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特開2024-112375金属構造物の電気防食方法及び電気防食金属構造物
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  • 特開-金属構造物の電気防食方法及び電気防食金属構造物 図1
  • 特開-金属構造物の電気防食方法及び電気防食金属構造物 図2
  • 特開-金属構造物の電気防食方法及び電気防食金属構造物 図3
  • 特開-金属構造物の電気防食方法及び電気防食金属構造物 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112375
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】金属構造物の電気防食方法及び電気防食金属構造物
(51)【国際特許分類】
   C23F 13/16 20060101AFI20240814BHJP
   C23F 13/02 20060101ALI20240814BHJP
   F16L 13/02 20060101ALI20240814BHJP
   F16L 58/00 20060101ALI20240814BHJP
   C23F 13/18 20060101ALN20240814BHJP
【FI】
C23F13/16
C23F13/02 A
C23F13/02 J
F16L13/02
F16L58/00
C23F13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017326
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】JFEエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112140
【弁理士】
【氏名又は名称】塩島 利之
(74)【代理人】
【識別番号】100119297
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 正男
(72)【発明者】
【氏名】小林 泰宏
【テーマコード(参考)】
3H013
3H024
4K060
【Fターム(参考)】
3H013BA03
3H013BA05
3H024DA03
4K060AA02
4K060BA13
4K060BA41
4K060BA43
4K060BA45
4K060EA11
4K060EB01
(57)【要約】
【課題】施工が容易であり、多量の犠牲陽極を金属構造物に接合できる金属構造物の電気防食方法を提供する。
【解決手段】金属構造物2に接合可能な第1金属材3aと金属構造物2に対して犠牲陽極となる第2金属材3bとを接合したクラッド材3を金属構造物2に接合し、金属構造物2を電気防食する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属構造物に接合可能な第1金属材と前記金属構造物に対して犠牲陽極となる第2金属材とを接合したクラッド材を前記金属構造物に接合し、前記金属構造物を電気防食する金属構造物の電気防食方法。
【請求項2】
前記クラッド材の前記第1金属材を前記金属構造物に溶接することを特徴とする請求項1に記載の金属構造物の電気防食方法。
【請求項3】
前記金属構造物が鉄を主成分とする金属であり、
前記第1金属材が鉄を主成分とする金属であることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属構造物の電気防食方法。
【請求項4】
前記金属構造物が鋼管であり、
前記クラッド材を前記鋼管の外面に接合することを特徴とする請求項1又は2に記載の金属構造物の電気防食方法。
【請求項5】
前記クラッド材を前記鋼管の端部に配置し、前記クラッド材により鋼管同士の芯出しを行うことを特徴とする請求項4に記載の金属構造物の電気防食方法。
【請求項6】
前記クラッド材が接合された前記鋼管を外管に挿入し、鋼管同士を接合し、前記外管と前記鋼管同士との間に電解質を充填することを特徴とする請求項4に記載の金属構造物の電気防食方法。
【請求項7】
前記鋼管同士を内面側から接合することを特徴とする請求項6に記載の金属構造物の電気防食方法。
【請求項8】
前記クラッド材を前記鋼管に周方向に等配することを特徴とする請求項4に記載の金属構造物の電気防食方法。
【請求項9】
金属構造物に接合可能な第1金属材と前記金属構造物に対して犠牲陽極となる第2金属材とを接合したクラッド材を前記金属構造物に接合した電気防食金属構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属構造物の電気防食方法及び電気防食金属構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
石油、ガス、水道等の各種流体を送るため、地中にはパイプラインが埋設される。パイプラインには、炭素鋼鋼管、ステンレス鋼管等の鋼管が使用されることが多い。鋼管をそのままの状態で長時間放置しておくと、腐食し、使用不可能になる。したがって、鋼管を腐食から守る必要がある。海洋鋼構造物、鋼矢板等の鋼構造物等でも同様である。
【0003】
このような金属構造物を腐食から守る方法として、金属構造物に塗装又は塗覆装を施すと共に、金属構造物を電気防食する方法が知られている。電気防食は、万が一金属構造物に欠陥部が発生した場合、欠陥部からイオン化した金属が電解質である土中等へ流れ出ようとするのを防止する防食方法である。すなわち、金属構造物から電解質へ流れ出ようとする腐食電流に対して、これに打ち勝つだけの電流を、外部から金属構造物に流し込むことにより、金属構造物が腐食するのを防止する。
【0004】
電気防食の方式には、外部電源方式と流電陽極方式の二つの方式がある。外部電源方式は、直流電源装置から補助陽極を通して金属構造物に防食電流を流入させる方法である。流電陽極方式は、金属のイオン化傾向を利用したものであり、金属構造物よりイオン化傾向の大きい金属(Zn,Al,Mg等)を金属構造物に電気的に接続し、金属構造物がイオン化するのに代わって、イオン化傾向の大きい金属がイオン化することにより金属構造物の腐食を防ぐ方法である。すなわち、防食する金属構造物を陰極にし、金属構造物よりもイオン化傾向の大きい金属を犠牲陽極にした電池をつくり、両極間の電位差によって金属構造物に防食電流を流入させる。
【0005】
流電陽極方式の電気防食方法として、特許文献1には、Zn,Al,Mg等の犠牲陽極を鋼管から隔離して設置し、犠牲陽極と鋼管を電線により接続した電気防食方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭60-36680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来の電気防食方法には、電線を鋼管に接続するのに手間がかかるという課題がある。また、設置環境により設置できる犠牲陽極が少ない場合、犠牲陽極が早期に消耗してしまい、長期に亘って金属構造物に防食電流を流入させることができないという課題がある。
【0008】
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、施工が容易であり、多量の犠牲陽極を金属構造物に接合できる金属構造物の電気防食方法及び電気防食金属構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、金属構造物に接合可能な第1金属材と前記金属構造物に対して犠牲陽極となる第2金属材とを接合したクラッド材を前記金属構造物に接合し、前記金属構造物を電気防食する金属構造物の電気防食方法である。
【0010】
本発明の他の態様は、金属構造物に接合可能な第1金属材と前記金属構造物に対して犠牲陽極となる第2金属材とを接合したクラッド材を前記金属構造物に接合した電気防食金属構造物である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、金属構造物にクラッド材を接合すれば金属構造物を電気防食できるので、電気防食の施工が容易である。また、多量の犠牲陽極を金属構造物に接合できるので、長期に亘って金属構造物に防食電流を流入させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施形態の電気防食金属構造物(電気防食塗覆装鋼管)の管軸に沿った断面図である。
図2】本発明の第2の実施形態の電気防食金属構造物(電気防食塗覆装鋼管)の管軸に沿った断面図である(図2(a)は電気防食塗覆装鋼管と塗覆装鋼管の接合前の状態を示し、図2(b)は接合後の状態を示す)。
図3】管軸方向から見た電気防食塗覆装鋼管を示す図である(図3(a)はリング状のクラッド材を示し、図3(b)は円弧状のクラッド材を示し、図3(c)はI字状のクラッド材を示す)。
図4】本発明の第3の実施形態の電気防食金属構造物(電気防食海洋鋼構造物)の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態の金属構造物の電気防食方法及び電気防食金属構造物を説明する。ただし、本発明の金属構造物の電気防食方法及び電気防食金属構造物は、種々の形態で具体化することができ、本明細書に記載される実施形態に限定されるものではない。本実施形態は、明細書の開示を十分にすることによって、当業者が発明を十分に理解できるようにする意図をもって提供されるものである。
(第1実施形態)
【0014】
図1は、本発明の第1の実施形態の電気防食金属構造物(電気防食塗覆装鋼管1,1)の管軸に沿った断面図を示す。本実施形態の電気防食塗覆装鋼管1,1は、開削工法により土中に設置され、水道、ガス、石油等の各種流体を送るためのパイプラインとして用いられる。電気防食塗覆装鋼管1は、鋼管2と、クラッド材3と、塗覆装5と、を備える。鋼管2には、予め工場において塗覆装5が塗覆されている。クラッド材3は、鋼管2の塗覆装5が塗覆されていない裸部2aの外面に溶接される。なお、クラッド材3は、予め工場において裸部2aの外面に溶接されてもよいし、開削工法の現場において裸部2aの外面に溶接されてもよい。
【0015】
鋼管2は、鉄を主成分とする金属であり、炭素鋼鋼管、ステンレス鋼管、合金鋼鋼管等である。塗覆装5は、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン、アスファルト、エポキシ樹脂である。鋼管2の端部には、塗覆装5が塗覆されていない裸部2aが形成される。
【0016】
クラッド材3は、鋼管2の裸部2aに接合可能な第1金属材3aと、鋼管2に対して犠牲陽極となる第2金属材3bと、を備える。クラッド材3の第1金属材3aと第2金属材3bは、爆発圧着法、圧延圧着法等により接合される。クラッド材3の第1金属材3aと第2金属材3bの境界面は、金属組織的に接合している。第1金属材3aが内周側に配置され、第2金属材3bが外周側に配置される。
【0017】
クラッド材3の第1金属材3aは、鋼管2の裸部2aの外面に隅肉溶接等により溶接される。管軸方向視におけるクラッド材3の形状は、鋼管2の外面の全周に亘るリング状であっても、鋼管2の外面の一部に沿う円弧状でもよい。なお、クラッド材3をボルト及びナット、ねじ、接着剤等の接合手段を用いて鋼管2の裸部2aに接合してもよい。
【0018】
第1金属材3aの材質は、第2金属材3bよりもイオン化傾向が小さい金属であることが必要とされる。また、電気防食塗覆装鋼管1の用途によっては、溶接欠陥が生じないように鋼管2の材質と同種であるのが望ましい。例えば鋼管2が炭素鋼の場合、第1金属材3aも炭素鋼であるのが望ましい。鋼管2がステンレス鋼の場合、第1金属材3aもステンレス鋼であるのが望ましい。
【0019】
クラッド材3の第2金属材3bは、鋼管2よりもイオン化し易い金属(言い換えれば鋼管2よりも卑な金属)である。例えば鋼管2が炭素鋼の場合、第2金属材3bはMg、Mg合金、Al、Al合金、Zn、Zn合金等である。鋼管2がステンレス鋼の場合、第2金属材3bはMg、Mg合金、Al、Al合金、Zn、Zn合金、Fe、Fe合金等である。
【0020】
電気防食塗覆装鋼管1,1の鋼管2,2同士は、溶接、摩擦撹拌接合等により接合される。符号4は溶接金属である。鋼管2,2同士を接合した後、埋め戻しを行い、電気防食塗覆装鋼管1,1を土中に埋設する。
以下に本実施形態の電気防食方法の作用、効果を説明する。
【0021】
電気防食塗覆装鋼管1,1を電解質である土中に埋設すれば、鋼管2がイオン化(腐食)するのに代わって、鋼管2よりイオン化傾向の大きい第2金属材3bがイオン化する。第2金属材3bが第1金属材3aに電気的に接続し、第1金属材3aが鋼管2に電気的に接続しているので、第2金属材3bと鋼管2との電位差によって、第2金属材3bから鋼管2に防食電流が流入する。このため、鋼管2を電気防食することができる。
【0022】
クラッド材3の第1金属材3aを鋼管2に溶接するので、クラッド材3の第2金属材3bが消耗してもクラッド材3が鋼管2に接合した状態を保つことができる。
【0023】
鋼管2が鉄を主成分とし、クラッド材3の第1金属材3aが鉄を主成分とするので、溶接欠陥が生じるのを防止できる。
(第2実施形態)
【0024】
図2は、本発明の第2の実施形態の電気防食金属構造物(電気防食塗覆装鋼管11及び塗覆装鋼管20)の管軸に沿った断面図を示す。図2(a)は電気防食塗覆装鋼管11と塗覆装鋼管20の接合前の状態を示し、図2(b)は接合後の状態を示す。
【0025】
水道、ガス、石油等の各種流体を送るためのパイプラインにおいて、既存パイプラインの更新方法の一つにパイプインパイプがある。パイプインパイプとは、既存管である外管14の内側に新しいパイプライン(電気防食塗覆装鋼管11及び塗覆装鋼管20)を敷設する工法である。外管14は、鋼管、ステンレス管、鋳鉄管、コンクリート管のいずれでもよい。外管14は、外面に塗装又は塗覆装が施されてもよいし、施されていなくてもよい。
【0026】
図2(a)の符号20は、敷設途中の塗覆装鋼管又は敷設済みの塗覆装鋼管である。塗覆装鋼管20は、鋼管15と、塗覆装16と、を備える。符号17は、塗覆装鋼管20の引込み作業を容易にするためのパイピングスムーサである。
【0027】
電気防食塗覆装鋼管11は、鋼管12と、鋼管12の外面の裸部12aに溶接されるクラッド材13と、塗覆装18と、を備える。クラッド材13は、鋼管12に接合可能な第1金属材13aと鋼管12に対して犠牲陽極となる第2金属材13bを備える。クラッド材13の構成は、第1実施形態の電気防食塗覆装鋼管1のクラッド材3と同一である。クラッド材13は、鋼管12の端部に配置されていて、鋼管12の端部から管軸方向に突出する。
【0028】
図3(a)~(c)は、管軸方向から見た電気防食塗覆装鋼管11を示す。図3(a)に示すように、管軸方向視におけるクラッド材13は、鋼管12の外面の全周に亘るリング状であってもよいし、図3(b)に示すように、鋼管12の外面の一部に沿う円弧状でもよいし、図3(c)に示すように、I字状でもよい。
【0029】
クラッド材13は、鋼管12に周方向に等配されるのが望ましい。図3(a)に示すように、クラッド材13が1つの場合、リング状のクラッド材13を鋼管12の外面の全周に配置する。図3(b)に示すように、クラッド材13が2つの場合、クラッド材13を鋼管12の上下に配置するか、左右に配置する。図3(c)に示すように、クラッド材13が4つの場合、クラッド材13を鋼管の12の上下左右に配置するか斜め方向にクロスするように配置する。なお、クラッド材13の個数は上記に限定されるものではなく、例えば3つや6つ以上でもよい。
【0030】
図2(a)から図2(b)に示すように、クラッド材13を有する電気防食塗覆装鋼管11を塗覆装鋼管20に押し込むと、クラッド材13により鋼管12,15同士の芯出しが行われる。
【0031】
鋼管12,15同士の芯出しを行った後、鋼管12,15同士は、内面側から溶接、摩擦撹拌接合等により接合される。符号19は溶接金属である。
【0032】
鋼管12,15同士を接合した後、外管14と電気防食塗覆装鋼管11及び塗覆装鋼管20との間は、モルタル、エアモル、水等の電解質である充填材で充填される。
以下に本実施形態の電気防食方法の作用、効果を説明する。
【0033】
外管14と電気防食塗覆装鋼管11及び塗覆装鋼管20との間を電解質である充填材で充填すれば、鋼管12,15がイオン化(腐食)するのに代わって、鋼管12,15よりイオン化傾向の大きい第2金属材13bがイオン化する。これにより、第2金属材13bから鋼管12,15に防食電流が流れるので、鋼管12,15を電気防食することができる。
【0034】
外管14が塗覆装や塗装等により電気絶縁性能を有する場合、外管14の外側に電気防食設備を設置したとしても、外管14の内側の鋼管12,15に防食電流を流入させることはできない。本実施形態の電気防食方法によれば、外管14が電気絶縁性能を有する場合でも、クラッド材13により鋼管12,15に防食電流を流入させることができる。
【0035】
他方、外管14が電気絶縁性能を有しない場合(言い換えれば外管14が無防食の鋼管、鋳鉄管、コンクリート管等である場合)、外管14の外側に設置した電気防食設備から外管14の内側の鋼管12,15に防食電流を流すことができる。しかし、外管14の内面が防食電流の大きさに応じて減肉するので、外管14を保護管とした強度設計に基づく電気防食塗覆装鋼管11及び塗覆装鋼管20の強度不足の懸念が生じる。本実施形態の電気防食方法によれば、クラッド材13により鋼管12,15に防食電流を流入させるので、この懸念を払拭できる。
【0036】
また、パイプインパイプを施工する場合、電気防食塗覆装鋼管11と塗覆装鋼管20の流送性能を高めるために、電気防食塗覆装鋼管11と塗覆装鋼管20のサイズを外管14のサイズに近づけることが多い。この場合、鋼管12,15の裸部12a,15aを塗装したり、裸部12a,15aを熱収縮チューブにより塗覆したりすることが困難になる。本実施形態の電気防食方法によれば、クラッド材13により鋼管12,15の裸部12a,15aに防食電流を流入させるので、鋼管12,15の裸部12a,15aを塗覆できなくても、裸部12a,15aの腐食リスクを低減できる。
【0037】
電気防食塗覆装鋼管11と塗覆装鋼管20の鋼管12,15同士を内面側から接合するので、外管14と電気防食塗覆装鋼管11及び塗覆装鋼管20との隙間が小さくても鋼管12,15同士を接合することができる。また、クラッド材13の外周側の第2金属材13bへの熱影響を少なくすることができる。
【0038】
クラッド材13を鋼管12の端部に配置するので、クラッド材13に芯出しの機能を持たせることができる。
【0039】
クラッド材13を鋼管12に周方向に等配するので、鋼管12を周方向に均等に電気防食することができる。
(第3実施形態)
【0040】
図4は、本発明の第3の実施形態の電気防食金属構造物(電気防食海洋鋼構造物)を示す。電気防食海洋鋼構造物は、海洋鋼構造物21と、クラッド材23と、を備える。符号22は海水である。
【0041】
クラッド材23は、第1金属材23aと第2金属材23bを備える。海洋鋼構造物21は、炭素鋼、ステンレス鋼、合金鋼等の鉄を主成分とする金属である。クラッド材23の第1金属材23aは、炭素鋼、ステンレス鋼、合金鋼等の鉄を主成分とする金属である。クラッド材23の第1金属材23aは、海洋鋼構造物21に溶接される。クラッド材23の第2金属材23bは、海洋鋼構造物21よりもイオン化し易いMg、Mg合金、Al、Al合金、Zn、Zn合金等の金属である。
【0042】
海洋鋼構造物21を電解質である海水22中に配置すれば、海洋鋼構造物21がイオン化(腐食)するのに代わって、海洋鋼構造物21よりイオン化傾向の大きいクラッド材23の第2金属材23bがイオン化する。これにより、クラッド材23の第2金属材23bから海洋鋼構造物21に防食電流が流れるので、海洋鋼構造物21を防食することができる。なお、これらは河川等に設置する鋼構造物においても同様である。
【符号の説明】
【0043】
1,11…電気防食塗覆装鋼管(電気防食金属構造物)
2,12,15…鋼管(金属構造物)
3,13…クラッド材
3a,13a…第1金属材
3b,13b…第2金属材
14…外管
21…海洋鋼構造物(金属構造物)
23…クラッド材
23a…第1金属材
23b…第2金属材
図1
図2
図3
図4