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  • 特開-給水システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112460
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】給水システム
(51)【国際特許分類】
   E03B 3/28 20060101AFI20240814BHJP
   C02F 1/00 20230101ALI20240814BHJP
【FI】
E03B3/28
C02F1/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017476
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000144072
【氏名又は名称】SANEI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牧 照明
(72)【発明者】
【氏名】池田 隆寛
(57)【要約】
【課題】空気から生成した水を上水として使用するとともに、水の需要に応じて水を供給することが可能な給水システムを提供する
【解決手段】大気中の水蒸気から生成された水を連続的に供給する給水システム1は、創水装置2aと創水装置2bを有する。創水装置2aは定格出力の第1モードで運転され、創水装置2bは停止か定格出力より低い出力の第2モードで運転されるかして濾過水の生成量が所定量となるよう制御される。そして、生成量が所定量を下回った場合には、創水装置2bが第1モードで運転され、生成量が所定量となるようにとなるように制御される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気中の水蒸気から生成された水を連続的に供給する給水システムであって、
少なくとも2台の創水装置を含み、該創水装置のうちの1台である主創水装置は定格出力の第1モードで運転され、
前記1台以外の前記創水装置である副創水装置は前記定格出力より低い出力の第2モードで運転されるか又は運転が停止され、
前記主創水装置及び前記副創水装置から吐出される前記水の量である生成量が所定量となるように制御されるとともに、
前記生成量が前記所定量を下回った場合に、前記副創水装置のうちの少なくとも1台が前記第1モードとして運転され、前記生成量が所定量となるようにとなるように制御される給水システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記主創水装置及び前記副創水装置から吐出される前記水を貯める貯水タンクと、該貯水タンクから飲料水供給先に前記水を供給するポンプと、を有し、
前記貯水タンクには貯められた前記水の水質を検知するタンク水分析計が配設されており、
前記貯水タンクと前記飲料水供給先との間の配管には前記貯水タンクの側から前記ポンプと内部を流れる前記水の水質を検知する最終分析計と最終開閉バルブとがこの順で配設されており、
該最終開閉バルブと前記飲料水供給先との間の配管には水道水が水道水開閉バルブを介して連結されており、
前記タンク水分析計及び/又は前記最終分析計において、水質が飲用に適合している旨の信号が発せられているときは、前記最終開閉バルブが開、前記水道水開閉バルブが閉、とされて前記ポンプが運転され、
水質が飲用に不適合である旨の信号が発せられたときは、前記最終開閉バルブが閉、前記水道水開閉バルブが開、とされて、前記ポンプの運転が止められ、前記水道水のみが前記飲料水供給先に供給される給水システム。
【請求項3】
請求項2において、
前記タンク水分析計及び/又は前記最終分析計において前記水の水質が飲用に不適合とされ、前記最終開閉バルブが閉、前記水道水開閉バルブが開、とされて、前記ポンプの運転が止められたときに、前記貯水タンクに入っている前記水を、排水口を介して外部に排水することができるようになっている給水システム。
【請求項4】
請求項2又は請求項3において、
雨水を貯留する雨水タンクを備え、該雨水タンクからの水を水質を問わないトイレや洗車等の用途に使用可能とされており、
前記貯水タンクは、タンク水液面計を更に備え、
該タンク水液面計において液面の高さが所定の上限高さを超えた際、前記貯水タンクに入っている前記水を前記雨水タンクに移送することができるようになっている給水システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水システムに関する。詳しくは、空気から水を生成するとともに水の需要に応じて水を供給することが可能な給水システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気中に含まれる水分を凝結させて飲料水等の上水を生成する方法が知られている。特許文献1に開示された技術においては、導入した空気を減菌処理したのちの減菌処理済空気中の水分を結露させて結露水を生成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6782045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された技術においては、結露水中に空気中のウイルスが混入することを防いで、空気から安全性の高い水を生成することができる。しかし、空気中に含まれる水分は季節によって大きく変動し、夏場の多湿時には水の需要に対して水の生成能力が上回って、冬場等の乾燥時には水の需要に対して水の生成能力が追い付かないという事態が生ずる問題があった。
【0005】
このような問題に鑑み本発明の課題は、空気から生成した水を上水として使用するとともに、水の需要に応じて水を供給することが可能な給水システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1発明は、大気中の水蒸気から生成された水を連続的に供給する給水システムであって、少なくとも2台の創水装置を含み、該創水装置のうちの1台である主創水装置は定格出力の第1モードで運転され、前記1台以外の前記創水装置である副創水装置は前記定格出力より低い出力の第2モードで運転されるか又は運転が停止され、前記主創水装置及び前記副創水装置から吐出される前記水の量である生成量が所定量となるように制御されるとともに、前記生成量が前記所定量を下回った場合に、前記副創水装置のうちの少なくとも1台が前記第1モードとして運転され、前記生成量が所定量となるようにとなるように制御されることを特徴とする。
【0007】
第1発明によれば、季節により空気中の水蒸気量が大きく変動しても継続的に一定量の水を給水できる。また、夏場等多湿時に生成量が所定量を上回ることによる余剰水の廃棄を抑制できるため創水装置の電力消費を節約できる。
【0008】
本発明の第2発明は、上記第1発明において、前記主創水装置及び前記副創水装置から吐出される前記水を貯める貯水タンクと、該貯水タンクから飲料水供給先に前記水を供給するポンプと、を有し、前記貯水タンクには貯められた前記水の水質を検知するタンク水分析計が配設されており、前記貯水タンクと前記飲料水供給先との間の配管には前記貯水タンクの側から前記ポンプと内部を流れる前記水の水質を検知する最終分析計と最終開閉バルブとがこの順で配設されており、該最終開閉バルブと前記飲料水供給先との間の配管には水道水が水道水開閉バルブを介して連結されており、前記タンク水分析計及び/又は前記最終分析計において、水質が飲用に適合している旨の信号が発せられているときは、前記最終開閉バルブが開、前記水道水開閉バルブが閉、とされて前記ポンプが運転され、水質が飲用に不適合である旨の信号が発せられたときは、前記最終開閉バルブが閉、前記水道水開閉バルブが開、とされて、前記ポンプの運転が止められ、前記水道水のみが前記飲料水供給先に供給されることを特徴とする。
【0009】
第2発明によれば、タンク水分析計及び/又は最終分析計において、水が飲用に不適合であるとされた場合、水は飲料水供給先に供給されず水道水のみが飲料水供給先に供給されるので、安全性が担保できる。
【0010】
本発明の第3発明は、上記第2発明において、前記タンク水分析計及び/又は前記最終分析計において前記水の水質が飲用に不適合とされ、前記最終開閉バルブが閉、前記水道水開閉バルブが開、とされて、前記ポンプの運転が止められたときに、前記貯水タンクに入っている前記水を、排水口を介して外部に排水することができるようになっていることを特徴とする。
【0011】
第3発明によれば、タンク水分析計及び/又は最終分析計において水の水質が飲用に不適合とされ最終開閉バルブが閉、前記水道水開閉バルブが開、とされてポンプの運転が止められたときに、継続的に飲料水供給先に水道水を供給しつつ、貯水タンクに入っている水を適切に外部に排出することができる。
【0012】
本発明の第4発明は、上記第2発明又は上記第3発明において、雨水を貯留する雨水タンクを備え、該雨水タンクからの水を水質を問わないトイレや洗車等の用途に使用可能とされており、前記貯水タンクは、タンク水液面計を更に備え、該タンク水液面計において液面の高さが所定の上限高さを超えた際、前記貯水タンクに入っている前記水を前記雨水タンクに移送することができるようになっていることを特徴とする。
【0013】
第4発明によれば、大気中の湿度の上昇等により貯水タンク内の水の液面が異常上昇した際に、貯水タンクに入っている水を雨水タンクへと移送し、余剰水を有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態である給水システムを示すブロック図である
図2】上記実施形態の給水システムの作動を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態に係る給水システム1について、図1を用いて説明する。給水システム1は、標準的な家庭において生活に必要な飲料水を供給するシステムである。図1において、四角枠で示す各要素を連結する実線が配管を示し、配管と平行の細線矢印が配管中を流れる水の向きを表している。
【0016】
創水装置2aで空気から生成された生成水は、第1配管11aを通って濾過装置3aに送られる。創水装置2aは、周りの空気を導入して空気に含まれる水分を凝結させて生成水を得る装置である。濾過装置3aは、多孔質体、カーボンフィルタ又は中空糸フィルタ等の従来周知のフィルタを用いて生成水の濾過を行う装置である。第1配管11aには、創水装置2aに近い側に第1開閉バルブ21aが配設され、濾過装置3aに近い側に第1塩素添加装置4aが連結されている。第1塩素添加装置4aは、第1配管11a内を流れる生成水に除菌のための塩素を添加する装置である。ここで、創水装置2aが、特許請求の範囲の「主創水装置」に相当する。
【0017】
創水装置2bで空気から生成された生成水は、第2配管11bを通って濾過装置3bに送られる。創水装置2bは、周りの空気を導入して空気に含まれる水分を凝結させて生成水を得る装置である。濾過装置3bは、多孔質体、カーボンフィルタ又は中空糸フィルタ等の従来周知のフィルタを用いて生成水の濾過を行う装置である。第2配管11bには、創水装置2bに近い側に第2開閉バルブ21bが配設され、濾過装置3bに近い側に第2塩素添加装置4bが連結されている。第2塩素添加装置4bは、第2配管11b内を流れる生成水に除菌のための塩素を添加する装置である。創水装置2aと創水装置2b、濾過装置3aと濾過装置3b、第1塩素添加装置4aと第2塩素添加装置4bは、それぞれ同じものである。ここで、創水装置2bが、特許請求の範囲の「副創水装置」に相当する。
【0018】
濾過装置3aによって生成水は、浄化されて濾過水となって第3配管12a及び第5配管13を通って貯水タンク5に送られ貯留される。第3配管12aには、濾過装置3aの側から貯水タンク5の側に向かって、順に第1流量計31aと第1分析計41a、第1逆止弁61aが配設されている。また、第5配管13には、第1逆止弁61aの側から貯水タンク5の側に向かって、順に第3開閉バルブ22、第3流量計32が配設されている。第1流量計31aは、第3配管12a内を流れる濾過水の単位時間当たりの流量を測定するものであり、第1分析計41aは第3配管12a内を流れる濾過水の塩素濃度、pH、濁度等の水質を測定するものである。第3流量計32は、第5配管13内を流れる濾過水の単位時間当たりの流量を測定するものである。
【0019】
濾過装置3bによって生成水は、浄化されて濾過水となって第4配管12b及び第5配管13を通って貯水タンク5に送られ貯留される。第4配管12bには、濾過装置3bの側から貯水タンク5の側に向かって、順に第2流量計31bと第2分析計41b、第2逆止弁61bが配設されている。第2流量計31bは、第4配管12b内を流れる濾過水の単位時間当たりの流量を測定するものであり、第2分析計41bは第4配管12b内を流れる濾過水の塩素濃度、pH、濁度等の水質を測定するものである。第3配管12a及び第4配管12bを流れる濾過水は、第1分枝点71において合流し、第5配管13を流れる。第1流量計31aと第2流量計31bと第3流量計32、第1分析計41aと第2分析計41bは、それぞれ同じものである。
【0020】
貯水タンク5は、標準的な家庭における1日当たりの生活水の消費量である500L程度の容量を備えたタンクであって、貯留した水の液面の高さを計測する液面計8と貯留した水の水質を測定する第1分析計41a及び第2分析計41bと同一の第3分析計42が配設されている。ここで、液面計8と第3分析計42が、それぞれ特許請求の範囲の「タンク水液面計」と「タンク水分析計」に相当する。
【0021】
貯水タンク5の底面部とポンプ6との間が第6配管14によって連結されている。第6配管14には、貯水タンク5の側からポンプ6の側に向かって、順に第2分枝点72において分枝した第7配管15、第3分枝点73において分枝した第8配管16、第4開閉バルブ23が配設されている。第7配管15は、第7開閉バルブ26を経由して排水口51に連結されている。第8配管16は、第6開閉バルブ25を経由して雨水タンク7に連結されている。雨水タンク7は、住居の屋根に降り注いだ雨水7aを集積するとともに、雨水処理装置7bを通して塵等を除去し貯留するタンクである。雨水タンク7からは、第9配管17を通じて住居内のトイレや住居外に設置された洗車設備等の水質を問わない用途の雨水供給先52に水が供給されるようになっている。雨水供給先52において利用された水の排水は排水口51に流される。
【0022】
ポンプ6と、貯水タンク5に貯えられた濾過水である飲料水を住居内のキッチンや風呂等の飲料水供給先53と、の間が、第10配管18によって連結されている。第10配管18には、ポンプ6の側から飲料水供給先53の側に向かって、順に第3塩素添加装置4c、第4分析計43、第5開閉バルブ24、後述する第4分枝点74において分枝する第11配管19が配設されている。第3塩素添加装置4cは、第1塩素添加装置4aと同じもので、第10配管18内を流れる濾過水に除菌のための塩素を添加する装置である。第4分析計43は、第1分析計41aと同一のものである。ここで、第4分析計43と第5開閉バルブ24が、それぞれ特許請求の範囲の「最終分析計」と「最終開閉バルブ」に相当する。
【0023】
水道水54が第11配管19によって第10配管18に対して第4分枝点74において連結されている。第11配管19には、水道水54の側から第4分枝点74の側に向かって、順に第8開閉バルブ27、第3逆止弁62が配設されている。飲料水供給先53において利用された濾過水及び/又は水道水の排水は第12配管20aを通って排水口51に流される。排水の一部は、第5分枝点75から第13配管20bを通って雨水タンク7に送られる。第13配管20bには、第5分枝点75の側から雨水タンク7に向かって、順に第9開閉バルブ28、排水処理装置9が配設されている。排水処理装置9は、排水の浄化を行う装置である。ここで、第8開閉バルブ27が、特許請求の範囲の「水道水開閉バルブ」に相当する。
【0024】
以上のように構成される本実施形態に係る給水システム1の作動について、図2を参照して説明する。図2において、上側の表が夏場等の湿度の高い時期Aにおける給水システム1の作動状況を示し、下側の表が冬場等の湿度の低い時期Bにおける給水システム1の作動状況を示す。
【0025】
湿度の高い時期Aにおいて、通常時は、A1に示すように、創水装置2aは定格出力の第1モードで運転され、創水装置2bは運転を停止されている。ポンプ6は運転されて、第1開閉バルブ21a、第3開閉バルブ22、第4開閉バルブ23、第5開閉バルブ24が開状態とされ、第2開閉バルブ21b、第7開閉バルブ26、第6開閉バルブ25、第8開閉バルブ27が閉状態とされる。このとき、創水装置2aで空気から生成された生成水は、第1塩素添加装置4aにより塩素が添加されたのち濾過装置3aを通って浄化され濾過水となって貯水タンク5に溜められる。そして、第1配管11aにおける第1開閉バルブ21aと第5配管13における第3開閉バルブ22は開状態となって、第1流量計31aと第3流量計32は単位時間当たりの流量を測定し、第1分析計41aは水質を測定する。第4開閉バルブ23と第5開閉バルブ24は、開状態とされ、第7開閉バルブ26、第6開閉バルブ25、第8開閉バルブ27は、閉状態とされて、ポンプ6が運転されることによって貯水タンク5内の濾過水が飲料水供給先53に供給される。ポンプ6は飲料水供給先53における濾過水の使用状況に関わらず運転状態とされており、第10配管18の濾過水を昇圧状態としている。第10配管18においては、中を流れる濾過水に第3塩素添加装置4cから塩素が添加され、第4分析計43によって水質が検査される。貯水タンク5内の濾過水の量は、液面計8によって監視されるとともに、貯水タンク5内の濾過水の水質は第3分析計42によって監視されている。
【0026】
A1で示す通常時の状態で、貯水タンク5内の濾過水の液面の高さが所定の上限高さより高くなると、液面計8からの信号に基づき図示しない制御装置によってまずは第6開閉バルブ25を開いて余剰の濾過水を雨水タンク7に導出し、必要に応じて第7開閉バルブ26も開いて余剰の濾過水を排水口51に流す。これらの操作を行ってもなお貯水タンク5内の濾過水の液面の高さが所定の上限高さより高い状態が所定の時間維持される場合には、制御装置によって創水装置2aの運転が止められる。そして、飲料水供給先53における濾過水の使用や濾過水の雨水タンク7への導出ならびに濾過水の排水口51への排出により、濾過水の液面の高さが所定の上限高さを下回ると制御装置によって第6開閉バルブ25及び第7開閉バルブ26が閉じられ、併せて創水装置2aの運転が開始される。こうして、濾過水の液面の高さが所定の上限高さ近傍に保たれるように制御装置によって創水装置2aの作動が制御される。
【0027】
湿度の高い時期Aにおいて、A2に示すように、飲料水供給先53における濾過水の使用に創水装置2aによる生成水の生成が追いつかず、第3流量計32で計測される流量が規定値を下回った場合、制御装置は、創水装置2aを第1モードで運転するのに加えて創水装置2bを定格出力より低い出力の第2モードで運転し、ポンプ6も運転する。このとき、第1開閉バルブ21a、第2開閉バルブ21b、第3開閉バルブ22、第4開閉バルブ23、第5開閉バルブ24が開状態とされ、第6開閉バルブ25、第7開閉バルブ26、第8開閉バルブ27が閉状態とされる。そして、第3流量計32で計測される流量が規定値を上回り、かつ貯水タンク5内の濾過水の液面の高さが所定の下限高さより高くなったら制御装置によって創水装置2bの運転が止められA1で示す通常時の状態に戻る。
【0028】
湿度の高い時期Aにおいて、A3に示すように、飲料水供給先53における濾過水の使用に創水装置2aによる生成水の生成が追いつかず、第1流量計31aで計測される流量が規定値を下回った場合、制御装置は、創水装置2aを第1モードで運転するのに加えて創水装置2bを第2モードで運転し、ポンプ6も運転する。このとき、第1開閉バルブ21a、第2開閉バルブ21b、第3開閉バルブ22、第4開閉バルブ23、第5開閉バルブ24が開状態とされ、第6開閉バルブ25、第7開閉バルブ26、第8開閉バルブ27が閉状態とされる。そして、第1流量計31aで計測される流量が規定値を上回り、かつ貯水タンク5内の濾過水の液面の高さが所定の下限高さより高くなったら制御装置によって創水装置2bの運転が止められA1で示す通常時の状態に戻る。
【0029】
湿度の高い時期Aにおいて、A4に示すように、第3流量計32で計測される流量が異常に低い場合、制御装置は、創水装置2aと創水装置2bとポンプ6の運転を停止し、第1開閉バルブ21a、第2開閉バルブ21b、第3開閉バルブ22、第4開閉バルブ23、第5開閉バルブ24、第6開閉バルブ25、第7開閉バルブ26、を閉状態とし、第8開閉バルブ27を開状態とする。これによって、飲料水供給先53に水道水54が供給される。
【0030】
湿度の高い時期Aにおいて、A5に示すように、貯水タンク5の第3分析計42によって貯水タンク5内の濾過水の水質が飲用に不適とされた場合は、創水装置2aと創水装置2bとポンプ6の運転を停止し、第1開閉バルブ21a、第2開閉バルブ21b、第3開閉バルブ22、第4開閉バルブ23、第5開閉バルブ24、第6開閉バルブ25を閉状態とし、第7開閉バルブ26、第8開閉バルブ27を開状態とする。これによって、貯水タンク5内の濾過水は排水口51に流されるとともに、飲料水供給先53に水道水54が供給される。
【0031】
湿度の高い時期Aにおいて、A6に示すように、貯水タンク5の液面計8によって液面の高さが所定の上限高さを大幅に上回って異常高とされた場合、制御装置は、創水装置2aと創水装置2bとポンプ6の運転を停止し、第1開閉バルブ21a、第2開閉バルブ21b、第3開閉バルブ22、第4開閉バルブ23、第5開閉バルブ24を閉状態とし、第6開閉バルブ25、第7開閉バルブ26、第8開閉バルブ27を開状態とする。これによって、貯水タンク5内の濾過水は排水口51及び雨水タンク7に流されるとともに、飲料水供給先53に水道水54が供給される。
【0032】
湿度の高い時期Aにおいて、A7に示すように、貯水タンク5の液面計8によって液面の高さが所定の下限高さを大幅に下回って異常低とされた場合、制御装置は、創水装置2aと創水装置2bとポンプ6の運転を停止し、第1開閉バルブ21a、第2開閉バルブ21b、第3開閉バルブ22、第4開閉バルブ23、第5開閉バルブ24、第6開閉バルブ25、第7開閉バルブ26を閉状態とし、第8開閉バルブ27を開状態とする。これによって、飲料水供給先53に水道水54が供給される。
【0033】
湿度の高い時期Aにおいて、A8に示すように、第4分析計43によって第10配管18の中を流れる濾過水の水質が飲用に不適とされた場合、制御装置は、創水装置2aと創水装置2bとポンプ6の運転を停止し、第1開閉バルブ21a、第2開閉バルブ21b、第3開閉バルブ22、第4開閉バルブ23、第5開閉バルブ24、第6開閉バルブ25を閉状態とし、第7開閉バルブ26、第8開閉バルブ27を開状態とする。これによって、貯水タンク5内の濾過水は排水口51に流されるとともに、飲料水供給先53に水道水54が供給される。
【0034】
湿度の高い時期AにおけるA1に示す通常時の運転を続けていて、第3流量計32で計測される流量が規定値を下回る状態が所定時間継続した場合、給水システム1は、図2における下側の表に従って湿度の低い時期Bの作動状況として運転される。
【0035】
湿度の低い時期Bにおいて、B1に示すように、通常時は、創水装置2aと創水装置2bは定格出力の第1モードで運転される。ポンプ6は運転されて、第1開閉バルブ21a、第2開閉バルブ21b、第3開閉バルブ22、第4開閉バルブ23、第5開閉バルブ24が開状態とされ、第6開閉バルブ25、第7開閉バルブ26、第8開閉バルブ27が閉状態とされる。このとき、創水装置2aで空気から生成された生成水は、第1塩素添加装置4aにより塩素が添加されたのち濾過装置3aを通って浄化され濾過水となって貯水タンク5に溜められる。創水装置2bで空気から生成された生成水は、第2塩素添加装置4bにより塩素が添加されたのち濾過装置3bを通って浄化され濾過水となって貯水タンク5に溜められる。そして、第1開閉バルブ21aと第2開閉バルブ21bと第3開閉バルブ22は開状態となって、第1流量計31aと第2流量計31bと第3流量計32は単位時間当たりの流量を測定し、第1分析計41aと第2分析計41bは水質を測定する。第4開閉バルブ23と第5開閉バルブ24は、開状態とされ、第6開閉バルブ25、第7開閉バルブ26、第8開閉バルブ27は、閉状態とされて、ポンプ6が運転されることによって貯水タンク5内の濾過水が飲料水供給先53に供給される。ポンプ6は飲料水供給先53における濾過水の使用状況に関わらず運転状態とされており、第10配管18の濾過水を昇圧状態としている。第10配管18においては、中を流れる濾過水に第3塩素添加装置4cから塩素が添加され、第4分析計43によって水質が検査される。貯水タンク5内の濾過水の量は、液面計8によって監視されるとともに、貯水タンク5内の濾過水の水質は第3分析計42によって監視されている。
【0036】
B1で示す通常時の状態で、貯水タンク5内の濾過水の液面の高さが所定の上限高さより高くなると、液面計8からの信号に基づき図示しない制御装置によってまずは第6開閉バルブ25を開いて余剰の濾過水を雨水タンク7に導出し、必要に応じて第7開閉バルブ26も開いて余剰の濾過水を排水口51に流す。これらの操作を行ってもなお貯水タンク5内の濾過水の液面の高さが所定の上限高さより高い状態が所定の時間維持される場合には、制御装置によって創水装置2a及び創水装置2bの作動が止められる。そして、飲料水供給先53における濾過水の使用や濾過水の雨水タンク7への導出ならびに濾過水の排水口51への排出により、濾過水の液面の高さが所定の上限高さを下回ると制御装置によって第6開閉バルブ25及び第7開閉バルブ26が閉じられ、併せて創水装置2a及び創水装置2bの運転が開始される。こうして、濾過水の液面の高さが所定の上限高さ近傍に保たれるように制御装置によって創水装置2a及び創水装置2bの運転が制御される。一方、飲料水供給先53における濾過水の使用に創水装置2a及び創水装置2bによる生成水の生成が追いつかず、貯水タンク5内の濾過水の液面の高さが所定の下限高さより低くなると、液面計8からの信号に基づき制御装置によって第8開閉バルブ27が開状態とされて飲料水供給先53に水道水54も供給される。
【0037】
湿度の低い時期Bにおいて、B2に示すように、第3流量計32で計測される流量が異常に低い場合、制御装置は、創水装置2aと創水装置2bとポンプ6の運転を停止し、第1開閉バルブ21a、第2開閉バルブ21b、第3開閉バルブ22、第4開閉バルブ23、第5開閉バルブ24、第6開閉バルブ25、第7開閉バルブ26、を閉状態とし、第8開閉バルブ27を開状態とする。これによって、飲料水供給先53に水道水54が供給される。
【0038】
湿度の低い時期Bにおいて、B3に示すように、貯水タンク5の第3分析計42によって貯水タンク5内の濾過水の水質が飲用に不適とされた場合は、創水装置2aと創水装置2bとポンプ6の運転を停止し、第1開閉バルブ21a、第2開閉バルブ21b、第3開閉バルブ22、第4開閉バルブ23、第5開閉バルブ24、第6開閉バルブ25を閉状態とし、第7開閉バルブ26、第8開閉バルブ27を開状態とする。これによって、貯水タンク5内の濾過水は排水口51に流されるとともに、飲料水供給先53に水道水54が供給される。
【0039】
湿度の低い時期Bにおいて、B4に示すように、貯水タンク5の液面計8によって液面の高さが所定の上限高さを大幅に上回って異常高とされた場合、制御装置は、創水装置2aと創水装置2bとポンプ6の運転を停止し、第1開閉バルブ21a、第2開閉バルブ21b、第3開閉バルブ22、第4開閉バルブ23、第5開閉バルブ24を閉状態とし、第6開閉バルブ25、第7開閉バルブ26、第8開閉バルブ27を開状態とする。これによって、貯水タンク5内の濾過水は排水口51及び雨水タンク7に流されるとともに、飲料水供給先53に水道水54が供給される。
【0040】
湿度の低い時期Bにおいて、B5に示すように、貯水タンク5の液面計8によって液面の高さが所定の下限高さを大幅に下回って異常低とされた場合、制御装置は、創水装置2aと創水装置2bとポンプ6の運転を停止し、第1開閉バルブ21a、第2開閉バルブ21b、第3開閉バルブ22、第4開閉バルブ23、第5開閉バルブ24、第6開閉バルブ25、第7開閉バルブ26を閉状態とし、第8開閉バルブ27を開状態とする。これによって、飲料水供給先53に水道水54が供給される。
【0041】
湿度の低い時期Bにおいて、B6に示すように、第4分析計43によって第10配管18の中を流れる濾過水の水質が飲用に不適とされた場合、制御装置は、創水装置2aと創水装置2bとポンプ6の運転を停止し、第1開閉バルブ21a、第2開閉バルブ21b、第3開閉バルブ22、第4開閉バルブ23、第5開閉バルブ24、第6開閉バルブ25を閉状態とし、第7開閉バルブ26、第8開閉バルブ27を開状態とする。これによって、貯水タンク5内の濾過水は排水口51に流されるとともに、飲料水供給先53に水道水54が供給される。
【0042】
湿度の低い時期BにおけるB1に示す通常時の運転を続けていて、第3流量計32で計測される流量が規定値を上回る状態が所定時間継続した場合、給水システム1は、図2における上側の表に従って湿度の高い時期Aの作動状況として運転される。
【0043】
以上のように構成される本実施形態は、以下のような作用効果を奏する。給水システム1は、創水装置2aと創水装置2bを有し、創水装置2aは定格出力の第1モードで運転され、創水装置2bは停止か定格出力より低い出力の第2モードで運転されるかして濾過水の生成量が所定量となるよう制御される。そして、生成量が所定量を下回った場合には、創水装置2bが第1モードで運転され、生成量が所定量となるようにとなるように制御される。これによって、季節により空気中の水蒸気量が大きく変動しても継続的に一定量の濾過水を飲料水供給先53に給水できる。また、夏場等多湿時に生成量が所定量を上回ることによる余剰水の廃棄を抑制できるため創水装置2bの電力消費を節約できる。
【0044】
また、貯水タンク5の第3分析計42及び/又は第4分析計43によって、水質が飲用に適合している旨の信号が発せられているときは、第5開閉バルブ24が開、第8開閉バルブ27が閉、とされてポンプ6が運転され、濾過水が飲料水供給先53に供給される。水質が飲用に不適合である旨の信号が発せられたときは、第5開閉バルブ24が閉、第8開閉バルブ27が開、とされてポンプ6が止められ、水道水54のみが飲料水供給先53に供給される。これによって、第3分析計42及び/又は第4分析計43において、水が飲用に不適合であるとされた場合、濾過水は飲料水供給先53に供給されず水道水54のみが飲料水供給先53に供給されるので、安全性が担保できる。
【0045】
さらに、給水システム1は、第3分析計42及び/又は第4分析計43において前記水の水質が飲用に不適合とされ、第5開閉バルブ24が閉、第8開閉バルブ27が開、とされてポンプ6が止められたときに、貯水タンク5に入っている濾過水を排水口51から外部に排水することができるようになっている。これによって、第3分析計42及び/又は第4分析計43において前記水の水質が飲用に不適合とされ、第5開閉バルブ24が閉、第8開閉バルブ27が開、とされてポンプ6が止められたときに、継続的に飲料水供給先53に水道水54を供給しつつ、貯水タンク5に入っている濾過水を適切に外部に排出することができる。
【0046】
さらに、給水システム1は、雨水タンク7を備え、液面計8において液面の高さが所定の上限高さを超えた際、貯水タンク5に入っている濾過水を雨水タンク7に移送することができるようになっている。これによって、大気中の湿度の上昇等により貯水タンク5内の濾過水の液面が異常上昇した際に、貯水タンク5に入っている濾過水を雨水タンク7へと移送し、余剰水を有効利用することができる。
【0047】
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、次のようなものが挙げられる。
【0048】
給水システム1において設けた第1流量計31a、第1分析計41a、第2流量計31b、第2分析計41bは、省くことができる。
【0049】
また、給水システム1において、貯水タンク5内の濾過水の水質が飲用に不適合な場合において、貯水タンク5内の濾過水の汚染度が所定の閾値未満の場合は貯水タンク5内の濾過水を雨水タンク7へ移送するようにし、貯水タンク5内の濾過水の汚染度が所定の閾値以上の場合は貯水タンク5内の濾過水を排水口51から外部に排出するようにしてもよい。
【0050】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0051】
1 給水システム、2a 創水装置(主創水装置)、2b 創水装置(副創水装置)、5 貯水タンク、6 ポンプ、7 雨水タンク、8 液面計(タンク水液面計)、24 第5開閉バルブ(最終開閉バルブ)、27 第8開閉バルブ(水道水開閉バルブ)、42 第3分析計(タンク水分析計)、43 第4分析計(最終分析計)、51 排水口、53 飲料水供給先、54 水道水、A 湿度の高い時期、B 湿度の低い時期
図1
図2