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特開2024-1125IL-17アンタゴニストを用いて初発プラーク型乾癬を治療する方法
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  • 特開-IL-17アンタゴニストを用いて初発プラーク型乾癬を治療する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001125
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】IL-17アンタゴニストを用いて初発プラーク型乾癬を治療する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20231226BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20231226BHJP
   C07K 16/24 20060101ALN20231226BHJP
   C07K 16/46 20060101ALN20231226BHJP
【FI】
A61K39/395 U ZNA
A61P17/06
C07K16/24
C07K16/46
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023172063
(22)【出願日】2023-10-03
(62)【分割の表示】P 2022100449の分割
【原出願日】2017-07-18
(31)【優先権主張番号】62/364,007
(32)【優先日】2016-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504389991
【氏名又は名称】ノバルティス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ファッシュ,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】オリバー,ジェイミー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】皮膚症状の管理を改善し得、かつ疾患経過および関連負荷を改変し得る、完全排除を目標とした乾癬治療経路の早期に行われる患者中心の治療法を提供する。
【解決手段】本開示は、IL-17アンタゴニスト、たとえばセクキヌマブを用いて初発プラーク型乾癬患者を治療し、かつこうした患者における構造的損傷の進行を阻害するための方法に関する。また、本明細書では、初発プラーク型乾癬患者を治療するためのIL-17アンタゴニスト、たとえばセクキヌマブなどのIL-17抗体の使用、ならびに開示された使用および方法で使用される医薬、投与レジメン、医薬製剤、剤形およびキットが開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中度~重度の初発プラーク型乾癬を有する患者を治療する方法であって、0、1、2お
よび3週に皮下注射により、続いて4週から始めて毎月1回の投与により、約150mg
または約300mgのセクキヌマブを前記患者に投与することを含む方法。
【請求項2】
前記患者は、生物剤ナイーブである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
0、1、2および3週に皮下注射により、続いて4週から始めて毎月1回の投与により
、約300mgのセクキヌマブを前記患者に投与することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項4】
中度~重度の初発プラーク型乾癬を有する患者の病変皮膚の組織常在メモリー細胞の数
を低減する方法であって、0、1、2および3週に皮下注射により、続いて4週から始め
て毎月1回の投与により、約150mgまたは約300mgのセクキヌマブを前記患者に
投与することを含み、前記患者は、生物剤ナイーブである、方法。
【請求項5】
初発プラーク型乾癬を有する患者を治療する方法であって、治療有効量のIL-17抗
体またはその抗原結合フラグメントを、それを必要とする患者に投与することを含み、前
記IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントは、2つの成熟ヒトIL-17タンパ
ク質鎖を有するIL-17ホモダイマーのエピトープに結合し、前記エピトープは、一方
の鎖にLeu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、
Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129、かつ他方の
鎖にTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含み、前記IL-
17抗体またはその抗原結合フラグメントは、約100~200pMのKを有し、前記
IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントは、約4週間のインビボ半減期を有する
、方法。
【請求項6】
初発プラーク型乾癬を有する患者の皮膚で乾癬疾患慢性性を引き起こす免疫機序をモジ
ュレートする方法であって、治療有効量のIL-17抗体またはその抗原結合フラグメン
トを、それを必要とする患者に投与することを含み、前記IL-17抗体またはその抗原
結合フラグメントは、2つの成熟ヒトIL-17タンパク質鎖を有するIL-17ホモダ
イマーのエピトープに結合し、前記エピトープは、一方の鎖にLeu74、Tyr85、
His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、I
le127、Val128、His129、かつ他方の鎖にTyr43、Tyr44、A
rg46、Ala79、Asp80を含み、前記IL-17抗体またはその抗原結合フラ
グメントは、約100~200pMのKを有し、前記IL-17抗体またはその抗原結
合フラグメントは、約4週間のインビボ半減期を有する、方法。
【請求項7】
前記患者は、中度~重度の初発プラーク型乾癬を有する、請求項5または6に記載の方
法。
【請求項8】
前記患者は、以前に乾癬の全身治療で治療されていない、請求項5~7のいずれか一項
に記載の方法。
【請求項9】
前記患者は、生物剤ナイーブである、請求項5~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記患者は、以前に乾癬の光線療法で治療されていない、請求項5~9のいずれか一項
に記載の方法。
【請求項11】
0、1、2および3週に皮下注射により、続いて4週から始めて毎月1回の投与により
、約150mg~約300mgの前記IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントを
前記患者に投与することを含む、請求項5~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
0、1、2および3週に皮下注射により、続いて4週から始めて毎月1回の投与により
、約150mgの前記IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントを前記患者に投与
することを含む、請求項5~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
0、1、2および3週に皮下注射により、続いて4週から始めて毎月1回の投与により
、約300mgの前記IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントを前記患者に投与
することを含む、請求項5~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントは、
i)配列番号8として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(V
)、
ii)配列番号10として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン
(V)、
iii)配列番号8として示される前記アミノ酸配列を含む免疫グロブリンVドメイン
および配列番号10として示される前記アミノ酸配列を含む免疫グロブリンVドメイン

iv)配列番号1、配列番号2および配列番号3として示される超可変領域を含む免疫グ
ロブリンVドメイン、
v)配列番号4、配列番号5および配列番号6として示される超可変領域を含む免疫グロ
ブリンVドメイン、
vi)配列番号11、配列番号12および配列番号13として示される超可変領域を含む
免疫グロブリンVドメイン、
vii)配列番号1、配列番号2および配列番号3として示される前記超可変領域を含む
免疫グロブリンVドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5および配列番号6として
示される前記超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン、
viii)配列番号11、配列番号12および配列番号13として示される前記超可変領
域を含む免疫グロブリンVドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5および配列番号
6として示される前記超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン、
ix)配列番号14として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖、
x)配列番号15として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖、または
xi)配列番号14として示される前記アミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖および配
列番号15として示される前記アミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖
を含む、請求項5~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト抗体またはヒト化抗体で
ある、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントは、セクキヌマブである、請求項
15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2016年7月19日出願の米国仮特許出願第62/346,007号明細
書(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に対する優先権を主張する。
【0002】
本開示は、IL-17アンタゴニスト、たとえばセクキヌマブを用いて初発プラーク型
乾癬患者を治療し、かつこれらの患者における乾癬疾患進行を阻害するための方法に関す
る。
【背景技術】
【0003】
乾癬は、特に程度が中度または重度の場合、患者の生命に大きい影響を及ぼし得る免疫
媒介炎症性疾患である。最初の数年間にわたる乾癬の治療は、典型的には控えめであり、
多くの場合、病変を完全に排除することがほとんどない外用剤に基づく。生物剤をはじめ
とする全身剤による治療は、中度~重度の疾患を有する患者でも、外用剤、光線療法およ
び従来の全身治療が不適正であることが判明した場合にのみ開始されることが多い。(M
aza et al(2012)Br J Dermatol;167(3):643-
8.)。
【0004】
乾癬皮膚病変は、密性炎症細胞浸潤、大量増殖、表皮分化障害、新血管形成およびリン
パ系構造変化を特徴とする「多彩」な障害である。慢性乾癬の有効療法を用いると、表皮
厚さの消散、炎症細胞数の低減および以前罹患した皮膚から臨床上正常な状態への回復が
起こる。しかしながら、療法を中断すると、乾癬皮膚病変は、通常、以前罹患した同一部
位に再発する傾向があるが、ときに新しい部位に出現することもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、皮膚症状の管理を改善し得、かつ疾患経過および関連負荷を改変し得る、
完全排除を目標とした乾癬治療経路の早期に行われる患者中心の治療法(早期介入)の必
要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
慢性乾癬の有効療法後、乾癬皮膚にサブクリニカル炎症が継続し得、治療を中止すると
、たとえば「休薬期間」中またはその後、クリニカル状態になり得る。この現象の可能な
説明は、皮膚のウイルス感染(たとえば、単純ヘルペスウイルス感染)に対する組織局在
免疫記憶に寄与することが証明されている、組織常在メモリーT細胞(Trm)と呼ばれ
るT細胞サブセットの同定に見出され得る。このT細胞サブタイプは、免疫媒介炎症性障
害または自己反応性障害の慢性性を生じさせるキープレーヤーであり得る。(Clark
,R.(2015)Sci Transl Med;7(269):269rv1)。
【0007】
新たに発表された研究では、生物学的療法による治療時の病変消散後に皮膚に残留する
Trm細胞が乾癬患者の病変皮膚に同定されている(Cheuk et al(2014
)J Immunol;192(7):3111-20)。こうした細胞が皮膚に存在す
ることから、疾患の慢性性および同一解剖学的位置での再発の繰返しを説明し得る。Ch
euk et al(2014)には、乾癬プラークのTrm細胞が活性化時にインター
ロイキン(IL)-17AおよびIL-22を産生することも示された。このことから、
主要なエフェクターサイトカインとしてIL-17Aを有するTh17細胞が乾癬のTr
m細胞であるという見解が支持される。T細胞からのIL-17Aが角化細胞に及ぼす直
接的病原作用に加えて、IL-17Aは、顆粒球および肥満細胞によっても放出され、よ
り多くの免疫細胞を標的器官に早期誘引するうえで重要な役割を果たす。したがって、疾
患発生後の早期のIL-17Aの阻害は、広範な慢性炎症の確立前に免疫系を妨害する新
規かつ重要な治療法である。これは、Th17をはじめとする炎症細胞が皮膚にリクルー
トされることを早期にブロックすることにより、さらにはTrm細胞の主要なエフェクタ
ー機能をブロックすることにより達成されるであろう。
【0008】
セクキヌマブは、全身治療を必要とする患者において乾癬の治療が承認された最初のI
L-17A阻害剤である。セクキヌマブなどのIL-17アンタゴニストによる乾癬患者
の早期治療は、初発の中度~重度の乾癬では、炎症細胞のリクルートメントをブロックし
、かつT細胞サブセットにより産生されたIL-17Aの作用をアンタゴナイズすること
が期待される。期待される臨床アウトカムは、新しい解剖学的位置への乾癬(Trm細胞
)の広がりを妨害することにより、または新しい病変の繰返しを最終的に完全に妨害する
ことにより、すなわち疾患活動性の誘発を最小限または完全に抑えることにより、疾患の
自然経過をよりマイルドな状態に変化させることである。
【0009】
したがって、本明細書では、初発プラーク型乾癬を有する患者を治療する方法であって
、治療有効量のIL-17アンタゴニストを、それを必要とする患者に投与することを含
む方法が開示される。
【0010】
加えて、本明細書では、IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントを、それを必
要とする患者に投与することを含む、初発プラーク型乾癬を有する患者の皮膚の組織常在
メモリーT細胞の数を減少させる方法、初発プラーク型乾癬を有する患者の皮膚でIL-
17および/もしくはIL-22を産生するサブセットエフェクターT細胞の数を減少さ
せる方法、初発プラーク型乾癬を有する患者の皮膚の調節性T細胞の数を減少させる方法
、初発プラーク型乾癬を有する患者の皮膚の真皮樹状細胞-T細胞アグリゲートの数を減
少させる方法、初発プラーク型乾癬を有する患者の皮膚の乾癬疾患慢性性の原因となる免
疫機序をモジュレートする方法、初発プラーク型乾癬を有する患者において乾癬疾患進行
を遅らせる方法、初発プラーク型乾癬を有する患者において乾癬フレアの重症度を減少さ
せる方法、初発プラーク型乾癬を有する患者において乾癬フレアの頻度を減少させる方法
、ならびに/または初発プラーク型乾癬を有する患者において乾癬フレアを予防する方法
、さらにはそうしたことに使用されるIL-17アンタゴニストが開示される。
【0011】
開示された使用、方法およびキットのいくつかの実施形態では、IL-17アンタゴニ
ストは、IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントである。開示された使用、方法
およびキットのいくつかの実施形態では、IL-17抗体またはその抗原結合フラグメン
トは、a)Leu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val12
4、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129を含むヒ
トIL-17のエピトープに結合するIL-17抗体またはその抗原結合フラグメント、
b)Tyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含むヒトIL-1
7のエピトープに結合するIL-17抗体またはその抗原結合フラグメント、c)2つの
成熟ヒトIL-17タンパク質鎖を有するIL-17ホモダイマーのエピトープに結合す
るIL-17抗体またはその抗原結合フラグメント(ただし、前記エピトープは、一方の
鎖にLeu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、T
hr125、Pro126、Ile127、Val128、His129、かつ他方の鎖
にTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含む)、d)2つの
成熟ヒトIL-17タンパク質鎖を有するIL-17ホモダイマーのエピトープに結合す
るIL-17抗体またはその抗原結合フラグメント(ただし、前記エピトープは、一方の
鎖にLeu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、T
hr125、Pro126、Ile127、Val128、His129、かつ他方の鎖
にTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含み、IL-17抗
体またはその抗原結合フラグメントは、約100~200pMのKを有するとともに、
IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントは、約23~約35日間のインビボ半減
期を有する)およびe)i)配列番号8として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリ
ン重鎖可変ドメイン(V)、ii)配列番号10として示されるアミノ酸配列を含む免
疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(V)、iii)配列番号8として示されるアミノ酸配
列を含む免疫グロブリンVドメインおよび配列番号10として示されるアミノ酸配列を
含む免疫グロブリンVドメイン、iv)配列番号1、配列番号2および配列番号3とし
て示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン、v)配列番号4、配列番号5
および配列番号6として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン、vi)
配列番号11、配列番号12および配列番号13として示される超可変領域を含む免疫グ
ロブリンVドメイン、vii)配列番号1、配列番号2および配列番号3として示され
る超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5およ
び配列番号6として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン、viii)
配列番号11、配列番号12および配列番号13として示される超可変領域を含む免疫グ
ロブリンVドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5および配列番号6として示され
る超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン、ix)配列番号14として示されるア
ミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖、x)配列番号15として示されるアミノ酸配列を
含む免疫グロブリン重鎖、またはxi)配列番号14として示されるアミノ酸配列を含む
免疫グロブリン軽鎖および配列番号15として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリ
ン重鎖を含む、IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントからなる群から選択され
る。開示された使用、方法およびキットのいくつかの実施形態では、IL-17抗体また
はその抗原結合フラグメントは、ヒト抗体またはヒト化抗体である。開示された使用、方
法およびキットのいくつかの実施形態では、IL-17抗体またはその抗原結合フラグメ
ントは、セクキヌマブである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】-3、0、4、7および11日目に100mg/kgの抗IL-17Abをi.p.投与した治療では、皮膚腫脹AUC[0~14日間]が22.94±12.25%阻害された。
図2】-3日目にのみ100mg/kgの抗IL-17Abをs.c.投与した治療では、耳介腫脹AUC[0~10日間]が25.50±2.28%阻害された。p<0.05(対応のないt検定)。
図3】-1日目にのみ30mg/kgの抗IL-17Abをi.p.投与した治療では、耳介腫脹AUC[0~8日間]が38.57±3.98%阻害された。***p<0.001(対応のあるt検定)。
図4】CAIN457A2322試験設計である。
図5】疾患継続期間52週におけるPASI75、PASI90、PASI100および2011年修正IGA反応0または1のパーセント(ノンレスポンダーインピュテーション)を示す(全分析セット)。臨床試験:CAIN457A2302およびCAIN457A2303、治療:セクキヌマブ150mg。
図6】疾患継続期間52週におけるPASI75、PASI90、PASI100および2011年修正IGA反応0または1のパーセント(ノンレスポンダーインピュテーション)を示す(全分析セット)。臨床試験:CAIN457A2302およびCAIN457A2303、治療:セクキヌマブ300mg。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書で用いられる場合、IL-17は、インターロイキン17A(IL-17A)
を意味する。
【0014】
「含む」という用語は、「包含する」および「からなる」を包含する。たとえば、Xを
「含む」組成物は、排他的にXからなり得るか、または何らかの追加されるものを含み得
る(たとえば、X+Y)。
【0015】
数値xに関連する「約」という用語は、たとえば、±10%を意味する。数値範囲また
は数値リストの前で用いられる場合、「約」という用語は、各数値に順次適用され、たと
えば「約1~5」という語句は、「約1~約5」と解釈すべきであり、またはたとえば「
約1、2、3、4」という語句は、「約1、約2、約3、約4など」と解釈すべきである
【0016】
「実質的に」という単語は、「完全に」除外するとは限らず、たとえば、Yが「実質的
にフリー」の組成物は、Yが完全にフリーであり得る。必要に応じて、「実質的に」とい
う単語は、本開示の定義から省略され得る。
【0017】
本明細書で参照される「抗体」という用語は、天然に存在する全抗体を含む。天然に存
在する「抗体」は、ジスルフィド結合により相互結合された少なくとも2つの重(H)鎖
と2つの軽(L)鎖とを含む糖タンパク質である。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書で
はVと略記される)と重鎖定常領域とで構成される。重鎖定常領域は、3つのドメイン
、すなわちCH1、CH2およびCH3で構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細
書ではVと略記される)と軽鎖定常領域とで構成される。軽鎖定常領域は、1つのドメ
インCLで構成される。VおよびVの領域は、フレームワーク領域(FR)と称され
るより保存された領域が介在する超可変領域または相補性決定領域(CDR)と称される
超可変性の領域にさらに細分可能である。各VおよびVは、アミノ末端からカルボキ
シ末端へ次の順序で配置された3つのCDRおよび4つのFR、すなわちFR1、CDR
1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で構成される。重鎖および軽鎖の可変
領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。抗体の定常領域は、免疫系の各種
細胞(たとえば、エフェクター細胞)および古典補体系の第1成分(C1q)をはじめと
する宿主組織または因子への免疫グロブリンの結合を媒介し得る。例示的な抗体としては
、セクキヌマブ(表1)、抗体XAB4(米国特許第9,193,788号明細書)およ
びイキセキズマブ(米国特許第7,838,638号明細書)(それらの開示は、その全
体が参照により本明細書に組み込まれる)が挙げられる。
【0018】
本明細書で用いられる抗体の「抗原結合フラグメント」という用語は、抗原(たとえば
、IL-17)に特異的に結合する能力を保持する抗体フラグメントを意味する。抗体の
抗原結合機能は、全長抗体のフラグメントにより発揮し得ることが示されている。抗体の
「抗原結合部分」という用語に包含される結合フラグメントの例としては、Fabフラグ
メント、V、V、CLおよびCH1ドメインからなる1価フラグメント、ヒンジ領域
でジスルフィド架橋により結合された2つのFabフラグメントを含む2価フラグメント
であるF(ab)2フラグメント、VドメインとCH1ドメインとからなるFdフラグ
メント、抗体の単一アームのVドメインおよびVドメインからなるFvフラグメント
、VドメインからなるdAbフラグメント(Ward et al.,1989 Na
ture 341:544-546)ならびに単離されたCDRが挙げられる。例示的な
抗原結合フラグメントとしては、配列番号1~6および11~13(表1)に示されるセ
クキヌマブのCDR、好ましくは重鎖CDR3が挙げられる。さらに、Fvフラグメント
の2つのドメインVおよびVは、個別遺伝子によりコードされるが、それらは、V
領域とV領域とがペアになって1価分子を形成する単一タンパク質鎖として作製できる
ようにする合成リンカーにより組換え法を用いて連結可能である(一本鎖Fv(scFv
)として知られる。たとえば、Bird et al..,1988 Science
242:423-426およびHuston et al.,1988 Proc.Na
tl.Acad.Sci.85:5879-5883を参照されたい)。かかる一本鎖抗
体も「抗体」という用語に包含されることが意図される。一本鎖抗体および抗原結合部分
は、当業者に公知の従来技術を用いて得られる。
【0019】
本明細書で用いられる「単離された抗体」は、異なる抗原特異性を有する他の抗体が実
質的にフリーである抗体を意味する(たとえば、IL-17に特異的に結合する単離され
た抗体は、IL-17以外の抗原に特異的に結合する抗体が実質的にフリーである)。本
明細書で用いられる「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」という
用語は、単分子組成の抗体分子の調製物を意味する。本明細書で用いられる「ヒト抗体」
という用語は、フレームワーク領域およびCDR領域の両方がヒト起源の配列に由来する
可変領域を有する抗体を含むことが意図される。「ヒト抗体」は、ヒト、ヒト組織または
ヒト細胞により産生される必要はない。本開示のヒト抗体は、ヒト配列によりコードされ
ないアミノ酸残基を含み得る(たとえば、インビトロでランダムもしくは部位特異的な突
然変異誘発により、抗体遺伝子の組換え時にインビボで接合部へのN-ヌクレオチド付加
により、またはインビボで体細胞突然変異により導入された突然変異)。開示されたプロ
セスおよび組成物のいくつかの実施形態では、IL-17抗体は、ヒト抗体、単離された
抗体および/またはモノクローナル抗体である。
【0020】
「IL-17」という用語は、以前はCTLA8として知られていたIL-17Aを意
味し、さまざまな種(たとえば、ヒト、マウスおよびサル)に由来する野生型IL-17
A、IL-17Aの多型変異体およびIL-17Aの機能的均等物を含む。本開示に係る
IL-17Aの機能的均等物は、好ましくは、野生型IL-17A(たとえば、ヒトIL
-17A)に対して少なくとも約65%、75%、85%、95%、96%、97%、9
8%、さらには99%の全配列同一性を有し、かつヒト真皮線維芽細胞によるIL-6産
生を誘発する能力を実質的に保持する。
【0021】
「K」という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の解離速度を意味することが意図さ
れる。本明細書で用いられる「K」という用語は、Kd対Kaの比(すなわちKd/K
a)から得られる解離定数を意味することが意図され、モル濃度(M)として表される。
抗体のK値は、当技術分野で十分に確立された方法を用いて決定可能である。抗体のK
を決定する好ましい方法は、表面プラズモン共鳴を用いるものまたはBiacore(
登録商標)システムなどのバイオセンサーシステムを用いるものである。いくつかの実施
形態では、IL-17抗体またはその抗原結合フラグメント、たとえばセクキヌマブは、
約100~250pMのKでヒトIL-17に結合する。
【0022】
「親和性」という用語は、単一抗原部位における抗体と抗原との間の相互作用の強度を
意味する。各抗原部位内において、抗体「アーム」の可変領域は、弱い非共有結合力を介
して多くの部位で抗原と相互作用し、相互作用が多くなるほど親和性が強くなる。さまざ
まな種のIL-17に対する抗体の結合親和性を評価する標準的アッセイ、たとえばEL
ISA、ウェスタンブロット、RIAなどが当技術分野で公知である。抗体の結合動態(
たとえば、結合親和性)も、当技術分野で公知の標準的アッセイ、たとえばBiacor
e分析により評価可能である。
【0023】
当技術分野で公知のおよび本明細書に記載の方法に従って決定されるこうしたIL-1
7の機能性(たとえば、生化学的、免疫化学的、細胞的、生理学的、生物学的な活性など
)の1つ以上を「阻害」する抗体は、抗体の不在下で見られるもの(または無関係の特異
性を有する対照抗体が存在するとき)と比べて特定の活性が統計的に有意に減少すること
に関係するものと理解されるであろう。IL-17の活性を阻害する抗体は、たとえば、
測定パラメーターの少なくとも約10%、少なくとも50%、80%または90%の統計
的に有意な減少に影響し、開示された方法および組成物の特定の実施形態では、使用され
るIL-17抗体は、IL-17の機能活性の95%超、98%超または99%超を阻害
し得る。
【0024】
本明細書で用いられる「IL-6阻害」は、IL-17抗体またはその抗原結合フラグ
メント(たとえば、セクキヌマブ)が初代ヒト真皮線維芽細胞からのIL-6産生を減少
させる能力を意味する。初代ヒト(真皮)線維芽細胞におけるIL-6の産生は、IL-
17に依存する(Hwang et al.,(2004)Arthritis Res
Ther;6:R120-128)。簡単に言えば、Fc部分を有する種々の濃度のI
L-17結合分子またはヒトIL-17レセプターの存在下でヒト真皮線維芽細胞を組換
えIL-17により刺激する。便宜上、キメラ抗CD25抗体Simulect(登録商
標)(バシリキシマブ)が陰性対照として使用され得る。16時間の刺激後、上清を採取
してELISAによりIL-6をアッセイする。以上のように試験したとき、すなわちヒ
ト真皮線維芽細胞においてhu-IL-17により誘発されるIL-6産生に関して前記
阻害活性を測定したとき、IL-17抗体またはその抗原結合フラグメント、たとえばセ
クキヌマブは、典型的には、IL-6産生の阻害に関して約50nM以下(たとえば、約
0.01~約50nM)のIC50を有する(1nMヒトIL-17の存在下において)
。開示された方法および組成物のいくつかの実施形態では、IL-17抗体またはその抗
原結合フラグメント、たとえばセクキヌマブおよびその機能性誘導体は、以上に定義され
たIL-6産生の阻害に関して約20nM以下、より好ましくは約10nM以下、より好
ましくは約5nM以下、より好ましくは約2nM以下、より好ましくは約1nM以下のI
50を有する。
【0025】
特に指定がない限り、「誘導体」という用語は、たとえば、特定された配列(たとえば
、可変ドメイン)の本開示に係るIL-17抗体またはその抗原結合フラグメント、たと
えばセクキヌマブのアミノ酸配列変異体および共有結合修飾体(たとえば、ペグ化体、脱
アミド化体、ヒドロキシル化体、リン酸化体、メチル化体など)を定義するために用いら
れる。「機能性誘導体」は、開示されたIL-17抗体と共通した定性的生物学的活性を
有する分子を含む。機能性誘導体は、本明細書に開示されたIL-17抗体のフラグメン
トおよびペプチドアナログを含む。フラグメントは、たとえば、特定された配列の本開示
に係るポリペプチドの配列内の領域を含む。本明細書に開示されたIL-17抗体の機能
性誘導体(たとえば、セクキヌマブの機能性誘導体)は、好ましくは、本明細書に開示さ
れたIL-17抗体およびその抗原結合フラグメントのVおよび/またはV配列(た
とえば、表1のVおよび/またはV配列)に対して少なくとも約65%、75%、8
5%、95%、96%、97%、98%、さらには99%の全配列同一性を有するV
よび/またはVドメインを含み、かつヒトIL-17に結合する能力を実質的に保持す
るか、またはたとえばIL-17により誘発されたヒト真皮線維芽細胞のIL-6産生を
阻害する。
【0026】
「実質的に同一」という語句は、関連するアミノ酸配列またはヌクレオチド配列(たと
えば、VまたはVドメイン)が特定の参照配列と同一であるか、またはそれと比較し
て実質的でない差(たとえば、保存アミノ酸置換によるもの)を有することを意味する。
実質的でない差としては、マイナーなアミノ酸変化、たとえば特定された領域(たとえば
、VまたはVドメイン)の5アミノ酸配列の1または2置換が挙げられる。抗体の場
合、第2の抗体は、同一の特異性を有するとともにその親和性の少なくとも50%を有す
る。本明細書に開示された配列と実質的に同一(たとえば、少なくとも約85%の配列同
一性)の配列も本出願の一部である。いくつかの実施形態では、誘導体IL-17抗体(
たとえば、セクキヌマブの誘導体、たとえばセクキヌマブのバイオシミラー抗体)の配列
同一性は、開示された配列と比べて約90%以上、たとえば90%、91%、92%、9
3%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを上回り得る。
【0027】
天然ポリペプチドおよびその機能性誘導体と対比した「同一性」は、本明細書では、配
列をアライメントして、必要に応じて最大の同一性パーセントを達成するようにギャップ
を導入した後、配列同一性の一部として保存的置換を何ら考慮することなく、対応する天
然ポリペプチドの残基と同一のアミノ酸残基が候補配列中に存在するパーセントとして定
義される。N末端またはC末端の伸長または挿入のいずれも同一性を低減すると解釈しな
いものとする。アライメントの方法およびコンピュータープログラムは、周知である。同
一性パーセントは、標準的アライメントアルゴリズム、たとえばAltshulらにより
記載された基本局所アライメント検索ツール(BLAST)((1990)J.Mol.
Biol.,215:403 410)、Needlemanらのアルゴリズム((19
70)J.Mol.Biol,48:444 453)またはMeyersらのアルゴリ
ズム((1988)Comput.Appl.Biosci.,4:11 17)により
決定可能である。パラメーターセットは、12のギャップペナルティー、4のギャップ伸
長ペナルティーおよび5のフレームシフトギャップペナルティーを用いたBlosum6
2スコア行列であり得る。2つのアミノ酸配列間またはヌクレオチド配列間の同一性パー
セントはまた、PAM120重み残基表、12のギャップ長ペナルティーおよび4のギャ
ップペナルティーを用いて、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれて
いるE.MeyersおよびW.Millerのアルゴリズム((1989)CABIO
S,4:11-17)により決定可能である。
【0028】
「アミノ酸」は、たとえば、天然に存在するすべてのL-α-アミノ酸を意味するととも
にD-アミノ酸を含む。「アミノ酸配列変異体」という語句は、本開示に係る配列と比較
してそのアミノ酸配列にいくらかの差を有する分子を意味する。たとえば、特定された配
列の本開示に係る抗体のアミノ酸配列変異体は、依然としてヒトIL-17に結合する能
力を有するか、またはたとえばIL-17により誘発されたヒト真皮線維芽細胞のIL-
6産生を阻害する。アミノ酸配列変異体としては、置換変異体(本開示に係るポリペプチ
ド中の少なくとも1つのアミノ酸残基が除去されてその代わりに異なるアミノ酸が同一位
置に挿入されたもの)、挿入変異体(本開示に係るポリペプチド中の特定の位置のアミノ
酸に直接隣接して1つ以上のアミノ酸が挿入されたもの)および欠失変異体(本開示に係
るポリペプチド中の1つ以上のアミノ酸が除去されたもの)が挙げられる。
【0029】
「薬学的に許容可能」という用語は、活性成分の生物学的活性の有効性を妨害しない非
毒性材料を意味する。
【0030】
化合物、たとえばIL-17結合分子または他の作用剤に関連する「投与する」という
用語は、任意の経路による患者へのその化合物の送達を意味するものとして用いられる。
【0031】
本明細書で用いられる場合、「治療上有効量」は、患者(たとえば、ヒト)への単回用
量投与時または複数回用量投与時、障害もしくは再発障害の治療、予防、発症予防、治癒
、遅延、重症度低下、少なくとも1つの症状の寛解またはかかる治療の不在下での予想を
超える患者の生存期間の延長に有効である、IL-17アンタゴニスト、たとえばIL-
17結合分子(たとえば、IL-17抗体もしくはその抗原結合フラグメント、たとえば
セクキヌマブ)またはIL-17レセプター結合分子(たとえば、IL-17抗体もしく
はその抗原結合フラグメント)の量を意味する。単独で投与される個別活性成分(たとえ
ば、セクキヌマブなどのIL-17アンタゴニスト)に適用される場合、この用語は、そ
の成分単独を意味する。組合せで適用される場合、この用語は、逐次的または同時に組合
せ投与するかにかかわらず、治療効果をもたらす活性成分の組合せ量を意味する。
【0032】
「治療」または「治療する」という用語は、本明細書では、本開示に係るIL-17抗
体、たとえばセクキヌマブ、イキセキズマブ、または前記抗IL-17抗体を含む医薬組
成物を対象または対象から単離された組織もしくは細胞系に適用または投与することとし
て定義される。ただし、対象は、特定の疾患(たとえば、乾癬)、疾患(たとえば、乾癬
)に関連付けられる症状または疾患(たとえば、乾癬)の発生の素因を有し、この目的は
、疾患の治癒(適用可能な場合)、発症遅延、重症度低下、軽減、1つ以上の症状の寛解
、疾患の改善、疾患に関連する何らかの症状または疾患の発生の素因の低減または改善で
ある。「治療」または「治療する」という用語は、疾患を有する疑いのある患者および病
気の患者または疾患もしくは医学的病態に罹患していると診断された患者を治療すること
を含むとともに、臨床的再発の抑制を含む。
【0033】
本明細書で用いられる場合、「初発プラーク型乾癬」という語句は、IL-17アンタ
ゴニスト(たとえば、セクキヌマブ)による治療開始の12ヶ月前以内(≦12ヵ月)に
最初の乾癬プラークが出現(初発)したプラーク型乾癬を意味するものとして用いられる
【0034】
本明細書で用いられる場合、「乾癬の全身治療で以前に治療されていない」および「ナ
イーブ」という語句は、乾癬用の全身剤、たとえばメトトレキセート、シクロスポリン、
生物剤(たとえば、ウステキヌマブ、インフリキシマブ、TNFα阻害剤など)などで以
前に治療されていない乾癬患者を意味する。全身剤(すなわち経口、注射などにより投与
される作用剤)は、全身剤が患者に送達されたときに全身作用を有するという点で局所剤
(たとえば、外用剤および光線療法剤)と異なる。本明細書で用いられる場合、「乾癬の
光線療法で以前に治療されていない」という語句は、乾癬用の狭帯域UVB(nb-UV
B)で以前に治療されていない乾癬患者を意味する。開示された方法、レジメン、使用、
キットおよび医薬組成物のいくつかの実施形態では、患者は、乾癬の全身治療で以前に治
療されていない。開示された方法、レジメン、使用、キットおよび医薬組成物のいくつか
の実施形態では、患者は、乾癬の光線療法で以前に治療されていない。
【0035】
本明細書で用いられる場合、「乾癬用の全身剤で以前に治療された」という語句は、全
身剤を用いた乾癬治療を以前に受けた患者を意味する。かかる患者には、ウステキヌマブ
などの生物剤で以前に治療された患者およびシクロスポリンなどの非生物剤で以前に治療
された患者が含まれる。本開示のいくつかの実施形態では、患者は、乾癬用の全身剤で以
前に治療された。
【0036】
いくつかの実施形態では、患者は、乾癬用の全身剤(たとえば、メトトレキセート、シ
クロスポリン)で以前に治療されたが、患者は、全身生物薬剤(すなわち生物により産生
された薬剤、たとえば抗体、レセプターデコイなど)である乾癬用の薬剤(たとえば、ウ
ステキヌマブ、イキセキズマブ、ブロダルマブ、TNFα阻害剤(エタネルセプト、アダ
リムマブ、レミケードなど)、セクキヌマブなど)で以前に治療されていない。この場合
、患者は、「生物剤ナイーブ」という。好ましい実施形態では、患者は、生物剤ナイーブ
である。
【0037】
本明細書で用いられる場合、「TNF不全者」という用語は、TNFαアンタゴニスト
(たとえば、エタネルセプト、アダリムマブなど)による以前の治療に対して不適正な反
応を有していたかまたは不耐性であった患者を意味する。TNFαアンタゴニスト(たと
えば、エタネルセプト、アダリムマブなど)による以前の治療に対して適正に反応したが
、副作用が原因で中断した患者は、「不耐性」と称される。TNF不全者は、ときに「T
NF-IR」患者ともいう。いくつかの実施形態では、IL-17アンタゴニストの投与
前、患者は、TNF不全者である。
【0038】
本明細書で用いられる場合、患者に関連して「選択する」および「選択された」は、あ
らかじめ決められた基準を有する特定の患者をベースとする(それに起因する)より大き
い患者群から特定の患者が特定的に選択されることを意味するものとして用いられる。同
様に、「選択的に治療する」は、特定の疾患を有する患者に治療を提供することを意味す
るとともに、その患者は、あらかじめ決められた基準を有する特定の患者をベースとする
より大きい患者群から特定的に選択される。同様に、「選択的に投与する」とは、あらか
じめ決められた基準を有する特定の患者をベースとする(それに起因する)より大きい患
者群から特定的に選択された患者に薬剤を投与することを意味する。選択する、選択的に
治療する、および選択的に投与するとは、より大きい群における患者のメンバーシップの
みに基づいて標準的治療レジメンを提供するのではなく、患者の個人歴(たとえば、以前
の治療介入、たとえば生物剤による以前の治療)、生物学的因子(たとえば、特定の遺伝
子マーカー)および/または症状(たとえば、特定の診断基準を満たさないもの)に基づ
いて個別化治療を患者に提供することを意味する。本明細書で用いられる治療方法に関連
して選択するとは、特定の基準を有する患者の偶発的治療を意味するのではなく、特定の
基準を有する患者に基づいて患者に治療を施す意図的選択を意味する。そのため、選択的
治療/投与は、個人歴、疾患症状および/または生物学的因子にかかわらず、特定の疾患
を有するすべての患者に特定の薬剤を送達する標準的治療/投与と異なる。いくつかの実
施形態では、患者は、初発プラーク型乾癬を有することに基づいて治療が選択される。
【0039】
本明細書で用いられる場合、「皮膚の組織常在メモリーT細胞」という語句は、表皮に
存続する非再循環メモリーT細胞を意味する。(たとえば、Clark(2015)、前
掲を参照されたい)。本開示のいくつかの実施形態では、IL-17アンタゴニスト(た
とえば、セクキヌマブ)による治療は、皮膚の組織常在メモリーT細胞を低減する。
【0040】
本明細書で用いられる場合、「皮膚においてインターロイキン-17(IL-17)お
よび/またはインターロイキン-22(IL-22)を産生するサブセットエフェクター
T細胞」という語句は、IL-17およびIL-22を産生する表皮CD4およびCD8
T細胞を意味する。(たとえば、Clark(2015)、前掲を参照されたい)。本開
示のいくつかの実施形態では、IL-17アンタゴニスト(たとえば、セクキヌマブ)に
よる治療は、皮膚においてインターロイキン-17(IL-17)および/またはインタ
ーロイキン-22(IL-22)を産生するサブセットエフェクターT細胞を低減する。
【0041】
本明細書で用いられる場合、「皮膚の調節性T細胞」という語句は、皮膚に見出される
転写因子Foxp3の発現により特徴付けられるT細胞集団を意味する。(たとえば、S
anchez Rodriguez et al.(2014)J.Clin.Inve
st.124(3):1027-1036を参照されたい)。本開示のいくつかの実施形
態では、IL-17アンタゴニスト(たとえば、セクキヌマブ)による治療は、皮膚の調
節性T細胞の数を低減して正常化する。
【0042】
本明細書で用いられる場合、「皮膚の真皮樹状細胞-T細胞アグリゲート」という語句
は、樹状細胞と浸潤T細胞とを含む真皮クラスターを意味する。(たとえば、Kim e
t al.(2014)J.Invest.Derm.134(5):1462-65を
参照されたい)。本開示のいくつかの実施形態では、IL-17アンタゴニスト(たとえ
ば、セクキヌマブ)による治療は、皮膚の真皮樹状細胞-T細胞アグリゲートを低減する
【0043】
全体として、皮膚の組織常在メモリーT細胞を低減する行為、皮膚においてインターロ
イキン-17(IL-17)および/またはインターロイキン-22(IL-22)を産
生するサブセットエフェクターT細胞を低減する行為、皮膚の調節性T細胞を低減する行
為、ならびに皮膚の真皮樹状細胞-T細胞アグリゲートを低減する行為(たとえば、皮膚
において細胞媒介免疫を低減する行為、皮膚においてT細胞媒介免疫反応を低減する行為
)は、本明細書では、「乾癬疾患慢性性を引き起こす免疫機序をモジュレートする」とい
う。本開示のいくつかの実施形態では、IL-17アンタゴニスト(たとえば、セクキヌ
マブ)による治療は、乾癬疾患慢性性を引き起こす免疫機序をモジュレートする。
【0044】
プラーク乾癬疾患経過は、典型的には身体の両側の同一領域の幅約1/8インチの小さ
い皮膚プラークから始まる。それは、徐々に成長して厚い乾燥プラークになる。プラーク
を引っ掻いたりまたは擦ったりすると、ピンヘッドサイズの出血スポットが下側に現われ
る。これは、アウスピッツ徴候として知られる。いくつかの斑は、透明中心部と鱗状隆起
境界部とを有して環状になる。最終的に、個別斑は、連結一体化してより大きい領域を形
成する。いくつかの場合、斑は、背中または胸の広域を覆い、地図状プラークと称される
。本明細書で用いられる場合、「乾癬疾患進行を遅らせる」という語句は、プラーク型乾
癬疾患経過の進行速度を減速することを意味する。本開示のいくつかの実施形態では、I
L-17アンタゴニスト(たとえば、セクキヌマブ)による治療は、乾癬疾患進行を遅ら
せる。
【0045】
本明細書で用いられる場合、「乾癬フレア」という語句は、プラーク、皮膚刺激斑、充
血(たとえば、特に肘、膝、体幹および頭皮のもの)、爪の変化および/または外観損傷
、頭部粃糠疹、ならびにそれらの任意の組合せをはじめとするプラーク型乾癬の症状を含
む。典型的には、乾癬フレアは、乾癬プラークの形成を含む。本開示のいくつかの実施形
態では、IL-17アンタゴニスト(たとえば、セクキヌマブ)による治療は、乾癬フレ
アを予防し、乾癬フレアの重症度を減少させ、かつ/または乾癬フレアの頻度を減少させ
る。
【0046】
本明細書で用いられる場合、「乾癬フレアの重症度を減少させる」などの語句は、乾癬
フレアの程度を低減すること、たとえば乾癬に罹患した皮膚のパーセントを低減すること
、特定のフレア成分の程度を低減すること(たとえば、プラークの数、サイズ、厚さなど
を低減すること、皮膚刺激の範囲を低減すること、落屑を低減すること、紅斑を低減する
こと、爪の変化および/もしくは外観損傷を低減すること、頭部粃糠疹を低減することな
ど)、ならびに/またはフレア(もしくはその成分)が存続する期間を低減することを意
味する。フレアの重症度は、各種ツール、たとえば体表面積(BSA)試験、治験医師に
よるグローバルアセスメント(IGA、2011年修正IGA)、医師によるグローバル
アセスメント(PGA)、乾癬面積および重症度指数(PASI)、ならびに患者報告ア
ウトカム、たとえば皮膚科学的生活の質指数(DLQI)ならびに労働生産性および活動
障害に関する質問票:乾癬(WPAI:PSO)を用いて測定し得る。開示された方法、
キットおよび使用のいくつかの実施形態では、患者は、治療の12週で乾癬面積および重
症度指数スコアの少なくとも50%の低減(PASI50)を達成する。開示された方法
、キットおよび使用のいくつかの実施形態では、患者は、治療の12週で乾癬面積および
重症度指数スコアの少なくとも75%の低減(PASI75)を達成する。開示された方
法、キットおよび使用のいくつかの実施形態では、患者は、治療の12週で乾癬面積およ
び重症度指数スコアの少なくとも90%の低減(PASI90)を達成する。開示された
方法、キットおよび使用のいくつかの実施形態では、患者は、治療の12週で乾癬面積お
よび重症度指数スコアの少なくとも100%の低減(PASI100)を達成する。
【0047】
本明細書で用いられる場合、「乾癬フレアの頻度を減少させる」などの語句は、乾癬フ
レアの発生率を低減すること、たとえばプラークおよび/または他の乾癬フレア成分(た
とえば、プラーク、皮膚刺激、落屑、紅斑、爪の変化、頭部粃糠疹など)の発生率を低減
することを意味する。乾癬フレアの頻度を減少させることにより、患者は、より少ない乾
癬再発に遭遇するであろう。フレアの発生率は、患者を経時的にモニターしてフレアの出
現率が減少するかを決定することにより評価し得る。
【0048】
本明細書で用いられる場合、「乾癬フレアを予防する」という語句は、将来的な乾癬フ
レアおよび/またはフレア成分を排除することを意味する。
【0049】
多くの乾癬患者は、最終的に乾癬性関節炎(PsA)に進行する。IL-17アンタゴ
ニスト(たとえば、セクキヌマブのようなIL-17抗体)による初発乾癬患者の治療は
、こうした患者が最終的にPsA、心血管疾患、メタボリック症候群(糖尿病、肥満)お
よび他の病態を発生する可能性を減少させることが期待される。本明細書で用いられる場
合、「乾癬患者が乾癬性関節炎を発生する可能性を減少させる」という語句は、乾癬患者
が乾癬性関節炎を発生する可能性の低減を意味する。本明細書で用いられる場合、「乾癬
患者において乾癬性関節炎の発症を遅延する」という語句は、乾癬患者においてPsAに
関連付けられる徴候および症状ならびに/または構造的損傷の発生を延期することを意味
する。本明細書で用いられる場合、「乾癬患者において乾癬から乾癬性関節炎への進行を
予防する」という語句は、乾癬患者においてPsAの発生を阻害することを意味する。
【0050】
本明細書で用いられる場合、「マイルドな乾癬」は、体表面積(BSA)≦10かつ乾
癬面積および重症度指数(PASI)<10かつ皮膚科学的生活の質指数(DLQI)≦
10の乾癬疾患として定義される。本明細書で用いられる場合、「中度~重度の乾癬」は
、(BSA>10またはPASI>10)かつDLQI>10の乾癬疾患として定義され
る。Mrowietz et al.(2011)Arch Dermatol Res
.303(1):1-10を参照されたい。開示された方法、使用およびキットのいくつ
かの実施形態では、患者は、マイルドな乾癬を有する。開示された方法、使用およびキッ
トのいくつかの実施形態では、患者は、中度~重度の乾癬を有する。開示された方法、使
用およびキットのいくつかの実施形態では、IL-17アンタゴニスト(たとえば、セク
キヌマブなどのIL-17抗体)による長期治療患者は、乾癬疾患経過の改変に基づいて
、中度~重度の乾癬を有するものからマイルドな乾癬を有するものに変わる。
【0051】
好ましい実施形態では、本明細書に開示された方法および使用は、全身療法(または光
線療法)に対する候補である成人患者において中度~重度の慢性プラーク型乾癬の治療を
提供する。いくつかの実施形態では、全身療法(または光線療法)に対する候補である成
人患者は、BSA≧5%を有する。いくつかの実施形態では、全身療法(または光線療法
)に対する候補である成人患者は、BSA≧3%を有する。
【0052】
IL-17アンタゴニスト
各種の開示されたプロセス、キット、使用および方法は、IL-17アンタゴニスト、
たとえばIL-17結合分子(たとえば、可溶性IL-17レセプター、IL-17抗体
もしくはその抗原結合フラグメント、たとえばセクキヌマブ)またはIL-17レセプタ
ー結合分子(たとえば、IL-17レセプター抗体もしくはその抗原結合フラグメント)
を利用する。いくつかの実施形態では、IL-17アンタゴニストは、IL-17結合分
子、好ましくはIL-17抗体またはその抗原結合フラグメントである。
【0053】
一実施形態では、IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントは、超可変領域CD
R1、CDR2およびCDR3を含む少なくとも1つの免疫グロブリン重鎖可変ドメイン
(V)を含むとともに、前記CDR1は、配列番号1のアミノ酸配列を有し、前記CD
R2は、配列番号2のアミノ酸配列を有し、かつ前記CDR3は、配列番号3のアミノ酸
配列を有する。一実施形態では、IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントは、超
可変領域CDR1’、CDR2’およびCDR3’を含む少なくとも1つの免疫グロブリ
ン軽鎖可変ドメイン(VL’)を含むとともに、前記CDR1’は、配列番号4のアミノ
酸配列を有し、前記CDR2’は、配列番号5のアミノ酸配列を有し、かつ前記CDR3
’は、配列番号6のアミノ酸配列を有する。一実施形態では、IL-17抗体またはその
抗原結合フラグメントは、超可変領域CDR1-x、CDR2-xおよびCDR3-xを
含む少なくとも1つの免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(V)を含むとともに、前記C
DR1-xは、配列番号11のアミノ酸配列を有し、前記CDR2-xは、配列番号12
のアミノ酸配列を有し、かつ前記CDR3-xは、配列番号13のアミノ酸配列を有する
【0054】
一実施形態では、IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントは、少なくとも1つ
の免疫グロブリンVドメインと少なくとも1つの免疫グロブリンVドメインとを含み
、ただし、a)免疫グロブリンVドメインは、(たとえば、逐次的に)i)超可変領域
CDR1、CDR2およびCDR3を含むとともに、前記CDR1は、配列番号1のアミ
ノ酸配列を有し、前記CDR2は、配列番号2のアミノ酸配列を有し、かつ前記CDR3
は、配列番号3のアミノ酸配列を有し、またはii)超可変領域CDR1-x、CDR2
-xおよびCDR3-xを含むとともに、前記CDR1-xは、配列番号11のアミノ酸
配列を有し、前記CDR2-xは、配列番号12のアミノ酸配列を有し、かつ前記CDR
3-xは、配列番号13のアミノ酸配列を有し、かつb)免疫グロブリンVドメインは
、(たとえば、逐次的に)超可変領域CDR1’、CDR2’およびCDR3’を含むと
ともに、前記CDR1’は、配列番号4のアミノ酸配列を有し、前記CDR2’は、配列
番号5のアミノ酸配列を有し、かつ前記CDR3’は、配列番号6のアミノ酸配列を有す
る。
【0055】
一実施形態では、IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントは、a)配列番号8
として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(V)、b)配列
番号10として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(V)、
c)配列番号8として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVドメインおよび配
列番号10として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVドメイン、d)配列番
号1、配列番号2および配列番号3として示される超可変領域を含む免疫グロブリンV
ドメイン、e)配列番号4、配列番号5および配列番号6として示される超可変領域を含
む免疫グロブリンVドメイン、f)配列番号11、配列番号12および配列番号13と
して示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン、g)配列番号1、配列番号
2および配列番号3として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン、なら
びに配列番号4、配列番号5および配列番号6として示される超可変領域を含む免疫グロ
ブリンVドメイン、またはh)配列番号11、配列番号12および配列番号13として
示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン、ならびに配列番号4、配列番号
5および配列番号6として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメインを含む
【0056】
参照を容易にするために、Chothiaらの方法を用いてX線分析により決定された
Kabat定義に基づくセクキヌマブモノクローナル抗体の超可変領域のアミノ酸配列を
以下の表1に提供する。
【0057】
【表1】
【0058】
好ましい実施形態では、定常領域ドメインはまた、好適なヒト定常領域ドメイン、たと
えば“Sequences of Proteins of Immunologica
l Interest”,Kabat E.A.et al,US Departmen
t of Health and Human Services,Public He
alth Service,National Institute of Healt
hに記載のものを含む。セクキヌマブのVをコードするDNAは、配列番号9に示され
る。セクキヌマブのVをコードするDNAは、配列番号7に示される。
【0059】
いくつかの実施形態では、IL-17抗体またはその抗原結合フラグメント(たとえば
、セクキヌマブ)は、配列番号10の3つのCDRを含む。他の実施形態では、IL-1
7抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号8の3つのCDRを含む。他の実施
形態では、IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号10の3つのC
DRおよび配列番号8の3つのCDRを含む。配列番号8および配列番号10のCDRは
、表1に見出され得る。軽鎖中の遊離システイン(CysL97)は、配列番号6に見ら
れ得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番
号14の軽鎖を含む。他の実施形態では、IL-17抗体またはその抗原結合フラグメン
トは、配列番号15の重鎖を含む。他の実施形態では、IL-17抗体またはその抗原結
合フラグメントは、配列番号14の軽鎖および配列番号15の重いドメインを含む。いく
つかの実施形態では、IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号14
の3つのCDRを含む。他の実施形態では、IL-17抗体またはその抗原結合フラグメ
ントは、配列番号15の3つのCDRを含む。他の実施形態では、IL-17抗体または
その抗原結合フラグメントは、配列番号14の3つのCDRおよび配列番号15の3つの
CDRを含む。配列番号14および配列番号15のCDRは、表1に見出され得る。
【0061】
超可変領域は、任意の種類のフレームワーク領域に関連付け得るが、好ましくはヒト起
源のものである。好適なフレームワーク領域は、Kabat E.A.et al,ib
idに記載されている。好ましい重鎖フレームワークは、ヒト重鎖フレームワーク、たと
えばセクキヌマブ抗体のものである。それは、逐次的に、たとえばFR1(配列番号8の
アミノ酸1~30)、FR2(配列番号8のアミノ酸36~49)、FR3(配列番号8
のアミノ酸67~98)およびFR4(配列番号8のアミノ酸117~127)の領域か
らなる。X線分析により決定されたセクキヌマブの超可変領域を考慮して、他の好ましい
重鎖フレームワークは、逐次的にFR1-x(配列番号8のアミノ酸1~25)、FR2
-x(配列番号8のアミノ酸36~49)、FR3-x(配列番号8のアミノ酸61~9
5)およびFR4(配列番号8のアミノ酸119~127)の領域からなる。同様に、軽
鎖フレームワークは、逐次的にFR1’(配列番号10のアミノ酸1~23)、FR2’
(配列番号10のアミノ酸36~50)、FR3’(配列番号10のアミノ酸58~89
)およびFR4’(配列番号10のアミノ酸99~109)の領域からなる。
【0062】
一実施形態では、IL-17抗体またはその抗原結合フラグメント(たとえば、セクキ
ヌマブ)は、a)超可変領域CDR1、CDR2およびCDR3を逐次的に含む可変ドメ
インとヒト重鎖の定常部またはそのフラグメントとを含むとともに、前記CDR1は、配
列番号1のアミノ酸配列を有し、前記CDR2は、配列番号2のアミノ酸配列を有し、か
つ前記CDR3は、配列番号3のアミノ酸配列を有する、免疫グロブリン重鎖またはその
フラグメントと、b)超可変領域CDR1’、CDR2’およびCDR3’を逐次的に含
む可変ドメインとヒト軽鎖の定常部またはそのフラグメントとを含むとともに、前記CD
R1’は、配列番号4のアミノ酸配列を有し、前記CDR2’は、配列番号5のアミノ酸
配列を有し、かつ前記CDR3’は、配列番号6のアミノ酸配列を有する、免疫グロブリ
ン軽鎖またはそのフラグメントとを少なくとも含むヒトIL-17抗体から選択される。
【0063】
一実施形態では、IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントは、a)超可変領域
CDR1、CDR2およびCDR3を逐次的に含むとともに、前記CDR1は、配列番号
1のアミノ酸配列を有し、前記CDR2は、配列番号2のアミノ酸配列を有し、かつ前記
CDR3は、配列番号3のアミノ酸配列を有する、第1のドメインと、b)超可変領域C
DR1’、CDR2’およびCDR3’を逐次的に含むとともに、前記CDR1’は、配
列番号4のアミノ酸配列し、前記CDR2’は、配列番号5のアミノ酸配列を有し、かつ
前記CDR3’は、配列番号6のアミノ酸配列を有する、第2のドメインと、c)第1の
ドメインのN末端および第2のドメインのC末端、または第1のドメインのC末端および
第2のドメインのN末端のいずれかに結合されるペプチドリンカーとを含む抗原結合部位
を含む一本鎖抗体またはその抗原結合フラグメントから選択される。
【0064】
代替的に、開示された方法で使用されるIL-17抗体またはその抗原結合フラグメン
トは、本明細書に配列により示されるIL-17抗体の誘導体(たとえば、セクキヌマブ
のペグ化体)を含み得る。代替的に、開示された方法で使用されるIL-17抗体または
その抗原結合フラグメントのVまたはVドメインは、本明細書に示されるVまたは
ドメイン(たとえば、配列番号8および10に示されるもの)と実質的に同一のV
またはVドメインを有し得る。本明細書に開示されたヒトIL-17抗体は、配列番号
15として示されるものと実質的に同一の重鎖および/または配列番号14として示され
るものと実質的に同一の軽鎖を含み得る。本明細書に開示されたヒトIL-17抗体は、
配列番号15を含む重鎖と配列番号14を含む軽鎖とを含み得る。本明細書に開示された
ヒトIL-17抗体は、a)配列番号8に示されるものと実質的に同一のアミノ酸配列を
有する可変ドメインとヒト重鎖の定常部とを含む1つの重鎖と、b)配列番号10に示さ
れるものと実質的に同一のアミノ酸配列を有する可変ドメインとヒト軽鎖の定常部とを含
む1つの軽鎖とを含み得る。
【0065】
代替的に、開示された方法で使用されるIL-17抗体またはその抗原結合フラグメン
トは、CysL97を含有する限り、本明細書に示される参照IL-17抗体のアミノ酸
配列変異体であり得る。本開示はまた、セクキヌマブのVまたはVドメインのアミノ
酸残基の1つ以上(ただし、CysL97ではない)、典型的にはごく少数(たとえば、
1~10)をたとえば対応するDNA配列の部位指向性突然変異誘発などの突然変異によ
り変化させたIL-17抗体またはその抗原結合フラグメント(たとえば、セクキヌマブ
)を含む。誘導体および変異体のかかる場合のいずれにおいても、IL-17抗体または
その抗原結合フラグメントは、約50nM以下、約20nM以下、約10nM以下、約5
nM以下、約2nM以下またはより好ましくは約1nM以下の前記分子の濃度で約1nM
(=30ng/ml)ヒトIL-17の活性を50%阻害可能である。ただし、前記阻害
活性は、国際公開第2006/013107号パンフレットの実施例1に記載されるよう
にヒト真皮線維芽細胞においてhu-IL-17により誘発されるIL-6産生で測定さ
れる。
【0066】
いくつかの実施形態では、IL-17抗体またはその抗原結合フラグメント、たとえば
セクキヌマブは、Leu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Va
l124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129を
含む成熟ヒトIL-17のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、IL-17
抗体、たとえばセクキヌマブは、Tyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、A
sp80を含む成熟ヒトIL-17のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、
IL-17抗体、たとえばセクキヌマブは、2つの成熟ヒトIL-17鎖を有するIL-
17ホモダイマーのエピトープに結合する。ただし、前記エピトープは、一方の鎖にLe
u74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr12
5、Pro126、Ile127、Val128、His129、かつ他方の鎖にTyr
43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含む。こうしたエピトープを
定義するために使用される残基番号付けスキームは、成熟タンパク質の最初のアミノ酸を
残基1とすることに基づく(すなわち23アミノ酸N末端シグナルペプチドが欠如したグ
リシンから始まるIL-17A)。未成熟IL-17Aの配列は、Swiss-Prot
エントリーQ16552に示される。いくつかの実施形態では、IL-17抗体は、約1
00~200pMのKを有する(たとえば、Biacore(登録商標)アッセイによ
り決定される)。いくつかの実施形態では、IL-17抗体は、約0.67nMヒトIL
-17Aの生物学的活性のインビトロ中和に関して約0.4nMのIC50を有する。い
くつかの実施形態では、皮下(SC)投与されたIL-17抗体の絶対生物学的利用率は
、約60~約80%の範囲、たとえば約76%を有する。いくつかの実施形態では、セク
キヌマブなどのIL-17抗体は、約4週間(たとえば、約23~約35日間、約23~
約30日間、たとえば約30日間)の排出半減期を有する。いくつかの実施形態では、I
L-17抗体(たとえば、セクキヌマブ)は、約7~8日間のTmaxを有する。
【0067】
開示された方法で使用される特に好ましいIL-17抗体またはその抗原結合フラグメ
ントは、ヒト抗体、特に国際公開第2006/013107号パンフレットの実施例1お
よび2に記載のセクキヌマブである。セクキヌマブは、免疫媒介炎症性病態の治療のため
に現在臨床試験中であるIgG1/κアイソタイプの組換え高親和性完全ヒトモノクロー
ナル抗ヒトインターロイキン17A(IL-17A、IL-17)抗体である。セクキヌ
マブ(たとえば、国際公開第2006/013107号パンフレットおよび国際公開第2
007/117749号パンフレットを参照されたい)は、IL-17に対する非常に高
い類似性、すなわち約100~200pMのKおよび約0.67nMヒトIL-17A
の生物学的活性のインビトロ中和に関して約0.4nMのIC50を有する。そのため、
セクキヌマブは、約1:1のモル比で抗原を阻害する。この高い結合親和性のため、セク
キヌマブ抗体は、治療用途に特に好適である。さらに、セクキヌマブは、非常に長い、す
なわち約4週間の半減期を有するため、投与間隔を長くできることが確認されており、こ
れは、乾癬などの生涯にわたる慢性障害を治療する場合にとりわけ優れた性質である。
【0068】
開示された方法、キットおよびレジメンで使用される他の好ましいIL-17抗体は、
米国特許第8,057,794号明細書、同第8,003,099号明細書、同第8,1
10,191号明細書および同第7,838,638号明細書、ならびに米国特許出願公
開第20120034656号明細書および同第20110027290号明細書(それ
らの全体が参照により本明細書に組み込まれる)に示されるものである。
【0069】
初発プラーク型乾癬の治療方法およびそのためのIL-17アンタゴニストの使用
開示されたIL-17アンタゴニスト、たとえばIL-17結合分子(たとえば、IL
-17抗体もしくはその抗原結合フラグメント、たとえばセクキヌマブ)またはIL-1
7レセプター結合分子(たとえば、IL-17レセプター抗体もしくはその抗原結合フラ
グメント)は、インビトロ、エクスビボで使用し得るか、または初発プラーク型乾癬患者
(たとえば、ヒト患者)を治療するために医薬組成物に組み込んでインビボで投与し得る
【0070】
開示されたIL-17アンタゴニスト、たとえばIL-17結合分子(たとえば、IL
-17抗体もしくはその抗原結合フラグメント、たとえばセクキヌマブ)またはIL-1
7レセプター結合分子(たとえば、IL-17レセプター抗体もしくはその抗原結合フラ
グメント)は、インビトロ、エクスビボで使用し得るか、または壊疽性膿皮症、魚鱗癬、
毛孔性紅色粃糠疹、酒さ(たとえば、丘疹膿疱性酒さ)、毛孔性扁平苔癬、アトピー性皮
膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、円形脱毛症およびヒトパピローマウイルス(HPV)を
治療するために医薬組成物に組み込んでインビボで投与し得る。こうした疾患を治療する
ための好ましい投与および治療レジメン(導入および維持レジメンの両方を含む)は、P
CT国際出願第PCT/米国特許出願公開第2011/064307号明細書および同第
PCT/IB2014/063902号明細書(それらの全体が参照により本明細書に組
み込まれる)に提供される。いくつかの実施形態では、約150mg~約300mg(た
とえば、好ましくは約150mgまたは約300mg)のIL-17抗体またはその抗原
結合フラグメント(たとえば、好ましくはセクキヌマブ)を皮下(SC)注射により0、
1、2、3および4週に、続いて毎月1回患者に投与する。いくつかの実施形態では、約
150mg~約300mg(たとえば、好ましくは約150mgまたは約300mg)の
IL-17抗体またはその抗原結合フラグメント(たとえば、好ましくはセクキヌマブ)
を皮下(SC)注射により毎月1回(すなわち0、4、8、12、16週に)患者に投与
する。
【0071】
IL-17アンタゴニスト、たとえばIL-17結合分子(たとえば、IL-17抗体
もしくはその抗原結合フラグメント、たとえばセクキヌマブ)またはIL-17レセプタ
ー結合分子(たとえば、IL-17抗体もしくはその抗原結合フラグメント)は、薬学的
に許容される担体と組み合わせて医薬組成物として使用され得る。かかる組成物は、IL
-17アンタゴニストに加えて、担体、各種希釈剤、充填剤、塩、緩衝剤、安定化剤、可
溶化剤および当技術分野で周知の他の物質を含有し得る。担体の特性は、投与経路に依存
するであろう。開示された方法で使用される医薬組成物はまた、特定の標的疾患の治療の
ために追加の治療剤を含有し得る。たとえば、医薬組成物はまた、抗炎症剤を含み得る。
かかる追加の因子および/または作用剤は、IL-17結合分子との相乗効果をもたらす
ために、あるいはIL-17アンタゴニスト、たとえばIL-17結合分子(たとえば、
IL-17抗体もしくはその抗原結合フラグメント、たとえばセクキヌマブ)またはIL
-17レセプター結合分子(たとえば、IL-17抗体もしくはその抗原結合フラグメン
ト)により引き起こされる副作用を最小限に抑えるために医薬組成物に含まれ得る。好ま
しい実施形態では、開示された方法で使用される医薬組成物は、150mg/mlのセク
キヌマブを含む。
【0072】
開示された方法で使用される医薬組成物は、従来方式で製造され得る。一実施形態では
、医薬組成物は、凍結乾燥形態で提供される。即時投与に供する場合、好適な水性担体、
たとえば注射用無菌水、無菌緩衝生理食塩水に溶解させる。ボーラス注射ではなく注入に
よる投与のためにより大量の溶液を作製することが望ましいと考えられる場合、製剤化の
段階でヒト血清アルブミンまたは患者自身のヘパリン処理血液を溶媒に導入することが有
利であり得る。かかる生理学的不活性タンパク質が過剰に存在すると、注入溶液に使用さ
れる容器およびチューブの壁上への吸着による抗体の損失が防止される。アルブミンを使
用する場合、好適な濃度は、生理食塩水溶液を基準にして0.5~4.5重量%である。
他の製剤は、液体製剤または凍結乾燥製剤を含む。
【0073】
抗体、たとえばIL-17抗体は、典型的には、非経口投与が可能な水性形態でまたは
投与前に好適な希釈剤で再構成される凍結乾燥物として製剤化される。開示された方法お
よび使用のいくつかの実施形態では、IL-17アンタゴニスト、たとえばセクキヌマブ
などのIL-17抗体は、凍結乾燥物として製剤化される。好適な凍結乾燥物製剤は、皮
下投与できるように少液量(たとえば、2ml以下)で再構成可能であり、低い抗体凝集
レベルで溶液を提供可能である。医薬の活性成分としての抗体の使用は、製品HERCE
PTIN(商標)(トラスツズマブ)、RITUXAN(商標)(リツキシマブ)、SY
NAGIS(商標)(パリビズマブ)などをはじめとして現在広く普及している。抗体を
医薬グレードに精製する技術は、当技術分野で周知である。治療有効量のIL-17アン
タゴニスト、たとえばIL-17結合分子(たとえば、IL-17抗体もしくはその抗原
結合フラグメント、たとえばセクキヌマブ)またはIL-17レセプター結合分子(たと
えば、IL-17抗体もしくはその抗原結合フラグメント)を静脈内、皮膚または皮下へ
の注射により投与する場合、IL-17アンタゴニストは、発熱原フリーの非経口的に許
容可能な溶液の形態であろう。静脈内、皮膚または皮下への注射に供される医薬組成物は
、IL-17アンタゴニストに加えて、等張媒体、たとえば塩化ナトリウム液、リンゲル
液、デキストロース液、デキストロースおよび塩化ナトリウム液、乳酸加リンゲル液また
は当技術分野で公知の他の媒体を含有し得る。
【0074】
適切な投与量は、たとえば、利用される特定のIL-17アンタゴニスト、たとえばI
L-17結合分子(たとえば、IL-17抗体もしくはその抗原結合フラグメント、たと
えばセクキヌマブ)またはIL-17レセプター結合分子(たとえば、IL-17抗体も
しくはその抗原結合フラグメント)、宿主、投与モード、ならびに治療される病態の性質
および重症度、さらには患者が受けた以前の治療の性質に依存して異なるであろう。最終
的に、各個別患者の治療に用いられるIL-17アンタゴニストの量は、担当ヘルスケア
提供者により決定されるであろう。いくつかの実施形態では、担当ヘルスケア提供者は、
低用量のIL-17アンタゴニストを投与して患者の反応を観察し得る。他の実施形態で
は、患者に投与されるIL-17アンタゴニストの初回用量は、高く、次いで再発の徴候
が現われるまで低減される。患者に最適な治療効果が得られるまでより多くの用量のIL
-17アンタゴニストを投与し得るとともに、一般的に投与量をさらに増加させることは
ない。
【0075】
本開示の治療方法または使用のいくつかを実施する場合、治療有効量のIL-17アン
タゴニスト、たとえばIL-17結合分子(たとえば、IL-17抗体もしくはその抗原
結合フラグメント、たとえばセクキヌマブ)またはIL-17レセプター結合分子(たと
えば、IL-17抗体もしくはその抗原結合フラグメント)は、患者、たとえば哺乳動物
(たとえば、ヒト)に投与される。開示された方法は、IL-17アンタゴニスト(たと
えば、セクキヌマブ)を用いて初発プラーク型乾癬患者の治療を提供するものと理解され
るが、患者をIL-17アンタゴニストで極限まで治療すべきである場合、かかるIL-
17アンタゴニスト療法は、必ずしも単独療法である必要はない。実際には、IL-17
アンタゴニストで治療するように患者を選択したとしても、IL-17アンタゴニスト(
たとえば、セクキヌマブ)は、単独または初発プラーク型乾癬患者を治療するための他の
作用剤および療法との組合せのいずれか、たとえば少なくとも1つの追加の乾癬剤との組
合せで本開示の方法に従って投与し得る。1つ以上の追加の乾癬剤と共投与する場合、I
L-17アンタゴニストは、他の作用剤と同時にまたは逐次的に投与され得る。逐次的に
投与する場合、担当医は、他の作用剤と組み合わされるIL-17アンタゴニストの適切
な投与順序および共送達に適切な投与量を決定するであろう。
【0076】
初発プラーク乾癬および本明細書に開示された他の障害の治療時、各種療法を、セクキ
ヌマブなどの開示されたIL-17抗体と有利に組み合わせ得る。かかる療法としては、
外用剤(市販の非ステロイド系化合物およびステロイド系化合物)、光線療法および全身
治療(たとえば、生物剤または化学エンティティーによるもの)が挙げられる。
【0077】
セクキヌマブなどの開示されたIL-17抗体とともに使用される外用乾癬剤の例とし
ては、限定されるものではないが、サリチル酸、コールタール、Dovonex(登録商
標)(カルシポトリエン)、Taclonex(登録商標)(カルシポトリエンおよびジ
プロピオン酸ベタメタゾン)、Tazorec(登録商標)(タザロテン)、ピメクロリ
ムス、タクロリムス、Vectical(登録商標)(カルシトリオール)、Zithr
anol-RR(登録商標)(アントラリン)および外用ステロイド(たとえば、コルチ
コステロイド)が挙げられる。
【0078】
セクキヌマブなどの開示されたIL-17抗体とともに使用される光線療法の例として
は、ソラレン+UVA(PUVA)による治療またはUVB(タールを含むまたは含まな
い)による治療が挙げられる。
【0079】
セクキヌマブなどの開示されたIL-17抗体とともに使用される全身治療で使用され
る乾癬剤の例としては、レチノイド、たとえばアシトレチン(たとえば、Soriata
ne(登録商標))、シクロスポリン、メトトレキセート、ヒドロキシウレア(たとえば
、Hydrea(登録商標))、イソトレチノイン、ミコフェノール酸モフェチル、ミコ
フェノール酸、スルファサラジン、6-チオグアニン、フマレート(たとえば、ジメチル
フマレートおよびフマル酸エステル)、アザチオプリン、コルチコステロイド、レフルノ
ミド、タクロリムス、T細胞ブロッカー(たとえば、Amevive(登録商標)(アレ
ファセプト)およびRaptiva(登録商標)(エファリズマブ))、腫瘍壊死因子-
α(TNF-α)ブロッカー(たとえば、Enbrel(登録商標)(エタネルセプト)
、Humira(登録商標)(アダリムマブ)、Remicade(登録商標)(インフ
リキシマブ)およびSimponi(登録商標)(ゴリムマブ))、ならびにインターロ
イキン12/23ブロッカー(たとえば、Stelara(登録商標)(ウステキヌマブ
)、タソシチニブおよびブリアキヌマブが挙げられる。
【0080】
乾癬の治療時にセクキヌマブなどの開示されたIL-17抗体と組み合わせて使用され
る追加の乾癬剤としては、アプレミラスト、モメタゾン、ボクロスポリン、ケトコナゾー
ル、ニューロスキンフォルテ、組換えヒトインターロイキン-10、ボクロスポリン、M
K-3222、トファシチニブ、VX-765、MED-I545、デカン酸フルフェナ
ジン、アセトアミノフェン、ビモシアモーズクリーム、ドキシサイクリン、バンコマイシ
ン、AbGn168、ビタミンD3、RO5310074、フルダラビンカルシポトリオ
ールおよびヒドロコルチゾン(LEO80190)、LE80185(Taclonex
(登録商標)頭皮外用懸濁剤/Xamiol(登録商標)ゲル)、Focetria(1
価MF59アジュバント化ワクチン、tgAAC94遺伝子療法ベクター、アプレミラス
ト、カプサイシン、Psirelax、ABT-874(抗IL-12)、IDEC-1
14、MEDI-522、INCB018424リン酸塩クリーム、LE29102、B
MS587101、CD2027、CRx-191、8-メトキシソラレンまたは5-メ
トキシソラレン、Bicillin L-A、LY2525623、INCB01842
4、LY2439821、CEP-701、CC-10004、セルトリズマブ(CZP
)、GW786034(パゾパニブ)、ドキシサイクリンクルクミノイドC3複合体、N
YC0462、RG3421、hOKT3γ1(Ala-Ala)、BT061、テプリ
ズマブ、コンドロイチン硫酸、CNTO1275、IL-12p40およびIL-23p
40サブユニットに対するモノクローナル抗体、BMS-582949、MK0873、
MEDI-507、M518101、ABT-874、AMG827、AN2728、A
MG714、AMG139、PTH(1-34)、U0267フォーム、CNTO127
5、QRX-101、CNTO1959、LEO22811、イミキモド、CTLA4I
g、藻デュナリエラ・バーダウィル(Dunaliella Bardawil)、AS
101クリーム、ピオグリタゾン、ピメクロリムス、ラニビズマブ、ジドブジンCDP8
70(セルトリズマブペゴール)、オネルセプト(r-hTBP-1)、ACT-128
800、4,4-ジメチル-ベンゾイソ-2H-セレナジン、CRx-191、CRx-
197、ドキセルカルシフェロール、LEO19123クリーム(カルシポトリオール+
LEO80122)、LAS41004、WBI-1001、タクロリムス、RAD00
1、ラパマイシン、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、ABT-874、アミノプテリン
、AN2728、CD2027、ACT-128800、フロ酸モメタゾン、CT327
、クロベタゾール+LCD、BTT1023、E6201、外用ビタミンB12、INC
B018424リン酸塩クリーム、Xamiolゲル、IP10.C8、BFH772、
LEO22811、フルフェナジン、MM-093、クロベックス、SCH527123
、CF101、SRT2104、BIRT2584、CC10004、テトラチオモリブ
デート、CP-690,550、U0267、ASP015K、VB-201、アシトレ
チン(U0279とも呼ばれる)、RWJ-445380、Psoralait、プロピ
オン酸クロベタゾール、A型ボツリヌス毒素、アレファセプト、エルロチニブ、BCT1
94、ウルトラベート軟膏剤、ロフルミラスト、CNTO1275、ハロベタゾール、I
LV-094、CTA018クリーム、COL-121、MEDI-507、AEB07
1が挙げられる。乾癬の治療時にセクキヌマブと組み合わせて使用される追加の作用剤と
しては、IL-6アンタゴニスト、CD20アンタゴニスト、CTLA4アンタゴニスト
、IL-17アンタゴニスト、IL-8アンタゴニスト、IL-21アンタゴニスト、I
L-22アンタゴニスト、VGEFアンタゴニスト、CXCLアンタゴニスト、MMPア
ンタゴニスト、デフェンシンアンタゴニスト、IL-1βアンタゴニストおよびIL-2
3アンタゴニスト(たとえば、レセプターデコイ、アンタゴニスト抗体など)が挙げられ
る。セクキヌマブなどの開示されたIL-17抗体とともに共送達される以上の作用剤の
適切な投与量は、当業者であれば分かるであろう。
【0081】
IL-17アンタゴニスト、たとえばIL-17結合分子(たとえば、IL-17抗体
もしくはその抗原結合フラグメント、たとえばセクキヌマブ)またはIL-17レセプタ
ー結合分子(たとえば、IL-17レセプター抗体もしくはその抗原結合フラグメント)
は、便宜上、非経口で、たとえば静脈内(たとえば、肘前または他の末梢静脈内)、筋肉
内または皮下に投与される。本開示に係る医薬組成物を用いた静脈内(IV)療法の継続
期間は、治療される疾患の重症度および各個別患者の病態および個人的反応に依存して異
なるであろう。また、本開示に係る医薬組成物を用いた皮下(SC)療法も企図される。
ヘルスケア提供者は、本開示に係る医薬組成物を用いたIVまたはSC療法の適切な継続
期間および療法適用のタイミングを決定するであろう。
【0082】
初発プラーク型乾癬および本明細書に見出される他の障害を治療するための好ましい投
与および治療レジメン(導入および維持レジメンの両方を含む)は、PCT国際出願第P
CT/米国特許出願公開第2011/064307号明細書および同第PCT/IB20
14/063902号明細書(それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)に提
供される。
【0083】
IL-17アンタゴニスト、たとえばIL-17結合分子(たとえば、IL-17抗体
もしくはその抗原結合フラグメント、たとえばセクキヌマブ)またはIL-17レセプタ
ー結合分子(たとえば、IL-17レセプター抗体もしくはその抗原結合フラグメント)
は、患者の静脈内(IV)に、たとえば1週おきに0、2および4週時に約10mg/k
gで投与され得るとともに、その後、患者の皮下(SC)に、たとえば8週時から始めて
毎月1回約75mg~約300mg(たとえば、約150mg、約300mg)で投与さ
れ得る。このようにして、0、2、4週時に約10mg/kgで患者にIV投与し得ると
ともに、次いで8、12、16、20週時などに約150mg~約300mg(たとえば
、約150mg、約300mg)のIL-17アンタゴニスト(たとえば、セクキヌマブ
)が患者にSC投与される。
【0084】
IL-17アンタゴニスト、たとえばIL-17結合分子(たとえば、IL-17抗体
もしくはその抗原結合フラグメント、たとえばセクキヌマブ)またはIL-17レセプタ
ー結合分子(たとえば、IL-17レセプター抗体もしくはその抗原結合フラグメント)
は、たとえば、0、1、2および3週時に約150mg~約300mg(たとえば、約1
50mg、約300mg)で毎週1回患者にSC投与され得るとともに、その後、たとえ
ば4週時から始めて毎月1回約150mg~約300mg(たとえば、約150mg、約
300mg)で患者にSC投与される。このようにして、0、1、2、3、4、8、12
、16、20週時などに約150mg~約300mg(たとえば、約150mg、約30
0mg)のIL-17アンタゴニスト(たとえば、セクキヌマブ)が患者にSC投与され
る。
【0085】
代替的に、IL-17アンタゴニスト、たとえばIL-17結合分子(たとえば、IL
-17抗体もしくはその抗原結合フラグメント、たとえばセクキヌマブ)またはIL-1
7レセプター結合分子(たとえば、IL-17レセプター抗体もしくはその抗原結合フラ
グメント)は、ローディングレジメンを用いることなく患者に投与され得る。たとえば、
4週ごとに(毎月1回)約150mg~約300mg(たとえば、約150mg、約30
0mg)でアンタゴニストを患者にSC投与し得る。このようにして、0、4、8、12
、16、20週時などに約150mg~約300mg(たとえば、約75mg、約150
mg、約300mg)のIL-17アンタゴニスト(たとえば、セクキヌマブ)を患者に
SC投与し得る。
【0086】
特定の患者、たとえばIL-17アンタゴニスト、たとえばIL-17結合分子(たと
えば、IL-17抗体もしくはその抗原結合フラグメント、たとえばセクキヌマブ)また
はIL-17レセプター結合分子(たとえば、IL-17レセプター抗体もしくはその抗
原結合フラグメント)による治療に対して不適正な反応を示し得る患者に用量漸増が必要
とされ得ることは理解されるであろう。そのため、セクキヌマブのSC投与量は、約15
0mg~約300mgSC超、たとえば約80mg、約100mg、約125mg、約1
75mg、約200mg、約250mg、約350mg、約400mg、約450mgな
どであり得るとともに、同様に、IV投与量は、約10mg/kg超、たとえば約11m
g/kg、12mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30m
g/kg、35mg/kgなどであり得る。また、特定の患者、たとえばIL-17アン
タゴニスト(たとえば、IL-17抗体もしくはその抗原結合フラグメント、たとえばセ
クキヌマブ)による治療に対して有害イベントまたは有害反応示す患者に用量低減が必要
とされ得ることも理解されるであろう。そのため、IL-17アンタゴニスト(たとえば
、IL-17抗体もしくはその抗原結合フラグメント、たとえばセクキヌマブ)の投与量
は、約150mg未満~約300mgSC、たとえば約80mg、約100mg、約12
5mg、約175mg、約200mg、250mgなどであり得るとともに、同様に、I
V投与量は、約10mg/kg未満、たとえば約9mg/kg、8mg/kg、5mg/
kg、4mg/kg、3mg/kg、2mg/kg、1mg/kgなどであり得る。いく
つかの実施形態では、IL-17アンタゴニスト、たとえばIL-17結合分子(たとえ
ば、IL-17抗体もしくはその抗原結合フラグメント、たとえばセクキヌマブ)または
IL-17レセプター結合分子(たとえば、IL-17レセプター抗体もしくはその抗原
結合フラグメント)は、150mgまたは300mgのSC送達初回用量で患者に投与さ
れ得るとともに、次いで、その用量は、必要に応じて医師により決定される約450mg
に漸増される。
【0087】
開示された方法、使用およびキットのある実施形態では、誘導期(典型的には、治療の
最初の16週間であるが、使用される薬剤のタイプおよび用量レジメンに依存して24週
まで延長し得る)後かつ維持療法時、PASIの低減が≧75%である場合、治療を変更
することなくは継続可能である。PASIの改善が<50%である場合、治療レジメンを
変更可能である(たとえば、用量増加[150mgから300mgにもしくは300mg
から400mgもしくは450mgに]または頻度増加[たとえば、4週ごとから3週ご
ともしくは2週ごとに])。PASIによる評価で治療反応の改善が≧50%、ただし<
75%である状況では、DLQIが>5である場合に療法を変更可能であるが、DLQI
が≦5である場合に継続可能である。Mrowietz et al.(2011)Ar
ch Dermatol Res.303(1):1-10を参照されたい。
【0088】
投与のタイミングは、セクキヌマブの初回投与日(「ベースライン」としても知られる
)から一般に測定される。しかしながら、ヘルスケア提供者は、表2に示されるように、
異なる命名規約を用いて投与スケジュールを特定することが多い。
【0089】
【表2】
【0090】
特に、0週は、何人かのヘルスケア提供者によれば1週といわれ得るとともに、0日目
は、何人かのヘルスケア提供者によれば1日目といわれ得る。そのため、異なる医師は、
たとえば、3週時/21日目、3週時/22日目、4週時/21日目、4週時/22日目
に行われる投与を指定するであろうが、これらは、同一の投与スケジュールを意味する。
一貫性を保つために、投与の最初の週を本明細書では0週といい、一方、投与の初日を1
日目という。しかしながら、この命名規約は、単に一貫性を保つために用いられるもので
あり、限定するものと解釈すべきでないことは当業者であれば理解されるであろう。すな
わち、毎週1回の投与とは、医師が特定の週を「1週」というかまたは「2週」というか
にかかわらず、週用量のIL-17抗体を提供することである。さらに、好ましい投与レ
ジメンでは、抗体は、0、1、2、3、4、8、12、16、20週時などに投与される
。何人かの提供者は、このレジメンを5週にわたり毎週1回、次いでその後、8週時から
始めて毎月1回(または4週ごとに)といい得るとともに、一方、他の者は、このレジメ
ンを4週にわたり毎週1回、次いでその後、4週時から始めて毎月1回(または4週ごと
に)といい得る。そのため、0、1、2および3週時に患者に注射を施し、続いて4週か
ら始めて毎月1回投与することは、1)0、1、2、3および4週に患者に注射を施し、
続いて8週時から始めて毎月1回投与すること、2)0、1、2、3および4週に患者に
注射を施し、続いて4週ごとに投与すること、および3)0、1、2、3および4週に患
者に注射を施し、続いて毎月投与することと同じであることは当業者であれば分かるであ
ろう。
【0091】
本明細書では、初発プラーク型乾癬を有する患者を治療する方法であって、IL-17
抗体またはその抗原結合フラグメントを、それを必要とする患者に投与することを含む方
法およびそれに使用されるIL-17アンタゴニストが開示される。ただし、IL-17
抗体またはその抗原結合フラグメントは、2つの成熟ヒトIL-17タンパク質鎖を有す
るIL-17ホモダイマーのエピトープに結合し、前記エピトープは、一方の鎖にLeu
74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125
、Pro126、Ile127、Val128、His129、かつ他方の鎖にTyr4
3、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含み、IL-17抗体またはそ
の抗原結合フラグメントは、約100~200pMのKを有し、IL-17抗体または
その抗原結合フラグメントは、約4週間のインビボ半減期を有する。
【0092】
加えて、本明細書では、初発プラーク型乾癬において乾癬疾患慢性性を引き起こす免疫
機序をモジュレートする方法およびそれに使用されるIL-17アンタゴニストが開示さ
れる、ただし、IL-17アンタゴニスト(たとえば、IL-17抗体もしくはその抗原
結合フラグメント、たとえばセクキヌマブ)は、2つの成熟ヒトIL-17タンパク質鎖
を有するIL-17ホモダイマーのエピトープに結合し、前記エピトープは、一方の鎖に
Leu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr
125、Pro126、Ile127、Val128、His129、かつ他方の鎖にT
yr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含み、IL-17抗体ま
たはその抗原結合フラグメントは、約100~200pMのKを有し、IL-17抗体
またはその抗原結合フラグメントは、約4週間のインビボ半減期を有する。
【0093】
加えて、本明細書では、IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントを、それを必
要とする患者に投与することを含む、初発プラーク型乾癬を有する患者の皮膚の組織常在
メモリーT細胞の数を減少させる方法、初発プラーク型乾癬を有する患者の皮膚でインタ
ーロイキン-17(IL-17)および/もしくはインターロイキン-22(IL-22
)を産生するサブセットエフェクターT細胞の数を減少させる方法、初発プラーク型乾癬
を有する患者の皮膚の調節性T細胞の数を減少させる方法、ならびに/または初発プラー
ク型乾癬を有する患者の皮膚の真皮樹状細胞-T細胞アグリゲートの数を減少させる方法
、初発プラーク型乾癬を有する患者において乾癬疾患進行を遅らせる方法、初発プラーク
型乾癬を有する患者において乾癬フレアの重症度を減少させる方法、初発プラーク型乾癬
を有する患者において乾癬フレアの頻度を減少させる方法、ならびに/または初発プラー
ク型乾癬を有する患者において乾癬フレアを予防する方法、さらにはそうしたことに使用
されるIL-17アンタゴニストが開示される。ただし、IL-17抗体またはその抗原
結合フラグメントは、2つの成熟ヒトIL-17タンパク質鎖を有するIL-17ホモダ
イマーのエピトープに結合し、前記エピトープは、一方の鎖にLeu74、Tyr85、
His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、I
le127、Val128、His129、かつ他方の鎖にTyr43、Tyr44、A
rg46、Ala79、Asp80を含み、IL-17抗体またはその抗原結合フラグメ
ントは、約100~200pMのKを有し、IL-17抗体またはその抗原結合フラグ
メントは、約4週間のインビボ半減期を有する。
【0094】
加えて、本明細書では、初発プラーク型乾癬を有する患者を治療するための医薬の製造
に使用されるIL-17アンタゴニスト(たとえば、IL-17抗体またはその抗原結合
フラグメント、たとえばセクキヌマブ)が開示される。ただし、IL-17アンタゴニス
ト(たとえば、IL-17抗体もしくはその抗原結合フラグメント、たとえばセクキヌマ
ブ)は、2つの成熟ヒトIL-17タンパク質鎖を有するIL-17ホモダイマーのエピ
トープに結合し、前記エピトープは、一方の鎖にLeu74、Tyr85、His86、
Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、
Val128、His129、かつ他方の鎖にTyr43、Tyr44、Arg46、A
la79、Asp80を含み、IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントは、約1
00~200pMのKを有し、IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントは、約
4週間のインビボ半減期を有する。
【0095】
加えて、本明細書では、初発プラーク型乾癬患者において乾癬疾患慢性性を引き起こす
免疫機序をモジュレートするための医薬の製造に使用されるIL-17アンタゴニスト(
たとえば、IL-17抗体またはその抗原結合フラグメント、たとえばセクキヌマブ)が
開示される。ただし、IL-17アンタゴニスト(たとえば、IL-17抗体もしくはそ
の抗原結合フラグメント、たとえばセクキヌマブ)は、2つの成熟ヒトIL-17タンパ
ク質鎖を有するIL-17ホモダイマーのエピトープに結合し、前記エピトープは、一方
の鎖にLeu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、
Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129、かつ他方の
鎖にTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含み、IL-17
抗体またはその抗原結合フラグメントは、約100~200pMのKを有し、IL-1
7抗体またはその抗原結合フラグメントは、約4週間のインビボ半減期を有する。
【0096】
加えて、本明細書では、初発プラーク型乾癬を有する患者を治療するための医薬の製造
に使用されるIL-17アンタゴニスト(たとえば、IL-17抗体またはその抗原結合
フラグメント、たとえばセクキヌマブ)が開示される。ただし、医薬は、容器を含むよう
に製剤化され、各容器は、ユニット用量当たり少なくとも約150mg~約300mg(
たとえば、約150mg、約300mg)のIL-17アンタゴニスト(たとえば、IL
-17抗体またはその抗原結合フラグメント、たとえばセクキヌマブ)の皮下送達を可能
にするのに十分な量のIL-17アンタゴニスト(たとえば、IL-17抗体またはその
抗原結合フラグメント、たとえばセクキヌマブ)を有し、さらに、IL-17アンタゴニ
スト(たとえば、IL-17抗体もしくはその抗原結合フラグメント、たとえばセクキヌ
マブ)は、2つの成熟ヒトIL-17タンパク質鎖を有するIL-17ホモダイマーのエ
ピトープに結合し、前記エピトープは、一方の鎖にLeu74、Tyr85、His86
、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127
、Val128、His129、かつ他方の鎖にTyr43、Tyr44、Arg46、
Ala79、Asp80を含み、IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントは、約
100~200pMのKを有し、IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントは、
約4週間のインビボ半減期を有する。
【0097】
加えて、本明細書では、初発プラーク型乾癬患者において乾癬疾患慢性性を引き起こす
免疫機序をモジュレートするための医薬の製造に使用されるIL-17アンタゴニスト(
たとえば、IL-17抗体またはその抗原結合フラグメント、たとえばセクキヌマブ)が
開示される。ただし、医薬は、容器を含むように製剤化され、各容器は、ユニット用量当
たり少なくとも約150mg~約300mg(たとえば、約150mg、約300mg)
のIL-17アンタゴニスト(たとえば、IL-17抗体またはその抗原結合フラグメン
ト、たとえばセクキヌマブ)の皮下送達を可能にするのに十分な量のIL-17アンタゴ
ニスト(たとえば、IL-17抗体またはその抗原結合フラグメント、たとえばセクキヌ
マブ)を有し、さらに、IL-17アンタゴニスト(たとえば、IL-17抗体もしくは
その抗原結合フラグメント、たとえばセクキヌマブ)は、2つの成熟ヒトIL-17タン
パク質鎖を有するIL-17ホモダイマーのエピトープに結合し、前記エピトープは、一
方の鎖にLeu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124
、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129、かつ他方
の鎖にTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含み、IL-1
7抗体またはその抗原結合フラグメントは、約100~200pMのKを有し、IL-
17抗体またはその抗原結合フラグメントは、約4週間のインビボ半減期を有する。
【0098】
本明細書で用いられる場合、「[指定用量]の[投与経路]送達を可能にする投与量で
製剤化される」という語句は、所与の医薬組成物を用いて指定投与経路(たとえば、SC
またはIV)を介して所望の用量のIL-17アンタゴニスト、たとえばIL-17抗体
、たとえばセクキヌマブを提供することを意味するものとして用いられる。例として、所
望の皮下用量が300mgである場合、臨床医は、150mg/mlの濃度を有する2m
lのIL-17抗体製剤、300mg/mlの濃度を有する1mlのIL-17抗体製剤
、600mg/mlの濃度を有する0.5mlのIL-17抗体製剤などを使用し得る。
それぞれのかかる場合、これらのIL-17抗体製剤は、IL-17抗体の皮下送達を可
能にするのに十分な程度に高い濃度である。皮下送達は、典型的には約2ml以下の体積
、好ましくは約1ml以下の体積の送達を必要とする。好ましい製剤は、約25mg/m
L~約150mg/mLセクキヌマブ、約10mM~約30mMヒスチジンpH5.8、
約200mM~約225mMトレハロース、約0.02%ポリソルベート80および約2
.5mM~約20mMメチオニンを含む液体医薬組成物である。
【0099】
本明細書で用いられる場合、「[指定用量]の送達を可能にするのに十分な量のIL-
17アンタゴニストを有する容器」という語句は、所望の用量を提供すべく使用可能な体
積のIL-17アンタゴニスト(たとえば、医薬組成物の一部として)が所与の容器(た
とえば、バイアル、ペン、シリンジ)に配設されていることを意味するものとして用いら
れる。例として、所望の用量が150mgである場合、臨床医は、75mg/mlの濃度
を有するIL-17抗体製剤を含有する容器から2ml、150mg/mlの濃度を有す
るIL-17抗体製剤を含有する容器から1ml、300mg/mlの濃度を有するIL
-17抗体製剤を含有する容器から0.5mlを使用し得る。それぞれのかかる場合、こ
れらの容器は、所望の150mg用量の送達を可能にするのに十分な量のIL-17アン
タゴニストを有する。
【0100】
加えて、本明細書では、0、1、2、3および4週の皮下注射により、続いて毎月1回
の投与により、約150mg~約300mgの用量(たとえば、150mgまたは300
mg)のIL-17抗体またはその抗原結合フラグメントを患者に投与することを含む、
初発乾癬患者が乾癬性関節炎を発生する可能性を減少させる方法、初発乾癬患者において
乾癬性関節炎の発症を遅延する方法、および初発乾癬患者において乾癬から乾癬性関節炎
への進行を予防する方法、さらにはそうしたことに使用されるIL-17アンタゴニスト
が開示される。
【0101】
開示された使用、方法およびキットのいくつかの実施形態では、患者は、マイルドなプ
ラーク型乾癬を有する。開示された使用、方法およびキットのいくつかの実施形態では、
患者は、中度~重度のプラーク型乾癬を有する。開示された使用、方法およびキットのい
くつかの実施形態では、患者は、乾癬の全身治療で以前に治療されていない。開示された
使用、方法およびキットのいくつかの実施形態では、患者は、生物剤ナイーブである。開
示された使用、方法およびキットのいくつかの実施形態では、患者は、外用剤ナイーブで
ある。開示された使用、方法およびキットのいくつかの実施形態では、患者は、乾癬の光
線療法で以前に治療されていない。
【0102】
開示された使用、方法およびキットのいくつかの実施形態では、0、1、2および3週
に皮下(SC)注射により、続いて4週から始めて毎月1回の投与により、約150mg
~約300mgのIL-17抗体またはその抗原結合フラグメントが患者に投与される。
開示された使用、方法およびキットのいくつかの実施形態では、0、1、2および3週に
SC注射により、続いて4週から始めて毎月1回の投与により、約150mgのIL-1
7抗体またはその抗原結合フラグメントが患者に投与される。開示された使用、方法およ
びキットのいくつかの実施形態では、0、1、2および3週にSC注射により、続いて4
週から始めて毎月1回の投与により、約300mgのIL-17抗体またはその抗原結合
フラグメントが患者に投与される。
【0103】
いくつかの実施形態では、4週ごとにIL-17抗体を投与する工程では、約5μg/
ml~約70μg/ml、約5μg/ml~約33μg/mlまたは約11μg/ml~
約70μg/mlの平均定常状態トラフレベルでIL-17抗体が提供される。
【0104】
開示された使用、方法およびキットのいくつかの実施形態では、IL-17抗体または
その抗原結合フラグメントは、i)配列番号8として示されるアミノ酸配列を含む免疫グ
ロブリン重鎖可変ドメイン(V)、ii)配列番号10として示されるアミノ酸配列を
含む免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(V)、iii)配列番号8として示されるアミ
ノ酸配列を含む免疫グロブリンVドメインおよび配列番号10として示されるアミノ酸
配列を含む免疫グロブリンVドメイン、iv)配列番号1、配列番号2および配列番号
3として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン、v)配列番号4、配列
番号5および配列番号6として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン、
vi)配列番号11、配列番号12および配列番号13として示される超可変領域を含む
免疫グロブリンVドメイン、vii)配列番号1、配列番号2および配列番号3として
示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン、ならびに配列番号4、配列番号
5および配列番号6として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン、vi
ii)配列番号11、配列番号12および配列番号13として示される超可変領域を含む
免疫グロブリンVドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5および配列番号6として
示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン、ix)配列番号14として示さ
れるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖、x)配列番号15として示されるアミノ酸
配列を含む免疫グロブリン重鎖、またはxi)配列番号14として示されるアミノ酸配列
を含む免疫グロブリン軽鎖および配列番号15として示されるアミノ酸配列を含む免疫グ
ロブリン重鎖を含む。
【0105】
本開示のいくつかの実施形態では、IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントは
、モノクローナル抗体である。本開示のいくつかの実施形態では、IL-17抗体または
その抗原結合フラグメントは、ヒト抗体またはヒト化抗体である。本開示のいくつかの実
施形態では、IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト抗体である。本開
示のいくつかの実施形態では、IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントは、Ig
サブタイプのヒト抗体である。いくつかの実施形態では、IL-17抗体またはその
抗原結合フラグメントは、κ軽鎖を有する。本開示のいくつかの実施形態では、IL-1
7抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgGκタイプのヒト抗体である。本開示
のいくつかの実施形態では、IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントは、セクキ
ヌマブである。
【0106】
いくつかの実施形態では、IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントの用量は、
患者の体重が>または≧90kgである場合、約300mgである。いくつかの実施形態
では、IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントの用量は、患者の体重が>または
≧100kgである場合、約300mgである。いくつかの実施形態では、IL-17抗
体またはその抗原結合フラグメントの用量は、患者の体重が<または≦90kgである場
合、約150mgである。いくつかの実施形態では、IL-17抗体またはその抗原結合
フラグメントの用量は、患者の体重が<または≦100kgである場合、約150mgで
ある。
【0107】
いくつかの実施形態では、IL-17抗体(たとえば、セクキヌマブ)の用量は、約1
50mgであり、IL-17抗体(たとえば、セクキヌマブ)は、液体医薬製剤に含まれ
、1mlの医薬製剤は、キット内に配設されたプレ充填シリンジ、注射ペンまたはオート
インジェクター内に配設され、キットは、使用説明書をさらに含む。いくつかの実施形態
では、IL-17抗体(たとえば、セクキヌマブ)の用量は、約150mgであり、IL
-17抗体(たとえば、セクキヌマブ)は、150mg/mlの濃度で液体医薬製剤に含
まれ、1mlの医薬製剤は、キットに配設されたオートインジェクター内に配設され、キ
ットは、使用説明書をさらに含む。
【0108】
いくつかの実施形態では、IL-17抗体(たとえば、セクキヌマブ)の用量は、約3
00mgであり、IL-17抗体(たとえば、セクキヌマブ)は、150mg/mlの濃
度で液体医薬製剤に含まれ、医薬製剤は、キットに配設されたプレ充填シリンジ、注射ペ
ンまたはオートインジェクター内に配設され、キットは、使用説明書をさらに含む。いく
つかの実施形態では、IL-17抗体(たとえば、セクキヌマブ)の用量は、約300m
gであり、IL-17抗体(たとえば、セクキヌマブ)は、150mg/mlの濃度で液
体医薬製剤に含まれ、2mlの医薬製剤は、キットに配設されたオートインジェクター内
に配設され、キットは、使用説明書をさらに含む。
【0109】
いくつかの実施形態では、患者は、≧3のベースラインIGAスコアを有する。いくつ
かの実施形態では、患者は、≧12のベースラインPASIスコアを有する。いくつかの
実施形態では、患者は、≧10%のベースラインBSAを有する。セクキヌマブによる治
療に反応する患者のPASIおよびIGAスコアは、Langley et al.(2
014)N Engl J Med 371:326-38(その全体が参照により本明
細書に組み込まれる)に見出され得る。
【0110】
開示された使用、方法およびキットのいくつかの実施形態では、開示された方法に従っ
て治療された患者(たとえば、成人患者)の少なくとも60%、少なくとも67%、少な
くとも70%、少なくとも71%、少なくとも77%または少なくとも81%は、12週
でPASI75を達成する。
【0111】
いくつかの実施形態では、開示された方法に従って治療された患者(たとえば、成人患
者)の少なくとも50%、少なくとも51%、少なくとも62%または少なくとも65%
は、12週で治験医師による修正グローバルアセスメント(IGA)の反応が0または1
である。
【0112】
開示された使用、方法およびキットのいくつかの実施形態では、開示された方法に従っ
て治療された患者(たとえば、成人患者)の少なくとも35%、少なくとも39%、少な
くとも41%、少なくとも54%または少なくとも59%は、12週でPASI90を達
成する。
【0113】
いくつかの実施形態では、開示された方法に従って治療された患者(たとえば、成人患
者)の少なくとも10%、少なくとも12%、少なくとも14%、少なくとも24%また
は少なくとも28%は、12週でPASI100を達成する。
【0114】
いくつかの実施形態では、開示された方法は、中度~重度の慢性プラーク乾癬を有する
患者集団を治療するために使用され、前記患者の少なくとも60%、少なくとも67%、
少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも77%または少なくとも81%は、治
療の12週で少なくともPASI75反応を達成する。
【0115】
いくつかの実施形態では、開示された方法は、中度~重度の慢性プラーク乾癬を有する
患者集団を治療するために使用され、前記患者の少なくとも50%、少なくとも51%、
少なくとも62%または少なくとも65%は、治療の12週で治験医師による修正グロー
バルアセスメント(IGA)の反応0または1を達成する。
【0116】
いくつかの実施形態では、開示された方法は、中度~重度の慢性プラーク乾癬を有する
患者集団を治療するために使用され、前記患者の少なくとも35%、少なくとも39%、
少なくとも41%、少なくとも54%または少なくとも59%は、治療の12週で少なく
ともPASI90反応を達成する。
【0117】
いくつかの実施形態では、開示された方法は、中度~重度の慢性プラーク乾癬を有する
患者集団を治療するために使用され、前記患者の少なくとも10%、少なくとも12%、
少なくとも14%、少なくとも24%または少なくとも28%は、治療の12週でPAS
I100反応を達成する。加えて、本明細書では、中度~重度の初発プラーク型乾癬を有
する患者を治療する方法であって、0、1、2および3週に皮下注射により、続いて4週
から始めて毎月1回の投与により、約150mgのセクキヌマブを患者に投与することを
含む方法が開示される。ただし、患者は、生物剤ナイーブである。加えて、本明細書では
、中度~重度の初発プラーク型乾癬を有する患者を治療する方法であって、0、1、2お
よび3週に皮下注射により、続いて4週から始めて毎月1回の投与により、約300mg
のセクキヌマブを患者に投与することを含む方法が開示される。ただし、患者は、生物剤
ナイーブである。
【0118】
加えて、本明細書では、中度~重度の慢性プラーク乾癬を治療する方法であって、0、
1、2、3および4週時に、次いでその後、毎月1回、150mgまたは300mgのセ
クキヌマブを早発性の中度~重度の慢性プラーク乾癬を有する成人患者に皮下投与するこ
とを含む方法が開示される。ただし、中度~重度の慢性プラーク乾癬を有する患者集団を
治療するために前記方法を使用した場合、前記患者の少なくとも60%、少なくとも67
%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも77%または少なくとも81%は
、治療の12週で少なくともPASI75反応を達成する。好ましくは、患者は、生物剤
ナイーブである。
【0119】
加えて、本明細書では、中度~重度の慢性プラーク乾癬を治療する方法であって、0、
1、2、3および4週時に、次いでその後、毎月1回、150mgまたは300mgのセ
クキヌマブを早発性の中度~重度の慢性プラーク乾癬を有する成人患者に皮下投与するこ
とを含む方法が開示される。ただし、中度~重度の慢性プラーク乾癬を有する患者集団を
治療するために前記方法を使用した場合、前記患者の少なくとも50%、少なくとも51
%、少なくとも62%または少なくとも65%は、治療の12週で治験医師による修正グ
ローバルアセスメント(IGA)の反応0または1を達成する。好ましくは、患者は、生
物剤ナイーブである。
【0120】
加えて、本明細書では、中度~重度の慢性プラーク乾癬を治療する方法であって、0、
1、2、3および4週時に、次いでその後、毎月1回、150mgまたは300mgのセ
クキヌマブを早発性の中度~重度の慢性プラーク乾癬を有する成人患者に皮下投与するこ
とを含む方法が開示される。ただし、中度~重度の慢性プラーク乾癬を有する患者集団を
治療するために前記方法を使用した場合、前記患者の少なくとも35%、少なくとも39
%、少なくとも41%、少なくとも54%または少なくとも59%は、治療の12週で少
なくともPASI90反応を達成する。好ましくは、患者は、生物剤ナイーブである。
【0121】
加えて、本明細書では、中度~重度の慢性プラーク乾癬を治療する方法であって、0、
1、2、3および4週時に、次いでその後、毎月1回、150mgまたは300mgのセ
クキヌマブを早発性の中度~重度の慢性プラーク乾癬を有する成人患者に皮下投与するこ
とを含む方法が開示される。ただし、中度~重度の慢性プラーク乾癬を有する患者集団を
治療するために前記方法を使用した場合、前記患者の少なくとも10%、少なくとも12
%、少なくとも14%、少なくとも24%または少なくとも28%は、治療の12週でP
ASI100反応を達成する。好ましくは、患者は、生物剤ナイーブである。
【0122】
加えて、本明細書では、中度~重度の初発プラーク型乾癬を有する患者において乾癬疾
患慢性性を引き起こす免疫機序をモジュレートする方法であって、0、1、2および3週
に皮下注射により、続いて4週から始めて毎月1回の投与により、約150mgまたは約
300mgのセクキヌマブを患者に投与することを含む方法が開示される。ただし、患者
は、生物剤ナイーブであり、患者は、生物剤ナイーブである。加えて、本明細書では、中
度~重度の初発プラーク型乾癬を有する患者の病変皮膚の組織常在メモリー細胞の数を低
減する方法であって、0、1、2および3週に皮下注射により、続いて4週から始めて毎
月1回の投与により、約150mgまたは約300mgのセクキヌマブを患者に投与する
ことを含む方法が開示される。ただし、患者は、生物剤ナイーブである。
【0123】
加えて、本明細書では、0、1、2、3および4週に皮下注射により、続いて毎月1回
の投与により、約150mg~約300mgの用量のIL-17抗体またはその抗原結合
フラグメントを患者に投与することを含む、初発乾癬患者が乾癬性関節炎を発生する可能
性を減少させる方法、初発乾癬患者において乾癬性関節炎の発症を遅延する方法、および
初発乾癬患者において乾癬から乾癬性関節炎への進行を予防する方法、さらにはそうした
ことに使用するためのIL-17アンタゴニストが開示される。
【0124】
加えて、本明細書では、壊疽性膿皮症、魚鱗癬、酒さ(たとえば、丘疹膿疱性酒さ)、
毛孔性紅色粃糠疹、毛孔性扁平苔癬、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、円形
脱毛症またはヒトパピローマウイルス(HPV)症を治療する方法であって、0、1、2
、3および4週に皮下注射により、続いて毎月1回の投与により、約150mgまたは約
300mgのセクキヌマブを患者に投与することを含む方法が開示される。加えて、本明
細書では、壊疽性膿皮症、魚鱗癬、酒さ(たとえば、丘疹膿疱性酒さ)、毛孔性扁平苔癬
、毛孔性紅色粃糠疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、円形脱毛症またはヒ
トパピローマウイルス(HPV)症を治療する方法であって、4週ごとに(毎月1回)皮
下注射により約150mgまたは約300mgのセクキヌマブを患者に投与することを含
む方法が開示される。
【0125】
キット
本開示はまた、初発プラーク型乾癬を治療するためのキットを包含する。かかるキット
は、IL-17アンタゴニスト、たとえばIL-17結合分子(たとえば、IL-17抗
体もしくはその抗原結合フラグメント、たとえばセクキヌマブ)またはIL-17レセプ
ター結合分子(たとえば、IL-17抗体もしくはその抗原結合フラグメント)(たとえ
ば、液体形態または凍結乾燥形態)あるいはIL-17アンタゴニストを含む医薬組成物
(以上に記載のもの)を含む。加えて、かかるキットは、IL-17アンタゴニストを投
与するための手段(たとえば、オートインジェクター、シリンジ、プレ充填シリンジ、プ
レ充填ペンおよびバイアル)ならびに使用説明書を含み得る。これらのキットは、包含さ
れるIL-17アンタゴニスト、たとえばIL-17結合分子、たとえばIL-17抗体
、たとえばセクキヌマブと組み合わせて送達するために、初発プラーク型乾癬を治療する
ための追加の治療用乾癬剤(以上に記載のもの)を含有し得る。かかるキットはまた、初
発プラーク型乾癬患者を治療するためのIL-17アンタゴニスト(たとえば、IL-1
7抗体、たとえばセクキヌマブ)の投与に関する説明書も含み得る。かかる説明書は、包
含されるIL-17アンタゴニスト、たとえばIL-17結合分子、たとえばIL-17
抗体、たとえばセクキヌマブとともに使用するために、用量(たとえば、10mg/kg
、75mg、150mg、300mg)、投与経路(たとえば、IV、SC)および投与
レジメン(たとえば、1週おきに0、2および4週時にその後は8週時から始めて毎月1
回、毎週1回0、1、2および3週時にその後は4週時から始めて毎月1回(4週ごとに
)など)を提供し得る。
【0126】
「投与するための手段」という語句は、薬剤を患者に全身投与するために利用可能な任
意の用具、たとえば、限定されるものではないが、プレ充填シリンジ、バイアルおよびシ
リンジ、注射ペン、オートインジェクター、IVドリップおよびバッグ、ポンプなどを示
唆するために用いられる。かかるアイテムを用いれば、患者は、薬剤を自己投与し得るか
(すなわち医師の補助を受けずに薬剤を投与し得る)、または医師は、薬剤を投与し得る
【0127】
本明細書では、初発プラーク型乾癬患者において乾癬疾患慢性性を引き起こす免疫機序
をモジュレートする際および/または初発プラーク型乾癬を有する患者を治療する際に使
用されるキットであって、IL-17アンタゴニスト(たとえば、IL-17結合分子、
たとえばIL-17抗体またはその抗原結合フラグメント、たとえばセクキヌマブ)を含
むキットが開示される。いくつかの実施形態では、キットは、IL-17アンタゴニスト
を患者に投与するための手段をさらに含む。いくつかの実施形態では、キットは、IL-
17アンタゴニストの投与に関する説明書をさらに含む。この説明書は、IL-17アン
タゴニスト(たとえば、IL-17結合分子、たとえばIL-17抗体またはその抗原結
合フラグメント、たとえばセクキヌマブ)が約150mg~約300mg(たとえば、約
150mgまたは約300mg)で毎週1回0、1、2および3週時にSCで、その後、
約150mg~約300mg(たとえば、約150mg、約300mg)で4週時に始め
て毎月1回(4週ごとに)SCで患者に投与されることを示唆する。いくつかの実施形態
では、説明書は、用量漸増を提供するであろう(たとえば、約150mgまたは約300
mgの用量から必要に応じて医師により決定される約450mgのより高用量に)。
【0128】
一般的事項
開示された方法、治療、医薬、レジメン、使用およびキットの好ましい実施形態では、
IL-17アンタゴニストは、IL-17結合分子である。好ましい実施形態では、IL
-17結合分子は、IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントである。開示された
方法、治療、レジメン、使用およびキットのいくつかの実施形態では、IL-17抗体ま
たはその抗原結合フラグメントは、a)Leu74、Tyr85、His86、Met8
7、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val1
28、His129を含むヒトIL-17のエピトープに結合するIL-17抗体または
その抗原結合フラグメント、b)Tyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、A
sp80を含むヒトIL-17のエピトープに結合するIL-17抗体またはその抗原結
合フラグメント、c)2つの成熟ヒトIL-17タンパク質鎖を有するIL-17ホモダ
イマーのエピトープに結合するIL-17抗体またはその抗原結合フラグメント(ただし
、前記エピトープは、一方の鎖にLeu74、Tyr85、His86、Met87、A
sn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、
His129、かつ他方の鎖にTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、As
p80を含む)、d)2つの成熟ヒトIL-17タンパク質鎖を有するIL-17ホモダ
イマーのエピトープに結合するIL-17抗体またはその抗原結合フラグメント(ただし
、前記エピトープは、一方の鎖にLeu74、Tyr85、His86、Met87、A
sn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、
His129、かつ他方の鎖にTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、As
p80を含み、IL-17結合分子は、約100~200pMのKを有し、IL-17
結合分子は、約23~約35日間のインビボ半減期を有する)およびe)i)配列番号8
として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(V)、ii)配
列番号10として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(V
、iii)配列番号8として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVドメインお
よび配列番号10として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVドメイン、iv
)配列番号1、配列番号2および配列番号3として示される超可変領域を含む免疫グロブ
リンVドメイン、v)配列番号4、配列番号5および配列番号6として示される超可変
領域を含む免疫グロブリンVドメイン、vi)配列番号11、配列番号12および配列
番号13として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン、vii)配列番
号1、配列番号2および配列番号3として示される超可変領域を含む免疫グロブリンV
ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5および配列番号6として示される超可変領域
を含む免疫グロブリンVドメイン、viii)配列番号11、配列番号12および配列
番号13として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン、ならびに配列番
号4、配列番号5および配列番号6として示される超可変領域を含む免疫グロブリンV
ドメイン、ix)配列番号14として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖、
x)配列番号15として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖、またはxi)
配列番号14として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖および配列番号15
として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖を含む、IL-17抗体またはそ
の抗原結合フラグメントからなる群から選択される。
【0129】
開示された方法、キットまたは使用のいくつかの実施形態では、IL-17抗体または
その抗原結合フラグメントは、モノクローナル抗体である。開示された方法、キットまた
は使用のいくつかの実施形態では、IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントは、
ヒト抗体またはヒト化抗体、好ましくはヒト抗体である。開示された方法、キットまたは
使用のいくつかの実施形態では、IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントは、I
gGアイソタイプのヒト抗体である。開示された方法、キットまたは使用のいくつかの
実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、セクキヌマブである。
【0130】
本開示の1つ以上の実施形態の詳細は、付随する以上の説明に示される。本明細書に記
載のものと類似のまたは均等な任意の方法および材料を本開示の実施または試験に使用可
能であるが、好ましい方法および材料を次に記載する。本開示の他の特徴、目的および利
点は、説明および特許請求の範囲から明らかになるであろう。本明細書および添付の特許
請求の範囲では、単数形は、特に文脈上明確な規定がない限り複数形の参照を含む。特に
定義がない限り、本明細書で用いられる科学技術用語のすべては、本開示が属する技術分
野の当業者により一般に理解されているものと同一の意味を有する。本明細書に列挙され
た特許および刊行物のすべては、参照により組み込まれる。以下の実施例は、本開示の好
ましい実施形態をより詳細に例示するために提示される。これらの実施例は、添付の特許
請求の範囲により規定される開示された患者事項の範囲を決して限定するものと解釈すべ
きではない。
【実施例0131】
実施例1:イミキモド皮膚および耳炎症
イミキモドは、ヒトパピローマウイルスにより引き起こされる生殖器疣贅および会陰疣
贅の局所治療に使用される。この療法の臨床適応は、他のウイルス関連皮膚異常、さらに
は前癌皮膚病変および癌性皮膚病変、たとえば化学線角化症および表在性基底細胞癌の治
療を含むようにさらに拡大されてきた。臨床上、イミキモドは、化学線角化症および表在
性基底細胞癌の局所治療時に以前に疾患が良好にコントロールされた患者において乾癬を
悪化させる可能性があることが見出された。乾癬のイミキモド誘発悪化は、治療領域およ
び興味深いことに以前に疾患の影響を受けなかった離れた皮膚部位の両方で起こる。その
ため、乾癬に類似した皮膚病変を生じるイミキモドクリームによるマウスの処置は、疾患
プロセスの早期に推定抗乾癬療法を研究するために使用可能である(van der F
its et al.(2009)J.Immunol 182:5836-5845)
【0132】
A.全身送達
雌Balb/cマウス(8~10週齢)を皮膚炎症モデルに使用した。5%イミキモド
含有クリームまたは媒体クリームをマウスの剃毛背中に毎日適用した(全イミキモド用量
12.5mg/マウス)。ディジタルキャリパーを用いて背中の皮膚厚さを毎日測定した
【0133】
クリームの初回適用を基準にして-3、0、4、7および11日目に腹腔内注射により
抗IL-17Abを投与した。0日目(ベースライン)に対する各時間点での%変化とし
て皮膚厚さを計算し、媒体クリーム、イミキモドクリームおよびAbの処置群の曲線下面
積(AUC)グラフを得た。Excelスプレッドシートを用いてイミキモド群AUC(
0%阻害)と対比して各処置群AUCで個別動物のパーセント阻害を計算した。
【0134】
図1に示されるように、-3、0、4、7および11日目に100mg/kgでi.p
.投与した抗IL-17Abによる治療では、皮膚腫脹AUC[0~14日間]が22.
94±12.25%阻害された。そのため、IL-17抗体によるイミキモド誘発皮膚厚
さの早期全身治療は、このモデルで皮膚厚さを低減する。
【0135】
B.局所送達
雌Balb/cマウス(8~10週齢)を耳炎症モデルに使用した。5%イミキモド含
有クリームをマウス(全イミキモド用量12.5mg/マウス)の両耳に毎日適用した。
ディジタルキャリパーを用いて両耳の耳厚さを毎日測定して平均した。
【0136】
クリームの初回適用を基準にして-3日目に100mg/kgで皮下注射により単回用
量として抗IL-17Abを投与した。0日目(ベースライン)に対する各時間点での%
変化として耳厚さを計算し、イミキモドクリームおよびAbの治療群の曲線下面積(AU
C)グラフを得た。Excelスプレッドシートを用いてイミキモド群AUC(0%阻害
)と対比して各治療群で個別動物のAUCパーセント阻害を計算した。
【0137】
図2に示されるように、-3日目にのみ100mg/kgでs.c.投与した抗IL-
17Abによる治療では、耳介腫脹AUC[0~10日間]が25.50±2.28%阻
害された。p<0.05(対応のないt検定)。そのため、IL-17抗体によるイミ
キモド誘発耳厚さの早期局所治療は、このモデルで耳厚さを低減する。
【0138】
まとめると、IL-17抗体による初発乾癬の早期治療(局所送達または全身送達)は
、乾癬時に起こるプラーク型皮膚病変に関連付けられる炎症(たとえば、厚さおよび/ま
たは腫脹)を低減し得ることが、イミキモドモデル試験のデータから示唆される。
【0139】
実施例2:IL23誘発耳介腫脹
IL-17およびIL22を産生するTh17細胞の発生を駆動するサイトカインIL
-23は、乾癬の病理発生に機能的に関与することが提案されてきた。(たとえば、va
n der Fits et al.(2009)J.Immunol 182:583
6-5845を参照されたい)。乾癬皮膚病変ではIL-23の発現が増加し、数の増加
したTh17細胞が存在する。マウス皮膚内にIL-23の皮内注射を行うと、紅斑、混
合炎症浸潤物および表皮過形成を生じるとともに、注射を繰り返した後に注射部位に腫脹
を生じる。IL-23およびIL-17は、両方とも乾癬の進行にクリティカルであるこ
とが明らかになっているため、早期乾癬の治療に有用であり得る療法を研究するために簡
便かつ迅速な方法としてIL-23耳注射マウスモデルも使用可能である。
【0140】
0日目に雌Balb/cマウス(約20g)の右耳介に10μlのPBS中の1μgの
IL-23を、かつ左耳介(対照耳)に10μlのPBSのみをi.d.注射した。2、
5および7日目にIL-23およびPBSによる耳注射を繰り返した。0、5、7および
8日目にディジタルキャリパーを用いて耳厚さを測定した。
【0141】
0日目の最初の耳注射の1日前に抗IL-17Ab治療剤またはアイソタイプ対照Ab
治療剤を単回用量として30mg/kgでi.p.投与した。右耳介腫脹を左耳介腫脹と
の比として計算してR/L耳介腫脹比を時間に対してプロットすることにより、対照群お
よび治療群の曲線下面積(AUC)グラフを得た。Excelスプレッドシートを用いて
対照群AUC(0%阻害)と対比して各治療群で個別動物のAUCパーセント阻害を計算
した。
【0142】
図3に示されるように、-1日目にのみ30mg/kgでi.p.投与した抗IL-1
7Abによる治療では、耳介腫脹AUC[0~8日間]が38.57±3.98%阻害さ
れた。***p<0.001(対応のあるt検定)。このことから、IL-17抗体によ
る初発乾癬の早期治療は、乾癬時に起こるプラーク型皮膚病変に関連付けられる炎症(た
とえば、腫脹)を低減し得ることが示唆される。
【0143】
実施例3:疾患継続期間によるセクキヌマブ治療に対する乾癬患者の反応の分析
2つの第3相二重盲検52週試験ERASURE(乾癬における2つの固定セクキヌマ
ブレジメンの反応有効性および安全性、CAIN457A2302)およびFIXTUR
E(乾癬における有効性を決定するための2つの投与レジメンを用いたセクキヌマブ対エ
タネルセプトの通年研究試験、CAIN457A2303)の設計の詳細および結果は、
Langley et al.(2014)N Engl J Med 371:326
-38に提示される。12週でPASI75基準を満たした患者の割合は、プラセボまた
はエタネルセプトのときよりも各セクキヌマブ用量のときの方が高かった:ERASUR
E試験では、PASI75レートは、300mgのセクキヌマブのときに81.6%、1
50mgのセクキヌマブのときに71.6%およびプラセボのときに4.5%であり、F
IXTURE試験では、レートは、300mgのセクキヌマブのときに77.1%、15
0mgのセクキヌマブのときに67.0%、エタネルセプトのときに44.0%およびプ
ラセボのときに4.9%であった(各セクキヌマブ用量対コンパレーターに対してP<0
.001)。12週で治験医師による修正グローバルアセスメント(IGA)の反応が0
または1であった患者の割合は、プラセボまたはエタネルセプトのときよりも各セクキヌ
マブ用量のときの方が高かった:ERASURE試験では、レートは、300mgのセク
キヌマブのときに65.3%、150mgのセクキヌマブのときに51.2%およびプラ
セボのときに2.4%であり、FIXTURE試験では、レートは、300mgのセクキ
ヌマブのときに62.5%、150mgのセクキヌマブのときに51.1%、エタネルセ
プトのとき27.2%およびプラセボのときに2.8%であった(各セクキヌマブ用量対
コンパレーターに対してP<0.001)。セクキヌマブのときの感染率は、両方の試験
ともプラセボのときよりも高く、エタネルセプトのときと類似していた。
【0144】
PASI75、PASI90およびPASI100ならびにIGA0/1の反応レート
に及ぼすセクキヌマブ150mgおよび300mgの影響が乾癬疾患経歴の異なるステー
ジで患者のサブグループによって異なるかを決定するために、ERASUREおよびFI
XTUREのデータを再分析した。次の3つのサブグループを分析した。すなわち、≦2
年、2~≦10年、および≧10年に中度~重度の乾癬を有すると診断された試験登録時
の対象である。ERASUREおよびFIXTUREにおける患者が最初に乾癬と診断さ
れてからの期間(年数)のまとめを以下の表3に与える。
【0145】
【表3】
【0146】
図5に示されるように、52週で、セクキヌマブ150mg治療のとき、PASI10
0を除いて、反応のパーセントは短期サブグループ(すなわち治療前の≦2年に乾癬と診
断された患者)が最も高い。一貫性を有して中期患者サブグループ(すなわち2~≦10
年に乾癬と診断された患者)および長期患者サブグループ(すなわち≧10年に乾癬と診
断された患者)がこれに続いた。そのため、150mgセクキヌマブによる治療後、より
進行した疾患を有する患者と比較してPASI75/90およびIGA0/1の改善を達
成する短期患者のレスポンダーのレートがより大きい。治療前に≦2年の乾癬継続時間を
有する患者(n=30)のうちの14名は、以前に非生物剤全身療法で治療され、患者は
、すべて生物剤ナイーブかつ外用剤ナイーブであった。さらなる分析では、治療前に≦1
年の乾癬継続時間を有する患者(n=7)のうちの2名は、以前に非生物剤全身療法で治
療され、患者は、すべて生物剤ナイーブかつ局所剤ナイーブであったことが示された。
【0147】
図6に示されるように、52週で、セクキヌマブ300mg治療のとき、PASI75
およびPASI100に関して、短期(≦2年)対非短期(>2年)のレスポンダーのレ
ート間差は、わずか1.1%である。しかしながら、PASI90およびIGA0/1に
関して、短期サブグループのレスポンダーのパーセントは、中期および長期サブグループ
よりも高い。そのため、300mgセクキヌマブによる治療後、より進行した疾患を有す
る患者と比較してPASI90およびIGA0/1の改善を達成する短期患者のレスポン
ダーのレートがより大きい。治療前に≦2年の乾癬継続時間を有する患者(n=33)の
うちの22名は、以前に非生物剤全身療法で治療され、患者は、すべて生物剤ナイーブか
つ外用剤ナイーブであった。さらなる分析では、治療前に≦1年の乾癬継続時間を有する
患者(n=11)のうちの8名は、以前に非生物剤全身療法で治療され、患者は、すべて
生物剤ナイーブかつ外用剤ナイーブであったことが示された。
【0148】
300mgセクキヌマブを用いて中度~重度の乾癬を治療する試験CAIN457A2
317で患者の類似の分析を行った。興味深いことに、この分析では、短期サブグループ
により達成された改善のレートは、より進行した疾患を有す患者で観測されたレートに匹
敵した(データは示されていない)。しかしながら、CAIN457A2317では、治
療前に≦2年の乾癬継続時間を有する患者は、15名のみであり、この試験ではサブグル
ープ間の比較が困難であったことに留意しなければならない。治療前に≦2年の乾癬継続
時間を有する患者(n=15)のうちの8名は、以前に非生物剤全身療法で治療され、1
名は、以前に生物剤全身療法で治療された。さらなる分析では、治療前に≦1年の乾癬継
続時間を有する患者(n=5)のうちの4名は、以前に非生物剤全身療法で治療され、患
者は、すべて生物剤ナイーブであったことが示された。
【0149】
【表4】
【0150】
【表5】
【0151】
【表6】
【0152】
【表7】
【0153】
【表8】
【0154】
【表9】
【0155】
【表10】
【0156】
【表11】
【0157】
【表12】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【配列表】
2024001125000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-11-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中度~重度の初発プラーク型乾癬を有する患者を治療するための医薬組成物であって、0、1、2および3週に皮下注射により、続いて4週から始めて毎月1回の投与により、約150mgまたは約300mgのセクキヌマブがそれを必要とする患者に投与される、医薬組成物。
【請求項2】
前記患者は、生物剤ナイーブである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
0、1、2および3週に皮下注射により、続いて4週から始めて毎月1回の投与により、約300mgのセクキヌマブを前記患者に投与することを含む、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
中度~重度の初発プラーク型乾癬を有する患者の病変皮膚の組織常在メモリー細胞の数を低減するための医薬組成物であって、0、1、2および3週に皮下注射により、続いて4週から始めて毎月1回の投与により、約150mgまたは約300mgのセクキヌマブが、それを必要とする患者に投与され、前記患者は、生物剤ナイーブである、医薬組成物。
【請求項5】
初発プラーク型乾癬を有する患者を治療するための医薬組成物であって、治療有効量のIL-17抗体またはその抗原結合フラグメントが、それを必要とする患者に投与され、前記IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントは、2つの成熟ヒトIL-17タンパク質鎖を有するIL-17ホモダイマーのエピトープに結合し、前記エピトープは、一方の鎖にLeu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129、かつ他方の鎖にTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含み、前記IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントは、約100~200pMのKDを有し、前記IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントは、約4週間のインビボ半減期を有する、医薬組成物。
【請求項6】
初発プラーク型乾癬を有する患者の皮膚で乾癬疾患慢性性を引き起こす免疫機序をモジュレートするための医薬組成物であって、治療有効量のIL-17抗体またはその抗原結合フラグメントが、それを必要とする患者に投与され、前記IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントは、2つの成熟ヒトIL-17タンパク質鎖を有するIL-17ホモダイマーのエピトープに結合し、前記エピトープは、一方の鎖にLeu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129、かつ他方の鎖にTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含み、前記IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントは、約100~200pMのKDを有し、前記IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントは、約4週間のインビボ半減期を有する、医薬組成物。
【請求項7】
前記患者は、中度~重度の初発プラーク型乾癬を有する、請求項5または6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記患者は、以前に乾癬の全身治療で治療されていない、請求項5~7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記患者は、生物剤ナイーブである、請求項5~7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記患者は、以前に乾癬の光線療法で治療されていない、請求項5~9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
0、1、2および3週に皮下注射により、続いて4週から始めて毎月1回の投与により、約150mg~約300mgの前記IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントが前記患者に投与される、請求項5~10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
0、1、2および3週に皮下注射により、続いて4週から始めて毎月1回の投与により、約150mgの前記IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントが前記患者に投与される、請求項5~11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
0、1、2および3週に皮下注射により、続いて4週から始めて毎月1回の投与により、約300mgの前記IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントが前記患者に投与される、請求項5~11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントは、
i)配列番号8として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH)、
ii)配列番号10として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL)、
iii)配列番号8として示される前記アミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインおよび配列番号10として示される前記アミノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメイン、
iv)配列番号1、配列番号2および配列番号3として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVHドメイン、
v)配列番号4、配列番号5および配列番号6として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVLドメイン、
vi)配列番号11、配列番号12および配列番号13として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVHドメイン、
vii)配列番号1、配列番号2および配列番号3として示される前記超可変領域を含む免疫グロブリンVHドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5および配列番号6として示される前記超可変領域を含む免疫グロブリンVLドメイン、
viii)配列番号11、配列番号12および配列番号13として示される前記超可変領域を含む免疫グロブリンVHドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5および配列番号6として示される前記超可変領域を含む免疫グロブリンVLドメイン、
ix)配列番号14として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖、
x)配列番号15として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖、または
xi)配列番号14として示される前記アミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖および配列番号15として示される前記アミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖
を含む、請求項5~13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト抗体またはヒト化抗体である、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントは、セクキヌマブである、請求項15に記載の医薬組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0157
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0157】
【表12】
本願は以下の態様にも関する。
(1)中度~重度の初発プラーク型乾癬を有する患者を治療する方法であって、0、1、2および3週に皮下注射により、続いて4週から始めて毎月1回の投与により、約150mgまたは約300mgのセクキヌマブを前記患者に投与することを含む方法。
(2)前記患者は、生物剤ナイーブである、前記(1)に記載の方法。
(3)0、1、2および3週に皮下注射により、続いて4週から始めて毎月1回の投与により、約300mgのセクキヌマブを前記患者に投与することを含む、前記記載の方法。
(4)中度~重度の初発プラーク型乾癬を有する患者の病変皮膚の組織常在メモリー細胞の数を低減する方法であって、0、1、2および3週に皮下注射により、続いて4週から始めて毎月1回の投与により、約150mgまたは約300mgのセクキヌマブを前記患者に投与することを含み、前記患者は、生物剤ナイーブである、方法。
(5)初発プラーク型乾癬を有する患者を治療する方法であって、治療有効量のIL-17抗体またはその抗原結合フラグメントを、それを必要とする患者に投与することを含み、前記IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントは、2つの成熟ヒトIL-17タンパク質鎖を有するIL-17ホモダイマーのエピトープに結合し、前記エピトープは、一方の鎖にLeu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129、かつ他方の鎖にTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含み、前記IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントは、約100~200pMのK D を有し、前記IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントは、約4週間のインビボ半減期を有する、方法。
(6)初発プラーク型乾癬を有する患者の皮膚で乾癬疾患慢性性を引き起こす免疫機序をモジュレートする方法であって、治療有効量のIL-17抗体またはその抗原結合フラグメントを、それを必要とする患者に投与することを含み、前記IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントは、2つの成熟ヒトIL-17タンパク質鎖を有するIL-17ホモダイマーのエピトープに結合し、前記エピトープは、一方の鎖にLeu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129、かつ他方の鎖にTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含み、前記IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントは、約100~200pMのK D を有し、前記IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントは、約4週間のインビボ半減期を有する、方法。
(7)前記患者は、中度~重度の初発プラーク型乾癬を有する、前記(5)または(6)に記載の方法。
(8)前記患者は、以前に乾癬の全身治療で治療されていない、前記(5)~(7)のいずれかに記載の方法。
(9)前記患者は、生物剤ナイーブである、前記(5)~(7)のいずれかに記載の方法。
(10)前記患者は、以前に乾癬の光線療法で治療されていない、前記(5)~(9)のいずれかに記載の方法。
(11)0、1、2および3週に皮下注射により、続いて4週から始めて毎月1回の投与により、約150mg~約300mgの前記IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントを前記患者に投与することを含む、前記(5)~(10)のいずれかに記載の方法。
(12)0、1、2および3週に皮下注射により、続いて4週から始めて毎月1回の投与により、約150mgの前記IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントを前記患者に投与することを含む、前記(5)~(11)のいずれかに記載の方法。
(13)0、1、2および3週に皮下注射により、続いて4週から始めて毎月1回の投与により、約300mgの前記IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントを前記患者に投与することを含む、前記(5)~(11)のいずれかに記載の方法。
(14)前記IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントは、
i)配列番号8として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(V H )、
ii)配列番号10として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(V L )、
iii)配列番号8として示される前記アミノ酸配列を含む免疫グロブリンV H ドメインおよび配列番号10として示される前記アミノ酸配列を含む免疫グロブリンV L ドメイン、
iv)配列番号1、配列番号2および配列番号3として示される超可変領域を含む免疫グロブリンV H ドメイン、
v)配列番号4、配列番号5および配列番号6として示される超可変領域を含む免疫グロブリンV L ドメイン、
vi)配列番号11、配列番号12および配列番号13として示される超可変領域を含む免疫グロブリンV H ドメイン、
vii)配列番号1、配列番号2および配列番号3として示される前記超可変領域を含む免疫グロブリンV H ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5および配列番号6として示される前記超可変領域を含む免疫グロブリンV L ドメイン、
viii)配列番号11、配列番号12および配列番号13として示される前記超可変領域を含む免疫グロブリンV H ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5および配列番号6として示される前記超可変領域を含む免疫グロブリンV L ドメイン、
ix)配列番号14として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖、
x)配列番号15として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖、または
xi)配列番号14として示される前記アミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖および配列番号15として示される前記アミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖
を含む、前記(5)~(13)のいずれかに記載の方法。
(15)前記IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト抗体またはヒト化抗体である、前記(14)に記載の方法。
(16)前記IL-17抗体またはその抗原結合フラグメントは、セクキヌマブである、前記(15)に記載の方法。