報を、予め定められた連動設定情報42のフォーマットに変換することで、連動設定情報42を生成する。
【0039】
設備情報40及び監視区域情報41が、図3に示した設備図50として入力された場合を例に、生成部4の処理例を説明する。設備図50が入力部2に入力された場合、読取部3は、防災設備記号56と、番号57と、配線58と、警戒区域番号59とを読み取る。生成部4は、防災設備記号56のうち予め定められたルールにより連動元となるもの(図3の例では火災感知器である防災設備記号56a~56c)を抽出し、これが接続された配線58を、感知器回線30に対応づけ、警戒区域番号59を、この感知器回線30の番号に対応づける。これにより、図4に示した連動元情報421の「回線番号」の欄を設定する。また、生成部4は、防災設備記号56のうち連動先となるもの、図3の例では防排煙機器である防災設備記号56dを、連動先情報422として設定する。また、生成部4は、部屋名称53を、連動元情報421の「場所情報」の欄に設定する。
【0040】
また、生成部4は、読取部3が読み取った設備情報40及び監視区域情報41の情報に基づいて、表示情報43を生成する。表示情報43は、例えば、火災受信機10に接続された感知器回線30又は防排煙回線31と、これらに接続された防災設備20の一覧である。例えば、生成部4は、読取部3が読み取った設備情報40及び監視区域情報41の情報を、予め定められた表示情報43のフォーマットに変換することで、表示情報43を生成する。あるいは生成部4は、生成した連動設定情報42の一部又は全部を抽出し、抽出した情報を予め定められた表示情報43のフォーマットに変換することで、表示情報43を生成する。
【0041】
記憶部5は、入力部2に入力された設備情報40及び監視区域情報41、並びに読取部3及び生成部4が使用するフォーマット等の各種データを記憶する。記憶部5は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性又は揮発性の半導体メモリである。
【0042】
出力部6は、生成部4が生成した連動設定情報42及び表示情報43を出力する出力インタフェースである。連動設定情報42及び表示情報43は、直接的に、又は他のコンピュータ等を介して間接的に、火災受信機10に入力されうる。出力部6は、火災受信機10又は他のコンピュータと通信する通信回路、又はメモリカードに情報を書き込む回路である。
【0043】
読取部3及び生成部4は、専用のハードウェア、又はメモリに格納されるプログラムを実行するCPUで実現されうる。読取部3及び生成部4がCPUである場合、読取部3及び生成部4の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアやファームウェアはプログラムとして記述され、メモリに格納される。CPUは、メモリに格納されたプログラムを読み出して実行することにより、読取部3及び生成部4の各機能を実現する。
【0044】
図5は、実施の形態に係る連動設定生成システム1の動作例を説明するフローチャートである。入力部2は、設備情報40及び監視区域情報41の入力を受け付ける(ステップS1)。入力部2は、入力された設備情報40及び監視区域情報41のデータ形式が、読取部3に対応した適正なデータ形式であるか否かを判定する(ステップS2)。データ形式が適正であれば(ステップS2:YES)、ステップS3へ進み、不適正であれば(ステップS2:NO)、処理を終了する。
【0045】
読取部3は、入力部2に入力された設備情報40及び監視区域情報41から、連動設定情報42の生成に必要な情報を読み取る(ステップS3)。
【0046】
読取部3は、入力された設備情報40及び監視区域情報41において、連動設定情報42の生成に必要な情報の一部が欠けている場合には、欠けている情報を予め定められた情報で補う処理を行ってもよい。この場合、連動設定生成システム1が表示装置及びユーザからの入力を受け付ける入力装置を備えている場合には、ステップS3の後に、欠けている情報を補うか否かの問い合わせを表示装置に表示し、入力装置への許可指示に基づいて補ってもよい。
【0047】
生成部4は、読取部3が読み取った情報に基づいて、連動設定情報42及び表示情報43を生成する(ステップS4)。なお、生成部4は、火災受信機10が実際に使用する連動設定のすべての情報を含む連動設定情報42を生成してもよいし、一部のみを生成してもよい。設備情報40及び監視区域情報41が、複雑な連動設定すべてを生成するに足りるすべての情報を含んでいない場合、生成部4は、読取部3が読み取った情報から生成できる連動設定情報42及び表示情報43のみを生成してもよい。この場合、連動設定情報42及び表示情報43に不足している情報については、予め定められた情報で埋める等の処理を行ってもよい。
【0048】
出力部6は、生成された連動設定情報42及び表示情報43を出力する(ステップS5)。連動設定生成システム1が表示装置及びユーザからの入力を受け付ける入力装置を備えている場合には、ステップS5において、連動設定情報42及び表示情報43を表示装置に表示し、ユーザに内容の確認を促してもよい。そして、ユーザが入力装置へ確認した旨の入力を行うと連動設定情報42及び表示情報43を確定させる。また、ステップS5において、連動設定情報42及び表示情報43に対する入力装置を用いた編集を受け付けてもよい。
【0049】
出力された連動設定情報42及び表示情報43は、火災受信機10に記憶され、火災受信機10による連動制御に用いられる。出力された連動設定情報42及び表示情報43は、専用のソフトウェア又は火災受信機10を用いて編集された上で、火災受信機10の連動制御に用いられてもよい。たとえば、図4に例示した連動元情報421又は連動先情報422に含まれる複数の情報のうち、設備情報40及び監視区域情報41に含まれる情報のみでは生成部4が生成できない情報については、ユーザが、個別に入力を行う。
【0050】
以上のように、本実施の形態の連動設定生成システム1は、建物に設置される火災受信機10、及び当該火災受信機10に接続される複数の防災設備20の連動設定を生成するものである。この連動設定生成システム1は、入力部2と、読取部3と、生成部4とを備える。入力部2は、火災受信機10及び防災設備20に関する設備情報40、並びに、火災受信機10又は防災設備20により火災を監視する監視区域を示す監視区域情報41の入力を受け付ける。読取部3は、入力された設備情報40及び監視区域情報41に含まれる情報を読み取る。生成部4は、読み取られた設備情報40及び監視区域情報41に基づいて、火災受信機10に設定する、複数の防災設備20の連動に関する連動設定情報42を生成する。
【0051】
このように、火災受信機10及び防災設備20に関する設備情報40と、監視区域情報41とに基づいて、複数の防災設備20の連動に関する連動設定情報42を生成することができるため、ユーザによる連動設定の負荷を軽減することができる。また、火災受信機10で用いる連動設定を完成させるに足りる情報のすべてが設備情報40又は監視区域情報41に含まれていない場合であっても、連動設定生成システム1に読み込んだ設備図50の情報から、その建物の用途に適した大まかな連動設定情報42を生成したり、連動設定情報42の一部を生成したりすることで、ユーザが一から連動設定をする必要がなくなり、ユーザによる連動設定の負荷を軽減することができる。
【0052】
なお、生成部4は、人工知能(AI)を備えてもよい。この場合、生成部4は、火災受信機10で用いられる連動設定のうち、入力された設備情報40及び監視区域情報41に含まれる情報のみでは生成できない情報を、人工知能を用いて生成する。具体的には、人工知能は、入力部2から入力された、複数の自動火災報知設備100における設備情報40及び監視区域情報41から、連動設定情報42及び表示情報43の各種情報を推論するための学習済モデルを用いて不足する情報を補い、連動設定情報42及び表示情報43を生成する。このようにしても、ユーザによる連動設定の負荷を軽減することができる。入力部2からの情報入力から、人工知能を備えた生成部4による連動設定情報42及び表示情報43の生成、出力部6からの出力までを繰返し行うことで、人工知能に学習させることができる。さらに、判定機能を設け、生成された連動設定情報42及び表示情報43をユーザが確認し、正誤判定及び修正など行い、その結果を人工知能に記憶させることでより学習させることができる。これにより、一定の入力情報に対して、正解に近い連動設定情報42及び表示情報43の生成が可能となる。また、連動設定情報42及び表示情報43のうち、人工知能によって生成された情報については、他の情報と識別される識別子が付与されていてもよい。このようにすることで、ユーザは、連動設定情報42及び表示情報43を編集する際により人工知能によって生成された情報に着目しやすく、学習結果として記憶部5で管理しやすくなる。
【0053】
また、本実施の形態の設備情報40は、監視区域における火災受信機10及び防災設備20の配置、火災受信機10と防災設備20それぞれとの設置間距離、並びに防災設備20の種類のいずれか一つ以上を含む。また、監視区域情報41は、建物の用途、監視区域の階層、監視区域の面積、及び火災受信機10又は防災設備20の配線のいずれか一つ以上を含む。
【0054】
このため、本実施の形態の連動設定生成システム1によれば、自動火災報知設備100及びこれが設置された建物の監視区域に適した連動設定情報42及び表示情報43を生成することができる。
【0055】
また、本実施の形態の連動設定生成システム1の生成部4は、読み取られた監視区域情報41に基づいて、火災受信機10が表示する表示情報43を生成する。
【0056】
このため、本実施の形態の連動設定生成システム1によれば、火災受信機10に表示する表示情報43が自動的に生成されることにより、ユーザによる当該情報の作成の負荷を軽減することができる。
【0057】
また、本実施の形態では、設備情報40及び監視区域情報41は、設備図データに含まれている。設備図データは、設備図50である画像データ又は当該画像生成のためのデータである。このように、建物の管理者が予め保持しているデータから、連動設定情報42及び表示情報43を生成することができるので、ユーザは、生成専用のデータを準備する必要がない。したがって、連動設定情報42及び表示情報43の生成に係るユーザの負荷を軽減できる。
【符号の説明】
【0058】
1 連動設定生成システム、2 入力部、3 読取部、4 生成部、5 記憶部、6 出力部、10 火災受信機、11 制御部、12 記憶部、13 表示装置、20 防災設備、21 煙感知器、22 熱感知器、23 発信機、24 防排煙装置、30 感知器回線、31 防排煙回線、40 設備情報、41 監視区域情報、42 連動設定情報、43 表示情報、50 設備図、51 監視区域図、52 書誌事項、53 部屋名称、54 部屋仕切り、55 火災受信機記号、56 防災設備記号、56a 防災設備記号、56b 防災設備記号、56c 防災設備記号、56d 防災設備記号、57a~57d 番号、58 配線、59 警戒区域番号、100 自動火災報知設備、421 連動元情報、422 連動先情報。
図1
図2
図3
図4
図5