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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112466
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】電源コンセント
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/66 20060101AFI20240814BHJP
   H01R 25/00 20060101ALI20240814BHJP
   H01R 13/44 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
H01R13/66
H01R25/00 G
H01R13/44 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017497
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】加藤 明義
【テーマコード(参考)】
5E021
5E087
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FA09
5E021FA16
5E021FB21
5E021FC14
5E021FC40
5E021MA01
5E021MB01
5E087EE02
5E087EE07
5E087HH01
5E087MM09
5E087MM12
5E087PP08
5E087QQ03
5E087RR18
(57)【要約】
【課題】一対の栓刃の間に生じる放電を抑制することができる電源コンセントを提供する。
【解決手段】電源コンセントは、一対の受刃10と、コンセントブロック11と、磁石50と、を備えている。受刃10は、差込プラグの一対の栓刃を受容して当該栓刃を電源に接続する。コンセントブロック11は、一対の受刃10を内部に収容するとともに、一対の栓刃が前部壁11Bの前面側から挿入される一対の栓刃挿入口15A,15Bが形成される。磁石50は、前部壁11Bの前面側を流れる一対の栓刃間の放電電流に対し、一対の栓刃の間を最短距離で結ぶ短絡方向と交差する向きに電磁力を作用させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
差込プラグの一対の栓刃を受容して当該栓刃を電源に接続する一対の受刃と、
一対の前記受刃を内部に収容するとともに、一対の前記栓刃が前部壁の前面側から挿入される一対の栓刃挿入口が形成されたコンセントブロックと、
前記前部壁の前面側を流れる一対の前記栓刃間の放電電流に対し、一対の前記栓刃の間を最短距離で結ぶ短絡方向と交差する向きに電磁力を作用させる磁石と、
を備えていることを特徴とする電源コンセント。
【請求項2】
前記磁石は、磁束の入出方向が前記前部壁の前面と直交する向きに前記コンセントブロックに取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の電源コンセント。
【請求項3】
前記磁石は、前記前部壁の正面視において、一対の前記栓刃挿入口と、一対の前記栓刃挿入口の同側の端部同士を結んだ二つの仮想線と、に囲まれた領域に少なくとも一部が重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の電源コンセント。
【請求項4】
差込プラグの一対の栓刃を受容して当該栓刃を電源に接続する一対の受刃と、
一対の前記受刃を内部に収容するとともに、一対の前記栓刃が前部壁の前面側から挿入される一対の栓刃挿入口が形成されたコンセントブロックと、
前記前部壁の前面側を流れる一対の前記栓刃間の放電電流を、一対の前記栓刃の間を最短距離で結ぶ短絡方向と交差する方向に引き寄せる強磁性体と、
を備えていることを特徴とする電源コンセント。
【請求項5】
前記強磁性体が前記放電電流を引き寄せる方向は、前記前部壁の前面に略沿う方向であることを特徴とする請求項4に記載の電源コンセント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラッキングによる短絡を防止する機能を備えた電源コンセントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
差込プラグを接続した電源コンセントは、コンセントと差込プラグの間の隙間に堆積した埃が空気中の湿気を吸収し、その湿気を帯びた埃が差込プラグの栓刃間の微弱な放電を引き起こすことがある。この微弱な放電は、長期間繰り返されると、差込プラグの絶縁樹脂(電気絶縁性の樹脂)の表面を炭化(導電化)させる。こうして炭化した絶縁樹脂の表面は栓刃間に大電流が流れる(短絡する)経路となることがある。
以上は、電源コンセントで生じるトラッキング現象であるが、近年、このトラッキングによる短絡を防止する機能を備えた電源コンセントが案出されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示される電源コンセントは、差込プラグの一対の栓刃を受容して栓刃を電源回路に接続する一対の受刃がコンセントブロックの内部に収容され、コンセントブロックの室内側に臨む前部壁に一対の栓刃挿入口が形成されている。差込プラグの栓刃は、栓刃挿入口を通してコンセントブロック内の対応する受刃に受容される。
【0004】
コンセントブロックの前部壁には、差込プラグのプラグ本体の端面が当接する当接面が設けられ、その当接面のうちの一対の栓刃挿入口の間に前部壁を前後に貫通する微小な貫通孔が形成されている。また、前部壁の背面側には、微小な貫通孔に臨むように放電検出端子(放電検出用のセンサ)が配置されている。
【0005】
この電源コンセントでは、栓刃の周囲に堆積した埃等に起因して一対の栓刃の間に微弱な放電が生じると、その放電電流が前部壁の微小な貫通孔を通して放電検出端子によって検出される。そして、放電検出端子によって微弱な放電が検出されると、遮断手段によって電源回路が遮断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4205478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に開示される電源コンセントは、一対の栓刃の間に微弱な放電が生じたときに、その放電を検出して電源回路を遮断するものであるため、一対の栓刃の間に生じる放電の発生自体を抑制するものではない。より安全性を高める観点からは、一対の栓刃の間に生じる放電自体を抑制することが望まれている。
【0008】
そこで本発明は、一対の栓刃の間に生じる放電を抑制することができる電源コンセントを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電源コンセントは、上記課題を解決するために、以下の構成を採用した。
即ち、本出願の一の発明に係る電源コンセントは、差込プラグの一対の栓刃を受容して当該栓刃を電源に接続する一対の受刃と、一対の前記受刃を内部に収容するとともに、一対の前記栓刃が前部壁の前面側から挿入される一対の栓刃挿入口が形成されたコンセントブロックと、前記前部壁の前面側を流れる一対の前記栓刃間の放電電流に対し、一対の前記栓刃の間を最短距離で結ぶ短絡方向と交差する向きに電磁力を作用させる磁石と、を備えていることを特徴とする。
【0010】
上記の構成において、差込プラグとコンセントブロックの間に埃が溜まり、その埃に空気中の湿気が吸着されると、放電電流が一対の栓刃の間で最短距離で流れようとする。このとき、磁石による電磁力が放電電流に作用し、その電磁力が放電電流を短絡経路から離間させる。これにより、一対の栓刃の間の放電電流の流れが切れ、栓刃間の放電が抑制される。
【0011】
前記磁石は、磁束の入出方向が前記前部壁の前面と直交する向きに前記コンセントブロックに取り付けられるようにしても良い。
【0012】
この場合、磁石の電磁力が、コンセントブロックの前部壁の前面に沿う方向において、栓刃間の放電電流を短絡経路から離間させる。この結果、差込プラグとコンセントブロックの前面の間の隙間において、一対の栓刃の間の放電がスムーズに遮断される。
【0013】
前記磁石は、前記前部壁の正面視において、一対の前記栓刃挿入口と、一対の前記栓刃挿入口の同側の端部同士を結んだ二つの仮想線と、に囲まれた領域に少なくとも一部が重なる位置に配置されるようにしても良い。
【0014】
この場合、一対の栓刃挿入口の間のいずれの部位で放電が生じる場合にも、その放電を磁石による電磁力によって効率良く抑制することができる。
【0015】
本出願の他の発明に係る電源コンセントは、差込プラグの一対の栓刃を受容して当該栓刃を電源に接続する一対の受刃と、一対の前記受刃を内部に収容するとともに、一対の前記栓刃が前部壁の前面側から挿入される一対の栓刃挿入口が形成されたコンセントブロックと、前記前部壁の前面側を流れる一対の前記栓刃間の放電電流を、一対の前記栓刃の間を最短距離で結ぶ短絡方向に対して交差する方向に引き寄せる強磁性体と、を備えていることを特徴とする。
【0016】
上記の構成において、差込プラグとコンセントブロックの間に埃が溜まり、その埃に空気中の湿気が吸着されると、放電電流が一対の栓刃の間で最短距離で流れようとする。このとき、強磁性体が放電電流を引き寄せるように作用し、強磁性体によるその引き寄せ作用が放電電流を短絡経路から離間させる。これにより、一対の栓刃の間の放電電流の流れが切れ、栓刃間の放電が抑制される。
【0017】
前記強磁性体が前記放電電流を引き寄せる方向は、前記前部壁の前面に略沿う方向であることが望ましい。
【0018】
この場合、強磁性体による引き寄せ力が、コンセントブロックの前部壁の前面に沿う方向において、栓刃間の放電電流を短絡方向から押し曲げるように作用する。この結果、差込プラグとコンセントブロックの前面の間の隙間において、一対の栓刃の間の放電がスムーズに遮断される。
【発明の効果】
【0019】
本出願の一の発明に係る電源コンセントは、一対の栓刃の間を最短距離で流れようとする放電電流に磁石による電磁力を作用させ、それによって放電電流を放電経路から離間させることができる。したがって、本出願の一の発明に係る電源コンセントを採用した場合には、一対の栓刃の間に生じる放電を抑制することができる。
【0020】
本出願の他の発明に係る電源コンセントは、一対の栓刃の間を最短距離で流れようとする放電電流を、強磁性体による引き寄せ力によって放電経路から離間させることができる。したがって、本出願の他の発明に係る電源コンセントを採用した場合には、一対の栓刃の間に生じる放電を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態の電源コンセントの正面図。
図2図1のII-II線に沿う断面図。
図3】第1実施形態の磁石の機能を説明するための電源コンセントの模式的な正面図。
図4】第1実施形態の磁石の最適な配置を説明するための電源コンセントの模式的な正面図。
図5】第2実施形態の電源コンセントの模試的な正面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下で説明する各実施形態では、共通部分に同一符号を付し、重複する説明を一部省略するものとする。
【0023】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態の電源コンセント1の正面図であり、図2は、図1のII-II線に沿う断面図である。
電源コンセント1は、例えば、建造物の壁の凹状の設置部に取り付けられる。本実施形態の電源コンセント1は、図示しない差込プラグの一対の栓刃を受容する受刃10の対が設けられている。差込プラグは、電気機器に供給する電力を受刃から取得するためのプラグであり、絶縁樹脂製のプラグ本体の端面から一対の栓刃が突出している。受刃10は、差込プラグの栓刃を受容し得る略U字状の導電金属板から成り、金属のばね弾性によって挿入された栓刃を挟持する。本実施形態の電源コンセント1は電気機器に直流電流を供給するためのコンセントであり、対を成す受刃10は、図示しない直流電源に電気的に接続されている。対を成す受刃10に差し込みプラグの栓刃が接続される(受容される)と、直流電源から電気機器に電流が供給可能となる。
なお、以下では、説明の便宜上、電源コンセント1のうちの室内に臨む側を「前」と称する。
【0024】
受刃10の対は、箱型状のコンセントブロック11の内部に設置されている。コンセントブロック11は、受刃10の対と回路基板12を内部に収容するブロック本体11Aと、ブロック本体11Aの前方側を閉塞する前部壁11Bと、を備えている。ブロック本体11Aと前部壁11Bはねじ止め等によって相互に連結されている。回路基板12には、複数の電気回路が実装されており、直流電源から回路基板12に電力を供給するための端子(図示せず)が接続されている。ブロック本体11Aと前部壁11Bの主要部は電気絶縁性の樹脂によって形成されている。前部壁11Bは、前面側が室内側に直接臨んで配置される。前部壁11Bは、矩形状の正面視形状に形成されている。
【0025】
前部壁11Bの周域には、矩形枠状の図示しない周縁プレートが一体に取り付けられている。周縁プレートは、建造物の壁の凹状の設置部にねじ止めによって固定可能とされている。コンセントブロック11は、周縁プレートを介して建造物の設置部に取り付けられる。また、周縁プレートの前面には、矩形枠状の化粧パネル14が脱着可能に取り付けられている。化粧パネル14は、前部壁11Bの周域を取り囲むように配置され、その前面が前部壁11Bの周縁部の前面と面一となっている。
【0026】
コンセントブロック11の前部壁11Bには、差込プラグの栓刃が前面側から挿入される一対の栓刃挿入口15A,15Bが形成されている。栓刃挿入口15A,15Bは、上下方向に直線状に延びる長孔状の孔である。栓刃挿入口15A,15Bは、正面視で左右方向に離間し、かつ、相互に平行になるように対向して配置されている。本実施形態では、図1中の左側の栓刃挿入口15Aがプラス極側の挿入口とされ、図1中の右側の栓刃挿入口15Bがマイナス極側の挿入口とされている。前部壁11Bの前面の左右の栓刃挿入口15A,15Bの間の領域は、図示しない差込プラグのプラグ本体の端面が当接する当接面16とされている。前部壁11Bの背面側の各栓刃挿入口15A,15Bに対向する位置には、差込プラグの栓刃を受容する上述の受刃10が配置されている。
【0027】
ところで、栓刃挿入口15A,15Bを通して対を成す受刃10に差込プラグの栓刃を差し込み、その状態が長期間続くと、差込プラグとコンセントブロック11の間の隙間に埃が堆積することがある。そして、堆積した埃が空気中の湿気を吸収すると、湿気を帯びた埃が仲介となって一対の栓刃の間に微弱な火花放電が生じ易くなる。この火花放電は、前部壁11Bの当接面16の前方で生じる。
【0028】
前部壁11Bの左右の栓刃挿入口15A,15Bの間には、受刃10に挿入された一対の栓刃の間に放電電流が流れるときに、その放電電流に電磁力を作用させる磁石50が配置されている。本実施形態の場合、磁石50は永久磁石が採用されている。ただし、磁石50は電磁石であっても良い。
【0029】
磁石50は、図2に示すように前部壁11Bの背面側に設けられた取付穴51内に取り付けられている。取付穴51内に取り付けられた磁石50は、S極とN極が前部壁11Bの前後方向に向くように配置される。したがって、磁石50は、磁束φの入出方向が前部壁11Bの前面と直交する向きにコンセントブロック11に取り付けられている。
【0030】
本実施形態の場合、磁石50は、前部壁11Bの正面視において、左右の栓刃挿入口15A,15Bに挟まれた当接面16のほぼ中央位置に配置されている。具体的には、磁石50は、左右の栓刃挿入口15A,15Bの離間方向の中間位置で、かつ栓刃挿入口15A,15Bの延在方向(上下方向)の中心同士を結ぶ中心線cを通る位置に配置されている。また、磁石50は、前部壁11Bの前面に充分に近接するように取付穴51の底部に取り付けられている。
【0031】
図3は、磁石50の機能を説明するための電源コンセント1の模式的な正面図である。
磁石50は、前述のように磁束φの入出方向が前部壁11Bの前後方向に沿うようにコンセントブロック11に取り付けられている。このため、前部壁11Bの前面側において、一対の栓刃間に放電電流diが流れると、磁石50は、その放電電流diに対し、一対の栓刃の間を最短距離で結ぶ短絡方向(中心線cと平行な方向)と直交する向きに(図1中の上方側に)電磁力Fを作用させる。これにより、放電電流diは、放電経路scから離間するように押し曲げられる。この結果、一対の栓刃間の放電の発生が抑制される。
【0032】
図4は、磁石50の最適な配置を説明するための電源コンセント1の模式的な正面図である。
磁石50は、図4に示す前部壁11Bの正面視において、一対の栓刃挿入口15A,15Bと、栓刃挿入口15A,15Bの同側の端部同士を結んだ二つの仮想線VL1,VL2とに囲まれた領域に少なくとも一部が重なる位置に配置することが望ましい。磁石50は、上記の領域の内側に配置することがより望ましい。
磁石50は、上述したように左右の栓刃挿入口15A,15Bに挟まれた当接面16のほぼ中央位置に配置することが最も望ましい。
【0033】
以上のように、本実施形態の電源コンセント1は、コンセントブロック11(前部壁11B)に磁石50が設けられ、その磁石50が栓刃間の放電電流diに対して短絡方向と直交する(交差する)向きに電磁力を作用させる。このため、栓刃間を流れようとする放電電流diを放電経路scから離間させることができる。したがって、本実施形態の電源コンセント1を採用した場合には、栓刃間に生じる放電を抑制することができる。
【0034】
また、本実施形態の電源コンセント1は、受刃10に差込プラグを挿入した電気機器に直流電流を供給するためのコンセントであり、受刃10に挿入した差込プラグの栓刃間には、放電時にプラス極からマイナス極に向かう一方向の放電電流diが流れる。このため、一度放電電流diが流れると、その放電電流diが切れにくいが、本実施形態の電源コンセント1は、磁石50による電磁力によって放電電流diを確実に切ることができる。
なお、本実施形態の電源コンセント1は、電気機器に直流電流を供給するコンセントであるが、電気機器に交流電流を供給するコンセントにも同様の構造のまま採用することができる。この場合、栓刃間の放電時には、交互に逆向きに放電電流diが流れることになるが、磁石50による電磁力を放電電流diに作用させることにより、同様に、放電電流diを放電経路scから離間させることができる。
【0035】
また、本実施形態の電源コンセント1は、磁束φの入出方向が前部壁11Bの前面と直交するように磁石50がコンセントブロック11に取り付けられる。このため、この電源コンセント1では、前部壁11Bの前面に沿う方向において、磁石50による電磁力によって栓刃間の放電電流diを放電経路scから離間させることができる。したがって、本実施形態の電源コンセント1を採用した場合には、差込プラグとコンセントブロック11の前面の間の隙間における栓刃間の放電をスムーズに遮断することができる。
【0036】
また、本実施形態の電源コンセント1は、前部壁11Bの正面視において、一対の栓刃挿入口15A,15Bと栓刃挿入口15A,15Bの同側の端部同士を結んだ二つの仮想線VL1,VL2とに囲まれた領域に少なくとも一部が重なるように磁石50が配置されている。このため、一対の栓刃挿入口15A,15Bの間のいずれの部位で放電が生じる場合にも、その放電を磁石50による電磁力によって効率良く抑制することができる。
【0037】
<第2実施形態>
図5は、本実施形態の電源コンセント101の模式的な正面図である。
本実施形態の電源コンセント101は、コンセントブロック11内の受刃10や回路基板等の基本的な構成は第1実施形態のものと同様とされている。また、受刃10に挿入される電気機器の差込プラグには、第1実施形態と同様に直流電流が供給可能とされている。ただし、第1実施形態では、コンセントブロック11に磁石50が取り付けられていたが、本実施形態の電源コンセント101では磁石50ではなく、鉄等の強磁性体60のブロックがコンセントブロック11に取り付けられている。
【0038】
強磁性体60は、コンセントブロック11の前部壁11Bの正面視において、左右の栓刃挿入口15A,15Bの間で、かつ栓刃挿入口15A,15Bの延出方向の一方の端部を結ぶ仮想線VL1よりも外側(図中の上側)となる領域に配置されている。強磁性体60は、コンセントブロック11の前部壁11Bの前面に近接した位置に配置されている。ただし、強磁性体60は、前部壁11Bの前面に露出するように配置しても良い。
【0039】
強磁性体60は、栓刃間の放電電流diが前部壁11Bの前面側を流れるときに、その放電電流diを、栓刃間を最短距離で結ぶ短絡方向と交差する方向に引き寄せる(図5中の矢印F参照)。放電電流diは、これによって放電経路scから離間し、栓刃間の放電は抑制される。
なお、強磁性体60は、上述のように前部壁11Bの前面に近接した位置、若しくは、当該前面から露出する位置に配置されているため、強磁性体60が放電電流diを引き寄せる方向は、前部壁11Bの前面に略沿う方向となる。
【0040】
以上のように、本実施形態の電源コンセント101は、栓刃間の放電電流diを短絡方向と交差する方向に引き寄せるように、コンセントブロック11の前部壁11Bに強磁性体60が設けられている。このため、栓刃間を流れる放電電流diを放電経路scから離間させることができる。したがって、本実施形態の電源コンセント101を採用した場合には、栓刃間に生じる放電を抑制することができる。
【0041】
また、本実施形態の場合も、電源コンセント101は電気機器に直流電流を供給するためのコンセントである。この種のコンセントの場合、前述のように一度放電電流diが流れると、その放電電流diが切れにくいが、本実施形態の電源コンセント101は、強磁性体60による引き寄せ力によって放電電流diを確実に切ることができる。
なお、本実施形態の電源コンセント101は、電気機器に交流電流を供給するコンセントにも同様の構造のまま採用することができる。この場合、栓刃間の放電時には、交互に逆向きに放電電流が流れることになるが、強磁性体60の引き寄せ力を放電電流diに作用させることにより、同様に、放電電流diを放電経路scから離間させることができる。
【0042】
また、本実施形態の電源コンセント101は、コンセントブロック11の前部壁11Bの前面に略沿う方向に放電電流diが引き寄せられるように強磁性体60が配置されている。したがって、本実施形態の電源コンセント101を採用した場合には、差込プラグと前部壁11Bの前面との間の隙間において、栓刃間の放電をスムーズに遮断することができる。
【0043】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、上記の各実施形態の電源コンセントは、コンセントブロック11の前部壁11Bに対を成す栓刃挿入口15A,15Bが一組設けられているが、コンセントブロック11の前部壁11Bに設ける栓刃挿入口15A,15Bの対は二組以上であっても良い。また、コンセントブロック11の前部壁11Bには、アース端子を挿入するための端子挿入孔をさらに設けるようにしても良い。
さらに、栓刃挿入口や差込プラグの形状は上記の実施形態のものに限定されない、差込プラグの栓刃をコンセントブロック内の受刃に接続し得るものであれば、種々の形状ものを採用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1,101…電源コンセント
10…受刃
11…コンセントブロック
11B…前部壁
15A,15B…栓刃挿入口
50…磁石
60…強磁性体
VL1,VL2…仮想線
図1
図2
図3
図4
図5