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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112469
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】液体処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
H01L21/306 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017501
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】近郷 泰郎
【テーマコード(参考)】
5F043
【Fターム(参考)】
5F043AA01
5F043DD07
5F043EE01
5F043EE09
5F043EE27
5F043EE28
5F043EE32
5F043EE36
5F043EE40
5F043GG10
(57)【要約】
【課題】処理液によりワークの表面を均一に処理することを可能とした液体処理装置を提供する。
【解決手段】ワークWの表面を処理液ELにより処理する液体処理装置1であって、処理液ELが収容された処理槽2と、処理槽2に処理液ELを供給する液供給部4とを備え、処理槽2は、底壁部2aと、底壁部2aの周囲から立ち上がる周壁部2bと、周壁部2bの上部が開口した上部開口部2cとを有し、上部開口部2cは、ワークWの表面と平行な面内において、ワークWの外形に対応した形状を有し、処理液ELの表面張力により上部開口部2cよりも上方に盛り上がる処理液ELの液面に対して、ワークWの表面を接触させながら処理を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの表面を処理液により処理する液体処理装置であって、
前記処理液が収容された処理槽と、
前記処理槽に前記処理液を供給する液供給部とを備え、
前記処理槽は、底壁部と、前記底壁部の周囲から立ち上がる周壁部と、前記周壁部の上部が開口した上部開口部とを有し、
前記上部開口部は、前記ワークの表面と平行な面内において、前記ワークの外形に対応した形状を有し、
前記処理液の表面張力により前記上部開口部よりも上方に盛り上がる前記処理液の液面に対して、前記ワークの表面を接触させながら処理を行うことを特徴とする液体処理装置。
【請求項2】
前記ワークの表面とは反対側に前記処理液が回り込まない程度に、前記処理液の液面に対して前記ワークの表面を全面に亘って接触させながら処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の液体処理装置。
【請求項3】
前記処理槽は、少なくとも前記周壁部の上端に角部を有し、且つ、前記角部が前記周壁部の最上部に位置して、前記上部開口部を形成していることを特徴とする請求項1に記載の液体処理装置。
【請求項4】
前記液供給部は、前記底壁部に設けられた供給口から前記処理液を供給することを特徴とする請求項1に記載の液体処理装置。
【請求項5】
前記処理槽の内側に前記供給口と対向するバッフルが設けられていることを特徴とする請求項4に記載の液体処理装置。
【請求項6】
前記液供給部は、前記処理槽の下方に位置して、前記処理液を貯留する貯留槽と、
前記供給口と接続された状態で、前記貯留槽の内側へと垂下された供給管と、
前記貯留槽内を加圧することによって、前記供給管を通して前記貯留槽内の前記処理液を前記供給口側へと押し上げる加圧機構とを有することを特徴とする請求項4に記載の液体処理装置。
【請求項7】
前記液供給部は、前記貯留槽内の前記処理液を加熱するヒータを有することを特徴とする請求項6に記載の液体処理装置。
【請求項8】
前記処理槽から溢れ出た前記処理液を回収する回収槽を備えることを特徴とする請求項1に記載の液体処理装置。
【請求項9】
前記処理槽は、前記周壁部の外側の上端から下方に向かって前記周壁部の外面を切り欠く少なくとも1つの溝部を有することを特徴とする請求項8に記載の液体処理装置。
【請求項10】
前記ワークを保持するワーク保持機構を備え、
前記ワーク保持機構は、前記ワークの表面とは反対側を吸着しながら、前記ワークを保持することを特徴とする請求項1に記載の液体処理装置。
【請求項11】
前記ワーク保持機構は、前記ワークを保持した状態で上下方向に移動自在に操作されることを特徴とする請求項10に記載の液体処理装置。
【請求項12】
前記ワーク保持機構は、前記ワークを保持した状態で軸回りに回転自在に操作されることを特徴とする請求項10に記載の液体処理装置。
【請求項13】
前記処理液がエッチング液であることを特徴とする請求項1に記載の液体処理装置。
【請求項14】
前記処理液がリンス液であることを特徴とする請求項1に記載の液体処理装置。
【請求項15】
前記ワークがウェハであることを特徴とする請求項1に記載の液体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ウェハなどのワークの表面をエッチング液などの処理液により処理する液体処理装置がある(例えば、下記特許文献1,2を参照。)。
【0003】
具体的に、下記特許文献1には、結晶系半導体基板をエッチング液に接触させてエッチングする方法であって、結晶系半導体基板の下方面を含む上方面以外の部分または下方面のみがエッチング液に接触するように前記結晶系半導体基板を前記エッチング液の液面近傍に保持し、前記結晶系半導体基板の下方面を含む上方面以外の部分または下方面のみをエッチングすることを特徴とする結晶系半導体基板のエッチング方法が記載されている。
【0004】
一方、下記特許文献2には、シリコンオンインシュレータウェハの主面側に接着層をもつシートによって固定して、上記ウェハの主面と逆の面を吹き上げガイドからのエッチャントにさらし、上記エッチャントを上記ウェハの周囲から上記接着層に触れないように吸い込むことを特徴とする半導体装置の製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-286821号公報
【特許文献2】特開2000-260745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した特許文献1に記載の発明では、基板の端部を保持することで、この基板の端部がエッチングされなくなる。また、エッチング液の液面の高さによっては、基板の表面がエッチングされなくなるため、液面の高さを高精度に制御する必要がある。さらに、エッチング液の入れ替えがないため、基板に対するエッチングが進むことで、エッチング液の性能が低下することになる。
【0007】
一方、特許文献2に記載の発明では、ガイドの中心から吹き上がるエッチャント(エッチング液)にウェハをさらすことで、ウェハの中心のエッチングが周囲よりも進行してしまい、ウェハを全面に亘って均一にエッチングすることが困難となる。
【0008】
また、特許文献1,2に記載の発明では、ウェハの端部を支持部で保持しているため、端部がエッチングできなくなる。このため、ウェハの端部が不活性となり、例えばエピ成長の成長速度や結晶性に影響するという問題が生じてしまう。
【0009】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、処理液によりワークの端部を含む表面を均一に処理することを可能とした液体処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 ワークの表面を処理液により処理する液体処理装置であって、
前記処理液が収容された処理槽と、
前記処理槽に前記処理液を供給する液供給部とを備え、
前記処理槽は、底壁部と、前記底壁部の周囲から立ち上がる周壁部と、前記周壁部の上部が開口した上部開口部とを有し、
前記上部開口部は、前記ワークの表面と平行な面内において、前記ワークの外形に対応した形状を有し、
前記処理液の表面張力により前記上部開口部よりも上方に盛り上がる前記処理液の液面に対して、前記ワークの表面を接触させながら処理を行うことを特徴とする液体処理装置。
〔2〕 前記ワークの表面とは反対側に前記処理液が回り込まない程度に、前記処理液の液面に対して前記ワークの表面を全面に亘って接触させながら処理を行うことを特徴とする前記〔1〕に記載の液体処理装置。
〔3〕 前記処理槽は、少なくとも前記周壁部の上端に角部を有し、且つ、前記角部が前記周壁部の最上部に位置して、前記上部開口部を形成していることを特徴とする前記〔1〕に記載の液体処理装置。
〔4〕 前記液供給部は、前記底壁部に設けられた供給口から前記処理液を供給することを特徴とする前記〔1〕に記載の液体処理装置。
〔5〕 前記処理槽の内側に前記供給口と対向するバッフルが設けられていることを特徴とする前記〔4〕に記載の液体処理装置。
〔6〕 前記液供給部は、前記処理槽の下方に位置して、前記処理液を貯留する貯留槽と、
前記供給口と接続された状態で、前記貯留槽の内側へと垂下された供給管と、
前記貯留槽内を加圧することによって、前記供給管を通して前記貯留槽内の前記処理液を前記供給口側へと押し上げる加圧機構とを有することを特徴とする前記〔4〕に記載の液体処理装置。
〔7〕 前記液供給部は、前記貯留槽内の前記処理液を加熱するヒータを有することを特徴とする前記〔6〕に記載の液体処理装置。
〔8〕 前記処理槽から溢れ出た前記処理液を回収する回収槽を備えることを特徴とする前記〔1〕に記載の液体処理装置。
〔9〕 前記処理槽は、前記周壁部の外側の上端から下方に向かって前記周壁部の外面を切り欠く少なくとも1つの溝部を有することを特徴とする前記〔8〕に記載の液体処理装置。
〔10〕 前記ワークを保持するワーク保持機構を備え、
前記ワーク保持機構は、前記ワークの表面とは反対側を吸着しながら、前記ワークを保持することを特徴とする前記〔1〕に記載の液体処理装置。
〔11〕 前記ワーク保持機構は、前記ワークを保持した状態で上下方向に移動自在に操作されることを特徴とする前記〔10〕に記載の液体処理装置。
〔12〕 前記ワーク保持機構は、前記ワークを保持した状態で軸回りに回転自在に操作されることを特徴とする前記〔10〕に記載の液体処理装置。
〔13〕 前記処理液がエッチング液であることを特徴とする前記〔1〕に記載の液体処理装置。
〔14〕 前記処理液がリンス液であることを特徴とする前記〔1〕に記載の液体処理装置。
〔15〕 前記ワークがウェハであることを特徴とする前記〔1〕に記載の液体処理装置。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、処理液によりワークの端部を含む表面を均一に処理することを可能とした液体処理装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施形態に係るエッチング装置の構成を示す断面図である。
図2図1に示すエッチング装置が備える処理槽及び回収槽を上方側から見た平面図である。
図3】エッチング液の液面とウェハの表面との接触状態を説明するための断面図である。
図4】処理槽の別の構成例を示す断面図である。
図5】処理槽の別の構成例を示す断面図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係るリンス装置の構成を示す断面図である。
図7】本発明の第3の実施形態に係る半導体ウェハの製造装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがあり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0014】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態として、例えば図1図5に示すエッチング装置1について説明する。
【0015】
なお、図1は、エッチング装置1の構成を示す断面図である。図2は、エッチング装置1が備える処理槽2及び回収槽3を上方側から見た平面図である。図3は、エッチング液ELの液面とウェハWの表面との接触状態を説明するための断面図である。図4は、処理槽2の別の構成例を示す断面図である。図5は、処理槽2の別の構成例を示す断面図である。
【0016】
本実施形態のエッチング装置1は、図1及び図2に示すように、処理液としてエッチング液ELを用いて、ワークとなるウェハWの端部を含む表面をエッチング処理する液体処理装置である。
【0017】
具体的に、このエッチング装置1は、エッチング液ELが収容された処理槽2と、処理槽2から溢れ出たエッチング液ELを回収する回収槽3と、処理槽2にエッチング液ELを供給する液供給部4と、ウェハWを保持するワーク保持機構5とを備えている。
【0018】
処理槽2は、平面視で円形状の底壁部2aと、底壁部2aの周囲から立ち上がる円筒状の周壁部2bと、周壁部2bの上部が開口した上部開口部2cとを有している。
【0019】
上部開口部2cは、ウェハWの表面と平行な面内において、ウェハWの外形に対応した形状を有している。すなわち、この上部開口部2cは、円板状のウェハWの外形に合わせて、平面視で円形状に開口している。
【0020】
エッチング液ELは、その表面張力により上部開口部2cよりも上方に液面が盛り上がる程度に処理槽2の内側に収容されている。
【0021】
処理槽2では、エッチング液ELの表面張力により上部開口部2cよりも上方にエッチング液ELの液面が盛り上がるように、少なくとも周壁部2bの上端に角部2dを有し、且つ、この角部2dが周壁部2bの最上部に位置して、上部開口部2cを形成している。
【0022】
本実施形態では、周壁部2bの外側の上端及び内側の上端に直角の角部2dを有して、周壁部2bの上端面2eが平面により構成されている。これにより、エッチング液ELの液面が表面張力により盛り上がり易くなる。
【0023】
一方、周壁部2bの外側の上端及び内側の上端に面取りが施されている場合、エッチング液ELの液面が表面張力により盛り上がり難くなる。
【0024】
底壁部2aには、処理槽2の内側にエッチング液ELを供給する供給口6が設けられている。供給口6は、底壁部2aの中央部を平面視で円形状に貫通して設けられている。
【0025】
また、処理槽2の内側には、この供給口6と対向するバッフル7が設けられている。バッフル7は、円板状の部材(バッフル板)であり、供給口6と対向する位置に底壁部2aから支持された状態で取り付けられている。
【0026】
本実施形態のエッチング装置1では、供給口6から供給されるエッチング液ELの流れをバッフル7により底壁部2aの周囲へと広げることで、エッチング液ELの液面に例えば波打ちや液面の中心の盛り上がりなどの変動が生じることを抑制している。
【0027】
周壁部2bの外面には、少なくとも1つ以上の溝部8が設けられている。溝部8は、周壁部2bの外側の上端から下方に向かって周壁部2bの外面を切り欠くように設けられている。
【0028】
本実施形態では、複数の溝部8が周壁部2bの周方向に間隔を空けて並んで設けられている。また、溝部8は、数μm程度の幅及び深さで形成されている。溝部8の幅や深さは、それぞれ0.5~10μmの範囲で形成してもよく、エッチング液ELの粘度によっては滴下しにくくなるため、それ以下でもそれ以上で設計してもよい。
【0029】
本実施形態のエッチング装置1では、溝部8に生じる毛細管現象によって、処理槽2から溢れ出たエッチング液ELを溝部8に沿って速やかに滴下させることが可能である。
【0030】
なお、本実施形態では、周壁部2bの周方向に間隔を空けて複数の溝部8が並んで設けられているが、溝部8の数によって滴下量を制御できるため、少なくとも1つの溝部8を設けた構成であればよい。また、周壁部2bの周囲に180°間隔で2つの溝部8や120°間隔で3つの溝部8を設けた構成としてもよい。
【0031】
回収槽3は、処理槽2の底壁部2aに連続して周壁部2bの下部から全周に亘って周壁部2bよりも外側に向かって突出された底壁部3aと、処理槽2の周壁部2bを同心円状に囲むように底壁部3aから周壁部2bよりも高く立ち上がった円筒状の周壁部3bとを有している。
【0032】
回収槽3では、処理槽2から溢れ出たエッチング液ELを内側に収容して回収することが可能である。
【0033】
液供給部4は、処理槽2の下方に位置して、エッチング液ELを貯留する貯留槽9と、供給口6と接続された状態で、貯留槽9の内側へと垂下された供給管10と、貯留槽9内を加圧することによって、供給管10を通して貯留槽9内のエッチング液ELを供給口6側へと押し上げる加圧機構11と、貯留槽9内のエッチング液ELを加熱するヒータ12とを有している。
【0034】
貯留槽9は、平面視で円形状の底壁部9aと、底壁部9aの周囲から立ち上がる円筒状の周壁部9bと、周壁部9bの上部を閉塞する上壁部9cと、底壁部9aの中央部を平面視で円形状に貫通する孔部9dと、上壁部9cに連続して周壁部9bの上部から全周に亘って周壁部9bよりも外側に向かって突出されたフランジ部9eとを有している。
【0035】
貯留槽9は、処理槽2及び回収槽3の底壁部2a,3aに上壁部9c及びフランジ部9eを突き合わせた状態で、処理槽2の下方に一体に取り付けられている。また、回収槽3の底壁部3aと貯留槽9のフランジ部9eとの間には、その間を気密に封止するリング状シール部材13が挟み込まれた状態で配置されている。
【0036】
供給管10は、長尺の円筒管であり、その上端部が孔部9dの内側に位置する継手10aを介して供給口6と接続されると共に、その下端部が貯留槽9の底壁部9a近傍まで垂下されている。
【0037】
加圧機構11は、貯留槽9に加圧ガスGを導入するガス導入配管14aと、ガス導入配管14aを開閉する入側ガス開閉弁15aと、貯留槽9から加圧ガスGを導出するガス導出配管14bと、ガス導出配管14bを開閉する出側ガス開閉弁15bとを有している。
【0038】
加圧ガスGとしては、例えば窒素ガスや空気などを用いることができる。ガス導入配管14a及びガス導出配管14bは、貯留槽9内に貯留されたエッチング液ELの液面よりも上方に位置するように、貯留槽9の周壁部9bを貫通して設けられている。
【0039】
加圧機構11では、入側ガス開閉弁15a及び出側ガス開閉弁15bの開閉を制御しながら、ガス導入配管14a介して貯留槽9に加圧ガスGを導入することで、貯留槽9内を加圧する一方、ガス導出配管14b介して貯留槽9から加圧ガスGを導出することで、貯留槽9内を減圧することが可能である。
【0040】
したがって、液供給部4では、加圧機構11により貯留槽9内の圧力を調整しながら、供給管10を通して貯留槽9内のエッチング液ELを供給口6側へと押し上げることで、この供給口6を通して処理槽2の内側へとエッチング液ELを供給することが可能である。
【0041】
ヒータ12としては、例えば電熱ヒータなどを用いることができる。ヒータ12は、貯留槽9の底壁部9a及び周壁部9bを囲むように配置されて、貯留槽9内のエッチング液ELを例えば常温~150℃程度に加熱することが可能である。
【0042】
ワーク保持機構5は、ウェハWの処理される表面とは反対側の面(裏面)を複数の吸着部5aを介して吸着しながら、ウェハWを吊り下げた状態で保持する。ワーク保持機構5は、ウェハWを保持した状態で上下方向に移動自在に操作される。また、ワーク保持機構5は、ウェハWを保持した状態で軸回りに回転自在に操作される。
【0043】
また、本実施形態のエッチング装置1は、貯留槽9にエッチング液ELを導入する液導入配管16aと、液導入配管16aを開閉する入側液開閉弁17aと、貯留槽9からエッチング液ELを導出する液導出配管16bと、液導出配管16bを開閉する出側液開閉弁17bと、回収槽3と貯留槽9との間を接続する液戻し配管16cと、液戻し配管16cを開閉する液戻し開閉弁17cと、回収槽3からエッチング液ELを導出する廃液配管16dと、廃液配管15dを開閉する廃液開閉弁17dとを有している。
【0044】
液導入配管16a及び液戻し配管16cは、ガス導入配管14a及びガス導出配管14bよりも下方、且つ、貯留槽9内に貯留されたエッチング液ELの液面よりも上方に位置するように、貯留槽9の周壁部9bを貫通して設けられている。液導出配管16bは、貯留槽9の底壁部9a近傍の周壁部9bを貫通して設けられている。液戻し配管16c及び廃液配管16dは、回収槽3の底壁部3a近傍の周壁部3bを貫通して設けられている。
【0045】
本実施形態のエッチング装置1では、入側液開閉弁17aの開閉を制御しながら、液導入配管16aを介して貯留槽9にエッチング液ELを導入する一方、出側液開閉弁17bの開閉を制御しながら、液導出配管16b介して貯留槽9からエッチング液ELを導出することが可能である。
【0046】
また、本実施形態のエッチング装置1では、液戻し開閉弁17cの開閉を制御しながら、液戻し配管16cを介して回収槽3において回収したエッチング液ELを貯留槽9へと戻すことが可能である。
【0047】
また、本実施形態のエッチング装置1では、廃液開閉弁17dの開閉を制御しながら、廃液配管16dを介して回収槽3において回収したエッチング液ELを回収槽3の外部へと排出することが可能である。
【0048】
以上のような構成を有する本実施形態のエッチング装置1では、上述した処理槽2において、エッチング液ELの表面張力により上部開口部2cよりも上方に盛り上がるエッチング液ELの液面に対して、ウェハWの端部を含む表面を接触させながらエッチング処理を行う。
【0049】
このとき、ウェハWの表面とは反対側にエッチング液ELが回り込まない程度に、エッチング液ELの液面に対してウェハWの端部を含む表面を全面に亘って接触させながらエッチング処理を行う。
【0050】
これにより、ウェハWの表面とは反対側にエッチング液ELが回り込むのを防ぎつつ、ウェハWの端部を含む表面をエッチング液ELにより均一にエッチング処理することが可能である。
【0051】
また、ウェハWの表面とは反対側にエッチング液ELが回り込むのを防ぐためには、ウェハWの表面と平行な面内において、上部開口部2cがウェハWの外形に対応した形状を有することが好ましい。
【0052】
例えば、図3(A)に示すように、上部開口部2cがウェハWの外形よりも小さ過ぎる場合は、上方への表面張力が減るため、ウェハWの表面とは反対側にエッチング液ELが回り込み易くなる。
【0053】
一方、図3(B)に示すように、上部開口部2cがウェハWの外形よりも大き過ぎる場合は、特にウェハWの端部e側の液量が減るため、エッチング液ELの液面に対してウェハWの端部eを含む表面を全面に亘って接触させ難くなる。
【0054】
これに対して、図3(C)に示すように、上部開口部2cがウェハWの外形とほぼ一致する(同形)の場合は、ウェハWの表面とは反対側にエッチング液ELが回り込むことなく、ウェハWの端部eを含む表面から端面fまでエッチング液ELを接触させることが可能である。
【0055】
また、図3(D)に示すように、上部開口部2cがウェハWの外形よりも僅かに(例えば1mmほど)大きい場合でも、ウェハWの表面とは反対側にエッチング液ELが回り込むことなく、エッチング液ELの液面に対してウェハWの端部eを含む表面を全面に亘って接触させることが可能である。
【0056】
ワーク保持機構5は、エッチング処理の際に、ウェハWを保持した状態で上方から下降し、エッチング液ELの液面に対してウェハWの端部を含む表面が全面に亘って接触する高さにて緩やかに停止させる。エッチング処理の後は、ウェハWを保持した状態で上昇し、エッチング液ELの液面からウェハWを離間させる。
【0057】
本実施形態のエッチング装置1では、上述したエッチング処理の際に、処理槽2おけるエッチング液ELの液面高さが変化せず、なお且つ、このエッチング液ELの液面に波打ちなどの変動が生じないように、処理槽2の底壁部2aに設けられた供給口6からエッチング液ELを緩やかに供給する。
【0058】
具体的に、本実施形態では、処理槽2に供給されるエッチング液ELの流量を0.01~10cc/min程度としている(より好ましくは0.1~2cc/minである。)。
【0059】
これにより、エッチング液ELの液面に波打ちなどの変動が生じさせることなく、ウェハWの端部を含む表面をエッチング液ELにより均一にエッチング処理することが可能である。
【0060】
なお、上記特許文献2のような吹上式の場合、ウェハの全面にエッチング液を吹きかけるため、約1000cc/min程度の流量となる。この場合、ウェハの中心のエッチングが周囲よりも進行してしまい、ウェハを全面に亘って均一にエッチングすることが困難となる。特に、支持部で隠れているウェハの端面をエッチングすることが困難となる。また、ウェハWの表面とは反対側にエッチング液ELが回り込み易くなる。
【0061】
液供給部4では、上述した最適な流量でエッチング液ELを処理槽2に供給するため、例えば、加圧ガスGとして、窒素ガス(N/DA)を用いて、加圧機構11により貯留槽9内を0.001~0.1MPa程度に加圧する。なお、供給口6の径は、0.1~1.0mm程度である。
【0062】
液供給部4では、上述した加圧機構11により貯留槽9内を加圧しながら、供給管10を通して貯留槽9内のエッチング液ELを供給口6側へと押し上げることで、処理槽2に供給されるエッチング液ELの流量を0.01~10cc/min程度に制御することが可能である。
【0063】
なお、本発明は、上記実施形態のエッチング装置1の構成に必ずしも限定されるものではなく、その構成について適宜変更を加えることが可能である。
【0064】
具体的に、上記エッチング装置1では、上記処理槽2の代わりに、例えば図4に示すような処理槽2Aを備えた構成としてもよい。図4に示す処理槽2Aは、上記処理槽2のうち、周壁部2bの上端部の形状が異なっている。
【0065】
すなわち、この処理槽2Aでは、周壁部2bの外側の上端の角部2dが内側の上端の角部2dよりも上方(周壁部2bの最上部)に位置して、周壁部2bの上端面2eが傾斜面により構成されている。これにより、エッチング液ELの液面を表面張力により盛り上がり易くすることが可能である。
【0066】
また、上記エッチング装置1では、上記処理槽2の代わりに、例えば図5に示すような処理槽2Bを備えた構成としてもよい。図5に示す処理槽2Bは、上記処理槽2のうち、周壁部2bの形状が異なっている。
【0067】
すなわち、この処理槽2Bでは、上部開口部2cを形成する周壁部2bの上端部の外径に対して、周壁部2bの高さ方向の中途部から底壁部2aまでの外径が縮径された形状となっている。これにより、処理槽2Bに収容されるエッチング液ELの液量を上記処理槽2よりも少なくすることが可能である。
【0068】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態として、例えば図6に示すリンス装置50について説明する。
なお、図6は、リンス装置50の構成を示す断面図である。
【0069】
本実施形態のリンス装置50は、図6に示すように、処理液としてリンス液RLを用いて、ワークとなるウェハWの端部を含む表面をリンス処理する液体処理装置である。なお、リンス液RLには、純水が用いられる。
【0070】
具体的に、このリンス装置50は、リンス液RLが収容された処理槽51と、処理槽51にリンス液RLを供給する液供給部52と、ウェハWを保持するワーク保持機構53とを備えている。なお、ワーク保持機構53は、上記ワーク保持機構5と基本的に同じ構成を有している。
【0071】
処理槽51は、平面視で円形状の底壁部51aと、底壁部51aの周囲から立ち上がる円筒状の周壁部51bと、周壁部51bの上部が開口した上部開口部51cとを有している。
【0072】
上部開口部51cは、ウェハWの表面と平行な面内において、ウェハWの外形に対応した形状を有している。すなわち、この上部開口部51cは、円板状のウェハWの外形に合わせて、平面視で円形状に開口している。
【0073】
リンス液RLは、その表面張力により上部開口部51cよりも上方に液面が盛り上がる程度に処理槽51の内側に収容されている。
【0074】
処理槽51では、リンス液RLの表面張力により上部開口部51cよりも上方にリンス液RLの液面が盛り上がるように、少なくとも周壁部51bの上端に角部51dを有し、且つ、この角部51dが周壁部51bの最上部に位置して、上部開口部51cを形成している。
【0075】
本実施形態では、周壁部51bの外側の上端及び内側の上端に直角の角部51dを有して、周壁部51bの上端面51eが平面により構成されている。これにより、リンス液RLの液面が表面張力により盛り上がり易くなる。
【0076】
液供給部52は、処理槽51にリンス液RLを導入する液供給配管52aと、液供給配管52aを開閉する開閉弁52bとを有している。液供給配管52aは、処理槽51の底壁部51a近傍の周壁部51bを貫通して設けられている。
【0077】
本実施形態のリンス装置50では、開閉弁52bの開閉を制御しながら、液供給配管52aを介して処理槽51にリンス液RLを供給することが可能である。
【0078】
以上のような構成を有する本実施形態のリンス装置50では、上述した処理槽51において、リンス液RLの表面張力により上部開口部51cよりも上方に盛り上がるリンス液RLの液面に対して、ウェハWの端部を含む表面を接触させながらリンス処理を行う。
【0079】
このとき、ウェハWの表面とは反対側にリンス液RLが回り込まない程度に、リンス液RLの液面に対してウェハWの端部を含む表面を全面に亘って接触させながらリンス処理を行う。
【0080】
これにより、ウェハWの表面とは反対側にリンス液RLが回り込むのを防ぎつつ、ウェハWの端部を含む表面をリンス液RLにより均一にリンス処理することが可能である。
【0081】
また、ウェハWの表面とは反対側にリンス液RLが回り込むのを防ぐためには、ウェハWの表面と平行な面内において、上部開口部51cがウェハWの外形に対応した形状を有することが好ましい。
【0082】
ワーク保持機構5は、リンス処理の際に、ウェハWを保持した状態で上方から下降し、リンス液RLの液面に対してウェハWの端部を含む表面が全面に亘って接触する高さにて緩やかに停止させる。リンス処理の後は、ウェハWを保持した状態で上昇し、リンス液RLの液面からウェハWを離間させる。
【0083】
本実施形態のリンス装置50では、上述したリンス処理の際に、処理槽51おけるリンス液RLの液面高さが変化せず、なお且つ、このリンス液RLの液面に波打ちなどの変動が生じないように、液供給部52からリンス液RLを緩やかに供給する。
【0084】
具体的に、本実施形態では、処理槽51に供給されるリンス液RLの流量を0.01~10cc/min程度としている(より好ましくは0.1~2cc/minである。)。
【0085】
これにより、リンス液RLの液面に波打ちなどの変動が生じさせることなく、ウェハWの端部を含む表面をリンス液RLにより均一にリンス処理することが可能である。
【0086】
なお、本発明は、上記実施形態のリンス装置50の構成に必ずしも限定されるものではなく、その構成について適宜変更を加えることが可能である。
【0087】
具体的に、上記リンス装置50では、上記処理槽51の構成において、上記図4に示す処理槽2Aや、上記図5に示す処理槽2Bと同様の変更を加えることが可能である。
【0088】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態として、例えば図7に示す半導体ウェハの製造装置100について説明する。
なお、図7は、半導体ウェハの製造装置100を示す模式図である。
【0089】
本実施形態の半導体ウェハの製造装置100は、図7に示すように、上記エッチング装置1及びリンス装置50を備え、ウェハWの面上に半導体素子を形成する半導体ウェハの製造工程において、その前工程チャンバ101と後工程チャンバ102との間で、ウェハWのエッチング処理及びリンス処理を行う。
【0090】
前工程チャンバ101とエッチング装置1との間及び後工程チャンバ102とリンス装置50との間には、それぞれウェハWの位置決めを行う位置決めステージ103,104が設けられている。
【0091】
また、エッチング装置1及びリンス装置50の近傍には、ウェハWの搬送を行う搬送用ロボット105が設けられている。搬送用ロボット105は、上記ワーク保持機構5を備え、このワーク保持機構5によりウェハWを保持しながら、各部の間でウェハWの搬送を行う。
【0092】
本実施形態の半導体ウェハの製造装置100では、前工程チャンバ101から搬送されるウェハWを位置決めステージ103で位置決めした後に、上述したエッチング装置1によるウェハWのエッチング処理を行う。
【0093】
また、エッチング処理の後に、上述したリンス装置50によるウェハWのリンス処理を行う。その後、ウェハWは、位置決めステージ104で位置決めした後に、後工程チャンバ102へと搬送される。
【0094】
以上のように、本実施形態の半導体ウェハの製造装置100では、上述したエッチング装置1を用いて、ウェハWのエッチング処理を適切に行うと共に、上述したリンス装置50を用いて、ウェハWのリンス処理を適切に行うことが可能である。
【0095】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0096】
例えば、上記実施形態では、ワークとして、ウェハWの端部を含む表面をエッチング液ELやリンス液RLの処理液により処理する場合を例示しているが、ウェハW以外にもワークの表面を処理液により処理する場合に対して本発明を幅広く適用することが可能である。
【0097】
また、上記上部開口部2c,51cについても、ワークの外形に対応して、その形状を適宜変更することが可能である。
【0098】
また、上記ワーク保持機構5,53がワークWを保持した状態で軸回りに回転する場合、ワークWの外形は円形状のものがよい。これは、上部開口部2c,51cとワークWとの隙間がないため、表面張力を維持しやすくなり、エッチング液ELやリンス液RLの回り込みを防ぐことができるためである。また、ワーク保持機構5,53が静止状態であれば、ワークWの外形は円形以外でもよく、例えば、半円形や扇形、多角形や不定形のものでもよく、上部開口部2c,51cもそのワークWの形状に対応した形状に適宜変更すればよい。
【0099】
なお、上記上部開口部2c,51cについては、ウェハWの外形に対応した形状を有するものの、円板状のウェハWの中には、例えばオリエンテーション・フラット(いわゆるオリフラ)などのウェハWの一部をカットした形状を有するものがある。
【0100】
この場合、上記上部開口部2c,51cをオリフラに対応した形状に必ずしも変更する必要はなく、ウェハWの表面とは反対側に処理液が回り込まない範囲で、上記上部開口部2c,51cを平面視で円形状に開口した形状のままとしてもよい。
【符号の説明】
【0101】
1…エッチング装置(液体処理装置) 2,2A,2B…処理槽 3…回収槽 4…液供給部 5…ワーク保持機構 6…供給口 7…バッフル 8…溝部 9…貯留槽 10…供給管 11…加圧機構 12…ヒータ 50…リンス装置(液体処理装置) 51…処理槽 52…液供給部 53…ワーク保持機構 100…半導体ウェハの製造装置 101…前工程チャンバ 102…後工程チャンバ 103,104…位置決めステージ 105…搬送用ロボット W…ウェハ(ワーク) EL…エッチング液(処理液) RL…リンス液(処理液)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7