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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112410
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】便座洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 13/30 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
A47K13/30 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017384
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】523044563
【氏名又は名称】金龍建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100173679
【弁理士】
【氏名又は名称】備後 元晴
(72)【発明者】
【氏名】呉 金龍
【テーマコード(参考)】
2D037
【Fターム(参考)】
2D037AA02
2D037AA11
2D037AB01
2D037AD13
(57)【要約】
【課題】便座を洗浄液で洗浄できるとともに、洗浄終了後に便座に水滴が付着することが防止できる便座洗浄装置を提供すること。
【解決手段】洋式便器100の便座130を洗浄するための便座洗浄装置1であって、便座130に洗浄液を当てて便座130を洗浄する洗浄液供給部10と、便座130にエアを当てて便座130を乾燥させるエア供給部と、を備え、洗浄液供給部は、蓋体140の裏面における便座130を上から被せた状態で便座130に対向する部位に配置され、長尺方向に沿って並んで形成された複数の排出孔11Aを備える環状の洗浄液排出ホース11を有し、エア供給部は、洗浄液排出ホース11の近傍に配置され、便座130と蓋体140との間に気流を発生させる小型ファン21を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器本体に回動自在に取り付けられ、前記便器本体上に配置されて使用者が着座可能にする環状の便座と、前記便器本体に回動自在に取り付けられ、前記便座を上から覆い被せる蓋体と、を備える洋式便器の前記便座を洗浄するための便座洗浄装置であって、
前記便座に洗浄液を当てて前記便座を洗浄する洗浄液供給部と、前記便座にエアを当てて前記便座を乾燥させるエア供給部と、を備え、
前記洗浄液供給部は、前記蓋体の裏面における前記便座を上から被せた状態で前記便座に対向する部位に配置され、長尺方向に沿って並んで形成された複数の孔部を備える環状の第1ホース体を有し、
前記エア供給部は、前記第1ホース体の近傍に配置され、前記第1ホース体の近傍に配置され、前記便座及び前記蓋体にエアを当てる送風機構を有する、便座洗浄装置。
【請求項2】
請求項1に記載の便座洗浄装置であって、
前記送風機構は、回転によって送風するファンを有する、便座洗浄装置。
【請求項3】
請求項1に記載の便座洗浄装置であって、
前記送風機構は、前記蓋体の裏面における前記便座を上から被せた状態で前記便座に対向する部位に配置され、長尺方向に沿って並んで形成された複数の孔部を備える環状の第2ホース体を有し、
前記第2ホース体の複数の孔部に、前記便座に対向する孔部と前記蓋体に対向する孔部と、が含まれている、便座洗浄装置。
【請求項4】
請求項3に記載の便座洗浄装置であって、
前記第2ホース体は、前記第1ホース体の内側に配置される、便座洗浄装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の便座洗浄装置であって、
前記便器本体と前記便座との間に配置され、前記便器本体の開口に対向する開口を有する平板部と、前記平板部の外周に立設され、前記便座を上から被せた状態の前記蓋体の外周を囲む側板部と、を有する受け板を更に備える、便座洗浄装置。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の便座洗浄装置であって、
前記洗浄液供給部及び前記エア供給部のいずれかが駆動している場合に、所定の表示を行う表示部を有する、便座洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便座の洗浄、乾燥を行う便座洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、洋式の便器が普及している。洋式の便器は便座を便器本体上に載置してから使用される。このため、便座に汚物が付着しやすいことから、特に店舗のトイレにおいては、洗浄用の液体を常備し、その液体をトイレットペーパーに付けて便座を拭き取るようにしたり、便座に載置する便座形状のシートを用意したりしている。
【0003】
また、従来、便座蓋の裏面に周配管を環状に配設し、周配管に設けられた複数の噴出孔から便座に高圧水の噴き当て更に高圧空気の噴き当てることで、便座の洗浄、乾燥を行う便座洗浄装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4521063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された便座洗浄装置によれば、便座に付着した汚物を効果的に洗浄することができ、かつ洗浄に伴い便座に残存する水滴を短時間に除去することができる。しかしながら、周配管が高圧水の噴き当てと高圧空気の噴き当てと、を兼用しているため、高圧水の噴き当て方向と高圧空気の噴き当て方向とは同じであり、便座側を向いている。このため、高圧空気は便座蓋の裏面に当り難くなり、便座蓋に付着した水滴が高圧空気の噴き当て後も残留し、その水滴が便座に落下するおそれがある。水滴が便座に落下した場合には、使用者がその水滴をトイレットペーパー等で拭き取る必要がある。また、便座に付着した水滴は、汚物が便座に付着しているようにも見えるため、使用者が気持ちよく洋式便器を利用できないおそれがある。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決し、便座を水で洗浄できるとともに、洗浄終了後に便座に水滴が付着することが防止できる便座洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は、次に記載する構成を備える。
【0008】
(1) 便器本体(例えば、便器110)に回動自在に取り付けられ、前記便器本体上に配置されて使用者が着座可能にする環状の便座(例えば、便座130)と、前記便器本体に回動自在に取り付けられ、前記便座を上から被せて全体を覆う蓋体(例えば、蓋体140)と、を備える洋式便器(例えば、洋式便器100)の前記便座を洗浄するための便座洗浄装置(例えば、便座洗浄装置1)であって、
前記便座に洗浄液を当てて前記便座を洗浄する洗浄液供給部(例えば、洗浄液供給部10)と、前記便座にエアを当てて前記便座を乾燥させるエア供給部(例えば、エア供給部20)と、を備え、
前記洗浄液供給部は、前記蓋体の裏面における前記便座を上から被せた状態で前記便座に対向する部位に配置され、長尺方向に沿って並んで形成された複数の孔部(例えば、排出孔11A)を備える環状の第1ホース体(例えば、洗浄液排出ホース11)を有し、
前記エア供給部は、前記第1ホース体の近傍に配置され、前記便座及び前記蓋体にエアを当てる送風機構(例えば、小型ファン21)を有する、便座洗浄装置。
【0009】
(1)によれば、便器本体の上部に便座を位置付け、蓋体を便座の上から被せた状態で洗浄液供給部を駆動させ、第1ホース体に洗浄液を供給して孔部から洗浄液を放出させて便座に当てることにより、便座の洗浄を行うことができる。更に、便座の洗浄後にエア供給部を駆動することにより、座及び前記蓋体にエアを当てるため、便座及び蓋体に付着した水滴を吹き飛ばすことが可能になる。これにより、便座を洗浄液で洗浄できるとともに、洗浄終了後に便座に水滴が付着することが防止できる。
【0010】
(2) (1)において、前記送風機構は、回転によって送風するファン(例えば、小型ファン21)を有する、便座洗浄装置。
【0011】
(2)によれば、ファンの回転によって送風とともに吸気も行われるため、便座と蓋体との間に安定した気流を発生させることが可能になる。
【0012】
(3) (1)において、前記送風機構は、前記蓋体の裏面における前記便座を上から被せた状態で前記便座に対向する部位に配置され、長尺方向に沿って並んで形成された複数の孔部を備える環状の第2ホース体(例えば、エア排出ホース26)を有し、
前記第2ホース体の複数の孔部(例えば、排気孔26A)に、前記便座に対向する孔部と前記蓋体に対向する孔部と、が含まれている、便座洗浄装置。
【0013】
(3)によれば、蓋体の裏面に対向する孔部から吹き出すエアによって、蓋体の裏面に付着した水滴を吹き飛ばすことができる。これにより、蓋体の裏面に付着した水滴が便座に付着することを低減できる。
【0014】
(4) (3)において、前記第2ホース体は、前記第1ホース体の内側に配置される、便座洗浄装置。
【0015】
(4)によれば、第1ホース体付近の水滴を外側に吹き飛ばすことができる。
【0016】
(5) (1)~(4)において、前記便器本体と前記便座との間に配置され、前記便器本体の開口に対向する開口を有する平板部(例えば、平板部40A)と、前記平板部の外周に立設され、前記便座を上から被せた状態の前記蓋体の外周を囲む側板部(例えば、側板部40B)と、を有する受け板(例えば、受け板40)を更に備える、便座洗浄装置。
【0017】
(5)によれば、便座の外側に吹き飛ばされた洗浄液を便器側に戻すことができる。これにより、便座の外側に吹き飛ばされた洗浄液が外部に飛散することを防止することができる。
【0018】
(6) (1)~(4)において、前記洗浄液供給部及び前記エア供給部のいずれかが駆動している場合に、所定の表示を行う表示部(例えば、表示部60)を有する、便座洗浄装置。
【0019】
(6)によれば、使用者が表示部の表示によって便座の洗浄中であるか否かを判別することが可能になり、便座の洗浄中に蓋体を開けることを低減することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、便座を水で洗浄できるとともに、洗浄終了後に便座に水滴が付着することが防止できる便座洗浄装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態における便座洗浄装置1を設置した洋式便器100の外観を示す説明図である。
図2図1の洋式便器100の蓋体140を閉じた状態を示す説明図である。
図3】本発明の一実施形態における便座洗浄装置1を概略的に示す説明図である。
図4】本発明の一実施形態における便座洗浄装置1の要部構成を示す正面図である。
図5】洗浄液排出ホース11の一部の表面を示す説明図である。
図6】受け板40の外観を示す斜視図である。
図7】本発明の他の実施形態における便座洗浄装置2を概略的に示す説明図である。
図8】本発明の他の実施形態における便座洗浄装置2の要部構成を示す正面図である。
図9】エア排出ホース26の一部の表面を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態における便座洗浄装置1を設置した洋式便器100の外観を示す説明図である。図2は、図1の洋式便器100の蓋体140を閉じた状態を示す説明図である。
【0024】
[洋式便器100の構成]
本発明の一実施形態における便座洗浄装置1は、洋式便器100に設置される。このため、便座洗浄装置1の説明に先立って洋式便器100について説明する。
【0025】
洋式便器100は、上部に略楕円形の開口を有する陶器製の容器体からなる便器110と、便器110の上部に載置され、使用者が着座する便座装置120と、を備えている。以下の説明において、前後方向、左右方向、上下方向とは、便座装置120に着座した使用者から見た前後方向、左右方向、上下方向をそれぞれ示すものとする。
【0026】
便座装置120は、装置本体121と、便座130と、蓋体140と、を備えている。装置本体121は、便器110の上部の平面における後部に固定されている。装置本体121は、左右両側面が略直角三角形であり上面が前方に向かって下り傾斜する略三角柱状の固定部122と、この固定部122の後部すなわち傾斜面の上部において上方に延びる延出部123と、を有する。延出部123は、固定部122の後端部から延出し、左右幅が固定部122の左右幅より若干短い後方延出部123Aと、後方延出部123Aより短い左右幅でかつ後方延出部123Aの左右方向の中央部から前方に延びる前方延出部123Bと、によって構成される。
【0027】
後方延出部123Aは、左右両側部に、蓋体140を回転自在に支持する蓋体軸支部124(図4参照)を有している。前方延出部123Bは、左右両側部に、便座130を回転自在に支持する便座軸支部125(図4参照)を有している。
【0028】
便座130は、便器110の後部に、便器110の開口を開閉自在に設けられている。便座130は、閉じた状態において、便器110の上面に沿った倒伏姿勢で配置され、開いた状態において、便器110の上方に向けてわずかに後方に傾斜した起立姿勢で配置される。便座130は、便座軸支部125を中心として、閉じた状態と開いた状態に回転する。便座130が倒伏姿勢で便器110の上部に載置されることにより、使用者が便器110の上部に着座可能になる。
【0029】
便座130は、着座部131と、一対の便座ヒンジ部132と、を有している。着座部131及び便座ヒンジ部132は、硬質な樹脂材料によって一体に設けられている。着座部131は、便座130が閉じた状態において、便器110の上部の縁に沿って配置される。この状態における着座部131の上側の面は、便座130における着座面130Aである。
【0030】
着座部131は環状に形成されている。着座部131の中央の開口の形状は、前側に先細りする卵形状をなしている。着座部131の後面は、左右方向に延びる平坦な面であり、後方に向かって上り傾斜する。
【0031】
便座ヒンジ部132、132は、着座部131の後部の左右両側部から着座部131の後面の傾斜に沿って延びている。便座ヒンジ部132、132の先端部は、前方延出部123Bの両側部に配置され、便座軸支部125によって回転自在に軸支される。便座130を閉じた状態において、着座部131の後面が固定部122の下り傾斜面に対向する。
【0032】
蓋体140は、蓋体本体部141と、蓋体ヒンジ部145を有している。蓋体本体部141及び蓋体ヒンジ部145は、硬質な樹脂材料によって一体に設けられている。蓋体本体部141は、着座部131の着座面130Aよりも一回り大きい平板状の上板部142と、上板部142の縁部から下方に延びた垂下片部143とを有している。これにより、蓋体本体部141は、蓋体140を閉じた状態において便座130の上に被せられ、便座130の上部が上板部142によって覆われ、便座130の側部が垂下片部143によって覆われる。
【0033】
蓋体ヒンジ部145は、蓋体本体部141における後部の左右両端部に一対設けられており、垂下片部143の後部から内側に左右方向に沿って突出した形態である。蓋体ヒンジ部145は、蓋体軸支部124に対して回転自在に組み付けられる。これにより、蓋体ヒンジ部145は、装置本体121に回転自在に支持される。
【0034】
なお、蓋体140が閉じられた場合、装置本体121の後面が外部に露出し、蓋体140が開かれた場合に、装置本体121の後面が蓋体140の上板部142の下部に対向する。
【0035】
便座装置120は、使用者の局部を洗浄する局部洗浄装置(図示せず)が備えられており、装置本体121の右側に局部洗浄装置(図示せず)を操作する操作部が設けられている。
【0036】
[便座洗浄装置1の構成]
【0037】
図3は、本発明の一実施形態における便座洗浄装置1を概略的に示す説明図である。図4は、本発明の一実施形態における便座洗浄装置1の要部構成を示す正面図である。
【0038】
便座洗浄装置1は、洗浄液供給部10と、エア供給部20と、電源部30と、リモコン50と、を備えている。
【0039】
洗浄液供給部10は、洗浄液排出ホース11と、Y字管12と、洗浄液供給ホース13と、洗浄液導入ホース14と、洗浄液供給ポンプ15と、を備えている。
【0040】
図5は、洗浄液排出ホース11の一部の表面を示す説明図である。洗浄液排出ホース11には、側面に長尺方向に沿って複数の排出孔11Aが形成されている。排出孔11Aは複数(本実施形態によれば3つ)の小さい孔部を密集させたものである。洗浄液排出ホース11の両端部はY字管12の2つの管に接続される。これにより、洗浄液排出ホース11は円環状に形成される。Y字管12のもう1つの管に洗浄液供給ホース13の一端部が接続され、洗浄液供給ホース13の他端部には洗浄液供給ポンプ15が接続される。洗浄液供給ポンプ15に洗浄液導入ホース14の一端部が接続され、洗浄液導入ホース14の他端部が便器110に汚物を排出させる水を貯める貯水タンク内に配置される。すなわち、本実施形態における便座洗浄装置1が使用する洗浄水は水である。
【0041】
洗浄液排出ホース11及びY字管12は、蓋体140の上板部142の裏側に配置される。洗浄液排出ホース11及びY字管12は、蓋体140の上板部142の裏面に対して若干離間させて配置されることが望ましい。これにより、洗浄液排出ホース11及びY字管12と上板部142との間にエアが通りやすくなる。洗浄液排出ホース11は、上板部142の外周部に配置され、蓋体140を閉じた場合に、着座部131の外周部に対向する。これにより、洗浄液排出ホース11に並んで形成された複数の排出孔11Aが着座部131に外周部に対向する。なお、排出孔11Aは、便器110の中央側に向かって斜め下方に向いていることが望ましい。これにより、排出孔11Aから放出された水の圧力が着座部131にかかるようになり、効率よく洗浄することができる。
【0042】
洗浄液供給ポンプ15は、電源部30に接続されている。洗浄液供給ポンプ15に電気を供給して洗浄液供給ポンプ15を駆動させることにより、貯水タンク内の水が洗浄液排出ホース11に供給され、排出孔11Aから外部に放出される。
【0043】
エア供給部20は、複数の小型ファン21を備えている。複数の小型ファン21は、蓋体140の上板部142の裏側に配置される。小型ファン21は、蓋体140を閉じた場合に、着座面130Aと蓋体140との間に配置され、送風口21Aが着座面130Aに沿った方向を向くように、吸気口21Bが着座面130Aに対向するように下方に向けられている。本実施形態によれば、小型ファン21が、洗浄液排出ホース11の内側近傍でかつ上板部142の裏側の左右両側に2つずつ計4つ配設されている。なお、小型ファン21は正逆回転が可能であるものが望ましい。これにより、逆回転することによって送風口21Aから吸気して、吸気口21Bから着座面130Aに向けて送風することも可能になる。
【0044】
小型ファン21は、電源部30に接続されている。小型ファン21としては、広い範囲に送風可能なものが適している。蓋体140を閉じた状態で小型ファン21に電気を供給して駆動させることにより、吸気口21Bに吸い込まれるエアと、送風口21Aから排出されるエアとによって、着座部131と蓋体140との間に気流が発生する。また、送風口21Aから排出されるエアは、拡がりながら排出されるため、着座部131の着座面130A及び蓋体140の裏面のいずれの面にも当たるようになる。
【0045】
電源部30は、洗浄液供給ポンプ15や小型ファン21への電気を供給することができる。また、電源部30は、洗浄液供給ポンプ15や小型ファン21の駆動制御を行う制御基板を備えている。リモコン50は、便座130の着座面130Aの洗浄を開始するスイッチと、洗浄液供給ポンプ15や小型ファン21への電気の供給をオン・オフするスイッチと、を備えている。表示部60は、洗浄液供給ポンプ15及び小型ファン21のいずれかが駆動している場合に、画像や音声等を用いて所定の表示を行う。例えば、洗浄液供給ポンプ15が駆動している場合に「洗浄中」と表示し、小型ファン21が駆動している場合に「乾燥中」と表示するとともに、蓋体140を開けないように使用者に促す表示を行う。なお、表示部60は、閉じた状態の蓋体140の上面のように、視認しやすいところに配置することが望ましい。
【0046】
便座洗浄装置1は、受け板40を更に備えている。受け板40は、図1に示すように、便座130を閉じた状態において、便器110と便座130との間に配置される。
【0047】
図6は、受け板40の外観を示す斜視図である。受け板40は、蹄形状の板材からなる平板部40Aと、平板部40Aの外周端から直角に立設される側板部40Bと、を有する。平板部40Aの表面には、中央の開口に向かって延びる複数の溝40Cが形成されている。
【0048】
平板部40Aを平面視した場合、平板部40Aの板面は、便器110の上部の外周も一廻り大きい。また、平板部40Aにおいて弧状の内周によって囲まれた開口部分が、便座130の開口よりも大きく形成されている。
【0049】
側板部40Bは、平板部40Aの後端部以外の外周に、便座130の厚さよりも低く形成されている。
【0050】
受け板40は、便座130の裏側に取り付けられ、便座130の周囲が側板部40Bによって囲まれる。具体的には、便座130の裏側には便器110の上端面に当接する複数の突起(図示せず)が形成されており、この突起の先端部に平板部40Aが両面粘着テープ等によって固定される。このため、便座130の下面と平板部40Aとの間に小さな隙間が形成される。便座130が閉じられたときに、便器110と便座130との間に平板部40Aが配置される。更に、蓋体140が閉じられたときに、蓋体140の周囲が側板部40Bによって囲まれる。このとき、平板部40Aの開口が便座130の開口よりも大きいため、平板部40Aの開口縁部は便座130の下方に位置付けられる。このため、平板部40Aの開口縁部が便座130の開口領域に位置付けられることはない。
【0051】
なお、受け板40は、便座130の裏側に取り付けずに、便座130の洗浄時のみに便器110と便座130との間に配置し、便座130の洗浄時以外は取り外してもよい。
【0052】
次に、便座洗浄装置1の使用方法について説明する。
【0053】
使用者は、図2に示すように、予め便座130及び蓋体140を閉じてから、リモコン50を操作することにより、便座洗浄装置1を駆動させる。
【0054】
便座洗浄装置1が駆動すると、まず、洗浄液供給部10の洗浄液供給ポンプ15が駆動して貯水タンクの水が洗浄液排出ホース11に供給され、複数の排出孔11Aから水が便座130に向けて噴出される。便座130に向けて噴出された水は着座面130Aの傾斜に沿って中央の開口に移動して便器110に流れ込む。なお、便座130の外周からこぼれ落ちた水は受け板40によって受け止められ、溝40Cを通って便器110内に流れ込む。洗浄液供給部10は所定時間駆動した後に停止する。これにより、便座130が洗浄される。次に、エア供給部20の小型ファン21が自動的に駆動して、小型ファン21による送風が便座130及び蓋体140の裏面に当てられる。この送風により便座130及び蓋体140に残留していた水が吹き飛ばされ、これらの水が便座130の開口或いは受け板40を介して、便器110に移動する。エア供給部20は所定時間駆動した後に停止する。これにより、便座130が乾燥される。そして、使用者は、表示部60の表示に基づいてエア供給部20の停止を確認した後に、蓋体140を開くことによって、洗浄された便座130に着座することが可能になる。
【0055】
このように構成された本実施形態の便座洗浄装置1によれば、既存の洋式便器100に便座洗浄装置1を取り付けることにより、便座130の水洗い及び乾燥することが可能になる。
【0056】
また本実施形態によれば、便器110の上部に便座130を位置付け、蓋体140を便座130の上から被せた状態で洗浄液供給部10を駆動させ、洗浄液排出ホース11に水を供給して排出孔11Aから水を放出させることにより、便座130の洗浄を行うことができる。更に、便座130の洗浄後にエア供給部20を駆動することにより、便座130と蓋体140とにエアが当てられるため、便座130及び蓋体140に付着した水滴を吹き飛ばすことが可能になる。これにより、便座130を水で洗浄できるとともに、蓋体140に残留する水滴を低減することが可能になり、洗浄終了後に便座130に水滴が付着することが防止できる。
【0057】
また本実施形態によれば、小型ファン21の回転によって送風とともに吸気も行われるため、便座130と蓋体140との間に安定した気流を発生させることが可能になる。特に、小型ファン21の回転方向を所定時間毎に変えることにより、便座130の表面及び蓋体140の裏面にまんべんなく送風を当てることが可能になり、便座130や蓋体140に残留する水滴を低減することが可能になる。
【0058】
また本実施形態によれば、受け板40が便座130の裏側に配置されることにより、便座130の外側に吹き飛ばされた水を便器110側に戻すことができる。また、受け板40の平板部40Aには、中央の開口に向かって延びる複数の溝40Cが形成されているため、平板部40A上の水が中央の開口に向かって流れやすくなり、平板部40A上に水がそのまま残留することを低減できる。これにより、便座130の外側に吹き飛ばされた水が外部に飛散することを防止することができる。
【0059】
また本実施形態によれば、洗浄液供給部10及びエア供給部20のいずれかが駆動している場合に、表示部60が所定の表示を行うため、便座130の洗浄中或いは便座130の乾燥中に蓋体140を開けるようなことを低減することができる。
【0060】
なお、本実施形態における便座洗浄装置1が使用する洗浄水は水であるが、洗浄液は水でなくてもよい。例えば、水に除菌成分を加えた洗浄液を貯えた容器を用意し、この容器に洗浄液導入ホース14の他端部を入れることによって、便座130に洗浄液を当ててもよい。
【0061】
[本発明の他の実施形態]
図7は、本発明の他の実施形態における便座洗浄装置2を概略的に示す説明図である。図8は、本発明の他の実施形態における便座洗浄装置2の要部構成を示す正面図である。なお、図7図8に示す他の実施形態において、図1図2に示す実施形態における便座洗浄装置1を構成する部材と同一の部材若しくは同一機能の部材については同一の符号を付すことにより、詳細な説明を省略する。
【0062】
他の実施形態における便座洗浄装置2は、図1図2に示す実施形態における便座洗浄装置1に係るエア供給部20の代わりにエア供給部70を蓋体140に配設したものである。
【0063】
エア供給部70は、エア排出ホース26と、Y字管22と、エア供給ホース23と、エア導入ホース24と、吸気ファン25と、を備えている。
【0064】
エア排出ホース26には、側面に長尺方向に沿って複数の排気孔26Aが形成されている。排気孔26Aは複数(他の実施形態では3つ)の孔部を密集させたものである。エア排出ホース26の両端部はY字管22の2つの管に接続される。これにより、エア排出ホース26は円環状に形成される。Y字管22のもう1つの管にエア導入ホース24の一端部が接続され、エア導入ホース24の他端部には吸気ファン25が接続される。
【0065】
エア排出ホース26及びY字管22は、蓋体140の上板部142の裏側でかつ環状の洗浄液排出ホース11の内側近傍に配置される。この際、エア排出ホース26及びY字管22は、蓋体140の上板部142の裏面に対して若干離間させて配置することが望ましい。エア排出ホース26は、蓋体140を閉じた場合に、着座部131に対向する。
【0066】
図9は、エア排出ホース26の一部の表面を示す説明図である。エア排出ホース26には、長尺方向に沿って排気孔26Aが複数並んで形成されている。排気孔26Aは、正面側と反対側とに交互に形成されている。反対側の排気孔26Aは、蓋体140の上板部142の裏面に対向する。蓋体140を閉じた場合に、正面側の複数の排気孔26Aが着座部131に対向する。
【0067】
吸気ファン25は、電源部30に接続されており、リモコン50の操作によって吸気ファン25を回転駆動させることができる。
【0068】
便座洗浄装置2の使用方法について説明する。便座洗浄装置2も便座洗浄装置1と同様に、蓋体140を閉じた状態で行われる。便座130の洗浄については、便座洗浄装置1と同様であるため、説明を省略する。
【0069】
乾燥時には吸気ファン25に電気を供給して回転駆動させることにより、洋式便器100の外部からエアを取り込み、エア導入ホース24、Y字管22を介してエア排出ホース26にエアを供給する。そして、エア排出ホース26に供給されたエアは、複数の排気孔26Aから噴出される。これにより、着座面130A及び蓋体140の裏面にエアが吹き付けられることによって、着座部131の着座面130A及び蓋体140の裏面にエアが当てられる。
【0070】
このように構成された他の実施形態によれば、着座面130A及び蓋体140の裏面にエアが吹き付けられるため、着座面130A及び蓋体140の裏面に付着した水滴を吹き飛ばすことが可能になる。これにより、着座面130A及び蓋体140の裏面の両方を乾燥することが可能になる。なお、図9に示すエア排出ホース26によれば、隣り合う複数の排気孔26A、26Aが180度回転した位置に配置しているが、それに限らず、90度回転した位置に配置して、所謂、らせん状に配置してもよい。これにより、蓋体140を閉じた状態で小型ファン21に電気を供給して駆動させることにより、着座面130A及び蓋体140の裏面に確実に送風を当てることが可能になる。
【0071】
特に、エア排出ホース26が洗浄液排出ホース11の内側に配置されるため、洗浄液排出ホース11付近に付着した水滴は外側に吹き飛ばされ、垂下片部143及び受け板40を介して便器110に移動させることが可能になる。
【0072】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施形態は上述した便座洗浄装置1に限るものではない。例えば、上述した実施形態によれば、表示部60によって使用者に洗浄中又は乾燥中であるか否かを報知できるが、洗浄中及び乾燥中において蓋体140を開くことができなくなるロック機構を設けてもよい。これにより、洗浄中及び乾燥中において蓋体140が開けられて、洗浄水が外部に飛散することを確実に防止することが可能になる。
【0073】
また、上述した実施形態によれば、リモコン50の操作によって便座洗浄装置1を駆動することができるが、それに限らず、所定の条件が満たされた場合に、自動的に洗浄、乾燥を行うように洗浄液供給部10及びエア供給部20、70を制御してもよい。例えば、蓋体140が閉鎖され、かつトイレの順番待ちをしている人がいない場合に、自動洗浄を開始してもよい。
【0074】
また、便座装置120が、便座130を温める加温機能を有する場合には、便座130の洗浄後に加温機能を所定時間駆動させて、便座130の乾燥を促進してもよい。また、便座130の洗浄に用いる水を温水にしてから便座130に放出させてもよい。また、エア供給部20、70に温風を生成する機能をもたせてもよい。これにより、便座130及び蓋体140の乾燥が更に促進される。
【符号の説明】
【0075】
1、2 便座洗浄装置
10 洗浄液供給部
11 洗浄液排出ホース
11A 排出孔
20 エア供給部
21 小型ファン
26A 排気孔
30 電源部
40 受け板
50 リモコン
60 表示部
70 エア供給部
100 洋式便器
110 便器
120 便座装置
130 便座
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9