(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112477
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】リークガス回収装置、および浮体
(51)【国際特許分類】
B63B 25/16 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
B63B25/16 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017511
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】518022743
【氏名又は名称】三菱造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雅之
(72)【発明者】
【氏名】川野 三浩
(72)【発明者】
【氏名】金子 秀明
(57)【要約】
【課題】リークガスをより効率的に回収可能なリークガス回収装置、および浮体を提供する。
【解決手段】リークガス回収装置は、リークガスが流通するリークガスラインと、リークガスと混合された場合にリークガスとの比重差によって上下方向一方側に分離される第1ガスが貯留されているとともに、リークガスラインによって上下方向他方側からリークガスが供給されるチャンバと、チャンバの上下方向一方側に接続された排出ラインと、排出ラインに設けられた遮断弁と、チャンバにおける上下方向一方側の部分と、遮断弁よりもチャンバに近い側の排出ラインとの少なくとも一方に設けられて、リークガスの濃度を検出するガスセンサと、ガスセンサが検出する濃度が閾値を超えた場合に、遮断弁を開状態から閉状態とする制御装置と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リークガスが流通するリークガスラインと、
前記リークガスと混合された場合に前記リークガスとの比重差によって上下方向一方側に分離される第1ガスが貯留されているとともに、前記リークガスラインによって上下方向他方側から前記リークガスが供給されるチャンバと、
前記チャンバの上下方向一方側に接続された排出ラインと、
前記排出ラインに設けられた遮断弁と、
前記チャンバにおける上下方向一方側の部分と、前記遮断弁よりも前記チャンバに近い側の前記排出ラインとの少なくとも一方に設けられて、前記リークガスの濃度を検出するガスセンサと、
前記ガスセンサが検出する前記濃度が閾値を超えた場合に、前記遮断弁を開状態から閉状態とする制御装置と、
を備えるリークガス回収装置。
【請求項2】
前記チャンバ内に前記第1ガスを導入可能なガス導入ラインと、
前記ガス導入ラインに設けられた導入弁と、
前記チャンバ内に溜まった前記リークガスを前記チャンバの外部に燃料として供給可能な燃料ラインと、
前記燃料ラインに設けられた燃料弁と、
を更に備え、
前記制御装置は、前記ガスセンサが検出する前記濃度が前記閾値を超えた場合に、前記導入弁および前記燃料弁を閉状態から開状態とする
請求項1に記載のリークガス回収装置。
【請求項3】
前記ガス導入ラインは、前記チャンバにおける上下方向一方側の部分と、前記遮断弁よりも前記チャンバに近い側の前記排出ラインとの少なくとも一方に接続されている
請求項2に記載のリークガス回収装置。
【請求項4】
前記チャンバにおける前記上下方向一方側の部分は、前記チャンバにおける前記上下方向他方側の部分よりも小さい断面積を有した前記チャンバ内の空間を形成する縮小部を有し、
前記ガスセンサは、前記縮小部に設けられている
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載のリークガス回収装置。
【請求項5】
前記縮小部は、
上下方向一方側に向かうにしたがって前記断面積が小さくなる第1部分と、
前記第1部分に上下方向一方側から接続されて、前記断面積が一定の第2部分と、
を有し、
前記ガスセンサは、前記第2部分に設けられている
請求項4に記載のリークガス回収装置。
【請求項6】
前記縮小部は、
前記第2部分に上下方向一方側から接続されて、前記断面積が前記第2部分よりも大きい第3部分を更に有する
請求項5に記載のリークガス回収装置。
【請求項7】
前記縮小部は、前記断面積が一定の管部である
請求項4に記載にリークガス回収装置。
【請求項8】
前記縮小部よりも上下方向一方側に設けられ、前記断面積が前記縮小部よりも大きい小チャンバを更に備える
請求項7に記載のリークガス回収装置。
【請求項9】
前記リークガスラインは、第1リークガスラインおよび第2リークガスラインを有し、
前記チャンバは、前記第1リークガスラインが接続された第1チャンバ、および前記第2リークガスラインが接続された第2チャンバを有し、
前記排出ラインは、前記第1チャンバに接続された第1排出ライン、および前記第2チャンバに接続された第2排出ラインを有し、
前記遮断弁は、前記第1排出ラインに設けられた第1遮断弁、および前記第2排出ラインに設けられた第2遮断弁を有し、
前記ガスセンサは、前記第1チャンバにおける上下方向一方側の部分と、前記第1遮断弁よりも前記第1チャンバに近い側の前記第1排出ラインとの少なくとも一方に設けられた第1ガスセンサ、および前記第2チャンバにおける上下方向一方側の部分と、前記第2遮断弁よりも前記第2チャンバに近い側の前記第2排出ラインとの少なくとも一方に設けられた第2ガスセンサを有し、
前記制御装置は、
前記第1ガスセンサが検出する前記濃度が前記閾値を超え、かつ前記第2ガスセンサが検出する前記濃度が前記閾値に満たない場合に、前記第1遮断弁を開状態から閉状態にするとともに前記第2遮断弁を閉状態から開状態とし、
前記第2ガスセンサが検出する前記濃度が前記閾値を超え、かつ前記第1ガスセンサが検出する前記濃度が前記閾値に満たない場合に、前記第2遮断弁を開状態から閉状態とするとともに前記第1遮断弁を閉状態から開状態とする
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載のリークガス回収装置。
【請求項10】
浮体本体と、
前記浮体本体に設けられた燃焼機器と、
前記燃焼機器に圧縮した燃料を供給する燃料供給装置と、
前記燃料供給装置から漏出した前記燃料が前記リークガスとして前記リークガスラインに導入される請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載のリークガス回収装置と、
を備える浮体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、リークガス回収装置、および浮体に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶に代表される浮体には、ボイラや発電機などの機器にLNG(Liquefied Natural Gas)やアンモニアなどのガス燃料を供給するためのガスコンプレッサが設けられることがある。ガスコンプレッサでは、シャフトの摺動部などから僅かにガス燃料が漏出する場合がある。ガスコンプレッサから漏出したガス燃料(リークガス)は、大気中に放出されてしまう。
【0003】
一方で、昨今の環境規制の強化に伴い、例えば規制対象成分を含むガス燃料などの大気中への放出をゼロにするための施策が期待されている。例えば特許文献1には、第1タービンの軸封シール部から漏洩したリークガスを、第1漏洩ガス導入管を通じてガス燃焼装置に導いて燃焼させる動力回収システムが開示されている。特許文献1に記載の技術によれば、機器からのリークガスを回収して、回収したリークガスを他の機器で利用することで、大気中へのリークガス放出を回避している。また、特許文献1に記載の技術によれば、送風機を用いることでリークガスの圧力を高めて、当該リークガスが第1漏洩ガス供給管を流れるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、リークガスをより効率的に回収する技術が期待されている。
【0006】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、リークガスをより効率的に回収可能なリークガス回収装置、および浮体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示に係るリークガス回収装置は、リークガスが流通するリークガスラインと、前記リークガスと混合された場合に前記リークガスとの比重差によって上下方向一方側に分離される第1ガスが貯留されているとともに、前記リークガスラインによって上下方向他方側から前記リークガスが供給されるチャンバと、前記チャンバの上下方向一方側に接続された排出ラインと、前記排出ラインに設けられた遮断弁と、前記チャンバにおける上下方向一方側の部分と、前記遮断弁よりも前記チャンバに近い側の前記排出ラインとの少なくとも一方に設けられて、前記リークガスの濃度を検出するガスセンサと、前記ガスセンサが検出する前記濃度が閾値を超えた場合に、前記遮断弁を開状態から閉状態とする制御装置と、を備える。
【0008】
本開示に係る浮体は、浮体本体と、前記浮体本体に設けられた燃焼機器と、前記燃焼機器に圧縮した燃料を供給する燃料供給装置と、前記燃料供給装置から漏出した前記燃料が前記リークガスとして前記リークガスラインに導入される上記のリークガス回収装置と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、リークガスをより効率的に回収可能なリークガス回収装置、および浮体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施形態に係る浮体の側面図である。
【
図2】本開示の第1実施形態に係るリークガス回収装置の構成を示す図である。
【
図3】本開示の第1実施形態に係る制御装置の動作に伴って変化するチャンバ内の状態を示す図である。
【
図4】本開示の第2実施形態に係るリークガス回収装置の構成を示す図である。
【
図5】本開示の第3実施形態に係るリークガス回収装置の構成を示す図である。
【
図6】本開示の第4実施形態に係るリークガス回収装置の構成を示す図である。
【
図7】本開示の第5実施形態に係るリークガス回収装置の構成を示す図である。
【
図8】本開示のその他の実施形態に係るリークガス回収装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本開示による浮体を実施するための形態を説明する。
【0012】
<浮体の第1実施形態>
本実施形態では、浮体は、液化ガスを燃料とする船舶である。液化ガスには、例えば、メタン(CH4)などを含むLNG(Liquefied Natural Gas)や、アンモニア(NH3)などが挙げられる。なお、船舶の船種は、特定のものに限られることはない。船舶の船種には、例えば液化ガス運搬船、フェリー、RO-RO船、自動車運搬船、客船などが挙げられる。
【0013】
図1に示すように、浮体1は、例えば、浮体本体10と、上部構造20と、タンク30と、燃焼機器40と、燃料供給装置50と、リークガス回収装置60と、ベントポスト100とを備えている。
【0014】
(浮体本体)
浮体本体10は、舷側11a,11bと、船底12と、上甲板13とを有している。舷側11a,11bは、左右の舷側11a、および舷側11bをそれぞれ形成する一対の舷側外板を有している。船底12は、これら舷側11a,11bを接続する船底外板を有している。上甲板13は、一対の舷側外板に亘って設けられている。
【0015】
これら舷側11a,11b、船底12、および上甲板13により、浮体本体10の外殻は、船首尾方向FAに直交する断面視で、箱型形状を成している。本実施形態では、船首尾方向FAは、浮体本体10の船尾15から船首14にかけて延びる方向(
図1中の左右方向)を意味する。
【0016】
(上部構造)
上部構造20は、上甲板13から上下方向Dv(図面中の上下方向)における上方側に向かって延びる構造物である。以下、上下方向Dvにおける上方側を単に「上方側Dvu」と称し、上下方向Dvにおける下方側を単に「下方側Dvd」と称する。上部構造20は、例えば、居住区や船橋などを有している。
【0017】
(タンク)
タンク30は、燃焼機器40の燃料となる上記液化ガスを内部に貯留する。タンク30内には、例えば、液体状の液化ガスからなる液相と、液体状の液化ガスが気化した気体状のガス(ボイルオフガス)からなる気相とが形成されている。本実施形態では、タンク30は、例えば、上部構造20よりも船首尾方向FAにおける船尾15側の上甲板13上に設けられている。
【0018】
なお、タンク30は、上甲板13上に設けられている構成に限定されることはなく、例えば浮体本体10の内部に設けられてもよい。また、本実施形態では、液化ガスを内部に貯留するタンクとしてのタンク30を一例にして説明するが、液化ガスを内部に貯留するタンクは、燃料を貯留するタンクに限られるものではない。例えば、浮体本体10内のカーゴホールドなどに配置され、液化ガスを貨物として貯留するタンク(カーゴタンク)などであってもよい。
【0019】
(燃焼機器)
燃焼機器40は、液化ガスを燃焼させることで熱エネルギーを発生させる。燃焼機器40としては、例えば、浮体本体10内(船内)に電力を供給するエンジン発電機などの発電機関や、作動流体としての蒸気を発生させるボイラ、浮体本体10を推進させるための動力を発生させる主機関などが挙げられる。燃焼機器40は、例えば、浮体本体10の内部に配置された機関室(図示省略)などの区画に設けられている。本実施形態では、燃焼機器40は、供給対象装置Sの一例である。液化ガスの燃焼によって燃焼機器40から排出された排ガスは、例えば、排ガス浄化装置(図示省略)に導入されて浄化される。排ガス浄化装置によって浄化された排ガスは、煙道(図示省略)を通じて大気中に放出される。本実施形態における燃焼機器40の燃焼には、液化ガスが気化した気体状のガスが用いられる。
【0020】
(燃料供給装置)
燃料供給装置50は、タンク30に貯留されたガスを燃焼機器40に供給する。燃料供給装置50は、例えば、ガスコンプレッサ51と、第1供給ライン52と、第2供給ライン53とを有している。本実施形態では、ガスコンプレッサ51には、圧縮部としてのピストンシリンダを有する往復動コンプレッサなどを例示することができる。なお、ガスコンプレッサ51は、遠心式コンプレッサやスクリュー式コンプレッサであってもよい。
【0021】
ガスコンプレッサ51は、第1供給ライン52によってタンク30に接続されている。また、ガスコンプレッサ51は、第2供給ライン53によって燃焼機器40に接続されている。ガスコンプレッサ51は、第1供給ライン52を通じてタンク30から導入されたガスを圧縮するとともに、第2供給ライン53を通じて燃焼機器40に供給する。ガスコンプレッサ51は、例えば、浮体本体10内に設けられている。
【0022】
(リークガス回収装置)
リークガス回収装置60は、ガスコンプレッサ51によるガスを圧縮する過程で燃料供給装置50から漏出したガスを回収する。以下、説明の便宜上、燃料供給装置50から漏出したガスを「リークガス」と称する(後述のリークガスG2)。リークガス回収装置60は、例えば、浮体本体10内に設けられている。
【0023】
図2に示すように、リークガス回収装置60は、例えば、チャンバ61と、リークガスライン62と、リーク弁63と、排出ライン64と、遮断弁65と、不活性ガス供給装置66と、ガス導入ライン67と、導入弁68と、燃料ライン69と、燃料弁70と、ガスセンサS1と、制御装置71とを備えている。
【0024】
(チャンバ)
チャンバ61は、内部に気体を収容するためのチャンバ空間Rを有している。チャンバ61は、チャンバ空間Rを画定する内面610a,611aを有している。燃料供給装置50が稼動する前のチャンバ空間Rには、例えば空気や不活性ガスなどの気体が存在している。これら空気および不活性ガスは、第1ガスG1の一例である。本実施形態では、第1ガスG1の比重は、リークガス(後述のリークガスG2)の比重よりも大きい。チャンバ61は、例えば、浮体本体10内部の一区画(部屋)における床面F上に載置されている。なお、チャンバ61は、架台などを介して床面F上に載置されていてもよい。
【0025】
チャンバ61は、上下方向Dvに延びる筒状に形成されている。より具体的には、チャンバ61は、上方側Dvuに閉塞部610bを有し、下方側Dvdに開口部61hを有した有底筒状に形成されている。チャンバ61の開口部61hは、床面Fに対向している。チャンバ61は、例えば金属材料などによって形成されている。
【0026】
本実施形態では、上下方向Dvにおける下方側Dvdは、上下方向Dvにおける一方側Da1(
図2中の下側)の一例である。また、上下方向Dvにおける上方側Dvuは、上下方向Dvにおける他方側Da2(
図2中の上側)の一例である。
【0027】
チャンバ61は、チャンバ上部610と、チャンバ下部611とを有している。チャンバ上部610は、チャンバ61における上下方向Dvの他方側Da2の部分であり、チャンバ下部611は、チャンバ61における上下方向Dvの一方側Da1の部分である。チャンバ上部610の内面610aは、チャンバ空間Rの上部R1を画定し、チャンバ下部611の内面611aは、チャンバ空間Rの上部R1と連通されたチャンバ空間Rの下部R2を画定している。
【0028】
チャンバ上部610の内面610aにより画定されたチャンバ空間Rの上部R1の断面積、より具体的には上下方向Dvに直交する水平断面における断面積(以下、単に断面積と称する)は、上下方向Dvのすべての位置で一定とされている。本実施形態では、チャンバ上部610の内面610aの上記水平断面における輪郭は、例えば円形に形成されている。
【0029】
チャンバ下部611は、チャンバ空間Rの下部R2を画定する縮小部612を有している。この縮小部612は、チャンバ下部611の内面611aにより形成されている。この縮小部612により画定されるチャンバ空間Rの下部R2の断面積は、チャンバ空間Rの上部R1の断面積よりも小さい。すなわち、チャンバ61における上下方向Dvの一方側Da1の部分は、チャンバ61における上下方向Dvの他方側Da2の部分よりも小さい断面積を有したチャンバ61内の空間を形成する縮小部612を有している。
【0030】
縮小部612は、チャンバ上部610から下方側Dvd(一方側Da1)に向かうにしたがって断面積が小さくなるように形成された第1部分612aと、第1部分612aに下方側Dvdから接続されて、断面積が一定に形成された第2部分612bとを有している。本実施形態では、第1部分612aは、例えば漏斗状(円錐台形状)に形成され、第2部分612bは、例えば第1部分612aの下端と同一の断面積で、かつ一定の断面積を有した円筒面状に形成されている。第2部分612bの下方側Dvdの端部は、チャンバ61の上記開口部61hとされている。
【0031】
(リークガスライン)
リークガスライン62は、燃料供給装置50がガスを圧縮する過程で燃料供給装置50から漏出したリークガスをチャンバ61のチャンバ空間Rに導く。
図1および
図2に示すように、リークガスライン62は、燃料供給装置50とチャンバ61とを接続している。以下、燃料供給装置50がガスを圧縮する過程で燃料供給装置50から漏出したガスを「リークガスG2」と称する。
【0032】
本実施形態では、リークガスライン62の一端は、ガスコンプレッサ51のシャフト摺動部など(図示省略)に接続されており、リークガスライン62の他端は、チャンバ上部610に接続されている。なお、リークガスライン62の一端が接続される箇所は、ガスコンプレッサ51のシャフト摺動部に限定されることはなく、ガスコンプレッサ51中でガスが漏出する可能性のある箇所に接続されていればよい。
【0033】
(リーク弁)
リーク弁63は、制御装置71(後述)によって開閉状態が制御されることで、リークガスG2がリークガスライン62をチャンバ61に向かって流れる状態(流通状態、開状態)と流れない状態(非流通状態、閉状態)とに遷移可能なオンオフ弁である。リーク弁63は、リークガスライン62に設けられている。なお、リーク弁63は、オンオフ弁に限定されることはなく、開度が制御されることによって、リークガスライン62をチャンバ61に向かって流れるリークガスG2の流量を調整可能な流量調整弁であってもよい。
【0034】
(リークガスおよび第1ガス)
ここで、リークガスG2は、ガスコンプレッサ51から漏出した後、リークガスライン62を通じてチャンバ上部610内のチャンバ空間Rに流入する。
図2に示すように、リークガスG2は、チャンバ空間Rに存在していた第1ガスG1と合流する。その後、チャンバ空間R内では、上下方向Dvで比重の小さいリークガスG2の層と、比重の大きい第1ガスG1の層との2つ(2層)に分離する。
【0035】
具体的には、リークガスG2は、第1ガスG1よりも比重が小さいため、チャンバ空間R内の上方側Dvuに移動して溜まる。一方で、第1ガスG1は、上記のリークガスG2の上方側Dvuへの移動により結果的にリークガスG2よりも下方側Dvdに移動して、下方側Dvdのチャンバ空間R、すなわち開口部61hに近い側のチャンバ空間Rに溜まる。このようにして、チャンバ空間Rの下部には、リークガスG2との比重差によって分離された第1ガスG1が溜まる。
【0036】
(排出ライン)
排出ライン64は、チャンバ空間Rの下部に溜まった第1ガスG1をチャンバ61の外部に排出可能なようにチャンバ61に接続されている。
図1および
図2に示すように、排出ライン64は、チャンバ61と、ベントポスト100とを接続している。ベントポスト100は、上甲板13から上下方向Dvにおける上方側Dvuに向かうように形成されている。排出ライン64の一端は、チャンバ下部611における開口部61hに接続されており、排出ライン64の他端は、ベントポスト100の下部に接続されている。排出ライン64を通じてベントポスト100に導入された第1ガスG1は、ベントポスト100の上部から大気中に放出される。
【0037】
(遮断弁)
遮断弁65は、排出ライン64に設けられ、制御装置71によって開閉状態が制御される。遮断弁65は、第1ガスG1が排出ライン64をベントポスト100に向かって流れる状態(流通状態、開状態)と、流れない状態(非流通状態、閉状態)とに遷移可能なオンオフ弁である。なお、遮断弁65は、オンオフ弁に限定されることはなく、開度が制御されることによって、排出ライン64をベントポスト100に向かって流れる第1ガスG1の流量を調整可能な流量調整弁であってもよい。
【0038】
(不活性ガス供給装置)
不活性ガス供給装置66は、リークガスG2と非反応性の不活性ガスを生成するとともに圧送する。不活性ガス供給装置66が圧送する不活性ガスは、加圧されており、リークガスライン62を流通するリークガスG2よりも圧力が高い。本実施形態では、不活性ガスには、例えば窒素ガス(N2)などの気体が挙げられる。なお、不活性ガスは、窒素ガスに限定されることはなく、リークガスG2と非反応性のアルゴンガス(Ar)などであってもよい。本実施形態では、不活性ガス供給装置66は、不活性ガスを生成する生成装置と、不活性ガスを貯蔵する圧力容器とのうちいずれか、または両方を備えている。当該圧力容器は、生成装置により生成された不活性ガスを貯蔵するバッファタンクであってもよいし、不活性ガスがあらかじめ封入されているボンベなどであってもよい。不活性ガス供給装置66は、必要に応じて不活性ガスを圧送する。
【0039】
(ガス導入ライン)
ガス導入ライン67は、不活性ガス供給装置66からの不活性ガスをチャンバ空間Rに導く。本実施形態では、ガス導入ライン67は、不活性ガス供給装置66と排出ライン64とを接続している。具体的には、ガス導入ライン67の一端は、不活性ガス供給装置66に接続されており、ガス導入ライン67の他端は、遮断弁65よりもチャンバ61に近い側の排出ライン64に接続されている。したがって、ガス導入ライン67を通じて不活性ガス供給装置66から圧送された不活性ガスは、遮断弁65よりもチャンバ61に近い側の排出ライン64に導入された後、開口部61hを通じてチャンバ空間Rに下方側Dvdから導入される。
【0040】
(導入弁)
導入弁68は、ガス導入ライン67に設けられ、制御装置71によって開閉状態が制御される。導入弁68は、不活性ガスがガス導入ライン67をチャンバ61に向かって流れる状態(流通状態、開状態)と、流れない状態(非流通状態、閉状態)とに遷移可能なオンオフ弁である。なお、導入弁68は、オンオフ弁に限定されることはなく、開度が制御されることによって、ガス導入ライン67をベントポスト100に向かって流れる不活性ガスの流量を調整可能な流量調整弁であってもよい。
【0041】
(燃料ライン)
燃料ライン69は、チャンバ空間Rの上部に溜まったリークガスG2を供給対象装置Sに供給する。本実施形態では、供給対象装置Sは、例えば上記の燃焼機器40である。なお、供給対象装置Sは、上記の燃焼機器40とは異なる燃焼機器40であってもよいし、燃焼機器40以外の機器であってもよい。また、燃料ライン69は、複数の供給対象装置SにリークガスG2を分岐させながら供給してもよい。燃料ライン69は、チャンバ61と供給対象装置Sとを接続している。具体的には、燃焼ラインの一端は、チャンバ上部610に接続されており、燃料ライン69の他端は、供給対象装置Sに接続されている。
【0042】
(燃料弁)
燃料弁70は、燃料ライン69に設けられ、制御装置71によって開閉状態が制御される。燃料弁70は、チャンバ61内に溜まったリークガスG2が燃料ライン69を供給対象装置Sに向かって流れる状態(流通状態、開状態)と流れない状態(非流通状態、閉状態)とに遷移可能なオンオフ弁である。なお、燃料弁70は、オンオフ弁に限定されることはなく、開度が制御されることによって、燃料ライン69を供給対象装置Sに向かって流れるリークガスG2の流量を調整可能な流量調整弁であってもよい。
【0043】
(ガスセンサ)
ガスセンサS1は、リークガスG2の濃度を検出可能である。本実施形態では、ガスセンサS1は、チャンバ下部611における縮小部612の第2部分612bに設けられている。したがって、ガスセンサS1は、チャンバ空間RのリークガスG2の層が下方側Dvdに配置された第2部分612bまで到達したことを検出する。ガスセンサS1は、検出結果をリアルタイムで制御装置71に送信する。
【0044】
(制御装置)
制御装置71は、ガスセンサS1から受け付けた検出結果に基づき、リーク弁63、遮断弁65、導入弁68、および燃料弁70のそれぞれの開閉状態を個別に制御する。制御装置71は、更に、不活性ガス供給装置66からの不活性ガスの供給状態を制御する。具体的には、制御装置71は、不活性ガスの供給状態の制御として、不活性ガス供給装置66からの不活性ガスの供給の開始、不活性ガスの供給の維持、および不活性ガスの供給の停止のうちいずれかの状態とする。制御装置71は、ガスセンサS1の検出結果(濃度)を受け付けるとともに、ガスセンサS1により検出された濃度が所定の閾値を超えているか否かを判定する。
【0045】
図2に示すように、制御装置71は、上記判定の結果、濃度が所定の閾値を超えていない(言い換えれば、所定の閾値以下)と判定された場合に、リーク弁63および遮断弁65を開状態にし、導入弁68および燃料弁70を閉状態にする。なお、
図2以降の図中では、説明を容易にする目的で、開状態の各種弁(リーク弁63、遮断弁65、導入弁68、燃料弁70)を白抜きで示しており、閉状態の各種弁を黒塗りで示している。以下、説明の便宜上、制御装置71によってリーク弁63および遮断弁65が開状態とされ、導入弁68および燃料弁70が閉状態とされた状態を「第1状態」と称する。
【0046】
一方、
図3中の(a)に示すように、制御装置71は、上記判定の結果、ガスセンサS1により検出された濃度が所定の閾値を超えたと判定された場合に、リーク弁63および遮断弁65を閉状態にし、導入弁68および燃料弁70を開状態にする。また、制御装置71は、不活性ガス供給装置66からの不活性ガスの供給を開始させる。以下、説明の便宜上、制御装置71によってリーク弁63および遮断弁65が閉状態とされ、導入弁68および燃料弁70が開状態とされ、不活性ガス供給装置66から不活性ガスが供給された状態を「第2状態」と称する。
【0047】
図3中の(a)および(b)に示すように、第1状態から第2状態に切り替えられると、不活性ガスが、不活性ガス供給装置66からガス導入ライン67および排出ライン64を通じてチャンバ61の開口部61hに到り、この開口部61hからチャンバ空間R内に導入される。このようにチャンバ空間Rの最も下方側Dvdに位置する開口部61hから不活性ガスが導入されることで、チャンバ上部610からチャンバ下部611における第2部分612bまで溜まったリークガスG2は、燃料ライン69を通じて供給対象装置Sに燃料として供給される。
【0048】
なお、制御装置71は、上記第2状態のときに、ガスセンサS1により検出された濃度が所定の閾値を超えた状態から所定の閾値以下にまで低下した場合であっても、当該第2状態を維持してよい。この際、制御装置71は、例えば、チャンバ61に設けられた圧力センサ(図示省略)や、チャンバ上部610や燃料ライン69に設けられたガスセンサ(図示省略)などの検出結果を受け付けるとともに、受け付けた検出結果に基づき、適時に第2状態から第1状態に遷移させてよい。ここで、適時としては、例えば、チャンバ61に設けられた圧力センサ(図示省略)や、チャンバ上部610や燃料ライン69に設けられたガスセンサ(図示省略)などの検出結果に基づいて、チャンバ空間RからのリークガスG2の排出完了が推定できた場合を例示することができる。この場合、浮体1は、これら圧力センサおよびガスセンサを備えている。また、制御装置71は、上記の制御に代えて、例えば第1状態から第2状態に遷移させた場合に、不活性ガス供給装置66からの不活性ガス供給を開始してから所定の時間経過後に、第2状態から第1状態に遷移させてもよい。
【0049】
(作用・効果)
燃料供給装置50からリークガスライン62を通じてチャンバ61内のチャンバ空間Rに導入されたリークガスG2は、リークガスG2と第1ガスG1との比重差によってチャンバ空間R内で上下に分離する。すなわち、リークガスG2がチャンバ空間R内の上方側Dvu(上下方向Dvにおける他方側Da2)の部分に層をなして溜まる。このリークガスG2の層の厚さは、チャンバ61内へのリークガスG2の導入量の増加に応じて、下方側Dvdに向かって漸次増加する。このリークガスG2の層の厚さ増加により、リークガスG2よりも下方側Dvdに位置する第1ガスG1の層が下方側Dvd(上下方向Dvにおける一方側Da1)に押し下げられる。言い換えれば、リークガスG2と第1ガスG1との境界が漸次下方側Dvdへ変位する。そして、下方側Dvdに押し下げられた第1ガスG1は、チャンバ61の下方側Dvdに接続された排出ライン64からチャンバ61の外部に排出され、ベントポスト100などを通じて外部(大気中)に放出される。
【0050】
本実施形態によれば、チャンバ61における下方側Dvdの部分に設けられたガスセンサS1が検出したリークガスG2の濃度が所定の閾値を超えた場合、すなわちリークガスG2の層と第1ガスG1の層との境界が、チャンバ下部611の第2部分612bにまで変位した場合に、制御装置71によって排出ライン64に設けられた遮断弁65が開状態から閉状態とされる。これにより、リークガスG2のみがチャンバ61内で下方側Dvdの部分まで溜まった状態になる。すなわち、リークガスG2と第1ガスG1の比重差を用いることで、チャンバ61内の大部分にリークガスG2が溜まる。その結果、チャンバ61にリークガスG2を効率的に回収することができる。
【0051】
また、リークガスG2は、リークガスライン62を流れる際の圧力を維持した状態で、チャンバ61内(チャンバ空間R)に溜まる。そして、ガスセンサS1が検出したリークガスG2の濃度が所定の閾値を超えた場合に、上記の制御に加えて、ガス導入ライン67に設けられた導入弁68および燃料ライン69に設けられた燃料弁70が閉状態から開状態とされる。つまり、ガス導入ライン67および排出ライン64を通じて不活性ガス供給装置66から、チャンバ61内に溜まるリークガスG2よりも加圧された不活性ガスが供給される。これにより、ガス導入ライン67を通じて不活性ガス(第1ガスG1)がチャンバ61内に導入されて、チャンバ61内の圧力を、最大で不活性ガスの圧力まで高めるとともに、燃料ライン69を通じてチャンバ61内のリークガスG2をチャンバ61の外部に排出することができる。これにより、第1ガスG1の層の厚さが上方側Dvuに向かって徐々に増加して、チャンバ61内に溜まっていたリークガスG2が、上方側Dvuに押し上げられて、チャンバ61の上方側Dvuに接続された燃料ライン69からチャンバ61の外部に排出され、供給対象装置Sに供給される。したがって、例えば燃料ライン69に送風機などの装置を設けることなく、リークガスG2をチャンバ61から燃焼機器40に供給することができる。
【0052】
また、ガス導入ライン67は、遮断弁65よりもチャンバ61に近い側の排出ライン64に接続されているため、ガス導入ライン67を流れる第1ガスG1は、下方側Dvdからチャンバ61内に順次導入される。したがって、チャンバ空間R内の上方側Dvuに溜まったリークガスG2と、ガス導入ライン67により導入された第1ガスG1とが混ざり合うことを抑制することができる。その結果、リークガスG2の割合が高い気体を燃料として、チャンバ61から供給対象装置Sに供給することができる。
【0053】
また、縮小部612をチャンバ下部611が有しており、当該縮小部612にガスセンサS1が設けられている。つまり、ガスセンサS1は、チャンバ61内における比較的狭隘な領域に設けられている。これにより、チャンバ61内で上方側Dvuから溜まるリークガスG2は、チャンバ上部610よりも下方側Dvdに配置された縮小部612に及ぶことで、下方側Dvdへ向かう流速が上昇する。つまり、チャンバ61内で流速が上昇したリークガスG2がガスセンサS1に接触する。その結果、チャンバ61にガスセンサS1を設けるに当たって、ガスセンサS1の検出精度を高めることができる。
【0054】
また、縮小部612は、上下方向Dvにおける下方側Dvdに向かうにしたがって、断面積が小さくなる第1部分612aと、第1部分612aに下方側Dvdから接続されて、断面積が一定の第2部分612bとによって構成されており、当該第2部分612bにガスセンサS1が設けられている。これにより、上記の作用をより高精度に実現することができる。
【0055】
<浮体の第2実施形態>
次に、本開示に係る浮体1の第2実施形態について
図4を参照して説明する。なお、以下に説明する第2実施形態では、上記の第1実施形態と共通する構成については図中に同符号を付してその説明を省略する。第2実施形態では、チャンバ下部611の縮小部612の構成が、第1実施形態で説明した縮小部612の構成と一部異なっている。
【0056】
縮小部612は、上下方向Dvにおける下方側Dvd(一方側Da1)に向かうにしたがって断面積が小さくなるように形成された第1部分612aと、第1部分612aに下方側Dvdから接続されて、断面積が一定に形成された第2部分612bと、第2部分612bに下方側Dvdから接続されて、断面積が第2部分612bよりも大きい第3部分612cとを有している。本実施形態では、第3部分612cは、下方側Dvdに向かうにしたがって断面積が大きくなるように形成されている。第3部分612cは、例えば漏斗状(円錐台形状)に形成されている。本実施形態では、第3部分612cの下方側Dvdの端部は、チャンバ61の開口部61hとされている。ガスセンサS1は、第2部分612bに設けられている。
【0057】
(作用・効果)
本実施形態によれば、チャンバ61内を上方側Dvuから溜まるリークガスG2は、第3部分612cに及んだ際、第3部分612c内で下方側Dvdに向かう流速が、第2部分612b内で下方側Dvdに向かう流速よりも低下する。したがって、例えば、リークガスG2の濃度が所定の閾値を超えたことをガスセンサS1が検出したタイミングと、制御装置71による遮断弁65の開閉状態の制御のタイミング(第1状態から第2状態へ遷移させるタイミング)との間に時間差が生じても、排出ライン64を通じてチャンバ61内からリークガスG2が外部へ漏出することが抑制される。
【0058】
<浮体の第3実施形態>
次に、本開示に係る浮体1の第3実施形態について
図5を参照して説明する。なお、以下に説明する第3実施形態では、上記の第1実施形態と共通する構成については図中に同符号を付してその説明を省略する。第3実施形態では、チャンバ61の構成が、第1実施形態で説明したチャンバ61の構成と異なっている。また、第3実施形態で説明する浮体1は、小チャンバ72を更に備えている。
【0059】
(チャンバ)
チャンバ61は、内部に気体を収容するためのチャンバ空間Rを有している。チャンバ61は、チャンバ空間Rを画定する内面610a,611aを有している。本実施形態では、チャンバ61は、上下方向Dvに延びる筒状に形成されており、上下方向Dvにおける上方側Dvuに閉塞部610bを有した有底筒状を成すチャンバ上部610と、チャンバ上部610よりも下方側Dvdに配置され、チャンバ上部610に下方側Dvdから設けられているチャンバ下部611とを有している。
【0060】
チャンバ上部610の内面610aは、チャンバ空間Rの上部R1を画定し、上下方向Dvに直交する水平断面における断面積が一定とされている。本実施形態では、チャンバ上部610の内面610aの上記水平断面における輪郭は、例えば円形に形成されている。チャンバ下部611の内面611aは、チャンバ空間Rの上部R1と連通されたチャンバ空間Rの下部R2を画定し、上記水平断面における断面積が一定とされている。本実施形態では、チャンバ下部611の内面611aの上記水平断面における輪郭は、例えば円形に形成されている。チャンバ下部611は、チャンバ上部610よりも断面積が小さい管部615である。管部615は、縮小部612の一例である。ガスセンサS1は、管部615内に設けられている。
【0061】
(小チャンバ)
小チャンバ72は、チャンバ下部611よりも下方側Dvdに配置され、チャンバ下部611に下方側Dvdから設けられている。小チャンバ72は、内部に気体を収容するための小チャンバ空間Rsを有している。本実施形態では、小チャンバ空間Rsの容積は、チャンバ空間Rの上部R1の容積よりも小さく形成されている。
【0062】
小チャンバ空間Rsは、チャンバ空間Rと連通している。小チャンバ72は、小チャンバ空間Rsを画定する内面72aを有している。燃料供給装置50が稼動する前の小チャンバ空間Rsには、例えば空気や不活性ガスが存在している。小チャンバ72は、例えば、浮体本体10内部の一区画(部屋)における床面F上に載置されており、チャンバ61を下方側Dvdから支持している。なお、小チャンバ72は、架台などを介して床面F上に載置されてもよい。
【0063】
小チャンバ72は、上下方向Dvに延びる筒状に形成されている。より具体的には、小チャンバ72は、下方側Dvdに閉塞部72bを有した有底筒状に形成されている。小チャンバ72の内面72aは、断面積が一定とされており、管部615としてのチャンバ下部611の断面積よりも大きく形成されている。本実施形態では、小チャンバ72の内面72aの上記水平断面における輪郭は、例えば円形に形成されている。小チャンバ72は、例えば金属材料などによって形成されている。排出ライン64の一端は、小チャンバ72の下方側Dvdの端部に接続されており、排出ライン64の他端は、ベントポスト100の下部に接続されている。
【0064】
(作用・効果)
本実施形態によれば、より簡易な構成で、上記第1実施形態で説明した作用・効果と同様の作用・効果を奏することができる。また、チャンバ61内で上方側Dvuから溜まるリークガスG2は、チャンバ61内と連通した小チャンバ72内に及んだ際、小チャンバ72内で下方側Dvdに向かう流速が、管部615であるチャンバ下部611内で下方側Dvdへ向かう流速よりも低下する。したがって、例えば、リークガスG2の濃度が所定の閾値を超えたことをガスセンサS1が検出したタイミングと、制御装置71による遮断弁65の開閉状態の制御のタイミング(第1状態から第2状態へ遷移させるタイミング)との間に時間差が生じても、排出ライン64を通じてチャンバ61内からリークガスG2が外部へ漏出することが抑制される。
【0065】
<浮体の第4実施形態>
次に、本開示に係る浮体1の第4実施形態について
図6を参照して説明する。なお、以下に説明する第4実施形態では、上記の第1実施形態と共通する構成については図中に同符号を付してその説明を省略する。
【0066】
第4実施形態では、リークガスG2は、例えば、第1ガスG1よりも比重が大きいプロパン(C3H8)などである。なお、リークガスG2は、プロパンに限定されることはなく、第1ガスG1よりも比重が大きければよい。また、第4実施形態では、チャンバ61の構成が、第1実施形態で説明したチャンバ61の構成と異なっており、第1実施形態に対してチャンバ61が上下方向Dvに反対向きに配置されている。
【0067】
(チャンバ)
チャンバ61は、内部に気体を収容するためのチャンバ空間R´を有している。チャンバ61は、チャンバ空間R´を画定する内面611a´,610a´を有している。燃料供給装置50が稼動する前のチャンバ空間R´には、例えば空気や不活性ガスなどの気体(第1ガスG1)が存在している。チャンバ61は、上下方向Dvに延びる筒状に形成されている。より具体的には、チャンバ61は、下方側Dvdに閉塞部611bを有し、上方側Dvuに開口部61h´を有した有底筒状に形成されている。チャンバ61は、床面F上に配置されている。
【0068】
本実施形態では、上下方向Dvにおける上方側Dvuは、上下方向Dvにおける一方側Da1の一例である。また、上下方向Dvにおける下方側Dvdは、上下方向Dvにおける他方側Da2の一例である。
【0069】
チャンバ61は、チャンバ下部611´と、チャンバ上部610´とを有している。チャンバ下部611´は、チャンバ61における上下方向Dvの他方側Da2の部分であり、チャンバ上部610´は、チャンバ61における上下方向Dvの一方側Da1の部分である。チャンバ下部611´の内面611a´は、チャンバ空間R´の下部R2´を画定し、チャンバ上部610´の内面610a´は、チャンバ空間R´の下部R2´と連通されたチャンバ空間R´の上部R1´を画定している。
【0070】
チャンバ下部611´の内面611a´は、上下方向Dvに直交する水平断面における断面積が一定とされている。すなわち、チャンバ下部611´の内面611a´の水平断面における断面積は、上下方向Dvのすべての位置で一定とされている。本実施形態では、チャンバ下部611´の内面611a´の上記水平断面における輪郭は、例えば円形に形成されている。チャンバ上部610´は、チャンバ空間R´の上部R1´を画定する縮小部613を有している。この縮小部613は、チャンバ上部610´の内面610a´により形成されている。この縮小部613により画定されるチャンバ空間R´の上部R1´の断面積は、チャンバ空間R´の下部R2´の断面積よりも小さい。すなわち、チャンバ61における上下方向Dvの一方側Da1の部分は、チャンバ61における上下方向Dvの他方側Da2の部分よりも小さい断面積を有したチャンバ61内の空間を形成する縮小部613を有している。
【0071】
縮小部613は、チャンバ下部611´から上方側Dvu(一方側Da1)に向かうにしたがって断面積が小さくなるように形成された第1部分613aと、第1部分613aに上方側Dvuから接続されて、断面積が一定に形成された第2部分613bとを有している。本実施形態では、第1部分613aは、例えば漏斗状(円錐台形状)に形成され、第2部分613bは、例えば第1部分613aの上端と同一の断面積で、かつ一定の断面積を有した円筒面状に形成されている。第2部分613bの上方側Dvuの端部は、チャンバ61の上記開口部61h´とされている。
【0072】
(リークガスライン)
リークガスライン62の一端は、ガスコンプレッサ51のシャフト摺動部などに接続されており、リークガスライン62の他端は、チャンバ下部611´に接続されている。リークガスG2は、ガスコンプレッサ51から漏出した後、リークガスライン62を通じてチャンバ下部611´内のチャンバ空間R´に流入する。
図6に示すように、リークガスG2は、チャンバ空間R´内に存在していた第1ガスG1と合流する。その後、チャンバ空間R´内では、上下方向Dvで比重の小さい第1ガスG1の層と、比重の大きい第2ガスG2の層との2つ(2層)に分離する。
【0073】
具体的には、リークガスG2は、第1ガスG1よりも比重が大きいため、チャンバ空間R内の下方側Dvdに移動して溜まる。一方で、第1ガスG1は、上記のリークガスG2の下方側Dvdへの移動により結果的にリークガスG2よりも上方側Dvuに移動して、上方側Dvuのチャンバ空間R´、すなわち開口部61h´に近い側のチャンバ空間R´内に溜まる。このようにして、チャンバ空間R´の上部には、リークガスG2との比重差によって分離された第1ガスG1が溜まる。
【0074】
(排出ライン)
排出ライン64は、チャンバ空間R´の上部に溜まった第1ガスG1をベントポスト100に導入する。
図6に示すように、排出ライン64の一端は、チャンバ上部610´における開口部61h´に接続されており、排出ライン64の他端は、ベントポスト100の下部に接続されている。
【0075】
(燃料ライン)
燃料ライン69は、チャンバ空間Rの下部に溜まったリークガスG2を供給対象装置Sに供給する。燃料ライン69の一端は、チャンバ下部611´に接続されており、燃料ライン69の他端は、供給対象装置Sに接続されている。
【0076】
(ガスセンサ)
ガスセンサS1は、リークガスG2の濃度を検出可能である。本実施形態では、ガスセンサS1は、チャンバ上部610´における縮小部613の第2部分613bに設けられている。したがって、ガスセンサS1は、チャンバ空間R´のリークガスG2の層が上方側Dvuに配置された第2部分613bまで到達したことを検出する。
【0077】
(作用・効果)
燃料供給装置50からリークガスライン62を通じてチャンバ61内のチャンバ空間R´に導入されたリークガスG2は、リークガスG2と第1ガスG1との比重差によってチャンバ空間R´内で分離する。すなわち、リークガスG2がチャンバ空間R´内の下方側Dvd(上下方向Dvにおける他方側Da2)の部分に層をなして溜まる。このリークガスG2の層の厚さは、チャンバ61内へのリークガスG2の導入量の増加に応じて上方側Dvuに向かって漸次増加する。このリークガスG2の層の厚さ増加により、リークガスG2よりも上方側Dvuに位置する第1ガスG1の層が上方側Dvu(上下方向Dvにおける一方側Da1)に押し上げられる。言い換えれば、リークガスG2と第1ガスG1との境界が漸次上方側Dvuへ変位する。そして、上方側Dvuに押し上げられた第1ガスG1は、チャンバ61の上方側Dvuに接続された排出ライン64からチャンバ61の外部に排出され、ベントポスト100を通じて外部(大気中)に放出される。
【0078】
本実施形態によれば、チャンバ61における上方側Dvuの部分に設けられたガスセンサS1が検出したリークガスG2の濃度が所定の閾値を超えた場合、すなわちリークガスG2の層と第1ガスG1の層との境界が、チャンバ上部610´の第2部分613bにまで変位した場合に、制御装置71によって排出ライン64に設けられた遮断弁65が開状態から閉状態とされる。これにより、リークガスG2のみがチャンバ61内で上方側Dvuの部分まで溜まった状態になる。すなわち、リークガスG2と第1ガスG1の比重差を用いることで、チャンバ61内の大部分にリークガスG2が溜まる。その結果、チャンバ61にリークガスG2を効率的に回収することができる。
【0079】
また、リークガスG2は、リークガスライン62を流れる際の圧力を維持した状態で、チャンバ61内(チャンバ空間R´)に溜まる。そして、ガスセンサS1が検出したリークガスG2の濃度が所定の閾値を超えた場合に、上記の制御に加えて、ガス導入ライン67に設けられた導入弁68および燃料ライン69に設けられた燃料弁70が閉状態から開状態とされる。つまり、ガス導入ライン67および排出ライン64を通じて不活性ガス供給装置66から、チャンバ61内に溜まるリークガスG2よりも加圧された不活性ガスが供給される。これにより、ガス導入ライン67を通じて不活性ガス(第1ガスG1)がチャンバ61内に導入されて、チャンバ61内の圧力を、最大で不活性ガスの圧力まで高めるとともに、燃料ライン69を通じてチャンバ61内のリークガスG2をチャンバ61の外部に排出することができる。これにより、第1ガスG1の層の厚さが下方側に向かって徐々に増加して、チャンバ61内に溜まっていたリークガスG2が、下方側Dvdに押し下げられて、チャンバ61の下方側Dvdに接続された燃料ライン69を通じて供給対象装置Sに供給される。したがって、例えば燃料ライン69に送風機などの装置を設けることなく、リークガスG2をチャンバ61から燃焼機器40に供給することができる。
【0080】
また、ガス導入ライン67は、遮断弁65よりもチャンバ61に近い側の排出ライン64に接続されているため、ガス導入ライン67を流れる第1ガスG1は、上方側Dvuからチャンバ61内に順次導入される。したがって、チャンバ空間R´内の下方側Dvdに溜まったリークガスG2と、ガス導入ライン67により導入された第1ガスG1とが混ざり合うことを抑制することができる。その結果、リークガスG2の割合が高い気体を燃料として、チャンバ61から供給対象装置Sに供給することができる。
【0081】
また、縮小部613をチャンバ上部610´が有しており、当該縮小部613にガスセンサS1が設けられている。これにより、チャンバ61内で下方側Dvdから溜まるリークガスG2は、縮小部613に及ぶことで、上方側Dvuへ向かう流速が上昇する。つまり、チャンバ61内で流速が上昇したリークガスG2がガスセンサS1に接触する。その結果、チャンバ61にガスセンサS1を設けるに当たって、ガスセンサS1の検出精度を高めることができる。
【0082】
また、縮小部613は、上下方向Dvにおける上方側Dvuに向かうにしたがって、断面積が小さくなる第1部分613aと、第1部分613aに上方側Dvuから接続されて、断面積が一定の第2部分613bとによって構成されており、当該第2部分613bにガスセンサS1が設けられている。これにより、上記の作用をより高精度に実現することができる。
【0083】
<浮体の第5実施形態>
次に、本開示に係る浮体1の第5実施形態について
図7を参照して説明する。なお、以下に説明する第5実施形態では、上記の第1実施形態と共通する構成については図中に同符号を付してその説明を省略する。第5実施形態では、リークガス回収装置60の構成が、第1実施形態で説明したリークガス回収装置60の構成と異なっている。
【0084】
(リークガス回収装置)
図7に示すように、本実施形態では、リークガス回収装置60は、例えば、複数のチャンバ61と、リークガスライン62と、リーク弁63と、排出ライン64と、遮断弁65と、不活性ガス供給装置66と、ガス導入ライン67と、導入弁68と、燃料ライン69と、燃料弁70と、ガスセンサS1と、制御装置71とを備えている。
【0085】
本実施形態では、リークガス回収装置60が2つのチャンバ61を有している場合を一例として説明する。なお、リークガス回収装置60は、3つ以上のチャンバ61を有してもよい。以下、説明の便宜上、2つのチャンバ61を「第1チャンバ61a」および「第2チャンバ61b」と称することで区別している。
【0086】
(リークガスライン)
リークガスライン62は、燃料供給装置50とチャンバ61とを接続している。本実施形態では、リークガスライン62は、燃料供給装置50と第1チャンバ61aとを接続する第1リークガスライン62aと、第1リークガスライン62aと第2チャンバ61bとを接続する第2リークガスライン62bとを有している。
【0087】
具体的には、第1リークガスライン62aの一端は、ガスコンプレッサ51のシャフト摺動部などに接続されており、第1リークガスライン62aの他端は、第1チャンバ61aのチャンバ上部610に接続されている。第2リークガスライン62bの一端は、第1リークガスライン62aの中途に接続されており、第2リークガスライン62bの他端は、第2チャンバ61bのチャンバ上部610に接続されている。
【0088】
(リーク弁)
本実施形態では、リーク弁63は、第1リークガスライン62aに設けられている第1リーク弁63aと、第2リークガスライン62bに設けられている第2リーク弁63bとを有している。第1リーク弁63aは、第1リークガスライン62aと第2リークガスライン62bとの接続部分よりも第1チャンバ61aに近い側の第1リークガスライン62aに設けられている。
【0089】
(排出ライン)
排出ライン64は、チャンバ空間Rの下方側Dvdに溜まった第1ガスG1をベントポスト100に導入する。排出ライン64は、第1チャンバ61aとベントポスト100とを接続する第1排出ライン64aと、第2チャンバ61bと第1排出ライン64aとを接続する第2排出ライン64bとを有している。
【0090】
具体的には、第1排出ライン64aの一端は、第1チャンバ61aのチャンバ下部611における開口部61hに接続されており、第1排出ライン64aの他端は、ベントポスト100の下部に接続されている。第2排出ライン64bの一端は、第2チャンバ61bのチャンバ下部611における開口部61hに接続されており、第2排出ライン64bの他端は、第1排出ライン64aの中途に接続されている。第1排出ライン64aおよび第2排出ライン64bを通じてベントポスト100に導入された第1ガスG1は、ベントポスト100の上部から大気中に放出される。
【0091】
(遮断弁)
本実施形態では、遮断弁65は、第1排出ライン64aに設けられている第1遮断弁65aと、第2排出ライン64bに設けられている第2遮断弁65bとを有している。第1遮断弁65aは、第1排出ライン64aと第2排出ライン64bとの接続部分よりも第1チャンバ61aに近い側の第1排出ライン64aに設けられている。
【0092】
(ガス導入ライン)
ガス導入ライン67は、不活性ガス供給装置66で生成された不活性ガスを第1チャンバ61aおよび第2チャンバ61bそれぞれのチャンバ空間R内に導く。本実施形態では、ガス導入ライン67は、不活性ガス供給装置66と第1排出ライン64aとを接続する第1ガス導入ライン67aと、第1ガス導入ライン67aと第2排出ライン64bとを接続する第2ガス導入ライン67bとを有している。
【0093】
具体的には、第1ガス導入ライン67aの一端は、不活性ガス供給装置66に接続されており、第1ガス導入ライン67aの他端は、第1遮断弁65aよりも第1チャンバ61aに近い側の第1排出ライン64aに接続されている。第2ガス導入ライン67bの一端は、第1ガス導入ライン67aの中途に接続されており、第2ガス導入ライン67bの他端は、第2遮断弁65bよりも第2チャンバ61bに近い側の第2排出ライン64bに接続されている。
【0094】
したがって、第1ガス導入ライン67aおよび第2ガス導入ライン67bを通じて不活性ガス供給装置66から圧送された不活性ガスは、第1遮断弁65aよりも第1チャンバ61aに近い側の第1排出ライン64a、および第2遮断弁65bよりも第2チャンバ61bに近い側の第2排出ライン64bに導入された後、第1チャンバ61aおよび第2チャンバ61bそれぞれの開口部61hを通じてチャンバ空間Rに下方側Dvdから導入される。
【0095】
(導入弁)
本実施形態では、導入弁68は、第1ガス導入ライン67aに設けられている第1導入弁68aと、第2ガス導入ライン67bに設けられている第2導入弁68bとを有している。第1導入弁68aは、第1ガス導入ライン67aと第2ガス導入ライン67bとの接続部分よりも第1排出ライン64aに近い側の第1ガス導入ライン67aに設けられている。
【0096】
(燃料ライン)
燃料ライン69は、チャンバ空間Rの上方側Dvuに溜まったリークガスG2を供給対象装置Sに供給する。本実施形態では、燃料ライン69は、第1チャンバ61aと供給対象装置Sとを接続する第1燃料ライン69aと、第2チャンバ61bと第1燃料ライン69aとを接続する第2燃料ライン69bとを有している。
【0097】
具体的には、第1燃焼ラインの一端は、第1チャンバ61aのチャンバ上部610に接続されており、第1燃料ライン69aの他端は、供給対象装置Sに接続されている。第2燃料ライン69bの一端は、第2チャンバ61bのチャンバ上部610に接続されており、第2燃料ライン69bの他端は、第1燃料ライン69aの中途に接続されている。
【0098】
(燃料弁)
本実施形態では、燃料弁70は、第1燃料ライン69aに設けられている第1燃料弁70aと、第2燃料ライン69bに設けられている第2燃料弁70bとを有している。第1燃料弁70aは、第1燃料ライン69aと第2燃料ライン69bとの接続部分よりも第1チャンバ61aに近い側の第1燃料ライン69aに設けられている。
【0099】
(ガスセンサ)
ガスセンサS1は、リークガスG2の濃度を検出可能である。本実施形態では、ガスセンサS1は、第1チャンバ61aのチャンバ下部611における縮小部612の第2部分612bと、第2チャンバ61bのチャンバ下部611における縮小部612の第2部分612bとのそれぞれに1つずつ設けられている。以下、第1チャンバ61aのチャンバ下部611における縮小部612の第2部分612bに設けられたガスセンサS1を「第1ガスセンサS1a」と称し、第2チャンバ61bのチャンバ下部611における縮小部612の第2部分612bに設けられたガスセンサS1を「第2ガスセンサS1b」と称する場合がある。
【0100】
(制御装置)
制御装置71は、第1チャンバ61aに設けられた第1ガスセンサS1a、および第2チャンバ61bに設けられた第2ガスセンサS1bから受け付けた検出結果に基づき、リーク弁63(第1リーク弁63aおよび第2リーク弁63b)、遮断弁65(第1遮断弁65aおよび第2遮断弁65b)、導入弁68(第1導入弁68aおよび第2導入弁68b)、および燃料弁70(第1燃料弁70aおよび第2燃料弁70b)のそれぞれの開閉状態を制御する。
【0101】
図7に示すように、制御装置71は、例えば、第1チャンバ61aおよび第2チャンバ61bのそれぞれに設けられたガスセンサS1(第1ガスセンサS1aおよび第2ガスセンサS1b)から受け付けた濃度が所定の閾値以下の場合に、第1リーク弁63aおよび第2リーク弁63b、ならびに第1遮断弁65aおよび第2遮断弁65bを開状態にし、第1導入弁68aおよび第2導入弁68b、ならびに第1燃料弁70aおよび第2燃料弁70bを閉状態にする。
【0102】
一方、制御装置71は、例えば、第1チャンバ61aおよび第2チャンバ61bに設けられたガスセンサS1から受け付けた濃度が所定の閾値を超えた場合に、第1リーク弁63aおよび第2リーク弁63b、ならびに第1遮断弁65aおよび第2遮断弁65bを閉状態にし、第1導入弁68aおよび第2導入弁68b、ならびに第1燃料弁70aおよび第2燃料弁70bを開状態にする。
【0103】
本実施形態では、制御装置71は、第1ガスセンサS1aが検出する濃度が閾値を超え、かつ第2ガスセンサS1bが検出する濃度が閾値に満たない場合に、第1リーク弁63aおよび第1遮断弁65aを開状態から閉状態にするとともに、第2リーク弁63bおよび第2遮断弁65bを閉状態から開状態とする。また、この場合、制御装置71は、第1導入弁68aおよび第1燃料弁70aを閉状態から開状態にするとともに、第2導入弁68bおよび第2燃料弁70bを開状態から閉状態にする。
一方で、制御装置71は、第2ガスセンサS1bが検出する濃度が閾値を超え、かつ第1ガスセンサS1aが検出する濃度が閾値に満たない場合に、第2リーク弁63bおよび第2遮断弁65bを開状態から閉状態にするとともに、第1リーク弁63aおよび第1遮断弁65aを閉状態から開状態とする。また、この場合、制御装置71は、第2導入弁68bおよび第2燃料弁70bを閉状態から開状態にするとともに、第1導入弁68aおよび第1燃料弁70aを開状態から閉状態にする。
【0104】
(作用・効果)
本実施形態によれば、2つのチャンバ61(第1チャンバ61aおよび第2チャンバ61b)でリークガスライン62を流れるリークガスG2を受け溜めることができるとともに、第1チャンバ61aおよび第2チャンバ61bに設けられたガスセンサS1のうち少なくとも一方のガスセンサS1によって濃度が所定の閾値を超えたことが検出された場合に、そのチャンバ61から燃料としてのリークガスG2を供給対象装置Sに供給することができる。したがって、チャンバ61にリークガスG2を回収し続けるとともに、供給対象装置Sに燃料としてのリークガスG2を供給し続けることができる。
【0105】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成は実施形態の構成に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内での構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
【0106】
例えば、ガスセンサS1は、第2部分612b,613bに設けられている構成に限定されることはない。例えば、
図8に示すように、ガスセンサS1は、遮断弁65よりもチャンバ61に近い側の排出ライン64に設けられてもよい。また、ガスセンサS1は、チャンバ61や排出ライン64に設けられる構成に限定されることはなく、チャンバ下部611,611´内や排出ライン64内などから引き出された気体のガス濃度を検出してもよい。
【0107】
また、第3実施形態で説明した浮体1は、小チャンバ72を備えなくてもよい。この場合、排出ライン64の一端は、管部615としての縮小部612の下端などに接続されていればよい。
【0108】
また、第4実施形態では、第1実施形態に対してチャンバ61が上下方向Dvに反対向きに配置されている構成を説明したが、この配置の仕方は、第2実施形態、第3実施形態、および第5実施形態で説明したチャンバ61に対して同様に適用してもよい。この場合、ガス(リークガスG2)は、第1ガスG1よりも比重が大きければよい。
【0109】
また、ガス導入ライン67は、排出ライン64に接続される構成に代えて、チャンバ61の上下方向Dvにおける一方側Da1の部分に接続されてもよい。
【0110】
また、浮体1は、船舶に限定されることはなく、船舶に代えて、FSRU(浮体式LNG貯蔵再ガス化設備)やFSU(浮体式LNG貯蔵設備)などであってもよい。
【0111】
また、上記実施形態で説明された浮体1のリークガス回収装置60の構成は、それぞれ独立した構成に留まることはない。各実施形態に記載の構成要素を適宜組み合わせてリークガス回収装置60を構成してもよい。
【0112】
<付記>
各実施形態に記載のリークガス回収装置、および浮体は、例えば以下のように把握される。
【0113】
(1)第1の態様に係るリークガス回収装置60は、リークガスG2が流通するリークガスライン62と、前記リークガスG2と混合された場合に前記リークガスG2との比重差によって上下方向Dv一方側Da1に分離される第1ガスG1が貯留されているとともに、前記リークガスライン62によって上下方向Dv他方側Da2から前記リークガスG2が供給されるチャンバ61と、前記チャンバ61の上下方向Dv一方側Da1に接続された排出ライン64と、前記排出ライン64に設けられた遮断弁65と、前記チャンバ61における上下方向Dv一方側Da1の部分と、前記遮断弁65よりも前記チャンバ61に近い側の前記排出ライン64との少なくとも一方に設けられて、前記リークガスG2の濃度を検出するガスセンサS1と、前記ガスセンサS1が検出する前記濃度が閾値を超えた場合に、前記遮断弁65を開状態から閉状態とする制御装置71と、を備える。
【0114】
これにより、リークガスG2のみをチャンバ61内で一方側Da1の部分まで溜めることができる。
【0115】
(2)第2の態様に係るリークガス回収装置60は、(1)のリークガス回収装置60であって、前記チャンバ61内に前記第1ガスG1を導入可能なガス導入ライン67と、前記ガス導入ライン67に設けられた導入弁68と、前記チャンバ61内に溜まった前記リークガスG2を前記チャンバ61の外部に燃料として供給可能な燃料ライン69と、前記燃料ライン69に設けられた燃料弁70と、を更に備え、前記制御装置71は、前記ガスセンサS1が検出する前記濃度が前記閾値を超えた場合に、前記導入弁68および前記燃料弁70を閉状態から開状態としてもよい。
【0116】
これにより、ガス導入ライン67を通じて第1ガスG1がチャンバ61内に導入される。そして、チャンバ61内に溜まっていたリークガスG2は、チャンバ61内に導入されて一方側Da1に溜まる第1ガスG1によって他方側Da2に移動するとともに、チャンバ61の他方側Da2に接続された燃料ライン69を通じて外部に燃料として供給される。
【0117】
(3)第3の態様に係るリークガス回収装置60は、(2)のリークガス回収装置60であって、前記ガス導入ライン67は、前記チャンバ61における上下方向Dv一方側Da1の部分と、前記遮断弁65よりも前記チャンバ61に近い側の前記排出ライン64との少なくとも一方に接続されてもよい。
【0118】
これにより、ガス導入ライン67を流れる第1ガスG1は、一方側Da1からチャンバ61内に順次導入される。したがって、チャンバ61内で他方側Da2に溜まったリークガスG2に第1ガスG1が混合することが抑制される。
【0119】
(4)第4の態様に係るリークガス回収装置60は、(1)から(3)のうちいずれか1つのリークガス回収装置60であって、前記チャンバ61における前記上下方向Dv一方側の部分は、前記チャンバ61における前記上下方向Dv他方側の部分よりも小さい断面積を有した前記チャンバ61内の空間を形成する縮小部612,613を有し、前記ガスセンサS1は、前記縮小部612,613に設けられていてもよい。
【0120】
これにより、チャンバ61内で一方側Da1から溜まるリークガスG2は、他方側Da2の部分よりも一方側Da1に配置された比較的狭隘な領域としての縮小部612,613に及ぶことで、一方側Da1へ向かう流速が上昇する。つまり、チャンバ61内で流速が上昇したリークガスG2がガスセンサS1に接触する。
【0121】
(5)第5の態様に係るリークガス回収装置60は、(4)のリークガス回収装置60であって、前記縮小部612,613は、上下方向Dv一方側Da1に向かうにしたがって前記断面積が小さくなる第1部分612a、613aと、前記第1部分612a、613aに上下方向Dv一方側Da1から接続されて、前記断面積が一定の第2部分612b,613bと、を有し、前記ガスセンサS1は、前記第2部分612b,613bに設けられてもよい。
【0122】
これにより、上記の作用をより高精度に実現することができる。
【0123】
(6)第6の態様に係るリークガス回収装置60は、(5)のリークガス回収装置60であって、前記縮小部612,613は、前記第2部分612b,613bに上下方向Dv一方側Da1から接続されて、前記断面積が前記第2部分612b,613bよりも大きい第3部分612cを更に有してもよい。
【0124】
これにより、チャンバ61内を他方側Da2から溜まるリークガスG2は、第3部分612cに及んだ際、第3部分612c内で一方側Da1に向かう流速が、第2部分612b,613b内で一方側Da1に向かう流速よりも低下する。したがって、例えば、リークガスG2の濃度が閾値を超えたことをガスセンサS1が検出したタイミングと、制御装置71による遮断弁65の開閉状態の制御のタイミングとの間に時間差が生じても、排出ライン64を通じてチャンバ61内からリークガスG2が外部へ漏出することが抑制される。
【0125】
(7)第7の態様に係るリークガス回収装置60は、(4)のリークガス回収装置60であって、前記縮小部612,613は、前記断面積が一定の管部615であってもよい。
【0126】
これにより、縮小部612,613を容易に形成することができる。
【0127】
(8)第8の態様に係るリークガス回収装置60は、(4)から(7)のうちいずれか1つのリークガス回収装置60であって、前記縮小部612,613よりも上下方向Dv一方側Da1に設けられ、断面積が前記縮小部612,613よりも大きい小チャンバ72を更に備えてもよい。
【0128】
これにより、より簡易な構成で、上記の作用を実現することができる。また、チャンバ61内で他方側Da2から溜まるリークガスG2は、チャンバ61内と連通した小チャンバ72内に及んだ際、小チャンバ72内で一方側Da1に向かう流速が、管部615内で一方側Da1へ向かう流速よりも低下する。したがって、例えば、リークガスG2の濃度が閾値を超えたことをガスセンサS1が検出したタイミングと、制御装置71による遮断弁65の開閉状態の制御のタイミングとの間に時間差が生じても、排出ライン64を通じてチャンバ61内からリークガスG2が外部へ漏出することが抑制される。
【0129】
(9)第9の態様に係るリークガス回収装置60は、(1)から(8)のうちいずれか1つのリークガス回収装置60であって、前記リークガスライン62は、第1リークガスライン62aおよび第2リークガスライン62bを有し、前記チャンバ61は、前記第1リークガスライン62aが接続された第1チャンバ61a、および前記第2リークガスライン62bが接続された第2チャンバ61bを有し、前記排出ライン64は、前記第1チャンバ61aに接続された第1排出ライン64a、および前記第2チャンバ61bに接続された第2排出ライン64bを有し、前記遮断弁65は、前記第1排出ライン64aに設けられた第1遮断弁65a、および前記第2排出ライン64bに設けられた第2遮断弁65bを有し、前記ガスセンサS1は、前記第1チャンバ61aにおける上下方向Dv一方側Da1の部分と、前記第1遮断弁65aよりも前記第1チャンバ61aに近い側の前記第1排出ライン64aとの少なくとも一方に設けられた第1ガスセンサS1a、および前記第2チャンバ61bにおける上下方向Dv一方側Da1の部分と、前記第2遮断弁65bよりも前記第2チャンバ61bに近い側の前記第2排出ライン64bとの少なくとも一方に設けられた第2ガスセンサS1bを有し、前記制御装置71は、前記第1ガスセンサS1aが検出する前記濃度が前記閾値を超え、かつ前記第2ガスセンサS1bが検出する前記濃度が前記閾値に満たない場合に、前記第1遮断弁65aを開状態から閉状態にするとともに前記第2遮断弁65bを閉状態から開状態とし、前記第2ガスセンサS1bが検出する前記濃度が前記閾値を超え、かつ前記第1ガスセンサS1aが検出する前記濃度が前記閾値に満たない場合に、前記第2遮断弁65bを開状態から閉状態とするとともに前記第1遮断弁65aを閉状態から開状態としてもよい。
【0130】
これにより、2つのチャンバ61(第1チャンバ61aおよび第2チャンバ61b)でリークガスライン62を流れるリークガスG2を受け溜めることができるとともに、第1チャンバ61aおよび第2チャンバ61bに設けられたガスセンサS1のうち少なくとも一方のガスセンサS1によって濃度が所定の閾値を超えたことが検出された場合に、そのチャンバ61から燃料としてのリークガスG2を外部に供給することができる。
【0131】
(10)第10の態様に係る浮体1は、浮体本体10と、前記浮体本体10に設けられた燃焼機器40と、前記燃焼機器40に圧縮した燃料を供給する燃料供給装置50と、前記燃料供給装置50から漏出した前記燃料が前記リークガスG2として前記リークガスライン62に導入される(1)から(9)のうちいずれか1つのリークガス回収装置60と、を備える。
【符号の説明】
【0132】
1…浮体 10…浮体本体 11a,11b…舷側 12…船底 13…上甲板 14…船首 15…船尾 20…上部構造 30…タンク 40…燃焼機器 50…燃料供給装置 51…ガスコンプレッサ 52…第1供給ライン 53…第2供給ライン 60…リークガス回収装置 61…チャンバ 61a…第1チャンバ 61b…第2チャンバ 61h,61h´…開口部 62…リークガスライン 62a…第1リークガスライン 62b…第2リークガスライン 63…リーク弁 63a…第1リーク弁 63b…第2リーク弁 64…排出ライン 64a…第1排出ライン 64b…第2排出ライン 65…遮断弁 65a…第1遮断弁 65b…第2遮断弁 66…不活性ガス供給装置 67…ガス導入ライン 67a…第1ガス導入ライン 67b…第2ガス導入ライン 68…導入弁 68a…第1導入弁 68b…第2導入弁 69…燃料ライン 69a…第1燃料ライン 69b…第2燃料ライン 70…燃料弁 70a…第1燃料弁 70b…第2燃料弁 71…制御装置 72…小チャンバ 72a,610a,610a´,611a,611a´…内面 72b,610b,611b…閉塞部 100…ベントポスト 610,610´…チャンバ上部 611,611´…チャンバ下部 612,613…縮小部 612a、613a…第1部分 612b,613b…第2部分 612c…第3部分 615…管部 FA…船首尾方向 Da1…一方側 Da2…他方側 Dv…上下方向 Dvd…下方側 Dvu…上方側 F…床面 G1…第1ガス G2…リークガス R,R´…チャンバ空間 R1,R1´…チャンバ空間の上部 R2,R2´…チャンバ空間の下部 Rs…小チャンバ空間 S…供給対象装置 S1…ガスセンサ S1a…第1ガスセンサ S1b…第2ガスセンサ