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  • 特開-粘着ラベル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112522
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】粘着ラベル
(51)【国際特許分類】
   G09F 3/02 20060101AFI20240814BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
G09F3/02 A
G09F3/02 B
B32B27/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017596
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 彩佳
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AK41C
4F100AK42B
4F100AL05C
4F100AT00B
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10D
4F100BA10E
4F100CB05A
4F100EJ91E
4F100JA05C
4F100JB09C
4F100JJ10D
4F100YY00C
(57)【要約】
【課題】低温(70℃程度)のアルカリ水溶液において感熱記録層を短時間で脱離(剥離)できるとともに、容器の材質に応じて貼り付けた状態のままか、剥がした状態のいずれかでリサイクルすることができ、かつ、感熱性に優れる粘着ラベルを提供する。
【解決手段】粘着剤層15と、基材層16と、脱離コート層14と、感熱記録層13と、をこの順に有し、脱離コート層14が酸価10KOHmg/g以上であり、ガラス転移温度Tgが0℃以上70℃以下である水性ポリエステル系樹脂を含む脱離コート層形成用組成物から形成されてなることを特徴とする、粘着ラベル10を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着剤層と、基材層と、脱離コート層と、感熱記録層と、をこの順に有し、
前記脱離コート層が酸価10KOHmg/g以上であり、ガラス転移温度Tgが0℃以上70℃以下である水性ポリエステル系樹脂を含む脱離コート層形成用組成物から形成されてなることを特徴とする、粘着ラベル。
【請求項2】
前記水性ポリエステル系樹脂の数平均分子量が1,000以上15,000以下であることを特徴とする、請求項1に記載の粘着ラベル。
【請求項3】
前記水性ポリエステル系樹脂がカルボキシル基を有することを特徴とする、請求項1に記載の粘着ラベル。
【請求項4】
さらに、保護層を、前記基材層と相対する前記感熱記録層上に有することを特徴とする、請求項1に記載の粘着ラベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境汚染、石油資源の枯渇等の問題から、ポリエステル系容器のリサイクル化が強く望まれている。ポリエステル系容器の中でも、特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)ボトルのリサイクル化が望まれている。
【0003】
ポリエステル系容器のマテリアルリサイクル化においては、通常容器をフレーク状に破砕した後、加熱溶融して全体を均質化し、得られた再生樹脂をポリエステル系容器の素材として用いるものである。
【0004】
通常、PETボトルのようなポリエステル系容器には、その表面に様々な情報が記録された粘着ラベル(ラベルとも称する)が貼り付けられている。このようなラベル付PETボトル等のポリエステル系容器をマテリアルリサイクル化する際に、ラベルの樹脂基材とポリエステル系容器を構成する樹脂とが相溶性を有しない場合には、ラベルを構成する樹脂基材及び粘着剤が異物として作用し、再生樹脂の機械特性が低下するという問題が生じる。したがって、このような場合には、ポリエステル系容器に貼り付けられているラベルを剥離してから、フレーク状に破砕し、加熱溶融することが必要である。しかしながら、ポリエステル系容器からラベルを剥離する操作は、極めて煩雑で手間がかかるとともにリサイクル処理費が高くなり、作業上も経済上も不利になるという問題が生じている。
【0005】
これに関連して、例えば下記の特許文献1には、被着体であるポリエステル系容器と相溶性を有するポリエステル系の樹脂基材の片面にアルカリ水溶液による洗浄浸漬によって基材より剥離可能であるとともに印刷適性を有するコート層を設け、かつ反対面にポリエステル系粘着剤層を設けてなる粘着ラベルが開示されている。
【0006】
このような構成とすることで、アルカリ水溶液で洗浄浸漬することによって、表面コート、インク層が容易に剥離され、かつPETボトル等の樹脂成形品と同素材からなるポリエステル系の粘着剤を使用することにより、ラベルを剥がすことなくPETボトル等の成形品の再生処理を可能にするとある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000-010489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように、PETボトルのようなポリエステル系容器のリサイクルにおいて、被着体に印刷されたポリエステル系の粘着ラベルが貼り付けられた状態では、基材や粘着剤層と被着体の相溶性は高い。
しかし、印刷部や、印刷部の代わりに感熱記録層が積層されている場合は、印刷部や感熱記録層は不純物となるため、リサイクル効率が下がる。このため、感熱記録層をアルカリ水溶液の洗浄の際に脱離させる必要があり、感熱記録層を短時間で脱離させた後に、粘着ラベルを貼り付けた状態のままリサイクル処理を行うことができる粘着ラベルが求められている。
【0009】
一方で、ガラス製の容器の場合は、粘着ラベルを貼り付けた状態のままリサイクル処理を行うことはできない。また、プラスチック容器の場合も、容器と相溶性の低い材料を使用した粘着ラベルが貼られている場合は、粘着ラベルを貼り付けた状態のままリサイクル処理を行うことはできない。これらのような場合は、容器から粘着ラベルを剥がして容器のリサイクルを行うが、剥がされたラベルも別途リサイクルしたいという要望がある。この場合も感熱記録層は不純物となるため、やはり感熱記録層を短時間で脱離させる必要がある。
また、上記の容器の材質や粘着ラベルの材質に関係なく、感熱記録層を含むラベルに情報を記録する際には感熱性に優れることが求められる。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するために発明されたものであり、低温(70℃程度)のアルカリ水溶液において感熱記録層を短時間で脱離(剥離)できるとともに、容器の材質に応じて貼り付けた状態のままか、剥がした状態のいずれかでリサイクルすることができる粘着ラベルを提供することを目的とする。また、本発明の他の目的は、感熱性に優れた粘着ラベルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明者は鋭意検討を行い、粘着剤層と、基材層と、脱離コート層と、感熱記録層と、をこの順に有する粘着ラベルにおいて、脱離コート層を、酸価及びガラス転移温度Tgがそれぞれ所定の数値範囲内である水性ポリエステル系樹脂を含む脱離コート層形成用組成物から形成することで、低温(70℃程度)のアルカリ水溶液において感熱記録層を短時間で脱離(剥離)できるとともに、容器の材質に応じて貼り付けた状態のままか、剥がした状態のいずれかでリサイクルすることができ、かつ、感熱性に優れる粘着ラベルとすることができ、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下のものを提供する。
【0012】
(1)本発明の第1の態様は、粘着剤層と、基材層と、脱離コート層と、感熱記録層と、をこの順に有し、前記脱離コート層が酸価10KOHmg/g以上であり、ガラス転移温度Tgが0℃以上70℃以下である水性ポリエステル系樹脂を含む脱離コート層形成用組成物から形成されてなることを特徴とする、粘着ラベルである。
【0013】
(2)本発明の第2の態様は、(1)に記載の粘着ラベルであって、前記水性ポリエステル系樹脂の数平均分子量が1,000以上15,000以下であることを特徴とするものである。
【0014】
(3)本発明の第3の態様は、(1)に記載の粘着ラベルであって、前記水性ポリエステル系樹脂がカルボキシル基を有することを特徴とするものである。
【0015】
(4)本発明の第4の態様は、(1)に記載の粘着ラベルであって、さらに、保護層を、前記基材層と相対する前記感熱記録層上に有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、低温(70℃程度)のアルカリ水溶液において感熱記録層を短時間で脱離(剥離)できるとともに、容器の材質に応じて貼り付けた状態のままか、剥がした状態のいずれかでリサイクルすることができ、かつ、感熱性に優れる粘着ラベルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る粘着ラベルを示す断面模式図である。
図2】本発明の他の実施形態に係る粘着ラベルを示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0019】
また、本明細書において、特記しない限り、操作及び物性等は、室温(20℃以上25℃以下)/相対湿度45%RH以上55%RH以下の条件で測定する。
【0020】
粘着ラベルは、ガラス瓶等のガラス系容器やPETボトル等のプラスチック系容器といった様々な容器に貼り付けられる。以下、粘着ラベルが貼り付けられる被着体として、PETボトルを例に挙げて説明する。なお、粘着ラベルの形状としては、特に限定されないが、積層方向から視て、長方形であることが一般的である。また、粘着ラベルの形状は、三角形や円形状であってもよい。粘着剤層は、例えば基材層の全面に配置されている。
【0021】
以下、図1を参照して、粘着ラベルの構成について説明する。
【0022】
図1は、一実施形態に係る粘着ラベル10の断面概略図である。本発明の実施形態に係る粘着ラベル10は、図1に示すように、上から順に、感熱記録層13、脱離コート層14、基材層16、粘着剤層15、剥離ライナー30、を有する。剥離ライナー30は、剥離剤層12、剥離基材層11がこの順に配置されてなる。脱離コート層14は、アルカリ水に接触すると分解・溶解し、粘着ラベル10から感熱記録層13を脱離(剥離)させる。なお、粘着ラベル10は、各層間又は表面にプライマー層等の他の機能層を有していてもよい。
【0023】
図2は、他の一実施形態に係る粘着ラベル20の断面概略図である。粘着ラベル20においては、粘着ラベル10の感熱記録層13の上に保護層17を有する。すなわち、保護層17を、基材層16と相対する感熱記録層13上に有する。保護層17は、粘着ラベルの実使用時に水に濡れて発色が薄くなることを防止する。
【0024】
また、基材層16と粘着剤層15との間には、他の脱離コート層がない形態が好ましい。好適な一形態は、基材層16と粘着剤層15とが隣接してなる。基材層16と粘着剤層15との間には、他の脱離コート層がなく、基材層16と感熱記録層13の間に脱離コート層14があることで、粘着ラベル10(20)をPETボトル(ポリエステル系容器)に貼り付けた状態のままリサイクル処理を行うとき、アルカリ水に接触させると基材層16は、ポリエステル容器(被着体)から剥離せず、粘着剤層15と基材層16はポリエステル容器に貼付された状態のままになる。ゆえに、基材層16及び粘着剤層15の双方を一度にリサイクルすることが可能となる。
なお、粘着ラベル10(20)を容器とともにリサイクルしない場合は、粘着ラベル10(20)を容器から剥がした後、上記と同様にアルカリ水に接触させて感熱記録層13(及び保護層17)を脱離させた後に、リサイクル処理を行う。
【0025】
「ラベル」の概念には、フィルム、シート、テープ等と称されるものが包含される。
【0026】
以下、各構成要素について説明する。
【0027】
<感熱記録層>
感熱記録層13は基材層16の上層に配置される層であり、感熱記録層13は、後述する保護層17を除けば、粘着ラベル10(20)の一方の表面に配置されることが好ましい。
【0028】
感熱記録層13は、まず電子供与性の通常無色ないし淡色の染料前駆体(発色性化合物)と、加熱時反応して該塗料前駆体を発色させる電子受容性化合物(顕色性化合物)を必須成分として含み、さらに必要に応じてバインダー、熱応答性向上剤、顔料、ヘッド摩耗防止・スティッキング防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、界面活性剤等を含む感熱記録層用塗工液を調製し、この塗工液を脱離コート層14上に塗工し、乾燥処理することにより、形成することができる。
【0029】
上述の電子供与性の通常無色ないし淡色の染料前駆体としては、特に制限はなく、従来感熱記録層に慣用されている染料前駆体の中から適宜選択して用いることができる。例えばトリアリールメタン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、キサンテン系化合物、チアジン系化合物、スピロ系化合物等の中から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
【0030】
この染料前駆体としては、(1)トリアリールメタン系化合物:3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド(クリスタルバイオレットラクトン)、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)フタリド、3-(p-ジメチルアミノフェニル)-3-(1,2-ジメチルインドール-3-イル)フタリド等、(2)ジフェニルメタン系化合物:4,4’-ビス(ジメチルアミノフェニル)ベンズヒドリルベンジルエーテル、N-クロロフェニルロイコオーラミン、N-2,4,5-トリクロロフェニルロイコオーラミン等、(3)キサンテン系化合物:ローダミンBアニリノラクタム、3-ジエチルアミノ-7-ジベンジルアミノフルオラン、3-(N-エチル-N-トリル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン等、(4)チアジン系化合物:ベンゾイルロイコメチレンブルー、p-ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー等、(5)スピロ系化合物:3-メチルスピロジナフトピラン、3-エチルスピロジナフトピラン、3,3’-ジクロロスピロジナフトピラン、3-ベンジルスピロジナフトピラン、3-メチルナフト-(3-メトキシベンゾ)スピロピラン、3-プロピルスピロベンゾピラン等を挙げることができる。
【0031】
これらの染料前駆体と加熱時に反応して、該染料前駆体を発色させる電子受容性化合物(顕色剤)としては特に制限はなく、従来感熱記録層に慣用されている電子受容性化合物の中から適宜選択して用いることができる。具体的な例としては、酸性白土、活性白土、ゼオライト、ベントナイト、カオリン、フェノール誘導体、芳香族カルボン酸、誘導体又はその金属化合物、N,N’-ジアリールチオ尿素誘導体等が使用される。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
また、感熱記録層13が含みうるバインダーとしては、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、アマイド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール、オレフィン変性ポリビニルアルコール、ニトリル変性ポリビニルアルコール、ピロリドン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、末端アルキル変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アセチルセルロースなどのセルロースエーテル及びその誘導体、澱粉、酵素変性澱粉、熱化学変性澱粉、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉(例えば、ヒドロキシエチル化澱粉など)、カチオン化澱粉などの澱粉類、ポリアクリルアミド、カチオン性ポリアクリルアミド、アニオン性ポリアクリルアミド、両性ポリアクリルアミドなどのポリアクリルアミド類、ポリエステルポリウレタン系樹脂、ポリエーテルポリウレタン系樹脂、ポリウレタン系アイオノマー樹脂などのウレタン系樹脂、(メタ)アクリル酸及び、(メタ)アクリル酸と共重合可能な単量体成分(オレフィンを除く)からなるアクリル系樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-ブタジエン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-ブタジエン-アクリル共重合体などのスチレン-ブタジエン系樹脂、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリル酸エステル、アラビヤゴム、ポリビニルブチラール、ポリスチロース及びそれらの共重合体、シリコーン樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、ケトン樹脂、クマロン樹脂などを例示することができる。これらは単独で又は2種以上混合して使用してもよい。
【0033】
<保護層>
他の一実施形態に係る粘着ラベル20においては、感熱記録層13の耐水性を高めたり、あるいは記録走行性を高めたりするために、感熱記録層13上に保護層17を形成することができる。かかる保護層17は、例えば、成膜性を有する水溶性樹脂又は水分散性樹脂を感熱記録層13上に、塗布乾燥して形成される。
【0034】
保護層17の水溶性樹脂又は水分散性樹脂としては、従来公知の水溶性高分子又は水分散性樹脂から適宜選択される。また、水分散性樹脂としては、水分散性樹脂の水分散体を用いることができる。
【0035】
また、保護層17には、記録走行性、筆記性等を向上させる目的で、感熱記録層13で使用した顔料を含有させることが可能である。
さらに、保護層17には、ヘッド摩耗防止、スティッキング防止等記録走行性向上の目的から、感熱記録層13で使用したものが必要に応じて添加される。
この保護層17の形成方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法に従って形成することができる。具体的には、感熱記録層13で挙げた塗工方法により塗工液を塗工し、乾燥処理することにより形成することができる。
【0036】
<脱離コート層>
脱離コート層14は、酸価が10KOHmg/g以上である水性ポリエステル系樹脂を含む脱離コート層形成用組成物から形成された層である。
【0037】
脱離コート層14の厚さは、アルカリ浸漬したときの感熱記録層13の脱離性の観点から、0.01~3μmであることが好ましく、0.03~1μmであることがより好ましく、0.05~0.5μmであることがさらにより好ましい。
【0038】
脱離コート層14の形成材料である脱離コート層形成用組成物は、酸価が10KOHmg/g以上である水性ポリエステル系樹脂(以下、単に「水性ポリエステル系樹脂」ともいう)を含む。
【0039】
「水性ポリエステル系樹脂」は、水性溶媒に溶解して水溶液の形態をとり得るポリエステル系樹脂、又は水性溶媒中にエマルションとして分散した水分散体の形態をとり得るポリエステル系樹脂を意味する。このような「水性」のポリエステル系樹脂を用いることで、塗布時の揮発性有機化合物排出量の削減が可能である。ここで、水性溶媒とは水を60質量%以上(上限100質量%)含有されたものを指し、好ましくは70質量%以上、より好ましくは85質量%以上であり、最も好ましくは水系溶媒が95質量%以上である。
【0040】
水性溶媒中に含まれる水以外の成分としては、水に溶解する有機溶剤を挙げることができる。水に溶解する有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、メチルセルソルブ、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノ-t-ブチルエーテル等が挙げられる。
【0041】
なお、本発明の一態様において、水中で水性ポリエステル系樹脂のエマルションとして分散した水分散体とするために、本発明の効果を損なわない範囲において、少量の乳化剤や界面活性剤等を用いてもよい。
【0042】
ただし、乳化剤や界面活性剤等の低分子量成分は、脱離コート層14中で局在化することで、接着性が低下し、層間密着性の低下の原因となる場合がある。当該現象を抑制する観点から、本発明の一態様において、水性ポリエステル系樹脂は、自己乳化型の水性ポリエステル系樹脂であることが好ましい。
【0043】
自己乳化型の水性ポリエステル系樹脂であれば、層間密着性の低下の原因となる乳化剤や界面活性剤等の低分子量成分を使用せずにエマルションを形成することもできるため、得られる粘着ラベル10(20)の層間密着力をより向上させることができる。なお、「自己乳化型」とは、樹脂骨格に何らかの親水性基を化学的に導入し、乳化剤や界面活性剤の添加を必要とせず、樹脂自体が乳化能を有することを意味する。
【0044】
水性ポリエステル系樹脂の酸価は、10KOHmg/g以上であり、好ましくは15KOHmg/g以上、より好ましくは20KOHmg/g以上、更に好ましくは30KOHmg/g以上、より更に好ましくは40KOHmg/g以上、特に好ましくは50KOHmg/g以上である。水性ポリエステル系樹脂の酸価が10KOHmg/g未満であると、感熱記録層13の脱離性に劣る。
本明細書において、水性ポリエステル系樹脂の酸価は、JIS K 0070:1992に準拠して測定した値である。
【0045】
水性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は0℃以上70℃以下であり、好ましくは10℃以上65℃以下、より好ましくは15℃以上60℃以下、更に好ましくは20℃以上55℃以下である。水性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度(Tg)が0℃未満であると、粘着ラベル10(20)が耐ブロッキング性に劣り、結果として印刷適性に劣る。水性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度(Tg)が70℃を超えると、感熱記録層13の脱離性に劣る。
本明細書において、水性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、JIS K 7121:2012に準拠して測定した値であり、具体的には以下に記載の方法に基づいて測定した値である。
【0046】
水性ポリエステル系樹脂の数平均分子量(Mn)としては、水への溶解性又は分散性を良好とし、形成される脱離コート層14と、基材層16との層間密着性を向上させる観点から、好ましくは1,000以上15,000以下であり、より好ましくは1,500以上10,000以下であり、更に好ましくは2,000以上5,000以下である。水性ポリエステル系樹脂のMnが比較的低分子であるこのような範囲であれば、水への溶解性や分散性が十分に高くなり、感熱記録層13の脱離性がより良好となるため好ましい。
【0047】
なお、本発明において、数平均分子量(Mn)の値は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される標準ポリスチレン換算の値であり、具体的には以下に記載の方法に基づいて測定した値である。
(1)数平均分子量(Mn)
ゲル浸透クロマトグラフ装置(東ソー社製、製品名「HLC-8020」)を用いて、下記の条件下で測定し、標準ポリスチレン換算にて測定した値を用いる。
・カラム:「TSK guard column HXL-H」「TSK gel GMHXL(×2)」「TSK gel G2000HXL」(いずれも東ソー社製)
・カラム温度:40℃
・展開溶媒:テトラヒドロフラン
・流速:1.0mL/min
(2)ガラス転移温度(Tg)
JIS K 7121:2012に準拠し、示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、製品名「DSC Q2000」)を用いて、昇温速度20℃/分にて測定する。
【0048】
本発明の一態様で用いる水性ポリエステル系樹脂としては、アルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合して得られる共重合体、及び当該共重合体の変性物等が挙げられる。
【0049】
当該共重合体の変性物としては、アルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合して得られる共重合体の末端に有するヒドロキシル基とポリイソシアネート化合物とが反応して得られるポリウレタン変性ポリエステル系樹脂等が挙げられる。本発明においては、このような水性ポリエステル系樹脂の変性物も「水性ポリエステル系樹脂」に含まれる。
【0050】
アルコール成分としては、1分子中に2個以上の水酸基を有する多価アルコールを使用することができる。
【0051】
具体的なアルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、3-メチル-1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、3-メチル-4,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、1,4-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル等のグリコール類;これらのグリコール類にε-カプロラクトン等のラクトン類を付加したポリラクトンジオール;ビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート等のポリエステルジオール類;1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、スピログリコール、ジヒドロキシメチルトリシクロデカン等の二価環式アルコール;ビスフェノールAのエチレンオキシドやプロピレンオキシド付加物;グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ジグリセリン、トリグリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール等の三価以上の多価アルコールが挙げられる。これらのアルコール成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0052】
カルボン酸成分としては、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する多塩基酸を使用することができる。
【0053】
具体的なカルボン酸成分としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4-ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルメタン-4,4'-ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘット酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シクロヘキサン-1,3-ジカルボン酸、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸及びこれらの無水物;トリメリット酸、ピロメリット酸、トリメシン酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸、ヘキサヒドロトリメリット酸、テトラクロロヘキセントリカルボン酸等のトリカルボン酸及びこれらの無水物;1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸等のテトラカルボン酸及びその無水物等が挙げられる。これらのカルボン酸成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0054】
本発明の一態様で用いる水性ポリエステル系樹脂は、酸価を上記範囲に調整する観点から、1分子中に3個以上のカルボキシル基を有する多塩基酸に由来する構成単位を有することが好ましく、トリカルボン酸又はトリカルボン酸の無水物に由来する構成単位を有することがより好ましい。
【0055】
また、本発明の一態様で用いる水性ポリエステル系樹脂は、上記と同様の観点から、カルボキシル基を含有する水性ポリエステル系樹脂であることが好ましい。
【0056】
(汎用添加剤、他の樹脂成分)
本発明の一態様で用いる脱離コート層形成用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、上述の水性ポリエステル系樹脂以外に、粒子や酸化防止剤等の汎用添加剤を含有していてもよい。
【0057】
<基材層>
基材層16に用いる基材は特に制限されず、内部に空洞を有する合成紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、各種オレフィン系共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂及びこれらの樹脂の混合物又は積層物からなるフィルム等を挙げることができる。基材の材質は適宜選択でき、粘着ラベル10(20)を貼り付ける容器の材質と基材の材質の関係から、容器に貼り付けた状態のままか、剥がした状態のいずれかでリサイクルすることを選択することもできる。
このとき、粘着ラベル10(20)を容器とともにリサイクルする(すなわち、粘着ラベル10(20)を貼り付けた状態のままリサイクルする)場合は、被着体の容器と相溶性を有する同じ素材を使用することが好ましい。例えば、粘着ラベル10(20)をPETボトルに貼り付けて用いる場合は、基材層16に用いる基材がポリエステル系樹脂基材であることが好ましい。再生樹脂の機械特性等の品質の点から、ポリエステル系フィルムの樹脂基材としては、PETボトルに使用されている樹脂の組成に近いものを用いることが特に有利である。
【0058】
ポリエステル系フィルムに使用される樹脂基材としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂を挙げることができ、これらの中から、被着体のPETボトルに使用されている樹脂の種類に応じて、それと相溶性のある樹脂基材が得られるように、一種又は二種以上を適宜選択して用いればよい。
ここで、相溶性とは、容器を加熱溶融する際の温度で溶融し、かつ溶融したPETボトルの樹脂基材とよく混和し、その再生品の特性を低下させないことを意味する。なお、PETボトルを構成する樹脂基材が、相溶性のある樹脂二種以上の混合物である場合、基材層16の樹脂としては、PETボトルを構成する樹脂混合物の中の1つの樹脂を用いることができる。また、容器がポリエステル系樹脂以外の樹脂である場合も、同様に使用されている樹脂の種類に応じて、それと相溶性のある樹脂基材が得られるように、樹脂を適宜選択して用いればよい。
【0059】
基材層16の厚さは特に制限はなく、用途等に応じて適宜選定されるが、一般には25μm以上100μm以下の範囲であることが好ましい。粘着ラベル10(20)を容器に貼付する際に、生産効率の観点から、ラベリング装置を用いて容器に粘着ラベル10(20)を貼付するラベリング工程を設ける場合がある。基材層16の厚みを25μm以上とすることで、ラベリング工程での剥離ライナー30からの粘着ラベル10(20)の剥離性に優れる。また、基材層16の厚みを100μm以下とすることで、ラベリング装置に設置するロールの巻き長を十分に長くでき、ロールの交換頻度を下げて、作業効率を高めることができる。基材層16が樹脂基材である場合は、従来公知の方法、例えば押出し法、カレンダー法、溶液コーティング法、キャスティング法等の、いずれの方法により得られたものであってもよい。
【0060】
本発明においては、この基材層16には、その上に設けられるコート層や、反対面に設けられるポリエステル系の粘着剤層15との密着性を向上させる目的で、所望により、片面あるいは両面に表面処理を施すことができる。この表面処理方法としては、例えばサンドブラスト法や溶剤処理法等による表面の凹凸化処理、あるいはコロナ放電処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理等の表面の酸化処理等が挙げられる。
【0061】
<粘着剤層>
次に、粘着剤層15について説明する。粘着剤層15に用いる粘着剤は、従来ラベルの粘着剤として慣用されているものの中から、任意のものを適宜選択して用いることができ、例えばアクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤及びポリエステル系粘着剤等が挙げられる。粘着剤の組成に関しても基材層16と同様に、粘着ラベル10(20)を貼り付ける容器の材質に応じて適宜選択でき、それにより容器に貼り付けた状態のままか、剥がした状態のいずれかでリサイクルすることを選択することができる。
しかし、基材層16と同様に、粘着ラベル10(20)を容器とともにリサイクルする場合は、粘着剤層15は容器と相溶性の高い素材から形成されることが好ましい。例えば、粘着ラベル10(20)をPETボトルに貼り付けて用いる場合は、粘着剤層15はポリエステル系樹脂(A)を主成分とするポリエステル系粘着剤組成物から形成されることが好ましい。
ポリエステル系粘着剤組成物の主成分であるポリエステル系樹脂(A)は、構成原料として、多価カルボン酸成分(A1)及びポリオール成分(A2)を含む共重合成分を共重合することにより得られる。
【0062】
(多価カルボン酸成分(A1))
多価カルボン酸成分(A1)としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ベンジルマロン酸、ジフェン酸、4、4′-オキシジ安息香酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2、2-ジメチルグルタル酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、チオジプロピオン酸、ジグリコール酸等の脂肪族ジカルボン酸;1、3-シクロペンタンジカルボン酸、1、2-シクロヘキサンジカルボン酸、1、3-シクロペンタンジカルボン酸、1、4-シクロヘキサンジカルボン酸、2、5-ノルボルナンジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸等の二価カルボン酸が挙げられる。これらは単独で又は2種以上併せて用いることができる。
これらの中でも、凝集力を付与する点から、芳香族ジカルボン酸を含むことが好ましい。
【0063】
(ポリオール成分(A2))
ポリオール成分(A2)としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、2、4-ジメチル-2-エチルヘキサン-1、3-ジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-イソブチル-1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール;1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、トリシクロデカンジメタノール、アダマンタンジオール、2,2,4,4-テトラメチル-1、3-シクロブタンジオール等の脂環族ジオール;4,4′-チオジフェノール、4,4′-メチレンジフェノール、4,4′-ジヒドロキシビフェニル、o-、m-及びp-ジヒドロキシベンゼン、2,5-ナフタレンジオール、p-キシレンジオール及びそれらのエチレンオキシド、プロピレンオキシド付加体等の芳香族ジオール;等の二価アルコールが挙げられる。これらは単独で又は2種以上併せて用いることができる。
【0064】
これらの中でも、反応性に優れる点で、脂肪族ジオール、脂環族ジオールが好ましく、特に好ましくは、脂肪族ジオールとしてはエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオールであり、脂環族ジオールとしては1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1、4-シクロヘキサンジメタノールである。
【0065】
多価カルボン酸成分(A1)とポリオール成分(A2)の配合割合としては、多価カルボン酸成分(A1)1当量あたり、ポリオール成分(A2)が1~2当量であることが好ましく、特に好ましくは1.1~1.7当量である。ポリオール成分(A2)の含有割合が低すぎると、酸価が高くなり高分子量化が困難となる傾向があり、高すぎると収率が低下する傾向がある。
【0066】
ポリエステル系樹脂(A)は、上記多価カルボン酸成分(A1)とポリオール成分(A2)を任意に選び、これらを触媒存在下、公知の方法により重縮合反応させることにより製造される。
【0067】
なお、粘着剤層15に用いる粘着剤には、本発明の効果を損なわない範囲において、従来公知の、加水分解抑制剤、軟化剤、紫外線吸収剤、安定剤、耐電防止剤、粘着付与剤等の添加剤を配合することができる。
粘着剤層15の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、5μm以上100μm以下であり、10μm以上50μm以下であってもよい。
【0068】
<剥離ライナー30>
剥離ライナー30は、図1及び図2に示すように、剥離基材層11と、剥離剤層12と、を有する。
【0069】
剥離基材層11に用いる剥離基材としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。例えば、樹脂材料、紙等が挙げられる。樹脂材料としては、ポリエステル、ポリオレフィン等が挙げられる。紙としては、上質紙、グラシン紙、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙等が挙げられる。
【0070】
剥離ライナー30の厚みは、25μm以上100μm以下であることが好ましい。剥離ライナー30の厚みを25μm以上とすることで、粘着ラベル10(20)が抜き加工適性に優れる。また、剥離ライナー30の厚みを100μm以下とすることで、ラベリング工程において剥離ライナー30が粘着剤層15に対する剥離性に優れる。
【0071】
剥離剤層12を構成する剥離剤としては、シリコーン系剥離剤、長鎖アルキル系剥離剤、フッ素系剥離剤、ゴム系剥離剤等が挙げられる。これらの中では、シリコーン系剥離剤が好ましい。剥離剤層12の厚みは、通常0.01μm以上5μm以下程度である。
【0072】
<製造方法>
本発明の粘着ラベル10(20)の製造方法は、特に限定されるものではないが、粘着ロール又はシートを作製した後、必要に応じ印刷、半抜き加工、カス上げを行い、粘着ラベル10(20)を製造する方法が挙げられる。粘着ロール又はシートの製造方法は、(1)剥離ライナー30上に粘着剤組成物を塗布して粘着剤層15を形成した後、これを基材層16に貼り合わせる方法、(2)基材層16上に粘着剤組成物を直接塗布して粘着剤層15を形成した後に剥離ライナー30を貼り合わせる方法、等が挙げられる。
【0073】
粘着剤組成物の基材層16又は剥離ライナー30への塗布方法は特に限定されず、例えばロールコーター、ナイフコーター、エアナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スロットダイコーター、リップコーター、グラビアコーター等の公知の塗布装置を用いて塗布することができる。
【0074】
また、基材層16には、あらかじめ脱離コート層14及び感熱記録層13(粘着ラベル20においては、更に保護層17)を形成することができる。
【0075】
各コート層は、樹脂、必要に応じて添加剤、さらに溶媒を混合してコート層形成用組成物(脱離コート層形成用組成物及び感熱記録層形成用組成物、以下、まとめて単にコート層形成用組成物とも称する。)を準備する。溶媒は、樹脂の形態によって適宜選択され、樹脂が水系ポリエステル樹脂の場合には、溶媒は、例えば、水、アルコール類(例えば、エタノール、イソプロパノール等)が好ましく、水がより好ましい。溶媒は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0076】
その後、基材層16やコート層に対して、コート層形成用組成物を塗布してコート層(脱離コート層14及び感熱記録層13、保護層17)を形成する。塗布の方法としては、特に限定はなく、従来公知の方法、例えば、基材層16上にコート層形成用組成物を塗布し、乾燥させて、各コート層を形成する方法等を採用することができる。塗布方法としては特に限定されるものではないが、例えば、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロッドブレードコーター、バーブレードコーター、グラビアコーター、バーコーター、多段ロールコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、カーテンコーター、スプレーコーター等の各種塗布装置を適宜選択して塗布する方法を採用することができる。
【0077】
コート層形成用組成物を塗布した後、乾燥工程に供してもよい。乾燥条件は適宜設定されるが、例えば、80℃以上160℃以下で10秒以上60秒以下である。
【0078】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【実施例0079】
以下の実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いる場合があるが、特に断りがない限り、「質量部」又は「質量%」を表す。また、特記しない限り、各操作は室温(25℃)で行われる。
【0080】
(実施例1)
脱離コート層形成用組成物として自己乳化型水性ポリエステル系樹脂溶液(固形分25質量%、粘度10mPa・s(20℃)、水溶媒、ポリエステル系樹脂:酸価50KOHmg/g、カルボキシル基含有、数平均分子量3,000、Tg46℃)を使用した。厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(基材層)上に脱離コート層形成用組成物をバーコーターにより乾燥膜厚0.1μmとなるように塗布・乾燥した。
【0081】
次に、ロイコ染料(3-ジ(n-ブチル)アミノ-6-メチル-7-アニルノフルオラン)25質量部、呈色剤(N-[2-(3-フェニルウレイド)フェニル]ベンゼンスルホンアミド)50質量部、増感剤(1,2-ジ(3-メチルフェノキシ)エタン)25質量部、分散剤(スルホン酸変性ポリビニルアルコール)10質量部、顔料(水酸化アルミニウム)40質量部、バインダー(完全鹸化型ポリビニルアルコール)25質量部、架橋剤(アジピン酸ジヒドラジド)3質量部、水400質量部を混合・撹拌し、感熱記録層形成用組成物を得た。そして、上記の脱離コート層上に感熱記録層形成用組成物をバーコーターにより乾燥膜厚3.5μmとなるように塗布・乾燥した。
【0082】
最後に、剥離ライナー(シリコーンが塗布されたグラシン紙)上にアクリル系粘着剤をロールコーターにより乾燥膜厚15μmとなるように塗布・乾燥した。得られた粘着剤層に、ポリエチレンテレフタレートフィルムの脱離コート層とは反対側を貼り合わせ、感熱記録層/脱離コート層/基材層/粘着剤層/剥離ライナーをこの順に有する粘着シートを得た。
【0083】
(実施例2)
実施例1において、自己乳化型水性ポリエステル系樹脂溶液(固形分25質量%、粘度
10mPa・s(20℃)、水溶媒、ポリエステル系樹脂:酸価40KOHmg/g、カルボキシル基含有、数平均分子量3,000、Tg52℃)を用いたこと以外は実施例1と同様にして粘着ラベルを得た。
【0084】
(比較例1)
実施例1において、自己乳化型水性ポリエステル系樹脂溶液(固形分25質量%、粘度
10mPa・s(20℃)、水溶媒、ポリエステル系樹脂:酸価25KOHmg/g、カルボキシル基含有、数平均分子量5,000、Tg85℃)を用いたこと以外は実施例1と同様にして粘着ラベルを得た。
【0085】
(比較例2)
実施例1において、自己乳化型水性ポリエステル系樹脂溶液(固形分25質量%、粘度
10mPa・s(20℃)、水溶媒、ポリエステル系樹脂:酸価5KOHmg/g、カルボキシル基含有、数平均分子量15,000、Tg-20℃)を用いたこと以外は実施例1と同様にして粘着ラベルを得た。
【0086】
(比較例3)
実施例1において、自己乳化型水性ポリエステル系樹脂溶液(固形分25質量%、粘度
10mPa・s(20℃)、水溶媒、ポリエステル系樹脂:酸価2KOHmg/g、カルボキシル基含有、数平均分子量27,000、Tg64℃)を用いたこと以外は実施例1と同様にして粘着ラベルを得た。
【0087】
<評価方法:感熱記録層の脱離性>
作製した粘着ラベルに対し、ラベルプリンタ(ゼブラ社製、140XiIII)を用い、全面に印字を行った。印字後の粘着ラベルを、試料サイズ:10mm×10mmにカットし、70℃、1.5質量%水酸化ナトリウム溶液1Lに試料を5枚投入し撹拌した。印字された感熱記録層が5枚すべて剥がれた時間を記録し(最大15分間)、下記評価基準に従って評価した。結果を表1に示す。
5:5分以内にすべて剥がれる
4:15分以内にすべて剥がれる
3:15分間で一部剥がれあり
2:15分間で剥がれなし、取り出し直後に印刷面を擦ったときに剥がれる
1:15分間で剥がれなし、取り出し直後に印刷面を擦っても剥がれない
【0088】
【表1】
【0089】
上記で示されるように、実施例1及び2の粘着ラベルは、低温(70℃程度の)アルカリ温水での感熱記録層の脱離性に優れるものであった。一方、ガラス転移温度Tgが70℃を超える水性ポリエステル系樹脂を含む脱離コート層形成用組成物を用いた比較例1、ガラス転移温度Tgが0℃未満の水性ポリエステル系樹脂を含む脱離コート層形成用組成物を用いた比較例2、酸価が10KOHmg/g未満の水性ポリエステル系樹脂を含む脱離コート層形成用組成物を用いた比較例3は、いずれも感熱記録層の脱離性に劣るものであった。
【符号の説明】
【0090】
10、20 粘着ラベル
11 剥離基材層
12 剥離剤層
13 感熱記録層
14 脱離コート層
15 粘着剤層
16 基材層
17 保護層
30 剥離ライナー
図1
図2