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特開2024-112450位置情報管理方法、位置情報管理システム、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112450
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】位置情報管理方法、位置情報管理システム、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/02 20240101AFI20240814BHJP
【FI】
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017459
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】▲徳▼永 直也
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC01
5L050CC01
(57)【要約】
【課題】作業装置が圃場で作業をした際の位置を示す位置情報を精度よく決定し、当該位置情報に関連する情報を提供する。
【解決手段】位置情報管理方法は、対象の作業装置の位置を示す対象位置情報のうち、対象位置情報が示す位置に対象の作業装置があったときの対象の作業装置の状態を示す対象指標値が第1仮条件を満たす第1仮位置情報を決定することを含む。位置情報管理方法は、第1仮位置情報が示す位置を表示することと、第1仮条件を更新するユーザ入力に応答して、対象指標値が第1仮条件を更新した第2仮条件を満たす第2仮位置情報を決定することと、第2仮位置情報が示す位置を表示することと、第2仮条件を確定条件とするユーザ入力に応答して、対象指標値が確定された確定条件を満たす確定位置情報を生成することと、確定位置情報に関連する情報を出力することと、を更に含む。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の作業装置の位置を示す対象位置情報のうち、前記対象位置情報が示す位置に前記対象の作業装置があったときの前記対象の作業装置の状態を示す対象指標値が第1仮条件を満たす第1仮位置情報を決定することと、
決定した前記第1仮位置情報が示す位置を表示することと、
前記第1仮条件を更新するユーザ入力に応答して、前記対象位置情報のうち、前記対象指標値が前記第1仮条件を更新した第2仮条件を満たす第2仮位置情報を決定することと、
決定した前記第2仮位置情報が示す位置を表示することと、
前記第2仮条件を確定条件とするユーザ入力に応答して、前記対象位置情報のうち、前記対象指標値が確定された前記確定条件を満たす確定位置情報を生成することと、
生成した前記確定位置情報に関連する情報を出力することと、
を含む、
位置情報管理方法。
【請求項2】
前記第2仮条件を更新するユーザ入力に応答して、前記対象指標値が、更新された前記第2仮条件を満たす位置を表示することを、前記第2仮条件を確定条件とする前記ユーザ入力を受け付けるまで繰り返し実行することを更に含む、
請求項1に記載の位置情報管理方法。
【請求項3】
複数の作業装置の状態を示す指標値の統計量に基づき、前記第1仮条件を決定することを更に含む、
請求項1に記載の位置情報管理方法。
【請求項4】
前記第1仮条件を決定することが、前記複数の作業装置の前記指標値のデータ数が所定の閾値より少ないときには、新たな前記指標値を取得するたびに前記第1仮条件を更新することを含む、
請求項3に記載の位置情報管理方法。
【請求項5】
前記第1仮条件を決定することが、前記複数の作業装置の前記指標値が前記所定の閾値と一致するデータ数が得られた後には、新たに指標値を取得しても、前記所定の閾値と一致する数の前記指標値を用いて決定された前記第1仮条件を用いて前記第1仮位置情報を決定することを含む、
請求項4に記載の位置情報管理方法。
【請求項6】
前記第1仮条件を決定することは、前記対象指標値と、前記複数の作業装置の指標値の代表値と、の差が前記複数の作業装置の指標値の分散から求められた閾値以下であることを、前記第1仮条件として決定することを含む、
請求項3に記載の位置情報管理方法。
【請求項7】
前記対象指標値は、前記対象の作業装置の速度を示し、
前記第1仮位置情報を決定することが、前記対象位置情報が示す位置における前記対象の作業装置の速度が所定の速度範囲に含まれるときに、この対象位置情報が前記第1仮条件を満たすと決定することを含み、
前記第1仮条件を更新するユーザ入力は、前記速度範囲の上限閾値又は下限閾値の少なくとも一方を変更することを指示するユーザ入力である、
請求項1に記載の位置情報管理方法。
【請求項8】
生成した前記確定位置情報に関連する情報を出力することが、
前記確定位置情報に基づき、前記対象の作業装置が作業した圃場の地理的範囲を示す圃場情報を生成することと、
生成した前記圃場情報を、前記確定位置情報に関連する情報として出力することと、
を含む、
請求項1に記載の位置情報管理方法。
【請求項9】
前記第1仮条件を更新するユーザ入力が、前記第2仮位置情報の位置が含まれるべき地理的な範囲を示すユーザ入力を含み、
前記第2仮位置情報を決定することが、前記対象位置情報のうち、前記地理的な範囲に含まれる位置に対応する対象位置情報の対象指標値に基づき、前記第2仮条件を決定することを含む、
請求項1に記載の位置情報管理方法。
【請求項10】
複数の作業装置の状態を示す指標値の統計量に基づき、対象の作業装置の位置を示す対象位置情報のうち、前記対象位置情報が示す位置に前記対象の作業装置があったときの前記対象の作業装置の状態を示す対象指標値が満たすべき条件を決定することと、
前記対象の作業装置の位置を示す前記対象位置情報のうち、前記対象指標値が決定した前記条件を満たす確定位置情報を決定することと、
生成した前記確定位置情報に関連する情報を出力することと、
を含み、
前記条件を決定することが、前記複数の作業装置の前記指標値のデータ数が所定の閾値より少ないときには、新たな前記指標値を取得するたびに前記統計量を算出して前記条件を更新し、前記所定の閾値と一致するデータ数だけ前記複数の作業装置の前記指標値が得られた後には、新たに指標値を取得しても、前記所定の閾値と一致する数の前記指標値を用いて決定された前記条件を用いて前記確定位置情報を決定することを含む、
位置情報管理方法。
【請求項11】
対象の作業装置の位置を示す対象位置情報のうち、前記対象位置情報が示す位置に前記対象の作業装置があったときの前記対象の作業装置の状態を示す対象指標値が第1仮条件を満たす第1仮位置情報を決定する第1決定部と、
前記第1仮条件を更新するユーザ入力に応答して、前記対象位置情報のうち、前記対象指標値が前記第1仮条件を更新した第2仮条件を満たす第2仮位置情報を決定する第2決定部と、
前記第1決定部が決定した前記第1仮位置情報が示す位置と、前記第2決定部が決定した前記第2仮位置情報が示す位置と、を表示する表示部と、
前記第2仮条件を確定条件とするユーザ入力に応答して、前記対象位置情報のうち、前記対象指標値が確定された前記確定条件を満たす確定位置情報を生成する確定生成部と、
前記確定生成部が生成した前記確定位置情報に関連する情報を出力する情報出力部と、
を備える、
位置情報管理システム。
【請求項12】
コンピュータに、
対象の作業装置の位置を示す対象位置情報のうち、前記対象位置情報が示す位置に前記対象の作業装置があったときの前記対象の作業装置の状態を示す対象指標値が第1仮条件を満たす第1仮位置情報を決定することと、
決定した前記第1仮位置情報が示す位置を表示することと、
前記第1仮条件を更新するユーザ入力に応答して、前記対象位置情報のうち、前記対象指標値が前記第1仮条件を更新した第2仮条件を満たす第2仮位置情報を決定することと、
決定した前記第2仮位置情報が示す位置を表示することと、
前記第2仮条件を確定条件とするユーザ入力に応答して、前記対象位置情報のうち、前記対象指標値が確定された前記確定条件を満たす確定位置情報を生成することと、
生成した前記確定位置情報に関連する情報を出力することと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置情報管理方法、位置情報管理システム、及び、プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
農業の情報化が進む近年、作業装置が圃場で作業をした際の位置を示す位置情報を利用して、圃場での農作業の効率化を行う技術が開発されている。
【0003】
これに関連して、特許文献1は、圃場で作業する作業装置の位置に基づいて、作業装置が作業した位置を含む凸包を求め、この凸包を圃場の地理的な範囲と決定する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-30855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば特許文献1の技術では、作業装置の位置に基づいて作業を行った圃場の地理的な範囲を決定した。しかし、作業装置は常に圃場内で作業を行っているとは限らないため、作業装置の位置情報の中には、圃場で作業を行っていない時の位置を示すものが含まれる場合がある。圃場で作業を行っていないときの作業装置の位置情報を含むすべての位置情報に基づいて圃場の地理的な範囲を決定すると、決定された圃場の範囲が実際とは異なる場合があり、情報の精度が低くなる恐れがあった。このように、圃場での作業を効率的に支援するために、作業装置の位置を示す位置情報のうち、圃場で作業を行った際の位置情報を精度よく決定するニーズが存在する。
【0006】
上記の状況に鑑み、本開示は、作業装置が圃場で作業をした際の位置を示す位置情報を精度よく決定し、当該位置情報に関連する情報を提供することを目的の一つとする。他の目的については、以下の記載及び実施の形態の説明から理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、発明を実施するための形態で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態との対応関係の一例を示すために、参考として、括弧付きで付加されたものである。よって、括弧付きの記載により、特許請求の範囲は、限定的に解釈されるべきではない。
【0008】
実施形態に係る位置情報管理方法は、対象の作業装置(30-1)の位置を示す対象位置情報のうち、対象位置情報が示す位置に対象の作業装置(30-1)があったときの対象の作業装置の状態を示す対象指標値が第1仮条件を満たす第1仮位置情報を決定することと、決定した第1仮位置情報が示す位置を表示することと、第1仮条件を更新するユーザ入力に応答して、対象位置情報のうち、対象指標値が第1仮条件を更新した第2仮条件を満たす第2仮位置情報を決定することと、決定した第2仮位置情報が示す位置を表示することと、第2仮条件を確定条件とするユーザ入力に応答して、対象位置情報のうち、対象指標値が確定された確定条件を満たす確定位置情報を生成することと、生成した確定位置情報に関連する情報を出力することと、を含む。
【0009】
他の実施形態に係る位置情報管理方法は、複数の作業装置(30-1、30-2、30-3、…、30-n)の状態を示す指標値の統計量に基づき、対象の作業装置(30-1)の位置を示す対象位置情報のうち、対象位置情報が示す位置に対象の作業装置(30-1)があったときの対象の作業装置(30-1)の状態を示す対象指標値が満たすべき条件を決定することと、対象の作業装置(30-1)の位置を示す対象位置情報のうち、対象指標値が決定した条件を満たす確定位置情報を決定することと、生成した確定位置情報に関連する情報を出力することと、を含み、条件を決定することが、複数の作業装置(30-1、30-2、30-3、…、30-n)の指標値のデータ数が所定の閾値より少ないときには、新たな指標値を取得するたびに統計量を算出して条件を更新し、複数の作業装置(30-1、30-2、30-3、…、30-n)の指標値が所定の閾値と一致するデータ数が得られた後には、新たに指標値を取得しても、所定の閾値と一致する数の指標値を用いて決定された第1仮条件を用いて第1仮位置情報を決定する。
【0010】
実施形態に係る位置情報管理システム(1)は、対象の作業装置(30-1)の位置を示す対象位置情報のうち、対象位置情報が示す位置に対象の作業装置(30-1)があったときの対象の作業装置(30-1)の状態を示す対象指標値が第1仮条件を満たす第1仮位置情報を決定する第1決定部(120)と、第1仮条件を更新するユーザ入力に応答して、対象位置情報のうち、対象指標値が第1仮条件を更新した第2仮条件を満たす第2仮位置情報を決定する第2決定部(230)と、第1決定部(120)が決定した第1仮位置情報が示す位置と、第2決定部(230)が決定した第2仮位置情報が示す位置と、を表示する表示部(210)と、第2仮条件を確定条件とするユーザ入力に応答して、対象位置情報のうち、対象指標値が確定された確定条件を満たす確定位置情報を生成する確定生成部(140)と、確定生成部(140)が生成した確定位置情報に関連する情報を出力する情報出力部(150)と、を備える。
【0011】
実施形態に係るプログラム(P1、P2)は、コンピュータに、対象の作業装置(30-1)の位置を示す対象位置情報のうち、対象位置情報が示す位置に対象の作業装置(30-1)があったときの対象の作業装置の状態を示す対象指標値が第1仮条件を満たす第1仮位置情報を決定することと、決定した第1仮位置情報が示す位置を表示することと、第1仮条件を更新するユーザ入力に応答して、対象位置情報のうち、対象指標値が第1仮条件を更新した第2仮条件を満たす第2仮位置情報を決定することと、決定した第2仮位置情報が示す位置を表示することと、第2仮条件を確定条件とするユーザ入力に応答して、対象位置情報のうち、対象指標値が確定された確定条件を満たす確定位置情報を生成することと、生成した確定位置情報に関連する情報を出力することと、を実行させる。
【発明の効果】
【0012】
上記の実施形態によれば、作業装置が圃場で作業をした際の位置を示す位置情報を精度よく決定し、当該位置情報に関連する情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る、位置情報管理システムの構成を示すブロック図である。
図2】実施形態に係る、位置情報管理装置の構成を示すブロック図である。
図3】実施形態に係る、端末装置の構成を示すブロック図である。
図4】実施形態に係る、位置情報管理システムの機能構成を示すブロック図である。
図5】実施形態に係る、指標情報の一例を示す図である。
図6】実施形態に係る、位置情報管理システムが実行する処理を示すフローチャートである。
図7】実施形態に係る、第1仮条件を決定する処理の概要を示す概念図である。
図8A】実施形態に係る、位置情報管理システムが実行する処理を示すフローチャートである。
図8B】実施形態に係る、位置情報管理システムが実行する処理を示すフローチャートである。
図9】実施形態に係る、位置情報管理システムが表示する画面の例を示す図である。
図10】実施形態に係る、位置情報管理システムが表示する画面の例を示す図である。
図11】実施形態に係る、位置情報管理システムが表示する画面の例を示す図である。
図12】実施形態に係る、確定位置情報に基づき凸包を生成する処理の概要を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
本実施形態による位置情報管理システム1を、図面を参照して説明する。本実施形態において、図1に示すように、位置情報管理システム1は、位置情報管理装置10と、端末装置20と、を備える。位置情報管理システム1は、1以上の作業装置(例えば、作業装置30-1、作業装置30-2、作業装置30-3、…、作業装置30-n)がそれぞれ作業する1以上の圃場(例えば、圃場F1、圃場F2、圃場F3、…、Fn)の情報を管理する。作業装置30の例として、トラクター、移植機、又は、収穫機といった農作業可能な車両が挙げられる。なお、本開示において、複数の圃場F1、F2、F3、…、Fnを互いに区別しない場合、単に圃場Fと呼ぶ場合がある。また、複数の作業装置30-1、作業装置30-2、作業装置30-3、…、作業装置30-nを互いに区別しない場合、単に作業装置30と呼ぶ場合がある。
【0015】
位置情報管理システム1は、処理の対象の圃場F(例えば、圃場F1)で作業した、処理の対象の作業装置30(例えば、作業装置30-1)の位置を示す位置情報に基づいて、圃場Fの地理的な範囲を示す圃場情報を生成する。図1の例では、位置情報管理システム1は、圃場F1の地理的な範囲を示す情報を端末装置20の入出力装置の表示画面Sに表示する。また、位置情報管理システム1は、対象の作業装置30-1の位置情報のうち、その位置情報が示す位置に作業装置30-1があったときの作業装置30-1の状態(例えば、速度)を示す指標値が所定の条件を満たすものを、作業装置30-1が圃場F1で作業を行っていた位置として決定する。以下簡単のために、その位置情報が示す位置に作業装置30があったときの作業装置30の状態を示す指標値を、単に位置情報の指標値と呼ぶ場合がある。
【0016】
例えば、対象の作業装置30-1が実際に圃場F1において作業を行ったときの速度は、対象の圃場F1で作業を行った日の天候や作業者によって異なる場合がある。そのため、作業装置30-1が圃場F1で作業を行っていた位置を示す位置情報を一律の条件で決定すると、決定された位置情報が、実際に作業装置30-1が作業を行った位置を示す位置情報とは異なる場合がある。そこで位置情報管理システム1は、例えば表示画面Sにおいて、指標値がその条件を満たす位置情報が示す位置をユーザが視認しながら指標値の条件を変更する操作を行えるように、ユーザ入力により条件が変更されるたびに、指標値が変更された条件を満たす位置情報の位置をリアルタイムで表示する。このため位置情報管理システム1は、作業装置の位置を示す位置情報のうち、当該作業装置が圃場で作業を行った際の位置情報を精度よく決定することができる。
【0017】
また、位置情報管理システム1は、指標値の条件をユーザ入力により確定する前に、対象の作業装置30-1の位置情報のうち、作業装置30-1が対象の圃場F1内で作業を行ったときの位置情報を初期的に推定するために用いられる第1仮条件を決定する。位置情報管理システム1は、対象の作業装置30-1を含む複数の作業装置30-1~作業装置30-nの位置情報の指標値の統計量(例えば、平均値及び分散)に基づいて第1仮条件を決定する。このとき、位置情報管理システム1は、所定の期間(例えば、指標値の条件をユーザ入力により決定する当日に含まれる期間)に得られた指標値のデータ数が所定の閾値より少ないときには、指標値を取得するたびに、新たに取得した指標値を含む複数の指標値の統計量を求め、当該統計量に基づいて第1仮条件を更新する。そして、位置情報管理システム1は、所定の期間に得られた指標値のデータ数が所定の閾値以上となった後には、新たに指標値を取得しても、当該閾値を満たすデータ数の指標値を用いて第1仮条件を決定する。このため、位置情報管理システム1は、十分なデータ数を得られたのちには、少ない処理負担で第1仮条件を決定することができる。
【0018】
位置情報管理システム1の構成を説明する。位置情報管理システム1に含まれる位置情報管理装置10は、図2に示すように、入出力装置12と、演算装置14と、通信装置16と、記憶装置18と、を備える。位置情報管理装置10は、例えば、クラウドを含めたコンピュータやサーバ装置である。
【0019】
入出力装置12には、演算装置14が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置12は、演算装置14が処理を実行した結果を出力する。入出力装置12は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。入出力装置12は省略されてもよい。
【0020】
通信装置16は、ネットワークNTと通信可能に接続され、ネットワークNTを介して位置情報管理装置10の外部の装置(例えば、端末装置20、作業装置30、又は、外部のサーバ)との通信を行う。通信装置16は、1以上の端末装置20と、1以上の作業装置30と、外部のサーバと、から取得した情報を演算装置14に転送する。また、演算装置14が生成した情報を作業装置30と、端末装置20とのいずれか又は両方に転送する。通信装置16は、例えば、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0021】
記憶装置18は、本実施形態の位置情報管理装置10が後述する処理を実行するための様々なデータ及び命令を含むプログラムP1等を記憶する。記憶装置18は、これらのデータ及び命令を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。プログラムP1は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体M1に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよい。または、記憶媒体M1は、プログラムP1を記憶した外部のサーバの記憶装置であってもよい。この場合、プログラムP1はサーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供され得る。
【0022】
演算装置14は、圃場Fの地理情報を表示する処理の少なくとも一部を実行するための命令及びデータを含むプログラムP1を記憶装置18から読み出して実行する。例えば、演算装置14は、中央演算処理装置(CPU;Central Processing Unit)などを含む。
【0023】
演算装置14は、プログラムP1を読み出し実行することで、位置情報管理装置10の後述する機能単位を実現する。
【0024】
位置情報管理システム1に含まれる端末装置20は、図3に示すように、入出力装置22と、演算装置24と、通信装置26と、記憶装置28と、を備える。端末装置20は、例えば、タブレットやスマートフォンといったモバイル機器である。なお、端末装置20は据え置き型のパーソナルコンピュータや、ノート型のコンピュータ、又は、作業装置30に設置されたコンピュータ装置(例えば、カーナビゲーションシステム)であってもよい。
【0025】
入出力装置22には、演算装置24が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置22は、演算装置24が処理を実行した結果を出力する。入出力装置22は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、スピーカー、タッチパネルなどを含む。また、端末装置20がパーソナルコンピュータである場合などには、入出力装置22はキーボード、マウス、マイク、ディスプレイ等を含み得る。
【0026】
通信装置26は、ネットワークNTと通信可能に接続され、ネットワークNTを介して端末装置20の外部の装置(例えば、位置情報管理装置10や外部のサーバ)との通信を行う。通信装置26は、位置情報管理装置10や外部のサーバから取得した情報を演算装置24に転送する。また、演算装置24が生成した情報を位置情報管理装置10と、作業装置30とのいずれか又は両方に転送する。通信装置26は、例えば、無線LAN(Local Area Network)やセルラーネットワークなどの無線通信に用いられる送受信機、NIC、USBなどの種々のインタフェースを含む。
【0027】
記憶装置28は、本実施形態の位置情報管理システム1が後述する処理を実行するための様々なデータ及び命令を含むプログラムP2等を記憶する。記憶装置28は、これらのデータ及び命令を記憶する非一時的記憶媒体として用いられる。プログラムP2は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体M2に記録されたコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。または、記憶媒体M2は、プログラムP2を記憶した外部のサーバの記憶装置であってもよい。この場合、プログラムP2はサーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供され得る。
【0028】
演算装置24は、圃場Fの地理情報を表示する処理の少なくとも一部を実行するための命令及びデータを含むプログラムP2を記憶装置28から読み出して実行する。例えば、演算装置24は、中央演算処理装置(CPU)などを含む。
【0029】
演算装置24は、プログラムP2を読み出し実行することで、端末装置20の後述する機能単位を実現する。
【0030】
本実施形態では、図1に示す作業装置30-1、作業装置30-2、作業装置30-3、…、作業装置30-nは、例えばメーカーの型番が共通するなど、圃場Fにおいて共通の農作業を行い得る農機である。作業装置30の例として、収穫機、耕耘機、施肥機等の各種作業機を牽引するトラクター、又は、苗や種子を植えるための移植機や播種機といった圃場Fで農作業を行う車両が挙げられる。作業装置30は、例えば、全球測位衛星システム(GNSS;Global Navigation Satellite System)のような位置測量システムを用いて、自身の位置と現在の時刻(例えば、日付、時、分、秒など)を、反復的に取得する測位装置を有する。本実施形態の測位装置は、例えば、所定の周期(例えば、5秒、30秒、又は、1分ごと)に作業装置30の位置及び時刻を計測する場合がある。そして、作業装置30は、圃場において作業を行った位置及びその時刻を示す位置情報を含む稼働情報を位置情報管理装置10に出力する場合がある。また、作業装置30は、その位置を測位したときに自身が牽引している作業機が作業状態であるか非作業状態であるかを示す情報や、エンジンの回転数、現在の速度といった自身の状態を示す情報を含む稼働情報を出力する場合がある。
【0031】
図2及び図3に示したような物理構成により、位置情報管理装置10及び端末装置20は、図4に示す機能単位を実現する。一例として、位置情報管理装置10の演算装置14は、プログラムP1を実行することで、条件決定部110、第1決定部120、第1出力部130、確定生成部140、情報出力部150、及び、情報記憶部160の各機能を実現する。
【0032】
情報記憶部160は、例えば、1以上の作業装置30が出力する稼働情報など、外部から取得した情報を記憶する。更に情報記憶部160は、条件決定部110、第1決定部120、第1出力部130、及び、確定生成部140等が取得又は生成した情報を記憶する。情報記憶部160は記憶した情報を、条件決定部110、第1決定部120、第1出力部130、確定生成部140、及び、情報出力部150に提供する。情報記憶部160は、例えば、稼働記憶情報D1、指標情報D2、及び、圃場情報D3を記憶している。
【0033】
稼働記憶情報D1は、作業装置30が出力した、作業装置30の位置及び時刻を示す位置情報を含む稼働情報を複数格納している。
【0034】
指標情報D2は、例えば図5に示すように、稼働記憶情報D1に格納された各位置情報について、その位置情報の指標値に関する情報を複数格納している。図5の例では、指標情報D2は、指標情報D2が記憶する情報のレコードを一意にしめす識別子である「指標ID」と、位置情報が示す位置がどの作業装置30の位置であるかを示す「作業装置ID」と、稼働記憶情報D1において当該位置情報が格納された場所を示す「位置情報」と、当該位置情報の指標値である「速度」と、を対応付けて格納している。
【0035】
圃場情報D3は、複数の圃場Fについて、圃場Fの地理的な範囲を示す情報を格納している。
【0036】
図4に示す条件決定部110は、後述するように、対象の作業装置30-1の位置情報のうち、作業装置30-1が対象の圃場F1内で作業を行ったときの位置情報を初期的に推定するために用いられる第1仮条件を決定する。
【0037】
第1決定部120は、後述するように、稼働記憶情報D1が格納する、対象の作業装置30(例えば、作業装置30-1)の位置情報のうち、第1仮条件を満たす位置情報を決定する。
【0038】
第1出力部130は、後述するように、第1決定部120が決定した、第1仮条件を満たす位置情報(第1仮位置情報ともいう)の位置を地図上に表示すべき旨の第1出力情報を端末装置20に出力する。第1出力情報は、稼働記憶情報D1に含まれる作業装置30-1の複数の位置情報と、指標情報D2に含まれる当該位置情報の指標値を示す情報と、を含む場合がある。
【0039】
確定生成部140は、後述するように、対象の作業装置30-1の複数の位置情報のうち、後述する確定条件を満たす確定位置情報を示す情報を決定する。
【0040】
情報出力部150は、後述するように、確定生成部140が生成した確定位置情報に関連する情報を出力する。例えば、情報出力部150は、確定生成部140が生成した確定位置情報に基づいて、対象の作業装置30-1が作業した対象の圃場F1の地理的な範囲を示す情報を含む圃場情報D3を生成して、当該圃場情報D3を外部装置(例えば、端末装置20又は外部のサーバ)へ出力する。あるいは、情報出力部150は、例えば、対象の圃場F1の地理的な範囲を示す情報を、入出力装置12を用いて表示させるなどして、対象の圃場Fの地理的な範囲を示す情報を出力する。
【0041】
図4に示すように、一例として、端末装置20の演算装置24は、プログラムP2を実行することで、表示部210、条件変更部220、第2決定部230、確定出力部240の機能を実現する。
【0042】
表示部210は、後述するように、入出力装置22を用いて、第1出力部130が出力する第1出力情報に基づいて、第1仮位置情報の位置を地図上に表示する。更に、表示部210は、後述するように、第2決定部230が決定した第2仮位置情報の位置を地図上に表示する。
【0043】
条件変更部220は、後述するように、入出力装置22を介して第1仮条件を更新するユーザ入力を受け付けた場合、当該ユーザ入力に応答して第1仮条件を更新した第2仮条件を決定する。更に条件変更部220は、後述するように、入出力装置22を介して第2仮条件を更に更新するユーザ入力を受け付けた場合、当該ユーザ入力に応答して第2仮条件を更新する。
【0044】
第2決定部230は、後述するように、第1出力情報に含まれる対象の作業装置30-1の位置情報のうち、その指標値が第2仮条件を満たす位置情報(第2仮位置情報ともいう)を決定する。
【0045】
確定出力部240は、後述するように、入出力装置22を介して第2仮条件を確定するユーザ入力を受け付けた場合、当該ユーザ入力に応答して現在の第2仮条件を確定条件として決定する。確定出力部240は、更に、決定した確定条件を示す情報を位置情報管理装置10に出力する。
【0046】
(位置情報管理システムの動作)
位置情報管理システム1は、上述した機能構成により、図6図8A、及び、図8Bに示す処理を実行して、対象の圃場F(例えば、圃場F1)の地理的な範囲を示す情報を生成又は更新する。例えば、位置情報管理システム1の位置情報管理装置10は、複数の作業装置30のいずれかが出力する1以上の稼働情報を新たに取得した場合に、図6に示す処理を開始する。例えば、複数の作業装置30のそれぞれは、圃場Fにおいて共通の農作業(例えば、共通の作物を収穫する作業)を共通する条件(例えば、共通の速度)で行い得る。
【0047】
図6の処理ではまず、位置情報管理装置10の条件決定部110が、ステップS1002において、現在までに取得した位置情報の指標値の数が所定数以上であるか否かを判別する。例えば条件決定部110は、今回初めて作業装置30から稼働情報を取得した場合など、所定の期間の開始から現在までに取得した指標値のデータ数に基づいて、指標値のデータ数が所定数以上であるか否かを判別する。
【0048】
この所定の期間は、例えば、図6の処理が行われる本日の午前0時0分、本日の業務規定で定められた始業時刻、または、今週の月曜日の午前0時0分といった開始時刻から現在時刻までの期間など、仕様により決定された期間である。あるいは、所定の期間は、作業者や天候といった圃場Fでの作業条件に影響する要因が共通する期間であってよい。また、図6の処理が行われた日と対象の作業装置30-1が対象の圃場F1内で作業を行った日が違う場合には、所定の期間は、作業を行った当日の午前0時0分から午後11時59分まで、当日の業務規定で定められた始業時刻から終業時刻まで、といった、作業が行われた当日を基準に定められた期間であってもよい。
【0049】
条件決定部110は、ステップS1002において、指標値の数が所定数未満であると判別した場合には(ステップS1002;NO)、処理をステップS1004に移行する。
【0050】
次に、条件決定部110は、ステップS1004において、新たに取得された稼働情報について、当該稼働情報に含まれる位置情報の指標値を取得する。条件決定部110は、例えば、以前に得られた稼働情報と、今回得られた稼働情報と、に基づいて、今回得られた稼働情報に含まれる位置情報が示す位置における作業装置30の指標値を求める。一例として、条件決定部110は、指標値が対象の作業装置30-1の速度である場合には、稼働情報に含まれる時刻が互いに最も近い2つの稼働情報が示す作業装置30-1の位置及び時刻に基づいて、当該作業装置30-1の速度を求める。そして条件決定部110は、今回得られた1以上の稼働情報について求めた速度を、当該稼働情報に含まれる位置情報の指標値として取得して、当該稼働情報を出力した作業装置30-1を示す情報と、当該位置情報を示す情報と、指標値を示す情報を対応付けて指標情報D2に格納する。
【0051】
次に、条件決定部110は、ステップS1006において、上述した所定の期間内に対応する指標値の統計量を算出する。例えば、条件決定部110は、測位された時刻が所定の期間である稼働情報に基づいてステップS1004で取得した指標値の代表値Vr及び分散値δを取得する。例えば図7に示すように、指標値の代表値Vrは、所定の期間内に測位された複数の稼働情報に含まれる位置情報の指標値を、指標値を横軸とし頻度を縦軸としたヒストグラムに集計した際の最頻値に対応する値であってよい。または、指標値の代表値Vrは、所定の期間内に対応する指標値の平均値であってよい。
【0052】
例えば、圃場Fで作業を行う作業装置30の稼働情報に基づいて、位置情報の指標値をヒストグラムに集計した場合、図7に示すように作業中の位置情報に対応する指標値が大きな山として現れ、非作業中(例えば、圃場F内外を移動中)の位置情報に対応する指標値が小さな山として現れ得る。そこで本実施形態では、代表値Vrからの差異が分散値δまでに収まる指標値に対応する位置情報を、圃場F内で作業中の作業装置30の位置を示す位置情報であると推定する。
【0053】
次に、条件決定部110は、図6のステップS1008において、ステップS1006で算出した指標値の統計量に基づいて、第1仮条件を決定又は更新する。例えば、図7に示すように、条件決定部110はステップS1008において、ステップS1006で取得した指標値の代表値Vrに分散値δを加算した値を上限閾値Vmaxとして決定し、分散値δを減算した値を下限閾値Vminとして決定してもよい。そして条件決定部110は、指標値が上限閾値Vmaxと下限閾値Vminの間にあること(例えば、指標値が下限閾値Vmin以上であり、かつ、上限閾値Vmax以下であること)を、位置情報が第1仮条件を満たす条件として決定する。なお、所定の期間が始まったうち一度以上ステップS1008で上限閾値Vmaxと下限閾値Vminを決定した場合、条件決定部110は、今回算出した統計量に基づいて第1仮条件を更新する。
【0054】
なお条件決定部110は、図6のステップS1002において指標値の数が所定数以上であると判別した場合には(ステップS1002;YES)、処理をステップS1010に移行する。ステップS1010において条件決定部110は、所定数の指標値(例えば、1000個の指標値)に基づいて第1仮条件を決定する。例えば条件決定部110は、所定の閾値の数の指標値に基づき最後にステップS1008で決定又は更新された第1仮条件を、そのまま第1仮条件として決定する。なおステップS1002において指標値の数が所定数以上であると判別した場合には、条件決定部110はステップS1010をスキップして、そのまま処理を終了させてもよい。
【0055】
位置情報管理システム1は、例えば、図6の処理で第1仮条件を決定した後、対象の作業装置30(例えば、作業装置30-1)が作業を行った対象圃場(例えば、圃場F1)の地理的な範囲を示す情報を表示又は更新する旨のユーザ入力を受け付けた時に、図8Aの処理を開始する。一例として、まず端末装置20が入出力装置22を用いて、圃場F1の地理的な範囲を示す情報を表示する旨のユーザ入力を受け付ける。このユーザ入力の例には、端末装置20の入出力装置22において,作業装置30-1が作業を行った圃場F1の地図画像を表示することを示すオブジェクト(例えば、タッチパネル上に表示されたアイコン)を選択する操作が含まれる場合がある。そして、端末装置20の通信装置26が出力した当該ユーザ入力を示す情報を受信すると、位置情報管理装置10は図8A及び図8Bの処理を開始する。なお当該ユーザ入力を示す情報は、対象の作業装置30-1を示す情報(例えば、作業装置30-1の識別子)を含み得る。
【0056】
図8Aの処理ではまず、位置情報管理装置10の第1決定部120が、ステップS2002において、対象位置情報を取得する。例えば第1決定部120は、情報記憶部160が記憶する稼働記憶情報D1のうち、対象の作業装置30-1の稼働情報に含まれる位置情報のうち所定の期間内に測位されたものを抽出して、対象位置情報として取得する。なお当該所定の期間は、例えば、図6のステップS1002において言及した所定の期間と同じ期間であってよい。
【0057】
次に、第1決定部120は、ステップS2004において、対象指標値を取得する。例えば第1決定部120は、情報記憶部160が記憶する指標情報D2のうち、ステップS2002で取得した対象位置情報の指標値を抽出して、対象位置情報の対象指標値として取得する。
【0058】
次に、第1決定部120は、ステップS2006において、第1仮条件を満たす第1仮位置情報を決定する。例えば第1決定部120は、ステップS2002で取得した対象位置情報のうち、その指標値が図6のステップS1008乃至S1010で決定又は更新された最新の第1仮条件を満たす位置情報を、第1仮位置情報として決定する。
【0059】
次に、第1出力部130は、図8AのステップS2008において、第1出力情報を出力する。例えば、第1出力部130は、第1仮位置情報を地図上に表示する旨の情報として、ステップS2002で取得した対象位置情報のそれぞれと、ステップS2004で取得した各対象位置情報の対象指標値と、ステップS2006で決定した第1仮位置情報を特定する情報と、第1仮条件を示す情報と、を含む第1出力情報を生成する。そして第1出力部130は、通信装置16を介して、生成した第1出力情報を端末装置20へ出力する。
【0060】
次に、端末装置20の表示部210が、ステップS2010において、第1仮位置情報の示す位置を地図上に表示する。例えば表示部210は、第1出力情報に基づいて、第1仮位置情報の位置を取得する。そして、表示部210が、例えば、第1仮位置情報の周辺の地図画像に第1仮位置情報の位置を重ねて、入出力装置22の表示画面S上に表示する。表示部210は、例えば図9に示すように、対象圃場を含む1以上の圃場F(例えば圃場F1~圃場F3)の地図に、第1仮位置情報が示す位置を表す情報(例えば、図9の黒丸)が、当該位置情報が示す地理的な座標に対応する画像上の位置に重ねられた画像を表示画面Sに表示する。図9の例では、第1仮位置情報には圃場F1の実際の地理的な範囲外に存在する位置を示すものが含まれている。
【0061】
記憶装置28が予め圃場Fを含む地域の地図画像の情報を記憶している場合、表示部210はこの地図画像を用いて第1仮位置情報の位置を地図上に表示してもよい。例えば、表示部210は、記憶装置28から第1出力情報に含まれる対象位置情報を全て含む地理的な領域に対応する地図画像を取得することで、第1仮位置情報の周辺の地図画像を取得してもよい。そして表示部210は、第1仮位置情報の各位置の座標に基づいて、この地図画像に第1仮位置情報の位置を示す情報を重畳して表示画面Sに表示されるべき画像データを生成してもよい。あるいは、位置情報に基づいて地図画像を提供する外部のサーバ装置が存在する場合、表示部210は、通信装置26を用いて、当該サーバ装置に対象位置情報が示す位置の座標を送信することで当該地図画像を取得してもよい。なお、地図画像は模式化された地図の画像であってもよく、衛星写真であってもよい。
【0062】
次に、端末装置20の条件変更部220が、図8BのステップS2012において、条件を確定するユーザ入力を受け付けたか否か判別する。例えば、条件変更部220は、入出力装置22の表示画面S上に、例えば図10に示すような、図9の画面において現在表示されている位置に対応する指標値の条件(第1仮条件又は第2仮条件)を変更又は確定するためのユーザ入力を行い得るユーザインタフェースUIを表示する。
【0063】
図10の例では、ユーザインタフェースUIには、図9の表示画面Sにおいて地図上で示された対象の作業装置30-1の位置が、圃場F1で作業中の作業装置30-1の位置に十分対応するとユーザが判断した場合に、当該ユーザが現在の指標値の条件を確定条件として決定するユーザ入力が可能なオブジェクト(例えば、決定ボタンDA)が表示されている。例えば条件変更部220は、入出力装置22がこの決定ボタンDAを選択するユーザ入力を検出した場合に、条件変更部220は条件を確定する旨のユーザ入力を受け付けたと判別し(ステップS2012;YES)、そうでない場合にはユーザ入力を未だ受け付けていないと判別する(ステップS2012;NO)。
【0064】
図8BのステップS2012において、現在の指標値の条件を確定条件として決定する旨のユーザ入力を未だ受け付けていないと判別した場合(ステップS2012;NO)、次に条件変更部220は、ステップS2014において条件の変更を示すユーザ入力を受け付ける。条件変更部220は、表示画面S上に、現在の指標値の条件(第1仮条件又は第2仮条件)を変更するための入力をユーザが行い得るオブジェクト(図10の例ではスライダーSL)を含むユーザインタフェースUIを表示する。例えばスライダーSLを左右にずらす操作など、現在の指標値の条件において上限閾値Vmaxと下限閾値Vminを変更するユーザ入力を検出した場合、条件変更部220はこのユーザ入力を現在の指標値の条件を変更するユーザ入力として受け付ける。図10の例では、スライダーSLを左にスライドする操作については、条件変更部220は上限閾値Vmaxと下限閾値Vminの差を拡大(上限閾値Vmaxを増加させ、下限閾値Vminを減少させる)を指示するユーザ入力として受け付ける。一方、スライダーSLを右にスライドする操作については、条件変更部220は上限閾値Vmaxと下限閾値Vminの差を縮小(上限閾値Vmaxを減少させ、下限閾値Vminを増加させる)を指示するユーザ入力として受け付ける。
【0065】
次に条件変更部220は、図8BのステップS2016において、第2仮条件を決定又は更新する。条件変更部220は、現在の指標値の条件が図8AのステップS2008で出力された第1出力情報に含まれる第1仮条件であった場合には、ステップS2014において受け付けたユーザ入力に基づいて、第1仮条件を変更した第2仮条件を決定する。あるいは、現在の指標値の条件が以前の処理ループで決定された第2仮条件であった場合には、受け付けたユーザ入力に基づいて、当該第2仮条件を更新する。たとえば条件変更部220がステップS2014において図10のスライダーSLをスライドする操作を受け付けた場合、スライダーSLがスライドされた方向と、スライダーSLがスライド操作により移動した距離に応じた内容で、上限閾値Vmax及び下限閾値Vminを変化させる。例えばスライダーSLを左に大きくスライドする操作を受け付けた場合、条件変更部220は、現在の指標値の上限閾値Vmaxと下限閾値Vminの差を大きく拡大(上限閾値Vmaxを増加させ、下限閾値Vminを減少させる)させた条件を新たな第2仮決定として決定する。一方スライダーSLを右に小さくスライドする操作を受け付けた場合、条件変更部220は、現在の指標値の上限閾値Vmaxと下限閾値Vminの差を少し縮小(上限閾値Vmaxを減少させ、下限閾値Vminを増大させる)させた条件を新たな第2仮条件として決定する。
【0066】
次に、第2決定部230は、図8BのステップS2018において、第2仮条件を満たす第2仮位置情報を決定する。例えば第2決定部230は、図8AのステップS2008で出力された第1出力情報に含まれる対象位置情報のうち、その指標値が図8BのステップS2016で決定又は更新された第2仮条件を満たす位置情報を、第2仮条件を満たす第2仮位置情報として決定する。
【0067】
次に、表示部210が、ステップS2020において、第2仮位置情報の示す位置を地図上に表示する。例えば表示部210は、ステップS2010で表示された地図の上に、ステップS2018で決定された第2仮位置情報の位置を重ねて、例えば入出力装置22の表示画面S上に表示する。一例として、表示部210はステップS2020において、例えば図11に示すように、対象の圃場F1を含む1以上の圃場F(例えば圃場F1~圃場F3)の地図画像における当該位置情報が示す地理的な座標に対応する位置に、第2仮位置情報が示す位置を表す情報(図11の黒丸)を重ねた画像を、表示画面S上に表示する。ステップS2020で表示される第2仮位置情報の位置の情報は、ステップS2010で表示された(例えば、図9の黒丸で示された)第1仮位置情報の位置の一部を含まないか、第1仮位置情報の位置には含まれない位置を更に含む場合がある。図11の例では、第2仮位置情報の位置は、地図上で示された対象の圃場F1の内部におおよそ収まっている。
【0068】
ステップS2020の処理が終わると、処理はステップS2012に戻る。ステップS2012において条件の確定を示すユーザ入力を受け付けるまで、表示部210、条件変更部220、及び、第2決定部230は、ステップS2012からステップS2020の処理を繰り返す。これにより、表示部210は、ユーザ入力により第2仮条件が変更されるたびに、指標値が第2仮条件を満たす第2仮位置情報の位置を地図上でリアルタイムに表示し得る。
【0069】
図8BのステップS2012において、現在の指標値の条件を確定条件として決定する旨のユーザ入力を受け付けたと判別した場合(ステップS2012;YES)、次に確定出力部240は、ステップS2022において、確定条件を示す確定情報を出力する。ここで確定出力部240は、現在の指標値の条件を確定条件として決定する。現在の指標値の条件とは、ステップS2016が一度でも実行された場合には最新のステップS2016で決定又は更新された第2仮条件である。一方、一度もステップS2016が実行されなかった場合には、第1仮条件が確定条件として決定される。そして確定出力部240は、通信装置26を用いて、確定条件を示す情報を位置情報管理装置10に出力する。
【0070】
次に、ステップS2024において、位置情報管理装置10の確定生成部140は、ステップS2022で出力された確定条件を示す情報に応答して、確定条件を満たす確定位置情報を決定する。例えば確定生成部140は、ステップS2002で取得した対象位置情報のうち、その指標値がステップS2022で出力された確定情報が示す確定条件を満たす位置情報を示す情報を、確定条件を満たす確定位置情報として生成する。
【0071】
次に、情報出力部150は、ステップS2026において、確定位置情報に基づき、確定位置情報に関連する情報として、圃場情報D3を生成する。例えば、情報出力部150は、図12に示すように、ステップS2024で決定した確定位置情報が示す位置を内包する凸包CHの範囲を求める。そして、当該凸包を示す情報を、対象の作業装置30(例えば、作業装置30-1)が作業した対象の圃場F(例えば、圃場F1)の地理的な範囲を示す情報として決定する。そして、情報出力部150は、圃場情報D3に圃場F1の情報がない場合、決定した地理的な範囲を示す情報を圃場F1の識別子と対応付けて圃場情報D3に追加する。圃場情報D3に圃場F1の情報が既に存在する場合、決定した地理的な範囲を示す情報が新たな圃場F1の地理的な範囲を示す情報となるように圃場情報D3を更新する。
【0072】
次に、情報出力部150は、ステップS2028において、確定位置情報に関連する情報として、圃場情報D3を出力する。例えば情報出力部150は、ステップS2026で生成した圃場情報D3を、外部装置(例えば、端末装置20又は外部のサーバ)へ出力する。あるいは、情報出力部150は、例えば、入出力装置12を用いて圃場F1の地理的な範囲を示す情報を表示させるなどして、圃場情報D3のうち対象の圃場Fの地理的な範囲を示す情報を出力する。なお、情報出力部150は、ステップS2028において、確定位置情報を示す情報そのものを外部装置(例えば、端末装置20、作業装置30、又は、外部のサーバ等)に出力してもよい。
【0073】
このように、本実施形態の位置情報管理システム1が図8BのステップS2012~ステップS2020の処理を繰り返すことで、ユーザは、好適な確定条件を定めるまで、指標値が第2仮条件を満たす第2仮位置情報の位置を地図上でリアルタイムに視認しながら第2仮条件を更新することができる。このため位置情報管理システム1は、対象の作業装置30-1が対象の圃場F1で作業していたときの位置情報を精度よく決定して、当該位置情報に関連する情報を提供することができる。
【0074】
例えば位置情報管理システム1は、圃場F1の地理的な範囲を示す情報を、高い精度で生成することができる。また、位置情報管理システム1が提供する確定位置情報に関連する情報を、圃場Fでの作業を補助する他のサービス行うサーバで利用するとしても、サービスの効率が高く成り得る。言い換えると、位置情報管理システム1は、圃場での作業を効率よく支援することを容易にすることができる。また、このような位置情報管理システム1によれば、例えば、圃場F1の実際の形状を紙の地図を参照して比較しながら指標値の条件を自ら手入力で設定する場合に比べて、ユーザの負担が少ない。
【0075】
また、位置情報管理システム1は、図6の処理により、所定の閾値のデータ数だけ指標値が得られたのちには、第1仮条件を更新する処理を行う必要がない。そのため、得られた全ての指標値の統計量を算出する場合に比べて、対象位置情報が満たすべき指標値の初期条件を定めるにあたり、処理負担が少ない。
【0076】
(第2実施形態)
本実施形態の位置情報管理システム1は、図8A及び図8Bの処理において、圃場F1付近の地理的な領域のうちユーザが指定する範囲又は位置に基づいて、第2仮条件を決定又は変更する処理を含むことが、第1実施形態の位置情報管理システム1とは異なる。その他の点は第1実施形態の位置情報管理システム1と同様である。
【0077】
本実施形態の位置情報管理システム1の第1決定部120及び第1出力部130は、図8AのステップS2002からステップS2008を、第1実施形態と同様に実行する。そして、ステップS2010において、表示部210が、第1実施形態と同様に、第1仮位置情報の示す位置を地図上に表示する。
【0078】
次に、端末装置20の条件変更部220が、図8BのステップS2012において、第1実施形態と同様に、現在の指標値の条件を確定するユーザ入力を受け付けたか否か判別する。条件変更部220は、現在の指標値の条件を確定するユーザ入力を受け付けていないと判別した場合(ステップS2012;NO)、次にステップS2014を実行する。
【0079】
条件変更部220は、ステップS2014において、地理的な範囲を指定するユーザ入力に基づいて、第2仮条件を決定又は変更する。例えば、条件変更部220は、図8AのステップS2010又は図8BのステップS2020で表示された地図上の範囲を指定するユーザ入力を、現在の条件を変更するユーザ入力として受け付ける。例えば、条件変更部220は、図9又は図11の画像が入出力装置22のタッチパネル上に表示されている場合、ユーザが対象の圃場F1と判断した地理的な範囲を囲う入力を、地図上の範囲を指定する入力として受け付ける。
【0080】
条件変更部220は、ステップS2014において更に、受け付けたユーザ入力が示す地理的な範囲が対象の圃場F1に含まれるのか、あるいは含まれないのか、を示すユーザ入力を更に受け付けてもよい。一例として、条件変更部220は、地理的な範囲を指定するユーザ入力を受け付けた後、表示画面S上に、「追加」と「削除」のボタンを選択可能に表示してもよい。この場合、条件変更部220は、ユーザが「追加」のボタンを選択する操作を行った場合、この操作を、指定された地理的な範囲が対象の圃場F1に含まれるように現在の条件を変更する旨のユーザ入力として受け付ける。一方、条件変更部220は、ユーザが「削除」のボタンを選択する操作を行った場合、この操作を、指定された地理的な範囲が対象の圃場F1に含まれないように現在の条件を変更する旨のユーザ入力として受け付ける。
【0081】
次に、条件変更部220は、ステップS2016において、ステップS2014で受け付けたユーザ操作が示す更新された地理的な範囲に含まれる位置に対応する対象位置情報の対象指標値に基づいて、第2仮条件を決定又は更新する。例えば条件変更部220は、指定された地理的な範囲が対象の圃場F1に含まれるように現在の条件を変更する旨のユーザ入力として受け付けたことに応じて、ステップS2014で受け付けたユーザ入力が示す地理的な範囲に含まれる位置に対応する対象位置情報の指標値を含むような第2仮条件を決定又は更新してもよい。一例として、条件変更部220は、ユーザ入力が示す地理的な範囲に含まれる位置に対応する1以上の対象位置情報の指標値の最大値が現在の条件の上限閾値Vmaxよりも大きい場合、この最大値を新たな第2仮条件の上限閾値Vmaxとして決定してもよい。あるいは、条件変更部220は、ユーザ入力が示す地理的な範囲に含まれる位置に対応する1以上の対象位置情報の対象指標値の最小値が現在の条件の下限閾値Vminよりも小さい場合、この最小値を新たな第2仮条件の下限閾値Vminとして決定してもよい。
【0082】
あるいは、条件変更部220は、例えば条件変更部220は、指定された地理的な範囲が対象の圃場F1に含まれないように現在の条件を変更する旨のユーザ入力として受け付けたことに応じて、ステップS2014で受け付けたユーザ入力が示す地理的な範囲に含まれる位置に対応する対象位置情報の指標値を含まないように第2仮条件を決定又は更新してもよい。一例として、条件変更部220は、ユーザ入力が示す地理的な範囲に含まれる位置に対応する対象位置情報の対象指標値の最小値が現在の条件の上限閾値Vmaxよりも小さい場合、この最小値を新たな第2仮条件の上限閾値Vmaxとして決定してもよい。あるいは、条件変更部220は、ユーザ入力が示す地理的な範囲に含まれる位置に対応する対象位置情報の対象指標値の最大値が現在の条件の下限閾値Vminよりも大きい場合、この最大値を新たな第2仮条件の下限閾値Vminとして決定してもよい。
【0083】
次に、第2決定部230は、ステップS2018において、第1実施形態と同様に第2仮条件を満たす第2仮位置情報を決定する。
【0084】
次に、表示部210が、ステップS2020において、第2仮位置情報の示す位置を地図上に表示する。例えば表示部210は、ステップS2010で表示された地図の上に、ステップS2018で決定された第2仮位置情報の位置を重ねて、例えば入出力装置22の表示画面S上に表示する。
【0085】
図8BのステップS2020の後、ステップS2012において条件の確定を示すユーザ入力を受け付けるまで、ステップS2012~ステップS2020の処理が繰り返えし実行される。条件変更部220がステップS2014において現在の指標値の条件を確定するユーザ入力を受け付けたと判別すると(ステップS2012;YES)、処理はステップS2022に移行される。この場合、確定出力部240と、位置情報管理装置10の確定生成部140と、情報出力部150と、が第1実施形態と同様にステップS2022~ステップS2026の処理を実行する。
【0086】
本実施形態の位置情報管理システム1は、対象の圃場F1に含まれるべき地理的な範囲を地図上で表示し、ユーザ操作により指定された地理的な範囲に対応する確定条件を決定することができる。このため、位置情報管理システム1は、例えば第2仮条件を指標値の数値で操作する場合よりも、ユーザにとって直感的でわかりやすいユーザインタフェースを提供できる。
【0087】
(変形例)
実施形態において説明した構成は一例であり、機能を阻害しない範囲で構成を変更することができる。
【0088】
上記実施形態では、位置情報管理装置10と端末装置20が分担して図6図8A、及び、図8Bの処理を行った。しかしこれに限らず、図6図8A、及び、図8Bの処理を一つの装置(例えば、端末装置20)が行ってもよい。この場合、端末装置20が、位置情報管理装置10の条件決定部110、第1決定部120、第1出力部130、確定生成部140、情報出力部150、及び、情報記憶部160に対応する機能単位を有していてもよい。この場合には、位置情報管理システム1は複数の装置を含まなくてもよい。
【0089】
更に、位置情報管理システム1は、図8BのステップS2012~ステップS2020で第2仮条件に更新する処理を行わず、第1仮条件を確定条件と決定してもよい。この場合、第1決定部120が図8AのステップS2004において対象指標値を取得した後、確定生成部140が図8BのステップS2026において、図6のステップS1008又はステップS1010で決定又は更新された第1仮条件を確定条件として、当該確定条件を満たす対象指標値に対応する対象位置情報を、確定位置情報として決定してもよい。この構成の位置情報管理システム1は、所定の期間(例えば当日内)で得られた稼働情報に基づく確定条件を用いて決定された確定条件により、確定位置情報を決定することができる。そのため位置情報管理システム1は、一律の条件を用いて決定された確定位置情報に基づいて圃場情報D3を生成する場合と比べて、実際に対象の作業装置30-1が作業を行った態様に応じた条件で決定された対象位置情報を確定位置情報として決定することができる。
【0090】
また、位置情報管理システム1は、上記の実施形態で説明した処理とは異なる方法で指標値を取得してもよい。例えば、作業装置30が出力する稼働情報に指標値が含まれてもよい。例えば、作業装置30が現在の速度を測定し、当該速度を示す情報を含む稼働情報を出力する場合、条件決定部110は、図6のステップS1004において当該稼働情報が示す速度を指標値として取得してもよい。
【0091】
また、指標値は速度でなくてもよい。例えば、複数の作業装置30が共通の方向に向かって伸びる畝に沿って作業を行うなど、圃場Fで作業中に共通の方向を向いていると推定される場合では、指標値は作業装置30の進行方向を示す値であってもよい。この場合、例えば条件決定部110は、図6のステップS1004において前回取得した稼働情報に含まれる位置情報が示す作業装置30の位置から、新たに取得した稼働情報に含まれる位置情報が示す作業装置30の位置までを結んだ線と、所定の基準線(例えば、北方向を示す基準線)とのなす角を、作業装置30の進行方向を示す指標値として取得してもよい。一例として、この指標値は、北方向を0度として、0度から180度までの角度を取り得る。この例では、圃場Fで作業中の作業装置30は、一定の方向を行き来しながら農作業を行う。そのため、作業装置30の進行方向を示す指標値をヒストグラムに集計した場合、図7と同様に、圃場F内で作業中の位置情報に対応する指標値が頻度の高い山を形成し、圃場F内外で非作業中の位置情報に対応する指標値が頻度の高い低い山形成し得る。このため、位置情報管理システム1は、速度の代わりに進行方向を示す指標値を採用した場合でも、図6図8A及び図8Bと同様の処理で精度が高い確定位置情報に関連する情報を生成することができる。また、複数の作業装置30が出力する稼働情報にエンジンの回転数が含まれる場合には、指標値はエンジンの回転数であってもよい。
【0092】
上記実施形態の位置情報管理システム1の条件決定部110は、図6の処理において、ステップS1002で現在までに取得した位置情報の指標値の数が所定数未満であると判別した場合にはステップS1008において第1仮条件を更新し、現在までに取得した位置情報の指標値の数が所定数以上であると判別した場合には所定数の指標値を用いて取得した第1仮条件を決定した。しかしこれに限らず、条件決定部110は、稼働情報を新たに取得するたびに、現在までに得られたN個の指標値の統計量を算出して、算出した統計量に基づいて第1仮条件を決定してもよい。あるいは、条件決定部110は、第1仮条件として、仕様により定められた固定の条件を決定してもよい。また、条件決定部110は、これまでに得られた対象の作業装置30-1と型番が共通する作業装置30が出力した全ての稼働情報の統計量に基づいて、第1仮条件を決定してもよい。
【0093】
また、図8BのステップS2014で条件変更部220が条件の変更を示すユーザ入力を受け付けるために表示画面S上に表示されるインタフェースは、図10に示すユーザインタフェースUIでなくてもよい。例えば、ユーザインタフェースUIは、更新後の第2仮条件の上限閾値Vmax及び下限閾値Vminをそれぞれ変更可能な2個のスライダーを含んでいてもよい。このとき、条件変更部220は、図8BのステップS2014において、上限閾値Vmaxを変更可能なスライダーをずらす操作を、第1仮条件又は第2仮条件の速度範囲の上限閾値Vmaxを変更することを指示するユーザ入力として受け付けてもよい。また、条件変更部220は、下限閾値Vminを変更可能なスライダーをずらす操作を、第1仮条件又は第2仮条件の速度範囲の下限閾値Vminを変更することを指示するユーザ入力として受け付けてもよい。あるいは、ユーザインタフェースUIは、更新後の第2仮条件の上限閾値Vmax及び下限閾値Vminを直接入力可能な数値入力フォームを含んでいてもよい。この場合、条件変更部220は図8BのステップS2016において、入力された数値に応じた上限閾値Vmax及び下限閾値Vminに対応する第2仮条件を決定又は更新してもよい。
【0094】
また、図8AのステップS2010及び図8BのステップS2018において、表示部210は図9及び図11とは異なる態様で第1仮位置情報及び第2仮位置情報の位置を表示してもよい。例えば、表示部210は、図8AのステップS2010において、対象位置情報のうち、第1仮位置情報の位置を他の対象位置情報の位置と区別可能に(例えば、違う色で)表示してもよい。また、例えば、表示部210は、図8BのステップS2018において、対象位置情報のうち、第2仮位置情報の位置を他の対象位置情報の位置と区別可能に(例えば、違う色で)表示してもよい。
【0095】
また、第1仮条件と、第2仮条件と、確定仮条件とは、対象の圃場F1で作業中の作業装置30-1の指標値と、非作業中の指標値と、を判別可能な条件であれば、上記の実施形態で説明したものとは異なる条件であってもよい。例えば、第1仮条件の上限閾値Vmax及び下限閾値Vminは、代表値Vrから所定の数値Δを加算及び減算した値であってもよい。この場合、条件変更部220は、図8BのステップS2016において、図8BのステップS2014で受け付けたユーザ入力に基づいて増減させた所定の数値Δを用いて、第2仮条件の上限閾値Vmax及び下限閾値Vminを変更してもよい。
【0096】
(付記)
各実施の形態で記載した位置情報管理方法と、位置情報管理システムと、プログラムとは以下のように言うことができる。
【0097】
第1の態様に係る位置情報管理方法は、
対象の作業装置の位置を示す対象位置情報のうち、前記対象位置情報が示す位置に前記対象の作業装置があったときの前記対象の作業装置の状態を示す対象指標値が第1仮条件を満たす第1仮位置情報を決定することと、
決定した前記第1仮位置情報が示す位置を表示することと、
前記第1仮条件を更新するユーザ入力に応答して、前記対象位置情報のうち、前記対象指標値が前記第1仮条件を更新した第2仮条件を満たす第2仮位置情報を決定することと、
決定した前記第2仮位置情報が示す位置を表示することと、
前記第2仮条件を確定条件とするユーザ入力に応答して、前記対象位置情報のうち、前記対象指標値が確定された前記確定条件を満たす確定位置情報を生成することと、
生成した前記確定位置情報に関連する情報を出力することと、
を含む。
【0098】
第2の態様に係る位置情報管理方法は、第1の態様に係る位置情報管理方法であって、
前記第2仮条件を更新するユーザ入力に応答して、前記対象指標値が、更新された前記第2仮条件を満たす位置を表示することを、前記第2仮条件を確定条件とする前記ユーザ入力を受け付けるまで繰り返し実行することを更に含む。
【0099】
第3の態様に係る位置情報管理方法は、第1又は第2の態様に係る位置情報管理方法であって、
複数の作業装置の状態を示す指標値の統計量に基づき、前記第1仮条件を決定することを更に含む。
【0100】
第4の態様に係る位置情報管理方法は、第3の態様に係る位置情報管理方法であって、
前記第1仮条件を決定することが、前記複数の作業装置の前記指標値のデータ数が所定の閾値より少ないときには、新たな前記指標値を取得するたびに前記第1仮条件を更新することを含む。
【0101】
第5の態様に係る位置情報管理方法は、第4の態様に係る位置情報管理方法であって、
前記第1仮条件を決定することが、前記複数の作業装置の前記指標値が前記所定の閾値と一致するデータ数が得られた後には、新たに指標値を取得しても、前記所定の閾値と一致する数の前記指標値を用いて決定された前記第1仮条件を用いて前記第1仮位置情報を決定することを含む。
【0102】
第6の態様に係る位置情報管理方法は、第3~第5の態様のいずれかに係る位置情報管理方法であって、
前記第1仮条件を決定することは、前記対象指標値と、前記複数の作業装置の指標値の代表値と、の差が前記複数の作業装置の指標値の分散から求められた閾値以下であることを、前記第1仮条件として決定することを含む。
【0103】
第7の態様に係る位置情報管理方法は、第1~第6の態様のいずれかに係る位置情報管理方法であって、
前記対象指標値は、前記対象の作業装置の速度を示し、
前記第1仮位置情報を決定することが、前記対象位置情報が示す位置における前記対象の作業装置の速度が所定の速度範囲に含まれるときに、前記対象位置情報が前記第1仮条件を満たすと前記第1仮位置情報と決定することを含み、
前記第1仮条件を更新するユーザ入力は、前記速度範囲の上限閾値又は下限閾値の少なくとも一方を変更することを指示するユーザ入力である。
【0104】
第8の態様に係る位置情報管理方法は、第1~第7の態様のいずれかに係る位置情報管理方法であって、
生成した前記確定位置情報に関連する情報を出力することが、
前記確定位置情報に基づき、前記対象の作業装置が作業した圃場の地理的範囲を示す圃場情報を生成することと、
生成した前記圃場情報を、前記確定位置情報に関連する情報として出力することと、
を含む。
【0105】
第9の態様に係る位置情報管理方法は、第1~第8の態様のいずれかに係る位置情報管理方法であって、
前記第1仮条件を更新するユーザ入力が、前記第2仮位置情報の位置が含まれるべき地理的な範囲を示すユーザ入力を含み、
前記第2仮位置情報を決定することが、前記対象位置情報のうち、前記地理的な範囲に含まれる位置に対応する対象位置情報の対象指標値に基づき、前記第2仮条件を決定することを含む。
【0106】
第10の態様に係る位置情報管理方法は、
複数の作業装置の状態を示す指標値の統計量に基づき、対象の作業装置の位置を示す対象位置情報のうち、前記対象位置情報が示す位置に前記対象の作業装置があったときの前記対象の作業装置の状態を示す対象指標値が満たすべき条件を決定することと、
前記対象の作業装置の位置を示す前記対象位置情報のうち、前記対象指標値が決定した前記条件を満たす確定位置情報を決定することと、
生成した前記確定位置情報に関連する情報を出力することと、
を含み、
前記条件を決定することが、前記複数の作業装置の前記指標値のデータ数が所定の閾値より少ないときには、新たな前記指標値を取得するたびに前記統計量を算出して前記条件を更新し、前記複数の作業装置の前記指標値が前記所定の閾値と一致するデータ数が得られた後には、新たに指標値を取得しても、前記所定の閾値と一致する数の前記指標値を用いて決定された前記条件を用いて前記確定位置情報を決定することを含む。
【0107】
第11の態様に係る位置情報管理システムは、
対象の作業装置の位置を示す対象位置情報のうち、前記対象位置情報が示す位置に前記対象の作業装置があったときの前記対象の作業装置の状態を示す対象指標値が第1仮条件を満たす第1仮位置情報を決定する第1決定部と、
前記第1仮条件を更新するユーザ入力に応答して、前記対象位置情報のうち、前記対象指標値が前記第1仮条件を更新した第2仮条件を満たす第2仮位置情報を決定する第2決定部と、
前記第1決定部が決定した前記第1仮位置情報が示す位置と、前記第2決定部が決定した前記第2仮位置情報が示す位置と、を表示する表示部と、
前記第2仮条件を確定条件とするユーザ入力に応答して、前記対象位置情報のうち、前記対象指標値が確定された前記確定条件を満たす確定位置情報を生成する確定生成部と、
前記確定生成部が生成した前記確定位置情報に関連する情報を出力する情報出力部と、
を備える。
【0108】
第12の態様に係るプログラムは、
コンピュータに、
対象の作業装置の位置を示す対象位置情報のうち、前記対象位置情報が示す位置に前記対象の作業装置があったときの前記対象の作業装置の状態を示す対象指標値が第1仮条件を満たす第1仮位置情報を決定することと、
決定した前記第1仮位置情報が示す位置を表示することと、
前記第1仮条件を更新するユーザ入力に応答して、前記対象位置情報のうち、前記対象指標値が前記第1仮条件を更新した第2仮条件を満たす第2仮位置情報を決定することと、
決定した前記第2仮位置情報が示す位置を表示することと、
前記第2仮条件を確定条件とするユーザ入力に応答して、前記対象位置情報のうち、前記対象指標値が確定された前記確定条件を満たす確定位置情報を生成することと、
生成した前記確定位置情報に関連する情報を出力することと、
を実行させる。
【符号の説明】
【0109】
1 位置情報管理システム
10 位置情報管理装置
12 入出力装置
14 演算装置
16 通信装置
18 記憶装置
110 条件決定部
120 第1決定部
130 第1出力部
140 確定生成部
150 情報出力部
160 情報記憶部
20 端末装置
22 入出力装置
24 演算装置
26 通信装置
28 記憶装置
210 表示部
220 条件変更部
230 第2決定部
240 確定出力部
30-1~30―n 作業装置
F1~Fn 圃場
NT ネットワーク
P1、P2 プログラム
M1、M2 記憶媒体
D1 稼働記憶情報
D2 指標情報
D3 圃場情報
Vr 代表値
δ 分散
Vmax 上限閾値
Vmin 下限閾値
UI ユーザインタフェース
SL スライダー
DA 決定ボタン
CH 凸包
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12