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特開2024-112366縦葺き屋根用吊子および縦葺き屋根構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112366
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】縦葺き屋根用吊子および縦葺き屋根構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 3/362 20060101AFI20240814BHJP
   E04D 3/35 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
E04D3/362 J
E04D3/35 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017295
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000129079
【氏名又は名称】株式会社カナメ
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 和浩
(72)【発明者】
【氏名】矢吹 真哉
【テーマコード(参考)】
2E108
【Fターム(参考)】
2E108AA02
2E108AS02
2E108AZ01
2E108BB04
2E108BN02
2E108CC01
2E108DF07
2E108DF11
2E108ER13
2E108FF01
2E108GG01
2E108GG05
2E108GG15
(57)【要約】
【課題】 本願は、屋根下地上に断熱材を載置し、その上に縦葺き屋根材を取り付ける吊子および屋根構造を提供することを目的とする。
【解決手段】 本願の縦葺き屋根用吊子は、下端に固定部と、該固定部から上方に立設された立面と、該立面の上部に屋根材係合部が形成されている。そして、前記立面の両面に、斜め下方に突出する突出片が形成されている。また、本願の縦葺き屋根構造は、前記固定部が、止着具によって屋根下地に固定され、前記突出片が、前記縦葺き屋根用吊子に隣接設置される断熱材端部に食い込み、前記屋根材係合部に、断熱材上面に敷設された縦葺き屋根材が係合された請求項1の縦葺き屋根用吊子を用いられている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端に固定部と、該固定部から上方に立設された立面と、該立面の上部に屋根材係合部が形成されており、前記立面の両面に、斜め下方に突出する突出片が形成された縦葺き屋根用吊子。
【請求項2】
前記固定部が、止着具によって屋根下地に固定され、前記突出片が、前記縦葺き屋根用吊子に隣接設置される断熱材端部に食い込み、前記屋根材係合部に、断熱材上面に敷設された縦葺き屋根材が係合された請求項1の縦葺き屋根用吊子を用いた縦葺き屋根構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、屋根下地上に断熱材を載置し、その上に縦葺き屋根材を取り付ける吊子および屋根構造を提供することを目的とする。
【背景技術】
【0002】
従来技術について、図7で説明する。
【0003】
図7は、特開平09-078774号公報にて公開されている外囲体に関する技術である。図6に示した先行技術は、下地材(2)と、板状の断熱・防音材(26)と、細長い板状の下部ベース(8a)に一体的に且つ所定間隔を存して複数の垂直部(8b)が形成され、該各垂直部(8b)の上端に矢尻状に係合体(8c)が形成された吊子(8)と、平板部(10a)の両側に該平板部(10a)に対して直角に立ち上り部(10c)(10d)が屈折形成され該両立ち上り部(10c)(10d)の上部に略同形のわん曲部(10e)(10f)が形成された長尺帯状の金属製外囲板(10)とを備え、前記吊子(8)の垂直部(8b)を前記下地材(2)上の互いに所定間隔を存する平行線Lに沿って複数配置し、該各吊子(8)の下部ベース(8a)を前記下地材(2)に固定し、前記断熱・防音材(26)に前記各吊子(8)の係合体(8c)を貫通させて、該断熱・防音材(26)を前記下地材(2)上に敷設し、前記垂直部(8b)の列と、この列と対向する垂直部(8b)の列との間に位置させて、前記断熱・防音材(26)上に前記外囲板(10)を載置し、該外囲板(10)の一側のわん曲部(10f)を対応する前記係合体(8c)に嵌合し、該外囲板(10)の他側のわん曲部(10e)を対応する係合体(8c)に、隣接する他の外囲板(10)の一側のわん曲部(10f)の上から嵌合し、前記断熱・防音材(26)上に複数の外囲板(10)を展開支持せしめたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09-078774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図7の先行技術は、断熱材および屋根材の取付作業途中で、断熱材が風等により飛散する恐れがあった。また、断熱材の飛散を防止するためには、別部材を用いた追加作業が必要であり、コストの上昇と作業負担の増加を招いていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の縦葺き屋根用吊子は、下端に固定部と、該固定部から上方に立設された立面と、該立面の上部に屋根材係合部が形成されている。そして、前記立面の両面に、斜め下方に突出する突出片が形成されている。
【0007】
また、本願の縦葺き屋根構造は、前記固定部が、止着具によって屋根下地に固定され、前記突出片が、前記縦葺き屋根用吊子に隣接設置される断熱材端部に食い込み、前記屋根材係合部に、断熱材上面に敷設された縦葺き屋根材が係合された請求項1の縦葺き屋根用吊子を用いられている。
【発明の効果】
【0008】
本願の縦葺き屋根用吊子および縦葺き屋根構造は、屋根下地に縦葺き屋根用吊子を複数固定し、その間に断熱材を上から押し込むだけで、断熱材が固定された状態になり、飛散しない構造になる。そのため、別部材を用いた追加作業が不要であり、コスト上昇と作業負担増を招くこともない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本願の縦葺き屋根用吊子の実施例を示す説明図である。
図2】本願の縦葺き屋根用吊子の実施例を示す説明図である。
図3】本願の縦葺き屋根構造の実施例を示す説明図である。
図4】本願の縦葺き屋根構造の実施例を示す説明図である。
図5】本願の縦葺き屋根構造の実施例を示す説明図である。
図6】本願の縦葺き屋根構造の実施例を示す説明図である。
図7】従来技術の説明図である。
【実施例0010】
本願の縦葺き屋根用吊子および縦葺き屋根構造について、図1から図6までにより説明する。図1は、本願の縦葺き屋根用吊子の実施例を示す斜視図である。図2は、本願の縦葺き屋根用吊子の取付構造の実施例を示す説明図である。図3は、本願の縦葺き屋根取付構造における縦葺き屋根用吊子を固定した状態を示す説明図である。図4は、本願の縦葺き屋根取付構造における断熱材を取り付けた状態を示す説明図である。図5は、本願の縦葺き屋根取付構造における縦葺き屋根材を取り付けた状態を示す説明図である。図6は、本願の縦葺き屋根取付構造における縦葺き屋根用キャップを取り付けた状態(完成状態)を示す説明図である。
【0011】
本実施例の縦葺き屋根用吊子Tは、縦葺き屋根材Yを取り付けるのに用いられる。この縦葺き屋根材Yは、両端部が立ち上げられて吊子係合部Y1・Y1が形成されている。この吊子係合部Y1が縦葺き屋根用吊子Tに係合されることによって、縦葺き屋根材Yが屋根下地S上に取り付けられる。さらに、本実施例では、隣り合う縦葺き屋根材Yの端部同士に、一対の被嵌合部Y2・Y2が形成されている。この一対の被嵌合部Y2・Y2に対して、嵌合部C1・C1を有する縦葺き屋根用キャップCが被せられ、嵌合される。ただし、本実施例は一例にすぎず、本願では、係合部の形状・構造や縦葺き屋根用キャップの要否は問わない。
【0012】
本実施例の縦葺き屋根材Yおよび縦葺き屋根用キャップCは、金属薄板を用い、折曲加工によって製造されている。金属薄板を用いることによって、弾性を利用した嵌合構造にでき、高い施工性と高強度である取付構造が実現できる。
【0013】
本実施例の縦葺き屋根材Yは、長手方向となる両端部に吊子係合Y1・Y1が形成されており、屋根の流れ方向と縦葺き屋根材Yの長手方向が略平行になるように取り付けられる。なお、本実施例では、単なる縦葺き屋根材であるが、太陽電池を一体化した太陽電池付き縦葺き屋根材であってもよい。
【0014】
本実施例の縦葺き屋根用吊子Tは、下端に固定部T1が形成されている。本実施例の固定部T1は、止着具Bが打ち込まれ、屋根下地Sに縦葺き屋根用吊子Tを固定するために用いられる。ただし、本実施例は一例である。そのほか、本願においては、たとえば接着剤や両面テープなど、止着具B以外の固定手段を用いて、縦葺き用吊子を屋根下地Sに固定してもよい。
【0015】
本実施例の縦葺き屋根用吊子Tは、この固定部T1から上方に立設された立面T2が形成されている。本実施例では、固定部T1端部が略L字状に曲げられ、立面T2が形成されている。本実施例の縦葺き屋根構造では、立面T2が断熱材D端部が桁行方向で対面するように、両小口が屋根の軒棟方向に向けられて載置される。したがって、立面T2は、立面T2の板厚方向で左右から隣り合う断熱材D・D同士に挟まれる構造になっている。
【0016】
本実施例の縦葺き屋根用吊子Tは、立面T2の上部に屋根材係合部T3が形成されている。本実施例の屋根材係合部T3は、折り曲げられて縦葺き屋根材Yの吊子係合部Y1に係合される。このように、縦葺き屋根材Yが縦葺き屋根用吊子Tにより上から押さえられた状態に取り付けられる構造である。なお、本実施例の屋根材係合部T3は、指で押す部分である上端の幅が曲げ部分に比べて大きくなっており、折り曲げやすい構造になっている。
【0017】
本実施例の屋根材係合部T3は、縦葺き屋根材Y側に折り曲げて縦葺き屋根材Yを取り付ける構造である。したがって、本実施例の縦葺き屋根用吊子Tは、屋根下地Sに固定される時点では、屋根材係合部T3が折り曲げられずに、まっすぐ上方にのびた状態である。そのため、屋根の桁行方向において隣り合う縦葺き屋根用吊子Tの間に、断熱材Dを縦葺き屋根用吊子Tの立面T2に沿って上から屋根下地S側に押し込みやすい構造になっている。このような構造であるため、断熱材Dが取り付けやすく、高い施工性が実現されている。
【0018】
本実施例の屋根材係合部T3は、上端に切り込みがあり、縦葺き屋根材Y・Y側に向けてそれぞれ左右違う方向に折り曲げられる構造であるが、これは一例に過ぎない。たとえば、縦葺き屋根用吊子Tの屋根材係合部T3が屋根材被嵌合部になっており、そこを折り曲げることなく、縦葺き屋根材Y端部に形成された吊子嵌合部を嵌合させるだけで取り付けられる、縦葺き屋根用キャップCを用いない構造である縦葺き屋根材を用いてもよい。
【0019】
本実施例の立面T2の両面には、斜め下方に突出する突出片T21・T21が形成されている。本実施例の突出片T21・T21は、立面T2の両端部に略L字状の切り込みを入れ、折り曲げられて形成されている。本実施例の突出片T21・T21は、切縁となる小口が斜め下方に向かって突出していることによって、断熱材Dを縦葺き屋根用吊子Tの立面T2に沿って上から屋根下地S側に押し込みやすく、かつ、断熱材Dが屋根下地S上から外れにくい状態になる構造になっている。
【0020】
本実施例の縦葺き屋根構造は、まず、屋根下地Sに複数の縦葺き屋根用吊子Tが屋根の流れ方向および桁行方向に並べて固定される。屋根の桁行方向において隣り合う縦葺き屋根用吊子T同士の間隔は、設置する断熱材Dの桁行寸法に対して、立面T2・T2同士の間隔はやや大きく、突出片T21・T21の先端同士の間隔は小さく設定される。
【0021】
次に、屋根の桁行方向において隣り合う縦葺き屋根用吊子T同士の間に、断熱材Dを縦葺き屋根用吊子Tの立面T2に沿って上から屋根下地S側に押し込む。そうすることで、突出片T21・T21が、縦葺き屋根用吊子Tに隣接設置される断熱材D端部に食い込んだ状態になる。このとき、縦葺き屋根用吊子Tの上端に形成された屋根材係合部T3が隣接載置された断熱材D同士の間から上方に出た状態になっている。したがって、立面T2の高さは、断熱材Dの厚みよりも大きいことが望ましい。
【0022】
なお、本実施例で用いる断熱材Dは、縦葺き屋根用吊子Tよりも剛性の低い素材でできており、一定の板厚を有する板状の部材である。本実施例で用いる断熱材Dは、上面や下面に溝等の凹凸が形成されていてもよい。また、固定部T1に打ち込まれたビス等の止着具Bの頭部を避けるように、下面端部が斜めに切り欠かれていてもよい。
【0023】
次に、断熱材D上面に縦葺き屋根材Yが敷設される。このとき、隣り合う縦葺き屋根材Yの立ち上げられた端部同士が、縦葺き屋根用吊子Tの立面T2を板厚方向で左右から挟むように配置される。そして、左右それぞれの縦葺き屋根材Yの立ち上げられた端部を上から押さえ込むように、2つの屋根材係合部T3が対向する方向に折り曲げられて係合され、縦葺き屋根材Yを屋根下地S上に固定する。
【符号の説明】
【0024】
S 屋根下地
T 縦葺き屋根用吊子
T1 固定部
T2 立面
T21 突出片
T3 屋根材係合部
B 止着具
D 断熱材
Y 縦葺き屋根材
Y1 吊子係合部
Y2 被嵌合部
C 縦葺き屋根用キャップ
C1 嵌合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7