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特開2024-11248情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011248
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 19/43 20100101AFI20240118BHJP
   G01S 19/22 20100101ALI20240118BHJP
   B66C 13/46 20060101ALN20240118BHJP
【FI】
G01S19/43
G01S19/22
B66C13/46 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113106
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 康輔
(72)【発明者】
【氏名】高橋 健一
【テーマコード(参考)】
3F204
5J062
【Fターム(参考)】
3F204AA02
3F204BA05
3F204CA01
3F204DB02
3F204DB09
3F204DC01
3F204DE10
5J062AA01
5J062CC07
5J062DD24
5J062FF00
5J062FF01
(57)【要約】
【課題】 測位衛星から送信される信号に基づいて移動体の位置を適切に検知する。
【解決手段】 クレーン制御システム200は、クレーン120の位置を算出するための処理を行う。その際、クレーン制御システム200は、測位衛星500a~500dから送信された搬送波(信号)に基づくクレーン120の位置(アンテナ600の現在位置)に関する測位情報と、アンテナ600の高さ方向の位置として想定される位置に関する高さ位置想定情報と、に基づいて、測位情報が要求精度を満足するか否かを判定する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の位置を算出するための処理を行う情報処理装置であって、
測位衛星から送信された信号に基づく前記移動体の位置に関する測位情報と、前記移動体の高さ方向の位置として想定される位置に関する想定高さ位置情報と、を取得する取得部と、
前記測位情報から特定される前記移動体の前記高さ方向の位置と、前記想定高さ位置情報と、に基づいて、前記測位情報が、要求精度を満足するか否かを判定する位置正否判定部と、を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記位置正否判定部は、前記高さ方向の位置が、高さ方向の位置に関する条件であって、前記想定高さ位置情報に基づいて定められる条件である高さ位置判定条件を満たさない場合に、前記測位情報が、前記要求精度を満足しないと判定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記位置正否判定部は、前記測位情報から特定される前記移動体の前記高さ方向の位置が、位置の算出結果の信頼性に関する条件である位置信頼性判定条件を満たすか否かをさらに判定し、
前記高さ方向の位置が、前記高さ位置判定条件を満たさない場合、または、前記高さ方向の位置が、前記位置信頼性判定条件を満さない場合に、前記測位情報が、前記要求精度を満足しないと判定する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記測位情報が前記要求精度を満足しないことが前記位置正否判定部により判定された場合、前記取得部で過去に取得された前記測位情報により特定される前記移動体の位置のうち、前記要求精度を満足することが前記位置正否判定部により判定された前記高さ方向の位置を含む位置と、前記移動体の移動距離に応じて変化する値を検知するセンサの検知情報とを用いて、前記移動体の現在位置を推定する位置推定部を備える、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
オペレータによる前記情報処理装置に対する操作の内容を示す情報を受け付ける操作受付部を備え、
前記操作受付部は、前記高さ方向の位置が前記要求精度を満足することが前記位置正否判定部により判定された場合と、そうでない場合とで、受け付ける情報を異ならせる、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記操作受付部は、前記測位情報が前記要求精度を満足しないことが前記位置正否判定部により判定された場合、前記移動体の位置の管理のためにオペレータにより前記情報処理装置に対して行われる所定の操作の内容を示す情報を受け付けない、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記操作受付部は、前記測位情報が前記要求精度を満足しないことが前記位置正否判定部により判定された場合、オペレータにより前記情報処理装置に対して行われる操作の内容を示す情報として前記移動体の位置に関する情報を受け付ける、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記測位情報が前記要求精度を満足することが前記位置正否判定部により判定された場合、当該測位情報から特定される前記移動体の位置に関する情報を表示装置に表示させる表示部を備える、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記測位情報が前記要求精度を満足しないことが前記位置正否判定部により判定された場合、前記測位情報が前記要求精度を満足しないことを示す情報を表示装置に表示させる表示部を備える、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項10】
移動体の位置を算出するための処理を行う情報処理方法であって、
測位衛星から送信された信号に基づく前記移動体の位置に関する測位情報と、前記移動体の高さ方向の位置として想定される位置に関する想定高さ位置情報と、を取得する取得工程と、
前記測位情報から特定される前記移動体の前記高さ方向の位置と、前記想定高さ位置情報と、に基づいて、前記測位情報が、要求精度を満足するか否かを判定する位置正否判定工程と、を備える、情報処理方法。
【請求項11】
請求項1~3のいずれか1項に記載の情報処理装置の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関し、特に、測位衛星から送信される信号に基づいて移動体の位置を検知するために用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
移動体の位置を検知する技術として、GPS(Global Positioning System)等のGNSS(Global Navigation Satellite System)を用いる技術がある。かかる技術として特許文献1には、作業者が携帯する端末と、作業者の帽子に取り付けられたGPS受信機と、を有するシステムが開示されている。かかるシステムでは、端末は、車両に付されたバーコードを読み取ることにより車両IDを取得することと、GPS受信機との近距離通信を行うことにより車両(GPS受信機)の位置情報を取得することと、を行う。GNSSを用いて移動体の位置を検知する際には、マルチパスが測位精度の低下の原因となる。なお、マルチパスとは、周囲の物体等の影響によって、測位に必要な直接波だけでなく測位精度の低下の原因となり得る回折波や反射波が受信機で受信されることを指す。このようなマルチパスによる影響を低減するために特許文献1に記載の技術では、作業者が携帯する端末と、GPS受信機と、を分離する。そして、車両よりも高い位置にGPS受信機が存在するように、作業者の帽子にGPS受信機を取り付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2014/030374号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、スラブヤード等で用いられるクレーンの位置制御等ではスラブヤードから下工程に搬送すべきスラブとは異なるスラブである異材の発生防止のために、移動するクレーンの位置を高精度で検出する必要がある。本発明者らは、クレーンの位置検出にGNSSを利用した場合、GNSSによる位置検出結果が例えフィックス解(後述)であっても、許容誤差を逸脱する場合があることを見出した。具体的には、外部状況に応じて、許容誤差の範囲内となる場合もあれば、許容誤差の範囲外となる場合もあるので、マルチパスなどに起因すると考えられる。よって、本発明者らは、クレーン等の移動体の位置検出にGNSSを用いるためには、クレーンの位置検出等の適用システム(アプリケーション)に応じて定まる許容誤差を逸脱した場合を適切に検知する必要があると考えた。
【0005】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、測位衛星から送信される信号に基づいて移動体の位置を適切に検知することが出来るようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の情報処理装置は、移動体の位置を算出するための処理を行う情報処理装置であって、測位衛星から送信された信号に基づく前記移動体の位置に関する測位情報と、前記移動体の高さ方向の位置として想定される位置に関する想定高さ位置情報と、を取得する取得部と、前記測位情報から特定される前記移動体の前記高さ方向の位置と、前記想定高さ位置情報と、に基づいて、前記測位情報が、要求精度を満足するか否かを判定する位置正否判定部と、を備える。
【0007】
本発明の情報処理方法は、移動体の位置を算出するための処理を行う情報処理方法であって、測位衛星から送信された信号に基づく前記移動体の位置に関する測位情報と、前記移動体の高さ方向の位置として想定される位置に関する想定高さ位置情報と、を取得する取得工程と、前記測位情報から特定される前記移動体の前記高さ方向の位置と、前記想定高さ位置情報と、に基づいて、前記測位情報が、要求精度を満足するか否かを判定する位置正否判定工程と、を備える。
【0008】
本発明のプログラムは、前記情報処理装置の各部としてコンピュータを機能させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、測位衛星から送信される信号に基づいて移動体の位置を適切に検知することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】スラブヤードの概略構成の一例を示す平面図である。
図1B】スラブヤードの概略構成の一例を示す正面図である。
図2】情報処理装置およびヤードプロコンの機能的な構成の第1の例を示す図である。
図3-1】情報処理方法の第1の例を説明するフローチャートである。
図3-2】図3-1の第1オペ操作処理の一例を説明するフローチャートである。
図3-3】図3-1の第2オペ操作処理の一例を説明するフローチャートである。
図4】情報処理装置の機能的な構成の第2の例を示す図である。
図5】情報処理方法の第2の例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
なお、長さ、位置、大きさ、間隔等、比較対象が同じであることは、厳密に同じである場合の他、発明の主旨を逸脱しない範囲で異なるもの(例えば、設計時に定められる公差の範囲内で異なるもの)も含むものとする。また、各図において、x-y-z座標は、各図における向きの関係を示すために示すものである。白丸(○)の中に黒丸(●)が示された記号は、紙面の奥側から手前側に向かう矢印線を示す。白丸(○)の中にクロスマーク(×)が示された記号は、紙面の手前側から奥側に向かう矢印線を示す。
【0012】
(スラブヤードの概要)
本実施形態では、相互に垂直な3つの方向(例えば、直交三次元座標系のx軸方向、y軸方向、z軸方向)のうちの高さ方向(z軸方向)の位置が予め想定された位置の状態で、x軸方向およびy軸方向の位置が変動するように移動する移動体の位置を算出する場合を例示する。また、本実施形態では、このような移動体が、製鉄所等においてスラブ(鋼材)を一時的に保管するスラブヤードに設置されたクレーンである場合を例示する。そこで、まず、スラブヤードの概要について説明する。
【0013】
図1Aは、スラブヤード100の概略構成の一例を示す平面図(スラブヤード100をz軸方向に沿って俯瞰した図)である。図1Bは、スラブヤード100の概略構成の一例を示す正面図(スラブヤード100をx軸方向に沿って見た図)である。
【0014】
スラブヤード100は、例えば、上工程である連続鋳造工程で製造されたスラブ(鋼材)を一時的に保管する置場である。スラブヤード100に一時的に保管されたスラブは、例えば、下工程である熱間圧延工程に搬送される。
【0015】
図1Aに示すスラブヤード100では、スラブヤード100内において予め位置が定められた置場110にスラブが置かれる場合を例示する。図1Aでは、x軸方向に20個、y軸方向に3個の合計60個の置場110がある場合を例示する。なお、図1Aでは、表記の都合上、1つの置場110のみに対して符号(110)を付す。それぞれの置場110には、当該置場110を一意に識別するための情報として、置場Noが予め設定されている。
【0016】
置場Noは、例えば、置場110のx軸方向の位置を識別する識別情報と、置場110のy軸方向を識別する識別情報と、を用いることにより表される。置場Noの具体例として、置場110のx軸方向の位置を識別する識別番号「01」、「02」、・・・、「20」を上二桁の値とし、置場110のy軸方向の位置を識別する識別番号「01」、「02」、「03」を下二桁の値とする四桁の数値が挙げられる。例えば、図1Aにおいて、最もx軸の正の方向側にあり、且つ、最もy軸の正の方向側にある置場110の置場Noは、「2003」になる。
【0017】
なお、図1Aでは、説明の都合上、置場110のx軸方向の位置を識別する識別番号「01」、「02」、・・・、「20」と、置場110のy軸方向の位置を識別する識別番号「01」、「02」、「03」と、を示すが、実際のスラブヤード100において、必ずしもこのような識別番号が表示されている必要はない。本明細書では、個々の置場110を一意に識別する情報がこのような置場Noである場合を例示するが、個々の置場110を一意に識別する情報は、当該置場Noに限定されない。また、置場110の輪郭線を破線で示しているのは、実際のスラブヤード100において、置場110の輪郭線が示されていてもいなくても良いことに対応する。
【0018】
スラブヤード100には、クレーン120が設置されている。クレーン120は、スラブヤード100においてスラブを搬送するための装置である。クレーン120は、例えば、上工程から搬送されたスラブを置場110に置くことや、或る置場110に置かれたスラブを別の場所(例えば、別の置場110や下工程へ搬送する際の待機置場(不図示))に置くことを行うために用いられる。
【0019】
図1A図1Bに示すように、クレーン120は、例えば、クレーンガーダ121と、サドル122a~122bと、トロリ(台車)123と、運転室124と、を備える。
クレーンガーダ121は、横行方向(y軸方向)に延設され、横行レール125a~125bを備える。
【0020】
サドル122aは、クレーンガーダ121の横行方向の一方側(y軸の正の方向側)の端部に取り付けられ、図1Bに示すように車輪126aを備える。サドル122bは、クレーンガーダ121の横行方向の他方側(y軸の負の方向側)の端部に取り付けられ、図1Bに示すように車輪126bを備える。
【0021】
図1Bに示すように、スラブヤード100において、横行方向の一方側(y軸の正の方向側)と他方側(y軸の負の方向側)には、それぞれ、地面130から高さ方向(z軸方向)に延設される支柱140a、140bが設置される。支柱140a、140bの上面には、それぞれ、走行方向(x軸方向)に延設されるランウェイ150a、150bが設置される。図1Aに示すようにランウェイ150a、150bは、それぞれ、走行レール151a、151bを備える。サドル122a~122bに備わる車輪126a、126bは、それぞれ走行レール151a、151bに載せられる。クレーンガーダ121は、不図示の走行装置からの指示に基づいて、走行レール151a~151bに沿って走行方向に移動(走行)する。不図示の走行装置は、クレーン120に設置されていても、クレーン120の外部に設置されていても良い。
【0022】
トロリ123は、車輪127a~127bを備える。車輪127a~127bは、横行レール125aに載せられる。なお、表記の都合上、図示を省略するが、トロリ123は、横行レール125bに載せられる車輪も備える(図1Aにおいて横行レール125bに載せられる車輪は、車輪127a~127bの後側(x軸の正の方向側)にあり隠れている)。トロリ123は、例えば、不図示の横行装置からの指示に基づいて、クレーンガーダ121上で横行方向(y軸方向)に横行する。不図示の横行装置は、クレーン120に設置されていても、クレーン120の外部に設置されていても良い。
【0023】
トロリ123には、アンテナ600が設置される。アンテナ600は、GNSSにおいて用いられるアンテナである。アンテナ600は、外部(例えば、図1A等に示す基地局300および図2に示す測位衛星500a~500d)から送信される電波の受信が可能な位置に設置される。図1Aおよび図1Bでは、アンテナ600がトロリ123の上面に設置される場合を例示する。なお、図2では、測位衛星500a~500dから受信機210に向かう矢印線により、測位衛星500a~500dから受信機210に電波が送信されることを示す。また、測位衛星500a~500dからも基地局300に電波が送信されるが、表記の都合上、図2では、測位衛星500b~500dから基地局300に向かう矢印線を省略している。
【0024】
図1Aおよび図1Bに示すように、トロリ123には、受信機210が設置される。受信機210は、アンテナ600と通信可能に接続される。受信機210は、外部の環境(雨や風等)の影響を可及的に受けない場所に設置されるのが好ましい。図1Aおよび図1Bでは、トロリ123の内部に受信機210が設置される場合を例示する。なお、受信機210は、トロリ123の外側からは見えないが、説明および表記の都合上、図1Aおよび図1Bでは、受信機210を破線で示す。また、図1Bでは、受信機210とアンテナ600とをつなぐ破線により、受信機210とアンテナ600との通信が有線で行われることを示すが、受信機210とアンテナ600との通信は、無線で行われても良い。また、受信機210とアンテナ600との通信は、ネットワークを介して行われても良い。受信機210およびアンテナ600は、後述する実施形態において新たにクレーン120に設置されるものであり、スラブヤード100における一般的なクレーン120に設置されているものではない。
【0025】
また、図1Bに示すように、トロリ123から下方(z軸の負の方向)に向けて吊具128が設置される。吊具128は、搬送物の一例であるスラブMの吊り上げと吊り下ろし(荷下ろし)とを行うためのものである。吊具128は、例えば、索条128aと、保持具128bと、を備える。索条128aの一端は、不図示の巻上装置に取り付けられる。不図示の巻上装置の動作に従って、索条128aの巻き上げおよび巻下げが行われる。不図示の巻上装置は、クレーン120に設置されていても、クレーン120の外部に設置されていても良い。
【0026】
索条128aの他端には保持具128bが取り付けられる。索条128aは、スラブMの搬送に耐えられる強度を有していればどのようなものであっても良い。例えば、索条128aは、ワイヤーロープであってもチェーンであっても良い。保持具128bは、クレーン120により搬送中のスラブMを保持するためのものである。図1Bでは、保持具128bが、スラブMを挟んで保持する場合を例示する。しかしながら、保持具128bは、スラブMを保持することが出来ればどのようなものであっても良い。
なお、表記の都合上、図1AにはスラブMを示さず、図1BにのみスラブMを示す。また、図1Bでは、表記の都合上、1つのスラブMのみに対して符号(M)を付す。
【0027】
クレーンガーダ121の下方には、運転室124が設置される。運転室124は、クレーン120の走行方向(x軸方向)への移動(走行)に伴い走行方向に移動する。なお、運転室124は、トロリ123が横行方向(y軸方向)に移動(横行)しても横行方向に移動してもしなくても良い。
【0028】
運転室124の内部には、クレーン120に対する操作をオペレータが行うための各種の装置が設置される。以下の説明では、クレーン120の操作を行うオペレータを、必要に応じてクレーンオペレータとも称する。図1Aには、クレーン制御装置220が運転室124の内部に設置される場合を例示する。なお、クレーン制御装置220は、運転室124の外側からは見えないが、説明および表記の都合上、図1Aおよび図1Bでは、クレーン制御装置220を破線で示す。また、図1Aおよび図1Bでは、受信機210とクレーン制御装置220とをつなぐ破線により、受信機210とクレーン制御装置220との通信が有線で行われることを示すが、受信機210とクレーン制御装置220との通信は、無線で行われても良い。また、受信機210とクレーン制御装置220との通信は、ネットワークを介して行われても良い。
【0029】
クレーン120およびクレーン120を動作させるために用いる設備の構成自体は、公知の技術で実現することが出来、図1Aおよび図1Bに示す構成のものに限定されない。また、図1Aおよび図1Bでは、スラブヤード100に1つのクレーン120が設置される場合を例示する。しかしながら、スラブヤード100に複数のクレーン120が設置されていても良い。
【0030】
本欄で既に述べたように、クレーン120(トロリ123)の横行レール125a~125bに沿った移動により、クレーン120は横行方向(y軸方向)に移動する。また、クレーン120の走行レール151a~151bに沿った移動により、クレーン120は走行方向(x軸方向)に移動する。一方、走行レール151a~151bの高さ方向(z軸方向)の位置は変わらない(略同じである)。したがって、クレーン120の高さ方向の位置は略一定となり、予め想定された位置になる。
【0031】
また、本欄で既に述べたように、トロリ123から下方(z軸の負の方向)に向けて設置された吊具128によって、置場110に置かれたスラブMが吊り上げられることと、置場110にスラブMが吊り下ろされることと、が行われる。また、アンテナ600は、トロリ123に設置される。したがって、スラブMの吊り上げおよび吊り下ろしが行われるタイミングにおけるアンテナ600の位置により、どの位置(どの置場110)のスラブMが吊り上げられ、どの位置(どの置場110)にスラブMが吊り下ろされたのかを特定することが出来る。そこで後述する実施形態では、アンテナ600の位置を算出することにより、スラブヤード100におけるスラブMの位置を時々刻々と管理する場合を例示する。
【0032】
(知見)
次に、後述する実施形態に至る際に本発明者らが得た知見について説明する。ここでは、GNSSとしてRTK(Real Time Kinematic)-GPSを用いた場合を例示して本発明者らが得た知見について説明する。
【0033】
RTK-GPSでは、三次元位置が既知である基地局300と、位置が未知である移動局と、4つ以上の測位衛星500a~500d(人工衛星)と、が用いられる。ここでは、測位衛星500a~500dの数が4つである場合を例示する。なお、図1A図2において、アンテナ600および受信機210が移動局に対応する。また、基地局300は固定局とも称される。
【0034】
RTK-GPSにより移動局(アンテナ600)の位置を算出する手法の概略を以下に説明する。
まず、移動局および基地局300は、測位衛星500a~500dから送信される搬送波(電波)を同時に受信する。移動局は、測位衛星500a~500dから受信した搬送波の送受信時刻と、搬送波の速度と、に基づいて、測位衛星500a~500dと移動局との擬似距離をそれぞれ算出する。また、移動局は、測位衛星500a~500dから受信した搬送波の位相を算出する。
【0035】
基地局300は、補正データを生成して移動局に送信する。補正データは、移動局で算出されるアンテナ600の位置を補正するために必要なデータである。例えば、基地局300は、測位衛星500a~500dから受信した搬送波の送受信時刻と、搬送波の速度と、に基づいて、測位衛星500a~500dと基地局との擬似距離をそれぞれ算出する。また、基地局300は、測位衛星500a~500dから受信した搬送波の位相を算出する。そして、基地局300は、例えば、測位衛星500a~500dと基地局300との擬似距離と、測位衛星500a~500dから基地局300が受信した搬送波の位相と、基地局300の既知の位置座標と、を含む補正データを移動局に送信する。基地局300と移動局との通信は、無線で行われても、有線で行われても良い。また、基地局300と移動局との通信は、ネットワークを介して行われても良い。また、基地局300と移動局との通信は、クラウドを用いて行われても良い。
【0036】
移動局は、測位衛星500a~500dと移動局との擬似距離と、測位衛星500a~500dから移動局が受信した搬送波の位相と、補正データと、を用いて、アンテナ600の位置を算出する。アンテナ600の位置の算出の際には、整数アンビギュイティの収束計算が行われる。なお、整数アンビギュイティは整数値バイアス等とも称される。収束計算の途中において算出されるアンテナ600の位置はフロート解(FLOAT解)等と称され、収束時に算出されるアンテナ600の位置はフィックス解(FIX解)等と称される。フロート解が算出される場合には、整数アンビギュイティは実数値として算出される。フィックス解が算出される場合には、整数アンビギュイティは整数値として算出される。また、補正データを用いずに算出されるアンテナ600の位置は単独解等と称される。フィックス解が算出されるまでの間や、フィックス解を算出することが出来ない場合、フロート解または単独解がアンテナ600の位置として出力される。ただし、フロート解および単独解は、フィックス解に比べて精度が低く、位置の算出結果の信頼性は低い。なお、RTK(Real Time Kinematic)-GPSによりフィックス解、フロート解、および単独解を算出する手法自体は公知の技術であるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
【0037】
本発明者らは、図1Aおよび図1Bに示すスラブヤード100におけるアンテナ600の位置を、RTK-GPSにより算出し、実際のアンテナ600の位置との比較を行った。その結果、本発明者らは、アンテナ600の位置としてフィックス解が算出されたのにも関わらず、算出されたアンテナ600の位置に、クレーン120(トロリ123)の位置の精度として要求される精度を満足しない誤差(例えば、1m以上の誤差)が生じる場合があるという知見を得た。以下の説明では、移動体(ここではクレーン120(トロリ123))の位置の精度として要求される精度を、必要に応じてクレーン位置要求精度とも称する。例えば、クレーン120(トロリ123)が、ヤードプロコン400から指示された置場Noにおいて、スラブMの吊り上げおよび吊り下ろしを行える範囲が、クレーン位置要求精度を満足する範囲である。この場合クレーン位置要求精度は、水平面(x-y平面)における位置の精度として要求される精度になり、クレーン120(トロリ123)の高さ方向(z軸方向)の精度は、クレーン位置要求精度に含まれていなくても良い。本実施形態では、クレーン位置要求精度が測位情報の要求精度の一例である。
【0038】
(スラブヤードの概要)の欄で説明したように、アンテナ600はトロリ123に設置されている。このため、スラブMの吊り上げおよび吊り下ろしが行われるタイミングにおけるアンテナ600の位置により、どの位置(置場110)のスラブMが吊り上げられたのかを特定することが出来ると共に、どの位置(置場110)にスラブMが吊り下ろされたのかを特定することが出来る。クレーン120(トロリ123)の位置によりスラブMを管理する場合、トロリ123の位置(すなわちアンテナ600の位置)の算出結果にクレーン位置要求精度を満足しない誤差があると、例えば、スラブヤード100から下工程(熱間圧延工程)に搬送すべきスラブMとは異なるスラブMを下工程に搬送することを指示してしまい、いわゆる異材が発生する虞がある。
【0039】
そこで、本発明者らは、本欄で既に述べたようにして行われるアンテナ600の位置の算出結果の詳細を調査した。その結果、本発明者らは、アンテナ600の位置の算出結果に誤差が生じているときには、当該算出結果から特定されるアンテナ600の高さ方向(z軸方向)の位置と実際のアンテナ600の高さ方向の位置との差が大きいという知見を得た。GNSSにおける測位の原理によれば、マルチパスによる影響がある場合、移動局と測位衛星500a~500dとの距離は、実際の距離よりも長い距離として算出される。したがって、マルチパスだけがアンテナ600の位置の算出結果の誤差要因である場合、理論的には、GNSSを用いて測位されるアンテナ600の高さ方向の位置は、実際のアンテナ600の高さ方向の位置よりも低い位置になる。このことから、本発明者らは、アンテナ600の位置としてフィックス解が算出されたのにも関わらず、算出されたアンテナ600の位置の実際の位置に対する誤差が大きくなる主な原因が、マルチパスであるという知見を得た。前述したように、クレーン120の高さ方向の位置は略一定となり、予め想定された位置になる。したがって、アンテナ600の高さ方向の位置も、予め想定された位置になる。このことから、本発明者らは、RTK-GPSにより算出された位置から特定される高さ方向の位置に基づいて、RTK-GPSにより算出された位置がクレーン位置要求精度を満足するか否かを判定することが出来るという知見を得た。以下に説明する本発明の実施形態は、このような知見に基づいてなされたものである。なお、以下に説明する本発明の実施形態においても、本欄と同様に、GNSSがRTK(Real Time Kinematic)-GPSである場合を例示する。
【0040】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態を説明する。
図2は、クレーン制御システム200およびヤードプロコン400の機能的な構成の一例を示す図である。クレーン制御システム200およびヤードプロコン400の通信は、無線で行われても、有線で行われても良い。また、クレーン制御システム200およびヤードプロコン400の通信は、ネットワークを介して行われても良い。なお、ヤードプロコン400は、スラブヤードにおけるプロセス制御用の計算機である。
【0041】
図2において、クレーン制御システム200は、受信機210と、クレーン制御装置220と、を備える。受信機210およびクレーン制御装置220のハードウェアは、それぞれ、例えば、演算装置、制御装置、記憶装置(例えば、主記憶装置および補助記憶装置)、および各種のインターフェースを用いることにより実現される。また、クレーン制御装置220のハードウェアは、PLC(Programmable Logic Controller)を用いることにより実現されても良いし、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の専用のハードウェアを用いるにより実現されても良い。また、本実施形態では、受信機210およびクレーン制御装置220が分離された場合を例示する。しかしながら、受信機210およびクレーン制御装置220の機能を、1つの装置で実現しても良い。例えば、受信機210の機能をクレーン制御装置220に含めても良い。
【0042】
(知見)の欄で説明したように、アンテナ600は、基地局300から補正データを受信する。また、アンテナ600は、測位衛星500a~500dからそれぞれ搬送波を受信する。アンテナ600が補正データを受信することが出来れば、基地局300はどの位置に設置されていても良い。基地局300は、スラブヤード100内に設置されていても良いし、スラブヤード100外に設置されていても良い。なお、(スラブヤードの概要)の欄で説明したように、図2では、表記の都合上、測位衛星500a~500dから基地局300に向かう矢印線を省略している。
【0043】
<受信機210>
受信機210は、アンテナ600で受信された補正データおよび搬送波に基づいて、アンテナ600の位置を算出し、クレーン制御装置220に出力する。本実施形態の受信機210は、取得部211と、位置算出部212と、出力部213と、を備える。
【0044】
<<取得部211>>
取得部211は、アンテナ600で受信された補正データおよび搬送波を取得する。本実施形態では、アンテナ600が搬送波を所定の周期(例えば1秒周期)で繰り返し受信し、取得部211がアンテナ600で受信された搬送波を当該所定の周期で繰り返し取得する場合を例示する。また、アンテナ600による補正データの受信および取得部211による補正データの取得は、所定の周期(例えば1秒周期)で繰り返し行われても、基地局300で補正データが生成されたことに応じて行われても良い。
【0045】
<<位置算出部212>>
位置算出部212は、例えば、取得部211で取得された補正データおよび搬送波に基づいて、(知見)の欄で説明した手法により、移動体の位置に関する測位情報の一例としてアンテナ600の現在位置を算出する。本実施形態では、位置算出部212が、アンテナ600の現在位置を前記所定の周期(例えば1秒周期)で算出する場合を例示する。また、本実施形態では、位置算出部212は、フィックス解を算出することが出来た場合、当該フィックス解をアンテナ600の現在位置の算出結果として採用する。一方、位置算出部212は、フィックス解を算出することが出来ていない場合、フロート解または単独解をアンテナ600の現在位置の算出結果として採用する。位置算出部212は、アンテナ600の現在位置に関する測位情報と、アンテナ600の現在位置の算出結果に対する信頼性に関する情報である位置ステータス情報と、を生成する。本実施形態では、測位情報は、移動体の3次元位置に関する情報であり、位置算出部212が、アンテナ600の現在位置としてアンテナ600の現在の3次元位置を算出する場合を例示する。また、本実施形態では、測位情報により特定されるアンテナ600の現在位置がフィックス解であるか否かを示す情報が位置ステータス情報に含まれる場合を例示する。測位情報により特定されるアンテナ600の現在位置がフィックス解である場合、アンテナ600の現在位置の算出結果に対する信頼性は相対的に高く、そうでない場合、アンテナ600の現在位置の算出結果に対する信頼性は相対的に低いことが、位置ステータス情報により特定される。
【0046】
<<出力部213>>
出力部213は、位置算出部212で生成された測位情報および位置ステータス情報をクレーン制御装置220に出力する。<<位置算出部212>>の欄で説明したように本実施形態では、位置算出部212は、アンテナ600の現在位置を所定の周期(例えば1秒周期)で算出する。したがって、出力部213は、測位情報および位置ステータス情報を当該所定の周期(例えば1秒周期)でクレーン制御装置220に出力する。
なお、アンテナ600および受信機210は、(着想)の欄で説明した受信局としての機能を有する。また、アンテナ600は、トロリ123に設置されているので、アンテナ600の現在位置は、トロリ123の現在位置に対応する。
【0047】
<クレーン制御装置220>
クレーン制御装置220は、クレーン120に対する操作を行うための各種の処理を行う。本実施形態のクレーン制御装置220は、取得部221と、位置正否判定部222と、位置変換部223と、操作受付部224と、動作指定情報出力部225と、表示部226と、操業情報出力部227と、を備える。本実施形態では、クレーン制御装置220が情報処理装置の一例である。なお、情報処理装置は、GNSSに基づく移動体の位置が要求精度を満足するか否か(本実施形態では、GNSSに基づくアンテナ600(トロリ123)の位置がクレーン位置要求精度を満足するか否か)を判定する機能を有していれば、移動体等を制御する機能を有している必要はない。
【0048】
<<取得部221>>
取得部221は、受信機210(出力部213)から出力されたアンテナ600の測位情報および位置ステータス情報を取得する。本実施形態では、取得部221が、測位情報および位置ステータス情報を前記所定の周期(例えば1秒周期)で取得する例示する。また、本実施形態では、アンテナ600における搬送波の受信周期と、受信機210における処理周期と、クレーン制御装置220における処理周期とが、同期している場合を例示する。
【0049】
また、取得部221は、<ヤードプロコン400>の欄で後述するようにしてヤードプロコン400で生成される搬送物ステータス情報をヤードプロコン400から取得する。搬送物ステータス情報は、例えば、スラブMの位置および状態を特定することが出来る情報である。例えば、スラブMの吊り上げが終了したタイミングにおいては、当該スラブMの識別情報と、当該吊り上げの直前に当該スラブMが置かれていた置場Noと、当該スラブMがクレーン120で搬送中であることと、を含む情報が搬送物ステータス情報に含まれる。また、例えば、スラブMの吊り下ろしが終了したタイミングにおいては、当該スラブMの識別情報と、当該タイミングで当該スラブMが置かれている置場Noと、当該スラブMが置場110に置かれていることと、を含む情報が搬送物ステータス情報に含まれる。なお、スラブMの識別情報は、当該スラブMを一意に識別するための情報である。スラブMの識別情報は、例えば、数字およびラテン文字のうちの少なくとも一方を用いて構成される。また、スラブMの識別情報は、数字およびラテン文字のうちの少なくとも一方に加えて、ハイフン(-)等の記号を用いて構成されても良い。
【0050】
また、取得部221は、ヤードプロコン400から置場位置-置場No変換情報を取得する。置場位置-置場No変換情報は、各置場110の位置座標(x-y座標)と、当該置場110の置場Noとが相互に関連付けられた情報である。
また、取得部221は、ヤードプロコン400から、アンテナ600の高さ方向(z軸方向)の位置として想定される位置に関する想定高さ位置情報を取得する。アンテナ600の高さ方向の位置は、予め想定される位置である。本実施形態では、アンテナ600の高さ方向の位置は、可変値であっても固定値であっても良い。
【0051】
なお、取得部221が取得する情報の取得先は、受信機210およびヤードプロコン400に限定されない。例えば、測位情報および位置ステータス情報は、受信機210から他の装置(例えばヤードプロコン400)を経由してクレーン制御装置220に送信されても良い。また、搬送物ステータス情報および置場位置-置場No変換情報は、例えば、クレーン制御装置220のユーザインターフェースに対するクレーンオペレータの操作に基づいて、クレーン制御システム200に入力されても良い。このようにする場合、取得部221は、当該入力された搬送物ステータス情報および置場位置-置場No変換情報を取得する。
【0052】
また、上記の想定高さ位置情報は、クレーン制御装置220が備える記憶装置に、オペレータなどによって事前に入力されるなどして予め記憶されていても良い。この場合、取得部221は、この記憶装置から想定高さ位置情報を取得する。あるいは、取得部221は、クレーン制御装置220に搭載されている、GNSSとは異なるセンサ(不図示)で測定されたアンテナ600の高さ方向の位置を、想定高さ位置情報として取得してもよい。なお、アンテナ600の高さ方向の位置を測定するセンサは、例えば、気圧高度計や電波高度計等の公知のセンサでよりが、GNSSよりも高さ方向の位置を高精度に測定することができるセンサであるのが好ましい。このようにすれば、水平に移動するよう構成されたクレーンにおいて、地形の変化などに起因して高さ方向の位置が無視できないほど変化するような場合があったとしても、適切な想定高さ位置情報を得ることが可能となる。
【0053】
<<位置正否判定部222>>
位置正否判定部222は、受信機210(位置算出部212)で算出されたアンテナ600の現在位置から特定されるアンテナ600の高さ方向(z軸方向)の位置に基づいて、当該アンテナ600の現在位置がクレーン位置要求精度を満足するか否かを判定する。前述したようにクレーン位置要求精度が、水平面(x-y平面)における位置の精度として要求される精度である場合、位置正否判定部222は、アンテナ600の水平面における位置(x軸方向およびy軸方向の位置)がクレーン要求精度を満足するか否かを判定することになる。
【0054】
本実施形態では、アンテナ600の高さ方向の位置が、高さ方向の位置に関する条件であって、想定高さ位置情報に基づいて定められる条件を満たすか否かを判定し、その判定の結果を用いて、当該アンテナ600の現在位置がクレーン位置要求精度を満足するか否かを判定することを位置正否判定部222が行う場合を例示する。以下の説明では、高さ方向の位置に関する条件であって、想定高さ位置情報に基づいて定められる条件を、必要に応じて高さ位置判定条件とも称する。例えば、受信機210(位置算出部212)で算出されたアンテナ600の現在位置から特定されるアンテナ600の高さ方向(z軸方向)の位置が、アンテナ600の高さ方向の位置として想定される位置を含む所定の範囲内であることが、高さ位置判定条件であるとしても良い。このようにする場合、取得部221は、想定高さ位置情報として、当該所定の範囲を示す情報を取得しても良い。また、取得部221は、受信機210(位置算出部212)で算出されたアンテナ600の現在位置から特定されるアンテナ600の高さ方向(z軸方向)の位置と、アンテナ600の高さ方向の位置として想定される位置との誤差が所定値以下であることが、高さ位置判定条件であるとしても良い。このようにする場合、取得部221は、想定高さ位置情報として、当該所定値を取得しても良い。また、受信機210(位置算出部212)で算出されたアンテナ600の現在位置から特定されるアンテナ600の高さ方向(z軸方向)の位置が、アンテナ600の高さ方向の位置として想定される位置であることが、高さ位置判定条件であるとしても良い。高さ位置判定条件は、例えば、クレーン位置要求精度などの要求精度に応じて予め定められ、変更可能である。上記の所定の範囲や所定値は、所定の範囲の大きさや所定値の大きさが、アンテナ600の高さ方向の位置として想定される位置を示す情報(例えばz軸の座標値)の大きさよりも小さい値となる範囲において、アンテナ600の高さ方向の位置として想定される位置を示す情報の大きさを考慮するなどしながら定めても良い。
【0055】
また、本実施形態では、受信機210(位置算出部212)で算出されたアンテナ600の現在位置が、位置の算出結果の信頼性に関する条件を満たす位置であるか否かをさらに判定し、その判定の結果をさらに用いて、当該アンテナ600の現在位置がクレーン位置要求精度を満足するか否かを判定することを位置正否判定部222が行う場合を例示する。以下の説明では、位置の算出結果の信頼性に関する条件を、必要に応じて位置信頼性判定条件とも称する。
【0056】
このように本実施形態では、高さ位置判定条件および位置信頼性判定条件の2つの判定条件が用いられる。このようにする場合、位置正否判定部222は、受信機210(位置算出部212)で算出されたアンテナ600の現在位置から特定される高さ方向の位置が、高さ位置判定条件を満たさない場合、または、受信機210(位置算出部212)で算出されたアンテナ600の現在位置から特定される高さ方向の位置が、位置信頼性判定条件を満たさない場合に、当該アンテナ600の現在位置はクレーン位置要求精度を満足しないと判定する。この場合、位置正否判定部222は、受信機210(位置算出部212)で算出されたアンテナ600の現在位置から特定される高さ方向の位置が、高さ位置判定条件を満たし、且つ、受信機210(位置算出部212)で算出されたアンテナ600の現在位置から特定される高さ方向の位置が、位置信頼性判定条件を満たす場合に、当該アンテナ600の現在位置はクレーン位置要求精度を満足すると判定する。
【0057】
また、本実施形態では、位置算出部212で算出されたアンテナ600の現在位置がフィックス解であることが、位置信頼性判定条件である場合を例示する。なお、位置信頼性判定条件は、位置算出部212で算出されたアンテナ600の現在位置がフィックス解であることに限定されない。例えば、位置信頼性判定条件は、フィックス解の信頼度が閾値を上回ることであっても良い。フィックス解の信頼度は、例えば、RatioテストにおけるRatio値でも良い。なお、Ratio値が閾値を上回る場合の解をフィックス解とする場合、フィックス解の信頼度と比較される閾値を、フィックス解であるか否かを判定する際に用いる閾値よりも大きい値とする。位置信頼性判定条件は、クレーン位置要求精度などの要求精度に応じて予め定められる。なお、位置算出部212で算出されたアンテナ600の現在位置がフィックス解であれば、当該アンテナ600の現在位置から特定される高さ方向の位置もフィックス解であり、位置算出部212で算出されたアンテナ600の現在位置がフィックス解でなければ、当該アンテナ600の現在位置から特定される高さ方向の位置もフィックス解ではないことは勿論である。
【0058】
以上のように本実施形態では、位置正否判定部222は、位置算出部212で算出されたアンテナ600の現在位置がフィックス解でない場合、または、当該アンテナ600の現在位置から特定される高さ方向の位置が所定の範囲内でない場合に、当該アンテナ600の現在位置はクレーン位置要求精度を満足しないと判定する。この場合、位置正否判定部222は、位置算出部212で算出されたアンテナ600の現在位置がフィックス解であり、且つ、当該アンテナ600の現在位置から特定される高さ方向の位置が所定の範囲内である場合に、当該アンテナ600の現在位置はクレーン位置要求精度を満足すると判定する。
【0059】
<<位置変換部223>>
位置変換部223は、位置算出部212で算出されたアンテナ600の現在位置がクレーン位置要求精度を満足することが位置正否判定部222により判定されると、当該アンテナ600の現在位置を置場Noに変換する。本実施形態では、位置変換部223が、位置算出部212で算出されたアンテナ600の現在位置に対応する置場Noを、取得部221で取得された置場位置-置場No変換情報から読み出すことにより、位置算出部212で算出されたアンテナ600の現在位置を置場Noに変換する場合を例示する。なお、本実施形態では、説明を簡単にするために、アンテナ600の水平面方向(x-y平面)の位置と、吊具128の水平面方向の位置とが同じであるものとする。アンテナ600の水平面方向の位置と、吊具128の水平面方向の位置とがずれている場合、位置変換部223は、そのずれ量だけアンテナ600の現在位置を補正した上で、補正後のアンテナ600の現在位置に対応する置場Noを特定する。
【0060】
<<操作受付部224>>
操作受付部224は、クレーンオペレータによるクレーン制御装置220に対する操作内容を示す情報を受け付ける。なお、クレーン制御装置220に対する操作内容の具体例については後述する。本実施形態では、位置算出部212で算出されたアンテナ600の現在位置がクレーン位置要求精度を満足する位置(フィックス解)であることが位置正否判定部222により判定された場合と、そうでない場合とで、操作受付部224が受け付ける情報を異ならせる。
【0061】
本実施形態では、クレーンオペレータによるクレーン制御装置220に対する操作内容を示す情報に、当該操作の内容を特定することが出来る情報が含まれる場合を例示する。
また、本実施形態では、クレーンオペレータによるクレーン制御装置220に対する操作内容を示す情報がクレーン制御装置220の外部に送信されないようにすることによって、当該操作内容を示す情報を受け付ないようにする場合を例示する。より具体的には、操作受付部224は、クレーン制御装置220に対する操作によりクレーン制御システム200に入力される情報の内容を認識した後、当該情報を破棄することによって、クレーンオペレータによるクレーン制御装置220に対する操作の内容を示す情報を受け付けないようにする場合を例示する。ただし、必ずしも、このようにしてクレーンオペレータによるクレーン制御装置220に対する操作の内容を示す情報を受け付けないようにする必要はない。例えば、操作受付部224は、クレーン制御装置220に対する操作によりクレーン制御システム200に入力される情報を破棄せずに無効化しても良い。また、例えば、クレーン制御装置220に対する操作があってもクレーン制御システム200に情報が入力されないようにすることによって(すなわち、クレーン制御装置220に対する操作自体を受け付けないようにすることによって)、当該情報を受け付けないようにしても良い。
【0062】
ここで、クレーンオペレータがクレーン制御装置220に対して行う操作内容の一例を説明する。
クレーンオペレータは、クレーン120に対して動作内容を指定するための操作を行う。
クレーン120に対する動作内容の指定は、例えば、不図示の走行装置、巻上装置、および横行装置の動作内容であり、スラブMに対する作業(例えば、吊り上げ、吊り下ろし、および或る置場110から別の置場110への搬送)に応じて異なる内容になる。以下の説明では、クレーン120に対する動作内容を指定する操作を、必要に応じて、クレーン動作指定操作とも称する。
【0063】
また、クレーンオペレータは、クレーン動作指定操作に加えて、クレーン120における所定の作業が終了したことを指示するための操作を行う。クレーン120における所定の作業は、例えば、スラブMの吊り上げおよび吊り下ろしを含む。以下の説明では、クレーン120における所定の作業が終了したことを指示するための操作を、必要に応じて作業終了確認操作とも称する。本実施形態では、作業終了確認操作により、終了した作業の内容が特定される場合を例示する。例えば、スラブMの吊り上げが終了したときに作業終了確認操作が行われると、スラブMの吊り上げが終了したことが特定される。
【0064】
<<操業情報出力部227>>の欄で後述するように、作業終了確認操作の内容を示す情報(操作情報)はヤードプロコン400に出力される。<ヤードプロコン400>の欄で後述するように、ヤードプロコン400は、作業終了確認の内容を示す情報を用いて、スラブヤード100におけるスラブMを管理する。すなわち、作業終了確認操作は、スラブヤード100におけるスラブMをヤードプロコン400で管理するために行われる操作である。位置正否判定部222によりアンテナ600の現在位置がクレーン位置要求精度を満足する位置でないと判定された場合、当該アンテナ600の現在位置によりスラブMの位置をヤードプロコン400で管理すると、ヤードプロコン400で管理しているスラブMの現在位置が実際の位置と異なる場合が生じる。そこで、本実施形態では、位置正否判定部222によりアンテナ600の現在位置がクレーン位置要求精度を満足する位置でないと判定された場合、操作受付部224は、作業終了確認操作の内容を示す情報を受け付けないようにする。これにより、位置正否判定部222によりアンテナ600の現在位置がクレーン位置要求精度を満足する位置でない場合に行われる作業終了確認操作に基づいてスラブヤード100の管理がヤードプロコン400において行われることを防止することが出来る。
【0065】
ただし、作業終了確認操作により終了したことが特定される作業がスラブMの吊り下ろしである場合、吊り下ろされた当該スラブMの置場110をヤードプロコン400において管理する必要がある。そこで、本実施形態では、位置正否判定部222によりアンテナ600の現在位置がクレーン位置要求精度を満足する位置でなく、且つ、作業終了確認操作により終了したことが特定される作業がスラブMの吊り下ろしである場合、クレーンオペレータは、クレーン制御装置220を操作することにより、クレーン120により作業(吊り下ろし)を行ったスラブMが置かれている位置を特定するための情報をクレーン制御装置220に入力する。以下の説明では、この情報を、必要に応じてオペレータ入力位置とも称する。また、以下の説明では、この操作を、必要に応じてオペレータ位置入力操作とも称する。<<表示部226>>の欄で後述するように本実施形態では、オペレータ入力位置操作が表示部226により表示される情報(位置入力用画面)に基づいて行われる場合を例示する。操作受付部224は、このようにしてクレーン制御装置220に入力されたオペレータ入力位置を受け付ける。本実施形態では、オペレータ入力位置が置場Noである場合を例示する。ただし、オペレータ入力位置は置場Noに限定されない。
【0066】
<<動作指定情報出力部225>>
動作指定情報出力部225は、操作受付部224により受け付けられたクレーン動作指定操作に対応する動作指定情報を、クレーン120(不図示の走行装置、巻上装置、および横行装置)に対して出力する。なお、動作指定情報は、クレーン120(不図示の走行装置、巻上装置、および横行装置)の動作を制御する制御装置に出力されても良い。
【0067】
<<表示部226>>
表示部226は、クレーンオペレータの操作に資する情報を含む各種の情報を表示装置に表示させる。表示装置は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等のコンピュータディスプレイを含む。
【0068】
本実施形態では、表示部226は、位置正否判定部222によりアンテナ600の現在位置がクレーン位置要求精度を満足する位置であると判定された場合に、当該アンテナ600の現在位置を示す測位情報を表示装置に表示させる。なお、図2の位置正否判定部222から表示部226に向かう矢印線等の傍らに表示している「正」は、アンテナ600の現在位置がクレーン位置要求精度を満足する位置であることを示す。本実施形態では、表示部226により表示されるアンテナ600の測位情報がアンテナ600のx-y座標を含むである場合を例示する。ただし、表示部226により表示されるアンテナ600の測位情報はx-y座標に限定されない。例えば、アンテナ600の測位情報は置場Noであっても良い。
【0069】
一方、位置正否判定部222によりアンテナ600の現在位置がクレーン位置要求精度を満足する位置であると判定されなかった場合、表示部226は、アンテナ600の現在位置の算出結果が正しくないことを示す情報を、表示装置に表示させる。なお、図2の位置正否判定部222から表示部226に向かう矢印線等の傍らに表示している「否」は、アンテナ600の現在位置がクレーン位置要求精度を満足する位置でないことを示す。以下の説明では、アンテナ600の現在位置の算出結果が正しくないことを示す情報を、必要に応じて測位結果NG情報とも称する。
【0070】
なお、本実施形態では説明を簡単にするために、測位結果NG情報が表示されている場合にはクレーン動作指定操作を行わないことが作業マニュアルで定められおり、クレーンオペレータは、当該作業マニュアルに従うものとする。したがって、測位結果NG情報が表示されている場合にはクレーン動作指定操作は行われないものとする。
【0071】
また、位置正否判定部222によりアンテナ600の現在位置がクレーン位置要求精度を満足する位置であると判定されなかった場合であって、操作受付部224で入力された作業終了確認操作により終了したことが特定される作業がスラブMの吊り下ろしである場合、表示部226は、測位結果NG情報の表示を、オペレータ位置入力操作を入力するための画面表示に切り替える。以下の説明では、オペレータ位置入力操作を入力するための画面を、位置入力用画面とも称する。位置入力用画面は、GUI(Graphical User Interface)であっても良い。
【0072】
クレーンオペレータは、位置入力用画面に基づいてクレーン制御装置220を操作して、作業(吊り下ろし)を行ったスラブMが置かれている位置を特定するための情報をクレーン制御装置220に入力する。<<操作受付部224>>の欄で説明したように操作受付部224は、このようにして入力された情報を受け付ける。また、<<操作受付部224>>の欄で説明したように本実施形態では、クレーンオペレータがクレーン120により作業(吊り下ろし)を行ったスラブMが置かれている位置を特定するための情報が置場Noである場合を例示する。ただし、この情報は置場Noに限定されず、例えば、x-y座標であっても良い。
【0073】
また、本実施形態では、表示部226は、取得部221により搬送物ステータス情報が取得された場合、当該搬送物ステータス情報を表示装置に表示させる。
【0074】
<<操業情報出力部227>>
操業情報出力部227は、スラブヤードにおける操業に係る情報である操業情報を出力する。受信機210(位置算出部212)で算出されたアンテナ600の現在位置から変換された置場Noを示す情報を操業情報の一つとしてヤードプロコン400に出力する。以下の説明では、受信機210(位置算出部212)で算出されたアンテナ600の現在位置から変換された置場Noを含む情報を、必要に応じて置場No情報とも称する。<<位置変換部223>>の欄で説明したように、置場Noは、位置正否判定部222によりアンテナ600の現在位置がクレーン位置要求精度を満足する位置であると判定された場合に位置変換部223で生成される。したがって、置場No情報は、位置正否判定部222によりアンテナ600の現在位置がクレーン位置要求精度を満足する位置であると判定された場合にクレーン制御装置220(操業情報出力部227)からヤードプロコン400に出力される。
【0075】
また、操業情報出力部227は、操作受付部224で受け付けられたクレーンオペレータによる操作内容を示す情報を操業情報の一つとしてヤードプロコン400に出力する。以下の説明では、この情報を、必要に応じて、操作情報とも称する。<<操作受付部224>>で説明したように本実施形態では、クレーンオペレータがクレーン制御装置220に対して行う操作は、クレーン動作指定操作と、作業終了確認操作と、オペレータ位置入力操作と、を含む。<<操作受付部224>>の欄で説明したように、位置正否判定部222によりアンテナ600の現在位置がクレーン位置要求精度を満足する位置でないと判定された場合、作業終了確認操作の内容を示す情報は操作受付部224で受け付けられない。この場合、作業終了確認操作の内容を示す情報は、操作情報に含まれない。また、<<操作受付部224>>の欄で説明したように、オペレータ位置入力操作は、位置正否判定部222によりアンテナ600の現在位置がクレーン位置要求精度を満足する位置でないと判定された場合であって、作業終了確認操作により終了したことが特定される作業がスラブMの吊り下ろしである場合に行われる。したがって、オペレータ位置入力操作の内容を示す情報は、このような場合に操作情報に含まれる。なお、本実施形態では、クレーン動作指定操作の内容を示す情報が操業情報出力部227から出力される操作情報に含まれない場合を例示する。ただし、操業情報出力部227は、クレーン動作指定操作の内容を示す情報を含む操作情報を出力しても良い。
【0076】
以上のように本実施形態では、位置正否判定部222によりアンテナ600の現在位置がクレーン位置要求精度を満足する位置であると判定された場合、操業情報出力部227は、作業終了確認操作の内容を示す情報を含む操作情報と、置場No情報と、を出力する。
【0077】
また、位置正否判定部222によりアンテナ600の現在位置がクレーン位置要求精度を満足する位置でないと判定された場合であって、作業終了確認操作により終了したことが特定される作業がスラブMの吊り下ろしである場合、操業情報出力部227は、オペレータ位置入力操作の内容を示す情報を含む操作情報を出力する。この場合、置場Noは位置変換部223で生成されていないので、置場No情報は出力されない。
【0078】
なお、オペレータ位置入力操作の内容を示す情報を含む操作情報には、クレーンオペレータの操作により入力される置場Noが含まれる。また、置場No情報にも、位置変換部223により変換された置場Noが含まれる。本実施形態では、ヤードプロコン400は、置場No情報と共に操作情報を取得した場合、当該置場No情報に含まれる置場Noがアンテナ600の現在位置から算出された情報であることを認識するものとする。一方、ヤードプロコン400は、操作情報のみを取得した場合、当該操作情報に含まれる置場Noはクレーンオペレータの操作により入力された情報であると認識するものとする。
【0079】
ただし、置場Noが、位置変換部223により変換された置場Noと、クレーンオペレータの操作により入力された置場Noと、のうちのいずれであるのかをヤードプロコン400が認識する手法は、このような手法に限定されない。例えば、置場No情報に含まれる置場Noが、アンテナ600の現在位置から算出された置場Noであるのに対し、操作情報に含まれる置場Noが、クレーンオペレータの操作により入力された置場Noであるものであることをヤードプロコン400でより確実に認識することが出来るように置場No情報および操作情報を構成しても良い。例えば、オペレータ位置入力操作の内容を示す情報を含む操作情報には、置場Noと、当該置場Noがクレーンオペレータの操作により入力された情報であることを示す情報と、が含まれるようにしても良い。また、置場No情報には、置場Noと、当該置場Noがアンテナ600の現在位置から算出された情報であることを示す情報と、が含まれるようにしても良い。
【0080】
また、本実施形態では、位置正否判定部222によりアンテナ600の現在位置がクレーン位置要求精度を満足する位置でないと判定された場合であって、作業終了確認操作により終了したことが特定される作業がスラブMの吊り下ろし以外の作業である場合、操業情報出力部227が、操作情報および置場No情報を出力しない場合を例示する。本実施形態では、このようにすることによって、位置正否判定部222によりアンテナ600の現在位置がクレーン位置要求精度を満足する位置でないと判定された場合に、作業終了確認操作に基づくスラブヤード100の管理がヤードプロコン400で行われることを防止することが出来る。
【0081】
<ヤードプロコン400>
ヤードプロコン400は、スラブヤード100における操業を管理するための各種の処理を行う。本実施形態のヤードプロコン400は、取得部410と、搬送物管理部420と、出力部430と、を備える。
【0082】
<<取得部410>>
取得部410は、クレーン制御システム200(操業情報出力部227)から出力された情報を取得する。<<操業情報出力部227>>の欄で説明したように本実施形態では、操作情報(作業終了確認操作の内容を示す情報またはオペレータ位置入力操作の内容を示す情報)および置場No情報が、クレーン制御システム200からヤードプロコン400に出力される場合を例示する。
【0083】
また、取得部410は、スラブヤード管理情報の初期値を取得する。スラブヤード管理情報は、スラブヤード100におけるスラブMの管理情報である。スラブヤード管理情報は、例えば、スラブMの識別情報と、当該スラブMの管理位置を特定するための情報と、当該スラブMの状態を特定するための情報と、が相互に関連付けられた情報を含む。
【0084】
スラブMの管理位置は、ヤードプロコン400において管理している当該スラブMの位置を特定することが出来る情報である。本実施形態では、スラブMの管理位置が、置場Noを含む場合を例示する。スラブMが置場110に置かれている場合、当該スラブMの管理位置は、例えば、当該置場110の置場Noを含む。この場合、当該スラブMの管理位置に、当該置場NoにおけるスラブMの位置を特定することが出来る情報が含まれていても良い。置場NoにおけるスラブMの位置を特定することが出来る情報は、例えば、当該置場Noの置場110において当該スラブMが下から何番目に積まれているかを示す情報である。1つの置場110に1つのスラブMのみが置かれる場合、置場NoにおけるスラブMの位置は、スラブMの管理位置に含まれていなくても良い。スラブMが置場110に置かれていない状態である場合(すなわち、スラブMが吊り上げられている場合)、当該スラブMの管理位置は、例えば、当該スラブMが搬送中であることを示す情報であるものとする。
【0085】
本実施形態では、スラブヤード管理情報の初期値が、ヤードプロコン400のユーザインターフェースに対するオペレータによる操作に基づいてヤードプロコン400に入力され、取得部410で取得される場合を例示する。しかしながら、スラブヤード管理情報の初期値は、必ずしもこのようにして取得される必要はない。例えば、スラブヤード管理情報の初期値は、外部装置から送信されても良い。
【0086】
また、取得部410は、置場位置-置場No変換情報を取得する。<<取得部221>>の欄で説明したように置場位置-置場No変換情報は、各置場110の位置座標(x-y座標)と、当該置場110の置場Noとが相互に関連付けられた情報である。本実施形態では、置場位置-置場No変換情報が、ヤードプロコン400のユーザインターフェースに対するオペレータによる操作に基づいてヤードプロコン400に入力され、取得部410で取得される場合を例示する。しかしながら、置場位置-置場No変換情報は、必ずしもこのようにして取得される必要はない。例えば、置場位置-置場No変換情報は、外部装置から送信されても良い。
【0087】
<<搬送物管理部420>>
搬送物管理部420は、取得部410で取得された情報(スラブヤード管理情報の初期値、操作情報、置場No情報)に基づいて、搬送物ステータス情報を生成することと、スラブヤード管理情報を更新することと、を行う。
【0088】
まず、搬送物管理部420は、取得部410で取得された操作情報(オペレータ位置入力操作の内容を示す情報)または置場No情報と、スラブヤード管理情報の現在値と、に基づいて、クレーン120による作業対象のスラブMの識別情報と、当該スラブMの置場Noとを特定する。なお、スラブヤード管理情報の初期値は、取得部410で取得される。
【0089】
<<操作受付部224>>で説明したように、位置正否判定部222によりアンテナ600の現在位置がクレーン位置要求精度を満足する位置であると判定された場合、置場No情報が位置変換部223で生成される。この場合、搬送物管理部420は、例えば、置場No情報により特定される置場Noと、スラブヤード管理情報の現在値と、に基づいて、クレーン120による作業対象のスラブMの識別情報を特定する。なお、搬送物管理部420は、作業終了確認操作の内容を示す情報を含む操業情報が置場No情報と共に取得部410で取得された場合に限り、当該置場No情報と、スラブヤードの管理情報の現在値と、に基づいて、クレーン120による作業対象のスラブMの識別情報を特定しても良い。
【0090】
また、位置正否判定部222によりアンテナ600の現在位置がクレーン位置要求精度を満足する位置でないと判定された場合であって、作業終了確認操作により終了したことが特定される作業がスラブMの吊り下ろしである場合、置場No情報は位置変換部223で生成されない。この場合、搬送物管理部420は、例えば、オペレータ位置入力操作の内容を示す情報により特定される置場Noと、スラブヤード管理情報の現在値と、に基づいて、クレーン120による作業対象のスラブMの識別情報を特定する。
【0091】
また、位置正否判定部222によりアンテナ600の現在位置がクレーン位置要求精度を満足する位置でないと判定された場合であって、作業終了確認操作により終了したことが特定される作業がスラブMの吊り下ろし以外の操作である場合には、置場No情報も操作情報も取得部410で取得されない。したがって、この場合には搬送物管理部420による処理は行われない。
【0092】
搬送物管理部420は、クレーン120による作業対象のスラブMの識別情報および置場Noを特定した場合、当該スラブMの状態を特定する。ここでは、スラブMの状態が当該スラブMに対する作業内容により特定される場合を例示する。例えば、スラブMの状態には、スラブMの吊り上げが終了した状態と、スラブMの吊り下ろしが終了した状態と、が含まれる。
【0093】
クレーン120が作業対象のスラブMに対してどのような作業を行ったのかは、例えば、取得部410で取得された操作情報(作業終了確認操作の内容を示す情報またはオペレータ位置入力操作の内容を示す情報)に基づいて特定される。例えば、搬送物管理部420は、取得部410で取得された操作情報に作業終了確認操作の内容を示す情報が含まれている場合、当該作業終了確認操作の内容を示す情報により、どの作業が終了したのかを特定する。また、搬送物管理部420は、取得部410で取得された操作情報にオペレータ位置入力操作の内容を示す情報が含まれている場合、吊り下ろしが終了したことを特定する。
【0094】
搬送物管理部420は、以上のようにして特定した情報(クレーン120による作業対象のスラブMの識別情報および置場Noと、当該スラブMの状態)に基づいて、搬送物ステータス情報を生成することと、スラブヤード管理情報を更新することと、を行う。例えば、搬送物管理部420は、以上のようにして特定した情報を含む搬送物ステータス情報を生成する。また、搬送物管理部420は、スラブヤード管理情報に含まれるスラブMのうち、クレーン120による作業対象のスラブMの情報(スラブMの識別情報、スラブMの管理位置を特定するための情報、スラブMの状態を特定するための情報)を、以上のようにして特定した情報に更新する。
【0095】
<<出力部430>>
出力部430は、搬送物管理部420で生成された搬送物ステータス情報と、置場位置-置場No変換情報と、をクレーン制御システム200(クレーン制御装置220)に出力する。
【0096】
<フローチャート>
次に、図3-1~図3-3のフローチャートを参照しながら、本実施形態のクレーン制御システム200およびヤードプロコン400を用いて行われる情報処理方法の一例を説明する。ここでは図3-1~図3-3のフローチャートが、所定の周期(例えば1秒周期)で繰り返し実行される場合を例示する。また、図3-1~図3-3のフローチャートが開始する前に、取得部221が、想定高さ位置情報を取得しているものとする。ただし、例えば、アンテナ600の高さ位置が固定値ではなくセンサにより測定される場合、取得部221は、ステップS307の処理が開始する前(例えば、ステップS304とステップS305との間)のタイミングで想定高さ位置情報を取得しても良い。
【0097】
まず、図3-1のステップS301において、取得部211は、基地局300から送信されてアンテナ600で受信された補正データを取得する。補正データは、クレーン制御システム200で算出されるアンテナ600の現在位置を補正するために必要なデータである。なお、取得部211は、補正データを、前記所定の周期で取得せずに基地局300で補正データが生成されたことに応じて取得しても良い。
【0098】
次に、ステップS302において、取得部211は、測位衛星500a~500dから送信されてアンテナ600で受信された搬送波を取得する。
次に、ステップS303において、位置算出部212は、ステップS301で取得された補正データおよびステップS302で取得された搬送波に基づいて、アンテナ600の現在位置を算出し、当該アンテナ600の現在位置を示す測位情報を生成する。また、位置算出部212は、算出したアンテナ600の現在位置に対する位置ステータス情報を生成する。本実施形態では、位置ステータス情報は、算出したアンテナ600の現在位置がフィックス解であるか否かを示す情報である。
【0099】
次に、ステップS304において、出力部213は、ステップS303で生成された測位情報および位置ステータス情報をクレーン制御装置220に出力する。
なお、図3-1に示すフローチャートにおいて、ステップS301~S304の処理は、受信機210で行われる処理である。
【0100】
次に、ステップS305において、取得部221は、ステップS304で出力された測位情報および位置ステータス情報を取得する。
次に、ステップS306において、位置正否判定部222は、ステップS305で取得されたアンテナ600の測位情報から特定されるアンテナ600の現在位置が位置信頼性判定条件を満たす位置であるか否かを判定する。本実施形態では、位置正否判定部222は、アンテナ600の現在位置がフィックス解である場合に、当該アンテナ600の現在位置が位置信頼性判定条件を満たす位置であると判定し、そうでない場合に、当該アンテナ600の現在位置が位置信頼性判定条件を満たす位置でないと判定する。
【0101】
ステップS306の判定の結果、アンテナ600の現在位置が位置信頼性判定条件を満たす位置でない場合(ステップS306でNOの場合)、後述するステップS310の処理が実行される。一方、アンテナ600の現在位置が位置信頼性判定条件を満たす位置である場合(ステップS306でYESの場合)、ステップS307の処理が実行される。
【0102】
ステップS307において、位置正否判定部222は、ステップS305で取得されたアンテナ600の測位情報から特定されるアンテナ600の高さ方向(z軸方向)の位置が高さ位置判定条件を満たすか否かを判定する。本実施形態では、位置正否判定部222は、アンテナ600の高さ方向の位置が所定の範囲内である場合に、アンテナ600の高さ方向の位置が高さ位置判定条件を満たすと判定し、そうでない場合に、アンテナ600の高さ方向の位置が高さ位置判定条件を満たさないと判定する。
【0103】
ステップS307の判定の結果、アンテナ600の高さ方向の位置が高さ位置判定条件を満たさない場合(ステップS307でNOの場合)、後述するステップS310の処理が実行される。一方、アンテナ600の高さ方向の位置が高さ位置判定条件を満たす場合(ステップS307でYESの場合)、ステップS308の処理が実行される。
【0104】
ステップS308において、位置正否判定部222は、ステップS305で取得されたアンテナ600の測位情報から特定されるアンテナ600の現在位置がクレーン位置要求精度を満足する位置であるとし、当該測位情報を既測位情報として当該測位情報(既測位情報)が生成されたタイミング(時刻)と共に記憶する。このようにすることによって、アンテナ600の位置の時間変化が得られる。また、表示部226は、ステップS305で取得されたアンテナ600の測位情報を表示する。
次に、ステップS309において、第1オペ操作処理が実行され、図3-1の処理が終了する。第1オペ操作処理の詳細については図3-2を参照しながら後述する。
【0105】
前述したように、ステップS306の判定の結果、アンテナ600の現在位置が位置信頼性判定条件を満たす位置でない場合(ステップS306でNOの場合)と、ステップS307の判定の結果、アンテナ600の高さ方向の位置が高さ位置判定条件を満たさない場合(ステップS307でNOの場合)には、ステップS310の処理が行われる。
【0106】
ステップS310において、表示部226は、アンテナ600の現在位置の算出結果が正しくないことを示す情報(測位結果NG情報)を、表示装置に表示させる。<<表示部226>>の欄で説明したように、測位結果NG情報が表示されているときには、クレーン動作指定操作は行われないものとする。
次に、ステップS311において、第2オペ操作処理が実行され、図3-1の処理が終了する。第2オペ操作処理の詳細については図3-3を参照しながら後述する。
なお、図3-1に示すフローチャートにおいて、ステップS305~S308、S310の処理は、クレーン制御装置220で行われる処理である。
【0107】
次に、図3-2のフローチャートを参照しながら、図3-1のステップS309の第1オペ操作処理の一例を説明する。
まず、ステップS321において、操作受付部224は、クレーンオペレータによるクレーン制御装置220に対する操作内容を示す情報を受け付ける。本実施形態では、クレーンオペレータがクレーン制御装置220に対して行う操作は、クレーン動作指定操作と、作業終了確認操作と、オペレータ位置入力操作とを含むが、オペレータ位置入力操作は、表示部226により位置入力用画面が表示された場合に行われる操作である(図3-3のステップS336~S337を参照)。したがって、ステップS321において操作受付部224で受け付けられる情報は、クレーン動作指定操作の内容を示す情報と作業終了確認操作の内容を示す情報とを含み、オペレータ位置入力操作の内容を示す情報を含まない。なお、ここでは説明を簡単にするために、クレーン動作指定操作についての説明を省略する。
【0108】
次に、ステップS322において、位置変換部223は、図3-1のステップS305で取得されたアンテナ600の測位情報から特定されるアンテナ600の現在位置を、置場Noに変換する。
次に、ステップS323において、操業情報出力部227は、ステップS322で得られた置場No(アンテナ600の現在位置に対応する置場No)を示す置場No情報と、ステップS321で受け付けられた操作の内容を示す情報として作業終了確認操作の内容を示す情報を含む操作情報と、をヤードプロコン400に出力する。
なお、図3-2に示すフローチャートにおいて、ステップS321~S323の処理は、クレーン制御装置220で行われる処理である。
【0109】
次に、ステップS324において、取得部410は、ステップS323で出力された操作情報および置場No情報を取得する。
次に、ステップS325において、搬送物管理部420は、ステップ326で取得された操作情報(作業終了確認操作の内容を示す情報)および置場No情報と、スラブヤード管理情報の現在値と、に基づいて、クレーン120による作業対象のスラブMの識別情報と、当該スラブMの置場Noと、当該スラブMの状態と、を特定する。
【0110】
次に、ステップS326において、搬送物管理部420は、ステップS325で特定した情報(クレーン120による作業対象のスラブMの識別情報、当該スラブMの置場No、および当該スラブMの状態)に基づいて、搬送物ステータス情報の生成と、スラブヤード管理情報の更新と、を行う。
【0111】
次に、ステップS327において、出力部430は、ステップS326で生成された搬送物ステータス情報等をクレーン制御装置220に出力する。
なお、図3-2に示すフローチャートにおいて、ステップS324~S327の処理は、ヤードプロコン400で行われる処理である。
次に、ステップS328において、取得部221は、ステップS327で出力された搬送物ステータス情報を取得する。
次に、ステップS329において、表示部226は、ステップS328で取得された搬送物ステータス情報を表示装置に表示させる。ステップS329の処理が終了すると、図3-2のフローチャートによる処理は終了する。
なお、図3-2に示すフローチャートにおいて、ステップS328~S329の処理は、クレーン制御装置220で行われる処理である。
【0112】
次に、図3-3のフローチャートを参照しながら、図3-1のステップS311の第2オペ操作処理の一例を説明する。
まず、ステップS331において、操作受付部224は、クレーンオペレータによるクレーン制御装置220に対する操作内容を示す情報を入力する。ステップS331において操作受付部224に入力される情報は、クレーン動作指定操作の内容を示す情報と、作業終了確認操作の内容を示す情報と、を含み、オペレータ位置入力操作の内容を示す情報を含まない。また、ここでは説明を簡単にするために、クレーン動作指定操作についての説明を省略する。
【0113】
次に、ステップS332において、操作受付部224は、作業終了確認操作の内容を示す情報により終了したことが特定される作業がスラブMの吊り下ろしであるか否かを判定する。この判定の結果、作業終了確認操作の内容を示す情報により終了したことが特定される作業がスラブMの吊り下ろしでない場合(ステップS332でNOの場合)、ステップS333において、操作受付部224は、ステップS331で入力した作業終了確認操作の内容を示す情報を破棄し、当該作業終了確認操作の内容を示す情報を受け付けない。
次に、ステップS334において、表示部226は、測位結果NG情報の表示を終了させる。ステップS324の処理が終了すると、図3-3のフローチャートによる処理は終了する。
【0114】
ステップS332の判定の結果、作業終了確認操作の内容を示す情報により終了したことが特定される作業がスラブMの吊り下ろしである場合(ステップS332でYESの場合)、ステップS335の処理が行われる。ステップS335において、操作受付部224は、ステップS331で入力した作業終了確認操作の内容を示す情報を破棄し、当該作業終了確認操作の内容を示す情報を受け付けない。
次に、ステップS336において、表示部226は、位置入力用画面を表示装置に表示させる。
【0115】
次に、ステップS337において、操作受付部224は、クレーンオペレータによるオペレータ位置入力操作の内容を示す情報(置場No)を受け付ける。
次に、ステップS338において、操業情報出力部227は、ステップS337で受け付けられたオペレータ位置入力操作の内容を示す情報(置場No)を含む操作情報をヤードプロコン400に出力する。
なお、図3-3に示すフローチャートにおいて、ステップS331~S338の処理は、クレーン制御装置220で行われる処理である。
【0116】
次に、ステップS339において、取得部410は、ステップS338で出力された操作情報を取得する。
次に、ステップS340において、搬送物管理部420は、ステップ339で取得された操作情報(オペレータ位置入力操作の内容を示す情報)と、スラブヤード管理情報の現在値と、に基づいて、クレーン120による作業対象のスラブMの識別情報と、当該スラブMの置場Noと、当該スラブMの状態と、を特定する。なお、ステップS340で特定されるスラブMの状態は、当該スラブMの吊り下ろしが終了した状態である。
【0117】
次に、ステップS341において、搬送物管理部420は、ステップS340で特定した情報(クレーン120による作業対象のスラブMの識別情報、当該スラブMの置場No、および当該スラブMの状態)に基づいて、搬送物ステータス情報の生成と、スラブヤード管理情報の更新と、を行う。
【0118】
次に、ステップS342において、出力部430は、ステップS341で生成された搬送物ステータス情報をクレーン制御装置220に出力する。
なお、図3-3に示すフローチャートにおいて、ステップS339~S342の処理は、ヤードプロコン400で行われる処理である。
【0119】
次に、ステップS343において、取得部221は、ステップS342で出力された搬送物ステータス情報を取得する。
次に、ステップS344において、表示部226は、ステップS343で取得された搬送物ステータス情報を表示装置に表示させる。ステップS344の処理が終了すると、図3-4のフローチャートによる処理は終了する。
なお、図3-4に示すフローチャートにおいて、ステップS343~S344の処理は、クレーン制御装置220で行われる処理である。
【0120】
<まとめ>
以上のように本実施形態では、クレーン制御システム200は、クレーン120の位置を算出するための処理を行う。その際、クレーン制御システム200は、測位衛星500a~500dから送信された搬送波(信号)に基づくクレーン120の位置(アンテナ600の現在位置)に関する測位情報と、アンテナ600の高さ方向の位置として想定される位置に関する高さ位置想定情報と、に基づいて、測位情報が要求精度を満足するか否かを判定する。したがって、クレーン120(トロリ123)の測位の結果に、クレーン120(トロリ123)の位置の精度として要求されている精度よりも大きい誤差があることを検知することが出来る。よって、測位衛星500a~500dから送信された搬送波(信号)に基づいてクレーン120の位置を適切に検知することが出来る。
【0121】
また、本実施形態では、クレーン制御システム200は、測位衛星500a~500dから送信された搬送波(信号)に基づくクレーン120の位置(アンテナ600の現在位置)から特定される高さ方向(z軸方向)の位置が高さ位置判定条件を満たさない場合に、測位情報が要求精度を満足しないと判定する。したがって、測位情報が要求精度を満足する位置であるか否かを画一的な指標に基づいて判定することが出来る。
【0122】
また、本実施形態では、クレーン制御システム200は、測位衛星500a~500dから送信された搬送波(信号)に基づくクレーン120の位置(アンテナ600の現在位置)から特定される高さ方向(z軸方向)の位置が高さ位置判定条件を満たさない場合、または、測位衛星500a~500dから送信された搬送波(信号)に基づくクレーン120の位置(アンテナ600の現在位置)から特定される高さ方向(z軸方向)の位置が位置信頼性判定条件を満たさない場合に、測位情報が要求精度を満足しないと判定する。したがって、測位情報が要求精度を満足するか否かをより確実に判定することが出来る。
【0123】
また、本実施形態では、クレーン制御システム200は、測位情報が要求精度を満足する場合と、そうでない場合とで、受け付ける情報を異ならせる。したがって、例えば、測位情報が要求精度を満足しない場合に行われたクレーンオペレータの操作に基づく処理を、測位情報が要求精度を満足する場合の処理と異ならせることが出来る。よって、測位情報が要求精度を満足しない場合に、測位情報が要求精度を満足することを前提とする処理が行われることを抑制することが出来る。
【0124】
また、本実施形態では、測位情報が要求精度を満足する場合、クレーン120の位置の管理するためにクレーンオペレータにより行われる所定の操作(本実施形態では作業終了確認操作)に基づく情報を受け付けない。したがって、例えば、クレーン120の位置として誤った位置が管理されることを抑制することが出来る。
【0125】
また、本実施形態では、クレーン制御システム200は、測位情報が要求精度を満足する場合、クレーンオペレータによりクレーン制御装置220に対して行われる操作に基づいて、クレーン120の位置に関する情報を受け付ける。したがって、例えば、測位情報が要求精度を満足しない場合でも、クレーンオペレータから入力されたクレーン120の位置を利用してクレーン120の動作を指定することが出来る。
【0126】
また、本実施形態では、クレーン制御システム200は、測位情報が要求精度を満足する場合、当該測位情報から特定される前記移動体の位置に関する情報を表示装置に表示させる。したがって、クレーン120の位置を報知することが出来る。
【0127】
また、本実施形態では、クレーン制御システム200は、測位情報が要求精度を満足しない場合、クレーン120の位置の算出結果が正しくないことを示す測位結果NG情報を表示装置に表示させる。したがって、クレーン120に対する操作を通常通りに行ってはいけないことをクレーンオペレータに喚起することが出来る。
【0128】
<変形例>
クレーン制御システム200における位置の算出対象の移動体は、クレーン120に限定されない。クレーン制御システム200は、例えば、走行(x軸方向への移動)を行わずに横行(y軸方向への移動)のみを行うクレーンの位置を算出しても良い。このようなクレーンでは、z軸方向(高さ方向)に加えてx軸方向(走行方向)も予め想定された位置になる。また、移動体は、クレーンに限定されない。例えば、移動体は、工場の敷地内等、屋外の比較的平坦な場所を移動する無人搬送車であっても良い。
また、本実施形態では、GNSSがRTK-GPSである場合を例示した。しかしながら、GNSSは、RTK-GPS以外のGNSSであっても良い。
【0129】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を説明する。本実施形態では、第1実施形態において、受信機210(位置算出部212)で算出されたアンテナ600の現在位置がクレーン位置要求精度を満足する位置でないと判定された場合、過去に算出されたアンテナ600の位置のうち、クレーン位置要求精度を満足する位置であると判定された位置を補正した位置を、アンテナ600の現在位置として算出し直す。このように本実施形態は、アンテナ600の現在位置を算出し直すことに関わる処理および構成が第1実施形態と主として異なる。したがって、本実施形態の説明において第1実施形態と同一の構成については、図1図4に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
【0130】
図4は、クレーン制御システム200の機能的な構成の一例を示す図である。本実施形態のクレーン制御システム200のハードウェアは、例えば、第1実施形態のクレーン制御システム200のハードウェアと同じもので実現される。また、受信機210とアンテナ600との通信、およびクレーン制御装置220とクレーン120およびヤードプロコン400との通信も、例えば、第1実施形態で説明したのと同じようにして行われる。
【0131】
本実施形態では、クレーン120のx軸方向およびy軸方向における移動距離に応じて変化する値を検知するセンサ700がクレーン120に備わっている。センサ700は、クレーン120のx軸方向およびy軸方向における移動距離に応じて変化する値を検知するセンサであれば、特に限定されないが、例えば、以下のようにして構成される。
【0132】
第1の例としてセンサ700は、サドル122a~122bに備わる車輪126a~126bが1回転する度にパルス信号を発生する第1パルスジェネレータと、トロリ123に備わる車輪127a~127bが1回転する度にパルス信号を発生する第2パルスジェネレータと、を備える。なお、車輪126a~126b、127a~127bが右回転している場合と左回転している場合とで、第1パルスジェネレータおよび第2パルスジェネレータから発生するパルス信号が区別されるようにする。このようにしてセンサ700を構成する場合、センサ700の検知情報は、例えば、パルス信号を含む。第1パルスジェネレータから発生するパルス信号の数(車輪126a~126bの回転回数)と、車輪126a~126bの直径と、に基づいて、x軸方向(走行方向)におけるクレーン120(クレーンガーダ121)の移動距離が算出される。また、第2パルスジェネレータから発生するパルス信号の数(車輪127a~127bの回転回数)と、車輪127a~127bの直径と、に基づいて、y軸方向(横行方向)におけるクレーン120(トロリ(台車)123)の移動距離が算出される。
【0133】
また、第2の例としてセンサ700は、3軸加速度センサを備える。このようにしてセンサ700を構成する場合、センサ700の検知情報は、例えば、加速度のx軸成分およびy軸成分の値を含む。3軸加速度センサで検知される加速度のx軸成分の値を時間で2階積分にすることにより、x軸方向(走行方向)におけるクレーン120(クレーンガーダ121)の移動距離が算出される。3軸加速度センサで検知される加速度のy軸成分の値を時間で2階積分にすることにより、y軸方向(横行方向)におけるクレーン120(トロリ(台車)123)の移動距離が算出される。また、センサ700は、加速度センサに加えて電子コンパスを備え、電子コンパスによりクレーン120の移動方向が特定されるようにしていても良い。
【0134】
この他、センサ700は、撮影装置を備えていても良い。センサ700が撮影装置を備える場合、クレーン120のx軸方向およびy軸方向における移動距離に応じて変化する値は、例えば、画素値(輝度値)になる。例えば、クレーン120に撮影装置を設置しても良い。このようにする場合、当該撮影装置により複数のタイミングで画像を撮影し、撮影画像に映し出されている物体の単位時間当たりの位置の変化を、当該複数のタイミングにおける撮影画像と、当該複数のタイミングに基づき定まる撮影間隔と、に基づいて算出することにより、クレーン120のx軸方向およびy軸方向における移動距離を算出しても良い。また、クレーン120の外部に撮影装置を設置しても良い。このようにする場合、当該撮影装置によりクレーン120を含む画像を撮影し、撮影画像に映し出されているクレーン120の単位時間当たりの位置の変化を、当該複数のタイミングにおける撮影画像と、当該複数のタイミングに基づき定まる撮影間隔と、に基づいて算出することにより、クレーン120のx軸方向およびy軸方向における移動距離を算出しても良い。
【0135】
センサ700とクレーン120との通信は、有線で行われても無線で行われても良い。また、センサ700とクレーン120との通信は、ネットワークを介して行われても良い。
【0136】
本実施形態の受信機210が備える機能は、第1実施形態と同じであり、クレーン制御装置220が備える機能の一部が、第1実施形態と異なる。以下に、本実施形態のクレーン制御装置220が備える機能の一例について、第1実施形態のクレーン制御装置220が備える機能と異なる部分を中心に説明を行う。
【0137】
<クレーン制御装置220>
本実施形態のクレーン制御装置220は、取得部221と、位置正否判定部222と、位置変換部223と、操作受付部224と、動作指定情報出力部225と、表示部226と、操業情報出力部227と、に加えて、位置推定部228を備える。
【0138】
<<取得部221>>
取得部221は、アンテナ600の測位情報および位置ステータス情報と、搬送物ステータス情報と、置場位置-置場No変換情報と、に加えて、センサ700の検知情報を取得する。
<<位置正否判定部222>>
位置正否判定部222は、アンテナ600の現在位置がクレーン位置要求精度を満足する位置であるか否かを判定すること(すなわち、図3-1のステップS306およびS307の判定を行うこと)と、アンテナ600の現在位置がクレーン位置要求精度を満足する位置である場合、当該アンテナ600の現在位置を示す情報をアンテナ600の既測位情報として、当該情報が生成されたタイミング(時刻)と共に記憶することと、を行う。
【0139】
また、位置正否判定部222は、アンテナ600の現在位置がクレーン位置要求精度を満足する位置でないと判定した場合(すなわち、図3-1のステップS306またはS307でNOの場合)、アンテナ600の位置がクレーン位置要求精度を満足する位置でないと判定することが所定時間継続しているか否かを判定する。受信機210(位置算出部212)で算出されたアンテナ600の位置がクレーン位置要求精度を満足する位置でない期間が長い場合には、以下に示す位置推定部228による補正の精度が低くなる虞がある。当該所定時間は、このような観点から予め設定される。また、当該所定時間に代えて所定回数を判定条件として用いても良い。
【0140】
<<位置推定部228>>
位置推定部228は、位置算出部212で過去に算出されたアンテナ600の位置のうち、位置正否判定部222によりクレーン位置要求精度を満足する位置であると判定された位置と、トロリ123(アンテナ600)の移動距離に応じて変化する値を検知するセンサの検知情報と、を用いて、アンテナ600の現在位置を推定する。本実施形態では、位置正否判定部222によりアンテナ600の位置がクレーン位置要求精度を満足する位置でないと判定されたことが所定時間継続している場合に、アンテナ600の現在位置を推定する場合を例示する。その際、本実施形態では、現在時刻に最も近いタイミングで位置正否判定部222によりクレーン位置要求精度を満足する位置であると判定された位置を用いて、アンテナ600の現在位置を推定する場合を例示する。なお、アンテナ600の現在位置は、アンテナ600の現在時刻における位置であり、現在時刻は、例えば、位置推定部228がアンテナ600の現在位置の推定のための計算を開始する時刻である。
【0141】
本実施形態の<<位置正否判定部222>>の欄で説明したように、位置正否判定部222は、アンテナ600の現在位置がクレーン位置要求精度を満足する位置である場合、当該アンテナ600の現在位置を示す情報をアンテナ600の既測位情報として記憶する。位置推定部228は、このようにして位置正否判定部222により記憶されている既測位情報のうちの最新の情報をアンテナ600の直近測位情報として読み出す。
【0142】
そして、位置推定部228は、アンテナ600の直近測位情報が得られたタイミングから現在時刻までの時間におけるクレーン120の移動距離として、x軸方向(走行方向)の移動距離と、y軸方向(横行方向)の移動距離と、をセンサ700の検知情報に基づいてそれぞれ算出する。なお、x軸方向(走行方向)の移動距離、y軸方向(横行方向)の移動距離は、それぞれ、図1Aおよび図1Bに示すx軸、y軸の正の方向にクレーン120が移動する場合に正の値を示し、負の方向にクレーン120が移動する場合に負の値を示すものとする。
【0143】
そして、位置推定部228は、アンテナ600の直近測位情報から特定されるx軸方向の位置に、当該アンテナ600の直近測位情報と共に記憶されている時刻から現在時刻までの時間におけるx軸方向の移動距離を加算した位置を、アンテナ600のx軸方向における現在位置として算出し直す。また、位置推定部228は、アンテナ600の直近測位情報から特定されるy軸方向の位置に、当該アンテナ600の直近測位情報と共に記憶されている時刻から現在時刻までの時間におけるy軸方向の移動距離を加算した位置を、アンテナ600のy軸方向における現在位置として算出し直す。本実施形態では、位置推定部228が、以上のようにして位置正否判定部222によりクレーン位置要求精度を満足する位置であると判定されたアンテナ600の位置と、トロリ123(アンテナ600)の移動距離に応じて変化する値を検知するセンサの検知情報とを用いて、アンテナ600の現在位置を推定する場合を例示する。そして、位置推定部228は、推定したアンテナ600の現在位置を示す情報をアンテナ600の既測位情報として、当該推定したタイミング(時刻)と共に記憶する。
【0144】
ここで、位置正否判定部222から読み出した情報(既測位情報のうちの最新の情報)と共に記憶されている時刻よりも、当該情報を読み出した時点で位置推定部228が既に記憶している既測位情報と共に記憶している時刻が後の時刻である場合、現在時刻に最も近いタイミングで位置正否判定部222によりクレーン位置要求精度を満足する位置であると判定されたアンテナ600の位置よりも、位置推定部228により既に補正されたアンテナ600の位置の方が、後の時刻で得られている。そこで、このような場合、位置推定部228は、位置正否判定部222から読み出した情報(既測位情報のうちの最新の情報)を用いずに、位置推定部228が記憶している既測位情報のうちの最新の情報をアンテナ600の直近測位情報として用いて、本欄で既に述べたようにしてアンテナ600の現在位置を算出し直す。ただし、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、位置推定部228は、このような場合でも、位置正否判定部222から読み出した情報(既測位情報のうちの最新の情報)をアンテナ600の直近測位情報として用いても良い。
【0145】
また、位置正否判定部222によりアンテナ600の位置がクレーン位置要求精度を満足する位置でないと判定されたことが所定時間継続している場合には、位置推定部228によるアンテナ600の現在位置の推定は行われない。第1実施形態では、表示部226は、位置正否判定部222によりアンテナ600の現在位置がクレーン位置要求精度を満足する位置であると判定されなかった場合に、測位結果NG情報を表示装置に表示させる。これに対し、本実施形態では、表示部226は、位置正否判定部222によりアンテナ600の位置がクレーン位置要求精度を満足する位置でないと判定されたことが所定時間継続している場合に、測位結果NG情報を表示装置に表示させる。なお、図4の位置正否判定部222から表示部226に向かう矢印線の傍らに表示している「否継続」はこのことを示す。
【0146】
<フローチャート>
次に、図5のフローチャートを参照しながら、本実施形態のクレーン制御システム200およびヤードプロコン400を用いて行われる情報処理方法の一例を説明する。ここでは図5のフローチャートが、所定の周期(例えば1秒周期)で繰り返し実行される場合を例示する。
【0147】
図5に示すように、図5のフローチャートは、図3のフローチャートにおいて、ステップS306およびS307でNOと判定された場合(ステップS305で取得されたアンテナ600の測位情報から特定されるアンテナ600の現在位置がクレーン位置要求精度を満足する位置でないと判定された場合)に、ステップS501~S505が行われる。
【0148】
ステップS501において、位置正否判定部222は、アンテナ600の位置がクレーン位置要求精度を満足する位置でないと判定することが所定時間継続しているか否かを判定する。この判定の結果、アンテナ600の位置がクレーン位置要求精度を満足する位置でないと判定することが所定時間継続している場合(ステップS501でYESの場合)、ステップS310の処理が実行される。
【0149】
一方、アンテナ600の位置がクレーン位置要求精度を満足する位置でないと判定することが所定時間継続していない場合(ステップS501でNOの場合)、ステップS502の処理が行われる。ステップS502において、位置推定部228は、位置正否判定部222により記憶されている既測位情報のうちの最新の情報を読み出す。なお、ここで読み出される情報は、第1実施形態の図3-1のステップS308の説明において記憶するとしている既測位情報の中に含まれる。
【0150】
また、位置推定部228は、後述するステップS505で既測位情報を既に記憶している場合、当該ステップS505で既に記憶している既測位情報のうちの最新の情報と共に記憶している時刻が、位置正否判定部222から読み出した情報(既測位情報のうちの最新の情報)と共に記憶されている時刻よりも後の時刻であるか否かを判定する。
【0151】
この判定の結果、ステップS505で既に記憶している既測位情報のうちの最新の情報と共に記憶している時刻が、位置正否判定部222から読み出した情報(既測位情報のうちの最新の情報)と共に記憶されている時刻よりも後の時刻である場合、位置推定部228は、位置正否判定部222から読み出した情報(既測位情報のうちの最新の情報)ではなく、ステップS505で既に記憶している既測位情報のうちの最新の情報をアンテナ600の直近測位情報とする。
【0152】
一方、位置推定部228は、ステップS505で既に記憶している既測位情報のうちの最新の情報と共に記憶している時刻が、位置正否判定部222から読み出した情報(既測位情報のうちの最新の情報)と共に記憶されている時刻よりも後の時刻でない場合、位置推定部228は、位置正否判定部222から読み出した情報(既測位情報のうちの最新の情報)をアンテナ600の直近測位情報とする。
【0153】
次に、ステップS503において、取得部221は、センサ700の検知情報を取得する。
次に、ステップS504において、位置推定部228は、ステップS503で取得されたセンサ700の検知情報に基づいて、アンテナ600の直近測位情報と共に記憶されている時刻から現在時刻までの時間におけるクレーン120の移動距離として、x軸方向(走行方向)の移動距離と、y軸方向(横行方向)の移動距離と、をそれぞれ算出する。
【0154】
次に、ステップS505において、位置推定部228は、ステップS502で読み出したアンテナ600の直近測位情報と、ステップS504で算出したクレーン120の移動距離と、に基づいて、アンテナ600の現在位置を算出し直し、当該アンテナ600の現在位置を示す測位情報を再生成する。ステップS508の処理が終了すると、ステップS308の処理が行われる。この場合、ステップS308において、位置正否判定部222は、ステップS505で算出し直されたアンテナ600の現在位置がクレーン位置要求精度を満足する位置であるとし、ステップS505で生成された測位情報を既測位情報として記憶する。また、表示部226は、ステップS505で生成されたアンテナ600の測位情報を表示する。
【0155】
なお、ステップS308の第1オペ操作処理は、図3-2のフローチャートにより実行され、ステップS311の第2オペ操作処理は、図3-3のフローチャートにより実行される。
【0156】
<まとめ>
以上のように本実施形態では、クレーン制御システム200は、アンテナ600からの搬送波に基づいて算出したクレーン120の位置(アンテナ600の現在位置)がクレーン位置要求精度を満足する位置でない場合、過去に算出したクレーン120の位置(アンテナ600の現在位置)のうち、クレーン位置要求精度を満足する位置であると判定した位置と、クレーン120(アンテナ600)のx軸方向およびy軸方向の移動距離に応じて変化する値を検知するセンサ700の検知情報と、を用いて、クレーン120の現在位置を推定する。したがって、アンテナ600からの搬送波に基づいてクレーン120の位置としてクレーン位置要求精度を満足する位置を算出することが出来ない場合でも、クレーン120の位置を算出することが出来る。
【0157】
<変形例>
本実施形態では、センサ700の検知情報を用いてアンテナ600の現在位置を推定する場合を例示した。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、クレーン120の移動速度の時間変化が既知である場合(例えば、一定速度である場合)には、過去に算出したクレーン120の位置のうち、クレーン位置要求精度を満足する位置であると判定したタイミングからの経過時間と、クレーン120の移動速度の時間変化を示す情報と、を用いて、アンテナ600の現在位置を推定しても良い。
【0158】
また、例えば、車輪126a~126b、127a~127bの直径が時間の経過と共に小さくなる場合がある。そこで、第1パルスジェネレータおよび第2パルスジェネレータから発生するパルス信号の数に乗算される補正係数を用いて、第1パルスジェネレータから発生するパルス信号の数(すなわち、車輪126a~126bの回転回数)と、第2パルスジェネレータから発生するパルス信号の数(すなわち、車輪127a~127bの回転回数)と、を補正しても良い。補正係数は、例えば、以下のようにして算出される。
【0159】
位置正否判定部222によりアンテナ600の現在位置がクレーン位置要求精度を満足する位置であると判定されている期間における位置算出部212でのアンテナ600の位置の算出結果に基づいて、当該期間におけるアンテナ600の第1移動距離を算出する。また、当該期間において第1パルスジェネレータおよび第2パルスジェネレータから発生するパルス信号の数と、車輪126a~126b、127a~127bの直径と、に基づいて、当該期間におけるアンテナ600の第2移動距離を算出する。そして、当該期間におけるアンテナ600の第2移動距離が、当該期間におけるアンテナ600の第1移動距離に一致するように、当該期間において第1パルスジェネレータおよび第2パルスジェネレータから発生したパルス信号の数に乗算する補正係数を算出する。
【0160】
また、本実施形態でも、第1実施形態で説明した種々の変形例を採用しても良い。
【0161】
(その他の実施形態)
なお、以上説明した本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することが出来る。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び前記プログラム等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することが出来る。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることが出来る。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することが出来る。
【0162】
なお、以上の実施形態の開示は、例えば以下のようになる。
(開示1)
移動体の位置を算出するための処理を行う情報処理装置であって、
測位衛星から送信された信号に基づく前記移動体の位置に関する測位情報と、前記移動体の高さ方向の位置として想定される位置に関する想定高さ位置情報と、を取得する取得部と、
前記測位情報から特定される前記移動体の前記高さ方向の位置と、前記想定高さ位置情報と、に基づいて、前記測位情報が、要求精度を満足するか否かを判定する位置正否判定部と、を備える、情報処理装置。
(開示2)
前記位置正否判定部は、前記高さ方向の位置が、高さ方向の位置に関する条件であって、前記想定高さ位置情報に基づいて定められる条件である高さ位置判定条件を満たさない場合に、前記測位情報が、前記要求精度を満足しないと判定する、開示1に記載の情報処理装置。
(開示3)
前記位置正否判定部は、前記測位情報から特定される前記移動体の前記高さ方向の位置が、位置の算出結果の信頼性に関する条件である位置信頼性判定条件を満たすか否かをさらに判定し、
前記高さ方向の位置が、前記高さ位置判定条件を満たさない場合、または、前記高さ方向の位置が、前記位置信頼性判定条件を満たさない場合に、前記測位情報が、前記要求精度を満足しないと判定する、開示2に記載の情報処理装置。
(開示4)
前記測位情報が前記要求精度を満足しないことが前記位置正否判定部により判定された場合、前記取得部で過去に取得された前記測位情報により特定される前記移動体の位置のうち、前記要求精度を満足することが前記位置正否判定部により判定された前記高さ方向の位置を含む位置と、前記移動体の移動距離に応じて変化する値を検知するセンサの検知情報とを用いて、前記移動体の現在位置を推定する位置推定部を備える、開示1~3のいずれか1つに記載の情報処理装置。
(開示5)
オペレータによる前記情報処理装置に対する操作の内容を示す情報を受け付ける操作受付部を備え、
前記操作受付部は、前記高さ方向の位置が前記要求精度を満足することが前記位置正否判定部により判定された場合と、そうでない場合とで、受け付ける情報を異ならせる、開示1~4のいずれか1つに記載の情報処理装置。
(開示6)
前記操作受付部は、前記測位情報が前記要求精度を満足しないことが前記位置正否判定部により判定された場合、前記移動体の位置の管理のためにオペレータにより前記情報処理装置に対して行われる所定の操作の内容を示す情報を受け付けない、開示5に記載の情報処理装置。
(開示7)
前記操作受付部は、前記測位情報が前記要求精度を満足しないことが前記位置正否判定部により判定された場合、オペレータにより前記情報処理装置に対して行われる操作の内容を示す情報として前記移動体の位置に関する情報を受け付ける、開示5に記載の情報処理装置。
(開示8)
前記測位情報が前記要求精度を満足することが前記位置正否判定部により判定された場合、当該測位情報から特定される前記移動体の位置に関する情報を表示装置に表示させる表示部を備える、開示1~7のいずれか1つに記載の情報処理装置。
(開示9)
前記測位情報が前記要求精度を満足しないことが前記位置正否判定部により判定された場合、前記測位情報が前記要求精度を満足しないことを示す情報を表示装置に表示させる表示部を備える、開示1~8のいずれか1つに記載の情報処理装置。
(開示10)
移動体の位置を算出するための処理を行う情報処理方法であって、
測位衛星から送信された信号に基づく前記移動体の位置に関する測位情報と、前記移動体の高さ方向の位置として想定される位置に関する想定高さ位置情報と、を取得する取得工程と、
前記測位情報から特定される前記移動体の前記高さ方向の位置と、前記想定高さ位置情報と、に基づいて、前記測位情報が、要求精度を満足するか否かを判定する位置正否判定工程と、を備える、情報処理方法。
(開示11)
開示1~9のいずれか1つに記載の情報処理装置の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0163】
100 スラブヤード
110 置場
120 クレーン
121 クレーンガーダ
122a~122b サドル
123 トロリ
124 運転室
125a~125b 横行レール
126a~126b サドルに備わる車輪
127a~127b トロリに備わる車輪
128 吊具
128a 索条
128b 保持具
130 地面
140a~140b 支柱
150a~150b ランウェイ
151a~151b 走行レール
200 クレーン制御システム
210 受信機
211 取得部
212 位置算出部
213 出力部
220 クレーン制御装置
221 取得部
222 位置正否判定部
223 位置変換部
224 操作受付部
225 動作指定情報出力部
226 表示部
227 操業情報出力部
228 位置推定部
300 基地局
400 ヤードプロコン
410 取得部
420 搬送物管理部
430 出力部
500a~500d 測位衛星
600 アンテナ
700 センサ
M スラブ
図1A
図1B
図2
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図4
図5