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特開2024-112454吹付材料回収装置及び建設材料製造方法
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  • 特開-吹付材料回収装置及び建設材料製造方法 図1
  • 特開-吹付材料回収装置及び建設材料製造方法 図2
  • 特開-吹付材料回収装置及び建設材料製造方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112454
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】吹付材料回収装置及び建設材料製造方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/02 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
E04G21/02 103B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017463
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】501173461
【氏名又は名称】太平洋マテリアル株式会社
(72)【発明者】
【氏名】武田 昌也
(72)【発明者】
【氏名】高山 浩平
【テーマコード(参考)】
2E172
【Fターム(参考)】
2E172AA06
2E172DC00
(57)【要約】
【課題】吹付モルタルやロックウールモルタル等の建設材料をリバウンドすることなく、簡易的に回収することができる吹付材料回収装置及びそれを用いた建設材料製造方法を提供すること。
【解決手段】固形材料を圧送して供給する固形材料供給部及び液状材料を圧送して供給する液状材料供給部を圧送方向に対してこの順で備え、圧送しながら固形材料に液状材料を添加して吹付材料を吐出する吐出装置と、吹付材料注入口及び空気排出口を有する蓋を備える円筒状の貯蔵容器と、を備える吹付材料回収装置。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形材料を圧送して供給する固形材料供給部及び液状材料を圧送して供給する液状材料供給部を圧送方向に対してこの順で備え、圧送しながら前記固形材料に前記液状材料を添加して吹付材料を吐出する吐出装置と、吹付材料注入口及び空気排出口を有する蓋を備える円筒状の貯蔵容器と、を備える吹付材料回収装置。
【請求項2】
前記吹付材料注入口から噴射される前記吹付材料の噴射角が0~90度である、請求項1に記載の吹付材料回収装置。
【請求項3】
前記吹付材料注入口から噴射される前記吹付材料の噴射方向が30~130度である、請求項1又は2に記載の吹付材料回収装置。
【請求項4】
前記吹付材料注入口までの距離割合が10~80%である、請求項1又は2に記載の吹付材料回収装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の吹付材料回収装置を用いた建設材料製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吹付材料回収装置及び建設材料製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート構造物の補修・耐火施工には、セメントモルタルやロックウールが施工されることが多い。その施工方法は用途や規模に応じて様々であり、左官工法や吹付工法等が知られている。
【0003】
左官工法は、練混ぜたモルタル等を直接構造物に充填、塗り付ける工法である。左官工法は、手軽である点や作業するのに必要なスペースが小さい点が利点であるが、大断面を補修する際には時間がかかるなど欠点もある。一方吹付工法は、練混ぜたモルタル等を圧縮空気にて吹き付ける工法で大断面を短時間で補修できるが、様々な機械が必要であり、練混ぜプラントの設置等の欠点がある。
【0004】
吹付工法の中には、固形材料と液体材料を別々に調整して吹付ノズル(施工部位)まで圧縮空気にて圧送を行いノズル内で瞬時に練り混ぜたモルタルを吹き付ける乾式吹付工法がある(例えば、特許文献1)。この乾式吹付工法は、練混ぜプラントから離れた場所にモルタルを打設できることが長所として挙げられるため、暗渠、水路、トンネル、交通制限のかかる道路等の特殊作業環境において利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-283335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、乾式吹付工法はノズル内で材料の練混ぜを行うためその吹付ノズルが大きくなりやすく、また、吹付時にモルタルのリバウンドが発生するという問題があった。そのため、特に閉所や高所の特殊作業環境では乾式吹付工法は不向きな面がある。
【0007】
ノズルを取りまわすことのできない長距離の閉所や広範囲に足場を設置できない(リバウンドを回収できない)高所等の場合には、乾式吹付工法にて長距離圧送及び練混ぜを行ったモルタルやロックウールを用いて左官工法を行うといった工法を複合して施工するケースが考えられる。
【0008】
その際、吹付モルタルやロックウールモルタル等の吹付材料をリバウンドなく回収した上で圧送空気と吹付材料とを分離させる必要がある。また、回収したモルタル等は通常の吹付モルタル等と同等の性能であることが求められる。
【0009】
したがって、本発明は、吹付モルタルやロックウールモルタル等の建設材料をリバウンドすることなく、簡易的に回収することができる吹付材料回収装置及びそれを用いた建設材料製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らが上記課題について鋭意検討したところ、セメントモルタルやロックウールモルタル等の建設材料の注入口と空気の排出口をそれぞれ別に備えた貯蔵容器を用いることでリバウンドが生じることなく建設材料と空気を分離できることを見出した。
【0011】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]固形材料を圧送して供給する固形材料供給部及び液状材料を圧送して供給する液状材料供給部を圧送方向に対してこの順で備え、圧送しながら固形材料に液状材料を添加して吹付材料を吐出する吐出装置と、吹付材料注入口及び空気排出口を有する蓋を備える円筒状の貯蔵容器と、を備える吹付材料回収装置。
[2]吹付材料注入口から噴射される吹付材料の噴射角が0~90度である、[1]に記載の吹付材料回収装置。
[3]吹付材料注入口から噴射される吹付材料の噴射方向が30~130度である、[1]又は[2]に記載の吹付材料回収装置。
[4]吹付材料注入口までの距離割合が10~80%である、[1]又は[2]に記載の吹付材料回収装置。
[5][1]又は[2]に記載の吹付材料回収装置を用いた建設材料製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、吹付モルタルやロックウールモルタル等の建設材料をリバウンドすることなく、簡易的に回収することができる吹付材料回収装置及びそれを用いた建設材料製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の吹付材料回収装置の一実施形態を示す模式図である。
図2図2(a)、(b)及び(c)は、本発明に係る貯蔵容器の一実施形態を示す模式断面図である。
図3図3は本発明に係る貯蔵容器の一実施形態を示す模式図であり、(a)は側面から見た図であり、(b)は上面から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を適宜参照しながら本発明の一実施形態について説明する。各図は模式図であり、各構成要素の大きさ等は図面に示されたものに限定されるものではない。
【0015】
図1は、本発明の吹付材料回収装置の一実施形態を示す模式図である。本実施形態の吹付材料回収装置100は、固形材料を圧送して供給する固形材料供給部10及び液状材料を圧送して供給する液状材料供給部20を圧送方向に対してこの順で備え、圧送しながら固形材料に液状材料を添加して吹付材料を吐出する吐出装置30と、吹付材料注入口41及び空気排出口42を有する蓋43を備える円筒状の貯蔵容器40と、を備える。
【0016】
吐出装置30は、固形材料供給部10と液体材料供給部20とが少なくとも備えられていればよい。例えば、図1に示す本実施形態に係る吐出装置30は固形材料を圧送するためのエアーコンプレッサー50、固形材料供給部10、材料輸送ホース60、液体材料を圧送するためのポンプ70、及び液体材料を材料輸送ホース60内に供給する液体材料供給部20を備える。
【0017】
固形材料供給部10は、吹付材料を供給する機材であればよく、例えば、モルタル吹付機、コンクリート吹付機、乾式吹付機、ロックウール吹付機が挙げられる。固形材料は用途に応じて適宜調整すればよく、例えば、セメント、骨材等を配合したセメント系材料、ロックウール、セメント・ロックウール混綿等の耐火材料、発泡ウレタン等の被覆材料が挙げられる。固形材料供給部10はコンプレッサー50等の圧送手段が接続されており、空気圧送によって固形材料が液体材料供給部20を備える材料輸送ホース60に送られる。
【0018】
材料輸送ホース60は耐圧ホースであれば特に限定されない。材料輸送ホース60は、液体材料供給部20を備え、貯蔵容器40へと接続される。材料輸送ホース60の長さは、施工箇所までの距離に応じて適宜調整することができ、例えば、20~200mであってもよく、50~100mであってもよい。液体材料供給部20の設置位置は材料輸送ホース60の貯蔵容器40側末端から0.2~1.5mであることが好ましく、0.3~1.0mであることがより好ましい。材料輸送ホース60における液体材料供給部20の設置位置が上記範囲内であれば、固形材料を長距離輸送した場合であっても、材料輸送ホース60内に固形材料が付着しにくく、建設材料を連続して調製しやすい。
【0019】
液体材料供給部材20は固形材料に液体を添加できるものであればよく、例えば、シャワーリング、ウォーターリング、O-リングと呼ばれる環の中心方向に液体が供給される環状部材、材料輸送ホース60内部に設置され、固形材料と同軸方向に吐出する吐出管、吹付ノズル80の外周から液体材料を固形材料と混合されるように吐出するリング状ウォーターガンが挙げられる。液体材料供給部材20には、液体材料がポンプ70から液体材料供給ホースを介して供給される。供給される液体材料は特に限定されるものではなく、例えば、水であってもよく、ポリマーや他の添加剤を含む水溶液であってもよく、セメントスラリーであってもよい。
【0020】
液体材料供給部材20から供給する液体材料の供給量は、使用目的、使用材料等の条件に応じて適宜調整することができる。固形材料がセメント系材料の場合、液体材料の供給量は、例えば、固形材料100質量部に対して2~40質量部であることが好ましく、5~30質量部であることがより好ましく、10~20質量部であることが更に好ましい。
【0021】
吐出装置30において、固形材料と液体材料が混合されて吹付材料が調製され、吹付ノズル80等を経て吹付材料が貯蔵容器40へと供給される。
【0022】
貯蔵容器40は、吹付材料注入口41及び空気排出口42を有する蓋43を備える円筒状の容器である。図2(a)、(b)及び(c)は、本発明に係る貯蔵容器の一実施形態を示す模式断面図である。本明細書において、「円筒状」とは底面及び上面が円形又は楕円形であり、底面及び上面の面積が同じである円柱状のものや底面及び上面の面積が異なる円錐台状も含まれる。貯蔵容器40は円筒状であることから、吹付材料が内壁に沿って吐出されるため内壁への吹付材料が付着しにくいため材料分離抵抗性がよく、また吹付材料と空気が分離しやすいため空気排出口から空気が適切に排出されてリバウンドも少なくなる。
【0023】
貯蔵容器40の大きさは特に限定されるものではなく、製造する建設材料の容量や施工場所の広さ等に応じて適宜決定することができる。貯蔵容器40の大きさとしては、持ち運びができるため施工箇所の汎用性に優れるという観点から、例えば、直径20~100cm、高さ30~100cmとすることができる。
【0024】
吹付材料注入口41は、吐出される吹付材料を注入することができる孔が蓋43に空いていればよい。吹付材料注入口41は、例えば、図2(a)及び(b)のように吹付ノズル80を差し込むことで吹付材料の噴射角及び噴射方向を調整する孔でもよく、図2(c)のように塩化ビニル等の管で吹付材料の噴射角及び噴射方向を予め調整した孔でもよい。吹付材料注入口41の大きさは特に限定されるものではなく、貯蔵容器40の大きさや差し込む吹付ノズル80の大きさ等に応じて適宜決定することができ、例えば、3~15cmとすることができる。
【0025】
図3は本発明に係る貯蔵容器の一実施形態を示す模式図であり、(a)は側面から見た図であり、(b)は上面から見た図である。吹付材料注入口41から吹付材料を注入する際には吹付材料の噴射角α、噴射方向β及び吹付材料注入口までの距離割合γを調整することができる。
【0026】
噴射角αは貯蔵容器40を側面から見た際に吹付材料が吐出される角度である。図3(a)に示されるように、吹付材料注入口41の中心点Pを通り貯蔵容器40の底面に向かって垂直に引いた線を噴射角αの0度基準線とし、0度基準線から吹付材料の吐出方向の角度を噴射角αとする。噴射角αは吹付材料注入口41に差し込む吹付ノズル80の角度を調整することによって制御することができる。図2(c)のように吹付材料注入口41が管等により固定化されている場合は、0度基準線に対するその管の吐出口方向の角度を噴射角αとすることができる。吐出角αは、内壁への付着等による材料分離を起こしにくく、リバウンドが一層生じにくいという観点から、0~90度であることが好ましく、30~90度であることがより好ましく、60~90度であることが更に好ましい。
【0027】
噴射方向βは貯蔵容器40を上面から見た際に吹付材料が吐出される角度である。図3(b)に示されるように、貯蔵容器40の中心点Qから吹付材料注入口41の中心点Pを通り貯蔵容器40の側面に向かって引いた線を噴射方向βの0度基準線とし、0度基準線から吹付材料の吐出方向の角度を噴射方向βとする。噴射方向βは吹付材料注入口41に差し込む吹付ノズル80の角度を調整することによって制御することができる。図2(c)のように吹付材料注入口41が管等により固定化されている場合は、0度基準線に対するその管の吐出口方向の角度を噴射方向βとすることができる。噴射方向βは、内壁への付着等による材料分離を起こしにくく、リバウンドが一層生じにくいという観点から、30~130度であることが好ましく、60~140度であることがより好ましく、80~110度であることが更に好ましい。
【0028】
吹付材料注入口までの距離割合γは、噴射方向βの0度基準線が貯蔵容器40の側面と接する点を接点Rとしたとき、線QRの長さに対する線PRの長さの割合(%、([線PRの長さ]/[線QRの長さ])x100)である。すなわち、距離割合γは貯蔵容器40の側面から貯蔵容器40の中心に向かってどの程度の位置にあるのかを示している。距離割合γは、内壁への付着等による材料分離を起こしにくく、リバウンドが一層生じにくいという観点から、10~80%であることが好ましく、15~75%であることがより好ましく、20~60%であることが更に好ましい。
【0029】
空気排出口42は、吐出される吹付材料と共に圧送されてくる空気を排出することができる孔が蓋43に空いていればよい。空気排出口42は蓋43に開けられた孔であってもよく、菅等で空気の排出方向を固定化したものであってもよい。空気排出口42は、吐出された吹付材料が貯蔵容器40にぶつかり跳ね返るリバウンドが貯蔵容器40外に更に出にくくなるという観点から、管が接続されていることが好ましく、L字型の管が接続されていることがより好ましい。空気排出口42の大きさは特に限定されるものではなく、貯蔵容器40の大きさ等に応じて適宜決定することができ、例えば、5~15cmとすることができる。空気排出口の位置は特に限定されるものではなく、リバウンドが一層少なく、圧送空気のみを排出しやすいという観点から、蓋43の中心付近にあることが好ましい。
【0030】
本実施形態の吹付材料回収装置を用いることで、圧縮空気と共に圧送されてきた吹付材料を貯蔵容器40にて回収して吹付材料と圧縮空気を分離することができ、回収した吹付材料を建設材料として製造することができる。
【0031】
本実施形態の吹付材料回収装置及び建設材料製造方法によれば、長距離圧送してもリバウンドの発生や材料分離が生じにくく、また液体の添加量によって目的とする建設材料の軟度を調製できるため、長距離圧送しても安定した品質の様々な軟度の建設材料を連続して調製することもできる。そのため、本実施形態の吹付材料回収装置及び建設材料製造方法は、閉所や高所といったプラントを設置しにくく現場での建設材料の調製が困難な特殊作業環境での施工に好適に利用することができる。
【実施例0032】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものでは
ない。
【0033】
[材料]
左官材用プレミックスモルタル;市販断面修復補修用ポリマーセメントモルタル(セメント/細骨材比1:2)
グラウト材用プレミックスモルタル;市販無収縮モルタル(セメント/細骨材比1:1)
吹付けロックウール;市販ロックウール粒状綿
【0034】
[貯蔵容器]
貯蔵容器1:直径10cmのL字型空気排出口と直径5cmの吹付材料注入口を有する蓋を備える、直径30cmx高さ40cmの円筒状。噴射角及び噴射方向は表1に示す。
貯蔵容器2:空気排出口がないこと以外は貯蔵容器1と同様。噴射角80度、噴射方向90度。
貯蔵容器3:蓋を備えないこと以外は貯蔵容器1と同様。
貯蔵容器4:直径10cmのL字型空気排出口と直径5cmの吹付材料注入口を有する蓋を備える、一辺30cmの正四角形x高さ25cmの角筒状。噴射角80度、噴射方向90度。
貯蔵容器5:蓋を備えないこと以外は貯蔵容器4と同様。
【0035】
各種モルタル及び吹付けロックウールは下記の方法により製造した。
[モルタル製造]
エアーコンプレッサを介して乾式モルタル吹付機アリバ237を用い、プレミックスモルタル10kgを耐圧ホースで20m空気圧送した。プレミックスモルタル100質量部に対して左官材では10質量部、グラウト材では18質量部の水を一軸偏心ネジポンプで圧送した。プレミックスモルタルの空気圧送ホ-スの途中に設置した液状材料供給部から水を添加混合してモルタルを調製した。調製して得られたモルタルを噴射角、噴射方向、注入口の距離を変化させた貯蔵容器に1分間回収した。
[参考用モルタル製造]
プレミックスモルタル100質量部に対して左官材では10質量部、グラウト材では18質量部の水を用いて混合した。参考例1の左官用モルタルはパン型ミキサにて2分間混合した。参考例2のグラウト用モルタルはグラウトミキサにて2分間混合した。
[吹付けロックウール製造]
ブロアーを介してロックウール吹付機を用いロックウール粒状綿を吹付ガン先まで空気搬送した。セメント濃度33.3質量%(セメント:水=1:2)のセメントスラリーをスラリーポンプを用い、吹付ガン先まで圧送した。吹付ガン先で吐出されるロックウール粒状綿にセメントスラリーをまぶす様にロックウール粒状綿:セメント=60±5:40±5の割合となるようにガン先に設置されたノズルチップで噴霧されるよう調製した。調製して得られた吹付けロックウールを貯蔵容器に30秒間回収した。貯蔵容器の条件は表1に示す。
【0036】
[各種性能評価試験]
各種性能評価試験の結果を表1~3に示す。
・取得安定性
貯蔵容器に1分間吹付材料の圧送を行いその際に貯蔵容器の空気排出孔から出てくる粉塵及びリバウンドの量を評価した。
◎:空気排出孔からリバウンドが発生しない。
〇:空気排出孔からわずかにリバウンドが発生した。
△:空気排出孔から吹付量に対して1割程度のリバウンドが発生した。
×:空気排出孔から吹付量に対して3割程度のリバウンドが発生した。
・分離抵抗性
得られた吹付材料を目視で観察し分離抵抗性を評価した。
◎:装置内壁に固形成分(セメントペースト及び骨材、ロックウール等)が若干付着しており、吹付材料が分離していない。
〇:装置内壁に固形成分が付着しており、吹付材料が分離していない。
△:装置内壁に固形成分が付着しており、吹付材料が分離している。
×:装置内壁に固形成分が付着しており、吹付材料が分離し、水が浮いている。
・流動性試験
JIS R 5201:2015「セメントの物理試験方法」のセメントペースト容器(フローコーン)にモルタルを充填し、容器引き上げ後のテーブルフロー値(0打フロー値、15打フロー値)を測定した。
・単位容積質量試験
JIS A 1171:2016「ポリマーセメントモルタルの試験方法」6.3単位容積質量試験に準拠して、単位容積質量を測定した。
・熱伝導率(断熱性の評価)
ロックウールの熱伝導率の測定方法はJIS A 1412-2:1999に準拠して平板熱流計法に従い、測定条件を測定温度20.0℃、吹付け材の温度差を20.0℃とした。ロックウールの熱伝導率の値が、0.052(W/mK)以下である場合を断熱材としての性能が良好と評価した。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
実施例の左官材用モルタル、グラウト用モルタル、ロックウールはいずれもリバウンドの発生が少なく、材料分離も少なかった。特に実施例3-2-1、3-2-2、3-3-1、3-3-2及び4-1-1のモルタルは、貯蔵容器の空気排出孔から及びリバウンドが発生せず、材料の分離も見られず特に良好な結果となった。また、貯蔵容器で受けたモルタルはミキサで混錬した参考例のモルタルと比べてモルタル性状に差異はなく、良好なモルタルだった。実施例5-1-1の吹付けロックウールの熱伝導率は0.049W/mKであり、断熱材として十分な性能を示した。
一方、比較例の貯蔵容器では評価不能、リバウンドの発生、材料の分離等の不具合が生じた。
【符号の説明】
【0041】
100・・・吹付材料回収装置、10・・・固形材料供給部、20・・・液状材料供給部、30・・・吐出装置、40・・・貯蔵容器、41・・・吹付材料注入口、42・・・空気排出口、43・・・蓋、50・・・エアーコンプレッサー、60・・・材料輸送ホース、70・・・ポンプ、80・・・吹付ノズル、α・・・噴射角、β・・・噴射方向、γ・・・吹付材料注入口までの距離割合、P・・・吹付材料注入口の中心点、Q・・・貯蔵容器の中心点、R・・・接点。

図1
図2
図3