(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112443
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】スパッツ
(51)【国際特許分類】
A41D 13/06 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
A41D13/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017445
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】390000262
【氏名又は名称】田村駒株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114764
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100178124
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 英樹
(72)【発明者】
【氏名】新庄 泰武
【テーマコード(参考)】
3B011
3B211
【Fターム(参考)】
3B011AA05
3B011AA12
3B011AB08
3B011AB11
3B011AC17
3B211AA05
3B211AA12
3B211AB08
3B211AB11
3B211AC17
(57)【要約】
【課題】使用者が安定して歩行や運動することができるスパッツを提供することを目的とする。
【解決手段】人体のウエストラインから踝上方までの体表面に密着して着用される、伸縮性を有するスパッツである。スパッツは、高い伸縮性を有する基材部と、基材部よりも伸縮性が低い帯状部とから構成される。大腿部を被覆する第2の被覆部2において、下方に向かうに従って外側から内側に至る位置に設けられた第一帯状部101と、下方に向かうに従って内側から外側に至る位置に設けられ、第一帯状部101と交差する第二帯状部102が設けられる。第一帯状部101は、第二帯状部102よりも伸縮性が低くなるように形成され、第一帯状部101および第二帯状部102の伸縮性が長さ方向に沿って連続的に変化している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の少なくともウエストラインから踝上方までの体表面に密着して着用され、伸縮性を有する基材部と帯状部から構成されるスパッツであって、
使用者の股上部を被覆する第1の被覆部と、使用者の大腿部を被覆する第2の被覆部と、使用者の膝部を被覆する第3の被覆部と、使用者の下腿部を被覆する第4の被覆部とを備え、
前記第2の被覆部は、下方に向かうに従って外側から内側に至る位置に設けられた第一帯状部と、下方に向かうに従って内側から外側に至る位置に設けられ、第一帯状部と交差する第二帯状部とが設けられ、
前記第一帯状部および/又は前記第二帯状部の伸縮率が長さ方向に沿って連続的又は段階的に変化していることを特徴とするスパッツ。
【請求項2】
前記第一帯状部および/又は前記第二帯状部は、伸縮率が下方に向かうに従い次第に小さくなるよう変化している請求項1に記載のスパッツ。
【請求項3】
前記第一帯状体および前記第二帯状体は、前記第2の被覆部における基材部よりも伸縮率が低くなるように構成される請求項1に記載のスパッツ。
【請求項4】
前記第一帯状体は、前記第二帯状体よりも伸縮率が低くなるように構成される請求項1に記載のスパッツ。
【請求項5】
前記第一帯状体および前記第二帯状体は、上端部が前記第1被覆部まで延びるとともに、下端部が第3被覆部まで延びるように構成されている請求項1に記載のスパッツ。
【請求項6】
前記第3の被覆部は、膝蓋部を囲繞する帯状部が設けられている請求項1に記載のスパッツ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の下半身に着用されるスパッツに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、運動時、治療時あるいは日常生活において、使用者の下半身にスパッツが着用されることが多くなってきている。このスパッツは、一般に伸縮性を有する素材で構成されており、使用者の歩行やジョギング等の各種動作をサポートする。
【0003】
このようなスパッツとして、例えば、特許文献1には、伸縮性を有する素材から成る医療用又はスポーツ用衣服であって、膝部の内側及び外側の側面部に三日月形状の切替え部を有すること、そして着用時に、脚部に段階的着圧が加えられることを特徴とする医療用又はスポーツ用衣服としてのスパッツが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、伸縮性を有する素材からなり、大腿四頭筋、大腿屈筋群及び内転筋群を覆う大腿部の衣服圧と、下腿伸筋群及び下腿屈筋群を覆う下腿部の衣服圧が、膝関節直下を通る線を境界線として異なり、大腿部の衣服圧より下腿部の衣服圧を高くする下衣としてのスパッツが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】再公表2010-82677号公報
【特許文献2】特開平10-130915号公報
【特許文献3】特開2004-232157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のスパッツは、いずれも下腿部から大腿部にかけて単に着圧が段階的に大きくなるように構成されているに過ぎないため、使用者の歩行や運動の安定性に欠けるという課題があった。
【0007】
そこで、特許文献3には、高い伸縮性を有する伸縮部と、伸縮部よりも伸縮性が低い低伸縮部とから構成され、前記低伸縮部は、大腿部外側から膝蓋部より上を経由して下腿部内側に至る位置に設けられた第一帯状部と、大腿部内側を通り、膝蓋部より上で第一帯状部と交差し、下腿部外側に至る位置に設けられた第二帯状部とから構成され、第一帯状部は、第二帯状部よりも伸縮性が低くなるように形成されるスパッツが開示されているが、このスパッツによっても上記の課題は依然残っていた。
【0008】
本発明は、上述の技術的背景に鑑みてなされたものであり、使用者が安定して歩行や運動することができるスパッツを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、人体の少なくともウエストラインから踝上方までの体表面に密着して着用され、伸縮性を有する基材部と帯状部から構成されるスパッツであって、使用者の股上部を被覆する第1の被覆部と、使用者の大腿部を被覆する第2の被覆部と、使用者の膝部を被覆する第3の被覆部と、使用者の下腿部を被覆する第4の被覆部とを備え、前記第2の被覆部は、下方に向かうに従って外側から内側に至る位置に設けられた第一帯状部と、下方に向かうに従って内側から外側に至る位置に設けられ、第一帯状部と交差する第二帯状部とが設けられ、前記第一帯状部および/又は前記第二帯状部の伸縮率が長さ方向に沿って連続的又は段階的に変化していることを特徴とする。
【0010】
これによれば、第2の被覆部において第一帯状部および/又は第二帯状部の伸縮率が連続的又は段階的に変化することによって、ホールドの強さが大腿部において連続的又は段階的に切り替わるため、使用者が脚部を上下させる際に、大腿部の筋肉を適度に刺激しながら補助することにより、使用者が安定して歩行や運動をすることができる。
【0011】
また、前記第一帯状部および/又は前記第二帯状部は、伸縮率が下方に向かうに従い次第に小さくなるよう変化してもよい。これによれば、第2の被覆部において第一帯状部および/又は第二帯状部の伸縮率が下方に向かうに従い次第に小さくなることによって、ホールドの強さが大腿部から膝部に向かって次第に大きくなるため、使用者が脚部を上下させる際に、大腿部の筋肉をより適度に刺激しながら補助することにより、使用者がより安定して歩行や運動をすることができる。
【0012】
また、前記第一帯状体および前記第二帯状体は、前記第2の被覆部における基材部よりも伸縮率が低くなるように構成されてもよい。これによれば、第一帯状体および第二帯状体により使用者の大腿部を安定的にサポートすることができる。
【0013】
また、前記第一帯状体は、前記第二帯状体よりも伸縮率が低くなるように構成されてもよい。これによれば、運動時における膝の捻れを知覚することができる。すなわち、膝の曲げ伸ばし時に膝が捻れると、一方の帯状部の抵抗力が大きくなって捻れを知覚することができる。
【0014】
また、前記第一帯状体および前記第二帯状体は、上端部が前記第1被覆部まで延びるとともに、下端部が第3被覆部まで延びるように構成されてもよい。これによれば、使用者が脚部を上下させる際に、大腿部の筋肉を適度に刺激しながらより一層補助することにより、使用者がより一層安定して歩行や運動をすることができる。
【0015】
また、前記第3の被覆部は、膝蓋部を囲繞する帯状部が設けられてもよい。これによれば、帯状部により膝蓋部を囲繞するため、膝部にかかる負荷を軽減することができる。また、帯状部により膝蓋部が直接被覆されないため、膝部の屈伸が阻害されるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、前記第2の被覆部において、前記第一帯状部および/又は前記第二帯状部の伸縮性が連続的又は段階的に変化することによって、ホールドの強さが大腿部において連続的又は段階的に切り替わるため、使用者が脚部を上下させる際に、大腿部の筋肉を適度に刺激しながら補助することにより、使用者が安定して歩行や運動をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係るスパッツを示す正面図である。
【
図3】
図1のスパッツの各基材部および各帯状部の編組織を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明に係るスパッツの実施形態について
図1~
図4を参照しつつ説明する。なお、足が延びる方向(
図1および
図2の上下方向)を長さ方向、足が延びる方向に直交する方向(
図1および
図2の左右方向)を幅方向とする。
【0019】
本スパッツは、運動時、治療時あるいは日常生活などにおいて、人体のウエストラインから踝上方までの体表面に密着して着用される伸縮性を有するスパッツである。本スパッツは、
図1に示すように、高い伸縮率を有する基材部と、基材部よりも伸縮率が低い帯状部とにより左右対称に構成され、丸編みにより一体的に編成されている。なお、本スパッツは、低弾性のナイロンや高弾性のポリウレタンなどの4本の糸によりクリア、タックあるいはフロートの編組織により編成され、これらの4本の糸の種類や編組織により所定の伸縮率が実現される。
【0020】
なお、上記基材部や帯状部を構成する素材の伸縮率は、一定負荷をかけたときの伸長度によって評価することができる。ここで、伸長率とは、例えば、元の試料の長さをa、伸ばした状態での試料の長さをbとすると、[(b-a)/a+1]×100で表わされる値である。
【0021】
また、本スパッツは、腰部側から足首部側にかけて4つの部位に分かれており、使用者の股上部を被覆する第1の被覆部1と、使用者の大腿部(膝部を含まない)を被覆する第2の被覆部2と、使用者の膝部を被覆する第3の被覆部3と、使用者の下腿部(膝部を含まない)を被覆する第4の被覆部4とを備える。なお、第1の被覆部1の上方には使用者の腰部を被覆する環状部5が設けられる一方、第4の被覆部4の下方には使用者の足首部を被覆する足首被覆部6が設けられている。
【0022】
前記第1の被覆部1は、使用者の股上部を所定の着圧で被覆し、所定の基材部11、12と複数の帯状部13~16とから構成され、これにより長さ方向に250%かつ幅方向に240%の伸縮率K1を有している。
【0023】
また、第1の被覆部1の前側および後側の基材部11は、
図3(a)に示すようなクリア、タックおよびフロートが組み合わされた編組織から構成される。また、第1の被覆部1の後側下部の基材部12は、
図3(e)に示すようなクリアの編組織から構成される。また、第1の被覆部1の前側のX状の帯状部13、前側の逆三角形状の帯状部14、後側のX状の帯状部15および後側の湾曲状の帯状部16は、いずれも
図3(b)に示すような クリア、タックおよびフロートが組み合わされた編組織から構成される。
【0024】
前記第2の被覆部2は、使用者の大腿部を所定の着圧で被覆し、所定の基材部21と複数の帯状部22、23とから構成され、これにより長さ方向に260%かつ幅方向に280%の伸縮率K2を有している。
【0025】
また、第2の被覆部2の帯状部22は、
図4に示すように、下方に向かうに従って外側から内側に至る位置に設けられた第一帯状部101と、下方に向かうに従って内側から外側に至る位置に設けられ、第一帯状部101とX字状に交差する第二帯状部102とから構成され、前記第一帯状部101および第二帯状部102の伸縮率が連続的に変化している。好ましくは、前記第一帯状部101および第二帯状部102の伸縮率が、下方に向かうに従い次第に小さくなるよう変化している。具体的には、前記第一帯状部101および第二帯状部102は、第2の被覆部2の中間部2bにおける伸縮率が上部2aにおける伸縮率より小さく、下部2cにおける伸縮率が中間部22bの伸縮率より小さく構成されている。
【0026】
これによれば、前記第2の被覆部2において、前記第一帯状部101および第二帯状部102の伸縮率が連続的に変化することによって、ホールドの強さが大腿部において連続的に切り替わるため、使用者が脚部を上下させる際に、大腿部の筋肉を適度に刺激しながら補助することにより、使用者が安定して歩行や運動をすることができる。
【0027】
また、第2の被覆部2の帯状部22は、第一帯状部101が第二帯状部102よりも伸縮率が低くなるように形成されている。なお、第一帯状部101は、第二帯状部102よりも伸縮率が低くなるように形成すればよいが、具体的な値については基材部とのバランスを見ながら実際にスパッツを試作し、着用してみて決定される。一般的には、第二帯状部102の伸長率を1としたとき、第一帯状部101の伸長率が0.30~0.70の範囲に設定するのが好ましく、0.40~0.60の範囲がより好ましい。
【0028】
これによれば、第二帯状部102よりも第一帯状部101の伸縮率が低くなるように形成されているため、運動時つまり膝の曲げ伸ばし時に膝が捻れると、一方の帯状部の抵抗力が大きくなって膝の捻れを知覚することができる。
【0029】
また、第2の被覆部2の後側の帯状部23は、
図2に示すように、下方に向かうに従い中央から外側に向かう帯状部と、中央から内側に向かう帯状部が上部で結合した逆V字状に構成されている。
【0030】
また、第2の被覆部2の前側および後側の基材部21は、
図3(e)に示すようなクリアの編組織から構成される。また、第2の被覆部2の前側のX状の帯状部22および後側の逆V字状の帯状部23は、いずれも
図3(c)に示すようなクリア、タックおよびフロートが組み合わされた編組織から構成される。このように、第2の被覆部2の前側および後側の基材部21が
図3(e)に示すようなタックおよびフロートが存在しないクリアの編組織から構成されるとともに、第2の被覆部2の前側のX状の帯状部22と後側の逆V字状の帯状部23が
図3(c)に示すようなタックおよびフロートが少ない編組織から構成されているため、第2の被覆部2は全体として伸縮率が大きくなっている。なお、第2の被覆部2の前側のX状の帯状部22と後側の逆V字状の帯状部23は、第1の被覆部1の下部まで延びている。なお、本実施形態では、第2の被覆部2の前側のX状の帯状部22は、上端部が第1の被覆部1まで延びるとともに、下端部が第3の被覆部3まで延びる帯状ラインを構成している。
【0031】
前記第3の被覆部3は、使用者の膝部を所定の着圧で被覆し、所定の基材部31と複数の帯状部32~35とから構成され、これにより長さ方向に200%かつ幅方向に210%の伸縮率K3を有している。
【0032】
また、第3の被覆部3の前側および後側の基材部31は、
図3(e)に示すようなクリアの編組織から構成される。また、第3の被覆部3の前側のU字状の帯状部32は、
図3(d)に示すようなクリア、タックおよびフロートが組み合わされた編組織から構成される。また、第3の被覆部3の前側の略台形状の帯状部33、前側の帯状部34および後側の帯状部35は、
図3(b)に示すようなクリア、タックおよびフロートが組み合わされた編組織から構成される。なお、第3の被覆部3の後側の基材部31は、第2の被覆部2の下部および第4の被覆部4の上部まで延びている。また、第3の被覆部3の前側の帯状部34は、第4の被覆部4の上部まで延びている。
【0033】
また、第3の被覆部3の前側の帯状部32は、使用者の膝部の下側をU字状に被覆する態様で膝蓋部を囲繞している。これによれば、帯状部32が膝蓋部を囲繞するため、膝部にかかる負荷を軽減することができる。また、帯状部32により膝蓋部が直接被覆されないため、膝部の屈伸が阻害されるのを防止することができる。
【0034】
また、第3の被覆部3の前側の帯状部32は、上端部において第2の被覆部2の第一帯状部101と接続するよう構成されている。また、第3の被覆部3の後側の帯状部32は、上端部において第2の被覆部2の後側の帯状部23と接続するよう構成されている。
【0035】
前記第4の被覆部4は、使用者の下腿部を所定の着圧で被覆し、所定の基材部41、42と複数の帯状部43~45とから構成され、これにより長さ方向に230%かつ幅方向に230%の伸縮率K4を有している。
【0036】
また、第4の被覆部4の前側の基材部41は、
図3(e)に示すようなクリアの編組織から構成される。また、第4の被覆部4の後側の基材部42は、
図3(a)に示すようなクリア、タックおよびフロートが組み合わされた編組織から構成される。また、第4の被覆部4の前側上部の三角形状の帯状部43、前側下部の矩形状の帯状部44および後側のコ字状の帯状部45は、いずれも
図3(b)に示すような クリア、タックおよびフロートが組み合わされた編組織から構成される。
【0037】
而して、第1の被覆部1の伸縮率K1、第2の被覆部2の伸縮率K2、第3の被覆部3の伸縮率K3および第4の被覆部4の伸縮率K4は、下式[1]の関係を有しており、特に本実施形態では下式[2]の関係を有している。なお、第1の被覆部1の伸縮率K1、第2の被覆部2の伸縮率K2、第3の被覆部3の伸縮率K3および第4の被覆部4の伸縮率K4は、いずれも中央付近の素材に対して着用前の自然な状態から平面方向に引張力(例えば、7kg程度)が作用したときに素材が破断しない限界値であって、引張力が作用しなくなったときに元の自然な状態に戻ることができる伸縮率である。
【0038】
K3<K4<K1またはK2…[1]
K3<K4<K1<K2…[2]
【0039】
このように第1の被覆部1、第2の被覆部2、第3の被覆部3および第4の被覆部4において、膝部を被覆する第3の被覆部3の伸縮率K3を最も小さくして、次に下腿部を被覆する第4の被覆部4の伸縮率K4を小さくすることによって、本スパッツを着用した使用者の関節部分である膝部を強くホールドしつつ、下腿部分も強めにホールドするため、使用者は安定して歩行や運動を行うことができる。特に本実施形態では、第3の被覆部3に使用者の膝部の下側を被覆するU字状の帯状部32が設けられているため、使用者の膝部を下側から固定し、膝部のホールド感を向上させることができる。
【0040】
また、股上部を被覆する第1の被覆部1の伸縮率K1と、大腿部を被覆する第2の被覆部2の伸縮率K2を、膝部を被覆する第3の被覆部3の伸縮率K3や、下腿部を被覆する第4の被覆部4の伸縮率K4よりも大きくすることによって、使用者は歩行時や運動時において大腿部や股上部を動かし易くなる。しかも、第1の被覆部1と第4の被覆部4が大きく伸縮するため、使用者は本スパッツを容易に着用することができる上、本スパッツの着用後の圧迫感を軽減して、はき心地を向上させることが可能となる。
【0041】
さらに、上式[2]に示すように、大腿部を被覆する第2の被覆部2の伸縮率K2を股上部を被覆する第1の被覆部1の伸縮率K1よりも大きくすることによって、第2の被覆部2は第1の被覆部1と第3の被覆部3に両側を固定される態様で長さ方向に伸縮し易くなるため、使用者は歩行時や運動時において大腿部をより一層動かし易くなる。
【0042】
さらにまた、大腿部を被覆する第2の被覆部2の伸縮率K2において、長さ方向の伸縮率よりも幅方向の伸縮率が大きいため、本スパッツをより履き易くなり、また着用後の圧迫感をより軽減することができる。
【0043】
なお、本実施形態において、第1の被覆部1の第1の伸縮率K1、第2の被覆部2の第2の伸縮率K2、第3の被覆部3の第3の伸縮率K3、第4の被覆部4の第4の伸縮率K4は、上述のものに限定されるものではなく、少なくも上式[1]の関係を有するものであればよい。
【0044】
また、「スパッツ」として足首よりも先端側を被覆しないものについて説明したが、足首よりも先端側を被覆するもの(一般にはタイツと呼ばれることがある)も含まれる。
【0045】
また、第2の被覆部2の前側の帯状部22は、第一帯状部101および第二帯状部102の伸縮率が連続的に変化するものしたが、段階的に変化してもよい。
【0046】
また、第2の被覆部2の前側の帯状部22は、第一帯状部101および第二帯状部102の伸縮率が変化するものとしたが、第一帯状部101と第二帯状部102のいずれか一方のみの伸縮率が変化してもよい。
【0047】
また、前記基材部及び帯状部が異なる編組織からなり、各編組織が丸編みにより一体的に編成されてもよい。これによれば、基材部及び帯状部の伸縮率を任意に設定することができ、体型に応じたスパッツを提供することが可能となる。
【0048】
また、前記基材部が平編みにより編成され、帯状部がタック編み及び/又はミス編みにより編成されてもよい。これによれば、帯状部をタック編みで編成した場合には、ウェール方向(編組織のタテ方向)の伸縮率を低くする(パワーを上げる)ことができ、ミス編みで編成した場合には、コース方向(編組織のヨコ方向)の伸縮率を低くする(パワーを上げる)ことができる。また、帯状部をタック編みとミス編みとの組合せによって編成した場合には、ウェール方向及びコース方向の両方向の伸縮率を低くする(パワーを上げる)ことができる。
【0049】
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、本発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0050】
1…第1の被覆部
11、12…第1の被覆部の基材部
13、14、15、16…第1の被覆部の帯状部
2…第2の被覆部
2a…上部
2b…中間部
2c…下部
21…第2の被覆部の基材部
22、23…第2の被覆部の帯状部
101…第一帯状部
102…第二帯状部
3…第3の被覆部
31…第3の被覆部の基材部
32、33、34、35…第3の被覆部の帯状部
4…第4の被覆部
41、42…第4の被覆部の基材部
43、44、45…第4の被覆部の帯状部
5…環状部
6…足首被覆部