(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112535
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】半導体素子のリーク電流検出回路及びハーフブリッジ回路のリーク電流検出回路
(51)【国際特許分類】
G01R 31/26 20200101AFI20240814BHJP
H03K 17/687 20060101ALI20240814BHJP
H02M 1/08 20060101ALI20240814BHJP
H02M 1/00 20070101ALI20240814BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20240814BHJP
H03K 17/16 20060101ALN20240814BHJP
【FI】
G01R31/26 B
H03K17/687 A
H02M1/08 A
H02M1/00 H
H01L27/04 T
G01R31/26 A
H03K17/16 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017637
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 淳一
【テーマコード(参考)】
2G003
5F038
5H740
5J055
【Fターム(参考)】
2G003AA02
2G003AB05
2G003AB16
2G003AE01
2G003AH02
2G003AH05
2G003AH09
5F038DT12
5H740AA10
5H740BA12
5H740BC01
5H740BC02
5H740HH05
5H740JA01
5H740JB01
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5H740MM11
5J055AX40
5J055BX16
5J055DX13
5J055DX22
5J055EX07
5J055EY01
5J055EY04
5J055EY12
5J055EY21
5J055EZ03
5J055EZ10
5J055EZ24
(57)【要約】
【課題】高精度な回路を用いることなく、通常動作時にはノイズの影響を受け難くして、リーク電流を検出できる半導体素子のリーク電流検出回路を提供する。
【解決手段】FET1を対象として、ゲートと・ソース間に発生するリーク電流を検出する検出部16Dと、ゲート・ドレイン間に発生するリーク電流を検出する検出部16Sとを備える。検出部16Sは、FET7及び抵抗素子8、ゲートの電圧を閾値と比較するコンパレータ11Sを備え、検出部16Dは、抵抗素子9及びFET10、ゲートの電圧を閾値と比較するコンパレータ11Dを備える。制御部13は、FET3をオフにすると共にFET10をオンにした初期状態から、FET10をオフにすると共にFET7をオンにすることでリーク電流検査を行う。また、FET3をオンにすると共にFET10をオフにした初期状態から、FET3をオフにすると共にFET10をオンにすることでリーク電流検査を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧駆動型の半導体素子(1、1H、1L)を対象として、ゲートと低電位側導通端子との間に発生するリーク電流を検出する低電位側リーク検出部(16S、16S(B)、16S(C)、18S、21S、23S、25S、28S)と、ゲートと高電位側導通端子との間に発生するリーク電流を検出する高電位側リーク検出部(16D、16D(A)、16D(B)、16D(C)、18D、21D、23D、25D、28D)との何れか一方、又は双方を備えるもので、
前記ゲートを充電用ゲート抵抗(4)を介して充電し、前記半導体素子をオンさせるオン側出力トランジスタ(3)と、
前記ゲートを放電用ゲート抵抗(5)を介して放電させ、前記半導体素子をオフさせるオフ側出力トランジスタ(6)と、を備え、
前記低電位側リーク検出部は、前記ゲートを検査用に充電する充電部(7、8、26S)と、
前記ゲートの電圧を閾値と比較する低電位側比較部(11S、12S)と、
前記オン側出力トランジスタ、前記オフ側出力トランジスタ、及び前記充電部のオンオフを制御する低電位側制御部(13S、18S、21S、23S、25S、28S、31S、38S、44S、56S)と、を備え、
前記低電位側制御部は、前記オン側出力トランジスタをオフにすると共に前記オフ側出力トランジスタをオンにした初期状態から、
前記オフ側出力トランジスタをオフにすると共に前記充電部をオンにすることで検査を行い、
前記高電位側リーク検出部は、前記ゲートを検査用に放電する放電部(9、10、26D)と、
前記ゲートの電圧を閾値と比較する高電位側比較部(11D、12D)と、
前記オン側出力トランジスタ、前記オフ側出力トランジスタ、及び前記放電部のオンオフを制御する高電位側制御部(13D、18D、21D、23D、25D、28D、31D、38D、44D、56D)と、を備え、
前記高電位側制御部は、前記オン側出力トランジスタをオンにすると共に前記オフ側出力トランジスタをオフにした初期状態から、
前記オン側出力トランジスタをオフにすると共に前記放電部をオンにすることで検査を行う半導体素子のリーク電流検出回路。
【請求項2】
前記充電部は、充電電流値が異なるものが複数(7(1~n)、8(1~n)、26S(1~n))あり、
前記放電部は、放電電流値が異なるものが複数(9(1~n)、10(1~n)、26D(1~n))ある請求項1記載の半導体素子のリーク電流検出回路。
【請求項3】
前記ゲートを低電位側基準電圧にプルダウンするプルダウン抵抗(39)が接続されている際に、
前記低電位側リーク検出部(35D)は、前記複数の放電部を選択的にオンさせることで、前記低電位側比較部の比較結果が変化した後、前記放電部をオフさせた後所定時間の経過後に、前記低電位側比較部の比較結果が再度変化したことを判定する低電位側判定部(38D)を備え、
前記低電位側判定部は、最初に判定時に選択した放電部を記憶しておき、以降の判定時において前記放電部と異なる放電部を選択した際に、リーク検出判定を行い、
前記高電位側リーク検出部(35S)は、前記複数の充電部を選択的にオンさせることで、前記高電位側比較部の比較結果が変化した後、前記充電部をオフさせた後所定時間の経過後に、前記高電位側比較部の比較結果が再度変化したことを判定する高電位側判定部(38S)を備え、
前記高電位側判定部は、最初に判定時に選択した充電部を記憶しておき、以降の判定時において前記充電部と異なる充電部を選択した際に、リーク検出判定を行う請求項2記載の半導体素子のリーク電流検出回路。
【請求項4】
前記半導体素子の温度を検出する温度検出部(45)を備え、
前記低電位側リーク検出部(44D)は、前記温度に応じて使用する充電部を選択し、
前記高電位側リーク検出部(44S)は、前記温度に応じて使用する放電部を選択する請求項2記載の半導体素子のリーク電流検出回路。
【請求項5】
前記充電部は、高電位側基準電位点と前記ゲートとの間に接続される検査用トランジスタ(7)及び抵抗素子(8)の直列回路を備え、
前記放電部は、低電位側基準電位点と前記ゲートとの間に接続される検査用トランジスタ(10)及び抵抗素子(9)の直列回路を備える請求項1記載の半導体素子のリーク電流検出回路。
【請求項6】
前記充電部及び前記放電部は、オンオフ制御が可能な電流源(26S、26D)を備える請求項1記載の半導体素子のリーク電流検出回路。
【請求項7】
前記高電位側比較部(18S)、前記低電位側比較部(18D)は、前記ゲートの電圧を直接検出する請求項1記載の半導体素子のリーク電流検出回路。
【請求項8】
)
前記高電位側比較部(11S)は、前記放電用ゲート抵抗を介して前記ゲートの電圧を検出し、
前記低電位側比較部(11D)は、前記充電用ゲート抵抗を介して前記ゲートの電圧を検出する請求項1記載の半導体素子のリーク電流検出回路。
【請求項9】
前記低電位側リーク検出部(30D)は、前記放電部をオンさせてから前記低電位側比較部の出力信号レベルが反転するまでの時間を計測する低電位側計測部(32D,33D)を備え、
前記高電位側リーク検出部(30S)は、前記充電部をオンさせてから前記高電位側比較部の出力信号レベルが反転するまでの時間を計測する高電位側計測部(32S,33S)を備える請求項1記載の半導体素子のリーク電流検出回路。
【請求項10】
前記低電位側リーク検出部(56D)は、前記放電部をオンさせてから所定時間が経過した時点で前記低電位側比較部の比較結果を判定する低電位側判定部(58D,59D,60D)を備え、
前記高電位側リーク検出部(56S)は、前記充電部をオンさせてから所定時間が経過した時点で前記高電位側比較部の比較結果を判定する高電位側判定部(58S,59S,60S)を備える請求項1記載の半導体素子のリーク電流検出回路。
【請求項11】
前記低電位側リーク検出部(16D(A))の低電位側基準電圧は、前記低電位側導通端子が接続されている基準電圧よりも低く設定されている請求項1記載の半導体素子のリーク電流検出回路。
【請求項12】
前記低電位側比較部(16D(B))の閾値は、前記半導体素子のオンオフ閾値よりも高く設定され、
前記高電位側比較部(16S(B))の閾値は、前記オンオフ閾値よりも低く設定されている請求項1記載の半導体素子のリーク電流検出回路。
【請求項13】
前記低電位側比較部(16D(C))の閾値及び前記高電位側比較部(16S(C))の閾値は、共に前記半導体素子のオンオフ閾値よりも低く設定されている請求項1記載の半導体素子のリーク電流検出回路。
【請求項14】
請求項1から13の何れか一項に記載の半導体素子のリーク電流検出回路を2つ(1H,1L)備え、
前記半導体素子の1つを高電位側半導体素子、他の1つを低電位側半導体素子として、
高電位側基準電圧点と低電位側基準電圧点との間に、前記高電位側半導体素子及び前記低電位側半導体素子を直列に接続したハーフブリッジ回路(71)を検出対象とし、
前記2つの半導体素子に対応するリーク電流検出回路の動作を制御する検査制御部(17BH,17BL)を備え、
前記検査制御部は、前記高電位側半導体素子をリーク電流検出の対象とする際には、前記低電位側半導体素子をオフ状態に維持し、
前記低電位側半導体素子をリーク電流検出の対象とする際には、前記高電位側半導体素子をオフ状態に維持するハーフブリッジ回路のリーク電流検出回路。
【請求項15】
請求項1から13の何れか一項に記載の半導体素子のリーク電流検出回路を2つ備え、
前記半導体素子の1つを高電位側半導体素子、他の1つを低電位側半導体素子として、
高電位側基準電圧点と低電位側基準電圧点との間に、前記高電位側半導体素子及び前記低電位側半導体素子を直列に接続したハーフブリッジ回路を検出対象とし、
前記2つの半導体素子に対応するリーク電流検出回路の動作を制御する検査制御部(17BH(A),17BL(B))を備え、
前記検査制御部は、前記高電位側半導体素子をオン状態にして、対応する低電位側リーク電流検出部を動作させると共に、
前記低電位側半導体素子をオフ状態にして、対応する高電位側リーク電流検出部を動作させる第1フェーズと、
記高電位側半導体素子をオフ状態にして、対応する高電位側リーク電流検出部を動作させると共に、
前記低電位側半導体素子をオン状態にして、対応する低電位側リーク電流検出部を動作させる第2フェーズとを実行するハーフブリッジ回路のリーク電流検出回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧駆動型の半導体素子又はハーフブリッジ回路について、リーク電流を検出する回路に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばMOSFETのような電圧駆動型の半導体素子について、ゲート・ソース間、ゲート・ドレイン間のリーク電流を検出する構成については、様々なものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-174756号公報
【特許文献2】特開2011-71174号公報
【特許文献3】特開2013-192444号公報
【特許文献4】特開2017-118360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1~3に開示されている構成では、ゲート抵抗に発生する電圧降下を監視することでリーク電流を検出している。しかしながら、リーク電流が流れた際にゲート抵抗の両端に発生する電位差は微小であるため、高精度な検出回路が必要となる。例えば10Ωのゲート抵抗で100μAのリーク電流を検出することを想定すると、検出電圧は1mVである。
【0005】
特許文献4に開示されている構成では、FETをターンオンさせる経路にダイオードを挿入するといった変更が必要となり、リーク検出用の経路において順方向電圧Vf分の電圧を充電するまでの遅延時間が増大する。また、高抵抗のリーク検出用経路でゲート電圧を保持するためノイズの影響を受け易い、といった問題がある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高精度な回路を用いることなく、通常動作時にはノイズの影響を受け難くして、リーク電流を検出できる半導体素子のリーク電流検出回路、及びハーフブリッジ回路のリーク電流検出回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の半導体素子のリーク電流検出回路によれば、電圧駆動型の半導体素子(1、1H、1L)を対象として、ゲートと低電位側導通端子との間に発生するリーク電流を検出する低電位側リーク検出部(16S、16S(B)、16S(C)、18S、21S、23S、25S、28S)と、ゲートと高電位側導通端子との間に発生するリーク電流を検出する高電位側リーク検出部(16D、16D(A)、16D(B)、16D(C)、18D、21D、23D、25D、28D)との何れか一方、又は双方を備える。
【0008】
低電位側リーク検出部は、半導体素子のゲートを検査用に充電する充電部(7、8、26S)、ゲートの電圧を閾値と比較する低電位側比較部(11S、12S)、オン側出力トランジスタ(3)、オフ側出力トランジスタ(6)、及び充電部のオンオフを制御する低電位側制御部(13S、18S、21S、23S、25S、28S、31S、38S、44S、56S)を備える。低電位側制御部は、オン側出力トランジスタをオフにすると共にオフ側出力トランジスタをオンにした初期状態から、オフ側出力トランジスタをオフにすると共に充電部をオンにすることで検査を行う。
【0009】
高電位側リーク検出部は、半導体素子のゲートを検査用に放電する放電部、ゲートの電圧を閾値と比較する高電位側比較部、オン側出力トランジスタ、オフ側出力トランジスタ、及び放電部のオンオフを制御する高電位側制御部(13D、18D、21D、23D、25D、28D、31D、38D、44D、56D)を備える。高電位側制御部は、オン側出力トランジスタをオンにすると共にオフ側出力トランジスタをオフにした初期状態から、オン側出力トランジスタをオフにすると共に放電部をオンにすることで検査を行う。
【0010】
このように、半導体素子のゲートを充電した後のゲートの電圧を閾値と比較することで、ゲートから半導体素子の低電位側導通端子へのリークの有無を判定できる。また、半導体素子のゲートを放電させた後のゲートの電圧を閾値と比較することで、半導体素子の高電位側導通端子からゲートへのリークの有無を判定できる。したがって、簡単な回路構成で、リーク電流を検出できる。また、通常動作では、リーク電流を検出するための抵抗値が高い経路を経由しないので、ノイズ耐性が低下することを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態であり、リーク電流検出回路の構成を示す図
【
図2】オン側リーク電流を検出する際の動作タイミングチャート
【
図3】オフ側リーク電流を検出する際の動作タイミングチャート
【
図4】第2実施形態であり、リーク電流検出回路の構成を示す図
【
図5】第3実施形態であり、リーク電流検出回路の構成を示す図
【
図6】第4実施形態であり、リーク電流検出回路の構成を示す図
【
図7】オン側リーク電流を検出する際の動作タイミングチャート
【
図8】オフ側リーク電流を検出する際の動作タイミングチャート
【
図9】第5実施形態であり、リーク電流検出回路の構成を示す図
【
図10】第6実施形態であり、リーク電流検出回路の構成を示す図
【
図11】第7実施形態であり、リーク電流検出回路の構成を示す図
【
図12】オン側リーク電流を検出する際の動作タイミングチャート
【
図13】オフ側リーク電流を検出する際の動作タイミングチャート
【
図14】第8実施形態であり、リーク電流検出回路の構成を示す図
【
図15】オン側リーク電流を検出する際の動作タイミングチャート
【
図16】オフ側リーク電流を検出する際の動作タイミングチャート
【
図17】第9実施形態であり、リーク電流検出回路の構成を示す図
【
図18】第10実施形態であり、リーク電流検出回路の構成を示す図
【
図19】オン側リーク電流を検出する際の動作タイミングチャート
【
図20】オフ側リーク電流を検出する際の動作タイミングチャート
【
図21】第11実施形態であり、リーク電流検出回路をハーフブリッジ回路に適用した構成を示す図
【
図22】第12実施形態であり、オン側及びオフ側リーク電流を検出する際の動作タイミングチャート(リーク電流発生無し)
【
図23】オフ側及びオフ側リーク電流を検出する際の動作タイミングチャート(リーク電流発生有り)
【
図24】第13実施形態であり、リーク電流検出回路の構成を示す図
【
図25】オン側リーク電流を検出する際の動作タイミングチャート(リーク電流発生無し)
【
図26】オン側リーク電流を検出する際の動作タイミングチャート(リーク電流発生有り)
【
図27】第14実施形態であり、リーク電流検出回路の構成を示す図
【
図30】第15実施形態であり、リーク電流検出回路の構成を示す図
【
図31】オン側リーク電流を検出する際の動作タイミングチャート
【
図32】オフ側リーク電流を検出する際の動作タイミングチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
図1に示すように、本実施形態のリーク電流検出回路は、電圧駆動型の半導体素子である例えばNチャネルMOSFET1を検出対象とする。FET1は、直流電源2とグランドとの間に接続されている。また、直流電源2よりも低圧の直流電源70とグランドとの間には、PチャネルMOSFET3、ゲート充電用抵抗4、ゲート放電用抵抗5及びNチャネルMOSFET6の直列回路が接続されている。抵抗4及び5の共通接続点は、FET1のゲートに接続されている。FET3、6は、それぞれオン側、オフ側出力トランジスタに相当する。
【0013】
FET3には、充電部に相当するPチャネルMOSFET7及び抵抗素子8の直列回路が並列に接続され、FET6には、放電部に相当する抵抗素子9及びNチャネルMOSFET10の直列回路が並列に接続されている。FET7、10は検査用トランジスタに相当する。低電位側比較部に相当するコンパレータ11Sの非反転入力端子は、FET3のドレインに接続され、反転入力端子は、正極が直流電源70の正極に接続された基準電源12Sの負極に接続されている。
【0014】
高電位側比較部に相当するコンパレータ11Dの非反転入力端子は、FET6のドレインに接続され、反転入力端子は、負極がグランドに接続された基準電源12Dの正極に接続されている。基準電源12Sの負極、基準電源12Dの正極は、それぞれコンパレータ11S、11Dに閾値電圧を付与している。以下の説明では、FET6のドレインをオン側出力端子と称し、FET9のドレインをオフ側出力端子と称することがある。
【0015】
制御部13は、ゲート駆動部14及び検出指令出力部15を備えている。ゲート駆動部14はFET3及び6のゲートを駆動し、検出指令出力部15はFET7及び10のゲートを駆動する。コンパレータ11S及び11Dの出力信号は、リーク電流の検出信号となるが、それぞれ制御部13に入力されても良い。制御部13は、高電位側制御部及び低電位側制御部に相当する。例えば、FET1をターンオンさせる際にゲートに印加する電圧が15Vであり、ゲート・低電位側導通端子であるソース間に発生する100μAのリーク電流を検出するのであれば、抵抗素子8の抵抗値を10kΩ、基準電源12Sの電圧を1Vに設定する。
【0016】
以上において、FET3及び7、抵抗素子8、コンパレータ11S及び制御部13は、低電位側リーク検出部16Sを構成する。また、FET6及び10、抵抗素子9、コンパレータ11D及び制御部13は、高電位側リーク検出部16Dを構成する。また、リーク検出部16にFET3及び6を加えたものは、IC17を構成している。
【0017】
次に、本実施形態の作用について説明する。尚、図中では、以下のように示す場合がある。
・FET1→パワー素子
・FET3→オン側出力トランジスタ
・FET6→オフ側出力トランジスタ
・FET7→リーク電流検出用トランジスタTP
・FET10→リーク電流検出用トランジスタTN
【0018】
FET1のゲート・ソース間に発生するリーク電流を検出する場合には、
図2に示すように、先ずFET3をOFF,FET6をONにして、ゲートを放電させてFET1をOFFにする。それから、FET6をOFFにすると共に、FET7をONにする。これにより、FET1のゲートは、検出対象のリーク電流相当値により充電されるので、ゲート・ソース間にリーク電流が流れなければ、オン側出力端子の電圧はローレベルからハイレベルに変化する。一方、ゲート・ソース間にリーク電流が流れていれば、図中に破線で示すように、オン側出力端子の電圧はローレベルのままとなる。
【0019】
一方、FET1のドレイン・ゲート間に発生するリーク電流を検出する場合には、
図3に示すように、先ずFET3をON,FET6をOFFにして、ゲートを充電してFET1をONにする。それから、FET3をOFFにすると共に、FET10をONにする。これにより、FET1のゲートは、検出対象のリーク電流相当値により放電されるので、ドレイン・ゲート間にリーク電流が流れなければ、オン側出力端子の電圧はハイレベルからローレベルに変化する。一方、ドレイン・ゲート間にリーク電流が流れていれば、図中に破線で示すように、オフ側出力端子の電圧はハイレベルのままとなる。以下では、
図2に示すリーク電流検出を「オン側リーク検出」と称し、
図3に示すリーク電流検出を「オフ側リーク検出」と称する場合がある。まあ、高電位側リーク検出部16D、低電位側リーク検出部16Sの何れか一方のみを備えても良い。
【0020】
以上のように本実施形態によれば、NチャネルMOSFET1を対象として、ゲートとソースとの間に発生するリーク電流を検出する高電位側リーク検出部16Dと、ゲートとドレインとの間に発生するリーク電流を検出する低電位側リーク検出部16Sとを備える。低電位側リーク検出部16Sは、FET1のゲートを検査用に充電するFET7及び抵抗素子8、ゲートの電圧を閾値と比較するコンパレータ11Sを備え、高電位側リーク検出部16Dは、FET1のゲートを検査用に放電する抵抗素子9及びFET10、ゲートの電圧を閾値と比較するコンパレータ11Dを備える。
【0021】
制御部13は、FET3をオフにすると共にFET10をオンにした初期状態から、FET10をオフにすると共にFET7をオンにすることで、ゲートからソースへのリーク電流検査を行う。また、FET3をオンにすると共にFET10をオフにした初期状態から、FET3をオフにすると共にFET10をオンにすることでドレインからゲートへのリーク電流検査を行う。
【0022】
このように、FET1のゲートを充電した後のゲート電圧を閾値と比較することで、ゲートからソースへのリーク電流の有無を判定できる。また、ゲートを放電させた後のゲート電圧を閾値と比較することで、ドレインからゲートへのリーク電流の有無を判定できる。したがって、簡単な回路構成でリーク電流を検出できる。また、通常動作では、リーク電流を検出するための抵抗値が高い経路を経由しないので、ノイズ耐性が低下することを回避できる。
【0023】
(第2実施形態)
以下、第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。
図4に示すように、第2実施形態のリーク検出部18は、コンパレータ11S、11Dの非反転入力端子が共通に、FET1のゲートに直接接続されている点が第1実施形態と相違している。リーク検出部18を含むIC19には、外部のゲート並びにゲート抵抗4及び5と接続する端子20a~20cを示している。
【0024】
以上のように構成される第2実施形態によれば、FET1のゲート電圧を、抵抗4,5を介すことなく検出できるので、抵抗4,5における電圧降下の影響を受けることがなく、検出精度が向上する。
【0025】
(第3実施形態)
図5に示す第3実施形態のリーク検出部21は、コンパレータ11S、11Dの非反転入力端子の接続先が第1実施形態とは異なり、コンパレータ11Sの非反転入力端子はFET6のドレインに接続され、コンパレータ11Dの非反転入力端子はFET3のドレインに接続されている。
【0026】
第2実施形態では、IC19が抵抗4,5及びFET1のゲートに接続を行うための端子数は「3」であったが、第3実施形態のIC22では、端子20bが不要となるため第1実施形態と同様に「2」である。しかも、低電位側リーク検出部21Sが動作した際にオフ側出力端子には電流が流れず、高電位側リーク検出部21Dが動作した際にオン側出力端子には電流が流れないので、第2実施形態と同様の効果が得られる。
【0027】
(第4実施形態)
図6に示す第4実施形態のリーク検出部23は、低電位側の充電部であるFET7及び抵抗素子8の直列回路と、高電位側の放電部である抵抗素子9及びFET10の直列回路とを、それぞれn並列に接続した構成である。抵抗素子8(1~n)、抵抗素子9(1~n)の抵抗値は、検出するリーク電流値に応じて適宜設定すれば良いが、例えば2のべき乗で重み付けする等しても良い。例えば抵抗値は、8(1)<8(2)<…<8(n)、9(1)<9(2)<…<9(n)として、充電電流、放電電流が次第に小さくなるように設定する。以上がIC24を構成している。
【0028】
次に、第4実施形態の作用について説明する。
図7に示すように、FET1のゲート・ソース間リークを検出する場合には、第1実施形態と同様に、FET1のゲートを放電させてFET1をOFFにしてから、FET6をOFFにすると共にFET7(1)をONにする。これにより、FET1のゲートは、検出対象のリーク電流相当値により充電されるので、ゲート・ソース間にリーク電流が流れなければ、オン側出力端子の電圧はローレベルからハイレベルに変化する。次に、FET7(1)をOFFにしてFET7(n)をONにした際に、抵抗素子8(n)の抵抗値に応じたリーク電流が流れていれば、オン側出力端子の電圧は、図中に破線で示すようにローレベルに変化する。
【0029】
一方、FET1のドレイン・ゲート間リーク電流を検出する場合は、
図8に示すように、FET1のゲートを充電させてFET1をONにしてから、FET3をOFFにすると共にFET10(1)をONにする。これにより、FET1のゲートは、検出対象のリーク電流相当値により放電されるので、ドレイン・ゲート間にリーク電流が流れなければ、オン側出力端子の電圧はハイレベルからローレベルに変化する。次に、FET10(1)をOFFにしてFET10(n)をONにした際に、抵抗素子9(n)の抵抗値に応じたリーク電流が流れていれば、オン側出力端子の電圧は、図中に破線で示すようにハイレベルに変化する。
【0030】
以上のように第4実施形態によれば、充電部であるFET7及び抵抗素子8の直列回路と、放電部である抵抗素子9及びFET10の直列回路とをそれぞれn並列に接続したので、リーク電流の検出値を幅広く変化させることができる。
【0031】
(第5実施形態)
図9に示す第5実施形態のリーク電流検出部25S、25Dは、FET7及び抵抗素子8の直列回路、抵抗素子9及びFET10の直列回路に替えて、それぞれ電流源26S、26Dを備えている。電流源26S、26Dのオンオフは、検出指令出力部15により制御される。第2実施形態と同様に、コンパレータ11S、11Dの非反転入力端子は、共通にFET1のゲートに直接接続されている。以上がIC27を構成している。
以上のように構成される第5実施形態によれば、抵抗素子8、9の抵抗値のばらつきの影響がないので、リーク電流の検出精度が向上する。
【0032】
(第6実施形態)
図10に示す第6実施形態のリーク電流検出部28S、28Dは、第4実施形態のn並列の構成を、電流源26S(1~n)、26D(1~n)に置換えたものである。以上がIC29を構成している。
【0033】
(第7実施形態)
図11に示す第7実施形態は、第5実施形態の構成において、制御部13に替えて制御部30を備えたものである。制御部30は、ゲート駆動部14に加えて、検出指令出力部31S及び31D、クロック出力部32、カウンタ33及びリーク判定部34を備えている。カウンタ33は、電流源26S、26Dがオフからオンになると、カウンタ値「3」から、クロック出力部32より出力されるクロックパルスの出力数を減じる。
【0034】
尚、
図12及び
図13では、電流源26Sを電流源CSP、電流源26Dを電流源CSNで示している。リーク電流が発生していなければカウンタ値は「3」のままであり、小さいリーク電流が発生していればカウンタ値は「1」になり、大きいリーク電流が発生していればカウンタ値は「0」となる。リーク判定部34は、上記のカウンタ値によってリーク電流発生の有無を判定するが、カウンタ値「1」の場合もリーク電流発生と判定するかは任意である。この構成によれば、コンパレータ11に設定する閾値が1つであっても、リーク電流値の大小を判定できる。
【0035】
(第8実施形態)
図14に示す第8実施形態は、第6実施形態の構成において、制御部13に替えて制御部35を備えたものである。制御部35は、ゲート駆動部14に加えて、検出指令出力部36S及び36D、初期値レジスタ37S及び37D、並びにリーク判定部38を備えている。FET1のゲートには、プルダウン抵抗39が接続されている。低電位側リーク電流検出部28Dの基準電位は、負電圧となっている。以上がIC29Aを構成している。
【0036】
次に、第8実施形態の作用について説明する。
図15及び
図16に示すように、検出指令出力部36S及び36Dは、それぞれ、電流源26S(n)から26S(1)に、電流源26D(n)から26D(1)に向けて順次択一的にオンにするように切り替える。リーク判定部38は、実際にリーク電流の検出を開始する前の初期状態において、何番目の電流源26S、26Dでゲート電圧が検出閾値と交差したかを、初期値レジスタ37S、37Dに格納しておく。例えば電流源26S(m)、26D(m)で検出閾値と交差したのであれば、初期値レジスタ37S、37Dには「m」が格納される。
【0037】
リーク電流の検出を開始した際に、リーク電流の発生が無ければ、初期状態と同様にゲート電圧は電流源26S(m)、26D(m)で検出閾値と交差する。リーク電流が発生すると、電流源26S(m)、26D(m)よりも電流値が大きい電流源26S(l)、26D(l)で、つまりより早いタイミングでゲート電圧は検出閾値と交差するようになる。その際に、リーク判定部38は、リーク電流の検出有りと判定する。尚、低電位側リーク電流検出部28Dの基準電位が負電圧となっているので、ゲートがグランドレベルである0Vにプルダウンされていても、FET1のオフ時にプルダウン抵抗39を電流が流れるので、検出が可能となっている。
以上のように構成される第8実施形態によれば、FET1のゲートにプルダウン抵抗39が接続されている場合でも、リーク電流の発生を検出できる。
【0038】
(第9実施形態)
図17に示す第9実施形態は、第1実施形態の構成において、低電位側リーク電流検出部12Dの基準電位を負電圧としたものである。以上が低電位側リーク検出部16D(A)及びIC17Aを構成している。このように構成すれば、FET1のドレインをグランドに接続した状態でも、FET1のオフ時にゲート抵抗5に電流が流れるので、リーク電流の発生を検出できる。
【0039】
(第10実施形態)
図18に示す第10実施形態は、第1実施形態の構成において、基準電源12D、12Sを基準電源40D、40Sに置換えた構成である。基準電源40D、40Sによりコンパレータ11D、11Sに付与する検出閾値電圧は、FET1の閾値電圧よりもそれぞれ高く、低くなるように設定されている。以上が高電位側リーク検出部16S(B)及び低電位側リーク検出部16D(B)並びにIC17Bを構成している。このように構成することで、
図19及び
図20に示すように、オン側、オフ側それぞれのリーク電流を検出する際においても、FET1をそれぞれオン状態、オフ状態に確実に維持することができる。
【0040】
(第11実施形態)
図21に示す第11実施形態は、直流電源2とグランドとの間に2つのFET1H及び1Lが直列に接続されてハーフブリッジ回路71を構成している場合に、それぞれのFET1H、1Lに対応してIC17BH、17BLを設けた構成である。制御部13については図示を省略している。
【0041】
次に、第11実施形態の作用について説明する。
図22及び
図23に示すように、FET1Hのオン側リーク電流検出する際には、FET1Lをオフ状態に固定して行う。一方、FET1Lのオン側リーク電流検出する際には、FET1Hをオフ状態に固定して行う。
【0042】
オフ側のリーク検出を検出する際には、FET1H、1Lのドレインに電圧を印加する必要がある。そこで、FET1Hのオフ側リーク電流検出する際には、FET1Lをオン状態に固定し、第10実施形態と同様にして、FET1Hがオフを保持した状態で実施する。FET1Lのオフ側リーク電流検出する際には、FET1Hをオン状態に固定し、第10実施形態と同様にして、FET1Lがオフを保持した状態で実施する。
【0043】
以上のように第11実施形態によれば、ハーフブリッジ回路71に適用した場合でも、FET1H、1Lに貫通電流が流れない状態で、それぞれのリーク電流検出を行うことができる。
【0044】
(第12実施形態)
第12実施形態は、第11実施形態の構成において、FET1H、1Lそれぞれのリーク電流検出を、より効率的行うようにする。この実施形態において下記の制御を行なうICを17BH(A)、17BL(A)とする。
図22及び
図23に示すように、
(1)FET1Hをオン状態に固定し、FET1Hについてオン側のリーク電流を検出すると同時に、FET1Lをオフ状態に固定し、FET1Lについてオフ側のリーク電流を検出する。
(2)FET1Lをオン状態に固定し、FET1Hについてオン側のリーク電流を検出すると同時に、FET1Hをオフ状態に固定し、FET1Lについてオフ側のリーク電流を検出する。
【0045】
以上の(1)、(2)を交互に実施する。(1)、(2)はそれぞれ第1、第2フェーズに相当する。尚、(1)、(2)を切り替える際には、上下アーム短絡による素子の破壊を避けるため、FET1H及び1Lを共にオフ状態にすると良い。これにより、第11実施形態に比較して、各リーク電流の検出するトータルの時間を短縮できる。
【0046】
(第13実施形態)
図24に示す第13実施形態は、第10実施形態の構成おいて、コンパレータ11Sの反転入力端子に接続される基準電圧40Sを基準電圧41Sに置換えて、コンパレータ11Sに付与する検出閾値電圧を、FET1の閾値電圧よりも低くなるように設定する。以上が低電位側リーク検出部16S(C)及びIC17Cを構成している。制御部13に替わる制御部42はリーク判定部43を備えており、リーク判定部43には、コンパレータ11D、11Sの出力信号が入力される。
【0047】
図25に示すように、FET6及び7をオフにして、図示はないFET3をオンにした初期状態から、FET3をターンオフ、FET6をターンオンすると、ゲート電圧はハイレベルからローレベルに変化する。この状態から、FET7をターンオンすると、オン側のリーク電流が発生していなければゲート電圧は上昇するので、FET1の閾値電圧よりも低く設定した検出閾値電圧を超えれば、コンパレータ11Dの出力信号はハイレベルになる。
【0048】
一方、
図26に示すように、リーク電流が発生していればゲート電圧はローレベルのままとなるので、コンパレータ11Dの出力信号もローレベルである。オフ側のリーク電流検出の動作は、第10実施形態と同様である。以上のように第13実施形態によれば、FET1をオフ状態に維持したままで、オン側のリーク電流を検出することができる。
【0049】
(第14実施形態)
図27に示す第14実施形態は、第6実施形態のIC29に、制御部44を加えた構成である。また、FET1には、温度検出回路45が配置されている。温度検出回路45は、例えば
図28に示すように、電源とグランドとの間に接続される電流源46、及び温度検出用のダイオード47の直列回路と、入力端子がダイオード47のアノード、カソード間に接続されるA/Dコンバータ48で構成される。また、例えば
図29に示すように、直流電源49とグランドとの間に接続される抵抗素子50、及びサーミスタ51の直列回路と、入力端子がサーミスタ51の両端に接続されるA/Dコンバータ48で構成される。
【0050】
制御部44は、ゲート駆動部14に加えて、電流値指令出力部52S及び52D、リーク判定部53、素子温度検出部54及び指令値マップ55を備えている。温度検出回路45のA/Dコンバータ48より出力されるデータは、素子温度検出部54に入力される。FET1の劣化に伴って発生するゲートリーク電流は、素子の温度が高くなると増加する傾向を示す。
【0051】
そこで、指令値マップ55には、予め各温度に対応して検査対象とするリーク電流の指令値を記憶しておき、素子温度検出部54を介して入力されるFET1の温度情報に応じて、電流値指令出力部52S、52Dにオン状態にする電流源26S(1~n),26D(1~n)の番号を出力する。電流値指令出力部52S、52Dは、入力された番号の電流源26S(1~n),26D(1~n)をオンにする。
以上のように第14実施形態によれば、温度検出回路45により検出されるFET1の温度に応じて、最適なリーク電流の検査値を選択できる。
【0052】
(第15実施形態)
図30に示す第15実施形態は、第1実施形態のIC17に、制御部56を加えた構成である。制御部56は、ゲート駆動部14に加えて、検出指令出力部57S及び57D、リーク判定部58、クロック出力部59及びカウンタ60を備えている。カウンタ60は、検出指令出力部57が電流源26をオンにする検出指令を出力した時点から、クロック出力部59が出力するクロックパルス数により一定時間tをカウントする。リーク判定部58は、検出指令を出力した時点からコンパレータ11の出力信号がハイレベルに変化するタイミングで、リーク電流の大小を判定する。
【0053】
図31に示すように、オン側リーク電流の検出においてリーク電流の発生が無ければ、電流源26Sをオンにした直後にオン側出力端子電圧がハイレベルに変化し、その後一定時間tに到達する。リーク電流が僅かに発生していれば、一定時間tに到達する直前にオン側出力端子電圧がハイレベルに変化する。大きなリーク電流が流れていれば、一定時間tの到達後にオン側出力端子電圧がハイレベルに変化する。
【0054】
図32に示すように、オフ側リーク電流の検出においてリーク電流の発生が無ければ、電流源26Dをオンにした直後にオン側出力端子電圧がローレベルに変化し、その後一定時間tに到達する。リーク電流が僅かに発生していれば、一定時間tに到達する直前にオフ側出力端子電圧がローレベルに変化する。大きなリーク電流が流れていれば、一定時間tの到達後にオフ側出力端子電圧がローレベルに変化する。
以上のように第5実施形態によれば、カウンタ60によりカウントされる一定時間tを基準としてゲートリーク電流の発生の有無を検出できる。
【0055】
(その他の実施形態)
複数の実施形態において、互いに組合せが可能であるものについては、適宜組み合わせて実施すれば良い。
電圧駆動型の半導体素子はMOSFETに限ることなく、その他IGBT等でも良い。
【0056】
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0057】
図面中、1はNチャネルMOSFET、3はPチャネルMOSFET、4はゲート充電用抵抗、5はゲート放電用抵抗、6はNチャネルMOSFET、7はPチャネルMOSFET、8及び9は抵抗素子、10はNチャネルMOSFET、11はコンパレータ、13は制御部を示す。