(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112407
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】建築物構造
(51)【国際特許分類】
E04H 9/02 20060101AFI20240814BHJP
E04H 1/04 20060101ALI20240814BHJP
F16F 15/02 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
E04H9/02 321A
E04H1/04 C
E04H9/02 331Z
F16F15/02 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017381
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000150615
【氏名又は名称】株式会社長谷工コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110003498
【氏名又は名称】弁理士法人アイピールーム
(74)【代理人】
【識別番号】100167117
【弁理士】
【氏名又は名称】打越 佑介
(72)【発明者】
【氏名】入江 貴弘
【テーマコード(参考)】
2E139
3J048
【Fターム(参考)】
2E139AA01
2E139AC03
2E139AC04
2E139AC06
2E139AC08
2E139AC26
2E139AC27
2E139AC28
2E139AC33
2E139AD01
2E139CC02
3J048DA01
3J048EA38
(57)【要約】 (修正有)
【課題】建築物の全階層の架構における開口面積が広めになって所望の採光性を確保すると共に、任意の階層及び位置に対する補強により所望の免震性を確保する建築物構造を提供すること。
【解決手段】柱1は、第1柱11と、第2柱12と、第3柱13とを有し、梁2は、第1梁21と、第2梁22と、第3梁23とを有し、耐震壁3は、第1耐震壁31と、第2耐震壁32と、第3耐震壁33とを有し、床スラブ4は、第1床スラブ41と、第2床スラブ42とを有し、第2柱12は、第1柱11及び第3柱13と比して扁平であり、第2梁22は、第1梁21及び第3梁23と比して扁平であり、第2耐震壁32は、第1耐震壁31及び第3耐震壁33と比して厚くかつ第2柱12を兼ね、第2床スラブ42は、第1床スラブ41と比して厚くかつ第2梁22を兼ねる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直方向に設けられる柱と、桁行方向と平行に設けられる梁と、梁間方向と平行に設けられる耐震壁と、水平方向に設けられる床スラブとを備え、
柱、梁、耐震壁、及び床スラブで形成される内部空間と、内部空間の梁間方向側の一端に隣接する第1外部空間と、他端に隣接する第2外部空間とを含み、
柱は、第1外部空間側に位置する第1柱と、第2外部空間側に位置する第2柱と、第2外部空間側かつ第2柱より外側に位置する第3柱とを有し、
梁は、第1外部空間側に位置して第1柱と接合される第1梁と、第2外部空間側に位置して第2柱と接合される第2梁と、第2外部空間側かつ第2梁の最外端側に位置して第3柱に接合される第3梁とを有し、
耐震壁は、第1外部空間側に位置して第1柱と接合される第1耐震壁と、第2外部空間側に位置して第1耐震壁と連続している第2耐震壁と、第2外部空間側かつ第2耐震壁より外側に位置して第2耐震壁と連続しており第3柱と接合される第3耐震壁とを有し、
床スラブは、第1外部空間側に位置して第1柱及び第1梁と接合される第1床スラブと、第2外部空間側に位置して第1床スラブと連続しており第2柱と接合される第2床スラブとを有し、
第2柱は、第1柱及び第3柱と比して扁平であり、
第2梁は、第1梁及び第3梁と比して扁平であり、
第2耐震壁は、第1耐震壁及び第3耐震壁と比して厚く、かつ第2柱を兼ね、
第2床スラブは、第1床スラブと比して厚く、かつ第2梁を兼ねる
ことを特徴とする建築物構造。
【請求項2】
建築物は、集合住宅であり、
内部空間は、区分けされた住戸であり、
第1外部空間は、住戸に併設された共用廊下であり、
第2外部空間は、住戸に付随するバルコニーである
ことを特徴とする請求項1に記載の建築物構造。
【請求項3】
内部空間は、桁行方向に少なくとも3つ以上連続して形成されており、
第3柱、第3梁、及び第3耐震壁は、桁行方向の中央に該当する少なくとも1つ以上の内部空間に対応する位置に設けられる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の建築物構造。
【請求項4】
内部空間は、垂直方向に少なくとも3つ以上連続して形成されており、
第3柱、第3梁、及び第3耐震壁は、垂直方向の下層階に該当する位置に設けられる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の建築物構造。
【請求項5】
垂直方向の最下部に設けられた免震材料をさらに含み、
第3柱は、免震材料に直結される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の建築物構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば集合住宅のラーメン構造といった建築物構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば集合住宅では、住戸といった内部空間が桁行方向に並列するように複数形成され、この住戸の梁間方向側の一端に共用廊下、他端にバルコニーといった内部空間外に相当する外部空間が形成されていた。このような集合住宅では、柱と梁とを主な構造体とする架構式構造(ラーメン構造)が採用されており、さらに住戸の各々を区分けする戸境として耐震壁が採用されていた。
【0003】
こういった集合住宅のうち、例えば特許文献1では、住戸の採光面積を減らさず、階高を高くしなくても開口部分の高さを確保できる構造として、上部の構造体が耐震壁と床スラブのみによるものであり、耐震壁の上端又は下端に減衰材(高減衰ゴムや粘弾性材料)を内蔵させることで、桁行方向のラーメンを構成していた柱及び梁を全廃しても所望の免震効果が得られる技術が開示されている(要約、請求項3、及び段落「0029」参照)。
【0004】
また、外部空間側に、梁間方向と平行な耐震壁3と連続して扁平柱22が設けられ、扁平柱22に対応する位置に床スラブ5と連続して扁平梁42が設けられている(
図4及び
図7参照)。これにより、ラーメン構造の架構面において柱及び梁が突出せず、開口部分が相対的に広くなることから、階高を高くしなくても内部空間に対する採光面積を広めに確保できる効果が期待された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、建築物の上部の構造体より下位について記載されていないことから、中~下部の構造体は従来のラーメン構造の架構が採用されていると判断するのが妥当である。換言すると、中~下部の構造体に対して、上述した扁平柱及び扁平壁の構造のみならず、減衰材を内蔵した耐震壁を採用しても、所望の免震効果を得られないことから、中~下部に相当する内部空間に対する採光面積を広めに確保できていないおそれがある。
【0007】
一般的に、建築物に含まれる内部空間は、階層のみならず位置や向きによる価値の差を伴う。換言すると、同じ階層でも位置や向きによって内部空間の採光性に差異があってもよく、むしろ建築物全体の免震性を優先すべきであることは言うまでもない。すなわち、階層に関わらず、建築物全体に対して上述した扁平柱及び扁平壁の構造を採用し、任意の階層及び位置に対して所定の免震構造を付加する新たな構造に、発明者等は辿り着いた。
【0008】
そこで、本発明の目的は、建築物の全階層の架構における開口面積が広めになって所望の採光性を確保すると共に、任意の階層及び位置に対する補強により所望の免震性を確保する建築物構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明における建築物構造は、垂直方向に設けられる柱と、桁行方向と平行に設けられる梁と、梁間方向と平行に設けられる耐震壁と、水平方向に設けられる床スラブとを備え、柱、梁、耐震壁、及び床スラブで形成される内部空間と、内部空間の梁間方向側の一端に隣接する第1外部空間と、他端に隣接する第2外部空間とを含み、柱は、第1外部空間側に位置する第1柱と、第2外部空間側に位置する第2柱と、第2外部空間側かつ第2柱より外側に位置する第3柱とを有し、梁は、第1外部空間側に位置して第1柱と接合される第1梁と、第2外部空間側に位置して第2柱と接合される第2梁と、第2外部空間側かつ第2梁の最外端側に位置して第3柱に接合される第3梁とを有し、耐震壁は、第1外部空間側に位置して第1柱と接合される第1耐震壁と、第2外部空間側に位置して第1耐震壁と連続している第2耐震壁と、第2外部空間側かつ第2耐震壁より外側に位置して第2耐震壁と連続しており第3柱と接合される第3耐震壁とを有し、床スラブは、第1外部空間側に位置して第1柱及び第1梁と接合される第1床スラブと、第2外部空間側に位置して第1床スラブと連続しており第2柱と接合される第2床スラブとを有し、第2柱は、第1柱及び第3柱と比して扁平であり、第2梁は、第1梁及び第3梁と比して扁平であり、第2耐震壁は、第1耐震壁及び第3耐震壁と比して厚く、かつ第2柱を兼ね、第2床スラブは、第1床スラブと比して厚く、かつ第2梁を兼ねることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、内部空間に対する梁間方向の一方に位置する第2外部空間側の架構における開口面積が、扁平かつ第2耐震壁を兼ねる第2柱及び第2床スラブを兼ねる第2梁の採用により広めになることで、第2外部空間側の採光性を確保できると共に、第3柱、第3耐震壁、及び第3梁が構造上不足している第2柱及び第2梁の耐力を補強することで、第2外部空間側かつ任意の階層及び位置に対して所望の免震性を確保する効果を期待できる。
【0011】
建築物は、集合住宅であり、内部空間は、区分けされた住戸であり、第1外部空間は、住戸に併設された共用廊下であり、第2外部空間は、住戸に付随するバルコニー又は庭であってもよい。
【0012】
この構成によれば、第2外部空間とし住戸に付随するバルコニー又は庭側の採光性を確保できることで、住戸の付加価値を高められる効果を期待できる。
【0013】
内部空間は、桁行方向に少なくとも3つ以上連続して形成されており、第3柱、第3梁、及び第3耐震壁は、桁行方向の中央に該当する少なくとも1つ以上の内部空間に対応する位置に設けられることが望ましい。
【0014】
この構成によれば、桁行方向の中央にのみ位置するように設けられた第3柱、第3梁、及び第3耐震壁が建築物全体の免震性を効率良く高めることから、桁方向の中央以外に位置する内部空間における採光性を確保する効果を期待できる。
【0015】
内部空間は、垂直方向に少なくとも3つ以上連続して形成されており、第3柱、第3梁、及び第3耐震壁は、垂直方向の下層階に該当する位置に設けられることが望ましい。
【0016】
この構成によれば、垂直方向の下層階にのみ位置するように設けられた第3柱、第3梁、及び第3耐震壁が建築物全体の免震性を効率良く高めることから、上層階や中層階に位置する内部空間における採光性を確保する効果を期待できる。
【0017】
本発明における建築物構造は、垂直方向の最下部に設けられた免震材料をさらに含み、第3柱は、免震材料に直結されることが望ましい。
【0018】
この構成によれば、免震材料が第3柱、第3梁、及び第3耐震壁に生じた揺れを吸収することから、建築物全体の免震性を高める効果を期待できる。
【0019】
「建築物」とは、例えば、集合住宅・戸建住宅・仮設住宅・学校・病院・高齢者施設・障害者施設・各種商業施設であり、鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄骨造といった構造やサイズを限定しない。
【0020】
柱、梁、耐震壁、及び床スラブは、建築物の躯体(「構造体」ともいう。)に該当し、圧縮強度が低めな24N/mm2以上60N/mm2未満であっても、高めな60N/mm2以上200N/mm2未満であってもよく、建築現場で打設されるコンクリート造(以下「在来式」ともいう。)でも所定の工場で製造されてから建築現場に搬送されるプレキャストコンクリート造(以下「PCa式」ともいう。)でもよく、それぞれ単体に形成されても2種類以上が組み合わさって一体的に形成されてもよい。柱、梁、耐震壁、及び床スラブのサイズ・形状・互いの接合方法を含む施工方法といった仕様は、設置される場所や工期を含む計画に応じて決定されてよい。耐震壁は、耐力壁と表してもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、建築物の全階層の架構における開口面積が広めになって所望の採光性を確保すると共に、任意の階層及び位置に対する補強により所望の免震性を確保する効果を期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態における建築物を正面視した概念図である。
【
図2】上記建築物の上層階を平面視した概念図(A)と、下層階を平面視した概念図(B)である。
【
図3】上記建築物を側断面視して一部記載を省略した概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、
図1~
図3を参照しつつ、本発明の一実施形態における建築物構造(以下「本構造」ともいう。)について説明する。これらの図において、複数個存在する同一の物や部位については、一つの物や部位のみに符番した部分もある。説明の便宜上、所定の物や部位、この物や部位の引き出し線をかくれ線(破線)や想像線(一点鎖線)で示した部分もある。説明において、上方、下方、側方、垂直方向、水平方向等の向きを示す用語は、基本的に通常の建築物を基準とし、これ以外を基準にする場合は適宜説明する。
【0024】
本構造を採用する建築物(以下「本建築物」ともいう。)は、複数階に渡って区画された住戸、上記住戸に付随するバルコニー(テラスやベランダでもよい。)又は庭、直線状や湾曲状の共用廊下を含む集合住宅であり、
図1では階層毎に6つの住戸かつ20階建ての集合住宅が示されているが、階層毎の住戸の数は5つ以下でも7つ以上でもよく、階数は19階以下でも21階以上でもよく、板状型でも雁行型でもこれら以外の型でもよい。
【0025】
図1に示すように、本建築物は、公知のラーメン構造が採用されており、垂直方向に設けられる柱1と、桁行方向と平行に設けられる梁2と、梁間方向と平行に設けられる耐震壁3と、水平方向に設けられる床スラブ4とをそれぞれ複数備え、複数の柱1、梁2、耐震壁3、及び床スラブ4で形成される内部空間として付番しない住戸と、住戸の梁間方向側の一端に隣接する第1外部空間として図示しない共用廊下と、他端に隣接する第2外部空間として付番しないバルコニーとを含む。
【0026】
図2(A)及び
図3に示すように、例えば上層階では、柱1は、共用廊下M側に位置する第1柱11と、バルコニーN側に位置する第2柱12とであり、梁2は、共用廊下M側に位置して第1柱11と接合される第1梁21と、バルコニーN側に位置して第2柱12と接合される第2梁22とであり、耐震壁3は、共用廊下M側に位置して第1柱11と接合される第1耐震壁31と、バルコニーN側に位置して第1耐震壁31と連続している第2耐震32壁とであり、床スラブ4は、共用廊下M側に位置して第1柱11及び第1梁21と接合される第1床スラブ41と、バルコニーN側に位置して第1床スラブ41と連続しており第2柱12と接合される第2床スラブ42とである。
【0027】
第2柱12は、第1柱11と比して扁平であり、第2梁22は、第1梁21と比して扁平であり、第2耐震壁32は、第1耐震壁31と比して厚くかつ第2柱12を兼ね、第2床スラブ42は、第1床スラブ41と比して厚くかつ第2梁22を兼ねる。例えば、桁行方向に相当する第2柱12の厚さは350mm、梁間方向に相当する第2柱12の幅は3500mm、梁間方向に相当する第2梁22の幅は3500m、第2梁22の高さは350mmである。
【0028】
すなわち、上層階に位置する住戸Lは、一対の第1柱11、11と、第1柱11に対して扁平柱に相当する一対の第2柱12、12と、第1梁21と、第1梁21に対して扁平梁に相当する第2梁22と、第1耐震壁31、31と、第1耐震壁31より厚くかつ第2柱12でもある第2耐震壁32、32と、第1床スラブ41と、第1床スラブ41より厚くかつ第2梁22でもある第2床スラブ42といった構造体で構成される。この構成によれば、バルコニーN側の架構における開口面積が広めになって所望の採光性を確保しやすい。隣接する住戸の各々に付随するバルコニーの範囲は、付番しない所定の衝立で区分けされてよい。
【0029】
図2(A)及び(B)並びに
図3に示すように、例えば下層階では、基本的に上層階と同じ構造であるが、柱1は、バルコニーN側かつ第2柱12より外側に位置する第3柱13を含み、梁2は、バルコニーN側かつ第2梁22の最外端側に位置して第3柱13に接合される第3梁23を含み、耐震壁3は、バルコニーN側かつ第2耐震壁32より外側に位置してこれと連続しており第3柱13と接合される第3耐震壁33を含む。
【0030】
第3柱13は、第1柱と同じ厚み及び奥行であってもよい。第3梁23は、第1梁21と逆向き(逆梁)であっても同じ向き(順梁)でもあってもよく、第1梁21より高くても低くてもよい。第3耐震壁33は、第1耐震壁31と同じ厚みであってもよい。例えば、桁行方向に相当する第3柱13の幅は1250mm、梁間方向に相当する第3柱13の幅は1040mm、梁間方向に相当する第3梁23の厚さは700mm、第3梁23の高さは750mmである。
【0031】
すなわち、下層階に位置する住戸Lは、上層階に位置する住戸Lと同等の構造体で構成されるのみならず、上記構造体に一対の第3柱13、13と、第3梁23と、第3耐震壁33とが加わった構造体で構成される。この構成によれば、下層階に対する補強により全体の免震性の向上が期待できるばかりではなく、逆梁であれば第3梁23が採光の障害になりにくい。
【0032】
図1及び
図2(B)に示すように、第3柱13、第3梁23、及び第3耐震壁33は、下層階に相当する1~6階かつ中央に位置して隣り合う2つの住戸L、Lの各々に対してのみ設けられてもよいが、7階以上又は5階以下の住戸に対して設けられてもよく、住戸L、L以外の住戸のうち、例えば、住戸L、Lの各々より外側で隣接する住戸の各々に対してのみ設けられてもよい。
【0033】
図1に示すように、本建築物は、垂直方向の最下部に設けられた免震材料Bをさらに含んでいる。免震材料Bは、アイソレータやダンパやすべり支承や転がり支承といった公知の装置又はこれらのうち2種類以上を組み合わせた装置であってもよい。第1柱11及び第3柱13は、免震材料Bに直結される。
【0034】
したがって、本構造によれば、
図2及び
図3に示すように、住戸Lに対する梁間方向の一方に位置するバルコニーN側の架構における開口面積が、扁平かつ第2耐震壁32を兼ねる第2柱12及び第2床スラブ42を兼ねる第2梁22により広めになることで、バルコニーN側の採光性を確保できると共に、第3柱13、第3梁23、及び第3耐震壁33が構造上不足している第2柱12及び第2梁22の耐力を補強することで、バルコニーN側かつ下層階に対して所望の免震性を確保する効果を期待できる。
【0035】
換言すると、本建築物は、
図1に示すように、全体的に公知のラーメン構造が採用されているが、上~中層階と下層階とで架構形式が異なっており、詳細には、下層に相当する1~6階かつ中央に位置して隣り合う住戸の各々に対して第3柱13及び第3梁23を設けた構造が採用され、かつ第3柱13を免震材料Bに直結させていることから、全体の採光性を高められると共に、全体のねじれを抑制できる効果を期待できる。
【0036】
なお、本実施形態に示した建築物構造は、上述した内容に限定されず、同等の効果を得られる限り、あらゆる部位の位置・形状・寸法や、部位同士の関係を含む。
【符号の説明】
【0037】
1 柱
11 第1柱、12 第2柱、13 第3柱
2 梁
21 第1梁、22 第2梁、23 第3梁
3 耐震壁
31 第1耐震壁、32 第2耐震壁、33 第3耐震壁
4 床スラブ
41 第1床スラブ、42 第2床スラブ
L 住戸(内部空間)
M 共用廊下(第1外部空間)
N バルコニー(第2外部空間)
B 免震材料