(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112412
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】光学基板、固体撮像素子パッケージ及び光学基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20240814BHJP
G02B 5/02 20060101ALI20240814BHJP
H01L 23/02 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
H01L27/146 D
G02B5/02 C
H01L23/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017387
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100131705
【弁理士】
【氏名又は名称】新山 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】沓水 真琴
(72)【発明者】
【氏名】木下 大希
【テーマコード(参考)】
2H042
4M118
【Fターム(参考)】
2H042BA04
2H042BA11
2H042BA15
2H042BA16
4M118AA05
4M118AB01
4M118BA14
4M118CA01
4M118FA06
4M118GB01
4M118GB13
4M118HA02
4M118HA07
4M118HA11
4M118HA25
4M118HA30
(57)【要約】
【課題】固体撮像素子パッケージの撮影画像のノイズを少なくできる光学基板を提供すること。
【解決手段】本発明の41一態様に係る光学基板40は、透明基板41と、透光性材料から形成され、前記透明基板41の一方の主面に積層され、光路開口421を有し、かつ前記透明基板41と反対側の面に光を散乱する凹凸を有する光拡散膜42と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板と、
透光性材料から形成され、前記透明基板の一方の主面に積層され、光路開口を有し、かつ前記透明基板と反対側の面に光を散乱する凹凸を有する光拡散膜と、
を備える、光学基板。
【請求項2】
前記光拡散膜の前記透明基板と反対側の面の算術平均粗さRaが、50nm以上3000nm以下である、請求項1に記載の光学基板。
【請求項3】
前記光拡散膜の前記透明基板と反対側の面のスキューネスSskが、負の値である、請求項1又は2に記載の光学基板。
【請求項4】
前記光拡散膜の前記透明基板と反対側に配設され、前記光路開口よりも大きい内径を有するフレームをさらに備える、請求項1又は2に記載の光学基板。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の光学基板と、
前記透明基板及び前記光路開口を通して入射する光の像を撮影する固体撮像素子と、
を備える、固体撮像素子パッケージ。
【請求項6】
透明基板の一方の主面に、半硬化状態の透光性材料の膜を形成する工程と、
前記透光性材料の膜の前記透明基板と反対側の面に凹凸を有する型を押圧する工程と、
前記透光性材料を硬化させる工程と、
を備える、光学基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学基板、固体撮像素子パッケージ及び光学基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固体撮像素子に直接又は固体撮像素子を実装した基板に少なくとも固体撮像素子の機能部(センサ領域)を取り囲む枠状のフレームを接着し、フレームの開口をガラス等の透明基板(光学基板)で覆った固体撮像素子パッケージが広く利用されている。このような固体撮像素子パッケージにおいて、透明基板の固体撮像素子の機能部に正対しない周辺領域に遮光材を設けることによって、固体撮像素子パッケージの内部で反射して機能部に意図しない光が入射することを抑制することが知られている(例えば特許文献1参照)。このような遮光材を設けることで、フレア、ゴーストといった撮影画像のノイズを低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
固体撮像素子パッケージの小型化及び高精細化に対する要求は日々高まっており、遮光材にも高い精度が求められる。このため、例えば印刷、フォトリソグラフィー等の技術を用いて、予め透明基板に黒色の樹脂パターンを形成することが考えられる。しかしながら、黒色の樹脂をガラス板に積層する場合、透明基板の光路となる領域に黒色樹脂に含まれる顔料等が付着して却って画像品質と低下させるリスクがある。このため、本発明は、固体撮像素子パッケージの撮影画像のノイズを少なくできる光学基板及びその製造方法、並びに撮影画像のノイズが少ない固体撮像素子パッケージを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る光学基板は、透明基板と、透光性材料から形成され、前記透明基板の一方の主面に積層され、光路開口を有し、かつ前記透明基板と反対側の面に光を散乱する凹凸を有する光拡散膜と、を備る。
【0006】
上述の光学基板において、前記光拡散膜の前記透明基板と反対側の面の算術平均粗さRaが、50nm以上3000nm以下であってもよい。
【0007】
上述の光学基板において、前記光拡散膜の前記透明基板と反対側の面のスキューネスSskが、負の値であってもよい。
【0008】
上述の光学基板は、前記光拡散膜の前記透明基板と反対側に配設され、前記光路開口よりも大きい内径を有するフレームをさらに備えてもよい。
【0009】
本発明の一態様に係る固体撮像素子パッケージは、上述の光学基板と、前記透明基板及び前記光路開口を通して入射する光の像を撮影する固体撮像素子と、を備える。
【0010】
本発明の一態様に係る光学基板の製造方法は、透明基板の一方の主面に、半硬化状態の透光性材料の膜を形成する工程と、前記透光性材料の膜の前記透明基板と反対側の面に凹凸を有する型を押圧する工程と、前記透光性材料を硬化させる工程と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、固体撮像素子パッケージの撮影画像のノイズを少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る固体撮像素子パッケージの断面図である。
【
図2】本発明の第2実施形態に係る固体撮像素子パッケージの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明をする。なお、後から説明する実施形態において、先に説明した実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付して重複する説明を省略することがある。また、図面は特徴が分かりやすいよう、比率の変更、細部の省略等がなされている。
【0014】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る固体撮像素子パッケージ1の断面図である。固体撮像素子パッケージ1は、実装基板10と、実装基板10に実装される固体撮像素子20と、実装基板10に接着され、固体撮像素子20を囲むフレーム30と、フレーム30に接着され、固体撮像素子20を覆う光学基板40と、を備える。
【0015】
実装基板10は、固体撮像素子20及びフレーム30を支持する構造部材である。このため、実装基板10は、十分な剛性を有する材料から形成される。実装基板10は、単なる支持体であってもよいが、固体撮像素子20に電力を供給し、固体撮像素子20から信号を取り出す回路が形成された回路基板であることが好ましい。本実施形態において、実装基板10は、固体撮像素子20と電気的に接続するための電極101を含む回路を有する。
【0016】
実装基板10としては、例えばポリイミド、ポリエステル、セラミック、エポキシ、ビスマレイミドトリアジン、フェノール樹脂等の有機物や、紙やガラス繊維不織布などに前記の有機物を含侵させて加熱硬化させた構造物、アルミナ、窒化アルミニウム、酸化ベリリウム、窒化ケイ素などのセラミック、金属基板などが挙げられる。この中で好ましいものとしてはガラスエポキシ基板、セラミック基板が挙げられる。これら絶縁基板の表面又は内部に、金属配線パターンや金属バンプを有する回路を形成することができる。
【0017】
固体撮像素子20は、実装基板10の光学基板40に対向する側に実装される。固体撮像素子20は、光学基板40に対向する面に形成され、撮像を行う機能部21と、電気的接続を行うための接続部22と、を有する。固体撮像素子20は、機能部21の撮像面が実装基板10の主面と平行になるよう、つまり光軸が実装基板10の法線方向と平行になるよう実装される。固体撮像素子20としては、例えばCMOSイメージセンサ等の2次元撮像素子が用いられ得る。機能部21としては、例えばCMOSイメージセンサ等の2次元撮像素子構造が形成され得る。接続部22は、固体撮像素子20を実装基板10等に電気的に接続するための電極221等が配設される領域である。接続部22は、本実施形態のように、機能部21の外側に設けられ得る。また、接続部22は、機能部21と反対側の面、つまり実装基板10に対向する面に設けられてもよい。本実施形態において、固体撮像素子20の電極221と実装基板10の電極101は、ワイヤ222によって電気的に接続されている。
【0018】
フレーム30は、実装基板10及び光学基板40と共に固体撮像素子20を封入する密閉空間を形成する。また、フレーム30は、固体撮像素子20の機能部21に側方から光が入射することを防止できるよう、着色剤、光散乱材等を含有する樹脂組成物から形成されることが好ましい。また、フレーム30は、入射した光を拡散させることにより、固体撮像素子20の機能部21に側方から入射する光の光量を抑制できるよう、光拡散構造を有してもよい。光拡散構造としては、表面の凹凸構造、内部に光拡散材を含有する構造等が挙げられる。
【0019】
フレーム30は、耐熱性を有する熱硬化性樹脂から形成されることが好ましい。好ましい熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂(付加型シリコーン樹脂、縮合型シリコーン樹脂、シロキサン結合含有硬化性樹脂)、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、アクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。フレーム30は、接着剤により実装基板10に接着されてもよく、実装基板10上に成形されてもよい。また、フレーム30は、例えばセラミック材料等により、実装基板10と一体に形成されもよい。
【0020】
光学基板40は、実装基板10に光が入射することを可能にする。光学基板40は、それ自体が本発明に係る光学基板の一実施形態である。光学基板40は、透明基板41と、透明基板41の主面に積層される光拡散膜42と、を備える。光学基板40は、フレーム30に接着剤により接着されてもよく、フレーム30上に直接成形されてもよい。また、光学基板40の光拡散膜42とフレーム30とを一体に成形してもよい。
【0021】
透明基板41は、透明な板材である。透明基板41は、ガラスやサファイヤなどの透明セラミック、アクリル樹脂やポリカーボネート等の透明プラスチックから形成され得、信頼性の観点から透明セラミックから形成されることが好ましく、汎用性の観点からガラスから形成されることがより好ましい。透明基板41を形成するガラスの種類は特に限定されないが、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。
【0022】
光拡散膜42は、透光性材料から形成される。光拡散膜42は、固体撮像素子20の機能部21に被写体からの光を入射させる光路を画定する光路開口421を有する。つまり、固体撮像素子20は、透明基板41及び光路開口421を通して入射する光の像を撮影する。また、光拡散膜42は、透明基板41と反対側の面である光拡散面422に光を散乱させる凹凸構造が形成される。光拡散膜42は、透明基板41の一方の主面に形成されればよいが、外側から固体撮像素子パッケージ1の内部空間に入射しようとする光だけでなく、固体撮像素子パッケージ1の内部で反射した光が光学基板40で再反射して固体撮像素子20の機能部21に入射することを抑制するために、透明基板41の固体撮像素子20に対向する面に形成されることが好ましい。もちろん、光拡散膜42を透明基板41の固体撮像素子20と反対側の面に形成してもよい。この場合、光学基板40は、フレーム30に接着剤により透明基板41を接着することで接合され得る。
【0023】
光拡散膜42の外径がフレーム30の内径よりも小さいと光拡散膜42の外側に固体撮像素子20の機能部21に至る光の経路が形成されてしまうため、光拡散膜42は、フレーム30の上に重なるよう形成されることが好ましい。光拡散膜42は、例えば印刷等の任意の方法により形成され得る。光拡散膜42を形成する透光性材料は、顔料、光拡散材等を含有しない透明な樹脂組成物である。光拡散膜42を形成する透光性材料としては、感光性樹脂組成物が特に好適に用いられる。感光性樹脂組成物を用いることで、フォトリソグラフィー技術により、均一な厚みで正確な平面形状を有する光拡散膜42を形成できる。光拡散膜42を形成する透光性材料の主成分としては、例えばシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスチレン等が挙げられる。
【0024】
光路開口421は、固体撮像素子20の機能部21に光を入射させる必要最小限の開口とされることが好ましい。このため、光拡散膜42は、フレーム30の上部から内側に延出するよう形成され得る。逆にいうと、フレーム30は、光路開口421よりも大きい内径を有することが好ましい。
【0025】
光拡散面422は、光を拡散することにより、固体撮像素子20の機能部21に入射する意図しない光の強度を低減し、S/N比を大きくすることで、認知可能なフレアやゴーストを抑制する。光拡散膜42は、凹凸構造を有する光拡散面422によって光を拡散する構成とすることで、光拡散材(白色顔料)により光を拡散する構成とするよりも、白色顔料の付着による撮影画像のノイズを低減でき、また、比較容易かつ高精度に光拡散膜42を形成できる。
【0026】
光拡散面422は、例えば光拡散膜42を半硬化状態(Bステージ)とした状態で、表面に凹凸を形成した金型を押し当てるエンボス加工によって形成することができる。また、光拡散面422を形成した半硬化状態の光拡散膜42にフレーム30を密着させた状態で光拡散膜42を硬化すれば、接着剤を用いることなくフレーム30に光学基板40を接着できる。
【0027】
また、光拡散面422の凹凸構造は、直鎖状構造と直鎖状以外の構造とを有し、重合性基を有する硬化性化合物と、光重合開始剤とを含有し、アルカリ可溶性を有する感光性樹脂組成物によって光拡散膜42を形成することでも形成できる。直鎖状構造と直鎖状以外の構造とを有する硬化性化合物は、フォトリソグラフィーの現像工程に至るまでに相分離構造を発現し得る。これにより、光拡散膜42に相分離構造由来の凹凸を形成することができる。直鎖状以外の構造としては、分岐鎖状構造、網目状構造、環状構造等が挙げられるが、以下に説明するような凹凸を形成するためには、環状構造であることが好ましい。具体例として、硬化性化合物は、直鎖状構造を有するポリシロキサンを含むことが好ましく、グリシジル基及び脂環式エポキシ基の少なくともいずれかのカチオン重合性基を有する化合物並びにラジカル重合性基を有する化合物を含有することがより好ましい。光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。
【0028】
光拡散面422のスキューネスSsk(ISO-25178)は、負の値であることが好ましい。これにより、効率的に正反射を低減し、フレアやゴーストを効果的に抑制できる。スキューネス(Ssk)は、凹凸表面の平均面を基準とした高さ分布の対称性を示す。スキューネスSskが0である場合は、高さ分布が上下に対称(山と谷が同程度、平均面に対して対称)となる。一方、スキューネスSskが負の値である場合は、細かい谷が多い表面となり(平均面に対して上側に偏っている)、スキューネスSskが正の値である場合は、細かい山が多い表面となる(平均面に対して下側に偏っている)。このため、光拡散面422をスキューネスSskが負の値である谷が多い構造とすることによって、光拡散面422に入射してきた光が、谷部で反射を繰り返し、反射の度に減衰するだけでなく、多方向に分散するよう反射して正反射を低減させることができるので、ゴーストやフレアを抑制することができる。
【0029】
光拡散面422のスキューネスSskの下限としては、-0.80が好ましく、-0.70がより好ましい、一方、光拡散面422のスキューネスSskの上限としては、-0.10が好ましく、-0.20がより好ましい。スキューネスSskを前記下限以上とすることにより、凹凸を微細化することが容易となるため、より効率的にフレアやゴーストを抑制できる。また、スキューネスSskを前記上限以下とすることにより、正反射を効果的に抑制できるので、確実にフレアやゴーストを抑制できる。
【0030】
光拡散面422の算術平均粗さRa(JIS-B0601)の下限としては、50nmが好ましく、100nmがより好ましく、200nmがさらに好ましい。一方、光拡散面422の算術平均粗さRaの上限としては、3000nmが好ましく、2800nmがより好ましく、2600nmがさらに好ましく、2000nmがさらにより好ましく、1000nmが特に好ましい。光拡散面422の算術平均粗さRaを前記下限以上とすることにより、正反射をより効果的に抑制できるので、より効率的にフレアやゴーストを抑制できる。また、光拡散面422の算術平均粗さRaを前記上限以下とすることにより、製造が比較的容易となるので製造コストを抑制できる。
【0031】
光拡散面422の粗さ曲線要素の平均長さRSm(JIS-B0601)の下限としては、100nmが好ましく、200nmがより好ましく、300nmがさらに好ましい。一方、光拡散面422の粗さ曲線要素の平均長さRSmの上限としては、20000nmが好ましく、10000nmがより好ましく、8000nmがさらに好ましい。光拡散面422の粗さ曲線要素の平均長さRSmを前記下限以上とすることにより、製造が比較的容易となるので製造コストを抑制できる。また、光拡散面422の粗さ曲線要素の平均長さRSmを前記上限以下とすることにより、正反射をより効果的に抑制できるので、より効率的にフレアやゴーストを抑制できる。
【0032】
本実施形態の光学基板40は、本発明に係る光学基板製造方法によって製造することができる。本発明に係る光学基板製造方法の一実施形態は、透明基板41の一方の主面に、半硬化状態の透光性材料の膜(光拡散膜42)を形成する工程と、透光性材料の膜の透明基板41と反対側の面(光拡散面422)に凹凸を有する型を押圧する工程と、透光性材料を完全に硬化させる工程と、を備える。
【0033】
以上の構成を備える固体撮像素子パッケージ1は、比較的低コストで形成される光拡散面422によりフレアやゴーストを抑制できる光拡散膜42を有する光学基板40を備えるため、ノイズが少ない高品質な画像を撮影できる。
【0034】
[第2実施形態]
図2は、本発明の第2実施形態に係る固体撮像素子パッケージ1Aの断面図である。固体撮像素子パッケージ1Aは、実装基板10と、実装基板10に実装される固体撮像素子20Aと、固体撮像素子20Aに接着されるフレーム30Aと、フレーム30Aに接着され、固体撮像素子20を覆う光学基板40と、実装基板10上のフレーム30A及び光学基板40の外側を封止する封止材50と、を備える。
【0035】
固体撮像素子20Aは、撮像を行う機能部21と、電気的接続を行うための接続部22と、機能部21と接続部22の間にフレーム30Aが接着されるマージン部23と、を有する。
【0036】
フレーム30Aは、固体撮像素子20Aのマージン部23に接着されることを除いて、
図1のフレーム30と同様である。
【0037】
封止材50は、実装基板10上の固体撮像素子20A、フレーム30及び光学基板40の外側を封止することにより、フレーム30及び光学基板40が外部の物体により固体撮像素子20Aから引き剥がされることを防止する。また、封止材50は、ワイヤ222を保護し、実装基板10と固体撮像素子20Aとの電気的接続を担保する。
【0038】
封止材50としては、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂が好ましく、強靭性や耐熱性の観点からエポキシ樹脂が特に好ましい。また、封止材50は、機能部21に意図しない光が入射することを防止できるよう、黒色顔料又は光拡散材を含有する樹脂組成物から形成されることが好ましい。また、封止材50は、形成を容易にするために、硬化前においてチクソ性を有するようシリカ等の充填剤を含有してもよい。
【0039】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、種々の変更及び変形が可能である。例として、本発明に係る固体撮像素子パッケージは、全体及び光学基板の平面寸法が固体撮像素子と略等しいいわゆるChip Size Packageであってもよい。
【実施例0040】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0041】
図1の構造を有する固体撮像素子パッケージの試作品を試作し、その性能を評価した。具体的には、光拡散膜を形成する感光性樹脂組成物を調製し、ガラス基板上にフォトリソグラフィーにより半硬化状態の光拡散膜を形成した。この半硬化状態の光拡散膜に、表面に形状が異なる凹凸を有する各種の型を押し当てるエンボス加工によって、形状が異なる凹凸を有する光拡散面を備える多種の光学基板を作成した。これらの光学基板を固体撮像素子が実装された実装基板に予め接着されたフレームに対して接着することにより、固体撮像素子パッケージの試作品1~11を試作した。なお、試作品11は、エンボス加工を行っていない。
【0042】
感光性樹脂組成物の調製は、先ず、ジアリルイソシアヌレート40gとジアリルモノメチルイソシアヌレート29gと1,4-ジオキサン264gとの混合物に、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(ユミコアプレシャスメタルズ・ジャパン社製「Pt-VTSC-3X」、白金を3質量%含有する溶液)143μLを加えて溶液S1を得た。また、別途、1,3,5,7-テトラハイドロジェン-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン88gをトルエン176gに溶解させて溶液S2を得た。
【0043】
そして、酸素を3体積%含有する窒素雰囲気下、溶液S2を温度105℃に加熱した状態で、溶液S2に溶液S1を3時間かけて滴下し、滴下終了後、温度105℃に保持しつつ30分間攪拌して、溶液S3を得た。また、別途、1-ビニル-3,4-エポキシシクロヘキサン62gをトルエン62gに溶解させて溶液S4を得た。そして、酸素を3体積%含有する窒素雰囲気下、溶液S3を温度105℃に加熱した状態で、溶液S3に溶液S4を1時間かけて滴下し、滴下終了後、温度105℃に保持しつつ30分間攪拌して、溶液S5を得た。
【0044】
溶液S5を冷却した後、溶液S5から溶媒(トルエン、キシレン及び1,4-ジオキサン)を減圧留去し、固形分を得た。次いで、得られた固形分100質量部に、プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセタート49質量部と、エポキシモノマー(3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート:ダイセル社製「セロキサイド2021P」15質量部と、スルホニウム塩系光カチオン重合開始剤(サンアプロ社製「CPI-210S」)1質量部と、を加えて、光拡散膜を形成する感光性樹脂組成物を得た。
【0045】
ガラス基板上に形成した光拡散膜の光拡散面の算術平均粗さRa(評価長さ:20μm)及びスキューネスSskは、オリンパス社製の3D測定レーザー顕微鏡「LEXT-OLS5100」を用いて測定した。なお、スキューネスSskは、測定箇所(20μm×20μmの正方形領域)を無作為に10箇所選択し、選択した測定箇所のスキューネスSskの測定値の平均値とした(表1参照)。
【0046】
また、固体撮像素子パッケージの性能は、壺坂電機社製のゴーストフレア評価システム「GCS-2T」を用いて、所定の閾値(光源の明るさに対して1億分の1)を超えた異常画素数を求めた後、異常画素数を全画素数で除した値(異常画素数/全画素数)のエンボス加工を行っていない試作品11に対する百分率として算出した(表1参照)。
【0047】
【0048】
以上のように、凹凸により光を拡散する光拡散面を形成した光拡散膜を有する光学基板を使用することによってゴースト指数を小さくでき、算術平均粗さRaを50nm以上3000nm以下とすることや、スキューネスSskを負の値とすることにより、ゴースト指数をさらに小さくできることが確認できた。