(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112424
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】清掃システム、粉塵検知器、および清掃管理方法
(51)【国際特許分類】
A47L 9/28 20060101AFI20240814BHJP
G01W 1/00 20060101ALN20240814BHJP
【FI】
A47L9/28 E
G01W1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017408
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 嘉人
【テーマコード(参考)】
3B057
【Fターム(参考)】
3B057DA00
(57)【要約】
【課題】床面の清掃作業の適切な実施時期を検知可能な技術を提供する。
【解決手段】床面20の清掃作業を管理する清掃システム100は、床面20に設置され、空気中を浮遊する粉塵、および床面に堆積している粉塵を捕集し、所定周期で捕集した粉塵量を測定するように構成された粉塵検知器30と、粉塵検知器30と通信接続された情報処理装置50とを備える。情報処理装置50は、所定周期で、粉塵量の測定値を示す信号を粉塵検知器30から受信する。情報処理装置50は、受信した測定値に基づいて、床面20の清掃作業を実施すべき時期であるか否かを判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面の清掃作業を管理する清掃システムであって、
前記床面に設置され、空気中を浮遊する粉塵、および前記床面に堆積している粉塵を捕集し、所定周期で捕集した粉塵量を測定するように構成された粉塵検知器と、
前記粉塵検知器と通信接続された情報処理装置とを備え、
前記情報処理装置は、
前記所定周期で、粉塵量の測定値を示す信号を前記粉塵検知器から受信し、
受信した測定値に基づいて、前記床面の清掃作業を実施すべき時期であるか否かを判定する、清掃システム。
【請求項2】
前記情報処理装置は、
前記粉塵検知器から受信した測定値を記憶するための記憶装置を含み、
前回の清掃作業を実施した時点における粉塵量の測定値と、今回の粉塵量の測定値との偏差を求め、前記偏差と閾値とを比較することによって、前記床面の清掃作業を実施すべき時期であるか否かを判定する、請求項1に記載の清掃システム。
【請求項3】
前記粉塵検知器は、
前記床面に設置され、側面に開口部が形成された筐体と、
前記開口部に開閉可能に取り付けられた蓋部材と、
前記筐体内に収容される粉塵濃度計と、
前記筐体内に収容されるファンと、
前記情報処理装置と通信する通信部とを含み、
前記蓋部材は、前記所定周期毎に、前記開口部を第1の時間閉塞するように構成され、
前記開口部が閉塞されたことに応じて、前記ファンは、前記第1の時間よりも短い第2の時間作動し、
前記粉塵濃度計は、前記第1の時間内であって前記ファンが停止した後において、前記筐体内の粉塵の濃度を測定し、
前記通信部は、前記粉塵濃度計の測定値を示す信号を前記情報処理装置へ送信する、請求項2に記載の清掃システム。
【請求項4】
前記粉塵検知器は、
前記床面に設置され、側面に開口部が形成された筐体と、
前記開口部に開閉可能に取り付けられた蓋部材と、
前記筐体内に収容される粉塵重量計と、
前記情報処理装置と通信する通信部とを含み、
前記蓋部材は、前記所定周期毎に、前記開口部を第1の時間閉塞するように構成され、
前記粉塵重量計は、前記第1の時間内において、前記筐体内の粉塵の重量を測定し、
前記通信部は、前記粉塵重量計の測定値を示す信号を前記情報処理装置へ送信する、請求項2に記載の清掃システム。
【請求項5】
前記粉塵検知器は、前記床面から前記筐体内への粉塵の流入を許容する一方で、前記筐体内から前記床面へ粉塵の流出を阻止するように構成された整流部材をさらに含む、請求項3または4に記載の清掃システム。
【請求項6】
前記床面を走行することにより前記床面の粉塵を収集する清掃ロボットをさらに備え、
前記情報処理装置は、前記清掃ロボットと通信接続されており、前記床面の清掃作業を実施すべき時期であると判定された場合には、清掃作業の実施を指示する信号を前記清掃ロボットへ送信する、請求項1に記載の清掃システム。
【請求項7】
床面に堆積する粉塵の量を測定するための粉塵検知器であって、
前記床面に設置され、側面に開口部が形成された筐体と、
前記開口部に開閉可能に取り付けられた蓋部材と、
前記筐体内に収容される粉塵濃度計と、
前記筐体内に収容されるファンと、
情報処理装置と通信する通信部とを備え、
前記蓋部材は、所定周期毎に、前記開口部を第1の時間閉塞するように構成され、
前記開口部が閉塞されたことに応じて、前記ファンは、前記第1の時間よりも短い第2の時間作動し、
前記粉塵濃度計は、前記第1の時間内であって前記ファンが停止した後において、前記筐体内の粉塵の濃度を測定し、
前記通信部は、前記粉塵濃度計の測定値を示す信号を前記情報処理装置へ送信する、粉塵検知器。
【請求項8】
前記床面から前記筐体内への粉塵の流入を許容する一方で、前記筐体内から前記床面へ粉塵の流出を阻止するように構成された整流部材をさらに備える、請求項7に記載の粉塵検知器。
【請求項9】
床面の清掃作業を管理する清掃管理方法であって、
空気中を浮遊する粉塵、および前記床面に堆積している粉塵を粉塵検知器により捕集するステップと、
前記粉塵検知器により捕集される粉塵量を所定周期で測定するステップと、
粉塵量の測定値を記憶するステップと、
前回の清掃作業を実施した時点における粉塵量の測定値と、今回の粉塵量の測定値との偏差をコンピュータにより求めるステップと、
前記偏差と閾値とを比較することによって、前記床面の清掃作業を実施すべき時期であるか否かを前記コンピュータにより判定するステップとを含む、清掃管理方法。
【請求項10】
前記床面の清掃作業を実施すべき時期であると判定された場合には、清掃作業の実施を指示する信号を自律移動型の清掃ロボットへ送信するステップをさらに含む、請求項9に記載の清掃管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、清掃システム、粉塵検知器、および清掃管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2005-148960号公報(特許文献1)には、自律移動型の清掃ロボットと周辺機器との連携システムが開示されている。特許文献1では、空気清浄機は、空気清浄中に埃の量をセンサで検知し、埃の量が所定値以上になると清掃が必要と判断して、制御コンピュータに清掃が必要とのイベントを発生するように構成されている。制御コンピュータは、このイベントを受けて、清掃ロボットに掃除開始のイベントを発生するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自律移動型の清掃ロボットは、建物内の床面を自律移動しながら床面に堆積した粉塵を収集するように構成されるため、通常、清掃ロボットによる清掃作業を実施するタイミングは、夜間等の建物内を歩行する人が少ないタイミングや、建物内で他の作業が実施されていないタイミングに設定されている。しかしながら、このようなタイミングに合わせて定期的に清掃作業を実施することは、床面に粉塵が溜まっていない状態であっても清掃作業が実施されることとなり、無駄に電力を消費してしまう場合がある。あるいは、床面に多量の粉塵が堆積しているにもかかわらず、清掃作業が実施されず、不衛生となる場合がある。
【0005】
特許文献1では、空気清浄中に検知される埃の量に基づいて清掃の必要性を判断するため、当該判断のタイミングが空気清浄機が作動している時間に限定されてしまうことが懸念される。また、イベントに応答して清掃作業が実施されると、歩行者の歩行を妨げたり、他の作業の邪魔になる可能性が懸念される。さらに、空気清浄機により検知される空気中に浮遊する埃の量は、床面に堆積している埃の量に必ずしも対応していないため、床面の清掃作業を実施すべき時期を適切に検知できない可能性が懸念される。
【0006】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、床面の清掃作業の適切な実施時期を検知可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のある局面に従う清掃システムは、床面の清掃作業を管理する。清掃システムは、床面に設置され、空気中を浮遊する粉塵、および床面に堆積している粉塵を捕集し、所定周期で捕集した粉塵量を測定するように構成された粉塵検知器と、粉塵検知器と通信接続された情報処理装置とを備える。情報処理装置は、所定周期で、粉塵量の測定値を示す信号を粉塵検知器から受信する。情報処理装置は、受信した測定値に基づいて、床面の清掃作業を実施すべき時期であるか否かを判定する。
【0008】
本開示の他の局面に従う粉塵検知器は、床面に堆積する粉塵の量を測定する。粉塵検知器は、床面に設置され、側面に開口部が形成された筐体と、開口部に開閉可能に取り付けられた蓋部材と、筐体内に収容される粉塵濃度計およびファンと、情報処理装置と通信する通信部とを備える。蓋部材は、所定周期毎に、開口部を第1の時間閉塞するように構成される。開口部が閉塞されたことに応じて、ファンは、第1の時間よりも短い第2の時間作動する。粉塵濃度計は、第1の時間内であってファンが停止した後において、筐体内の粉塵の濃度を測定する。通信部は、粉塵濃度計の測定値を示す信号を情報処理装置へ送信する。
【0009】
本開示の他の局面に従う清掃管理方法は、床面の清掃作業を管理する。清掃管理方法は、空気中を浮遊する粉塵、および床面に堆積している粉塵を粉塵検知器により捕集するステップと、粉塵検知器により捕集される粉塵量を所定周期で測定するステップと、粉塵量の測定値を記憶するステップと、前回の清掃作業を実施した時点における粉塵量の測定値と、今回の粉塵量の測定値との偏差をコンピュータにより求めるステップと、偏差と閾値とを比較することによって、床面の清掃作業を実施すべき時期であるか否かをコンピュータにより判定するステップとを含む。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、床面の清掃作業の適切な実施時期を検知可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の実施の形態に従う粉塵検知器が適用される清掃システムの全体構成図である。
【
図3】清掃ロボット、粉塵検知器、およびサーバの構成例を示す図である。
【
図4】
図3に示した粉塵検知部の構成例を模式的に示す図である。
【
図5】粉塵検知部による粉塵量の測定動作の手順を示すフローチャートである。
【
図6】
図5に示すフローチャートの各ステップを説明する図である。
【
図9】清掃実施判定テーブルの一例を示す図である。
【
図10】清掃ロボットテーブルの一例を示す図である。
【
図11】粉塵検知器、サーバおよび清掃ロボットにより実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0013】
<清掃システムの構成例>
図1は、本開示の実施の形態に従う粉塵検知器が適用される清掃システムの全体構成図である。
図1に示すように、清掃システム100は、清掃ロボット10と、粉塵検知器30と、複数の無線通信機40-1,40-2,40-3・・・と、サーバ50とを備える。
図1に示す例では、1台の清掃ロボット10と1台の粉塵検知器30とが示されるが、これらの台数は限定されない。
【0014】
本実施の形態では、建物内には複数の清掃エリアが設定されており、各清掃エリアに対して1台の粉塵検知器30が設置されているものとする。また、複数の清掃ロボット10が分担して当該複数の清掃エリアを清掃するように、清掃ロボット10ごとに清掃エリアが割り当てられているものとする。
【0015】
清掃ロボット10は、自律移動型の掃除機である。清掃ロボット10は、バッテリを搭載しており、バッテリに蓄えられた電力を用いて清掃対象のフロア(床面)20を走行することができる。清掃ロボット10の底面または側面下部には、フロア20に堆積した粉塵を吸引する清掃部材が設けられている、清掃ロボット10は、自律的に移動しながら清掃部材を用いてフロア20の清掃を行うことができる。
【0016】
清掃ロボット10には、無線通信機11が設けられている。無線通信機11は、例えば、BLE(Bluetooth Low Energy、「Bluetooth」は登録商標)通信規格に従う通信方式を用いて、清掃ロボット10の位置を検出するための信号を発信する。BLE通信規格に代えて、UWB(Ultra Wide Band)通信規格等に従う通信方式を用いてもよい。また、無線通信機11は、例えばLTE(Long Term Evolution)等の無線通信規格に従う通信方式を用いて、清掃ロボット10を識別するためのIDや、清掃ロボット10の清掃の開始/終了を示す信号等をサーバ50へ送信する。
【0017】
粉塵検知器30は、フロア20に堆積している粉塵の量を評価するための部位である。粉塵検知器30は、フロア20に載置されており、空気中を浮遊する粉塵、およびフロア20に堆積している粉塵を捕集することが可能に構成されている。粉塵検知器30は、予め定められた測定周期で、捕集した粉塵の量を測定する。粉塵検知器30には、無線通信機31が設けられている。無線通信機31は、例えばLTE等の無線通信規格に従う通信方式を用いて、粉塵検知器30を識別するためのIDや、粉塵量の測定値を示す信号等をサーバ50へ送信する。粉塵検知器30の構成については、後ほど詳しく説明する。
【0018】
粉塵検知器30は、フロア20の粉塵が溜まりやすい場所に載置することが好ましい。このようにすると、フロア20に堆積している粉塵の量と粉塵検知器30の測定値との間に相関を持たせることができる。なお、粉塵が溜まりやすい場所は、フロア20の床材によって異なる場合がある。例えば、タイルやクッションフロアのような滑らかな床材でフロア20が形成されている場合には、フロア20を人が歩行したときに生じる風を受けて粉塵が移動するため、通路から離れた部分に粉塵が溜まりやすくなる傾向がある。反対に、床材がカーペットのような起毛材料である場合には、通行する人の靴底等に付着している粉塵が毛に捕捉されるため、通路に粉塵が溜まりやすくなる傾向がある。したがって、フロア20の通路およびフロア20の床材を考慮して、粉塵検知器30の載置場所を決めることが好ましい。
【0019】
無線通信機40-1,40-2,40-3・・・(以下、包括的に「無線通信機40」と称する場合がある。)は、例えば天井45に適当な距離を置いて設置され、清掃ロボット10の無線通信機11と同じ通信規格に従う通信方式を用いて、清掃ロボット10から発信される信号を受信するとともにその受信強度を検知する。各無線通信機40における受信強度から、フロア20における清掃ロボット10の位置を測定することができる。無線通信機40は、清掃ロボット10から受信した信号の受信強度をサーバ50へ出力する。無線通信機40は、壁に設置されてもよい。
【0020】
サーバ50は、清掃ロボット10による清掃作業を管理する。本実施の形態では、サーバ50は、粉塵検知器30から送信される信号を用いて、フロア20の清掃作業を実施すべき時期を検知するように構成される。そして、サーバ50は、検知された時期に清掃作業が実施されるように、清掃作業の実施を指示する清掃実施信号を生成して清掃ロボット10へ送信する。サーバ50は「情報処理装置」の一実施例に対応する。サーバ50については、後ほど詳しく説明する。
【0021】
図2は、サーバ50のハードウェア構成を示す図である。
図2に示すように、サーバ50は、CPU(Central Processing Unit)51と、RAM(Random Access Memory)52と、ROM(Read Only Memory)53と、I/F(Interface)装置54と、記憶装置55とを含んで構成される。CPU51、RAM52、ROM53、I/F装置54、および記憶装置55は、通信バス56を通じて各種データを遣り取りする。
【0022】
CPU51は、ROM53に格納されているプログラムをRAM52に展開して実行する。ROM53に格納されてるプログラムいは、サーバ50によって実行される処理が記述されている。
【0023】
I/F装置54は、無線通信機40、清掃ロボット10および粉塵検知器30と信号およびデータを遣り取りするための入出力装置である。I/F装置54は、無線通信機40において受信される信号の受信強度を各無線通信機40から受信する。また、I/F装置54は、LTE等の無線通信規格に従う通信方式を用いて、清掃ロボット10を識別するためのIDや、清掃ロボット10の清掃の開始/終了を示す信号等を清掃ロボット10から受信するとともに、清掃実施信号を清掃ロボット10へ送信する。さらに、I/F装置54は、LTE等の無線通信規格に従う通信方式を用いて、粉塵検知器30を識別するためのIDや、粉塵検知器30による粉塵量の測定値を示す信号等を粉塵検知器30から受信する。
【0024】
記憶装置55は、各種情報を記憶するストレージであって、清掃ロボット10の情報、粉塵検知器30の情報、フロア20の情報、清掃ロボット10および粉塵検知器30の位置情報等を記憶する。また、記憶装置55は、粉塵検知器30における粉塵量の測定動作、および清掃ロボット10による清掃作業を管理するための、各種テーブルおよびデータベース(DB)を記憶している。記憶装置55に記憶されている各種テーブルおよびDBについては、後ほど詳しく説明する。記憶装置55は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)またはソリッドステートドライブ(SSD:Solid State Drive)等である。
【0025】
次に、
図3を参照して、清掃ロボット10、粉塵検知器30、およびサーバ50の構成例を説明する。
【0026】
(清掃ロボット10の構成例)
図3に示すように、清掃ロボット10は、無線通信機11と、カメラ12と、制御部13と、清掃部材14と、駆動部15と、バッテリ16とを含む。
【0027】
無線通信機11は、
図1で説明したように、例えばBLE通信規格に従う通信方式を用いて、清掃ロボット10の位置を検出するための信号を発信する。また、無線通信機11は、例えば、LTE等の無線通信規格に従う通信方式を用いて、清掃ロボット10を識別するためのID、清掃ロボット10による清掃の開始を示す清掃開始信号、および清掃の終了を示す清掃終了信号等の各種情報をサーバ50へ送信する。
【0028】
カメラ12は、清掃ロボット10の周囲を撮像し、撮像画像を制御部13へ出力する。カメラ12に代えて、清掃ロボット10の周辺に存在する物体と清掃ロボット10との距離を測定するレーザ距離計等が設けられてもよい。
【0029】
制御部13は、清掃ロボット10による清掃の開始および終了を制御する。そして、制御部13は、カメラ12からの撮像画像に基づいて、清掃ロボット10が自律的に移動しながら清掃を行うように駆動部15および清掃部材14を制御する。
【0030】
清掃部材14は、清掃ロボット10の底面に設けられ、フロア20に堆積した粉塵を吸引するための部材である。清掃部材14は、例えば、吸込口と、吸込口から粉塵を吸引するための送風機と、吸込口に設けられる回転ブラシと、回転ブラシを駆動するモータとを含んで構成される。
【0031】
駆動部15は、清掃ロボット10が走行するための駆動力を発生する。駆動部15は、例えば、清掃ロボット10が移動するための車輪と、車輪を駆動するためのモータとを含む。駆動部15(モータ)は、バッテリ16から電力の供給を受けて作動することができる。バッテリ16は、駆動部15その他清掃ロボット10の各機器が作動するための電力を供給する。
【0032】
(粉塵検知器30の構成例)
図3に示すように、粉塵検知器30は、無線通信機31と、粉塵検知部32と、バッテリ33と、制御部34とを含む。
【0033】
無線通信機31は、
図1で説明したように、例えば、LTE等の無線通信規格に従う通信方式を用いて、粉塵検知器30を識別するためのID、および粉塵検知器30による粉塵量の測定値を示す信号等の各種情報をサーバ50へ送信する。
【0034】
粉塵検知部32は、空気中を浮遊する粉塵、およびフロア20に堆積している粉塵を捕集し、予め定められた測定周期で、捕集した粉塵の量を測定する。粉塵検知部32は、バッテリ33から電力の供給を受けて作動することができる。バッテリ33は、粉塵検知部32その他粉塵検知器30の各機器が作動するための電力を供給する。制御部34は、粉塵検知部32における粉塵量の測定動作を制御する。
【0035】
図4は、
図3に示した粉塵検知部32の構成例を模式的に示す図である。
図4(A)は、粉塵検知器30を上方から見た平面透視図である。
図4(B)は、
図4(A)のIV-IV線における断面図である。
【0036】
図4(A),(B)に示すように、粉塵検知器30は、筐体320と、蓋部材321と、一対の回転軸部322と、整流部材323と、粉塵濃度計324と、ファン325と、無線通信機31と、バッテリ33と、制御部34とを含んで構成される。筐体320、蓋部材321、一対の回転軸部322、整流部材323、粉塵濃度計324、およびファン325は、粉塵検知部32を構成する。無線通信機31、バッテリ33および制御部34は、粉塵濃度計324およびファン325とともに、筐体320内に収容されている。
【0037】
筐体320は、直方体形状を有しており、フロア20に載置される。筐体320の4つの側面のうちの1つには開口部326が形成されている。開口部326は矩形形状を有している。
【0038】
蓋部材321は、開口部326を開閉可能に塞ぐ部位である。蓋部材321は、矩形形状の平板によって構成されている。この平板が一対の回転軸部322を支軸として回転移動することにより、開口部326を開閉可能とする。
【0039】
一対の回転軸部322は、開口部326の上端部に取り付けられている。一対の回転軸部322は、例えばサーボモータである。バッテリ33から電力の供給を受けてサーボモータが作動することにより蓋部材321を回転させることができる。
図4では、蓋部材321がフロア20に対して略平行となる位置まで回転されており、開口部326が開放状態となっている。開口部326が開放状態のときには、
図4(B)に示すように、空気中に浮遊する粉塵Dおよびフロア20に堆積した粉塵Dが、フロア20を人等が移動したときに生じる風を受けて、開口部326を通じて筐体320内に入り込む。筐体320内に入り込んだ粉塵Dは、筐体320の内底面に溜まる。
【0040】
開口部326の外縁部の下端部分には、整流部材323が設けられている。整流部材323は、筐体320の内底面に溜まった粉塵Dが筐体320の外部へ流出することを阻止するための部位である。整流部材323は、平面視において矩形形状を有しており、その一辺が開口部326の外縁部に当接するように、フロア20に載置されている。整流部材323の上部表面は傾斜面323Aとなっている。この傾斜面323Aは、開口部326の外縁部から離れるに従って、整流部材323の底面からの距離(フロア20からの距離に相当)が短くなる態様で傾斜している。
【0041】
開口部326が開放状態のときには、フロア20に堆積した粉塵Dが傾斜面323Aを伝って上方に移動し、開口部326から筐体320内に入り込む。一方、筐体320に入り込んだ粉塵Dは、整流部材323が障壁となるため、筐体320の外部へ移動することが阻止される。そして、この状態から蓋部材321を約90度回転させて開口部326を閉塞すると、粉塵Dは筐体320内部に閉じ込められる。このとき、筐体320外部からの新たな粉塵Dの流入も阻止される。
【0042】
粉塵濃度計324は、筐体320内に収容されている。粉塵濃度計324は、筐体320内に溜まった粉塵の量を測定するための部位である。粉塵濃度計324には、光散乱式粉塵濃度計等の公知の粉塵濃度計を用いることができる。粉塵濃度計324は、筐体320内部の粉塵濃度(mg/m3)を測定する。
【0043】
ファン325は、筐体320内に収容されている。ファン325は、開口部326が閉塞された状態においてバッテリ33の電力を受けて作動することにより、筐体320内に空気の流れを発生させる。ファン325は、開口部326が開放状態のときには停止している。後述するように、粉塵検知部32による粉塵量(粉塵濃度)の測定時において、予め定められた所定時間、ファン325が作動する。
【0044】
図5は、粉塵検知部32による粉塵量の測定動作の手順を示すフローチャートである。
図6は、
図5に示すフローチャートの各ステップを説明する図である。
図5に示すフローチャートは、予め定められた測定周期で実施される。
【0045】
図5に示すように、最初に、蓋部材321を閉じるステップS10が実施される。S10では、
図6(A)に示すように、制御部34は、回転軸部322を作動して蓋部材321を回転させることにより、予め定められた第1の時間、開口部326を閉塞する。筐体320の内底面には、開口部326を通じて流れ込んだ粉塵Dが溜まっている。
【0046】
開口部326が閉塞されると、ファン325を作動するステップS20が実施される。S20では、制御部34は、第1の時間よりも短い第2の時間、ファン325を作動する。
図6(B)に示すように、ファン325を作動することで、筐体320内には、図中矢印に示すような空気の流れが発生する。この空気の流れによって筐体320の内底面に溜まった粉塵が舞い上げられて浮遊する。第2の時間が経過すると、制御部34はファン325を停止する。
【0047】
次に、粉塵濃度計324により粉塵量を測定するステップS30が実施される。S30では、
図6(C)に示すように、筐体320内に浮遊している粉塵Dの量が粉塵濃度計324によって測定される。無線通信機31は、粉塵濃度計324による粉塵量の測定値を示す信号をサーバ50へ送信する。粉塵濃度計324の測定値は、粉塵濃度(mg/m
3)で表される。粉塵濃度(mg/m
3)に筐体320の容積(m
3)を乗算することで、粉塵量(mg)を求めることができる。
【0048】
最後に、蓋部材321を開くステップS40が実施される。S40では、
図6(D)に示すように、制御部34は、回転軸部322を作動して蓋部材321を回転させることにより、開口部326を開放する。なお、S40は、筐体320内を浮遊している粉塵Dが再び筐体320の内底面に溜まるのを待って実施される。筐体320の外部に粉塵Dが流出することを抑制するためである。
【0049】
(サーバ50の構成例)
図3に戻って、サーバ50は、入力部63と、制御部62と、出力部61と、記憶装置55とを含んで構成される。
図3に示す各機能構成は、典型的には、サーバ50のCPU51がプログラムを実行することで実現される。
【0050】
入力部63は、粉塵検知器30を識別するためのID、および粉塵検知器30から粉塵量(粉塵濃度)の測定値を示す信号を受け付け、受け付けた信号を制御部62へ転送する。複数の清掃エリアにそれぞれ対応して複数の粉塵検知器30が設置されている場合には、入力部63は、各粉塵検知器30から定期的に信号を受信する。なお、各粉塵検知器30が信号を送信する周期は、複数の粉塵検知器30の間で異なっていてもよい。
【0051】
制御部62は、記憶装置55に記憶される各種テーブルおよびDBを参照することにより、粉塵検知器30の測定値に基づいて、対応する清掃エリアの清掃作業を実施すべき時期であるか否かを判定する。ある清掃エリアについて清掃作業を実施すべき時期であると判定された場合には、制御部62は、当該清掃エリアの清掃作業を指示する清掃実施信号を生成する。
【0052】
出力部61は、生成された清掃実施信号を、当該清掃エリアに対応する清掃ロボット10に送信する。
【0053】
記憶装置55は、粉塵検知器テーブル551(
図7)と、粉塵量DB552(
図8)と、清掃実施判定テーブル553(
図9)と、清掃ロボットテーブル554(
図10)とを記憶する。
【0054】
図7は、粉塵検知器テーブル551の一例を示す図である。
図7に示すように、粉塵検知器テーブル551は、複数の粉塵検知器30に関する情報を含む。当該情報には、各粉塵検知器30について、粉塵検知器30のIDである「粉塵検知器番号」、粉塵量の測定動作を行う周期である「測定周期」、測定動作を行う時刻である「測定時刻」、および測定動作を行う場所である「測定場所」のデータが含まれる。例えば、粉塵検知器テーブル551の一行目について代表的に説明すると、粉塵検知器番号DD1の粉塵検知器30は、「1日」毎に「午前0時」に「3F南エリア」の粉塵量を測定するように設定されている。なお、測定場所である「3F南エリア」とは、清掃ロボット10による清掃エリアに対応している。
図7の例では、「3F南エリア」、「3F北エリア」、「2F西エリア」および「2F東エリア」は4つの清掃エリアにそれぞれ対応している。
【0055】
各粉塵検知器30の測定時刻は、対応する清掃エリアについて予め定められた清掃予定時間に応じて設定することができる。清掃予定時間は、建物の管理者または清掃管理者等との清掃契約で定められた契約条件に含まれている場合がある。この場合、清掃予定時間における清掃開始時刻に合わせるように測定時刻を設定することで、粉塵検知器30の測定値に基づいて、清掃開始時刻に清掃作業を開始するか否かを判定することができる。
【0056】
図8は、粉塵量DB552の一例を示す図である。
図8に示すように、粉塵量DB552は、各粉塵検知器30の今回の測定結果に関する情報を含む。当該情報には、各粉塵検知器30について、粉塵検知器番号、今回の測定時刻、今回の測定場所、および今回の粉塵量の測定値のデータが含まれる。例えば、粉塵量DB552の一行目について代表的に説明すると、粉塵検知器番号DD1の粉塵検知器30は、今回「2023年1月5日の午前0時」に「3F南エリア」の粉塵量を測定したこと、およびその測定値(粉塵濃度)が「0.32mg/m
3」であることが示されている。当該測定値は、今回の測定動作で得られた、筐体320内の粉塵の量(筐体320内の粉塵濃度)を示している。粉塵量DB552に格納される情報は、測定動作が実施される毎に更新される。
【0057】
図9は、清掃実施判定テーブル553の一例を示す図である。
図9に示すように、清掃実施判定テーブル553は、各測定場所の清掃作業を実施すべき時期であるか否かを判定するために用いる情報を含む。当該情報には、各測定場所(清掃エリアに相当)について、閾値、および前回の清掃作業を実施したときの粉塵量(前回清掃時粉塵量)のデータが含まれる。閾値は、前回の清掃作業を実施してから、対応する測定場所に粉塵が溜まったか否かを判定するために用いられる。前回清掃時粉塵量は、前回の清掃作業を実施してから、対応する測定場所に溜まった粉塵の量を評価するために用いられる。
【0058】
上述したように粉塵検知部32は、空気中に浮遊する粉塵およびフロア20に堆積した粉塵を捕集して、捕集した粉塵の量を測定するように構成されている。粉塵検知部32が一連の処理を測定周期毎に実施することで、筐体320内部の粉塵量は増加し続けることになる。サーバ50は、測定周期毎に粉塵濃度計324の測定値を受信すると、今回の測定時刻における粉塵量と前回清掃時粉塵量との偏差を求める。そして、サーバ50は、この偏差に基づいて、前回の清掃作業を実施した時点から今回の測定時刻までにフロア20に溜まった粉塵の量を評価する。
【0059】
例えば、清掃実施判定テーブル553の一行目について代表的に説明すると、「3F南エリア」における閾値は「0.15mg/m3」であり、前回清掃時粉塵量は「0.16mg/m3」であることが示されている。なお、前回清掃時粉塵量は、清掃作業が実施される毎に更新される。すなわち、今回の測定値に基づいて清掃作業を実施すべき時期であると判定された場合には、サーバ50は、今回の測定値を前回清掃時粉塵量に格納することにより、前回清掃時粉塵量を上書きする。
【0060】
図10は、清掃ロボットテーブル554の一例を示す図である。
図10に示すように、清掃ロボットテーブル554は、各測定場所を清掃エリアとする清掃ロボット10のID(清掃ロボット番号)のデータが含まれる。例えば、清掃ロボットテーブル554の一行目について代表的に説明すると、「3F南エリア」を清掃エリアとする清掃ロボット10は、清掃ロボット番号CR1の清掃ロボット10であることが示されている。
【0061】
<清掃システムの動作>
次に、清掃システム100の動作について説明する。
【0062】
図11は、清掃システム100の粉塵検知器30、サーバ50および清掃ロボット10により実行される処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は、粉塵検知器30毎および清掃ロボット10毎に実行される。
図11では、粉塵検知器30により実行される一連の処理を左側に示し、サーバ50により実行される一連の処理を中央に示し、清掃ロボット10により実行される一連の処理を右側に示している。以下、ステップをSと略す。
【0063】
S01において、粉塵検知器30は、粉塵量の測定動作を行う時刻(測定時刻)が到来したか否かを判定する。S01では、粉塵検知器30は、予め設定された測定周期および測定時刻に基づいて今回の測定時刻を設定し、現在時刻が今回の測定時刻に一致したときにYES判定とする。例えば、粉塵検知器番号DD1の粉塵検知器30が「1日」毎に「午前0時」に「3F南エリア」の粉塵量を測定するように設定されている場合、当該粉塵検知器30は、毎日午前0時になると、測定時刻が到来したと判定することになる。
【0064】
測定時刻が到来したと判定されると(S01のYES判定時)、粉塵検知器30は、S02により、対応する測定場所について粉塵量の測定動作を実行する。S02では、
図5および
図6で説明した一連の処理が実行されることにより、筐体320内の粉塵の量(粉塵濃度)が測定される。
【0065】
S03において、粉塵検知器30は、今回の測定結果を示す信号をサーバ50へ送信する。この信号には、粉塵検知器30を識別するためのID(粉塵検知器番号)、今回の測定時刻、および今回の粉塵量の測定値のデータが含まれている。
【0066】
サーバ50は、S11において粉塵検知器30から信号を受信すると、S12に進み、当該信号に含まれるデータに基づいて、粉塵検知器30の測定場所を特定する。S12では、サーバ50は、粉塵検知器テーブル551(
図7)を参照することにより、送信元の粉塵検知器30の粉塵検知器番号から、当該粉塵検知器30の測定場所を特定する。例えば、送信元の粉塵検知器30の粉塵検知器番号が「DD1」である場合には、当該粉塵検知器30の測定場所は「3F南エリア」であると特定される。
【0067】
S13において、サーバ50は、S11にて受信した測定結果を、粉塵量DB552(
図8)に格納する。S13では、サーバ50は、今回の測定時刻、S12で特定した測定場所、および今回の粉塵量の測定値を、送信元の粉塵検知器30の粉塵検知器番号に対応する測定時刻、測定場所、および粉塵量にそれぞれ格納する。例えば、粉塵検知器番号DD1の粉塵検知器30が送信元である場合には、今回の測定時刻「2023年1月5日の午前0時」、測定場所「3F南エリア」、および今回の粉塵量の測定値(粉塵濃度)「0.32mg/m
3」が粉塵量DB552に格納される。
【0068】
次いでS14において、サーバ50は、粉塵量DB552に格納した測定結果と、清掃実施判定テーブル553とを用いて、S12で特定した測定場所について、清掃作業を実施すべき時期であるか否かを判定する。
【0069】
S14では、最初に、サーバ50は、今回の粉塵量の測定値と前回清掃時粉塵量との偏差を求める。例えば、測定場所が「3F南エリア」において、粉塵量DB552に格納される今回の粉塵量は「0.32mg/m3」であり、清掃実施判定テーブル553に格納される前回清掃時粉塵量は「0.16mg/m3」である。そこで、サーバ50は、0.32mg/m3から0.16mg/m3を減算することによって、偏差「0.16mg/m3」を求める。この偏差は、前回の清掃作業を実施してからフロア20に溜まった粉塵の量に対応している。すなわち、前回の清掃作業を実施してからフロア20に蓄積している粉塵の量が増えるに従って、偏差も大きくなる。
【0070】
次いで、サーバ50は、求めた偏差と、清掃実施判定テーブル553に格納される閾値とを比較する。偏差が閾値よりも大きい場合(S14のYES判定時)、サーバ50は、S12で特定した測定場所について、清掃作業を実施すべき時期であると判定する。一方、偏差が閾値未満である場合(S14のNO判定時)には、サーバ50は、当該測定場所について、清掃作業を実施すべき時期ではないと判定する。
【0071】
例えば、測定場所「3F南エリア」における閾値は「0.15mg/m3」に設定されているため、サーバ50は、上記偏差「0.16mg/m3」と閾値「0.15mg/m3」とを比較する。上記偏差が閾値よりも大きいことから、サーバ50は、3F南エリアについて清掃作業を実施すべき時期であると判定する。
【0072】
なお、清掃作業を実施すべき時期であると判定された場合には、サーバ50は、今回の粉塵量の測定値を、清掃実施判定テーブル553の前回清掃時粉塵量に格納する。したがって、測定場所「3F南エリア」における前回清掃時粉塵量は「0.16mg/m3」から「0.32mg/m3」に書き換えられることになる。
【0073】
清掃作業を実施すべき時期であると判定されると(S14のYES判定時)、サーバ50は、S15において、S12で特定された測定場所を清掃エリアとする清掃ロボット10を特定する。S15では、サーバ50は、清掃ロボットテーブル554(
図10)を参照することにより、S12で特定された測定場所を清掃エリアとする清掃ロボット10のID(清掃ロボット番号)を取得する。例えば、測定場所「3F南エリア」を清掃エリアとする清掃ロボット10として、清掃ロボット番号「CR1」の清掃ロボット10が特定される。
【0074】
次いでS16において、サーバ50は、S15にて特定された清掃ロボット10に対して、清掃実施信号を送信する。例えば、サーバ50は、測定場所「3F南エリア」を清掃エリアとする清掃ロボット番号「CR1」の清掃ロボット10に、清掃実施信号を送信する。
【0075】
清掃ロボット10は、S21において、サーバ50から清掃実施信号を受信したか否かを判定する。清掃実施信号を受信した場合(S21のYES判定時)には、清掃ロボット10は、S22に進み、対応する清掃エリアの清掃作業を開始する。清掃ロボット10は、清掃ロボット10のID、および清掃開始信号をサーバ50へ送信する。清掃ロボット10は、自律的に移動しながら対応する清掃エリアの清掃を行う。
【0076】
S22において、清掃ロボット10は、清掃作業が終了したか否かを判定する。対応する清掃エリアの清掃が終了したと判定されると(S22のYES判定時)、清掃ロボット10は、S24において、清掃ロボット10は自律走行を停止するとともに、清掃終了信号をサーバ50へ送信する。
【0077】
以上説明したように、本実施の形態においては、粉塵検知器30により測定される粉塵の量に基づいて、清掃作業を実施すべき時期であるか否かが判定される。より詳しくは、粉塵検知器30は、フロア20に載置されており、空気中を浮遊する粉塵、およびフロア20に堆積している粉塵を捕集することが可能に構成されている。この粉塵検知器30が捕集した粉塵の量(粉塵濃度)を予め定められた測定周期毎に測定し、その測定値に基づいて、清掃作業を実施すべき時期であるか否かが判定される。これによると、閾値を超える量の粉塵がフロア20に溜まったときに清掃作業を実施すべき時期であると判定されることから、粉塵の量に応じて清掃作業を適切に実施することができる。その結果、清掃作業に要する作業時間および消費電力を必要最低限に抑えることが可能となる。したがって、清掃作業が他の作業の妨げとなったり、消費電力の増加と原因となることを回避することができる。
【0078】
なお、上記の実施の形態においては、粉塵検知器30に搭載される粉塵濃度計324およびファン325を用いて、粉塵検知器30が捕集した粉塵の濃度を測定し、その測定値を用いてフロア20に堆積している粉塵の量を評価する構成としたが、粉塵検知器30の筐体320内に粉塵重量計を搭載し、捕集された粉塵の重量を粉塵重量計にて測定し、その測定値を用いて、フロア20に堆積している粉塵の量を評価してもよい。この場合、粉塵検知器30は、粉塵重量計の測定値を示す信号をサーバ50に送信する。サーバ50は、前回の清掃作業を実施したときの粉塵の重量と、今回の粉塵の重量の測定値との偏差を求め、この偏差と閾値とを比較することにより、清掃作業を実施すべき時期であるか否かを判定する。
【0079】
また、上記の実施の形態においては、清掃作業を実施すべき時期であると判定された場合にサーバ50から清掃ロボット10に清掃実施信号を送信する構成について説明したが、サーバ50からユーザに向けて清掃作業を実施すべき時期を報知する構成としてもよい。この場合、例えば、サーバ50から通信網を経由してユーザが所有する端末に清掃実施信号を送信し、当該清掃実施信号に基づいた報知メッセージが端末のディスプレイに表示される構成とすることができる。
【0080】
[付記]
上述した実施形態は、以下の付記の具体例である。
【0081】
(付記1)
床面の清掃作業を管理する清掃システムであって、
前記床面に設置され、空気中を浮遊する粉塵、および前記床面に堆積している粉塵を捕集し、所定周期で捕集した粉塵量を測定するように構成された粉塵検知器と、
前記粉塵検知器と通信接続された情報処理装置とを備え、
前記情報処理装置は、
前記所定周期で、粉塵量の測定値を示す信号を前記粉塵検知器から受信し、
受信した測定値に基づいて、前記床面の清掃作業を実施すべき時期であるか否かを判定する、清掃システム。
【0082】
(付記2)
前記情報処理装置は、
前記粉塵検知器から受信した測定値を記憶するための記憶装置を含み、
前回の清掃作業を実施した時点における粉塵量の測定値と、今回の粉塵量の測定値との偏差を求め、前記偏差と閾値とを比較することによって、前記床面の清掃作業を実施すべき時期であるか否かを判定する、付記1に記載の清掃システム。
【0083】
(付記3)
前記粉塵検知器は、
前記床面に設置され、側面に開口部が形成された筐体と、
前記開口部に開閉可能に取り付けられた蓋部材と、
前記筐体内に収容される粉塵濃度計と、
前記筐体内に収容されるファンと、
前記情報処理装置と通信する通信部とを含み、
前記蓋部材は、前記所定周期毎に、前記開口部を第1の時間閉塞するように構成され、
前記開口部が閉塞されたことに応じて、前記ファンは、前記第1の時間よりも短い第2の時間作動し、
前記粉塵濃度計は、前記第1の時間内であって前記ファンが停止した後において、前記筐体内の粉塵の濃度を測定し、
前記通信部は、前記粉塵濃度計の測定値を示す信号を前記情報処理装置へ送信する、付記1または2に記載の清掃システム。
【0084】
(付記4)
前記粉塵検知器は、
前記床面に設置され、側面に開口部が形成された筐体と、
前記開口部に開閉可能に取り付けられた蓋部材と、
前記筐体内に収容される粉塵重量計と、
前記情報処理装置と通信する通信部とを含み、
前記蓋部材は、前記所定周期毎に、前記開口部を第1の時間閉塞するように構成され、
前記粉塵重量計は、前記第1の時間内において、前記筐体内の粉塵の重量を測定し、
前記通信部は、前記粉塵重量計の測定値を示す信号を前記情報処理装置へ送信する、付記1または付記2に記載の清掃システム。
【0085】
(付記5)
前記粉塵検知器は、前記床面から前記筐体内への粉塵の流入を許容する一方で、前記筐体内から前記床面へ粉塵の流出を阻止するように構成された整流部材をさらに含む、付記3または付記4に記載の清掃システム。
【0086】
(付記6)
前記床面を走行することにより前記床面の粉塵を収集する清掃ロボットをさらに備え、
前記情報処理装置は、前記清掃ロボットと通信接続されており、前記床面の清掃作業を実施すべき時期であると判定された場合には、清掃作業の実施を指示する信号を前記清掃ロボットへ送信する、付記1から付記5のいずれか1項に記載の清掃システム。
【0087】
(付記7)
床面に堆積する粉塵の量を測定するための粉塵検知器であって、
前記床面に設置され、側面に開口部が形成された筐体と、
前記開口部に開閉可能に取り付けられた蓋部材と、
前記筐体内に収容される粉塵濃度計と、
前記筐体内に収容されるファンと、
情報処理装置と通信する通信部とを備え、
前記蓋部材は、所定周期毎に、前記開口部を第1の時間閉塞するように構成され、
前記開口部が閉塞されたことに応じて、前記ファンは、前記第1の時間よりも短い第2の時間作動し、
前記粉塵濃度計は、前記第1の時間内であって前記ファンが停止した後において、前記筐体内の粉塵の濃度を測定し、
前記通信部は、前記粉塵濃度計の測定値を示す信号を前記情報処理装置へ送信する、粉塵検知器。
【0088】
(付記8)
前記床面から前記筐体内への粉塵の流入を許容する一方で、前記筐体内から前記床面へ粉塵の流出を阻止するように構成された整流部材をさらに備える、付記7に記載の粉塵検知器。
【0089】
(付記9)
床面の清掃作業を管理する清掃管理方法であって、
空気中を浮遊する粉塵、および前記床面に堆積している粉塵を粉塵検知器により捕集するステップと、
前記粉塵検知器により捕集される粉塵量を所定周期で測定するステップと、
粉塵量の測定値を記憶するステップと、
前回の清掃作業を実施した時点における粉塵量の測定値と、今回の粉塵量の測定値との偏差をコンピュータにより求めるステップと、
前記偏差と閾値とを比較することによって、前記床面の清掃作業を実施すべき時期であるか否かを前記コンピュータにより判定するステップとを含む、清掃管理方法。
【0090】
(付記10)
前記床面の清掃作業を実施すべき時期であると判定された場合には、清掃作業の実施を指示する信号を自律移動型の清掃ロボットへ送信するステップをさらに含む、付記9に記載の清掃管理方法。
【0091】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示により示される技術的範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0092】
10 清掃ロボット、11,31,40 無線通信機、12 カメラ、13,34,62 制御部、14 清掃部材、15 駆動部、16,33 バッテリ、20 フロア、30 粉塵検知器、32 粉塵検知部、45 天井、50 サーバ、51 CPU、52 RAM、53 ROM、54 I/F装置、55 記憶装置、56 通信バス、61 出力部、63 入力部、100 清掃システム、320 筐体、321 蓋部材、322 回転軸部、323 整流部材、323A 傾斜面、325 ファン、326 開口部、551 粉塵検知器テーブル、552 粉塵量DB、553 清掃実施判定テーブル、554 清掃ロボットテーブル。