(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112379
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】酸素吸収剤
(51)【国際特許分類】
B01D 53/14 20060101AFI20240814BHJP
B01J 20/26 20060101ALI20240814BHJP
C08K 5/00 20060101ALI20240814BHJP
C08L 67/06 20060101ALI20240814BHJP
C08G 63/52 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
B01D53/14 311
B01J20/26 A
C08K5/00
C08L67/06
C08G63/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017341
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100110663
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 共永
(72)【発明者】
【氏名】小川 俊
(72)【発明者】
【氏名】池田 真一
【テーマコード(参考)】
4D020
4G066
4J002
4J029
【Fターム(参考)】
4D020AA02
4D020BA01
4D020BA02
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4D020BA05
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4J029GA17
4J029HA01
4J029HB01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】バイオマス原料を含有して環境への負荷を低減しつつ、低湿度から高湿度までの広範な湿度条件下で優れた酸素吸収性能を有し、熱履歴を受けた後であっても酸素吸収性能が低下することなく、かつ、酸素吸収前後において臭気のない、酸素吸収剤を提供すること。
【解決手段】上記課題は、ポリエステルオリゴマーと、遷移金属触媒と、を含有する酸素吸収剤であって、前記ポリエステルオリゴマーが、下記式(1)で表される構成単位を含有する、前記酸素吸収剤によって解決することができる。
(上記式(1)中、nは繰り返し単位の量を表し、Xは、芳香族炭化水素基、飽和脂環式炭化水素基、直鎖状又は分岐状の飽和脂肪族炭化水素基及び複素環基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を含有する2価の基を表す。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルオリゴマーと、
遷移金属触媒と、
を含有する酸素吸収剤であって、
前記ポリエステルオリゴマーが、下記式(1)で表される構成単位を含有する、前記酸素吸収剤。
【化1】
(上記式(1)中、nは繰り返し単位の量を表し、Xは、芳香族炭化水素基、飽和脂環式炭化水素基、直鎖状又は分岐状の飽和脂肪族炭化水素基及び複素環基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を含有する2価の基を表す。)
【請求項2】
前記ポリエステルオリゴマーが、500~10,000の数平均分子量を有する、請求項1に記載の酸素吸収剤。
【請求項3】
前記遷移金属触媒が、コバルト、ニッケル及び銅からなる群より選択される少なくとも1種の遷移金属を含む、請求項1または2に記載の酸素吸収剤。
【請求項4】
前記遷移金属触媒が、前記ポリエステルオリゴマーに対して、遷移金属量として5~200ppm含まれる、請求項1~3のいずれかに記載の酸素吸収剤。
【請求項5】
前記式(1)で表される構成単位が、下記式(2)~(4)で表される構成単位からなる群より選択される少なくとも1つである、請求項1~4のいずれかに記載の酸素吸収剤。
【化2】
【化3】
【化4】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は酸素吸収剤に関し、特に、所定の構造を有するポリエステルオリゴマーと遷移金属触媒とを少なくとも含有する酸素吸収剤に関する。
【背景技術】
【0002】
食品、飲料、医薬品、化粧品に代表される、酸素の影響を受けて変質或いは劣化しやすい各種物品の酸素酸化を防止し、長期に保存する目的で、これらを収納した包装体内の酸素除去を行う酸素吸収剤が使用されている。
【0003】
酸素吸収剤としては、酸素吸収能力、取り扱い易さ、安全性の点から、鉄粉を反応主剤とする酸素吸収剤が一般的に用いられている。しかし、この鉄系酸素吸収剤は、金属探知機に感応するために、異物検査に金属探知機を使用することが困難であった。また、鉄系酸素吸収剤を同封した包装体は、発火の恐れがある為に電子レンジによる加熱ができない。さらに、鉄粉の酸化反応には水分が必須であるため、被保存物が高水分系であるものでしか、酸素吸収の効果を発現することができなかった。
【0004】
また、熱可塑性樹脂に鉄系酸素吸収剤を配合した酸素吸収性樹脂組成物からなる酸素吸収層を配した多層材料で容器を構成することにより、容器のガスバリア性の向上を図るとともに容器自体に酸素吸収機能を付与した包装容器の開発が行われている(特許文献1参照)。しかし、これも同様に、金属探知機に感応するため当該用途で使用できない、電子レンジによる加熱ができない、被保存物が高水分系のものしか効果を発現しない、といった課題を有している。さらに、不透明性の問題により内部視認性が不足するといった課題を有している。
【0005】
上記のような事情から、有機系の物質を反応主剤とする酸素吸収剤が望まれている。有機系の物質を反応主剤とする酸素吸収剤としては、アスコルビン酸を主剤とする酸素吸収剤が知られている(特許文献2参照)。
しかしながら、特許文献2の酸素吸収剤は、そもそも酸素吸収性能が低く、また、被保存物が高水分系のものしか効果を発現しない、比較的に高価である、といった課題を有している。
【0006】
他方、樹脂と遷移金属触媒からなり、酸素捕捉特性を有する酸素吸収性樹脂組成物が知られている。例えば、酸化性有機成分としてポリアミド、特にキシリレン基含有ポリアミドと遷移金属触媒からなる樹脂組成物が知られている(特許文献3参照)。さらに、この特許文献3には、この樹脂組成物を成形して得られる酸素吸収剤、包装材料、包装用多層積層フィルムも例示されている。
しかし、特許文献3の樹脂組成物は、遷移金属触媒を含有させキシリレン基含有ポリアミド樹脂を酸化させることで酸素吸収機能を発現させるものであるため、酸素吸収後に樹脂の酸化劣化による高分子鎖の切断が発生し、包装容器そのものの強度が低下するという問題を有している。さらに、この樹脂組成物は、未だ酸素吸収性能が不十分であり、被保存物が高水分系のものしか効果を発現しない、といった課題を有している。
【0007】
また、酸素吸収に水分を必要としない酸素吸収性樹脂組成物として、炭素-炭素不飽和結合を有する樹脂と遷移金属触媒からなる酸素吸収性樹脂組成物が知られている(特許文献4参照)。
しかし、特許文献4の酸素吸収性樹脂組成物は、上記と同様に樹脂の酸化にともなう高分子鎖の切断により臭気成分となる低分子量の有機化合物が生成し、酸素吸収後に臭気が発生するという問題がある。
【0008】
さらに、酸素を捕集する組成物として、置換されたシクロヘキセン官能基を含むポリマーまたは該シクロヘキセン環が結合した低分子量物質と遷移金属とからなる組成物が知られている(特許文献5参照)。
しかし、特許文献5の組成物は、シクロヘキセン官能基を含む特殊な材料を用いる必要があり、また、この材料は比較的に臭気が発生しやすい、という課題が依然として存在する。
【0009】
また、従来の酸素吸収剤組成物を樹脂等に配合して使用する際、成形時等の熱履歴によって酸素吸収能が低下してしまうといった問題もある。そのため、酸素吸収剤組成物を配合した樹脂組成物等を用いて、成形加工を行う際、加熱条件等の制限を受けるといった問題もある。
【0010】
出願人はテトラリン環を有する酸素吸収性樹脂組成物を提案している(特許文献6参照)。
【0011】
一方で近年、循環型社会の構築を求める声の高まりとともに、材料分野においてもエネルギーと同様に化石燃料からの脱却が望まれており、バイオマスの利用が注目されている。バイオマスは、二酸化炭素と水から光合成された有機化合物であり、それを利用することにより、再度二酸化炭素と水になる、いわゆるカーボンニュートラルな再生可能エネルギーである。昨今、これらバイオマスを原料としたバイオマスプラスチックの実用化が急速に進んでいるが、酸素吸収剤についてはそのような試みは未だ行われていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平09-234832号公報
【特許文献2】特開昭51-136845号公報
【特許文献3】特開2001-252560号公報
【特許文献4】特開平05-115776号公報
【特許文献5】特表2003-521552号公報
【特許文献6】特許第6124114号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、バイオマス原料を含有して環境への負荷を低減しつつ、低湿度から高湿度までの広範な湿度条件下で優れた酸素吸収性能を有し、熱履歴を受けた後であっても酸素吸収性能が低下することなく、かつ、酸素吸収前後において臭気のない、酸素吸収剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、酸素吸収剤について鋭意検討を進めた結果、所定の構造を有するポリエステルオリゴマーと遷移金属触媒とを含む酸素吸収剤により、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成した。
【0015】
すなわち、本発明は、以下の態様を包含する。
[1]
ポリエステルオリゴマーと、
遷移金属触媒と、
を含有する酸素吸収剤であって、
前記ポリエステルオリゴマーが、下記式(1)で表される構成単位を含有する、前記酸素吸収剤。
【化1】
(上記式(1)中、nは繰り返し単位の量を表し、Xは、芳香族炭化水素基、飽和脂環式炭化水素基、直鎖状又は分岐状の飽和脂肪族炭化水素基及び複素環基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を含有する2価の基を表す。)
[2]
前記ポリエステルオリゴマーが、500~10,000の数平均分子量を有する、上記[1]に記載の酸素吸収剤。
[3]
前記遷移金属触媒が、コバルト、ニッケル及び銅からなる群より選択される少なくとも1種の遷移金属を含む、上記[1]又は[2]に記載の酸素吸収剤。
[4]
前記遷移金属触媒が、前記ポリエステルオリゴマーに対して、遷移金属量として5~200ppm含まれる、上記[1]~[3]のいずれかに記載の酸素吸収剤。
[5]
前記式(1)で表される構成単位が、下記式(2)~(4)で表される構成単位からなる群より選択される少なくとも1つである、上記[1]~[4]のいずれかに記載の酸素吸収剤。
【化2】
【化3】
【化4】
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、バイオマス原料を含有して環境への負荷を低減しつつ、低湿度から高湿度までの広範な湿度条件下で優れた酸素吸収性能を有する酸素吸収剤を実現することができる。しかも酸素吸収後の臭気発生が抑制されるので、例えば、食品、調理食品、飲料、医薬品、健康食品等、対象物を問わず幅広い用途で使用することができる。また、鉄粉等を含有しない本発明の好適態様によれば、金属探知機に感応しない酸素吸収剤を実現することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について説明する。なお、本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。また、本明細書において「~」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
【0018】
[酸素吸収剤]
本実施形態の酸素吸収剤は、ポリエステルオリゴマーと遷移金属触媒とを少なくとも含有し、前記ポリエステルオリゴマーは、下記式(1)で表される構成単位を含有する。
【化5】
上記式(1)中、nは繰り返し単位の量を表し、Xは、芳香族炭化水素基、飽和脂環式炭化水素基、直鎖状又は分岐状の飽和脂肪族炭化水素基及び複素環基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を含有する2価の基を表す。
【0019】
本実施形態に係る酸素吸収剤は、低湿度から高湿度までの広範な湿度条件下で優れた酸素吸収性能を有し、被保存物の水分の有無によらず酸素を吸収することができ、しかも酸素吸収後の臭気発生が無いので、例えば、食品、調理食品、飲料、医薬品、健康食品等、対象物を問わず幅広い用途で使用することができる。さらに、鉄粉等を含有しない本発明の好適態様によれば、金属探知機に感応しない酸素吸収剤を実現することもできる。
【0020】
<ポリエステルオリゴマー>
本実施形態の酸素吸収剤に含まれるポリエステルオリゴマーは、上記式(1)で表される構成単位を含有するものである。ここで「構成単位を含有する」とは、化合物中に当該構成単位を1以上有することを意味する。本発明で使用されるポリエステルオリゴマーは、バイオマス由来の原料であるイタコン酸あるいはイタコン酸誘導体を用いて好適に製造することができる。
また、上記式(1)で表される構成単位は、上記式(2)~(4)で表される構成単位からなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。このような構成単位とすることにより、原料コストの削減が可能となる傾向にあり、また、バイオマス原料の使用割合を増加することが可能となる。上記構成単位は上記構成単位と他の構成単位とランダムに組み込まれても構わないし、上記構成単位とブロックに組み込まれても構わない。
【0021】
ポリエステルオリゴマーとは、重量平均分子量(Mw)が6.0×102~2.0×104であるものを意味する。ポリエステルオリゴマーの重量平均分子量は、7.5×102~1.8×104であることが好ましく、より好ましくは1.0×103~1.4×104、更に好ましくは1.2×103~1.3×104である。また同様に、ポリエステルオリゴマーの数平均分子量(Mn)は、5.0×102~1.0×104であることが好ましく、より好ましくは7.5×102~9.0×103、更に好ましくは1.0×103~8.0×103である。ポリエステルオリゴマーの重量平均分子量、及び数平均分子量が上記好ましい範囲内の場合、耐熱性を維持しつつ酸素吸収量を高めることが出来る。ポリエステルオリゴマーの分子量を上述した範囲に制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、末端停止剤により制御する方法や、グリコール(G)と酸(A)との割合(G/A)により制御する方法が挙げられる。なお、ここでいう分子量は、いずれもポリスチレン換算の値を意味する。なお、本実施形態において、重量平均分子量及び数平均分子量は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
また、上記のポリエステルオリゴマーは、1種を単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0022】
本実施形態における上記式(1)で表される構成単位を含有するポリエステルオリゴマーの製造方法は特に制限されず、従来公知のポリエステルの製造方法を適用することができる。ポリエステルの製造方法としては、例えば、エステル交換法、直接エステル化法等の溶融重合法、または溶液重合法等が挙げられる。これらの中でも環境負荷の低減の観点から、イタコン酸を使用した直接エステル化法が好適である。
【0023】
ポリエステルオリゴマーの製造時に用いるエステル交換触媒、エステル化触媒、重縮合触媒等の各種触媒、エーテル化防止剤、熱安定剤、光安定剤等の各種安定剤、重合調整剤等も従来公知のものをいずれも用いることができ、これらは反応速度やポリエステル化合物の色調、安全性、熱安定性、耐候性、自身の溶出性などに応じて適宜選択される。例えば上記各種触媒としては、亜鉛、鉛、セリウム、カドミウム、コバルト、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、ニッケル、マグネシウム、バナジウム、アルミニウム、チタン、スズ等の金属の化合物(例えば、脂肪酸塩、炭酸塩、リン酸塩、水酸化物、塩化物、酸化物、アルコキシド)や金属マグネシウムなどが挙げられ、これらは単独で用いることもできるし、複数のものを組み合わせて用いることもできる。
【0024】
ポリエステルオリゴマーは、上記式(1)で表される構成単位をポリエステルオリゴマーの全構成単位100モル%に対して、5モル%以上含有することが好ましく、さらに好ましくは10モル%以上、最も好ましくは20モル%以上含有することが好ましい。式(1)で表される構成単位の含有量は、重クロロホルム中、1H-NMRによって測定することができる。
【0025】
上記式(1)で表される構成単位以外の任意の構成単位の具体例としては、以下に限定されないが、前述した単位以外のジカルボン酸又はその誘導体及びジオール又はその誘導体に由来する単位が挙げられる。
【0026】
任意の構成単位としてのジオール又はその誘導体としては、以下に限定されないが、例えば、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール類;1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,2-デカヒドロナフタレンジメタノール、1,3-デカヒドロナフタレンジメタノール、1,4-デカヒドロナフタレンジメタノール、1,5-デカヒドロナフタレンジメタノール、1,6-デカヒドロナフタレンジメタノール、2,7-デカヒドロナフタレンジメタノール、テトラリンジメタノール等の脂環式ジオール類、又はこれらの誘導体等が挙げられる。上記ジオール又はその誘導体は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0027】
任意の構成単位としてのジカルボン酸又はその誘導体としては、以下に限定されないが、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸類、フタル酸、テレフタル酸等のベンゼンジカルボン酸類、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸類、又はこれらの誘導体等が挙げられる。ジカルボン酸又はその誘導体は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0028】
また、その他の構成単位としては、例えば、3価以上の多価アルコール、3価以上の多価カルボン酸及びその誘導体、並びに3価以上のヒドロキシカルボン酸及びその誘導体のうち、少なくとも1種の多官能化合物が挙げられる。これら多官能化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
このような共重合成分の含有割合は、本実施形態の効果を過度に損なわない範囲であれば特に限定されないが、例えば、ポリエステルオリゴマー100mol%に対して、3mol%以下であることが好ましく、2mol%以下であることがより好ましく、1mol%以下であることがさらに好ましい。前記範囲とすることでゲル化等の製造上の問題を起こさずに耐熱性や樹脂への相溶性を制御することが可能となる。
【0029】
3価以上の多価アルコールの具体例としては、特に限定されないが、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、1,2,6-ヘキサントリオール、ソルビトール、等が挙げられる。
【0030】
<遷移金属触媒>
本実施形態の酸素吸収剤において使用される遷移金属触媒としては、上記ポリエステルオリゴマーの酸化反応の触媒として機能し得るものであれば、公知のものから適宜選択して用いることができる。特に限定するものではないが、遷移金属触媒に含まれる遷移金属は、周期表の4及び8~11族の金属であることが好ましい。少量で効果を発揮するためには、周期表の8~11族の金属であることがより好ましい。
【0031】
かかる遷移金属触媒の具体例としては、例えば、遷移金属の有機酸塩、ハロゲン化物、燐酸塩、亜燐酸塩、次亜燐酸塩、硝酸塩、硫酸塩、酸化物、水酸化物等が挙げられる。ここで、遷移金属触媒に含まれる遷移金属としては、例えば、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ルテニウム、ロジウム等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの中でも、コバルト、ニッケル、及び銅が好ましい。また、有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、オクタノイック酸、ラウリン酸、ステアリン酸、アセチルアセトン、ジメチルジチオカルバミン酸、パルミチン酸、2-エチルヘキサン酸、ネオデカン酸、リノール酸、トール酸、オレイン酸、カプリン酸、ナフテン酸が挙げられるが、これらに限定されない。遷移金属触媒は、これらの遷移金属と有機酸とを組み合わせたものが好ましく、遷移金属がコバルト、ニッケル又は銅であり、有機酸が酢酸、ステアリン酸、2-エチルヘキサン酸、オレイン酸又はナフテン酸である組み合わせがより好ましい。なお、遷移金属触媒は、1種を単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0032】
遷移金属触媒の配合量は、使用する前記ポリエステルオリゴマーや遷移金属触媒の種類及び所望の性能に応じて適宜設定でき、特に限定されない。酸素吸収剤の酸素吸収量や、酸素吸収剤の外観、製造時の異物発生の観点から、遷移金属(好ましくは周期表の8~11族の金属、より好ましくはコバルト、ニッケル又は銅)の量(2種以上の遷移金属を使用する場合にはそれらの合計量)は、前記ポリエステルオリゴマーに対して、遷移金属量として5~200ppmであることが好ましく、さらに好ましくは10~100ppm、最も好ましくは20~50ppmである。なお、ポリエステルオリゴマーの製造に遷移金属触媒を使用し、これが酸素吸収剤に残存しており、リン化合物等による失活処理が行われていない場合には、残存触媒に含まれる遷移金属の量も前記数値範囲に包含される。遷移金属の量及び種類は、誘導結合プラズマ質量分析法によって測定することができる。
【0033】
遷移金属の量が5ppm以上であると、酸素吸収性能がより向上する傾向にある。遷移金属の量が200ppm以下であると、製造時の異物発生がより抑制される傾向にある。
【0034】
なお、本実施形態の酸素吸収剤は、酸素吸収反応を促進させるために、必要に応じて、さらにラジカル発生剤や光開始剤を含有していてもよい。ラジカル発生剤の具体例としては、各種のN-ヒドロキシイミド化合物が挙げられ、例えば、N-ヒドロキシコハクイミド、N-ヒドロキシマレイミド、N,N’-ジヒドロキシシクロヘキサンテトラカルボン酸ジイミド、N-ヒドロキシフタルイミド、N-ヒドロキシテトラクロロフタルイミド、N-ヒドロキシテトラブロモフタルイミド、N-ヒドロキシヘキサヒドロフタルイミド、3-スルホニル-N-ヒドロキシフタルイミド、3-メトキシカルボニル-N-ヒドロキシフタルイミド、3-メチル-N-ヒドロキシフタルイミド、3-ヒドロキシ-N-ヒドロキシフタルイミド、4-ニトロ-N-ヒドロキシフタルイミド、4-クロロ-N-ヒドロキシフタルイミド、4-メトキシ-N-ヒドロキシフタルイミド、4-ジメチルアミノ-N-ヒドロキシフタルイミド、4-カルボキシ-N-ヒドロキシヘキサヒドロフタルイミド、4-メチル-N-ヒドロキシヘキサヒドロフタルイミド、N-ヒドロキシヘット酸イミド、N-ヒドロキシハイミック酸イミド、N-ヒドロキシトリメリット酸イミド、N,N-ジヒドロキシピロメリット酸ジイミド等が挙げられるが、これらに特に限定されない。また、光開始剤の具体例としては、ベンゾフェノンとその誘導体、チアジン染料、金属ポルフィリン誘導体、アントラキノン誘導体等が挙げられるが、これらに特に限定されない。なお、これらのラジカル発生剤及び光開始剤は、1種を単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0035】
ここで、本実施形態の酸素吸収剤は、必要に応じて、さらに担体物質を含有していてもよい。このとき、担体物質を含有する酸素吸収剤は、ポリエステルオリゴマーと遷移金属触媒と担体物質との混合物として、そのまま酸素吸収剤として用いることができる。また、ポリエステルオリゴマーを必要に応じて遷移金属触媒とともに担体物質に担持或いは含浸させることで、ポリエステルオリゴマーが担体物質に担持或いは含浸された担持体とすることができ、この担持体を酸素吸収剤として用いることもできる。このようにポリエステルオリゴマーを担体物質に担持或いは含浸させることにより、本実施形態の酸素吸収剤は、酸素との接触面積を大きくし、酸素吸収速度又は酸素吸収量を増加させることができ、また、取り扱いを簡便にすることができる。
【0036】
上記の担体物質としては、当業界で公知の担体物質の中から適宜選択して用いることができる。その具体例としては、例えば、合成ケイ酸カルシウム、消石灰、活性炭、ゼオライト、パーライト、珪藻土、活性白土、シリカ、カオリン、タルク、ベントナイト、活性アルミナ、石膏、シリカアルミナ、ケイ酸カルシウム、酸化マグネシウム、黒鉛、カーボンブラック、水酸化アルミニウム、酸化鉄等の粉末が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらの中でも、合成ケイ酸カルシウム、珪藻土、シリカ、活性炭が好ましく用いられる。なお、担体物質は、1種を単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0037】
担体物質の配合量は、使用するポリエステルオリゴマーや遷移金属触媒の種類及び所望の性能に応じて適宜設定でき、特に限定されないが、ポリエステルオリゴマーの質量を100質量部として、100~1000質量部であることが好ましく、より好ましくは200~500質量部である。
ポリエステルオリゴマーに対して担体物質の配合量が1000質量部を超えると酸素吸収剤の重量当たりの総酸素吸収量が小さくなり、担体物質の配合量が100質量部未満であると脱酸素速度の増大効果が小さくなる。
【0038】
本実施形態の酸素吸収剤は、必要に応じて、さらに熱可塑性樹脂を含有していてもよい(以下、この態様を、「酸素吸収性樹脂組成物」ともいう。)。この場合、酸素吸収剤組成物中におけるポリエステルオリゴマーと遷移金属触媒の含有形態は特に限定されない。例えば、ポリエステルオリゴマー及び遷移金属触媒が熱可塑性樹脂中にそのまま含有されていてもよいし、ポリエステルオリゴマー及び遷移金属触媒が上述した担体物質に担持された状態で熱可塑性樹脂中に含有されていてもよい。
【0039】
熱可塑性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ-1-ブテン、ポリ-4-メチル-1-ペンテン、あるいはエチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン等のα-オレフィン同士のランダムまたはブロック共重合体等のポリオレフィン、無水マレイン酸グラフトポリエチレンや無水マレイン酸グラフトポリプロピレン等の酸変性ポリオレフィン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-塩化ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体やそのイオン架橋物(アイオノマー)、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体等のエチレン-ビニル化合物共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン共重合体、α-メチルスチレン-スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のポリビニル化合物、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)、ポリエチレンサクシネート(PES)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレンオキサイド等のポリエーテル等あるいはこれらの混合物等が挙げられる。これらの中でもバイオマスポリエチレン、バイオマスPES、バイオマスPBS、バイオマスPET等のバイオマス由来の原料を含む熱可塑性樹脂を用いることで環境負荷を低下させることが可能となる。
【0040】
<各種添加剤>
ここで、本実施形態の酸素吸収剤は、上述した各成分以外に、本実施形態の効果を過度に損なわない範囲で、公知の各種添加剤を含有していてもよい。かかる任意成分としては、例えば、乾燥剤、酸化チタン等の顔料、染料、酸化防止剤、スリップ剤、帯電防止剤、安定剤等の添加剤、炭酸カルシウム、クレー、マイカ、シリカ等の充填剤、消臭剤等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
【0041】
<使用態様>
本実施形態の酸素吸収剤の使用形態は、粉体状、顆粒状、ペレット状、フィルム状またはその他の小片状に加工し、通気性包装材料に充填し、小袋状の酸素吸収剤包装体として使用することができる。また、フィルム状に成形して、ラベル、カード、パッキング等の形態の酸素吸収体として用いることができる。
【0042】
<被保存物>
本実施形態の酸素吸収剤、酸素吸収性樹脂組成物及びこれを用いた積層体や容器等の各種成形品は、酸素吸収に水分を必須としない、換言すれば被保存物の水分の有無によらず酸素吸収することができるため、被保存物の種類を問わず幅広い用途で使用することができる。とりわけ、酸素吸収後の臭気の発生が抑制されるので、例えば、食品、調理食品、飲料、健康食品、医薬品等において特に好適に用いることができる。すなわち、本実施形態の酸素吸収剤、酸素吸収性樹脂組成物及びこれを用いた積層体等の各種成形品は、低湿度から高湿度までの広範な湿度条件下(相対湿度0%~100%)での酸素吸収性能に優れ、かつ内容物の風味保持性に優れるため、種々の物品の包装に適している。しかも、本実施形態の酸素吸収剤は、従来の鉄粉を使用した酸素吸収剤と異なり、鉄粉の含有を必須としない。そのため、鉄粉を含まない態様とした場合、金属探知機に感応しない酸素吸収剤となり、この鉄粉非含有酸素吸収剤は、鉄の存在のため保存できない被保存物(例えばアルコール飲料や炭酸飲料等)に好適に用いることができる。
【0043】
被保存物の具体例としては、牛乳、ジュース、コーヒー、茶類、アルコール飲料等の飲料;ソース、醤油、めんつゆ、ドレッシング等の液体調味料;スープ、シチュー、カレー等の調理食品;ジャム、マヨネーズ等のペースト状食品;ツナ、魚貝等の水産製品;チーズ、バター、卵等の乳加工品或いは卵加工品;肉、サラミ、ソーセージ、ハム等の畜肉加工品;にんじん、じゃがいも、アスパラ、しいたけ等の野菜類;フルーツ類;卵;麺類;米、精米等の米類;豆等の穀物類;米飯、赤飯、もち、米粥等の米加工食品或いは穀物加工食品;羊羹、プリン、ケーキ、饅頭等の菓子類;粉末調味料、粉末コーヒー、コーヒー豆、茶、乳幼児用粉末ミルク、乳幼児用調理食品、粉末ダイエット食品、介護調理食品、乾燥野菜、おかき、せんべい等の乾燥食品(水分活性の低い食品);接着剤、粘着剤、農薬、殺虫剤等の化学品;医薬品;ビタミン剤等の健康食品;ペットフード;化粧品、シャンプー、リンス、洗剤等の雑貨品;その他の種々の物品を挙げることができるが、これらに特に限定されない。特に、酸素存在下で劣化を起こしやすい被保存物、例えば、飲料ではビール、ワイン、果汁飲料、フルーツジュース、野菜ジュース、炭酸ソフトドリンク、茶類等、食品では果物、ナッツ、野菜、肉製品、幼児食品、コーヒー、ジャム、マヨネーズ、ケチャップ、食用油、ドレッシング、ソース類、佃煮類、乳製品類等、その他では医薬品、化粧品等の包装材に好適である。
なお、水分活性とは、物品中の自由水含有量を示す尺度であって、0~1の数字で示されるものであり、水分のない物品は0、純水は1となる。
【実施例0044】
以下に、実施例と比較例を用いて本実施形態をさらに詳しく説明するが、本実施形態はこれらによって限定されるものではない。
【0045】
<酸素吸収剤の評価方法>
(1)酸素吸収量
アルミ箔積層フィルムからなるガスバリア袋に粉末状酸素吸収剤10gと湿度調整液を含浸させた脱脂綿を入れ、空気量が500ccとなるよう密封した。湿度調整液により袋内の相対湿度を30%及び100%となるよう調整した。
このようにして得られた密封体の袋内酸素濃度を測定した。そして、この密封体を23℃で28日間保管して、保管後の袋内酸素濃度をジルコニア式酸素濃度計(東レエンジニアリング株式会社製LC-750F)を用いて測定した。これらの濃度から、28日間に酸素吸収剤が吸収した酸素の総量を算出した。算出した酸素の総量から、酸素吸収剤1g当たりの酸素吸収量(cc/g)を算出した。
【0046】
(2)臭気
保管前後の臭気については、テスター5人が以下の評価基準に基づき官能評価を行った。
(官能評価基準)
2点:酸素吸収剤自体に臭気がなく、保管前後ともに臭気なし。
1点:酸素吸収剤自体に若干臭気があるものの、保管前後で臭気の変化なし。
0点:保管後に臭気が増大した。
上記官能評価結果に基づき、以下基準のとおり臭気について評価した。これらの測定結果を表1に示す。
(臭気評価基準)
◎:テスター5人の官能評価結果の平均値の小数第一位を四捨五入した値が2点の場合
○:テスター5人の官能評価結果の平均値の小数第一位を四捨五入した値が1点の場合
×:テスター5人の官能評価結果の平均値の小数第一位を四捨五入した値が0点の場合
【0047】
(3)重量平均分子量および数平均分子量の測定方法
ポリエステルオリゴマーの重量平均分子量および数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ-低角度レーザー光散乱検出器(GPC-LALLS)にて測定した。測定装置は、東ソー株式会社製「HLC-8320GPC」を使用した。
【0048】
[ポリエステルオリゴマーの製造例]
(製造例1)
充填塔式精留塔、分縮器、全縮器、コールドトラップ、撹拌機、加熱装置及び窒素導入管を備えた容積500mLのポリエステル樹脂製造装置に、イタコン酸65.6g、テレフタル酸125.6g、エチレングリコール56.5g、オクタノール63.8gシュウ酸チタンカリウム二水和物0.23gを仕込み、窒素雰囲気で220℃まで昇温してエステル化反応を行った。反応転化率を90%以上とした後、リン酸(1%)エチレングリコール溶液9.5gを添加し、温度を維持したまま3kPaまで徐々に減圧を行い、低沸点化合物を留去することで以下の構造式で表されるポリエステルオリゴマー(A)を得た。得られたポリエステルオリゴマー(A)の重量平均分子量および数平均分子量は、それぞれ2.9×103および2.1×103であった。
【0049】
【0050】
(製造例2)
イタコン酸32.8g、テレフタル酸167.5gとした以外は、製造例1と同様にしてポリエステルオリゴマー(B)を得た。得られたポリエステルオリゴマー(B)の重量平均分子量および数平均分子量は、それぞれ3.0×103 および 2.3×103 であった。
【0051】
(製造例3)
イタコン酸及びテレフタル酸を不使用とし、その代わりに1,2,3,6-テトラヒドロ無水フタル酸を191.7g用いた以外は、製造例1と同様にして以下の構造式で表されるポリエステルオリゴマー(C)を得た。得られたポリエステルオリゴマー(C)の重量平均分子量および数平均分子量は、それぞれ2.8×103および2.2×103であった。
【0052】
【0053】
(実施例1)
冷却管、撹拌機、加熱装置及び窒素導入管を備えた容積200mLのセパラブルフラスコにポリエステルオリゴマー(A)100gを仕込み、ステアリン酸コバルト(II)をコバルト量換算で50ppmとなるよう添加し、窒素気流下で180℃5分混合した後に冷却し、得られた固体をアズワン製クラッシャーNR-02を使用して粉末状の酸素吸収剤を得た。得られた酸素吸収剤について前述の方法で酸素吸収量、臭気の有無の評価を実施した。評価結果を表1に示す。
【0054】
(実施例2)
ポリエステルオリゴマー(A)に代えてポリエステルオリゴマー(B)を使用した以外は、実施例1と同様にして酸素吸収剤を得た。得られた酸素吸収剤について前述の方法で酸素吸収量、臭気の有無の評価を実施した。評価結果を表1に示す。
【0055】
(比較例1)
ポリエステルオリゴマー(A)に代えてポリエステルオリゴマー(C)を使用した以外は、実施例1と同様にして酸素吸収剤を得た。得られた酸素吸収剤について前述の方法で酸素吸収量、臭気の有無の評価を実施した。評価結果を表1に示す。
【0056】
【0057】
実施例1、2から明らかなように、本発明の酸素吸収剤は、湿度によらず優れた酸素吸収性能を有し、酸素吸収前後において臭気発生が無いことが確認できた。