特開 2024-112425 サポートプログラム

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024112425

(43)【公開日】2024-08-21

(54)【発明の名称】サポートプログラム

(51)【国際特許分類】

   G06F 3/12 20060101AFI20240814BHJP

   B41J 29/38 20060101ALI20240814BHJP

   G03G 15/00 20060101ALI20240814BHJP

【ＦＩ】

G06F3/12 353

G06F3/12 305

G06F3/12 328

G06F3/12 356

B41J29/38 350

G03G15/00 303

【審査請求】未請求

【請求項の数】9

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023017410

(22)【出願日】2023-02-08

(71)【出願人】

【識別番号】000005267

【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110000291

【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所

(72)【発明者】

【氏名】細溝 仁人

(72)【発明者】

【氏名】成田 建樹

(72)【発明者】

【氏名】市川 裕詞

(72)【発明者】

【氏名】江口 愛莉

【テーマコード（参考）】

2C061

2H270

【Ｆターム（参考）】

2C061CQ04

2C061CQ24

2C061CQ34

2C061HH13

2C061HJ07

2C061HK03

2C061HN05

2C061HN20

2C061KK03

2C061KK16

2C061KK25

2H270KA59

2H270MB14

2H270MB15

2H270MB17

2H270MF08

2H270QA13

2H270QA23

2H270QA31

2H270QA33

2H270QB04

2H270QB17

2H270ZC03

2H270ZC04

2H270ZC06

(57)【要約】

【課題】ＯＳ標準の汎用印刷プログラムが組み込まれた情報処理装置において、印刷設定を調整し易いテスト印刷を実行可能な技術を提供すること。
【解決手段】補助プログラム４２は、プリンタ２に対応するプログラムであって、ＰＣ１のユーザＩＦ１３に表示させたカスタム設定画面を介して、印刷設定とテスト印刷の実行指示とを受け付ける。さらに、補助プログラム４２は、カラーバランスの項目への設定を受け付けている状態で、テスト印刷の実行指示を受け付けた場合、その設定に従ってテスト画像を加工し、プリンタ２に印刷させるための処理を行う。さらに、編集アプリ４３から出力された印刷指示であって、ＰＣ１のＯＳ２１が有する汎用印刷プログラム４１に対して画像の印刷をプリンタ２に行わせる印刷指示があった場合に、補助プログラム４２は、設定に従って印刷対象の画像を加工し、プリンタ２に印刷させるための処理を行う。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

情報処理装置のコンピュータによって実行可能であり、前記情報処理装置と接続するプリンタに対応するサポートプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記情報処理装置のユーザインタフェースに設定画面を表示させ、前記設定画面を介して、印刷設定と、テスト印刷の実行指示と、を受け付ける受付処理を実行させ、
さらに前記コンピュータに、
前記受付処理にて前記印刷設定の特定項目に特定パラメータが受け付けられた状態で、前記受付処理にて前記テスト印刷の前記実行指示が受け付けられた場合に、
前記受付処理にて受け付けられた前記印刷設定の前記特定パラメータに従って、前記テスト印刷に用いる画像であるテスト画像を加工する第１加工処理と、
前記第１加工処理にて加工された前記テスト画像を前記プリンタに印刷させるための処理を行うテスト印刷処理と、
を実行させ、
さらに前記コンピュータに、
前記情報処理装置に組み込まれているアプリケーションプログラムから出力された印刷指示であって、前記情報処理装置のオペレーティングシステムが有する汎用印刷プログラムに対して画像の印刷を前記プリンタに行わせる前記印刷指示があり、前記汎用印刷プログラムから、前記印刷指示による印刷対象の画像を示す中間データが前記サポートプログラムに入力された場合に、
前記印刷指示に対する前記印刷設定の前記特定項目に前記特定パラメータが設定されている場合、前記中間データに示される印刷対象の前記画像を、前記第１加工処理と同様に前記特定パラメータに従って加工する第２加工処理と、
前記第２加工処理にて加工された印刷対象の前記画像を前記プリンタに印刷させるための処理を行う印刷処理と、
を実行させる、
ように構成されるサポートプログラム。

【請求項2】

請求項１に記載するサポートプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記受付処理にて前記テスト印刷の前記実行指示が受け付けられた場合に、
前記汎用印刷プログラムに対して、前記テスト画像の印刷を前記プリンタに行わせるテスト印刷指示を入力する入力処理を実行させ、前記テスト画像の印刷を前記プリンタに行わせる前記テスト印刷指示が前記汎用印刷プログラムに入力されることで、前記汎用印刷プログラムが、前記テスト画像を示す前記中間データを前記サポートプログラムに入力し、
さらに前記コンピュータに、
前記汎用印刷プログラムから前記テスト画像を示す前記中間データが入力された場合に、前記第１加工処理および前記テスト印刷処理を実行させる、
ように構成されるサポートプログラム。

【請求項3】

請求項２に記載するサポートプログラムであって、
前記入力処理では、
前記汎用印刷プログラムに対して、前記テスト画像の印刷を前記プリンタに行わせる前記印刷指示であって、前記テスト印刷であることを示すテスト情報が関連付けられた前記印刷指示を入力し、前記テスト情報が関連付けられた前記印刷指示が入力された前記汎用印刷プログラムは、前記テスト画像を示す前記中間データであって、前記テスト情報が関連付けられた前記中間データを前記サポートプログラムに入力し、
前記コンピュータに、
前記汎用印刷プログラムから前記テスト情報が関連付けられた前記中間データが入力された場合に、前記第１加工処理および前記テスト印刷処理を実行させ、
前記汎用印刷プログラムから前記テスト情報が関連付けられていない前記中間データが入力された場合に、前記第２加工処理および前記印刷処理を実行させる、
ように構成されるサポートプログラム。

【請求項4】

請求項１に記載するサポートプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記受付処理にて前記テスト印刷の前記実行指示が受け付けられた場合に、
前記印刷設定に含まれる複数の項目のうちの前記特定項目以外の一部を、前記テスト印刷に用いる既定のパラメータで上書きする上書き処理と、
前記受付処理にて受け付けられた前記印刷設定の前記特定パラメータおよび前記上書き処理にて上書きされた前記印刷設定の前記既定のパラメータに従って、前記テスト画像を加工する前記第１加工処理と、
前記第１加工処理にて加工された前記テスト画像を、前記上書き処理にて上書きされた前記印刷設定に従って、前記プリンタに印刷させるための処理を行う前記テスト印刷処理と、
を実行させる、
ように構成されるサポートプログラム。

【請求項5】

請求項４に記載するサポートプログラムであって、
前記印刷設定の前記複数の項目には、前記特定項目として、カラーバランスに関する項目が含まれ、
さらに前記印刷設定の前記複数の項目には、前記上書き処理にて上書きの対象となる項目として、印刷対象の画像を拡大または縮小する項目が含まれ、
前記上書き処理では、
前記印刷設定の項目のうち印刷対象の画像を拡大または縮小する前記項目を、拡大および縮小のいずれもしないパラメータで上書きする、
ように構成されるサポートプログラム。

【請求項6】

請求項４に記載するサポートプログラムであって、
前記印刷設定の前記複数の項目には、前記特定項目として、カラーバランスに関する項目が含まれ、
さらに前記印刷設定の前記複数の項目には、前記上書き処理にて上書きの対象となる項目として、印刷対象の画像に所定のデータを合成する項目が含まれ、
前記上書き処理では、
前記印刷設定の項目のうち印刷対象の画像に前記所定のデータを合成する前記項目を、前記所定のデータを合成しないパラメータで上書きする、
ように構成されるサポートプログラム。

【請求項7】

請求項１から請求項６のいずれか１つに記載するサポートプログラムであって、
前記印刷設定の項目のうち、前記特定項目には、カラーバランスの項目である、明度、コントラスト、彩度、のうち少なくとも１つが含まれ、
前記第１加工処理では、
前記受付処理にて受け付けられた前記印刷設定のうち前記カラーバランスの前記特定パラメータに従って、前記テスト画像を補正する、
ように構成されるサポートプログラム。

【請求項8】

請求項１から請求項６のいずれか１つに記載するサポートプログラムであって、
前記受付処理では、
前記情報処理装置の前記ユーザインタフェースに前記設定画面を表示させ、前記設定画面を介して、前記印刷設定と、前記テスト印刷の前記実行指示と、前記テスト画像の選択と、を受け付け、
前記第１加工処理では、
前記受付処理にて受け付けられた前記印刷設定の前記特定パラメータに従って、前記受付処理にて受け付けられた前記テスト画像を加工する、
ように構成されるサポートプログラム。

【請求項9】

請求項１から請求項６のいずれか１つに記載するサポートプログラムであって、
前記印刷設定の前記特定項目は、前記汎用印刷プログラムでは対応しない項目である、
ように構成されるサポートプログラム。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本明細書に開示される技術分野は、プリンタの制御をサポートするサポートプログラムに関する。

【背景技術】

【0002】

パーソナルコンピュータ等の情報処理装置からプリンタを制御する技術として、例えば特許文献１に開示されているように、プリンタベンダから提供されるプリンタドライバによって、テスト印刷と通常の印刷を区別した印刷設定を受け付け、テスト印刷の印刷指示があった場合に、印刷対象のファイルデータを読み出してテスト印刷用の印刷ジョブを生成する構成が開示されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０１２－１０３９０５号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

近年、前述したプリンタベンダから提供されるプリンタドライバを利用せず、オペレーティングシステム（ＯＳ）の一部を構成するＯＳ標準の汎用印刷プログラムによってプリンタを制御する技術が実用化されている。この技術では、ＯＳがプリンタを検知するとＯＳ標準の汎用印刷プログラムとの関連付けを行い、以後、そのプリンタに対する印刷指示を受け付けた場合に、プリンタベンダから提供されるプリンタドライバを用いずに、ＯＳ標準の汎用印刷プログラムが印刷データを生成することで、ＯＳ標準の汎用印刷プログラムによる印刷が可能になる。

【0005】

しかしながら、前記したＯＳ標準の汎用印刷プログラムでは、固定のテストプリント機能を有するのみであり、これまでプリンタベンダから提供されるプリンタドライバが有していたような、詳細な印刷設定を受け付けるテスト印刷機能が設けられていない。そのため、例えば印刷設定のうち明度、コントラスト、彩度といったカラーバランスの項目を調整するには、設定画面を開いてデフォルトの印刷設定を変更して印刷指示を入力するといった操作を繰り返さなければならず、ユーザに不便を強いる。

【課題を解決するための手段】

【0006】

上述した課題の解決を目的としてなされたサポートプログラムは、情報処理装置のコンピュータによって実行可能であり、前記情報処理装置と接続するプリンタに対応するサポートプログラムであって、前記コンピュータに、前記情報処理装置のユーザインタフェースに設定画面を表示させ、前記設定画面を介して、印刷設定と、テスト印刷の実行指示と、を受け付ける受付処理を実行させ、さらに前記コンピュータに、前記受付処理にて前記印刷設定の特定項目に特定パラメータが受け付けられた状態で、前記受付処理にて前記テスト印刷の前記実行指示が受け付けられた場合に、前記受付処理にて受け付けられた前記印刷設定の前記特定パラメータに従って、前記テスト印刷に用いる画像であるテスト画像を加工する第１加工処理と、前記第１加工処理にて加工された前記テスト画像を前記プリンタに印刷させるための処理を行うテスト印刷処理と、を実行させ、さらに前記コンピュータに、前記情報処理装置に組み込まれているアプリケーションプログラムから出力された印刷指示であって、前記情報処理装置のオペレーティングシステムが有する汎用印刷プログラムに対して画像の印刷を前記プリンタに行わせる前記印刷指示があり、前記汎用印刷プログラムから、前記印刷指示による印刷対象の画像を示す中間データが前記サポートプログラムに入力された場合に、前記印刷指示に対する前記印刷設定の前記特定項目に前記特定パラメータが設定されている場合、前記中間データに示される印刷対象の前記画像を、前記第１加工処理と同様に前記特定パラメータに従って加工する第２加工処理と、前記第２加工処理にて加工された印刷対象の前記画像を前記プリンタに印刷させるための処理を行う印刷処理と、を実行させる、ように構成されている。

【0007】

本明細書に開示されるサポートプログラムは、設定画面を介して、印刷設定やテスト印刷の実行指示を受け付ける。サポートプログラムは、特定パラメータが受け付けられた状態でテスト印刷の実行指示があった場合に、その特定パラメータに基づいて加工したテスト画像をプリンタに印刷させる。これにより、ＯＳ標準の汎用印刷プログラムが組み込まれており、プリンタベンダによって提供されるプリンタドライバが組み込まれていない情報処理装置であっても、設定画面にて受け付けられた印刷設定を反映したテスト印刷を実行できる。従って、デフォルトの印刷設定を変更しての印刷を繰り返す場合と比較して、テスト印刷の手間が少ない。

【0008】

上記サポートプログラムが組み込まれた情報処理装置、サポートプログラムを格納するコンピュータにて読取可能な記憶媒体、及びサポートプログラムの機能を実現するための制御方法、サポートプログラムとプリンタとを含む印刷システムも、新規で有用である。

【発明の効果】

【0009】

本明細書に開示される技術によれば、ＯＳ標準の汎用印刷プログラムが組み込まれた情報処理装置において、印刷設定を調整し易いテスト印刷を実行可能な技術が実現される。

【図面の簡単な説明】

【0010】

【図1】ＰＣの電気的構成の概略を示すブロック図である。

【図2】印刷設定手順の例を示すシーケンス図である。

【図3】印刷設定画面の例を示す説明図である。

【図4】カスタム設定画面の例を示す説明図である。

【図5】テスト印刷手順の例を示すシーケンス図である。

【図6】印刷実行手順の例を示すシーケンス図である。

【発明を実施するための形態】

【0011】

以下、本形態のサポートプログラムを利用するパーソナルコンピュータ（以下、「ＰＣ」とする）について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本明細書は、ＰＣにて実行されるサポートプログラムを開示する。

【0012】

本形態のＰＣ１は、図１に示すように、ＣＰＵ１１と、メモリ１２と、を含むコントローラ１０を備えている。ＰＣ１は、情報処理装置の一例である。ＣＰＵ１１は、コンピュータの一例である。また、ＰＣ１は、ユーザインタフェース（以下、「ユーザＩＦ」とする）１３と、通信インタフェース（以下、「通信ＩＦ」とする）１４と、を備え、これらがコントローラ１０に電気的に接続されている。なお、図１中のコントローラ１０は、ＰＣ１の制御に利用されるハードウェアやソフトウェアを纏めた総称であって、実際にＰＣ１に存在する単一のハードウェアを表すとは限らない。

【0013】

ＰＣ１のＣＰＵ１１は、メモリ１２から読み出したプログラムに従って、また、ユーザの操作に基づいて、各種の処理を実行する。メモリ１２には、各種のプログラムや各種のデータが記憶されている。メモリ１２は、各種の処理が実行される際の作業領域としても利用される。ＣＰＵ１１が備えるバッファも、メモリの一例である。なお、メモリ１２の一例は、ＰＣ１に内蔵されるＲＯＭ、ＲＡＭ、ＨＤＤ等に限らず、ＣＰＵ１１が読み取り可能かつ書き込み可能なストレージ媒体、例えば、ＣＤ－ＲＯＭ、ＤＶＤ－ＲＯＭ等の記録媒体であっても良い。

【0014】

ユーザＩＦ１３は、ユーザに情報を報知するための画面を表示するハードウェアであるディスプレイ１３ａと、ユーザによる操作を受け付けるハードウェアと、を含む。なお、ユーザＩＦ１３は、情報を表示可能なディスプレイ１３ａと、入力受付機能を有するマウスやキーボード等と、の組であっても良いし、ディスプレイ１３ａの機能と入力受付機能とを備えるタッチパネルであっても良い。

【0015】

通信ＩＦ１４は、プリンタ２等の外部装置と通信を行うためのハードウェアを含む。通信ＩＦ１４の通信規格は、イーサネット（登録商標）、Ｗｉ－Ｆｉ（登録商標）、ＵＳＢなどである。ＰＣ１は、通信ＩＦ１４を介して、インターネットに接続可能であっても良い。ＰＣ１は、複数の通信規格に対応する複数の通信ＩＦ１４を備えていてもよい。

【0016】

ＰＣ１のメモリ１２には、図１に示すように、汎用印刷プログラム４１を含むオペレーティングシステム（以下、「ＯＳ」とする）２１と、補助プログラム４２と、編集アプリ４３と、を含む、各種のプログラムや各種のデータが記憶されている。補助プログラム４２は、サポートプログラムの一例である。編集アプリ４３は、アプリケーションプログラムの一例である。

【0017】

ＯＳ２１は複数のタスクを管理して切り換えることにより複数のタスクを並行して処理できるマルチタスクＯＳである。ＯＳ２１は、例えば、Ｗｉｎｄｏｗｓ（登録商標）、ｍａｃＯＳ（登録商標）、Ｌｉｎｕｘ（登録商標）、ｉＯＳ（登録商標）、Ａｎｄｒｏｉｄ（登録商標）である。

【0018】

ＯＳ２１には、汎用印刷プログラム４１が含まれている。汎用印刷プログラム４１は、ＯＳ２１のベンダによって用意され、ＯＳ２１の一部として提供されるＯＳ標準のプログラムである。汎用印刷プログラム４１は、各プリンタに固有のプリンタドライバを利用するようには構成されていない。

【0019】

汎用印刷プログラム４１は、ユーザの指示に基づいて、複数のベンダによってそれぞれ提供される複数種類のモデルのプリンタに印刷を実行させるための機能を有するプログラムである。汎用印刷プログラム４１は、多くのプリンタにて印刷を実行可能な汎用的な機能をサポートしている。汎用印刷プログラム４１は、各プリンタに固有のプリンタドライバとは異なり、各プリンタやプリンタドライバが固有に備える機能、特に複雑な処理を要する機能をサポートしていない。

【0020】

汎用印刷プログラム４１は、ユーザの指示に基づいて、各種のアプリから出力された印刷指示にて印刷対象として指定された画像データを受け取り、その画像データに基づく中間画像データを生成する機能を含むプログラムである。中間画像データは、例えば、ＸＰＳデータである。汎用印刷プログラム４１は、さらに、中間画像データに基づいて、各種のプリンタにて印刷に利用できる形式の印刷データを生成する機能を有している。印刷データは、例えば、ＰＷＧＲａｓｔｅｒデータ、または、ＰＤＦデータである。また、汎用印刷プログラム４１は、生成した印刷データを、ＯＳ２１による通信機能を介して、印刷を実行させる装置として指定されたプリンタに送信する機能を有している。

【0021】

補助プログラム４２は、汎用印刷プログラム４１の処理に付随してＯＳ２１からの指示に基づいて処理を実行するプログラムまたはプログラム群であり、対象のハードウェアの制御をサポートするプログラムである。本形態の補助プログラム４２は、ＰＣ１に接続されているプリンタ２のモデルに対応するものであり、例えば、プリンタ２のベンダによって提供される。汎用印刷プログラム４１は、印刷を実行させる装置としてプリンタ２が選択された場合、プリンタ２が選択されている状態で詳細な印刷設定の指示を受け付けた場合、プリンタ２に印刷を実行させる指示を受け付けた場合、等に、プリンタ２に対応する補助プログラム４２を起動する。補助プログラム４２は、例えば、印刷サポートアプリ（略称、ＰＳＡ）、またはハードウェアサポートアプリ（略称、ＨＳＡ）と呼ばれるものである。

【0022】

なお、補助プログラム４２は、それぞれが実行命令を受け付ける複数のプログラムの組み合わせであっても良いし、１つのプログラムであって命令に応じてそれぞれ異なる処理を実行できるプログラムであっても良い。また、補助プログラムは、プリンタのベンダによってプリンタのタイプごとに用意されるプログラムであっても良い。例えば、インクジェットプリンタ用の補助プログラムやレーザプリンタ用の補助プログラムが、それぞれ用意されても良い。プリンタのタイプごとに限らず、プリンタのモデルごとやプリンタのモデルのシリーズごとに用意される補助プログラムが有っても良い。

【0023】

ＰＣ１のＯＳ２１は、例えば、新たなプリンタがＰＣ１に接続された場合、接続されたプリンタのタイプやモデルに応じて、適切な補助プログラムをプリンタのベンダのサーバ等からダウンロードしてＰＣ１に組み込むことができる。ＯＳ２１は、組み込んだ補助プログラムの識別情報を新たに接続されたプリンタのプリンタ情報に対応付けて、メモリ１２に記憶させる。

【0024】

編集アプリ４３は、例えば、画像データや文書データの作成や編集を行うためのプログラムである。編集アプリ４３は、例えば、マイクロソフト（登録商標）製のワード（登録商標）やパワーポイント（登録商標）などであっても良いし、プリンタ２のベンダから提供されるプログラムであっても良い。編集アプリ４３は、ユーザＩＦ１３を介して、例えば、プリンタ２に印刷を実行させる印刷実行指示を受け付け可能である。なお、編集アプリ４３は、データの作成や編集を行うためのプログラムに限らず、ユーザの要求に応じて、地図情報やウェブページ等の各種の情報の表示指示や印刷指示を受け付ける機能を有するプログラムであっても良い。

【0025】

本形態のＰＣ１は、通信ＩＦ１４を介して、図１に示すように、プリンタ２に接続されている。プリンタ２は、少なくとも印刷機能と通信機能とを有する装置である。プリンタ２は、例えば、ＰＣ１等から印刷データを受信した場合、受信した印刷データに基づく印刷を実行可能である。本形態では、プリンタ２は、カラー印刷可能な装置である。

【0026】

次に、本形態のＰＣ１において、印刷に関する動作の手順について、シーケンス図を参照して説明する。なお、本形態における各処理は、基本的に、補助プログラム４２などのプログラムに記述された命令に従ったＣＰＵ１１の処理を示す。ＣＰＵ１１による処理は、ＯＳ２１のＡＰＩを用いたハードウェアの制御も含む。本明細書では、ＯＳ２１の詳細な記載を省略して各プログラムの動作を説明する。また、「取得」は要求を必須とはしない概念で用いる。

【0027】

印刷に関する手順として、まず、印刷設定手順について、図２のシーケンス図を参照して説明する。編集アプリ４３は、ユーザの指示に基づいて、文章や画像の作成や編集を受け付ける。そして、表示中の文章や画像を印刷させたい場合、ユーザは、編集アプリ４３にて印刷を選択する（Ａ０１）。ユーザは、例えば編集アプリ４３に設けられた操作項目のメニューから、印刷を選択できる。

【0028】

編集アプリ４３は、印刷の選択を受け付けると、ＯＳ２１の汎用印刷プログラム４１に印刷に関する指示を受け付ける画面の表示を要求する（Ａ０２）。汎用印刷プログラム４１は、要求に応じて、印刷設定画面をユーザＩＦ１３に表示させる（Ａ０３）。印刷設定画面は、汎用印刷プログラム４１にて受け付け可能な各種の印刷設定について、ユーザの指示を受け付ける画面である。なお、印刷設定画面の表示は、編集アプリ４３が行っても良い。

【0029】

印刷設定画面の例を図３に示す。図３の例の印刷設定画面Ｄ２は、プリンタ選択欄５１、情報表示欄５２、基本的な印刷設定の選択欄５３、詳細設定ボタン５４、印刷ボタン５５、を含む。プリンタ選択欄５１は、印刷を実行させるデバイスの選択を受け付ける欄である。情報表示欄５２は、プリンタ選択欄５１にて選択されたデバイスに対応する補助プログラムによって指定された情報を表示する欄である。例えば、プリンタ選択欄５１にてプリンタ２の選択を受け付けた場合、または、ＯＳ２１にて通常使用するプリンタとしてプリンタ２が設定されている状態で印刷の指示を受け付けた場合、汎用印刷プログラム４１は、補助プログラム４２を起動し、補助プログラム４２によって用意される画像を情報表示欄５２に表示することができる。

【0030】

基本的な印刷設定の選択欄５３は、印刷部数や原稿の向き等の基本的な設定を受け付ける欄である。詳細設定ボタン５４は、基本的な印刷設定の選択欄５３には含まれない詳細な設定を行う指示を受け付けるボタンである。印刷ボタン５５は、選択中の印刷設定での印刷の実行指示を受け付けるボタンである。

【0031】

例えば、プリンタ選択欄５１にて、印刷を実行させるデバイスとしてプリンタ２が選択された状態で、詳細設定ボタン５４への操作によって詳細な印刷設定の指示を受け付けた場合（Ａ１１）、汎用印刷プログラム４１は、プリンタ２に対応する補助プログラム４２に、詳細な印刷設定の受け付けを開始する指示を渡す（Ａ１２）。

【0032】

補助プログラム４２は、Ａ１２の指示に応じて起動されると、プリンタ２の能力情報を取得する。具体的には、補助プログラム４２は、能力情報の取得を汎用印刷プログラム４１に要求する（Ａ１３）。汎用印刷プログラム４１は、能力情報を要求するコマンドをプリンタ２に送信し、プリンタ２から能力情報を取得する（Ａ１４）。汎用印刷プログラム４１は、取得した能力情報を補助プログラム４２に渡す（Ａ１５）。これにより、補助プログラム４２は、プリンタ２の能力情報を取得できる。

【0033】

なお、汎用印刷プログラム４１は、Ａ１４において、ＯＳ２１を介して、例えば、ＩＰＰ（internet printing protocolの略）に応じた通信によって、プリンタ２との通信を行う。なお、補助プログラム４２は、汎用印刷プログラム４１に要求する代わりに、例えば、ＭＩＢ（Management Information Baseの略）を使って、プリンタ２から直接、能力情報を取得しても良い。

【0034】

プリンタ２から取得される能力情報には、印刷設定として設定可能なパラメータの情報が含まれる。能力情報には、さらに、例えば、消耗品の残量情報、選択可能なトレイの情報、各トレイに設定されている用紙の用紙情報、対応可能な印刷解像度の情報、が含まれていても良い。また、プリンタ２は、受け付けた印刷ジョブに基づいて画像処理を行って、画像処理後のデータに基づいて印刷する機能、例えば、Ｎｉｎ１等の集約印刷、ウォータマーク等の合成印刷、着色材を節約する節約印刷、を行う機能を有していても良い。プリンタ２にて実行可能な画像処理の機能を有している場合、プリンタ２は、その機能の情報を含む能力情報を渡しても良い。また、プリンタ２は、自身のステータスを示す情報を含む能力情報を渡しても良い。

【0035】

補助プログラム４２は、取得した能力情報に基づいて、詳細な印刷設定を受け付ける詳細設定画面をユーザＩＦ１３に表示させる（Ａ１７）。補助プログラム４２によって表示される詳細設定画面には、プリンタ２にて実行可能な範囲のパラメータが選択肢として含まれる。補助プログラム４２は、表示中の詳細設定画面へのユーザの操作を受け付け可能である。なお、詳細設定画面にて受け付け可能な印刷設定の項目は多いことから、補助プログラム４２は、例えば、複数のタブによって、選択対象の項目の切り替え指示を受け付け可能であっても良い。

【0036】

補助プログラム４２は、ユーザの操作に応じて、例えば、テスト印刷に関する指示を受け付け可能である。補助プログラム４２は、テスト印刷に関するユーザの指示を受け付ける画面として、例えば、図４に示すようなカスタム設定画面６０をユーザＩＦ１３に表示させることができる。カスタム設定画面６０は、設定画面の一例である。

【0037】

図４に示すカスタム設定画面６０には、カラーバランスの各項目についての設定欄６１と、テスト画像選択ボタン６２と、テスト印刷実行ボタン６３と、が含まれる。設定欄６１は、印刷設定に含まれるカラーバランスの項目に関する各種の設定を受け付ける欄である。選択可能なカラーバランスの項目には、例えば、明度、コントラスト、彩度の少なくとも１つが含まれる。設定欄６１に含まれる各項目は、特定項目の一例である。設定欄６１の各項目にて受け付ける設定値は、特定パラメータの一例である。

【0038】

図４に示すカスタム設定画面６０は、設定欄６１にて、ブライトネス（明度）とコントラストと赤緑青の各色の色強度との各項目について、設定を受け付け可能な画面である。補助プログラム４２は、カスタム設定画面６０の設定欄６１の各項目について、デフォルトの設定からの離間の程度を示す設定値を、例えば、－２０から＋２０までの範囲で受け付ける。なお、補助プログラム４２は、さらに、彩度や黒強度の設定を受け付け可能であっても良い。

【0039】

テスト画像選択ボタン６２は、テスト印刷を実行する場合に、テスト印刷での印刷対象とする画像の選択を受け付けるボタンである。テスト画像選択ボタン６２への操作を受け付けると、補助プログラム４２は、例えば、ＰＣ１に記憶されている各種の画像から、テスト印刷の対象となる画像の選択を受け付ける。補助プログラム４２は、例えば、インターネットを介して、画像をダウンロードできても良い。

【0040】

テスト印刷実行ボタン６３は、テスト印刷の実行指示を受けつけるボタンである。テスト印刷の実行指示は、デフォルトのテスト画像、あるいは、テスト画像選択ボタン６２にて選択を受け付けたテスト画像を、設定欄６１にて設定されている印刷設定を用いて印刷する指示である。

【0041】

カスタム設定画面６０を表示させた状態で、テスト印刷に関する指示を受け付けた場合の手順について、図５のシーケンス図を参照して説明する。ユーザは、例えば、図４に示したカスタム設定画面６０にて、設定欄６１の各項目の設定値を設定し（Ｂ０１）、その状態で、テスト印刷実行ボタン６３への操作を行うことで、テスト印刷の実行指示を行うことができる（Ｂ０２）。Ｂ０１およびＢ０２は、受付処理の一例である。

【0042】

補助プログラム４２は、テスト印刷実行ボタン６３への操作を受け付けたことに基づいて、テスト印刷に関する設定を含め、設定されている印刷設定の情報を記憶する（Ｂ０３）。さらに、補助プログラム４２は、印刷指示に、テスト印刷を示す情報を付加して（Ｂ０４）、汎用印刷プログラム４１に渡す（Ｂ０５）。Ｂ０５は、入力処理の一例である。Ｂ０５にて汎用印刷プログラム４１に入力される印刷指示は、テスト印刷指示の一例である。Ｂ０５では、補助プログラム４２は、例えば、指定されているテスト画像を示す画像データと、テスト印刷を示す情報を付加した印刷設定と、を汎用印刷プログラム４１に渡す。テスト印刷を示す情報は、テスト情報の一例である。

【0043】

Ｂ０５では、補助プログラム４２は、印刷実行の指示を、補助プログラム４２に紐づくプリントキューとして汎用印刷プログラム４１によって用意されているプリントキューに入力する。なお、この印刷実行の指示は、後述する印刷実行手順において、編集アプリ４３が汎用印刷プログラム４１に対して行う印刷指示と、同様の指示である。

【0044】

汎用印刷プログラム４１は、このプリントキューにて印刷実行の指示を受け取った場合、プリンタ２に印刷させるための手順の実行を開始する。汎用印刷プログラム４１は、印刷対象の画像を示す画像データに基づいて、中間画像データを生成して（Ｂ１１）、補助プログラム４２を起動する（Ｂ１２）。補助プログラム４２は、汎用印刷プログラム４１に要求することで、汎用印刷プログラム４１によって生成された中間画像データを取得できる。なお、この手順では、印刷対象の画像は、補助プログラム４２から渡されたテスト画像である。

【0045】

つまり、汎用印刷プログラム４１は、テスト印刷を示す情報が関連付けられた印刷指示が入力された場合、印刷対象の画像であるテスト画像を示す中間画像データを生成し、テスト印刷を示す情報が関連付けられた中間画像データを、補助プログラム４２に入力する。ただし、汎用印刷プログラム４１は、テスト印刷を示す情報が関連付けられているか否かの判断を行う必要はなく、通常の印刷実行手順と同様に、中間画像データの生成や補助プログラム４２の起動を行う。

【0046】

補助プログラム４２は、汎用印刷プログラム４１から受け取った実行指示に応じて、まず、テスト印刷を示す情報が付加されたテスト印刷の指示であるか否かを判断する。なお、この手順では、Ｂ０４にて補助プログラム４２は、印刷指示にテスト印刷を示す情報を付加している。従って、Ｂ１２では、補助プログラム４２は、テスト印刷を示す情報が付加された印刷指示を受け取ることから、テスト印刷の指示であると判断できる。

【0047】

テスト印刷の指示であると判断した場合（ａｌｔ：［テスト印刷］）、補助プログラム４２は、印刷設定を調整する（Ｂ２１）。補助プログラム４２は、例えば、テスト印刷に関連しない印刷設定の項目について、既定のパラメータで上書きする。Ｂ２１は、上書き処理の一例である。

【0048】

このテスト印刷は、カラーバランスを確認するための印刷であり、カラーバランスに無関係の項目についての設定が含まれたままで印刷されると、その印刷物ではカラーバランスが分かりにくくなる可能性がある。また、カラーバランスに無関係の項目であって、ユーザの手間が増える項目、テスト印刷の遅延や消耗品の無駄が生じる可能性のある項目については、行わない設定とすることが好ましい。

【0049】

具体的には、補助プログラム４２は、画像の拡大または縮小を伴う項目については、拡大および縮小のいずれもしないパラメータで上書きする。例えば、印刷設定にスケーリングの設定や集約印刷の設定が含まれている場合、補助プログラム４２は、スケーリングの倍率を１００％とし、集約しない設定とする。また、補助プログラム４２は、所定のデータを合成する項目については、所定のデータを合成しないパラメータで上書きする。例えば、ウォータマークの付加やヘッダまたはフッタの付加の設定が含まれている場合、補助プログラム４２は、ウォータマークを付加しない設定とし、ヘッダおよびフッタを付加しない設定とする。

【0050】

また、補助プログラム４２は、１面への印刷以外の動作を含む項目については、その動作を行わないパラメータで上書きする。補助プログラム４２は、例えば、両面印刷の設定を片面印刷とし、２部以上の部数を１部とする。また、補助プログラム４２は、印刷前にユーザの操作を必要とする設定を操作を必要としないパラメータで上書きする。補助プログラム４２は、例えば、テスト印刷の実行指示を受け付けた後のプレビュー表示や、蓄積印刷を行わない設定とする。

【0051】

補助プログラム４２は、印刷設定の一部の項目をテスト印刷用の既定のパラメータに上書きするので、テスト印刷に不要な印刷設定の影響が排除され、適切なテスト印刷を実行できる。なお、例えば、編集アプリ４３から出力される印刷指示に基づいて、汎用印刷プログラム４１から出力される実行指示は、テスト印刷を示す情報を含まない実行指示である。補助プログラム４２は、テスト印刷の情報を含まない実行指示を受け取った場合、Ｂ２１を実行しない。編集アプリ４３から出力される印刷指示に基づく印刷実行手順については、後述する。

【0052】

さらに、補助プログラム４２は、調整済みの印刷設定と中間画像データとを汎用印刷プログラム４１に渡し、汎用印刷プログラム４１にラスタライズを要求する（Ｂ２２）。汎用印刷プログラム４１は、中間画像データをラスタライズし、ビットマップデータであるラスタデータを生成する（Ｂ２３）。さらに、汎用印刷プログラム４１は、生成したラスタデータを補助プログラム４２に渡す（Ｂ２４）。これにより、補助プログラム４２は、ラスタデータを取得する。Ａ３４にて補助プログラム４２が取得するラスタデータは、テスト画像のラスタデータであり、テスト印刷の情報が付加されている。

【0053】

補助プログラム４２は、取得したラスタデータを、テスト印刷の印刷設定に基づいて加工する（Ｂ２５）。Ｂ２５は、第１加工処理の一例である。汎用印刷プログラム４１によって生成されるラスタデータは、例えば、各ドットがＲＧＢ値で表現されたビットマップデータである。補助プログラム４２は、例えば、各ドットのＲＧＢ値をカスタム設定画面６０（図４参照）の設定欄６１にて受け付けた各設定に基づいて、補正する。例えば、ブライトネスの設定が「＋２０」であれば、ＲＧＢ値を全体的に大きくし、レッドの設定が「－２０」であれば、Ｒの値を小さくする。補助プログラム４２は、テスト印刷の印刷設定の情報を、Ｂ０３にて記憶している。なお、補助プログラム４２は、テスト印刷の印刷設定に基づく加工を、中間画像データに対して施しても良いし、ＲＧＢ値をＣＭＹＫ値に変換したＣＭＹＫデータに対して施しても良い。

【0054】

補助プログラム４２は、加工済みのラスタデータをＰＤＬデータにエンコードして、印刷データを生成する。さらに、補助プログラム４２は、生成した印刷データを汎用印刷プログラム４１に渡して、プリンタ２への送信を指示する（Ｂ２６）。Ｂ２６は、テスト画像をプリンタ２に印刷させるための処理であり、テスト印刷処理の一例である。

【0055】

汎用印刷プログラム４１は、補助プログラム４２の指示に応じて、印刷データをプリンタ２に送信し、印刷を指示する（Ｂ２７）。プリンタ２は、受信した印刷データに基づいて、印刷を実行する（Ｂ２８）。これにより、テスト印刷の設定でテスト画像を印刷した印刷物が生成される。

【0056】

補助プログラム４２は、Ｂ２５にて加工したラスタデータに基づく印刷データを汎用印刷プログラム４１に渡して印刷を指示するので、ユーザの設定に基づいてカラーバランスが調整されたテスト画像が印刷される。つまり、補助プログラム４２は、汎用印刷プログラム４１では対応しない項目についての設定を含むテスト印刷を実行できるので、テスト印刷の自由度が高い。

【0057】

なお、補助プログラム４２は、Ｂ０２にてテスト印刷実行の指示を受け付けた後も、前述したカスタム設定画面６０（図４参照）をアクティブに表示しており、カスタム設定画面６０中の各ボタンへの操作を受け付け可能である。ユーザは、必要に応じてテスト印刷の印刷設定を変更して、テスト印刷の実行指示を再度行うことができる。

【0058】

図２の手順の説明に戻る。テスト印刷が終了したら、ユーザは、例えば、カスタム設定画面６０にてＯＫボタンを操作することで、印刷設定を終了する指示を行うことができる。補助プログラム４２は、ユーザによる詳細な設定を終了する指示の入力を受け付けた場合（Ａ２２）、カスタム設定画面６０等の設定画面の表示を終了し、受け付けた印刷設定の情報を記憶する（Ａ２３）。

【0059】

Ａ２３にて記憶される印刷設定の情報には、カスタム設定画面６０の設定欄６１にて受け付けたカラーバランスの各項目についてのパラメータの情報が含まれる。なお、補助プログラム４２は、図５のＢ０３にてテスト印刷の印刷設定を記憶している場合、記憶している印刷設定を、Ａ２２の入力を受け付けた際に設定されていた印刷設定に書き換える。

【0060】

そして、補助プログラム４２は、詳細な印刷設定の受け付け終了を汎用印刷プログラム４１に通知する（Ａ２５）。汎用印刷プログラム４１は、補助プログラム４２の通知に基づいて、印刷設定の終了を編集アプリ４３に通知する（Ａ２６）。補助プログラム４２は、印刷設定の受け付け終了を編集アプリ４３に通知しても良い。編集アプリ４３は、Ａ０３にて表示させた印刷設定画面（例えば、図３に示した印刷設定画面Ｄ２）をアクティブにし、印刷実行の指示や印刷のキャンセルの指示等のユーザの指示を受け付け可能な状態となる。

【0061】

なお、前述したように、印刷設定画面Ｄ２（図３参照）には、補助プログラム４２によって用意される画像を表示可能な情報表示欄５２が含まれる。また、汎用印刷プログラム４１は、情報表示欄５２への操作を受け付けた場合、補助プログラム４２にその操作の情報を渡す。そこで、補助プログラム４２は、情報表示欄５２に、例えば、テスト印刷の実行指示を受け付け可能な情報画面を表示させ、情報表示欄５２へのユーザの指示によって、テスト印刷の実行指示を受け付けることができる。補助プログラム４２は、情報表示欄５２を介して受け付けた場合にも、図５に示した手順によって、テスト印刷を実行可能である。

【0062】

次に、印刷実行手順について、図６のシーケンス図を参照して説明する。ユーザは、印刷対象の画像とプリンタ２での印刷設定とを決定した後、編集アプリ４３にて印刷実行の指示を入力する（Ｃ０１）。編集アプリ４３は、例えば、図３に示した印刷設定画面Ｄ２にて印刷ボタン５５への操作を受け付けた場合、汎用印刷プログラム４１に対して、選択中の画像の印刷をプリンタ２に行わせる実行指示を、受け付けたと判断する。

【0063】

編集アプリ４３は、受け付けた印刷指示の情報を汎用印刷プログラム４１に渡す（Ｃ０２）。汎用印刷プログラム４１は、印刷指示の情報として、印刷対象の画像を示す画像データと印刷設定を示す情報と、を編集アプリ４３から取得する。

【0064】

汎用印刷プログラム４１は、編集アプリ４３から取得した情報に基づいて、印刷対象の画像の画像データの形式を中間画像データの形式に変換することで、中間画像データを生成する（Ｃ０３）。編集アプリ４３に含まれる画像データは種々のタイプのものであり、汎用印刷プログラム４１は、印刷対象の画像データを、印刷データの生成に適した中間画像データに変換する。なお、印刷対象の画像データが印刷データの生成に適したデータであれば、中間画像データの生成を省略し、そのまま中間画像データとしても良い。

【0065】

なお、汎用印刷プログラム４１は、中間画像データの生成前に、指定されたデバイスであるプリンタ２に対応する補助プログラム４２を起動して、印刷ジョブの処理を開始したことを通知しても良い。補助プログラム４２は、汎用印刷プログラム４１から起動された場合、中間画像データを生成する際に利用される各種の指示を示す情報を、必要に応じて、汎用印刷プログラム４１に渡すことができる。

【0066】

汎用印刷プログラム４１は、中間画像データを生成した後、補助プログラム４２を起動する（Ｃ０５）。補助プログラム４２は、汎用印刷プログラム４１に要求することで、汎用印刷プログラム４１によって生成された中間画像データを取得できる。Ｃ０５にて、汎用印刷プログラム４１から補助プログラム４２に入力される中間画像データは、中間データの一例である。そして、補助プログラム４２は、受け付け済みの印刷設定に基づいて、汎用印刷プログラム４１から受け取った中間画像データや印刷設定の情報を編集することができる。補助プログラム４２は、図２のＡ２３にて記憶した印刷設定の情報を読み出して、中間画像データや印刷設定の情報を編集する。

【0067】

なお、図６に示す印刷実行手順では、図５に示したテスト印刷の手順とは異なり、汎用印刷プログラム４１は、Ｃ０２にて編集アプリ４３から受け取った印刷指示に基づく中間画像データを補助プログラム４２に渡す。この印刷指示では、図５のＢ０４の手順を介さないことから、テスト印刷を示す情報は付加されていない。従って、補助プログラム４２は、図５のＢ２１に示したような印刷設定の調整を行わず、図２のＡ２３にて記憶した印刷設定の情報をそのまま適用する。例えば、印刷設定にカラーバランスに無関係の項目が含まれていても、補助プログラム４２は、その項目のパラメータを変更しない。

【0068】

補助プログラム４２は、中間画像データを汎用印刷プログラム４１に渡し、汎用印刷プログラム４１にラスタライズを要求する（Ｃ１１）。汎用印刷プログラム４１は、中間画像データをラスタライズし、ビットマップデータであるラスタデータを生成する（Ｃ１２）。さらに、汎用印刷プログラム４１は、生成したラスタデータを補助プログラム４２に渡す（Ｃ１３）。これにより、補助プログラム４２は、ラスタデータを取得する。

【0069】

なお、図５のＢ２２～Ｂ２４や図６のＣ１１～Ｃ１３では、汎用印刷プログラム４１がラスタデータを生成するとしたが、例えば、汎用印刷プログラム４１に代えて補助プログラム４２がラスタライズを行っても良い。その場合、補助プログラム４２は、印刷の実行指示にて受け取った中間画像データに基づいてラスタライズを実行し、ラスタデータを生成する。補助プログラム４２にてラスタライズすれば、汎用印刷プログラム４１にてラスタライズする場合に比較して自由度が大きく、プリンタ２での印刷に適したラスタデータが生成される可能性が高い。一方、汎用印刷プログラム４１によってラスタライズするとすれば、補助プログラム４２の処理が少なく、補助プログラム４２のプログラムサイズを小さくできる。

【0070】

そして、補助プログラム４２は、Ｃ１３にて取得したラスタデータを、印刷設定に基づいて加工する（Ｃ１５）。Ｃ１５は、第２加工処理の一例である。印刷設定として、前述したカスタム設定画面６０（図４参照）の設定欄６１にて受け付けたカラーバランスの項目についての設定が含まれている場合、補助プログラム４２は、図５のＢ２５の手順と同様に、例えば、ビットマップデータの各ドットのＲＧＢ値を、受け付けた各設定に基づいて、補正する。さらに、補助プログラム４２は、加工済みのラスタデータをＰＤＬデータにエンコードして、印刷データを生成する。

【0071】

さらに、補助プログラム４２は、生成した印刷データを汎用印刷プログラム４１に渡し、プリンタ２への送信を指示する（Ｃ２１）。Ｃ２１は、プリンタ２に印刷させるための処理であり、印刷処理の一例である。

【0072】

図５のＢ２６や図６のＣ２１にて補助プログラム４２が汎用印刷プログラム４１に渡す印刷データは、プリンタ２にて印刷可能な形式のデータであればよい。なお、補助プログラム４２によって生成されるＰＤＬデータは、プリンタ２のモデル以外のプリンタでの印刷にも使用できる形式のデータであっても良い。

【0073】

汎用印刷プログラム４１は、補助プログラム４２の指示に応じて、印刷データをプリンタ２に送信し、印刷を指示する（Ｃ２２）。プリンタ２は、受信した印刷データに基づいて、印刷を実行する（Ｃ２３）。これにより、編集アプリ４３から出力された印刷指示に基づいて、ユーザの設定したカラーバランスが適用された印刷物が生成される。

【0074】

なお、図５のＢ２６や図６のＣ２１では、印刷データを汎用印刷プログラム４１に渡して、汎用印刷プログラム４１からプリンタ２に送信させるとしたが、その代わりに、補助プログラム４２が、印刷の実行を指示する印刷コマンドと印刷データとをプリンタ２に送信しても良い。補助プログラム４２は、例えば、プリンタ２にて実行可能な画像処理に関する設定が印刷設定として含まれる場合、その処理の情報も含む印刷コマンドを生成しても良い。この場合、補助プログラム４２は、印刷データの送信完了後に、終了の情報を汎用印刷プログラム４１に通知すると良い。

【0075】

以上、詳細に説明したように、本形態の補助プログラム４２は、カスタム設定画面６０（図４参照）にて印刷設定やテスト印刷の実行指示を受け付け、カラーバランスの項目への設定が受け付けられた状態でテスト印刷の実行指示があった場合に、その設定に基づいて加工したテスト画像をプリンタに印刷させる。これにより、ＯＳ２１に汎用印刷プログラム４１が組み込まれており、プリンタベンダによって提供されるプリンタドライバが組み込まれていないＰＣ１であっても、カスタム設定画面６０にて受け付けられた印刷設定を反映したテスト印刷を実行することができる。従って、デフォルトの印刷設定を変更しての印刷を繰り返す場合と比較して、テスト印刷の手間が少ない。

【0076】

さらに、本形態の補助プログラム４２は、図５に示したテスト印刷手順のＢ２２～Ｂ２８にて、図６に示した印刷実行手順のＣ１１～Ｃ２３と同様の手順を汎用印刷プログラム４１に実行させる。つまり、補助プログラム４２は、テスト印刷のための印刷指示を汎用印刷プログラム４１に入力することで、印刷実行手順と同じ手順でテスト印刷を行わせることができる。従って、補助プログラム４２にてテスト印刷用の手順を用意する必要が無く、補助プログラム４２の負荷が軽減されている。

【0077】

なお、本明細書に開示される実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本明細書に開示される技術は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。例えば、ＰＣ１に接続される装置は、プリンタに限らず、複合機、複写機、ＦＡＸ装置、等印刷機能を有する装置であればよい。また、ＰＣ１に接続されるプリンタの数は、図示の例に限らず、２台以上でも良い。

【0078】

また、例えば、ユーザＩＦ１３に表示される画面の例は、いずれも一例であって、図示の例に限らない。また、図示の各画面中に表示される文言やオブジェクトの形状、背景等は、どのようなものでも良い。例えば、図４では、設定欄６１とテスト印刷実行ボタン６３とを１画面に含むカスタム設定画面６０を示したが、これらは別々の画面にて受け付けるとしても良い。また、例えば、図３では１つの情報表示欄５２を含む印刷設定画面Ｄ２を示したが、情報表示欄５２の配置や形状、大きさ、個数等は、この図の例に限らない。また、情報表示欄５２は、無くても良い。

【0079】

また、例えば、図４では、テスト画像の選択を受け付けるテスト画像選択ボタン６２を含むカスタム設定画面６０を示したが、テスト画像の選択は受け付けなくても良い。補助プログラム４２は、予め決められた特定のテスト画像を用いるとしても良いし、予め用意した複数のテスト画像からの選択のみを受け付けるとしても良い。一方、テスト画像として任意の画像の選択を受け付けるとすれば、ユーザの選択の幅が広く、テスト印刷の自由度が高い。

【0080】

また、例えば、テスト印刷において設定を受け付ける項目は、カラーバランスの項目に限らない。印刷に適用可能な項目であれば、受け付け可能であっても良い。また、カラーバランスの項目以外の項目について、パラメータの上書きは、行わなくても良い。ただし、カラーバランスの項目についてのテスト印刷を行いたいユーザにとっては、他の項目のパラメータを規定値とすることで、テスト印刷の結果を確認し易い。補助プログラム４２は、カラーバランス以外の項目のパラメータを、一時的に外すか否かの選択を受け付け可能であっても良い。

【0081】

また、例えば、プリンタ２がカラー印刷を実行不可能な状態である場合、例えば、プリンタ２の操作パネルを介して、カラー印刷を行わない設定を受け付けている場合、補助プログラム４２は、カラーバランスの項目への設定を受け付け不能としても良い。また、プリンタ２がカラー印刷を実行不可能な状態である場合、補助プログラム４２は、テスト印刷の実行指示を受け付けないとしても良い。

【0082】

また、補助プログラム４２がプリンタ２の能力情報を取得するタイミングは、図２に示した例に限らない。補助プログラム４２は、例えば、印刷設定画面Ｄ２（図３参照）の表示前に汎用印刷プログラム４１から起動された場合には、プリンタ２の能力情報の取得を要求しても良い。また、補助プログラム４２は、印刷実行の指示を受け付けた後に、プリンタ２の能力情報を、再度、取得しても良い。

【0083】

また、汎用印刷プログラム４１によって印刷設定画面Ｄ２が表示された後に、ユーザの操作によって、ＯＳ２１を介して、通常使うプリンタが他のプリンタからプリンタ２に変更された場合にも、汎用印刷プログラム４１は、補助プログラム４２を起動しても良い。その場合も、補助プログラム４２は、例えば、情報表示欄５２にテスト印刷に関する指示を受け付け可能な情報画面を表示させても良い。

【0084】

また、補助プログラム４２は、印刷が選択された場合に限らず、例えば、デバイスの設定としてプリンタ２が選択された場合にも起動されても良い。その場合でも、補助プログラム４２は、カラーバランスに関する設定を受け付け可能な設定画面を表示しても良い。デバイスの設定としてカラーバランスの設定を受け付けた場合、補助プログラム４２は、受け付けた設定の情報を、デフォルトの印刷設定として記憶する。

【0085】

また、実施の形態では、補助プログラム４２の動作として、印刷動作のみを詳細に記載しているが、補助プログラム４２は、さらに他の役割を有していても良い。また、本形態の処理を実行するプログラムは、補助プログラム４２に限らず、汎用印刷プログラム４１を用いた印刷を行う際に、ＯＳ２１または汎用印刷プログラム４１から指示を受け付けるプログラムであればよい。例えば、マイクロソフト社が仕様公開した印刷ワークフローアプリ（Print workflow）でも良い。

【0086】

また、補助プログラム４２の実行タイミングは、実施の形態の例に限らない。例えば、ＯＳ２１から直接実行指示されて実行されても良く、または、常駐される補助プログラム４２であっても良い。常駐される場合には、補助プログラム４２は、実行命令を受けて前述した動作を行うとすれば良い。

【0087】

また、実施の形態に開示されている任意のフローチャートにおいて、任意の複数のステップにおける複数の処理は、処理内容に矛盾が生じない範囲で、任意に実行順序を変更できる、または並列に実行できる。

【0088】

また、実施の形態に開示されている処理は、単一のＣＰＵ、複数のＣＰＵ、ＡＳＩＣなどのハードウェア、またはそれらの組み合わせで実行されてもよい。また、実施の形態に開示されている処理は、その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体、または方法等の種々の態様で実現することができる。

【符号の説明】

【0089】

１ ＰＣ
２ プリンタ
１１ ＣＰＵ
１３ ユーザＩＦ

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】