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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112511
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】アクチュエータ装置
(51)【国際特許分類】
   F16C 33/10 20060101AFI20240814BHJP
   F16C 17/02 20060101ALI20240814BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
F16C33/10 A
F16C17/02 Z
H02K7/116
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017578
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】田中 真平
【テーマコード(参考)】
3J011
5H607
【Fターム(参考)】
3J011AA07
3J011BA02
3J011CA01
3J011DA01
3J011JA02
3J011KA02
3J011LA01
3J011MA05
3J011PA03
3J011RA02
3J011SB19
5H607AA04
5H607BB01
5H607BB09
5H607BB14
5H607CC03
5H607DD02
5H607DD03
5H607EE31
5H607GG09
5H607GG10
5H607GG25
(57)【要約】
【課題】幅広い回転領域で円滑に回転軸を支持する。
【解決手段】アクチュエータ装置1は、ケース2内に収容された回転体の回転軸56を支持する滑り軸受60を備える。更に、この滑り軸受60には、潤滑油Oが含浸された含油ブッシュ70が用いられる。そして、回転軸56の周面56sには、その含油ブッシュ70に支持された位置にグリスGを供給するためのグリス供給溝90が設けられる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース内に収容された回転体の回転軸を支持する滑り軸受を備え、
前記滑り軸受は、潤滑油が含浸された含油ブッシュであるとともに、
前記回転軸の周面には、前記含油ブッシュに支持された位置にグリスを供給するためのグリス供給溝が設けられているアクチュエータ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のアクチュエータ装置において、
前記グリスは前記潤滑油よりも粘度が高いこと、を特徴とするアクチュエータ装置。
【請求項3】
請求項1に記載のアクチュエータ装置において、
前記グリスを貯留するグリス溜まりを備えるとともに、前記グリス溜まり内に臨む位置に前記グリス供給溝が延在していること、を特徴とするアクチュエータ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のアクチュエータ装置において、
前記含油ブッシュに隣接する軸方向位置に前記グリス溜まりが設けられていること、
を特徴とするアクチュエータ装置。
【請求項5】
請求項4に記載のアクチュエータ装置において、
前記回転軸の軸端部が前記グリス溜まり内に配置されていること、
を特徴とするアクチュエータ装置。
【請求項6】
請求項1~請求項5の何れか一項に記載のアクチュエータ装置において、
前記回転軸の軸方向に沿って平行に延びる複数の前記グリス供給溝を備えること、
を特徴とするアクチュエータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ケース内に収容された回転体を備えるアクチュエータ装置には、例えば、特許文献1のように、その回転軸の軸受部に転がり軸受を用いたものがある。また、このようなアクチュエータ装置には、例えば、特許文献2のように、その回転軸の軸受部に滑り軸受を用いたものがある。そして、このような滑り軸受として、例えば、筒状に形成された粉体金属の焼結体に潤滑油を含浸させた含油ブッシュを用いることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-11616号公報
【特許文献2】特開2008-208932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のようなアクチュエータ装置の多くは、そのケース内に収容された回転体の回転速度が大きく変動する。このため、低速域から高速域まで、より幅広い回転領域で円滑に回転軸を支持することのできる軸受構造が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するアクチュエータ装置の各態様を記載する。
態様1のアクチュエータ装置は、ケース内に収容された回転体の回転軸を支持する滑り軸受を備え、前記滑り軸受は、潤滑油が含浸された含油ブッシュであるとともに、前記回転軸の周面には、前記含油ブッシュに支持された位置にグリスを供給するためのグリス供給溝が設けられている。
【0006】
上記構成によれば、高速域においては、その支持する回転軸の回転に基づき含浸された潤滑油が筒内に滲み出す含油ブッシュの機能によって、高い潤滑性を確保することができる。更に、低速域においても、グリス供給溝を介して供給されるグリスによって、その含油ブッシュによる回転軸の支持位置に高い潤滑性を付与することができる。そして、これにより、低速域から高速域まで、より幅広い回転領域で円滑に回転軸を支持することができる。
【0007】
態様2のアクチュエータ装置は、態様1のアクチュエータ装置において、前記グリスは前記潤滑油よりも粘度が高い。
上記構成によれば、低速域において、より高い潤滑性を確保することができる。
【0008】
態様3のアクチュエータ装置は、態様1又は態様2のアクチュエータ装置において、前記グリスを貯留するグリス溜まりを備えるとともに、前記グリス溜まり内に臨む位置に前記グリス供給溝が延在している。
【0009】
上記構成によれば、簡素な構成にて、効率よく、グリス供給溝を介して、そのグリス溜まりに貯留されたグリスを含油ブッシュによる回転軸の支持位置に供給することができる。
【0010】
態様4のアクチュエータ装置は、態様3のアクチュエータ装置において、前記含油ブッシュに隣接する軸方向位置に前記グリス溜まりが設けられている。
上記構成によれば、そのグリス溜まり及びグリス供給溝を用いたグリスの供給構造をコンパクトに形成することができる。そして、より効率よく、その含油ブッシュによる回転軸の支持位置にグリスを供給することができる。
【0011】
態様5のアクチュエータ装置は、態様4のアクチュエータ装置において、前記回転軸の軸端部が前記グリス溜まり内に配置されている。
上記構成によれば、簡素な構成にて、容易に、グリス漏れの生じ難いグリス溜まりを形成することができる。
【0012】
態様6のアクチュエータ装置は、態様1~態様5の何れか一つに記載のアクチュエータ装置において、前記回転軸の軸方向に沿って平行に延びる複数の前記グリス供給溝を備える。
【0013】
上記構成によれば、例えば、転造等の塑性加工等を用いて、容易に、その回転軸の周面に複数のグリス供給溝を形成することができる。そして、これにより、効率よく、その回転軸が含油ブッシュに支持された位置にグリスを供給することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、幅広い回転領域で円滑に回転軸を支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】アクチュエータ装置の正面図である。
図2】アクチュエータ装置の背面図である。
図3】アクチュエータ装置の側面図である。
図4】アクチュエータ装置の断面図である。
図5】滑り軸受を用いた軸受部近傍の断面図である。
図6】回転軸の斜視図である。
図7】滑り軸受を用いた軸受部近傍の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、アクチュエータ装置に関する一実施形態を図面に従って説明する。
図1図4に示すように、本実施形態のアクチュエータ装置1は、扁平略箱状のケース2を備えている。また、このアクチュエータ装置1は、駆動源となるモータ3と、このモータ3の回転を減速する減速機構4と、を備えている。そして、本実施形態のアクチュエータ装置1は、これらのモータ3及び減速機構4を、そのケース2内に収容する構成となっている。
【0017】
(ケース)
詳述すると、本実施形態のアクチュエータ装置1は、第1及び第2のケース部材11,12と、これら第1及び第2のケース部材11,12に挟み込まれる中間部材13と、を備えている。そして、本実施形態のアクチュエータ装置1においては、これらの構成部品を互いに締結することにより、そのモータ3及び減速機構4を収容する内部空間20を有したケース2が形成されている。
【0018】
具体的には、本実施形態のアクチュエータ装置1において、中間部材13は、互いに相反する方向に開口する第1及び第2の開口部21,22を有した無蓋無底の扁平略箱型形状をなしている。更に、第1のケース部材11は、第1の開口部21を覆う状態で、中間部材13に固定されるとともに、第2のケース部材12は、第2の開口部22を覆う状態で、その中間部材13に固定されている。そして、本実施形態のアクチュエータ装置1は、これにより、第1及び第2のケース部材11,12が中間部材13を挟み込む状態で、そのケース2の内部空間20が形成される構成となっている。
【0019】
さらに詳述すると、本実施形態の中間部材13は、その第1の開口部21と第2の開口部22との間の位置において、これらの第1及び第2の開口部21,22を覆う第1及び第2のケース部材11,12に対向する中間壁部23を備えている。更に、本実施形態のケース2においては、この中間壁部23が内部空間20を区画する態様で、第1及び第2の収容室31,32が形成されている。そして、本実施形態のアクチュエータ装置1は、その第1のケース部材11側に形成された第1の収容室31内にモータ3を収容するとともに、その第2のケース部材12側に形成された第2の収容室32内に減速機構4を収容する構成となっている。
【0020】
(モータ)
図4に示すように、本実施形態のモータ3は、環状をなすステータ35と、このステータ35の内側で回転するロータ36と、を備えたインナーロータ型の構成を有している。更に、このモータ3は、ロータ36側にマグネット37を有したブラシレスモータとしての構成を有している。そして、本実施形態のアクチュエータ装置1は、第1のケース部材11に対向する中間壁部23の第1面23aにステータ35が固定された状態で、その中間壁部23及び第1のケース部材11が形成する第1の収容室31側にモータ3を収容する構成となっている。
【0021】
詳述すると、本実施形態のアクチュエータ装置1は、第1のケース部材11に設けられた第1の軸受部41と、第2のケース部材12に設けられた第2の軸受部42と、を備えている。尚、本実施形態のアクチュエータ装置1において、これら第1及び第2の軸受部41,42は、ともに転がり軸受44としての構成を有している。また、本実施形態のアクチュエータ装置1は、そのケース2の中間壁部23に設けられた挿通孔45を備えている。更に、本実施形態のアクチュエータ装置1においては、その第1のケース部材11に設けられた第1の軸受部41と第2のケース部材12に設けられた第2の軸受部42とが、この挿通孔45を挟んで互いに対向する位置に配置されている。そして、本実施形態のアクチュエータ装置1は、その中間壁部23に設けられた挿通孔45に対してモータ3の回転軸50が挿通される。つまり、ケース2内に収容された回転体であるロータ36の回転軸50が中間壁部23の挿通孔45に挿通された状態で、その回転軸50を第1及び第2のケース部材11,12に設けられた第1及び第2の軸受部41,42が回転自在に支持する構成になっている。
【0022】
(減速機構)
また、本実施形態のアクチュエータ装置1においては、上記のように中間壁部23に設けられた挿通孔45を介して第2の収容室32内に突出したモータ3の回転軸50に、その減速機構4を構成する第1のギヤ部材51が設けられている。更に、本実施形態のアクチュエータ装置1は、この第1のギヤ部材51に噛合する第2のギヤ部材52と、この第2のギヤ部材52とともに一体回転する第3のギヤ部材53と、この第3のギヤ部材53に噛合する第4のギヤ部材54と、を備えている。そして、本実施形態のアクチュエータ装置1は、この第4のギヤ部材54の回転軸55を介して、その減速機構4を構成する第1~第4のギヤ部材51~54により減速したモータ3の回転をケース2外に出力する構成になっている。
【0023】
詳述すると、本実施形態のアクチュエータ装置1において、第2及び第3のギヤ部材52,53は、共通の回転軸56に固定されることにより、軸方向に並ぶ状態で、その中間壁部23と第2のケース部材12との間の第2の収容室32内に配置されている。そして、本実施形態のアクチュエータ装置1は、これらの中間壁部23及び第2のケース部材12に設けられた一対の軸受部57a,57bによって、その回転軸56を回転自在に軸支する構成になっている。
【0024】
具体的には、本実施形態のアクチュエータ装置1において、中間壁部23側の軸受部57aには、転がり軸受58が用いられている。そして、第2のケース部材12側の軸受部57bには、滑り軸受60が用いられている。
【0025】
また、本実施形態のアクチュエータ装置1においては、第4のギヤ部材54の回転軸55も同様に、その中間壁部23及び第2のケース部材12に設けられた一対の軸受部61a,61bによって回転自在に軸支されている。そして、これらの軸受部61a,61bについてもまた、その中間壁部23側の軸受部61aに転がり軸受62を用いるとともに、その第2のケース部材12側の軸受部61bに滑り軸受63を用いる構成となっている。
【0026】
更に、本実施形態のアクチュエータ装置1においては、これらの両軸受部61a,61bに軸支された回転軸55の軸方向一端側が、その第2のケース部材12に設けられた孔部64を介してケース2外に突出する。そして、本実施形態のアクチュエータ装置1は、このケース2の外側に配置された回転軸55の軸方向端部55xを、その出力部65に利用する構成となっている。
【0027】
(滑り軸受構造)
図5に示すように、本実施形態のアクチュエータ装置1は、第2及び第3のギヤ部材52,53をケース2内に収容された回転体として、その回転軸56の軸受部57bとなる滑り軸受60に含油ブッシュ70を用いる構成となっている。
【0028】
詳述すると、本実施形態のアクチュエータ装置1において、この含油ブッシュ70は、粉体金属を焼結してなる筒状の焼結体を用いて構成されている。即ち、このような粉体金属の焼結体は、その焼結された粉体金属間に微細な隙間が存在する多孔性の構造を有したものとなる。そして、本実施形態の含油ブッシュ70は、これを利用して、その筒状の焼結体に潤滑油Oを含浸させることにより形成されている。
【0029】
本実施形態のアクチュエータ装置1において、この含油ブッシュ70は、その筒内に回転軸56が挿通された状態で第2のケース部材12に保持されている。更に、この含油ブッシュ70は、筒内に挿通された回転軸56が回転することにより、この含油ブッシュ70に含浸された潤滑油Oが、その筒内に滲み出すように構成されている。そして、本実施形態のアクチュエータ装置1は、これにより、この含油ブッシュ70が滑り軸受60として機能することで、円滑に、その第2及び第3のギヤ部材52,53の回転軸56を支持することのできる構成となっている。
【0030】
さらに詳述すると、本実施形態のアクチュエータ装置1において、この滑り軸受60としての含油ブッシュ70は、その回転軸56の軸端部56x近傍を支持する。また、本実施形態のアクチュエータ装置1は、第2のケース部材12に設けられたグリス溜まり80を備えている。本実施形態のアクチュエータ装置1において、このグリス溜まり80は、回転軸56の軸端部56xを内側に配置する状態で、その含油ブッシュ70に隣接する軸方向位置に設けられている。また、回転軸56の周面56sには、この回転軸56が含油ブッシュ70に支持された位置から、その軸端部56xに延設された複数の溝部85が設けられている。即ち、これらの各溝部85は、それぞれ、そのグリス溜まり80内に臨む位置に延設されている。そして、本実施形態のアクチュエータ装置1は、これにより、これらの各溝部85が、グリス溜まり80に貯留されたグリスGを、その回転軸56が含油ブッシュ70に支持された位置に供給するグリス供給溝90として機能する構成になっている。
【0031】
具体的には、図6及び図7に示すように、本実施形態のアクチュエータ装置1は、含油ブッシュ70に支持される回転軸56の軸方向に沿って略平行に延在する状態で、その回転軸56の周面56sに略均等間隔で設けられた4本の溝部85を備えている。更に、本実施形態のアクチュエータ装置1において、そのグリス溜まり80には、含油ブッシュ70に含浸された潤滑油Oよりも粘度の高いグリスGが貯留されている。そして、本実施形態のアクチュエータ装置1は、これにより、そのグリス供給溝90となる各溝部85を介して、含油ブッシュ70による回転軸56の支持位置に、この含油ブッシュ70に含浸された潤滑油Oとは別のグリスGを供給する構成になっている。
【0032】
(作用)
即ち、含油ブッシュ70に支持された回転軸56が高速で回転する状態にある場合には、この含油ブッシュ70に含浸された潤滑油Oが、安定的に、その回転軸56の支持面を構成する含油ブッシュ70の筒内に供給される。そして、含油ブッシュ70の筒内に滲み出す潤滑油Oの量が低下しやすい低速回転領域においても、回転軸56の周面56sに設けられたグリス供給溝90を介して、その含油ブッシュ70に支持された位置に粘度の高いグリスGが供給される。
【0033】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)アクチュエータ装置1は、ケース2内に収容された回転体となる第2及び第3のギヤ部材52,53の回転軸56を支持する滑り軸受60を備える。更に、この滑り軸受60には、潤滑油Oが含浸された含油ブッシュ70が用いられる。そして、回転軸56の周面56sには、その含油ブッシュ70に支持された位置にグリスGを供給するためのグリス供給溝90が設けられる。
【0034】
上記構成によれば、高速域においては、その支持する回転軸56の回転に基づき含浸された潤滑油Oが筒内に滲み出す含油ブッシュ70の機能によって、高い潤滑性を確保することができる。更に、低速域においても、グリス供給溝90を介して供給されるグリスGによって、その含油ブッシュ70による回転軸56の支持位置に高い潤滑性を付与することができる。そして、これにより、低速域から高速域まで、より幅広い回転領域で円滑に回転軸56を支持することができる。
【0035】
(2)特に、潤滑油OよりもグリスGの粘度が高いことにより、低速域において、より高い潤滑性を確保することができる。
(3)アクチュエータ装置1は、グリスGを貯留するグリス溜まり80を備えるとともに、このグリス溜まり80内に臨む位置にグリス供給溝90が延在する。
【0036】
上記構成によれば、簡素な構成にて、効率よく、グリス供給溝90を介して、そのグリス溜まり80に貯留されたグリスGを含油ブッシュ70による回転軸56の支持位置に供給することができる。
【0037】
(4)含油ブッシュ70に隣接する軸方向位置にグリス溜まり80が設けられている。
上記構成によれば、そのグリス溜まり80及びグリス供給溝90を用いたグリスGの供給構造をコンパクトに形成することができる。そして、より効率よく、その含油ブッシュ70による回転軸56の支持位置にグリスGを供給することができる。
【0038】
(5)回転軸56の軸端部56xがグリス溜まり80内に配置されている。
上記構成によれば、簡素な構成にて、容易に、グリスG漏れの生じ難いグリス溜まり80を形成することができる。
【0039】
(6)アクチュエータ装置1は、回転軸56の軸方向に沿って平行に延びる複数のグリス供給溝90を備える。
上記構成によれば、例えば、転造等の塑性加工等を用いて、容易に、その回転軸56の周面56sに対して複数のグリス供給溝90を形成することができる。そして、これにより、効率よく、その回転軸56が含油ブッシュ70に支持された位置にグリスGを供給することができる。
【0040】
(7)含油ブッシュ70は、粉体金属の焼結体を用いて構成される。
上記構成によれば、その多孔質構造を利用して、容易に潤滑油Oを含浸させることができる。
【0041】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0042】
・上記実施形態では、減速機構4を構成する第2及び第3のギヤ部材52,53をケース2内に収容された回転体として、その回転軸56の軸受部57bとなる滑り軸受60に含油ブッシュ70を用いることとした。しかし、これに限らず、滑り軸受60を用いてケース2内に収容された回転体の回転軸56を支持する構成であれば、例えば、プーリ等、ギヤ部材以外の駆動伝達部材を回転体として、その回転軸56を支持する構成に適用してもよい。そして、その回転体が必ずしも減速機構4を構成するものでなくともよい。例えば、モータ3を回転体として、その回転軸50を支持する構成に適用してもよい。
【0043】
・上記実施形態では、グリス供給溝90として、その回転軸56の周面56sに略均等間隔で設けられた4本の溝部85を備える。そして、これらの各溝部85が、その回転軸56の軸方向に沿って略平行に延在することとした。しかし、これに限らず、回転軸56の周面56sに形成するグリス供給溝90の数は、任意に変更してもよい。そして、例えば、螺旋状等、そのグリス供給溝90を構成する溝部85の形状についてもまた、任意に変更してもよい。
【0044】
・上記実施形態では、含油ブッシュ70に隣接する軸方向位置にグリス溜まり80が設けられる。そして、その回転軸56の軸端部56xがグリス溜まり80内に配置されることとした。しかし、これに限らず、例えば、回転軸56の軸端部56xが、そのグリス溜まり80を形成する第2のケース部材12を貫通して設けられる構成であってもよい。更に、グリス供給溝90との間にグリスGの供給経路を形成可能あれば、そのグリス溜まり80の配置には任意に変更してもよい。例えば、回転軸56の軸端部56xから軸方向に離間した位置に、そのグリス溜まり80が設けられた構成であってもよい。そして、例えば、含油ブッシュ70に対し、その筒形状の壁部を径方向に貫通する態様でグリスGの供給経路を設ける等、必ずしも、そのグリス溜まり80内に臨む位置にグリス供給溝90が延在していなくともよい。
【0045】
・上記実施形態では、粉体金属の焼結体を用いて含油ブッシュ70が形成されることとした。しかし、これに限らず、例えば、その他の多孔質性セラミックを用いる等、含油ブッシュ70の構成については、任意に変更してもよい。
【0046】
・上記実施形態では、ケース2の構成部材である第2のケース部材12にグリス溜まり80が設けられることとした。しかし、これに限らず、ケース2の構成部材とは別体に設けられたグリス溜まり80を備える構成であってもよい。
【0047】
・滑り軸受60に含油ブッシュ70を用いる構成であれば、アクチュエータ装置1以外に適用してもよい。
・アクチュエータ装置1は、例えば、パワースライドドア装置等の開閉体駆動装置に用いることができる。そして、例えば、グリルシャッタ等の空力装置や、リッド装置等、その他用途の駆動源に用いることができる。
【0048】
・上記実施形態では、潤滑油Oよりも粘度の高いグリスGが利用されることとした。しかし、これに限らず、潤滑油Oと粘度が同等、又は、潤滑油Oよりも粘度の低いグリスGを利用してもよい。
【0049】
次に、上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
(イ)前記含油ブッシュは、粉体金属の焼結体を用いて構成されること、を特徴とするアクチュエータ装置。これにより、その多孔質構造を利用して、容易に潤滑油を含浸させることができる。
【0050】
(ロ)回転体の回転軸を支持する滑り軸受を備え、前記滑り軸受は、潤滑油が含浸された含油ブッシュであるとともに、前記回転軸の周面には、前記含油ブッシュに支持された位置にグリスを供給するためのグリス供給溝が設けられている滑り軸受構造。
【符号の説明】
【0051】
1…アクチュエータ装置
2…ケース
52…第2のギヤ部材(回転体)
53…第3のギヤ部材(回転体)
56…回転軸
56s…周面
60…滑り軸受
70…含油ブッシュ
90…グリス供給溝
O…潤滑油
G…グリス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7