(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112527
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】運用撮影装置、運用撮影方法、および、運用撮影装置のためのコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240814BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017608
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100181135
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】元岡 誠
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】一方の物(例えば、設置場所)と他方の物(デバイス)をペアリングしての運用管理を可能にする。
【解決手段】運用撮影装置100(200)は、ペアリングされる一方の物と他方の物のうち、一方の物を撮影可能に設置される。運用撮影装置100(200)は、一方の物を撮影した画像に基づき得られる一方の物の照合結果と、他方の物に設置される他の装置であって他の装置を特定する情報を用いた他の装置との近距離無線通信の実行の可否の判断結果とに基づき、一方の物と他方の物とが適切に運用されているかを判断する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペアリングされる一方の物と他方の物のうち、前記一方の物を撮影可能に設置される運用撮影装置であって、
前記一方の物を撮影した画像に基づき得られる前記一方の物の照合結果と、前記他方の物に設置される他の装置であって前記他の装置を特定する情報を用いた前記他の装置との近距離無線通信の実行の可否の判断結果とに基づき、前記一方の物と前記他方の物とが適切に運用されているかを判断する制御部、
を備えた運用撮影装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記照合結果が不照合である、または、前記他の装置との近距離無線通信の実行ができない場合、前記制御部は前記一方の物と前記他方の物とが適切に運用されていないと判断する、
請求項1に記載の運用撮影装置。
【請求項3】
前記運用撮影装置はカメラを備え、前記カメラが前記一方の物を接写可能に前記一方の物に対して設置され、
前記制御部は、前記カメラで撮影した画像より得られる物体指紋と予め登録された前記一方の物の画像より得られた物体指紋との照合により照合結果を取得する、
請求項1に記載の運用撮影装置。
【請求項4】
前記一方の物がデバイス設置部および前記デバイス設置部に設置されるデバイスのいずれか一方で、前記他方の物が前記デバイス設置部および前記デバイスの他方の場合、前記制御部は、前記デバイスと前記デバイス設置部とが適切に運用されていないと判断する際に、前記デバイスがロックされるように、前記デバイスに対してアラート情報を送信する、
請求項1に記載の運用撮影装置。
【請求項5】
前記運用撮影装置は表示部を備え、前記制御部は、前記一方の物と前記他方の物とが適切に運用されていないと判断する際に、前記表示部にアラートを示す、
請求項1に記載の運用撮影装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記一方の物と前記他方の物とが適切に運用されていないと判断する際に、予め指定されたシステムに対してアラート情報を送信する、
請求項1に記載の運用撮影装置。
【請求項7】
前記運用撮影装置は、前記他の装置との近距離無線通信を用いたペアリング設定時に、前記他の装置から前記他の装置を特定する情報を取得する、
請求項1に記載の運用撮影装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記一方の物の照合結果の取得、前記近距離無線通信の実行の可否の判断、および、取得した前記照合結果と前記実行の可否の判断の結果に基づく前記一方の物と前記他方の物とが適切に運用されているかの判断を周期的に実行する、
請求項1から7のいずれか1項に記載の運用撮影装置。
【請求項9】
ペアリングされる一方の物と他方の物のうち、前記一方の物を撮影可能に設置される運用撮影装置を用いた運用撮影方法であって、
前記一方の物を撮影した画像に基づき得られる前記一方の物の照合結果を取得し、
前記他方の物に設置される他の装置であって前記他の装置を特定する情報を用いた前記他の装置との近距離無線通信の実行の可否の判断を行い
前記照合結果と前記近距離無線通信の実行の可否の判断結果とに基づき、前記一方の物と前記他方の物とが適切に運用されているかを判断する、
ことを含む運用撮影方法。
【請求項10】
ペアリングされる一方の物と他方の物のうち、前記一方の物を撮影可能に設置される運用撮影装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記一方の物を撮影した画像に基づき得られる前記一方の物の照合結果を取得し、
前記他方の物に設置される他の装置であって前記他の装置を特定する情報を用いた前記他の装置との近距離無線通信の実行の可否の判断を行い
前記照合結果と前記近距離無線通信の実行の可否の判断結果とに基づき、前記一方の物と前記他方の物とが適切に運用されているかを判断する、
ことをプロセッサに実行させるための運用撮影装置のためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運用撮影装置、運用撮影方法、および、運用撮影装置のためのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
センサの所定の個所への設置、パーソナルコンピュータの会議室への恒常的な設置、サーバのラックへの設置のように、デバイスを用いる多数の運用現場において、多数のデバイスを色々な多数の設置場所に設置しつつ運用し続ける場面が生じる。しかし、対象となるデバイスと設置場所の管理がいきわたらないことも多い。時として、悪意により適切な設置場所からデバイスが移される場合や、故意でなくとも誤った設置場所にデバイスを移動して運用してしまうケースがある。
【0003】
デバイスと設置場所のペアリングのように、ペアリングに関する技術として、特許文献1は、互いに携帯端末を携行する利用者同士が近距離の無線通信圏内に入ると、希望するプロフィールを備えた人物が近くにいることを利用者に通知する技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されるようなペアリング技術は、自己のプロフィールや希望するプロフィールを記録した携帯端末を備え、そのような携帯端末を所持した人同士のペアリングである。そのため、デバイスとその設置場所の運用管理に適する技術ではない。
【0006】
加えて、特許文献1に開示の技術では、悪意により適切な設置場所からデバイスが移される場合や、故意でなくとも誤った設置場所にデバイスを移動して運用してしまうケースに対処できない。
【0007】
そこでこの発明は、上述の課題を解決すべくなされたもので、運用撮影装置、運用撮影方法、および、運用撮影装置のためのコンピュータプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、運用撮影装置は、ペアリングされる一方の物と他方の物のうち、前記一方の物を撮影可能に設置され、前記一方の物を撮影した画像に基づき得られる前記一方の物の照合結果と、前記他方の物に設置される他の装置であって前記他の装置を特定する情報を用いた前記他の装置との近距離無線通信の実行の可否の判断結果とに基づき、前記一方の物と前記他方の物とが適切に運用されているかを判断する制御部を備える。
【0009】
また、本発明の第2の態様によれば、運用撮影方法は、ペアリングされる一方の物と他方の物のうち、前記一方の物を撮影可能に設置される運用撮影装置を用いて、前記一方の物を撮影した画像に基づき得られる前記一方の物の照合結果を取得し、前記他方の物に設置される他の装置であって前記他の装置を特定する情報を用いた前記他の装置との近距離無線通信の実行の可否の判断を行い前記照合結果と前記近距離無線通信の実行の可否の判断結果とに基づき、前記一方の物と前記他方の物とが適切に運用されているかを判断する。
【0010】
また、本発明の第3の態様によれば、ペアリングされる一方の物と他方の物のうち、前記一方の物を撮影可能に設置される運用撮影装置のためのコンピュータプログラムは、前記一方の物を撮影した画像に基づき得られる前記一方の物の照合結果を取得し、前記他方の物に設置される他の装置であって前記他の装置を特定する情報を用いた前記他の装置との近距離無線通信の実行の可否の判断を行い
前記照合結果と前記近距離無線通信の実行の可否の判断結果とに基づき、前記一方の物と前記他方の物とが適切に運用されているかを判断する、ことをプロセッサに実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、一方の物(例えば、設置場所)と他方の物(デバイス)をペアリングしての運用管理が可能になる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態における運用撮影装置を含むシステムの概要を説明するブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態における運用撮影装置を含むシステムの構成を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態における運用撮影装置の初期設定を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の一実施形態における運用撮影装置の画面の一例を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態における運用撮影装置での設置部登録の画面の遷移例を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態における運用撮影装置でのペアリング登録の画面の遷移例を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態における運用撮影装置でのデバイス登録の画面の遷移例を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態における初期設定により運用撮影装置に記憶される情報の一例を示す図である。
【
図9】本発明の一実施形態における運用撮影装置での運用開始のための画面の遷移例を示す図である。
【
図10】本発明の一実施形態における運用撮影装置の動作フローを示す図である。
【
図11】本発明の一実施形態におけるデバイスの動作フローを示す図である。
【
図12】本発明の一実施形態における運用撮影装置を含むシステムの他の構成例を示す図である。
【
図13】本発明の一実施形態における運用撮影装置を含むシステムの他の構成例を示す図である。
【
図14】本発明の一実施形態における運用撮影装置を実現する際のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図15】本発明の一実施形態による運用撮影装置の最小構成図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態による運用撮影装置について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態における運用撮影装置を含む全体の概要を説明するブロック図である。運用撮影装置は、各種センサ、アクチュエータ、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、サーバ等の電子デバイス(以下では、単に“デバイス”と呼ぶ)300がそれらデバイスを設置する設備、机、ラック等のデバイス設置部400に適切に設置されているかを管理するために用いられる。そのために、
図1に示すように、運用撮影装置として、運用・撮影装置A:100、および、運用・撮影装置B:200が用いられる。
図1において、運用・撮影装置A:100、運用・撮影装置B:200、デバイス300はネットワーク(LAN)を介して通信可能に構成される。デバイス300は持ち運び可能な装置であり、デバイス設置部400に設置されて使用される。運用・撮影装置A:100と運用・撮影装置B:200は、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信による通信が可能である。
【0014】
ここでデバイスを設置するデバイス設置部400を含む設置場所とは、デバイス300を運用する人物が使用する建物や移動体(特に、電車や飛行機など盗難の可能性が低いもの)内などデバイスを設置可能な任意の場所を指す。また、運用・撮影装置A:100、運用・撮影装置B:200、デバイス300、デバイス設置部400は、全て設置場所内で構成されるものとする。また、デバイス設置部400とは、ラック等の台座や建物内の壁等、固定された任意の物体を表す。
【0015】
運用・撮影装置A:100はカメラ機能を有し、カメラがデバイス設置部400に対して近接するように設置され、好ましくは固定される。運用・撮影装置B:200もカメラ機能を有し、カメラがデバイス300に対して近接するように固定される。これは、物体指紋を用いたデバイス300やデバイス設置部400の照合における撮影技術に起因する。ただし、将来的な技術の向上により、デバイス300やデバイス設置部400に対する運用・撮影装置A:100や運用・撮影装置B:200の設置条件は緩和される可能性もあるため、限定はしない。たとえ大量生産される工業製品であっても、工業製品の製造段階で自然に生じる個体特有の文様がある。「物体指紋」とは、同一規格で大量生産されたものでも個体ごとに異なり、後から傷がついても変容することはない個体特有の文様を用いて、製品個体の一意な識別を可能とするもの、である。
【0016】
以下、運用・撮影装置A:100、運用・撮影装置B:200、デバイス300の構成例について、
図2を用いて説明する。運用・撮影装置A:100は、登録部110、設定保管部120、制御部130、物体指紋取得部140、物体指紋照合部150、ペアリング通信部160、デバイス通信部170からなる。
【0017】
登録部110はデバイス設置部400の物体指紋と、運用・撮影装置B:200のペアリング通信情報(UUID[Universally Unique IDentifier]等)と、デバイス300のIPアドレスとをユーザからの要求のもとで登録する機能を備える。なお、運用・撮影装置A:100は、タッチパネルディスプレイ等の入力機能を備えてよく、この場合、ユーザによるタッチパネルディスプレイの操作のもと、必要な情報の登録が行われる。ここで、「ペアリング通信情報」は、運用・撮影装置A:100と運用・撮影装置B:200との間の近距離無線通信のために、相手の装置を特定することが可能な情報とする。設定保管部120は、登録部110で登録したデバイス設置部400の物体指紋と、運用・撮影装置B:200のペアリング通信情報(UUID等)と、デバイス300のIPアドレスを対応付けて保管する機能を備える。制御部130は、運用・撮影装置A:100の各機能・装置の動作を制御する機能を有する。
【0018】
物体指紋取得部140は、デバイス設置部400の物体指紋を抽出するためのカメラ機能・装置を有する。物体指紋照合部150は、制御部130からのリクエストを受けて物体指紋取得部140が抽出した物体指紋と設定保管部120に保管されているデバイス設置部400の物体指紋とを照合する機能を備える。
【0019】
ペアリング通信部160は、運用・撮影装置B:200との近距離無線通信の通信や通信の実行可否の確認を行う機能を備える。デバイス通信部170は、LANを介したデバイス300と通信を行い、物体指紋照合部150の照合結果とペアリング通信部160の通信状況とに基づく情報を送信する機能を備える。
【0020】
運用・撮影装置B:200は、登録部210、設定保管部220、制御部230、物体指紋取得部240、物体指紋照合部250、ペアリング通信部260、デバイス通信部270からなる。運用・撮影装置B:200では、物体指紋の取得・照合対象がデバイス300となる点、ペアリングの相手が運用・撮影装置A:100となる点を除けば、基本的には、運用・撮影装置A:100と同じ動作・構成となる。
【0021】
登録部210は、デバイス300の物体指紋と、運用・撮影装置A:100のペアリング通信情報(UUID等)と、デバイス300のIPアドレスを登録する機能をそなえる。運用・撮影装置A:100と同様に、運用・撮影装置B:200はタッチパネルディスプレイ等の入力機能を有しているものとする。設定保管部220は、登録部210で登録したデバイス300の物体指紋と、運用・撮影装置A:100のペアリング通信情報と、デバイス300のIPアドレスを対応付けて保管する機能を備える。制御部230は運用・撮影装置B:200の各機能・装置の動作を制御する機能を備える。
【0022】
物体指紋取得部240はデバイス300の物体指紋を抽出するためのカメラ機能・装置を有する。物体指紋照合部250は、制御部230からのリクエストを受けて物体指紋取得部240が抽出した物体指紋と設定保管部220に保管されているデバイス300の物体指紋とを照合する機能を備える。
【0023】
ペアリング通信部260は運用・撮影装置A:100との近距離無線通信の通信確認を行う機能を備える。デバイス通信部270はデバイス300と通信を行い、物体指紋照合部250の照合結果とペアリング通信部260の通信状況とに基づく情報を送信する機能を有する。
【0024】
デバイス300は、装置通信部310、制御部320、ロック部330からなる。装置通信部310は、運用・撮影装置A:100、および、運用・撮影装置B:200から送信される物体指紋照合部250での照合結果とペアリング通信部260の通信状況とに基づく情報を受信する機能を備える。制御部320は、デバイス300の各機能・装置の動作を制御する機能を備える。ロック部330は、装置通信部310の受信結果が「異常」を示す場合、デバイス300の機能や操作をロックする機能を備える。
【0025】
図1や
図2に示す運用・撮影装置A:100、運用・撮影装置B:200、デバイス300の動作について、
図3、10、11のフローチャートを参照して説明する。運用・撮影装置A:100や運用・撮影装置B:200を用いたデバイス300のデバイス設置部400への適切な設置か否かの判断を開始するために事前準備が必要となる。そのため、これら装置を含めた本システムの利用者は、運用・撮影装置A:100に対してそれぞれ以下3つの操作を行う。前述したとおり運用・撮影装置A:100はタッチパネルディスプレイ等の入力装置を備えるものとし、入力装置を通して必要情報の登録動作を行う。
・デバイス設置部400の物体指紋の登録
・運用・撮影装置B:200とのペアリング通信情報(UUID等) の登録
・デバイス300のIPアドレスの登録
【0026】
前述の事前準備のための運用・撮影装置A:100の動作について、
図3を用いて説明する。
【0027】
図4は、ユーザの操作する運用・撮影装置A:100のタッチパネルディスプレイの初期画面例を示している。このような初期画面例において、ユーザによる入力装置への操作により、登録部110は、物体指紋の登録の要求を取得する(ステップA1)。例えば、
図5に示すように、ユーザがタッチパネルディスプレイに表示されるボタン「設置部登録」にタッチすることにより、物体指紋の登録の要求が発生する。
【0028】
物体指紋取得部140は、運用・撮影装置A:100に設けられたカメラより、デバイス設置部400の接写画像を取得し、取得した画像からデバイス設置部400の物体指紋を取得する(ステップA2)。登録部110は、設定保管部120に取得したデバイス設置部400の物体指紋を登録する(ステップA3)。これらのステップでの一例としては、
図5に示すように、タッチパネルディスプレイ上に撮影のためのボタンが表示され、ユーザがボタン「撮影」にタッチすることで、デバイス設置部400の接写画像が取得されタッチパネルディスプレイ上に接写画像が表示される。また、デバイス設置部400の物体指紋の取得が完了すると、タッチパネルディスプレイ上に「設置部が登録されました」と表示される。なお、「撮影」ボタンは表示されず、ユーザの「設置部登録」ボタンへのタッチで、デバイス設置部400の画像が自動的に取得されてもよい。
【0029】
ユーザによる入力装置への操作により、登録部110は、運用・撮影装置B:200とのペアリング通信情報(ペアリングID)の登録の要求を取得する(ステップA4)。ここでは、ペアリング通信情報の一例として、UUIDとする。
図6に示すように、ユーザがタッチパネルディスプレイに表示されるボタン「ペアリング登録」にタッチすることにより、ペアリング通信情報の登録の要求が発生する。
【0030】
ユーザによる入力装置の操作により、登録部110は、ペアリング通信部160を通じて運用・撮影装置B:200と通信の開通処理を行う(ステップA5)。この際、登録部110は、自らのUUIDを生成して運用・撮影装置B:200に送信する(ステップA6)。登録部110は、ペアリング通信部160を通じて、運用・撮影装置B:200からUUIDを受け取る(ステップA7)。登録部110は取得したUUIDを設定保管部120に登録する(ステップA8)。これらのステップでの一例としては、
図6に示すように、タッチパネルディスプレイ上に近距離無線通信により特定される近距離にある運用・撮影装置のリストが選択可能に表示される。ユーザが、タッチパネルディスプレイ上での操作によりペアリングしたい運用・撮影装置を選択すると、ステップA5~A7の処理が実行される。続いて、ステップA8でのペアリング対象となる運用・撮影装置のUUIDの登録が完了すると、
図6に示すように、タッチパネルディスプレイ上に「ペアリング先の装置が登録されました。」と表示される。
【0031】
ユーザによる入力装置への操作により、登録部110は、デバイス300のIPアドレスの登録要求を取得する(ステップA9)。
図7に示すように、ユーザがタッチパネルディスプレイに表示されるボタン「デバイス登録」にタッチすることにより、IPアドレスの登録の要求が発生する。
【0032】
登録部110は、取得したIPアドレスを設定保管部120に登録する(ステップA10)。IPアドレスは、デバイス300とLANを介した通信のために使用される。このステップでの一例としては、
図7に示すように、タッチパネルディスプレイ上にデバイスのIPアドレス入力画面が表示される。この画面上でのユーザの操作によりIPアドレスの入力、およびその後のボタン「登録」の押下が行われることで、IPアドレスが登録される。また、IPアドレスの登録が完了すると、タッチパネルディスプレイ上に「デバイスが登録されました。」と表示される。
【0033】
図3に示す処理による事前準備のための初期設定後の設定保管部120データ例を
図8に示す。
【0034】
同様に、運用・撮影装置B:200に対してもそれぞれ以下3つの登録を行う。
・デバイス300の物体指紋の登録
・運用・撮影装置A:100のペアリング通信情報(UUID)の登録
・デバイス300のIPアドレスの登録
【0035】
運用・撮影装置B:200における事前準備の手順は、
図3におけるステップA2での物体がデバイス300となり、ステップA4でのペアリング通信情報が運用・撮影装置A:100のペアリング通信情報となる点が異なることを除いて、
図3に示す処理と同様のため説明を省略する。また、運用・撮影装置A:100と運用・撮影装置B:200に対する事前準備の登録手順のうち、ペアリング通信に関する設定(ステップA4~A8)は同タイミングで行うとする。ここまでの処理で、運用・撮影装置A:100および運用・撮影装置B:200を用いた、電子デバイスとその設置場所の運用管理のための事前準備は完了となる。これにより、運用・撮影装置B:200の設定保管部220にも
図8と同様の情報が保管される。
【0036】
運用・撮影装置A:100および運用・撮影装置B:200の運用時における運用・撮影装置A:100の動作手順について
図4に示す。本動作は前述の事前準備完了後、ユーザからタッチパネルディスプレイ等の入力機能を通して開始される。一例としては、
図9に示すように、ユーザによるボタン「運用開始」のタッチにより、運用が開始される。
【0037】
制御部130は、物体指紋取得部140に物体指紋の取得を要求する(ステップB1)。物体指紋取得部140は、カメラを通じてデバイス設置部400を接写し、接写した画像から物体指紋を取得する(ステップB2)。なお、カメラが
図3に示す初期設定時に撮影したデバイス設置部400の接写場所と同じないしはほぼ同じ場所が撮影されるように、デバイス設置部400はデバイス設置部400に対して固定されていることが好ましい。
【0038】
物体指紋照合部150は、設定保管部120に保管されたデバイス設置部400の物体指紋とステップB2で取得された物体指紋とを比較し照合を行う(ステップB3)。物体指紋照合部150は、比較する2つの物体指紋の照合スコアが一定の閾値を超えていた場合は正常な照合とみなしステップB5へと進む。そうでない場合、物体指紋照合部150は、異常とみなしステップB9へと進む(ステップB4)。なお、ここでの「異常」とは、運用・撮影装置A:100がデバイス設置部400と異なる場所に設置され、適切に管理できない状況となった可能性があることを示す。
【0039】
制御部130は、設定保管部120に登録された運用・撮影装置B:200のUUIDを取得し、ペアリング通信部160に通信を要求する(ステップB5)。ペアリング通信部160は、登録されたUUIDを元に運用・撮影装置B:200との近距離無線通信が行えるかの確認を行う(ステップB6)。制御部130は、通信が可能だった場合はステップB8に処理を進めるが、そうでない場合はステップB9に処理を進める(ステップB7)。通信が可能だった場合、制御部130は、デバイス300のIPアドレスを用いて、デバイス通信部170を通じてLAN経由で、デバイス300に結果が正常であったことを示す情報を送信する(ステップB8)。一方、ステップB7にて通信が可能でなかった場合、制御部130は、デバイス300のIPアドレスを用いて、デバイス通信部170を通じてLAN経由で、デバイス300に結果が異常であったことを示す情報を送信する(ステップB9)。ここでの「異常」は、デバイス300に固定される運用・撮影装置B:200がデバイス300ごと移動され、デバイス300がデバイス設置部400近傍にない可能性があることを示す。
【0040】
運用・撮影装置A:100は、一定時間(例えば、5分ほど)待機し、処理をステップB1に戻す(ステップB10)。ステップB1からB10の動作は、ユーザにより処理が開始された後、基本的には運用・撮影装置A:100により自動的に継続して繰り返されるものとし、ステップB9でデバイス300に異常を通知した場合のみ運用・撮影装置A:100の動作を終了する。
【0041】
運用・撮影装置B:200の動作も、ステップB2での撮影対象および物体指紋の取得対象がデバイス300となる点、ステップB6でのペアリング対象となる装置が運用・撮影装置A:100となる点を除き、同様の動作となる。よって運用・撮影装置B:200の動作手順の説明は省略する。
【0042】
運用・撮影装置A:100および運用・撮影装置B:200の運用時における、管理対象となるデバイス300の動作手順について
図11を用いて説明する。
【0043】
デバイス300の制御部320は、装置通信部310に一定時間(例えば、5分ほど)受信を待機させる(ステップC1)。運用・撮影装置A:100、および、運用・撮影装置B:200の両方から通信があった場合、制御部320は、ステップC3に処理を進め、そうでない場合にはステップC5に処理を進める(ステップC2)。ステップC2で受信した結果が両方とも正常だった場合、制御部320は、ステップC5に処理を進めるが、そうでない場合にはステップC4に処理を進める(ステップC3)。ステップC5に処理が進んだ際、制御部320は通常通りデバイス300が使用可能と判断し、ステップC1に戻る(ステップC5)一方、ステップC4に進んだ際、制御部320はデバイス300が使用不可能と判断し、ロック部330を通じてデバイス300が使用できないようロックさせる(ステップC4)。なお、ここでの「使用不可能」との判断は、
1)運用・撮影装置A:100がデバイス設置部400に対して移動されて、適切な管理ができない可能性のある場合、
2)運用・撮影装置B:200がデバイス300に対して移動ないしは固定が解除されて、適切な管理ができない可能性のある場合、
3)運用・撮影装置A:100と運用・撮影装置B:200とが所定の近距離内になく、デバイス300からデバイス設置部400から移動された可能性のある場合
のいずれかの状態であったとの判断に相当する。なお、いずれの状況でもない場合、ペアリングされているデバイス300とデバイス設置部400とが適切に運用されている状態、となる。
【0044】
以上の通り、デバイスや設置場所の物体指紋の判定情報に基づくデバイスや設置場所の確認と、近距離無線通信による運用・撮影装置A:100と運用・撮影装置B:200とのペアリングにより、デバイスと設置場所とのペアリングを行うことがきる。結果として、悪意により適切な設置場所からデバイスが移される場合や、故意でなくとも誤った設置場所にデバイスを移動して運用してしまうケースに対処することが可能となる。
【0045】
また、運用・撮影装置A:100と運用・撮影装置B:200とを用いることで、クラウドや外部環境など、現場外に管理サーバを置いて管理する必要もなく運用が可能となる。
【0046】
加えて、管理対象がデバイス300の場合、異常検知により、デバイス300を動作しないように、あるいはデバイスに対する操作ができないようにデバイスをロックすることも可能となる。
【0047】
なお、物体指紋による照合は、照明条件に影響を受けやすい。しかし、適切な設置場所への適切なデバイスの設置の管理ということから、運用現場で管理のためのシステムが完結するため、照合に用いる物体指紋は同じシチュエーション(照明条件)で撮影できる。その結果として、物体指紋照合技術の、撮影場所(照明条件)による精度のぶれというリスクを軽減できる。
【0048】
なお、デバイス300、デバイス設置部400の照合のために物体指紋を用いるとして説明した。これは、同じように見える工業製品でも撮影画像による識別が可能だからである。しかし、これに限定されるものではなく、物体指紋の代わりにバーコードを管理対象となるデバイスおよび/またはデバイス管理部に貼って、バーコードを用いて照合することや、画像認識による照合等、設置場所やその設置場所にて管理されるデバイスを識別可能な技術であればよい。または、運用・撮影装置A:100や運用・撮影装置B:200をデバイス300、デバイス設置部400に分離不能なように接着・固定し、デバイス300、デバイス設置部400の認証が不要になるようにしてもよい。
【0049】
運用・撮影装置A:100と運用・撮影装置B:200の利用は、デバイスを運用する企業のサーバ室や、工事・建設現場等、屋内屋外を必ずしも問うものではない。また、運用・撮影装置A:100と運用・撮影装置B:200の利用は、特に、GPS(Global Positioning System)といった移動体等位置情報を用いるに適さない場所での使用で効果を発揮する。
【0050】
本実施の形態として、ペアリングして管理するものとして、デバイスとデバイス設置部を例として説明したが、これに限定されるものではない。運用管理対象がデバイスではない一般の資産(物理的な物体)であってもよい。デバイスのように運用・撮影装置A:100や運用・撮影装置B:200と通信できない場合の構成例を
図12に示す。
【0051】
図12の例では、運用・撮影装置A:100や運用・撮影装置B:200が、デバイス通信部170(270)の代わりに、アラート表示部170(270)を備える。この例では、
図10のステップB9において、運用・撮影装置A:100や運用・撮影装置B:200は、「異常」と判断した場合、アラート表示部170(270)にアラートを示す。
【0052】
別の例を
図13に示す。
図13は、
図10のステップB9において、運用・撮影装置A:100および/または運用・撮影装置B:200が「異常」と判断した場合、デバイス通信部170(270)を介して、予め運用・撮影装置A:100や運用・撮影装置B:200に登録されたスマートフォンや外部システム等の通信可能な任意のシステムに異常(アラート)を通知する例を示す。
【0053】
なお、運用・撮影装置A:100に対して、運用・撮影装置B:200は1対1での運用に限定されるものではない。例えば、運用・撮影装置A:100に対して、運用・撮影装置B:200は1対Nの複数での運用をしてもよい。すなわち、一つのデバイス設置部400に対して複数のデバイス300を設置し管理するようにしてもよい。
【0054】
運用・撮影装置A:100と運用・撮影装置B:200を繋ぐ近距離無線通信の代用としては、セキュリティワイヤー等も考えられる。しかし、ワイヤーが切れたり外されたりした際に、そのことについて通知を受けるないしは検出する機能を運用・撮影装置A:100と運用・撮影装置B:200に設ける必要がある。
【0055】
図14は本発明の一実施形態による運用撮影装置のハードウェア構成を示す図である。運用撮影装置(運用・撮影装置A:100、運用・撮影装置B:200)は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、SSD(Solid State Drive)14といった不揮発性メモリ、通信モジュール15を備える。
【0056】
CPU11は、ROM12またはSSD14等の記録媒体に記憶されるプログラムを実行することで、運用撮影装置の各機能を実現する。
【0057】
SSD14は、運用撮影装置の機能を実現するため必要となるデータ等も記憶する。なお、SSD14は、他の不揮発性の記憶装置、例えば、HDD(Hard Disk Drive)であってもよく、いくつかの異なる種類の不揮発性の記憶装置により構成させてもよい。通信モジュール15は、近距離無線通信やネットワーク接続のために用いられる。また、運用撮影装置は、タッチパネルディスプレイ等の入出力装置16を備えてもよい。
【0058】
図15は、本発明の一実施形態による運用撮影装置100(200)の最小構成図を示す図である。
運用撮影装置100(200)は、ペアリングされる一方の物と他方の物のうち、前記一方の物を撮影可能に設置される。 運用撮影装置100(200)は、前記一方の物を撮影した画像に基づき得られる前記一方の物の照合結果と、前記他方の物に設置される他の装置であって前記他の装置を特定する情報を用いた前記他の装置との近距離無線通信の実行の可否の判断結果とに基づき、前記一方の物と前記他方の物とが適切に運用されているかを判断する制御部130(230)を備える。
【0059】
なお、
図1や
図2における運用撮影装置(運用・撮影装置A:100、運用・撮影装置B:200)の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによりコンテナ管理装置におけるコンテナの管理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0060】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0061】
100 運用・撮影装置A(運用撮影装置)
200 運用・撮影装置B(運用撮影装置)
110,210 登録部
120,220 設定保管部
130,230 制御部
140,240 物体指紋取得部
150,250 物体指紋照合部
160,260 ペアリング通信部
170,270 デバイス通信部(アラート表示部)
300 デバイス
310 装置通信部
320 制御部
330 ロック部
400 デバイス設置部