(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112396
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】浴室システム
(51)【国際特許分類】
A47K 4/00 20060101AFI20240814BHJP
A47K 3/00 20060101ALI20240814BHJP
F24H 9/16 20220101ALI20240814BHJP
【FI】
A47K4/00
A47K3/00 Q
A47K3/00 N
A47K3/00 D
F24H9/16 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017366
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】市丸 秀仁
(72)【発明者】
【氏名】弘中 睦己
【テーマコード(参考)】
2D132
【Fターム(参考)】
2D132GA00
(57)【要約】
【課題】浴槽への湯張りを行なった際に、浴槽の排水経路などにおいて雑菌類が増殖することを効果的に抑制し、不快な臭いなどが生じない衛生的な状況での入浴を可能とする浴室システムを提供する。
【解決手段】浴槽10に配管部5を介して接続され、かつ浴槽10への湯張り運転が可能な給湯装置WHと、除菌水を配管部5を介して浴槽10に供給し、浴槽10内に吐水させる除菌水吐水運転を可能とする除菌水生成装置4と、を備えている、浴室システムSYであって、浴槽10への湯張り運転が行なわれるときには、これに先立ち、前記除菌水吐水運転が行なわれ、かつこの除菌水吐水運転の終了後に、前記湯張り運転が開始されるように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽に配管部を介して接続され、かつ前記浴槽への湯張り運転が可能な給湯装置と、
除菌水を前記配管部を介して前記浴槽に供給し、前記浴槽内に吐水させる除菌水吐水運転を可能とする除菌水生成装置と、
を備えている、浴室システムであって、
前記浴槽への湯張り運転が行なわれるときには、これに先立ち、前記除菌水吐水運転が行なわれ、かつこの除菌水吐水運転の終了後に、前記湯張り運転が開始されるように構成されていることを特徴とする、浴室システム。
【請求項2】
請求項1に記載の浴室システムであって、
前記除菌水吐水運転が終了した後には、前記配管部内および前記浴槽内に残存する除菌水を、前記排水口から前記浴槽の排水経路に排出させるように、前記配管部を介して前記浴槽内に湯水を供給する除菌水パージ運転が実行され、
この除菌水パージ運転が終了した後に、前記浴槽への湯張り運転が開始されるように構成されている、浴室システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の浴室システムであって、
前記除菌水吐水運転が行なわれる前には、前記配管部の管内洗浄を目的として前記配管部に湯水を流す配管洗浄運転が行なわれるように構成されている、浴室システム。
【請求項4】
請求項1または2に記載の浴室システムであって、
前記浴槽への湯張り運転に先立って行なわれる前記除菌水吐水運転は、前回の湯張り運転時期から今回の湯張り運転時期までの時間間隔が所定時間以上である場合には、そうでない場合と比較して、運転時間が長い、前記除菌水の吐水量が多い、または前記除菌水の濃度が高い、の少なくともいずれかとされる、浴室システム。
【請求項5】
請求項1または2に記載の浴室システムであって、
前記浴槽に湯水が溜められている状態において、前記浴槽に設けられている排水栓が閉状態から開状態に切り替えられることにより、前記浴槽に溜められた湯水が前記浴槽の排水経路に排出される浴槽湯水排出動作が可能とされ、
前記除菌水吐水運転として、
前記浴槽への湯張り運転に先立って行なわれる第1の除菌水吐水運転と、
前記浴槽湯水排出動作の後に、配管部の管内洗浄を目的として前記配管部に湯水を流す配管洗浄運転を経て、またはこの配管洗浄運転を経ることなく行なわれる第2の除菌水吐水運転と、
が可能とされており、
前記第1の除菌水吐水運転は、前記第2の除菌水吐水運転と比較して、その運転時間が長い、前記除菌水の吐水量が多い、または前記除菌水の濃度が高い、の少なくともいずれかとされる、浴室システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室システムに関する。
【背景技術】
【0002】
浴室システムとしては、オゾン水などの除菌水を生成可能な除菌水生成装置を備えたものがある。このような浴室システムにおいては、除菌水生成装置によって生成された除菌水を、給湯装置から浴槽への湯水供給用の配管部を介して浴槽に供給して吐水させる除菌水吐水運転が可能とされている(たとえば、特許文献1,2を参照)。
前記した除菌水吐水運転が行なわれると、除菌水による除菌作用により、ヌメリ防止効果などが得られ、衛生的な浴室システムを構築する上で好ましいものとなる。
【0003】
しかしながら、従来においては、除菌水吐水運転は、ユーザが入浴を終えた後に、浴槽内の湯水が外部に排水された場合に、これを契機として開始されているのが実情である。すなわち、入浴を行なうべく浴槽への湯張りを開始する場合に、それに先立って除菌水吐水運転が自動で行なわれない仕様とされている。このため、たとえば浴槽への湯張りを開始する前に、洗剤を利用して浴槽洗浄を行なったとしても、皮脂やその他の汚れ(雑菌類の栄養分)を含む成分が、浴槽の排水経路中の排水口付近や排水トラップ内などに残存したままとなり、この状態で浴槽ヘの湯張りが行なわれる場合がある。このような状態が暫くの時間続くと、浴槽の排水経路内において雑菌類が増殖するため、排水経路内が不衛生となる。また、ユーザにとって不快な臭いが発生する虞もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4822127号公報
【特許文献2】特開2009-172079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、浴槽への湯張りを行なった際に、浴槽の排水経路などにおいて雑菌類が増殖することを効果的に抑制し、不快な臭いなどが生じない衛生的な状況での入浴を可能とする浴室システムを提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0007】
本発明により提供される浴室システムは、浴槽に配管部を介して接続され、かつ前記浴槽への湯張り運転が可能な給湯装置と、除菌水を前記配管部を介して前記浴槽に供給し、前記浴槽内に吐水させる除菌水吐水運転を可能とする除菌水生成装置と、を備えている、浴室システムであって、前記浴槽への湯張り運転が行なわれるときには、これに先立ち、前記除菌水吐水運転が行なわれ、かつこの除菌水吐水運転の終了後に、前記湯張り運転が開始されるように構成されていることを特徴としている。
【0008】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、浴槽への湯張り運転が行なわれる場合には、それに先立って除菌水吐水運転が行なわれ、浴槽と給湯装置とを接続する配管部内に加え、浴槽の排水口付近や、排水口に繋がった排水経路に除菌水が供給されるため、それらの部分の除菌処理が可能である。
とくに、浴槽の排水経路(たとえば、排水トラップが設けられている)の除菌処理が行なわれるため、浴槽への湯張りを終えた後に、この湯張り状態が暫くの時間継続したとしても、前記排水経路において雑菌類が増殖することは効果的に抑制される。その結果、ユーザは、不快な臭いなどが生じない衛生的な状況での入浴が可能となる。
また、浴槽への湯張り運転は、除菌水吐水運転の終了後に開始されるため、前記湯張り運転によって浴槽に張られた湯水中に、除菌水が混入することは適切に回避される。
【0009】
本発明において、好ましくは、前記除菌水吐水運転が終了した後には、前記配管部内および前記浴槽内に残存する除菌水を、前記排水口から前記浴槽の排水経路に排出させるように、前記配管部を介して前記浴槽内に湯水を供給する除菌水パージ運転が実行され、この除菌水パージ運転が終了した後に、前記浴槽への湯張り運転が開始されるように構成されている。
【0010】
このような構成によれば、浴槽に湯張りを行なったときに、この浴槽の湯水中に、除菌水が混入することは徹底して防止される。
【0011】
本発明において、好ましくは、前記除菌水吐水運転が行なわれる前には、前記配管部の管内洗浄を目的として前記配管部に湯水を流す配管洗浄運転が行なわれるように構成されている。
【0012】
このような構成によれば、前記配管部の内部、浴槽の底部、および浴槽の排水経路などの部位を、湯水を利用して洗浄することができるため、前記部位の衛生状態を良好に保つ上で一層好ましいものとなる。また、前記部位の洗浄に湯水を利用すれば、洗浄目的に除菌水を用いる必要はなくなるため、除菌水の消費量を少なくし、ランニングコストを低減することも可能である。
【0013】
本発明において、好ましくは、前記浴槽への湯張り運転に先立って行なわれる前記除菌水吐水運転は、前回の湯張り運転時期から今回の湯張り運転時期までの時間間隔が所定時間以上である場合には、そうでない場合と比較して、運転時間が長い、前記除菌水の吐水量が多い、または前記除菌水の濃度が高い、の少なくともいずれかとされる。
【0014】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、前回の湯張り運転時期から今回の湯張り運転時期までの時間間隔が、所定時間以上である場合には、そうでない場合と比較して、配管部や浴槽などの汚れの度合いが高いと考えられる。前記構成によれば、そのような汚れの度合いが高い場合には、除菌水吐水運転の時間が長くされ、除菌水の吐水量が多くされ、あるいは除菌水の濃度が高くされる、の少なくともいずれかとされる。したがって、前記した各部の汚れ度合いに応じた除菌処理を過不足なく、合理的に行なうことが可能となる。
【0015】
本発明において、好ましくは、前記浴槽に湯水が溜められている状態において、前記浴槽に設けられている排水栓が閉状態から開状態に切り替えられることにより、前記浴槽に溜められた湯水が前記浴槽の排水経路に排出される浴槽湯水排出動作が可能とされ、前記除菌水吐水運転として、前記浴槽への湯張り運転に先立って行なわれる第1の除菌水吐水運転と、前記浴槽湯水排出動作の後に、配管部の管内洗浄を目的として前記配管部に湯水を流す配管洗浄運転を経て、またはこの配管洗浄運転を経ることなく行なわれる第2の除菌水吐水運転と、が可能とされており、前記第1の除菌水吐水運転は、前記第2の除菌水吐水運転と比較して、その運転時間が長い、前記除菌水の吐水量が多い、または前記除菌水の濃度が高い、の少なくともいずれかとされる。
【0016】
このような構成によれば、浴槽への湯張り運転前に除菌水吐水運転(第1の除菌水吐水
運転)が行なわれることに加え、入浴を終えてから浴槽湯水排出動作がなされた後においても除菌水吐水運転(第2の除菌水吐水運転)が可能であるため、浴室を衛生に優れた状態にする上で、より好ましいものとなる。また、これに加え、次のような効果がさらに得られる。
すなわち、ユーザが快適な入浴を行なう観点からすると、ユーザが入浴を終えて浴槽から湯水を排出させたときよりも、ユーザが入浴を行なうべく浴槽に湯張りを行なうときの方が、配管部、浴槽、および排水経路などを衛生的な状態にしておく必要性は高いと考えられる。前記構成によれば、そのような必要性に応じて、除菌水吐水運転の時間、除菌水の吐水量、除菌水の濃度、の少なくともいずれかが変更されることとなり、合理的である。
【0017】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る浴室システムの一例を示す概略説明図である。
【
図2】
図1に示す浴室システムにおいて実行される動作制御手順の例を示すフローチャートである。
【
図3】
図1に示す浴室システムにおいて実行される動作制御手順の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0020】
図1に示す浴室システムSYは、浴室1の浴槽10に外部配管部5a,5bを介して配管接続された給湯装置WH、およびこの給湯装置WHに設けられた除菌水生成装置4を具備している。
【0021】
浴槽10の底部には、排水栓6により開閉自在な排水口11aが設けられている。排水栓6は、駆動ユニット60の駆動によって昇降自在である。より具体的には、駆動ユニット60は、ワイヤWを介して排水栓6と連結されており、ワイヤWの繰り出しおよび引き戻しの往復動作を行なうためのモータM、およびこのモータMの駆動軸をワイヤWの前記往復動作に変換する機構部(不図示)を備えている。ワイヤWの繰り出しにより、排水栓6は上昇して排水口11aは開状態となる。これとは反対に、ワイヤWの引き戻しにより、排水栓6は下降して排水口11aは閉状態となる。
【0022】
排水口11aには、浴槽10の湯水を外部に排出するための排水経路12が繋がっている。この排水経路12は、浴室1の床下などに設置された排水トラップ12b、この排水トラップbの上流側と排水口11aとを接続する排水管12a、およびこの排水トラップ12の下流側に接続された排水管12cを含んでいる。浴室1の出入り口1aと浴槽10との間には、洗い場14および排水口11bがあり、洗い場14の湯水は、排水口11bから排水トラップ12bに流れ込む。
【0023】
給湯装置WHは、たとえば瞬間式ガス給湯装置であり、各部の動作制御やデータ処理を実行する制御部7を備えており、給湯栓29への一般給湯機能を有している他、浴槽10への湯張り運転、および風呂追い焚き運転が可能である。また、後述する配管洗浄運転、除菌水吐水運転、および除菌水パージ運転も可能である。
図1において、符号90は、給湯装置WHの外装ケースである。
【0024】
給湯装置WHにおける一般給湯は、入水口20aから入水路2aに流入した湯水が熱交
換器25aに送られてバーナ26aにより加熱されてから、内部出湯路2bおよび外部出湯路2cを流通して給湯栓29に供給される態様で行なわれる。
浴槽10への湯張り運転は、風呂用出湯路50に設けられた開閉弁V1が開状態とされ、熱交換器25aを通過して加熱された湯水が、風呂用出湯路50から湯水循環配管部5に流れ込む態様で行なわれる。湯水循環配管部5は、浴槽10のアダプタ10aに接続された外部配管部5a,5b、およびこれらに接続された給湯装置WHの内部配管部5c,5dを備えている。内部配管部5c,5dには、風呂追い焚き用の熱交換器25bが接続されている。風呂用出湯路50から湯水循環配管部5に流れ込んだ湯水は、内部配管部5c,5dおよび外部配管部5b側と、外部配管部5a側とに分岐し、いわゆる両搬送の態様で浴槽10に流れ込む。
風呂追い焚き運転は、循環ポンプP1が駆動オンとされ、浴槽10の湯水が湯水循環配管部5を介して熱交換器25bに送り込まれ、バーナ26bによって加熱されてから浴槽10に戻される態様で行なわれる。
【0025】
給湯装置WHの配管洗浄運転は、主に湯水循環配管部5の管内洗浄を目的として行なわれるものであり、湯水循環配管部5は、本発明でいう「配管部」の具体例に相当する。この配管洗浄運転は、浴槽10への湯張り動作と同様に、開閉弁V1が開状態とされることにより行なわれる。すなわち、熱交換器25aを通過して加熱された湯水が、風呂用出湯路50および湯水循環配管部5を通過して浴槽10に流れ込む。この配管洗浄運転中は、浴槽10の排水栓6は開状態にある。配管洗浄運転は、所定時間行なわれた時点、あるいは浴槽10への湯水供給量が所定量に達した時点で終了する。
【0026】
給湯装置WHの除菌水吐水運転は、除菌水生成装置4を利用して生成された除菌水を、風呂用出湯路50および湯水循環配管部5を介して浴槽10に供給し、吐水させるものである。除菌水の作用により、ヌメリなどの微生物汚れの発生を抑制することが可能である。除菌水生成装置4は、たとえばオゾン水生成装置であり、風呂用出湯路50の途中箇所に設けられており、三方弁V2を切り替えることにより、除菌水生成装置4を通過する経路と通過しない経路とに切替え可能である。
【0027】
オゾン水生成装置としては、従来既知の構成のものを用いることが可能である。たとえば、電極を利用した水の電解により生成する方式のもの、あるいは空気からオゾンガスを生成し、かつこれを水に溶解させる方式のものなどがあるが、いずれの方式であってもよい。除菌水生成装置4がオンにされ、かつ開閉弁V1および三方弁V2が切替えられることにより、除菌水(オゾン水)が湯水循環配管部5に供給され、浴槽10内にアダプタ10aから吐水される。
【0028】
除菌水吐水運転時において、浴槽10の排水栓6は、開状態にある。ただし、浴槽10内に適量の除菌水を一時的に溜めるように、排水栓6を閉状態としておき、除菌水吐水運転の後に開状態とするように構成することもできる。また、除菌水吐水運転期間中において、排水栓6を周期的に開閉させるように構成することもできる。除菌水吐水運転は、その運転時間がたとえば所定時間に達した時点で終了する。この所定時間は、後述するように、本実施形態においては一定ではなく、条件に応じて変更される。
なお、除菌水吐水運転が終了するタイミングとしては、浴槽10への除菌水供給量が所定量に達した時点とすることも可能である。
【0029】
除菌水パージ運転は、除菌水吐水運転を終えた後に、風呂用出湯路50、湯水循環配管部5、および浴槽10内に残存する除菌水を、湯水によって押し出し、排水経路12に排出させるものである。この除菌水パージ運転においては、前記した配管洗浄運転と同様に、排水栓6を開状態とし、かつ湯水を風呂用出湯路50および湯水循環配管部5を介して浴槽10内に供給させる。
【0030】
給湯装置WHの制御部7は、マイクロコンピュータなどを用いて構成されており、浴室用および台所用のリモコン7A,7Bが通信接続されている。これらのリモコン7A,7Bには、複数の操作スイッチ72や、画像表示が可能な表示部73などが設けられている。制御部7は、リモコン7A,7Bを利用したスイッチ操作などに対応し、給湯装置WHの各部の動作制御、各種のデータ処理、排水栓6の開閉制御などを行ない、浴室システムSYの全体の動作を制御可能である。制御の具体例としては、浴槽10への湯張り運転が行なわれる場合には、それに先立って、配管洗浄運転および除菌水吐水運転を行なわせるなどの制御があるが、その詳細については後述する。
【0031】
次に、前記した浴室システムSYの作用について説明する。併せて、浴室システムSYにおける動作処理手順の例について、
図2,
図3に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
【0032】
まず、初期状態として、入浴が終了し、浴槽10に湯水が溜められている場合について説明する。このような状態において、リモコン7A,7Bの操作部72が利用され、浴槽10の湯水を外部に排水する旨の操作が行なわれると、排水栓6が開状態に設定され、浴槽10の湯水が排水口11aから排水される(浴槽湯水排出動作)(S11:YES,S12)。
【0033】
次いで、給湯装置WHによる配管洗浄運転、および除菌水吐水運転が順次行なわれる(S13,S14)。配管洗浄運転は、排水栓6が開状態とされてから適当な時間(浴槽10の湯水の排出が完了すると考えられて予め定められた時間)が経過した時点で開始される。この配管洗浄運転においては、既述したとおり、湯水が給湯装置WHの風呂用出湯路50および湯水循環配管部5を通過して浴槽10に流れ込むため、これらの部分の洗浄が行なわれる。なお、配管洗浄運転は省略してもよい。
【0034】
前記したステップS14の除菌水吐水運転は、浴槽湯水排出動作の後に行なわれるものであり、本発明でいう第2の除菌水吐水運転の具体例に相当する。後述のステップS7の除菌水吐水運転は、浴槽への湯張り運転に先立って行なわれるものであり、本発明でいう第1の除菌水吐水運転の具体例に相当する。
ステップS14の除菌水吐水運転においては、除菌水生成装置4を利用して生成された除菌水が、風呂用出湯路50および湯水循環配管部5を介して浴槽10に供給・吐水されるため、それらの部位の除菌が可能である。また、排水経路12に流れ込むため、排水経路12においても除菌作用が得られ、ヌメリなどの微生物汚れの発生を抑制することが可能である。
【0035】
次に、前記とは異なり、浴槽10への湯張り運転を行なう場合について説明する。
まず、リモコン7A,7Bの操作部72が利用されて浴槽10への湯張りを行なう旨の操作がなされ、または湯張りを行なうべく予めタイマ設定された時刻(予約時刻)になると、浴槽10の残水判定(循環判定とも称される)が実行される(S1:YES,S2)。この残水判定は、浴槽10内に所定以上の残水があるか否かを判定する処理であり、適当の湯水を浴槽10内に供給させてから循環ポンプP1を駆動し、その際に湯水循環配管部5に湯水循環があるか否かにより判定される。所定以上(アダプタ10aの高さ以上)の残水がある場合には、浴槽10に新たな湯水を供給することなく、前記残水を追い焚きし、これを浴槽10への湯張り運転に代わるものとすることも可能である。そのような場合には、浴槽10の湯水は排水されず、後述のステップS3~S7は実行されない構成とすることが可能である(
図3では省略)。
【0036】
本実施形態においては、前記残水判定の後には、排水栓6が開状態に設定された上で、
配管洗浄運転が行なわれる(S3,S4)。この配管洗浄運転は、先のステップS13と同様であり、風呂用出湯路50や湯水循環配管部5などの洗浄が可能である。ただし、ステップS13と比較して、配管洗浄運転の時間を長くすることもできる。
【0037】
その後は、除菌水吐水運転が行なわれる(S5)。この除菌水吐水運転は、先のステップS14と同様に、除菌水を風呂用出湯路50、湯水循環配管部5、浴槽10の底部、および排水経路12に流れさせ、これらの部分を除菌することが可能である。ただし、このステップS5の除菌水吐水運転(第1の除菌水吐水運転)においては、ステップS14の除菌水吐水運転(第2の除菌水吐水運転)と比較して、運転時間が長くされ、除菌水による除菌効果が高められる設定とされている。なお、これに代えて、または加えて、除菌水吐水運転による除菌水の吐水量を多くする設定、あるいは除菌水の濃度を高くする設定とすることもできる。
【0038】
また、
図3では省略しているが、前回の浴槽10への湯張り運転時期から今回の浴槽10への湯張り運転時期までの時間Taが比較的長く、時間Taが所定時間T0以上であるか否かが、制御部7によって判断されている。時間Taが所定時間T0以上である場合には、そうでない場合と比較して、前記除菌水吐水運転の運転時間は長くされる(除菌水の吐水量を多くする設定、あるいは除菌水の濃度を高くする設定とすることもできる)。このことにより、除菌水による除菌効果がより高められる。
【0039】
前記除菌水吐水運転が終了した後には、除菌水パージ運転が行なわれ、かつこの除菌水パージ運転が終了すると、排水栓6が閉状態に設定されて浴槽10への湯張り運転が開始される(S6,S7)。除菌水パージ運転によれば、風呂用出湯路50、湯水循環配管部5、および浴槽10内に残存する除菌水が湯水によって押し出され、排水経路12に排出する。このため、湯張りを完了した浴槽10の湯水中に除菌水が混入しないようにすることが可能である。
【0040】
前記した一連の動作制御によれば、浴槽10への湯張り運転が行なわれる場合には、それに先立って配管洗浄運転および除菌水吐水運転が順次行なわれるため、給湯装置WHの湯水流通箇所(風呂用出湯路50および湯水循環配管部5)、および浴槽10が洗浄・除菌され、それらの部分は衛生的となる。また、排水トラップ12bが設けられている排水経路12に対しての除菌処理も行なわれるため、浴槽10への湯張りを完了した後に、この湯張り状態が暫くの時間継続したとしても、排水経路12において雑菌類が増殖することは適切に抑制される。その結果、ユーザは、不快な臭いなどが生じない衛生的な状況下での入浴が可能となる。
【0041】
ユーザが快適な入浴を行なう観点からすると、ユーザが入浴を終えて浴槽10から湯水を排出させたときよりも、ユーザが入浴を行なうべく浴槽10に湯張りを行なうときの方が、各部を衛生的な状態にしておく要請は大きいと考えられる。これに対し、本実施形態においては、ステップS14の浴槽10の湯水を排出した場合の除菌水吐水運転(第2の除菌水吐水運転)と比較して、ステップS5の浴槽10への湯張り運転前の除菌水吐水運転(第1の除菌水吐水運転)は、時間が長くされており、前記した要請に適切に対応している。
【0042】
また、前回の浴槽10への湯張り運転時期から今回の浴槽10への湯張り運転時期までの時間Taが比較的長く、時間Taが所定時間T0以上である場合には、そうでない場合と比較して、浴槽10などの汚れ度合いが高いと考えられる。そのような場合には、除菌水吐水運転の時間は長くされ、除菌水による除菌効果がより高められている。したがって、浴槽10などの汚れ度合いに応じた除菌処理を過不足なく、合理的に行なうことが可能となる。
【0043】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る浴室システムの各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0044】
除菌水吐水運転、除菌水パージ運転、配管洗浄運転などのそれぞれの具体的な内容は、上述した実施形態に限定されない。
除菌水吐水運転で用いられる除菌水は、要は、除菌作用を有する湯水であればよく、オゾン水に限らず、遊離塩素、抗菌性金属を含む液体、有機塩素系、有機リン酸系、その他のアルコール系消毒液などを用いることも可能である。したがって、除菌水生成装置は、オゾン水生成装置に限定されない。
除菌水生成装置は、除菌水を給湯装置から配管部を介して浴槽に供給して吐水させる除菌水吐水運転を可能とすればよく、給湯装置とは別個に(分離して)設けられた構成とすることも可能である。
【0045】
給湯装置としては、ガス給湯装置などの瞬間式給湯装置に代えて、たとえば貯湯式給湯装置を用いることも可能である。
【符号の説明】
【0046】
SY 浴室システム
WH 給湯装置
1 浴室
10 浴槽
11a 排水口
12 排水経路
4 除菌水生成装置
5 湯水循環配管部(配管部)
6 排水栓
7 制御部