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  • 特開-結束具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011242
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】結束具
(51)【国際特許分類】
   B65B 67/00 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
B65B67/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113090
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】591172733
【氏名又は名称】株式会社コジット
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(72)【発明者】
【氏名】芳田 準治
【テーマコード(参考)】
3E057
【Fターム(参考)】
3E057AB01
3E057AD07
(57)【要約】
【課題】ダンボール等のシート状物品の保管及び運搬を容易にし、且つ安全性を高めた結束具を提供する。
【解決手段】シート状物品Sを束ねる結束具1であって、先端側2aに形成された穿孔部21によってシート状物品Sを突き通す棒状部材2と、棒状部材2の基端側2bに設けられる把持部3と、棒状部材2を保護するキャップ4と、を備え、穿孔部21にキャップ4を装着したときに形成される係合構造を有する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状物品を束ねる結束具であって、
先端側に形成された穿孔部によって前記シート状物品を突き通す棒状部材と、
前記棒状部材の基端側に設けられる把持部と、
前記棒状部材を保護するキャップと、
を備え、
前記穿孔部に前記キャップを装着したときに形成される係合構造を有する結束具。
【請求項2】
前記係合構造は、前記棒状部材に形成される凹部と、前記キャップの内側に形成される弾性曲げ可能な凸部とを備え、
前記穿孔部に前記キャップを装着すると、前記凹部に前記凸部が弾性的に嵌合して仮止め状態となる請求項1に記載の結束具。
【請求項3】
前記キャップは、外側を移動可能なスライダをさらに備え、
前記係合構造は、前記仮止め状態において、前記スライダを前記凸部の上に移動させることにより、前記凸部と前記凹部との嵌合状態が維持されて固定状態となり、
前記スライダの操作で前記仮止め状態と前記固定状態とを切り替え可能に構成されている請求項2に記載の結束具。
【請求項4】
前記把持部と前記キャップとを繋ぐ連結部をさらに備え、
前記連結部は、前記棒状部材が前記シート状物品を突き通し、前記穿孔部に前記キャップを装着している状態において、持ち手となるようにアーチ状に構成されている請求項1~3の何れか一項に記載の結束具。
【請求項5】
前記棒状部材は、前記穿孔部において、長手方向に対して垂直な貫通穴と、前記貫通穴の周囲の一部を切り欠いてなる切れ目とを備え、
前記切れ目は、前記把持部を握った姿勢において、上側に開放するように構成されている請求項1~3の何れか一項に記載の結束具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状物品を束ねる結束具に関する。
【背景技術】
【0002】
不要になったダンボールは、ある程度の量になるまで保管され、その後まとめてごみ集積所等に搬送されることが多い。保管時や持ち運ぶ際には、ばらつくのを防ぐため、一般に紐などにより結束されるが、サイズが小さなものは移動時に抜け落ちることもある。
【0003】
そこで、ダンボールの取り扱いを容易にするための道具が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に記載されるダンボール箱縛り紐通し具は、ダンボールを積み重ねて紐で縛るための道具である。このダンボール箱縛り紐通し具は、棒状の通し具本体と、通し具本体の基端部に着脱可能に取り付け可能なグリップとを有している。通し具本体には、先端側に向かって膨出部及び突通し用尖端部がこの記載順に形成されている。膨出部には、縛り紐を挿通するための紐挿通孔が形成されている。このダンボール箱縛り紐通し具は、多数のダンボールに穴をあけて紐を通すことで、ダンボールを纏めて縛りやすくするものである。
【0004】
上記のような構成のダンボール箱縛り紐通し具においては、膨出部の紐挿通孔に縛り紐を挿通した状態で、突通し用尖端部をダンボールに突き刺して、ダンボールの裏側に膨出部を貫通させる。同様にして複数のダンボールのほぼ同一の部位に突通し用尖端部から膨出部を通した状態で、通し具本体からグリップを取り外すとともに、紐挿通孔から縛り紐を抜いて、通し具本体を縛り紐から外せば、複数枚のダンボールに縛り紐が通された状態となり、ダンボールがばらつくことなく、任意の方法で縛り紐によりダンボールを括り、ダンボールの縛り付けを行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-129450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1のダンボール箱縛り紐通し具は、紐を通す前の状態ではダンボールがばらついたままであり、運搬時だけでなく保管中であっても重なったダンボールが崩れるおそれがある。また、ダンボール箱縛り紐通し具の先端が剥き出しのため、触れてけがをするおそれもある。また、一度紐で結束した後にダンボールを追加する場合には、結んだ紐を解き、結びなおす必要があり、効率的とは言い難い。さらに、ダンボールの結束後は紐で持ち手を形成しているため、持ちづらく、運搬時に解けてしまうおそれがある。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ダンボール等のシート状物品の保管及び運搬を容易にし、且つ安全性を高めた結束具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明に係る結束具の特徴構成は、
シート状物品を束ねる結束具であって、
先端側に形成された穿孔部によって前記シート状物品を突き通す棒状部材と、
前記棒状部材の基端側に設けられる把持部と、
前記棒状部材を保護するキャップと、
を備え、
前記穿孔部に前記キャップを装着したときに形成される係合構造を有することにある。
【0009】
本構成の結束具によれば、棒状部材の基端側に設けられる把持部を持って棒状部材の先端側の穿孔部をシート状物品に突き通すだけで、シート状物品が棒状部材によって結束され、この状態でシート状物品を保管及び運搬することができる。ここで、棒状部材はシート状物品を貫通できるように鋭利な形状を有するが、棒状部材にキャップを装着すると、先端側の穿孔部がキャップに係合して係合構造が形成されることで棒状部材がキャップによって保護され、安全に保管及び運搬することができる。さらに、シート状物品を追加したい場合には、穿孔部からキャップを外し、穿孔部に追加のシート状物品を貫通させるだけで、容易にシート状物品の枚数を増やすことができる。シート状物品の追加は、シート状物品の厚みの合計が棒状部材の長さに達するまで可能なため、多量のシート状物品を保管及び運搬することができる。
【0010】
本発明に係る結束具において、
前記係合構造は、前記棒状部材に形成される凹部と、前記キャップの内側に形成される弾性曲げ可能な凸部とを備え、
前記穿孔部に前記キャップを装着すると、前記凹部に前記凸部が弾性的に嵌合して仮止め状態となることが好ましい。
【0011】
本構成の結束具によれば、穿孔部にキャップを装着すると棒状部材に形成される凹部にキャップ内側に形成される凸部が弾性的に嵌合して仮止め状態となるため、穿孔部からキャップが直ちに外れることを防ぐことができる。
【0012】
本発明に係る結束具において、
前記キャップは、外側を移動可能なスライダをさらに備え、
前記係合構造は、前記仮止め状態において、前記スライダを前記凸部の上に移動させることにより、前記凸部と前記凹部との嵌合状態が維持されて固定状態となり、
前記スライダの操作で前記仮止め状態と前記固定状態とを切り替え可能に構成されていることが好ましい。
【0013】
本構成の結束具によれば、キャップの外側に沿ってスライダを移動させると、キャップがスライダによって周囲から拘束されることで仮止め状態から固定状態となり、この固定状態では凸部と凹部との嵌合状態が維持されているので、外部からの引っ張る力に対する抵抗力が仮止め状態より高まり、穿孔部からキャップが外れることを防ぐことができる。また、仮止め状態と固定状態とはスライダの操作で容易に切り替え可能なため、状況に応じて、仮止め状態と固定状態とを選択することができる。
【0014】
本発明に係る結束具において、
前記把持部と前記キャップとを繋ぐ連結部をさらに備え、
前記連結部は、前記棒状部材が前記シート状物品を突き通し、前記穿孔部に前記キャップを装着している状態において、持ち手となるようにアーチ状に構成されていることが好ましい。
【0015】
本構成の結束具によれば、棒状部材がシート状物品を突き通し、穿孔部にキャップを装着している状態において、連結部が持ち手となるようにアーチ状に構成されていることにより、シート状物品を容易に持ち運ぶことができる。
【0016】
本発明に係る結束具において、
前記棒状部材は、前記穿孔部において、長手方向に対して垂直な貫通穴と、前記貫通穴の周囲の一部を切り欠いてなる切れ目とを備え、
前記切れ目は、前記把持部を握った姿勢において、上側に開放するように構成されていることが好ましい。
【0017】
本構成の結束具によれば、棒状部材をシート状物品に突き通した状態で、穿孔部の切れ目から紐を貫通穴に通し、棒状部材を引き抜くことでシート状物品に紐を容易に通すことができる。また、把持部を握った姿勢において、切れ目が上側に開放しているため、紐を貫通穴に通した際に切れ目から紐が抜け落ちることがなく、棒状部材を引き抜くことでシート状物品に確実に紐を通すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る結束具の全体斜視図であり、(a)は上方から見た全体斜視図、(b)は下方から見た全体斜視図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る結束具の正面図であり、(a)はキャップ装着前の状態、(b)は仮止め状態、(c)は固定状態をそれぞれ示す。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る結束具の一部を拡大した部分断面図であり、(a)は仮止め状態、(b)は固定状態をそれぞれ示す。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る結束具を把持した姿勢における要部側面図であり、(a)はシート状物品に棒状部材を突き通した状態、(b)はシート状物品に紐を通した状態をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の結束具に関する実施形態を図1図4を参照しながら説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されることを意図しない。
【0020】
〔全体構成〕
図1は、本発明の一実施形態に係る結束具の全体斜視図であり、(a)は上方から見た全体斜視図、(b)は下方から見た全体斜視図である。結束具1は、シート状物品Sを束ねるために使用されるものである。シート状物品Sとしては、例えば、ダンボール、厚紙、樹脂シート、木板、布帛等が挙げられる。本発明の結束具1は、特に、ダンボールを束ねる用途において好適に利用することができる。結束具1は、図1(a)及び(b)に示すように、棒状部材2と、把持部3と、キャップ4とを備えている。さらに、結束具1は、任意の構成として、連結部5を備えている。以下、結束具1が備える各構成について、詳しく説明する。
【0021】
<棒状部材>
棒状部材2は、図1(a)及び(b)に示すように、先端側(先端部)2aと、本体2cと、基端側(基端部)2bとを有しており、先端部2aに形成された鋭利な形状の穿孔部21によってシート状物品Sを突き通すことができる。本実施形態では、穿孔部21は円錐形に形成されているが、角錐形に形成されてもよい。棒状部材2は、本体2cの断面が円形であり、細長い形状(本実施形態では、直径約5mm、全長約150mm)に形成されている。ただし、棒状部材2の形状は特に限定されず、結束するシート状物品Sの種類や枚数等に応じて適宜設定すればよい。棒状部材2は、シート状物品Sを突き通す際の抵抗に耐え得るように、ステンレス、鉄、アルミニウム合金、チタン等の金属で構成される。棒状部材2は、シート状物品Sを一枚ずつ突き通すことができるが、複数枚まとめて突き通すことも可能である。従って、棒状部材2は、複数枚のシート状物品Sを一度に保持できるように、50~300mm、好ましくは100~200mmに構成される。棒状部材2にシート状物品Sを複数枚結束する場合、シート状物品Sの厚みの合計が棒状部材2の本体2cの長さに達するまで、シート状物品Sを追加することができる。棒状部材2において、先端部2aと基端部2bとの距離を大きく設定すれば、多量のシート状物品Sを保管及び運搬することができる。
【0022】
棒状部材2の先端部2aと本体2cとの境界には、図1(b)に示すように、凹部22が形成されている。凹部22は、棒状部材2の外周面に円環状に形成された後述するキャップ4の凸部42と係合可能な溝であり、凹部22と凸部42とは協同して後述する係合構造を構成する。
【0023】
棒状部材2は、図1(b)に示すように、穿孔部21において、長手方向に対して垂直な貫通穴23と、貫通穴23の周囲の一部を切り欠いてなる切れ目24とを備える。貫通穴23は、棒状部材2の凹部22より先端側に位置し、側面視で楕円形状に形成されている。そして、その楕円形状の貫通穴23の周囲の一部が切り欠かれて切れ目24が形成されている。貫通穴23には、後述するように、切れ目24からシート状物品Sを縛るための紐Hが通される。
【0024】
<把持部>
把持部3は、棒状部材2の基端部2bに設けられる。把持部3は、使用者が握ったときに手のひらに収まる大きさに形成されている。また、把持部3は、一定の握りやすさを有するように前後方向に所定の厚みを有した丸みのある形状に形成されている。把持部3の形状は、使用者が把持しやすい形状を適宜選択可能であり、表面に指の形状に沿った凹凸が設けられていてもよい。把持部3は、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂等の熱可塑性樹脂で構成される。
【0025】
<キャップ>
図2は、本発明の一実施形態に係る結束具の正面図であり、(a)はキャップ装着前の状態、(b)は仮止め状態、(c)は固定状態をそれぞれ示す。キャップ4は、図2(a)に示すように、略円筒形状を有しており、一端側が後述する連結部5に接合されている。キャップ4は、棒状部材2を保護するものであり、棒状部材2の穿孔部21に装着される。キャップ4は、図2(b)及び(c)に示すように、外側を移動可能なスライダ6をさらに備える。スライダ6の操作で、図2(b)に示す仮止め状態と、図2(c)に示す固定状態とを切り替え可能に構成されている。スライダ6は、図2(c)に示すように、キャップ4に備えられるストッパ41によってそれ以上の移動が止められ、固定状態が維持される。
【0026】
図3は、本発明の一実施形態に係る結束具の一部を拡大した部分断面図であり、(a)は仮止め状態、(b)は固定状態をそれぞれ示す。キャップ4は、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂等の一定の弾性を有する熱可塑性樹脂で構成され、図3(a)及び(b)に示すように、キャップ4の内側に弾性曲げ可能な凸部42が形成されている。凸部42は、内側に弾性変形することで、棒状部材2に形成された凹部22に係合可能である。
【0027】
<連結部>
連結部5は、把持部3とキャップ4とを繋いで持ち手となる部材である。連結部5は、図1(a)に示すように、棒状部材2がシート状物品Sを突き通し、穿孔部21にキャップ4を装着している状態において、持ち手となるようにアーチ状に構成されている。このような形状のため、本発明の結束具1は、シート状物品Sを容易に持ち運ぶことができる。連結部5は、ある程度の柔軟性を有するように、ゴム、ウレタン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂等の可撓性のある素材で構成されることが好ましい。連結部5の長手方向の両端部は、図1及び図2に示すように、把持部3の上部及びキャップ4の一端側に接合されている。連結部5は、図1(b)に示すように、所定の厚みを有し中央の幅が広い帯状に形成され、使用者の手指の腹側が入り込む複数の谷部51と、隣り合う指との間に入り込む山部52とが形成されている。さらに、連結部5には、長手方向と短手方向とに格子状に組まれた多数の仕切り部53によって滑り止め構造が形成されている。これにより、使用者が連結部5を持ち、シート状物品Sを持ち運ぶ際、手指の形に合わせて連結部5の滑り止め構造の形状が追従するため、手指に作用する荷重が分散されるとともに手指が滑り難くなって持ち運びが容易になり、使用者の負担を減らすことができる。
【0028】
〔係合構造〕
結束具1は、穿孔部21にキャップ4を装着したときに形成される係合構造を有する。係合構造について、以下、具体的に説明する。
【0029】
結束具1は、図3(a)に示すように、穿孔部21にキャップ4を装着すると、棒状部材2に形成される凹部22にキャップ4の内側に形成される弾性曲げ可能な凸部42が弾性的に嵌合して仮止め状態となる。より詳細に説明すると、穿孔部21にキャップ4を押し込むと、凸部42が外側に開くように弾性変形しながら穿孔部21を通り、凸部42が凹部22に合わさると、弾性変形した凸部42が元の形状に復元し、凸部42と凹部22とが嵌合する。これとは逆に、キャップ4を穿孔部21から引き抜くように操作すると、凸部42が弾性変形しながら凹部22から抜き出る。このように、本発明の結束具1によれば、穿孔部21にキャップ4を装着すると、棒状部材2に形成される凹部22にキャップ4内側に形成される凸部42が弾性的に嵌合して仮止め状態となるため、穿孔部21からキャップ4が直ちに外れることを防ぐことができる。
【0030】
結束具1は、図3(a)に示す仮止め状態において、スライダ6を凸部42の上に移動させることにより、凸部42と凹部22との嵌合状態が維持されて図3(b)に示す固定状態となり、スライダ6の操作で仮止め状態と固定状態とを切り替え可能に構成されている。より詳細に説明すると、凹部22に凸部42が弾性的に嵌合している仮止め状態において、凸部42の上にスライダ6を移動させると、スライダ6によって凸部42の外側に開く弾性変形が抑制される。従って、キャップ4を穿孔部21から引き抜くように操作しても、スライダ6によって外側に開く弾性変形を抑制されている凸部42が凹部22から引き抜かれないため、穿孔部21がキャップ4から抜け出してしまうのを防ぐことができる。このように、本発明の結束具1によれば、キャップ4の外側に沿ってストッパ41に当接するまでスライダ6を移動させると、キャップ4がスライダ6によって周囲から拘束されることで仮止め状態から固定状態となり、外部からの引っ張る力に対する抵抗力が仮止め状態より高まり、穿孔部21からキャップ4が外れることを防ぐことができる。また、仮止め状態と固定状態とはスライダ6の操作で容易に切り替え可能な為、状況に応じて、仮止め状態と固定状態とを選択することができる。
【0031】
以上のように、結束具1においては、先端側の穿孔部21がキャップ4に係合して係合構造が形成されることで棒状部材2がキャップ4によって保護され、安全に保管及び運搬することができる。また、棒状部材2にシート状物品Sを追加したい場合には、穿孔部21からキャップ4を外し、穿孔部21に追加のシート状物品Sを貫通させるだけで、容易にシート状物品Sの枚数を増やすことができる。シート状物品Sの追加は、シート状物品Sの厚みの合計が棒状部材2の長さに達するまで可能なため、多量のシート状物品Sを保管及び運搬することができる。
【0032】
〔使用方法〕
以上に述べたように構成される結束具1の使用方法等について説明する。まず、シート状物品Sを片方の手で持ち、もう片方の手で結束具1の把持部3を握る。次いで、シート状物品Sに対し、棒状部材2が直角をなすように、シート状物品Sの任意の場所を穿孔部21で突き刺す。これにより、シート状物品Sに棒状部材2が突き通される。次に、棒状部材2の穿孔部21にキャップ4を装着すると、シート状物品Sを容易に結束することができる。また、図2(c)に示すように、スライダ6をキャップ4のストッパ41まで移動させて固定状態とすると、凸部42と凹部22とによる嵌合状態が維持され、キャップ4が容易に外れないため、図1(a)に示すように、連結部5を持って、結束されたシート状物品Sを容易に持ち運ぶことができる。
【0033】
図4は、本発明の一実施形態に係る結束具を把持した姿勢における要部側面図であり、(a)はシート状物品に棒状部材を突き通した状態、(b)はシート状物品に紐を通した状態をそれぞれ示す。シート状物品Sを紐で縛りたいときには、図4(a)に示すように、棒状部材2がシート状物品Sを突き通して結束されている状態で、穿孔部21の切れ目24から貫通穴23に紐Hを通す。切れ目24は、図4(a)及び(b)に示すように、把持部3を握った姿勢において、上側に開放するように構成されているので、貫通穴23に紐Hを通す際に、切れ目24から紐Hを入れるだけで、容易に紐Hを通すことができる。また、切れ目24は、把持部3を握った姿勢において、上側に開放しているので、貫通穴23に通した紐Hが切れ目24から抜け落ちてしまうおそれがなくなる。
【0034】
次いで、図4(b)に示すように、把持部3を持ち、棒状部材2をシート状物品Sから引き抜くと、シート状物品Sに紐Hが通される。このように、シート状物品Sに紐Hを容易に通すことができるので、結束されたシート状物品Sを紐Hで縛ってそのまま保管したり、まとめて搬送したりすることもできる。
【0035】
以上、本発明の結束具1について、一実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の結束具は、主に一般家庭での利用を想定したものであるが、ダンボール等のシート状物品を取り扱う施設、例えば、物流拠点、スーパーマーケット、市場、飲食店、学校、病院、工場、オフィス等においても利用可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 結束具
2 棒状部材
2a 先端側(先端部)
2b 基端側(基端部)
3 把持部
4 キャップ
5 連結部
6 スライダ
21 穿孔部
22 凹部
23 貫通穴
24 切れ目
42 凸部
S シート状物品

図1
図2
図3
図4