(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011237
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】アンテナ監視システム
(51)【国際特許分類】
G06K 7/00 20060101AFI20240118BHJP
H04B 1/59 20060101ALI20240118BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
G06K7/00 095
H04B1/59
G06K7/10 272
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113081
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000186566
【氏名又は名称】小林クリエイト株式会社
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 一広
(72)【発明者】
【氏名】山内 望由季
(72)【発明者】
【氏名】夫津木 郎
(72)【発明者】
【氏名】所村 洋樹
(57)【要約】
【課題】アンテナの動作不良を簡易な構成で精度よく検出すること
【解決手段】
特定の識別情報を保持するものであって前記アンテナの近傍に設置される特定RFタグと前記アンテナを制御して該特定RFタグから前記特定の識別情報の取得を試行する試行手段と、該試行手段による試行の成否を判定する判定手段と、を備え、該判定手段による試行の成否の判定に基づいて、前記アンテナの正常性を確認するものであることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFタグから識別情報を無線通信により受信可能なアンテナの正常性を確認するアンテナ監視システムにおいて、
特定の識別情報を保持するものであって前記アンテナの近傍に設置される特定RFタグと、
前記アンテナを制御して該特定RFタグから前記特定の識別情報の取得を試行する試行手段と、
該試行手段による試行の成否を判定する判定手段と、を備え、
該判定手段による試行の成否の判定に基づいて、前記アンテナの正常性を確認するものであることを特徴とするアンテナ監視システム。
【請求項2】
前記判定手段により前記試行手段による試行の結果が成功であると判定されない場合には、当該アンテナの正常性を確認できない旨を報知する報知手段を備えることを特徴とする請求項1記載のアンテナ監視システム。
【請求項3】
前記アンテナが前記RFタグから識別情報を受信した場合に、該識別情報が前記特定の識別情報であるか否かを判定するフィルタリング手段を備え、
前記判定手段は、前記フィルタリング手段により識別情報が前記特定の識別情報であると判定されることを条件として、前記試行手段による試行について成否を判定するものであることを特徴とする請求項2記載のアンテナ監視システム。
【請求項4】
前記アンテナの近傍に存在する前記特定RFタグが保持する特定の識別情報を提示する提示手段を備え、
前記判定手段は、前記試行手段による試行の結果として取得された前記特定の識別情報が、前記提示手段によって前記アンテナの近傍に存在する前記特定RFタグが保持する特定の識別情報と一致することを条件として、前記試行が成功であると判定するものであることを特徴とする請求項1から3に記載のアンテナ監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFタグとの通信に用いるアンテナの状態を監視するアンテナ監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
製造業をはじめとする多くの産業で、物品の管理にRFタグが利用されている。RFタグを利用する場合、情報処理機器とRFタグとの間の情報交換は、アンテナによって仲介される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、既製のアンテナにあってはRFタグとの通信に特化した単純な構造のものが多く、自身の故障や接続不良を検知または報知できるものが少ない。アンテナを介してRFタグと通信しようとする情報処理機器にあっては、アンテナの利用可能性を確認することが困難であり、特には、アンテナの不調によりRFタグとの通信が行われなかったに過ぎない場合にRFタグを貼付した物品が存在しなかったかの如くに扱われる等、実用上の問題が生じうる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願に係る発明(以下「本願発明」という)のアンテナ監視システムは、RFタグから識別情報を無線通信により受信可能なアンテナの正常性を確認するものであり、特定の識別情報を保持するものであって前記アンテナの近傍に設置される特定RFタグと、前記アンテナを制御して該特定RFタグから前記特定の識別情報の取得を試行する試行手段と、該試行手段による試行の成否を判定する判定手段と、を備え、該判定手段による試行の成否の判定に基づいて、前記アンテナの正常性を確認するものであることを特徴とする。
【0006】
また、本願発明のアンテナ監視システムとしては、前記判定手段により前記試行手段による試行の結果が成功であると判定されない場合に、当該アンテナの正常性を確認できない旨を報知する報知手段を備えるものとすることが提案される。
【0007】
また、本願発明のアンテナ監視システムとしては、前記アンテナが前記RFタグから識別情報を受信した場合に、該識別情報が前記特定の識別情報であるか否かを判定するフィルタリング手段を備え、前記判定手段は、前記フィルタリング手段により識別情報が前記特定の識別情報であると判定されることを条件として、前記試行手段による試行について成否を判定するものとすることが提案される。
【0008】
また、本願発明のアンテナ監視システムとしては、前記アンテナの近傍に存在する前記特定RFタグが保持する特定の識別情報を提示する提示手段を備え、前記判定手段は、前記試行手段による試行の結果として取得された前記特定の識別情報が、前記提示手段によって前記アンテナの近傍に存在する前記特定RFタグが保持する特定の識別情報と一致することを条件として、前記試行が成功であると判定するものであるものとすることが提案される。
【発明の効果】
【0009】
本願発明のアンテナ監視システムによれば、特定RFタグから特定の識別情報を受信できるか否かに基づいて精度よくアンテナの正常性を確認でき、ひいては、アンテナを用いて安定してRFタグの検知ができるとの効果を奏する。
【0010】
特には、本願発明は、特定RFタグを設置するなどの簡素な構成によって、アンテナの正常性を精度よく確認できるようにするものであり、さまざまな産業や現場において容易に採用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】荷物検知システム1の利用態様を示す模式図である。
【
図2】荷物検知システム1の電気的構成を示す模式図である。
【
図3】(a)は、リーダー50の動作モード51の説明図である。(b)は、リーダー50からPC60へと入力される情報の説明図である。
【
図4】(a)は、荷物タグ21、固定タグ40a、固定タグ40b、固定40cが保持する情報を模式的に表した図である。(b)は、関連付けテーブル63cが保持する情報を模式的に表した図である。
【
図5】(a)はモニター70に表示される通常画面200の画面図であり、(b)はモニター70に表示されるアンテナチェック画面300の画面図である。
【
図6】制御プログラム63aのフローチャートである。
【
図7】管理プログラム63bのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本願発明を実施するための形態として、荷物検知システム1を説明する。
図1に示す荷物検知システム1は、荷物タグ21が貼付された荷物20を搬送路25上で検知するための情報処理システムである。荷物タグ21は、固有の識別情報を保持するとともに、後述するアンテナ30a等との無線通信によって該アンテナ30aに識別情報を送信可能な、いわゆるRFタグである。搬送路25は、ベルトコンベアーであり機械動力によって自動的に荷物20を搬送する。搬送路25の搬送方向に沿ってアンテナ30a、30b、30cが設置され、アンテナ30a、30b、30cは、リーダー50を介してPC60に接続される。アンテナ30a、30b、30cは、無線通信によって荷物タグ21から取得した識別情報をPC60にリーダー50を介して送信可能である。以降の説明では、アンテナ30a、30b、30cを総称してアンテナ30と記載する。
【0013】
PC60は、荷物20の検知に関する処理および後述するアンテナ30a、30b、30cの状態の確認に関する処理を制御するためのコンピューターである。PC60には、処理内容等を表示するためのモニター70が接続される。
【0014】
リーダー50は、アンテナ30に荷物タグ21等との通信をさせ、その結果取得された識別情報等をPC60に入力する装置である。
【0015】
本実施例において、アンテナ30aの近傍に固定タグ40aが、アンテナ30bの近傍に固定タグ40bが、アンテナ30cの近傍に固定タグ40cが、それぞれ設置される。固定タグ40a、40b、40cは、前述した荷物タグ21とは異なるRFタグであり、アンテナ30の状態の確認に関する処理を実現するために用いられる。
【0016】
なお、以下の説明において固定タグ40a、40b、40cを総称して固定タグ40と記載する。
【0017】
次に
図2に示す荷物検知システム1の電気的構成を説明する。本実施例の、荷物検知システム1は、PC60と、モニター70と、リーダー50と、アンテナ30と、が、電気的に接続されることで構成される。PC60は、CPU61によってプログラムを実行可能なコンピューターであり、CPU61の外にRAM62、HDD63等を備える。モニター70は、PC60からの入力に基づいて画面を表示する装置である。
【0018】
RAM62は、揮発性記憶利用域であり、後述するアンテナ状態画面300をモニター70に表示するための情報を一時的に保持するための記憶領域等として用いられる。
【0019】
HDD63は、不揮発性記憶領域であり、制御プログラム63a、監視プログラム63b、関連付けテーブル63c、閾値63d、などの情報が保持される。制御プログラム63aおよび監視プログラム63bは、CPU61によって実行されるプログラムであり、詳しい処理内容については後述する。
【0020】
関連付けテーブル63cは、テーブル構造のデータベースであり、アンテナ30(30a、30b、30c)と固定タグ40(40a、40b、40c)との対応関係を定義する情報を保持するものである。
【0021】
閾値63dは、通信を正常とみなす電波強度を定義した値であり、操作者による操作等によって適宜設定される。本実施例にあっては、RSSI(Received Signal Strength Indicator)に基づく電波受信強度を指標として「-60dBm(デシベルミリワット)」の値が保持されている。
【0022】
アンテナ30は、荷物タグ21或いは固定タグ40と通信可能な装置であり、リーダー50は、アンテナ30を制御して荷物タグ21或いは固定タグ40から取得した情報等をPC60に入力する装置である。なお、本実施例で採用したリーダー50としては、その動作モード51として「Session0」と「Session1」とを備える。
【0023】
図3(a)を参照してリーダー50が備える動作モード51を説明する。動作モード51は、アンテナ30と荷物タグ21或いは固定タグ40との通信の成否に対して、PC60への情報の出力の条件を切り替えるものであり、PC60からの入力信号によってリーダー50の内部で切り替えられる。
【0024】
図3(a)に示す図は、水平右方向の矢印にて時系列を表すものであって、時点を揃えて、上段から、アンテナ30と荷物タグ21或いは固定タグ40との通信の状態を、動作モード51が「Session0」である場合のリーダー50からPC60への情報の出力の有無を、動作モード51が「Session1」である場合のリーダー50からPC60への情報の出力の有無を、それぞれ表している。
【0025】
アンテナ30と荷物タグ21或いは固定タグ40との通信の状態の図について、矢印の上方(「有効」との記載)はアンテナ30と荷物タグ21或いは固定タグ40との通信が可能であることを、矢印の下方(「無効」との記載)はアンテナ30と荷物タグ21或いは固定タグ40との通信が不可能であること意味する。動作モード51が「Session0」である場合のリーダー50からPC60への情報の出力の有無、及び、動作モード51が「Session1」である場合のリーダー50からPC60への情報の出力の有無の図について、矢印の上方(「有効」との記載)はリーダー50からPC60への情報の出力が行われることを、矢印の下方(「無効」との記載)はリーダー50からPC60への出力が行われないことを意味する。
【0026】
時点T1は、アンテナ30と荷物タグ21或いは固定タグ40の通信が「無効」から「有効」に変化した時点、即ち、アンテナ30と荷物タグ21或いは固定タグ40との通信が可能になった時点である。この時点からは動作モード51に関わらずリーダー50からPC60への情報が出力される(図上は「有効」になっている)。
【0027】
動作モード51が「Session0」である場合、時点T2でアンテナ30と荷物タグ21或いは固定タグ40との通信が不可能になった時点(図上は「有効」から「無効」になった時点)でリーダー50からPC60への情報の入力は終了する(図上は「有効」から「無効」になる)。
【0028】
他方、動作モード51が「Session1」である場合、時点T2に到達する前に、時点T1から1秒が経過した時点T3において、リーダー50からPC60への情報の入力が終了する(図上は「有効」から「無効」になる)。すなわち、「Session1」の動作モード51が設定されているリーダー50においては、アンテナ30と荷物タグ21或いは固定タグ40との通信の成否に関わらず、1秒を経過したらリーダー50からPC60への情報の入力が終了される。なお、「Session1」の動作モード51において、時点T2が時点T3より早く到来した場合も、リーダー50からPC60への情報の入力は終了される。
【0029】
次に、
図3(b)を参照して、リーダー50からPC60に入力される情報として、読み取り結果情報100を説明する。読み取り結果情報100は図に示す通り、アンテナID110と、タグID120と、電波強度130等を含む。
【0030】
アンテナID110は、アンテナ30a、30b、30cをそれぞれ識別するための固有の値で、荷物タグ21或いは固定タグ40から無線通信により情報を取得する際に、当該無線通信を行ったアンテナ30に対応する値がリーダー50によって設定される。本実施例では、アンテナ30aには「0001」が、アンテナ30bには「0002」が、アンテナ30cには「0003」が、それぞれのアンテナID110として定義される。
【0031】
タグID120は、荷物タグ21或いは固定タグ40が保持する識別情報であって、アンテナ30の無線通信によって荷物タグ21或いは固定タグ40から取得される情報である。タグID120の値は、荷物タグ21或いは固定タグ40ごとに異なり、詳しくは後述する。
【0032】
電波強度は、タグID120の情報が取得された際のアンテナ30と荷物タグ21或いは固定タグ40との無線通信における電波の強度を示す値が設定される。前述した通り、本実施例ではRSSIに基づいて「dBm(デシベルミリワット)」をその単位とする電波受信強度が設定される。
【0033】
次に、
図4(a)を参照して荷物タグ21或いは固定タグ40が保持する情報を説明する。荷物タグ21或いは固定タグ40が保持する情報は、それぞれを固有に識別可能な識別情報であり、アンテナ30およびリーダー50に取得された場合に前述したタグID120の値としてリーダー50からPC60に送信される。
【0034】
荷物タグ21が保持する固有の識別情報の例としてここでは「000001」を示す。荷物タグ21が保持する識別情報は、当該荷物タグ21が貼付される荷物20を個別に識別するためにも用いられる。
【0035】
固定タグ40aが保持する固有の識別情報の例として「TEST23」を、固定タグ40bが保持する固有の識別情報の例として「TEST24」を、固定RFタグ40cが保持する固有の識別情報の例として「TEST25」を示す。固定タグ40(40a、40b、40c)が保持する識別情報としては、前述した荷物タグ21の識別情報と区別できるよう、共通して「TEST」の文字列を含むものが設定される。なお、「TEST」の文字列を含む識別情報が、請求項の「特定の識別情報」に相当する。
【0036】
次に
図4(b)に示す、PC60のHDD63に保持される関連付けテーブル63cを説明する。関連付けテーブル63cは、アンテナ30a、30b、30cと、固定タグ40a、40b、40cとの関連付けが定義されたものであり、より詳しくは、アンテナ30a、30b、30cそれぞれの近傍に存在する固定タグ40a、40b、40cを前述したアンテナID110とタグID120に相当する値によって対応付けるものである。
【0037】
例えば、
図4(b)に示す関連付けテーブル63cの最初のレコードでは、アンテナID110として「0001」、タグID120「TEST23」が保持されており、前述した通り「0001」のアンテナID110によって識別されるアンテナ30aと、「TEST23」のタグID120によって識別される固定タグ40aと、が関連付けられていることを示す。
【0038】
図5は、モニター70に表示される画面を示したものであり、(a)は搬送路25上の荷物20の検知状況を表示する通常画面200の図であり、(b)はアンテナ30a、30b、30cの状態を表示するアンテナ状態画面300の図である。
【0039】
通常画面200は、後述する制御プログラム63aの実行によってモニター70に表示される画面であり、搬送路25の各地点において検知された荷物20を、当該荷物20に貼付された荷物タグ21の識別情報(タグID120)をもって示すものである。ここで「各地点」とは、アンテナ30a、30b、30cが設置された位置を意味する。
【0040】
例えば、図面に例示されたように、通常画面200で「0002 000001」との表示は、アンテナID110が「0002」であるアンテナ30bが設置された地点において、識別情報(タグID120)として「000001」を保持する荷物タグ21が貼付された荷物20が検知されたことを意味する。
【0041】
通常画面200には、操作者によってクリック操作可能なアンテナチェックボタン201が配置される。アンテナチェックボタン201は、後述する監視プログラム63bの実行を指示するためのユーザーインターフェイスであり、監視プログラム63bが実行されることでモニター70には次に説明するアンテナ状態画面300が表示される。
【0042】
アンテナ状態画面300では、アンテナ30a、30b、30cの状態が、「正常」または「異常」の別で表示される。アンテナ30a、30b、30cは、前述したアンテナID110の値によって示され、例えば「0001 正常」との表示は、「0001」とのアンテナID110によって識別されるアンテナ30aの状態が「正常」であることを意味する。
【0043】
次に
図6を参照して制御プログラム63aを説明する。制御プログラム63aは、PC60の起動とともにCPU61によって実行されるものであり、操作者の操作やPC60のシャットダウン割り込みなどの終了指示があるまで(S100:Yes)、反復してその処理が実行される。
【0044】
終了指示がなければ(S100:No)、まず、アンテナチェックの割り込みがあるか否かを判断する(S101)。アンテナチェックの割り込みとは、前述した通常画面200のアンテナチェックボタン201に対して操作者がクリック操作をすることによって、CPU61に対して監視プログラム63bの実行が指示されることを意味する。
【0045】
アンテナチェック割り込みが無ければ(S101:No)、リーダー50に対してアンテナ30を制御して荷物タグ21或いは固定タグ40から情報を取得することを指示し、その結果として読み取り結果100を取得する(S102)。リーダー50及びアンテナ30は、近傍に存在するすべての荷物タグ21或いは固定タグ40と通信を試みるため、一度の読み取りによって複数の読み取り結果100がリーダー50からPC60に送信され得る。
【0046】
次に、取得された読み取り結果100の内、タグID120に「TEST」の文字列を含むものを削除し(S103)、残りの読み取り結果100について所定の処理(例えば前述した通常画面200をモニター70に表示する処理)を実行する(S104)。S104の処理の具体的な内容については、その詳細の説明を省略する。
【0047】
なお、S103の処理で、タグID120に「TEST」を含む読み取り結果100を削除することで、アンテナ30の状態を監視するためだけに設置した固定タグ40に関する情報を削減して、効率よく荷物20の検知に関する処理(S104)を実行させることができる。
【0048】
一方、S101の判断でアンテナチェック割り込みが有ると判断した場合には、後述する監視プログラム63bを実行する。S104の処理または監視プログラム63bを実行した後は、再びS101の判断に戻って処理を繰り返す。
【0049】
次に、
図7を参照して監視プログラム63bを説明する。前述した通り、監視プログラム63bは、制御プログラム63aにおいて、操作者の操作等に基づいてアンテナチェックの割り込みが発生した場合に(S101:Yes)、CPU61によって実行されるプログラムである。
【0050】
監視プログラム63bではまず、アンテナ状態画面300をモニターに描画するための情報をRAM62の画面描画領域62aに展開し、後述する処理によってモニターへの表示内容を調整可能にする(S201)。次に、画面描画領域62aに展開したアンテナ状態画面300の内容につき、すべてのアンテナID110に対応する状態を「異常」に初期化する(S202)。
【0051】
次に、リーダー50に対して動作モード51を「Session1」とするよう信号を送信する(S203)。これにより、リーダー50は「Session1」の動作モード51での動作を開始する。
【0052】
次に、リーダー50にアンテナ30を介して荷物タグ21或いは固定タグ40から情報を取得するよう指示し、その結果を読み取り結果100として取得する(S204)。以降、取得した複数の読み取り結果100に対してS205からS205eの処理を繰り返す。
【0053】
次に、読み取り結果100についての繰り返し処理(S205からS205eまで)において、まず、一の読み取り結果100のタグID120を取得する(S206)。取得したタグID120が「TEST」の文字列を含まない場合(S207:No)、当該読み取り結果100に対する処理を終了して次の読み取り結果100の処理へと移行する。
【0054】
取得したタグID120が「TEST」の文字列を含む場合(S207:Yes)、読み取り結果100からアンテナID110を取得し(S208)、当該アンテナID110が一致する関連付けテーブル63cのレコードを照会する(S209)。照会して得たレコードのタグID120が、S206の処理で取得したタグID120と一致するか否かを判定し(S210)、一致しない場合は(S210:No)、当該読み取り結果100についての処理を終了して次の読み取り結果100の処理に移行する。
【0055】
S210の判定においてタグID120が一致した場合(S210:Yes)、読み取り結果100から電波強度130を取得し(S211)、電波強度130が閾値63dの値より大きいか否かを判定する(S212)。取得した電波強度130が閾値63d以下である場合(S212:No)は、当該読み取り結果100についての処理を終了して次の読み取り結果S205の処理に移行する。
【0056】
取得した電波強度130が閾値63dより大きい場合(S212:Yes)、画面描画領域62aに展開されたアンテナ状態画面300に対して、S208の処理で取得したアンテナID110に対応する状態の表示を「正常」に変更して(S213)、次の読み取り結果100の処理へと移行する。
【0057】
S204に基づいて取得したすべての読み取り結果100に対する処理(S205からS205eまで)を実行した場合、画面描画領域62aの内容をモニター70に送信してアンテナ状態画面300を表示する(S214)。
【0058】
次に、リーダーに動作モード51を「Session0」に戻すための信号を送信して(S215)処理を終了する。監視プログラム63bが終了した場合、CPU61は、制御プログラム63aの実行へと戻る。
【0059】
以上、監視プログラム63bを説明したが、その特徴として、アンテナ30に通信の試行をさせる前のS203においてリーダー50の動作モード51を「Session1」とし、アンテナ30に通信の試行をさせた後のS215においてリーダー50の動作モード51を「Session0」へと復帰させている。アンテナ30は、近傍にある荷物タグ21或いは固定タグ40から取得したタグID120をPC60に入力するところ、固定タグ40はアンテナ30の近傍に固定的に設置されていることから、固定タグ40のタグID120は永続的にアンテナ30によって受信され、PC60へと入力されることとなる。監視プログラム63bにあっては、アンテナ30と固定タグ40との通信の成否を一度判定できれば支障はないものであるため、アンテナ30と固定タグ40との通信の試行(S204)の間だけ、所定の期間(1秒間)のみリーダー50からPC60へと情報を入力する「Session1」の動作モード51を利用することで、PC60の処理負荷を軽減している。
【0060】
以上説明した荷物検知システム1では、万が一にアンテナ30が不調を来して荷物タグ21からタグID120を受信できない虞のある旨が、アンテナ30と固定タグ40との無線通信の試行(
図7のS204)の結果に基づいて、アンテナ30の不調がモニター70にアンテナ状態画面300に表示される(
図5参照)。すなわち、作業者等はモニター70で確認すれば、態々アンテナ30を物理的に確認するまでもなく、その正常性(正常又は異常)を確認でき、荷物検知システム1全体を安定的に動作させることができる。
【符号の説明】
【0061】
1 荷物検知システム(アンテナ監視システム)
21 荷物タグ(RFタグ)
30 アンテナ
40 固定タグ(RFタグ、特定RFタグ)
50 リーダー
51 動作モード
60 PC
63a 制御プログラム
63b 監視プログラム(アンテナ監視システムの一部)
63c 関連付けテーブル(提示手段)
64d 閾値
70 モニター(報知手段の一部)
100 読み取り結果
110 アンテナID
120 タグID
130 電波強度
200 通常画面
300 アンテナ状態画面
S204 試行手段
S207 フィルタリング手段
S208~S212 判定手段
S214 報知手段の一部