IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社エンビプロ・ホールディングスの特許一覧

特開2024-112398リチウムイオン電池からの金属回収方法
<>
  • 特開-リチウムイオン電池からの金属回収方法 図1
  • 特開-リチウムイオン電池からの金属回収方法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112398
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】リチウムイオン電池からの金属回収方法
(51)【国際特許分類】
   C22B 7/00 20060101AFI20240814BHJP
   C22B 15/00 20060101ALI20240814BHJP
   C22B 23/00 20060101ALI20240814BHJP
   C22B 26/12 20060101ALI20240814BHJP
   C22B 47/00 20060101ALI20240814BHJP
   C22B 3/08 20060101ALI20240814BHJP
   C22B 3/22 20060101ALI20240814BHJP
   C22B 3/44 20060101ALI20240814BHJP
   C01G 53/00 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
C22B7/00 C
C22B15/00 105
C22B23/00 102
C22B26/12
C22B47/00
C22B3/08
C22B3/22
C22B3/44 101A
C01G53/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017369
(22)【出願日】2023-02-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】510236874
【氏名又は名称】株式会社エンビプロ・ホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100134740
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 文雄
(72)【発明者】
【氏名】小山 俊洋
(72)【発明者】
【氏名】近田 祥彦
(72)【発明者】
【氏名】松永 遥平
(72)【発明者】
【氏名】菅井 弘
【テーマコード(参考)】
4G048
4K001
【Fターム(参考)】
4G048AA04
4G048AB02
4G048AB08
4G048AC06
4G048AE05
4K001AA07
4K001AA09
4K001AA16
4K001AA19
4K001AA34
4K001DB03
4K001DB16
4K001DB23
4K001DB38
4K001JA09
(57)【要約】
【課題】一連の各工程での処理温度を低温に維持し、処理時間も短時間で行うことが可能なリチウムイオン電池の電池滓から有価金属を回収する方法を提供する。
【解決手段】本発明のリチウムイオン電池の電池滓から有価金属を回収する方法は、(a)電池滓を水に分散させ硫酸を添加しpHが0~2の浸出液を得る工程、(b)浸出液に水酸化ナトリウムを添加しpHを7~10として、LiとMnを含む浸出液と他の有価金属の水酸化物を含む沈殿物を分離する工程、(c)沈殿物を水に分散させ硫酸を添加しpHを0~2として、Cuを含む沈殿物と他の有価金属を含む浸出液を分離する工程、(d)工程(c)で得た浸出液に酸化剤を添加し、Mnを含む沈殿物と他の有価金属を含む浸出液を分離する工程、及び(e)工程(d)で得た浸出液に水酸化ナトリウムを添加しpHを4~6として、CoとNiを含む浸出液と、FeとAlを含む沈殿物を分離する工程を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有価金属を含有するリチウムイオン電池の電池滓から有価金属を回収する方法であって、
(a)前記電池滓を水に分散させ硫酸を添加しpHが0~2である浸出液を得る工程と、
(b)前記浸出液に水酸化ナトリウムを添加しpHを7~10として、LiとMnを含む浸出液とその他の有価金属の水酸化物を含む沈殿物を分離する工程と、
(c)前記沈殿物を水に分散させ硫酸を添加しpHを0~2として、Cuを含む沈殿物とその他の有価金属を含む浸出液を分離する工程と、
(d)工程(c)で得た浸出液に酸化剤を添加し、Mnを含む沈殿物とその他の有価金属を含む浸出液を分離する工程と、
(e)工程(d)で得た浸出液に水酸化ナトリウムを添加しpHを4~6として、CoとNiを含む浸出液と、FeとAlを含む沈殿物を分離する工程と、を含む回収方法。
【請求項2】
前記(a)~(e)の各工程は反応温度30~50℃で実行される、請求項1に記載の回収方法。
【請求項3】
前記(a)~(e)の各工程は60分以内で実行される、請求項2に記載の回収方法。
【請求項4】
前記(a)と(c)の工程での硫酸は15wt%の濃度であり、前記(b)と(e)の工程での水酸化ナトリウムは20wt%の濃度である、請求項1に記載の回収方法。
【請求項5】
前記酸化剤は過マンガン酸カリウムである、請求項4に記載の回収方法。
【請求項6】
前記電池滓は、X線回折(XRD)測定において、Liを含む正極活物質による回折角度18.7°のピーク強度Aと負極活物質の黒鉛による回折角度26.5°のピーク強度Bとの比(A/B)が0~0.15の範囲にある、請求項1に記載の回収方法。
【請求項7】
前記X線回折(XRD)測定において、CoNiに起因するピークと、LiCO及びCoの一方または双方に起因するピークを有する、請求項6に記載の回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン電池からの金属回収方法に関し、より具体的には、有価金属を含有するリチウムイオン電池の電池滓から有価金属を回収する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池は、各種の電子デバイスをはじめとして多くの産業分野で使用されており、マンガン、ニッケルおよびコバルトを含有するリチウム金属複合酸化物を正極材として用いるものが一般的に知られている。近年、その使用量の増加および使用範囲の拡大に伴い、電池の製品寿命や製造過程での不良により廃棄される量が増大している状況にある。かかる状況の下では、大量に廃棄されるリチウムイオン電池の電池滓から、ニッケルおよびコバルト等の高価な元素を再利用するべく比較的低コストで容易に回収することが望まれる。
【0003】
有価金属の回収のためにリチウムイオン電池の電池滓を処理するには、従来からある一般的な方法として、例えば、はじめに必要に応じて焙焼、破砕および篩選別等の各工程を経て得られた粉状ないし粒状のリチウムイオン電池の電池滓を準備する。その電池滓を酸浸出し、そこに含まれ得るリチウム、ニッケル、コバルト、マンガン、鉄、銅、アルミニウム等を溶液中に溶解させて浸出液を得る。その浸出液に対して溶媒抽出法を実施して、各金属元素を順次に分離させる。その際、まず鉄およびアルミニウムを回収し、続いてマンガンおよび銅、そしてコバルト、その後にニッケルを回収して、最後に水相にリチウムを残すことで、各有価金属を回収することができる。
【0004】
特許文献1は、リチウムイオン電池廃棄物を焙焼して得られた電池滓からリチウムを回収する方法を開示する。その回収方法では、アルミン酸リチウムを含有する電池滓を、酸性溶液中に浸出させる浸出工程と、浸出工程で得られる浸出後液のpHを上昇させて中和するとともに固液分離して、リチウム溶解液を得る中和工程とを含む。
【0005】
特許文献2は、所定の金属を含有する電池正極材成分を含むリチウムイオン電池廃棄物に対して湿式処理を施し、それにより得られるLi及び不純物が溶解した酸性溶液から不純物を除去して、炭酸リチウムを製造する方法を開示する。その方法では、酸性溶液を中和する中和工程と、中和工程で得られる中和後液中のLiを炭酸化する炭酸化工程を含む。
【0006】
特許文献3は、リチウムイオン二次電池からコバルトおよびニッケルを分離する方法を開示する。その分離方法は、硫酸および過酸化水素を含む処理液に電極材料を浸漬して浸出液を得る浸出工程と、浸出液に硫化水素化合物を加えて撹拌した後、固液分離を行い、コバルトおよびニッケルを含む溶出液と、硫化銅を含む残渣とを得る銅分離工程と、溶出液にアルカリ金属水酸化物を加えてpH調整をした後、硫化水素化合物を加えて撹拌、固液分離を行い、硫化コバルトおよび硫化ニッケルを含む沈殿物と、リチウムを含む残液とを得るコバルト・ニッケル分離工程を含む。
【0007】
特許文献4は、有価金属を含有するリチウムイオン電池の電池滓から有価金属を回収する方法を開示する。その回収方法は、リチウムイオン電池の電池滓を硫酸に分散させて、pHが1未満であるスラリーを得る工程と、酸化剤を添加したスラリーからマンガンとその他の有価金属とを分離する工程を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2019-160429
【特許文献2】特開2019-153562
【特許文献3】特開2022-042982
【特許文献4】特許第6996723号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1~4はいずれも酸浸出工程やアルカリを用いた中和工程においてpHを調整しながら、溶媒抽出工程前にリチウム、コバルト、あるいはニッケルと他の不純物を分離/除去することを含むものであるが、各工程での処理(反応)温度が比較的高温でバラツキがあり、一貫した比較的低温での一連の工程にはなっていない。例えば、特許文献1では、酸浸出工程は25~80℃としているが(段落0030)、中和工程では好ましくは50℃~80℃ 、より好ましくは60℃~70℃ となっている(段落0036)。特許文献2では、酸浸出工程と中和工程での処理温度の記載は無いが、反応効率改善の観点から温度を比較的高くすることが好ましいとしている(段落0031)。特許文献3では、酸浸出と再溶解工程での液温を60℃以上としている(請求項4、9、段落0033、0052、0060、0068)。特許文献4では、浸出(スラリー生成)工程と酸化剤添加工程で液温を30~80℃ にすることが記載されているが(段落0027、0031)、酸化剤添加後のpH調整(アルカリ添加)では反応温度は50℃程度が好ましいとしている(段落0033、0036)。
【0010】
また、特許文献1~4の各工程では、処理時間が比較的長くてバラツキがあり、一貫した比較的短時間での一連の工程にはなっていない。例えば、特許文献1ではいずれの工程でも処理時間の言及は無く、特許文献2では、中和後液に炭酸塩を添加する工程と洗浄工程で液温を50℃~90℃の範囲内として0.5時間~2時間、典型的には1時間にわたってこの温度を保持することの記載があるのみである(段落0036、0039)。特許文献3では、再溶解工程での沈殿物の再溶解液に対する浸漬時間が1時間以上であること(請求項3)、酸浸出工程で処理液温度を60℃ 以上で浸出時間を4時間以上とすること(段落0033)、再溶解工程で60℃ 以上に加熱した再溶解液に沈殿物を加え4時間以上浸漬すること、及び処理液温度を60℃ 以上、浸出時間を1時間以上とすることでコバルトおよびニッケルの溶解率を高めることができること(段落0052)が記載されている。特許文献4では、浸出(スラリー生成)工程で液温を30~80℃ に維持したまま0~3時間攪拌すること(段落0027)、酸化剤添加工程で反応時間は例えば1~3時間程度とすること(段落0031)、酸化剤添加後のpH調整(アルカリ添加)で水酸化ナトリウム水溶液添加後の反応時間は例えば0.5時間程度が好ましいこと(段落0032)が記載されている。
【0011】
本発明は、上記した従来技術の事情に鑑みて成されたものであって、その目的は、一連の各工程での処理温度を比較的低温に維持し、処理時間も比較的短時間で行うことが可能となる、リチウムイオン電池の電池滓から有価金属を回収する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、有価金属を含有するリチウムイオン電池の電池滓から有価金属を回収する方法を提供する。その回収方法の一態様では、(a)電池滓を水に分散させ硫酸を添加しpHが0~2である浸出液を得る工程と、(b)浸出液に水酸化ナトリウムを添加しpHを7~10として、LiとMnを含む浸出液とその他の有価金属の水酸化物を含む沈殿物を分離する工程と、(c)沈殿物を水に分散させ硫酸を添加しpHを0~2として、Cuを含む沈殿物とその他の有価金属を含む浸出液を分離する工程と、(d)工程(c)で得た浸出液に酸化剤を添加し、Mnを含む沈殿物とその他の有価金属を含む浸出液を分離する工程と、(e)工程(d)で得た浸出液に水酸化ナトリウムを添加しpHを4~6として、CoとNiを含む浸出液と、FeとAlを含む沈殿物を分離する工程と、を含む。
【0013】
本発明の一態様では、(a)~(e)の各工程は、反応温度30~50℃で実行される、あるいは60分以内で実行される。
【0014】
本発明の一態様では、(a)と(c)の工程での硫酸は15wt%の濃度であり、(b)と(e)の工程での水酸化ナトリウムは20wt%の濃度であり、あるいは酸化剤は過マンガン酸カリウムである。
【0015】
本発明の一態様では、電池滓は、X線回折(XRD)測定において、Liを含む正極活物質による回折角度18.7°のピーク強度Aと負極活物質の黒鉛による回折角度26.5°のピーク強度Bとの比(A/B)が0~0.15の範囲にある、あるいは、CoNiに起因するピークと、LiCO及びCoの一方または双方に起因するピークを有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、リチウムイオン電池の電池滓から有価金属を回収する方法において、一連の各工程での処理温度を比較的低温に維持し、処理時間も比較的短時間で行うことが可能となる。その結果、加熱に係るエネルギーコストを低減でき、加熱装置を重油ボイラーから電気ボイラーに代えることが可能になり、あるいは全工程に係る設備の稼働時間を短くでき、低コスト、高効率で環境(例えばCO排出低減)に配慮した有価金属の回収が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態のリチウムイオン電池の電池滓から有価金属を回収する方法の工程を示す図である。
図2】本発明の一実施形態のリチウムイオン電池の電池滓のX線回折(XRD)測定結果(チャート)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面や表を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態のリチウムイオン電池の電池滓から有価金属を回収する方法の工程を示す図である。最初に図1を参照しながら本発明の方法の概要(フロー)を説明する。
【0019】
工程S1では、有価金属を含有するリチウムイオン電池の電池滓を水に分散させ硫酸を添加しpHが0~2である浸出液を得る。電池滓としては、例えば、リチウムイオン電池から外装プラスチックを除去した後、焙焼、化学処理、破砕・選別を経ることによって得られるブラックマス(BM)が挙げられる。電池滓の詳細についてはさらに後述する。電池滓の種類に応じて必要ならばさらに還元剤を添加することもできる。還元剤としては、例えば過酸化水素、亜硫酸塩類、亜硫酸ガス、鉄(II)塩、シュウ酸、鉄、銅、アルミニウム、炭素及び鉄と銅とアルミニウムを含む合金の中から選択される少なくとも1種以上を用いることができる。なお、ブラックマス(BM)の場合は還元剤の添加は必ずしも必要ではない。
【0020】
工程S1では、水に分散した電池滓に、例えば15~50wt%の濃度の硫酸(HSO)を添加して、pHを0~2に維持しながら、例えば反応温度30℃~50℃の低温で、好ましくは反応時間2時間以内、より好ましくは反応時間45分以内の短時間で反応させることができる。反応温度が30℃未満では外気温の変化により温度コントロールが難しくなり、50℃を超えると加熱のためのエネルギーコストが増加し、CO排出による環境負荷も高まってしまう恐れがある。また、反応時間2時間以上では反応時間が長くなり、各設備を必要以上に大きくする必要が出てきて設備コストが増加してしまう恐れがある。
【0021】
工程S2では、工程S1で得られた浸出液にアルカリ性化合物、好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、アンモニア水から選択される1種以上、より好ましくは水酸化カルシウム、水酸化ナトリウムから選択される1種以上を添加しpHを7~10として、LiとMnを含む浸出液とその他の有価金属の水酸化物を含む沈殿物を分離する。工程S2では、例えば20wt%の濃度の水酸化ナトリウム(NaOH)を添加し、pHを7~10に維持しながら、工程S1の場合と同様に、反応温度30℃~50℃の低温で、好ましくは反応時間が2時間以内、より好ましくは反応時間が30分の短時間で反応させることができる。これにより、LiとMnを液相(浸水液)中に浸出させ、Fe、Cu、あるいはAlの金属単体と、Co、Ni、Mn、Fe、あるいはAlの水酸化物(Co(OH)、Ni(OH)、Mn(OH)、Fe(OH)、Fe(OH)、Al(OH))を固相(沈殿物)として生成させて、両者を分離することができる。
【0022】
Liは各種有価金属を回収後最後に回収するフロー、例えばCo、Niを溶媒抽出で回収後の液中に含まれるLiの回収等もあるが、湿式製錬工程の初めに回収することで後工程での回収よりもLi回収率を高くすることができる。工程S1の酸浸出で固液分離を行わず、工程S1の酸浸出と工程S2の水酸化物沈殿を連続した1つの工程として行うことも可能で、その場合ろ過設備が一つ不要となる。すなわち、工程S1ではろ過せずに工程S2でろ過を行うようにしてもよい。
【0023】
工程S3では、工程S2で得られた沈殿物を水に分散させ、硫酸を添加しpHを0~2として、Cuを含む沈殿物とその他の有価金属を含む浸出液を分離する。工程S3では、工程S1の場合と同様に、例えば15~50wt%の濃度の硫酸(HSO)を添加して、pHを0~2、より好ましくはpH0~1に維持しながら、例えば反応温度30℃~50℃の低温で、好ましくは反応時間2時間以内、より好ましくは反応時間45分以内の短時間で反応させることができる。これにより、Cuが浸出されずに固相として分離する事が可能となる。
【0024】
Cuを浸出段階で除去することにより、Cu除去のための硫化物などの使用の必要が無くなり、安全性が向上し、設備代/薬品代のコストを下げることができる。また工程S1の一次浸出を先に行っていることで、Co、Ni等の有価金属は浸出されやすくなっており、例えば45分以内の短時間での浸出が可能となる。
【0025】
工程S4では、工程S3で得た浸出液に酸化剤を添加し、Mnを含む沈殿物とその他の有価金属を含む浸出液を分離する。工程S4では、工程S3で得られたpHが0~2の浸出液に酸化剤を添加し、反応温度30℃~50℃の低温で、反応時間30分以内の短時間で反応させる。Mnがマンガン酸化物として析出し、後から抽出(回収)するCo、Ni、Fe、Al等は析出せずに浸出後液中にイオンとして浸出する。これにより、MnをCo、Ni等の他の有価金属と分離することができる。酸化剤としては、例えばマンガン化合物、過マンガン酸カリウム、二酸化マンガン、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸、空気、酸素、オゾン、亜硝酸ナトリウム及び塩素ガスなどの中から選択される少なくとも1種以上を用いることができる。
【0026】
工程S5では、工程S4で得たMnを除去(ろ過)した浸出液に水酸化ナトリウムを添加し、pHを4~6として、CoとNiを含む浸出液と、FeとAlを含む沈殿物を分離する。工程S5では、より好ましくはpHを4.5~5.5とし、反応温度30℃~50℃の低温で、好ましくは反応時間2時間以内、より好ましくは反応時間15分以内の短時間で反応させる。その結果、FeとAlを水酸化物(Fe(OH)、Al(OH))の沈殿(固相)として除去することができる。
【0027】
工程S4の酸化剤添加で固液分離(ろ過)を行わず、工程S4の酸化剤添加と工程S5の水酸化物沈殿を連続した1つの工程として行うことも可能で、その場合ろ過設備が一つ不要となる。すなわち、工程S4ではろ過せずに工程S5でろ過を行うようにすることもできる。具体的には、工程S3で得た浸出液に酸化剤を添加し所定時間(例えば15分)反応させた後に、水酸化ナトリウムを添加し所定時間(例えば15分)反応させた後にろ過して、Mn酸化物及びFeとAlの水酸化物を含む沈殿物(固相)とCoとNiを含む浸出液とを分離することができる。なお、酸化剤の添加と水酸化ナトリウム添加の順番は入れ替えてもよい。また、酸化剤と水酸化ナトリウムを同時に(続けて)添加し、所定時間(例えば30分)反応させた後にろ過するようにしてもよい。
【0028】
工程S5で得られたFeとAlを除去(ろ過)した後のCoとNiを含む浸出液は、次の溶媒抽出工程へ進められ、浸出液からCoとNiを分離して回収する。溶媒抽出剤としては、例えばホスホン酸エステル系抽出剤、燐酸エステル系抽出剤、オキシム系抽出剤などを用いることができる。
【0029】
次に図1の本発明の工程S1で使用するリチウムイオン電池の電池滓について説明する。本実施形態の有価金属の回収方法において用いる電池滓の原料となるリチウムイオン電池は、電池製品の寿命や製造不良またはその他の理由によって廃棄されたものを用いることができる。その際、リチウムイオン電池の正極活物質としては、Li、Co、NiまたはMnを含み得る、コバルト酸リチウム(LCO)、または三元系正極活物質であるニッケル・コバルト・マンガン(NCM)、ニッケル・コバルト・アルミニウム(NCA)、あるいはニッケル・コバルト・マンガン・アルミニウム(NCMA)が対象となる。
【0030】
負極活物質としては、黒鉛(C)が対象となる。黒鉛は還元剤として機能している可能性が最も高いので、十分な量の黒鉛を加熱前に含んでいる必要がある。したがって、黒鉛は、リチウムイオン電池滓に10~35wt%、より好ましくは、20~32wt%含まれる必要がある。10wt%未満では、CoやNiの還元効果が不十分であり、35wt%を超えると回収目的の金属の含有量が低くなってしまうからである。負極活物質が黒鉛のみで構成されるリチウムイオン電池を選択してもよい。黒鉛が必要量残る事を前提に、チタン酸リチウム、ニオブ酸リチウム、酸化ケイ素系などの黒鉛以外の負極活物質が混ざっていてもよい。また、FeやCuが含まれていても良い。
【0031】
電池滓は、基本的には回収されたリチウムイオン電池を、焙焼・焼成、破砕、磁力選別、粒度選別、比重選別、あるいは渦電流選別等(各選別は順不同)して得られるものであれば用いることができる。電池滓としては、上述したブラックマス(BM)を用いることができる。また設備などが整っているのであればリチウムイオン電池から外装プラスチックを除去せずに焙焼、化学処理、破砕・選別(順不同)を経ることによって得られたものを用いてもよい。
【0032】
電池滓は、一実施形態として、X線回折(XRD)測定において、回折角度18.7°のピーク強度Aと26.5°のピーク強度Bとの比(A/B)が0~0.15の範囲にあるものを用いることができる。さらに、一実施形態の電池滓は、X線回折(XRD)測定において、CoNiに起因するピーク、あるいはLiCOとCoの一方または双方に起因するピークを有する特徴があるものを用いることができる。これらの電池滓の詳細は、本出願人の特許出願である特願2022-090561と特願2022-090562に示されている。ここでは、ピーク強度比(A/B)の範囲にある電池滓を用いる理由のみを下記に示すが、その詳細は上記2つの特許出願を参照することにより理解することができる。なお、本発明で使用可能な電池滓は、これらの実施形態の電池滓に限定されるものではない。
【0033】
<ピーク強度比(A/B)の範囲にある電池滓を用いる理由>
電池滓のXRD測定では、正極活物質に用いた材料や工程S2の熱処理条件により内容は変わるが、例えば、黒鉛(C)、CoNi、LiCO、Co、LiAlO、Cu、CoO、MnO等の存在を示すピークが検出される。正極活物質がLCO、NCM、NCMAまたはNCAでは、空間群R-3mに属する結晶構造を持ち、組成の違いに関わらずXRD測定によれば、回折角度:diffraction angle 2θ=18.7°、36.8°、44.5°などに結晶構造由来のピークを示す。ここで、18.7°のピークが最も大きく、このピークの高さで試料中の正極活物質の結晶構造がどの程度維持されているかをおおよそ把握する事が出来る。その18.7°のピーク高さが高いほど、結晶構造は維持されていると考えられる。
【0034】
リチウムイオン電池中のLiは、放電状態では正極活物質の結晶内に取り込まれている。充電深度が高まるにつれて、正極活物質から負極活物質の黒鉛へ移動して、炭素(C)-Liの化合物の状態となる。今回対象としているリチウムイオン電池では、充電電圧が4.2V程度に制御されることから、正極活物質に元々存在するLi量の約50%が充電時に正極活物質から抜け出し、残りの約50%は、正極活物質に残存したままであると考えられる。
【0035】
そこで、本発明者らは正極活物質の結晶構造を加熱によって崩壊させる事で、正極活物質に残存するLiが取出(浸出)しやすくなると考え、この崩壊の程度の指標として、XRD測定における18.7°のピーク(正極活物質の最強ピーク)の強度Aと26.5°のピーク(負極活物質での黒鉛の最強ピーク)の強度Bとの比(A/B)に着目した。さらに特願2022-090561と特願2022-090562にも例示されるような実験結果から、そのピーク強度比(A/B)が0~0.15の範囲にある電池滓が、Liの取出(浸出)しやすさの点で有効であるとの知見を得たからである。
【実施例0036】
下記の各実施例として用いるリチウムイオン電池の電池滓であるブラックマス(BM)について、ICP-OES分析装置(島津製作所社製ICPE-9000)にて定量分析を行い、さらにC量の測定はTG-DTAを用いて行って、その含有成分を調べた結果(組成)を下記の表1に示す。

表1 電池滓(BS)の組成(wt%)
【0037】
表1の電池滓(BS)にいて、XRD測定による結晶構造解析を行った。XRD測定は、リガク社製Smart labを用いて行った。図2にXRD測定結果(チャート)を示す。図2より、以下の(1)~(4)の内容が明らかになった。
【0038】
(1)18.7°のピーク(正極活物質の最強ピーク)と26.5°(負極活物質:黒鉛の最強ピーク)のピークの高さ(強度)比(18.7/26.5)は、0.1であった。
(2)CoNiの生成を確認した。51.7°と76.2°のピークより判定した。なお、44.4°のピークは、正極活物質と黒鉛に重なるため切り分け不可である。
(3)LiCOの生成を確認した。21.4°、29.5°、30.6°及び31.8°のピークより判定した。
(4)Coの生成を確認した。37.0°と38.6°のピークより判定した。
【0039】
(実施例1):<反応温度30℃>
水道水300mlに電離滓30gを分散させ、15wt%濃度のHSOを添加してpHを2.0に調整・維持しながら液温30℃で30分間反応させて浸出液1を得た。その浸出液1をろ過し、浸出成分をICPで定量分析した。主な金属の分配率(%)は、下記の表2の通りであった。表2の分配率は、電池滓(BS)に含まれる各金属を100%としたときの数値(割合)を意味し、例えば表1の電池滓(BS)のNi(15wt%)を100%としたときそのうちの77.7%が浸出液1に含まれていることを意味する。なお、下記の表3~表11の分配率でも同様である。

表2 浸出液1での主な金属の分配率(%)
【0040】
ろ過前(洗浄前)の浸出液1に20wt%濃度のNaOHを添加してpHを8.0に調整・維持しながら液温30℃で15分間反応させた後にろ過して、浸出液2とその他の有価金属の水酸化物を含む沈殿物1とを分離した。その浸出液2の成分をICPで定量分析した。主な金属の分配率(%)は、下記の表3の通りであった。30℃の低温で洗浄無しでも、Co、Niのロスは約2%のみであり、Liが約77%、Mnが約41%分離(除去)できた。これにより、未洗浄で上記の数値が達成できるため、デカンタなどの装置利用が考えられ、より効率的な分離が可能であることがわかった。

表3 浸出液2での主な金属の分配率(%)
【0041】
水道水300mlに沈殿物1を分散させ、15wt%濃度のHSOを添加してpHを2.0に調整・維持しながら液温30℃で30分間反応させて浸出液3を得た。その浸出液3をろ過し、浸出成分をICPで定量分析した。主な金属の分配率(%)は、下記の表4の通りであった。30℃の低温でもCoが約95%、Niが約93%分離(回収)できた。Cuは浸出が見られず、不純物であるCuの分離が可能であることもわかった。

表4 浸出液3での主な金属の分配率(%)
【0042】
浸出液3の100mlに酸化剤としてKMnOを0.36g添加し、液温30℃で15分間反応させて浸出液4得た。浸出液4に20wt%濃度のNaOHを添加してpHを5.0に調整・維持しながら液温30℃で15分間反応させた後にろ過して、Co、Niを含む浸出液5と、マンガン酸化物(MnO)及びその他の有価金属の水酸化物(Fe(OH)、Al(OH))を含む沈殿物とを分離した。その浸出液5の成分をICPで定量分析した。主な金属の分配率(%)は、下記の表5の通りであった。Co、Niの分配率は約73%、78%であった。Mn、Al、Feの分配率はほぼゼロでありそれらのほとんどを分離(除去)することができた。

表5 浸出液5での主な金属の分配率(%)
【0043】
(KMnOとNaOHの添加の他の実施例A)
浸出液3の100mlに添加するKMnOとNaOHの順番を入れ替えて、すなわち、浸出液3の100mlに最初に20wt%濃度のNaOHを添加してpHを5.0に調整・維持しながら液温30℃で15分間反応させた後に、KMnOを0.36g添加し、同様に液温30℃で15分間反応させて浸出液4Aを得た。その浸出液4Aの成分をICPで定量分析した。主な金属の分配率(%)は、下記の表6の通りであった。Co、Niの分配率は約69%、76%であった。Mn、Al、Feの分配率はほぼゼロでありそれらのほとんどを分離(除去)することができた。

表6 浸出液4Aでの主な金属の分配率(%)
【0044】
(KMnOとNaOHの添加の他の実施例B)
浸出液3の100mlに続けてKMnOとNaOHを添加して、pHを5.0に調整・維持しながら液温30℃で15分間反応させて浸出液4Bを得た。その浸出液4Bの成分をICPで定量分析した。主な金属の分配率(%)は、下記の表7の通りであった。Co、Niの分配率は約68%、77%であった。Mn、Al、Feの分配率はほぼゼロでありそれらのほとんどを分離(除去)することができた。

表7 浸出液4Bでの主な金属の分配率(%)
【0045】
(実施例2):<反応温度50℃>
水道水200mlに電離滓30gを分散させ、50wt%濃度のHSOを添加してpHを2.0に調整・維持しながら液温50℃で30分間反応させて浸出液6を得た。その浸出液6に20wt%濃度のNaOHを添加してpHを8.0に調整・維持しながら液温50℃で15分間反応させた後にろ過して、浸出液7とその他の有価金属の水酸化物を含む沈殿物2とを分離した。その浸出液7の成分をICPで定量分析した。主な金属の分配率(%)は、下記の表8の通りであった。50℃の低温で洗浄無しでも、Co、Niのロスは約1%未満であり、Liが約70%、Mnが約30%分離(除去)できた。これにより、未洗浄で上記の数値が達成できるため、デカンタなどの装置利用が考えられ、より効率的な分離が可能であることがわかった。

表8 浸出液7での主な金属の分配率(%)
【0046】
水道水200mlに沈殿物2を分散させ、50wt%濃度のHSOを添加してpHを1.0以下に調整・維持しながら液温50℃で30分間反応させて浸出液8を得た。その浸出液8をろ過し、浸出成分をICPで定量分析した。主な金属の分配率(%)は、下記の表9の通りであった。50℃の低温でもCoが約96%、Niが約93%分離(回収)できた。Cuの浸出は1%未満であり、不純物であるCuの分離が可能であることもわかった。

表9 浸出液8での主な金属の分配率(%)
【0047】
浸出液8の100mlにKMnOを0.54g添加し、液温50℃で15分間反応させて得た浸出液をろ過してマンガン酸化物(MnO)を除去した後の浸出液9を得た。浸出液9の成分をICPで定量分析した。主な金属の分配率(%)は、下記の表10の通りであった。Mnの分配率は1%未満でありそのほとんどを分離(除去)することができた。

表10 浸出液9での主な金属の分配率(%)
【0048】
浸出液9の100mlに20wt%濃度のNaOHを添加してpHを5.0に調整・維持しながら液温50℃で15分間反応させた後にろ過して、Co、Niを含む浸出液10と、その他の有価金属の水酸化物(Fe(OH)、Al(OH))を含む沈殿物とを分離した。その浸出液10の成分をICPで定量分析した。主な金属の分配率(%)は、下記の表11の通りであった。Co、Niの分配率はいずれも約90%であった。Mn、Feの分配率はほぼゼロで、Alの分配率は約4%であり、それらの大部分を分離(除去)することができた。

表11 浸出液10での主な金属の分配率(%)
【0049】
本発明の実施形態について、図や表を参照しながら説明をした。しかし、本発明はこれらの実施形態に限られるものではない。本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、変形を加えた態様で実施できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0050】
有価金属を含有するリチウムイオン電池の電池滓から有価金属を回収する方法は、廃リチウムイオン電池からの有価金属の回収において幅広く利用することができる。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-09-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有価金属を含有するリチウムイオン電池の電池滓から有価金属を回収する方法であって、
(a)前記電池滓を含みpHが0~2である浸出液に水酸化ナトリウムを添加しpHを7~10として、LiとMnを含む浸出液とその他の有価金属の水酸化物を含む沈殿物を分離する工程と、
(b)前記沈殿物に酸を添加しpHを0~2として、Cuを含む沈殿物とその他の有価金属を含む浸出液を分離する工程と、
(c)工程(b)で得た浸出液に酸化剤を添加し、Mnを含む沈殿物とその他の有価金属を含む浸出液を分離する工程と、
(d)工程(c)で得た浸出液に水酸化ナトリウムを添加しpHを4~6として、CoとNiを含む浸出液と、FeとAlを含む沈殿物を分離する工程と、を含む回収方法。
【請求項2】
前記(a)~(d)の各工程は反応温度30~50℃で実行される、請求項1に記載の回収方法。
【請求項3】
前記(a)~(d)の各工程は60分以内で実行される、請求項1又は2に記載の回収方法。
【請求項4】
前記(a)と(d)の工程で用いる水酸化ナトリウムは20wt%の濃度である、請求項1に記載の回収方法。
【請求項5】
前記(b)の工程で用いる酸は硫酸であり、前記硫酸は15~50wt%の濃度である、請求項1に記載の回収方法。
【請求項6】
前記(c)の工程で用いる酸化剤は過マンガン酸カリウムである、請求項1に記載の回収方法。
【請求項7】
前記電池滓は、X線回折(XRD)測定において、Liを含む正極活物質による回折角度18.7°のピーク強度Aと負極活物質の黒鉛による回折角度26.5°のピーク強度Bとの比(A/B)が0~0.15の範囲にある、請求項1に記載の回収方法。
【請求項8】
前記X線回折(XRD)測定において、CoNiに起因するピークと、LiCO及びCoの一方または双方に起因するピークを有する、請求項7に記載の回収方法。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極活物質としてLi、Co、Ni及びMnを含み、負極活物質として黒鉛(C)を含有するリチウムイオン電池の電池滓から有価金属(Co、Ni)を回収する方法であって、
(a)前記電池滓を含みpHが0~2である浸出液に水酸化ナトリウムを添加しpHを7~10として、LiとMnを含む浸出液とその他の有価金属の水酸化物を含む沈殿物を分離する工程と、
(b)前記沈殿物に酸を添加しpHを0~2として、Cuを含む沈殿物とその他の有価金属を含む浸出液を分離する工程と、
(c)工程(b)で得た浸出液に酸化剤を添加し、Mnを含む沈殿物とその他の有価金属を含む浸出液を分離する工程と、
(d)工程(c)で得た浸出液に水酸化ナトリウムを添加しpHを4~6として、CoとNiを含む浸出液と、FeとAlを含む沈殿物を分離して、CoとNiを回収する工程と、を含み、
前記電池滓は、X線回折(XRD)測定において、Liを含む正極活物質による回折角度18.7°のピーク強度Aと負極活物質の黒鉛による回折角度26.5°のピーク強度Bとの比(A/B)が0~0.15の範囲にある、回収方法。
【請求項2】
前記(a)~(d)の各工程は反応温度30~50℃で実行される、請求項1に記載の回収方法。
【請求項3】
前記(a)~(d)の各工程は60分以内で実行される、請求項1又は2に記載の回収方法。
【請求項4】
前記(a)と(d)の工程で用いる水酸化ナトリウムは20wt%の濃度である、請求項1に記載の回収方法。
【請求項5】
前記(b)の工程で用いる酸は硫酸であり、前記硫酸は15~50wt%の濃度である、請求項1に記載の回収方法。
【請求項6】
前記(c)の工程で用いる酸化剤は過マンガン酸カリウムである、請求項1に記載の回収方法。
【請求項7】
前記X線回折(XRD)測定において、CoNiに起因するピークと、LiCO及びCoの一方または双方に起因するピークを有する、請求項に記載の回収方法。