(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112544
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】測定装置、制御方法、及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/022 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
A61B5/022 400F
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017657
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】樋口 裕哉
(72)【発明者】
【氏名】福田 泰士
(72)【発明者】
【氏名】中脇 望
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 一騎
【テーマコード(参考)】
4C017
【Fターム(参考)】
4C017AA02
4C017AA08
4C017AA09
4C017AA12
4C017AA16
4C017FF08
4C017FF15
(57)【要約】
【課題】プロセッサの処理負荷を低減し、測定等の処理の遅延を抑制することが可能な測定装置、制御方法、及び制御プログラムを提供する。
【解決手段】本発明の一側面に係る測定装置は、センサにより得られた生体データに基づく測定を行うメインMCU18と、情報端末5と無線通信を行う通信IC14と、通信IC14に接続された不揮発メモリ14aと、を備える。そして、メインMCU18は、センサによるセンシング中に得られる生体データを順次、送達確認せずに通信IC14へ送信して不揮発メモリ14aに生体データを書き込ませ、センシングの終了後に、不揮発メモリ14aへの生体データの書き込みに関する結果情報を通信IC14から受信する。通信IC14は、不揮発メモリ14aに書き込んだ生体データを情報端末5へ送信する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサにより得られた生体データに基づく測定を行う第1プロセッサと、
情報端末と無線通信を行う第2プロセッサと、
前記第2プロセッサに接続されたメモリと、
を備え、
前記第1プロセッサは、
前記センサによるセンシング中に得られる前記生体データを順次、送達確認せずに前記第2プロセッサへ送信して前記メモリに前記生体データを書き込ませ、
前記センシングの終了後に、前記メモリへの前記生体データの書き込みに関する結果情報を前記第2プロセッサから受信し、
前記第2プロセッサは、
前記メモリに書き込んだ前記生体データを前記情報端末へ送信する、
測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の測定装置であって、
前記結果情報は、前記第2プロセッサが前記第1プロセッサから受信した前記生体データの数を示す情報を含む、
測定装置。
【請求項3】
請求項1に記載の測定装置であって、
前記結果情報は、前記第2プロセッサが前記メモリへの書き込みに失敗した前記生体データの数を示す情報を含む、
測定装置。
【請求項4】
請求項1に記載の測定装置であって、
前記第1プロセッサは、
前記センシングの前に前記第2プロセッサに前記メモリへの保存開始の指示を送信し、
前記センシングの後に前記第2プロセッサに前記メモリへの保存終了の指示を送信し、
前記結果情報は、前記保存終了の指示に対する前記第2プロセッサから前記第1プロセッサへの応答信号に含めて送信される、
測定装置。
【請求項5】
請求項1に記載の測定装置であって、
前記第1プロセッサは、送達確認しないことを示すフラグ情報とともに前記生体データを前記第2プロセッサへ送信する、
測定装置。
【請求項6】
請求項1に記載の測定装置であって、
前記第1プロセッサは、
前記第2プロセッサに対して、前記メモリにおける書込先のアドレスを指定して前記生体データを前記メモリに書き込ませ、
前記第2プロセッサに対して、前記メモリにおける読出元のアドレスを指定して前記生体データを前記メモリから読み出して前記情報端末へ送信させる、
測定装置。
【請求項7】
請求項6に記載の測定装置であって、
前記メモリは、前記生体データのために割り当てられた領域を有し、
前記書込先のアドレス及び前記読出元のアドレスは前記領域におけるアドレスである、
測定装置。
【請求項8】
請求項1に記載の測定装置であって、
前記メモリは、前記第1プロセッサからはアクセス不可である、
測定装置。
【請求項9】
請求項1に記載の測定装置であって、
前記生体データは、脈波データである、
測定装置。
【請求項10】
請求項9に記載の測定装置であって、
前記第1プロセッサは、前記脈波データに基づく血圧測定結果の出力を行う、
測定装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の測定装置であって、
前記メモリは、不揮発メモリである、
測定装置。
【請求項12】
センサにより得られた生体データに基づく測定を行う第1プロセッサと、情報端末と無線通信を行う第2プロセッサと、前記第2プロセッサに接続されたメモリと、を備える測定装置の制御方法であって、
前記第1プロセッサが、
前記センサによるセンシング中に得られる前記生体データを順次、送達確認せずに前記第2プロセッサへ送信して前記メモリに前記生体データを書き込ませ、
前記センシングの終了後に、前記メモリへの前記生体データの書き込みに関する結果情報を前記第2プロセッサから受信し、
前記第2プロセッサは、
前記メモリに書き込んだ前記生体データを前記情報端末へ送信する、
制御方法。
【請求項13】
センサにより得られた生体データに基づく測定を行う第1プロセッサと、情報端末と無線通信を行う第2プロセッサと、前記第2プロセッサに接続されたメモリと、を備える測定装置の制御プログラムであって、
前記第1プロセッサが、
前記センサによるセンシング中に得られる前記生体データを順次、送達確認せずに前記第2プロセッサへ送信して前記メモリに前記生体データを書き込ませ、
前記センシングの終了後に、前記メモリへの前記生体データの書き込みに関する結果情報を前記第2プロセッサから受信し、
前記第2プロセッサは、
前記メモリに書き込んだ前記生体データを前記情報端末へ送信する、
処理を実行させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置、制御方法、及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パーソナルコンピュータ等の外部機器と無線通信するための通信部を備え、測定した生体情報を外部機器に送信可能な生体情報測定装置が知られている(特許文献1)。また、血圧算定手段により検出した脈波と脈波から算出した血圧値を測定年月日時刻と関連付けて記憶手段に記憶し、その記憶データを出力端子から外部に出力可能であるとともに、脈波の信号レベルを時系列グラフで表示することが可能な血圧計が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-061663号公報
【特許文献2】特開2007-098003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の生体情報測定装置によれば、測定した生体情報を外部機器に送信することは可能である。また、特許文献2の血圧計によれば、血圧算定手段がどのような脈波を検出し、検出した脈波のどのような特徴点を用いて血圧値を算定したかを明示できるので、血圧値の算定が正常に行われたかを被検者自身で確認可能である。しかしながら、特許文献1及び特許文献2には、測定された生体情報をメモリに書き込んだり、メモリから読み出して外部機器へ送信したりするプロセッサの処理負荷を低減することについては記載されていない。
【0005】
本発明は、一側面では、このような実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、プロセッサの処理負荷を低減し、測定等の処理の遅延を抑制することが可能な測定装置、制御方法、及び制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用する。
【0007】
(1)
センサにより得られた生体データに基づく測定を行う第1プロセッサと、
情報端末と無線通信を行う第2プロセッサと、
前記第2プロセッサに接続されたメモリと、
を備え、
前記第1プロセッサは、
前記センサによるセンシング中に得られる前記生体データを順次、送達確認せずに前記第2プロセッサへ送信して前記メモリに前記生体データを書き込ませ、
前記センシングの終了後に、前記メモリへの前記生体データの書き込みに関する結果情報を前記第2プロセッサから受信し、
前記第2プロセッサは、
前記メモリに書き込んだ前記生体データを前記情報端末へ送信する、
測定装置。
【0008】
(1)によれば、生体データに基づく測定を行う第1プロセッサとは別に、無線通信を行う第2プロセッサを設けたことにより、脈波データ等の生体データを情報端末へ送信するための処理負荷を第2プロセッサに分散し、第1プロセッサの処理負荷を低減することができる。これにより、第1プロセッサによる測定等の処理の遅延を抑制することができる。また、センシング中に得られる生体データを第1プロセッサが順次、送達確認せずに第2プロセッサへ送信してメモリに生体データを書き込ませることにより、第1プロセッサから第2プロセッサへの生体データの転送速度を向上させることができる。また、センシング中における第1プロセッサの処理負荷を低減することができる。また、センシングの終了後に、メモリへの生体データの書き込みに関する結果情報を第2プロセッサから第1プロセッサへ送信することにより、上記の送達確認しない構成においても、第1プロセッサはメモリへの生体データの書き込み結果を認識することができる。なお、脈波は、血管に加わる圧力の変化を測定して得られる圧脈波であってもよいし、血管における血液量の変化を測定して得られる容積脈波であってもよい。
【0009】
(2)
(1)に記載の測定装置であって、
前記結果情報は、前記第2プロセッサが前記第1プロセッサから受信した前記生体データの数を示す情報を含む、
測定装置。
【0010】
(2)のように、メモリへの生体データの書き込みに関する結果情報としては、第1プロセッサからの生体データの受信数であることが好ましい。
【0011】
(3)
(1)又は(2)に記載の測定装置であって、
前記結果情報は、前記第2プロセッサが前記メモリへの書き込みに失敗した前記生体データの数を示す情報を含む、
測定装置。
【0012】
(3)のように、メモリへの生体データの書き込みに関する結果情報としては、メモリへの書き込みに失敗した生体データ数であることが好ましい。
【0013】
(4)
(1)から(3)のいずれかに記載の測定装置であって、
前記第1プロセッサは、
前記センシングの前に前記第2プロセッサに前記メモリへの保存開始の指示を送信し、
前記センシングの後に前記第2プロセッサに前記メモリへの保存終了の指示を送信し、
前記結果情報は、前記保存終了の指示に対する前記第2プロセッサから前記第1プロセッサへの応答信号に含めて送信される、
測定装置。
【0014】
(4)によれば、メモリへの生体データの書き込みに関する結果情報を保存終了の指示に対する応答信号に含めて第2プロセッサから第1プロセッサへ送信することにより、上記の送達確認しない構成においても、第1プロセッサはメモリへの生体データの書き込み結果を認識することができる。
【0015】
(5)
(1)から(4)のいずれかに記載の測定装置であって、
前記第1プロセッサは、送達確認しないことを示すフラグ情報とともに前記生体データを前記第2プロセッサへ送信する、
測定装置。
【0016】
(5)によれば、生体データの送達確認が行われないことをフラグ情報に基づいて認識することができる。
【0017】
(6)
(1)から(5)のいずれかに記載の測定装置であって、
前記第1プロセッサは、
前記第2プロセッサに対して、前記メモリにおける書込先のアドレスを指定して前記生体データを前記メモリに書き込ませ、
前記第2プロセッサに対して、前記メモリにおける読出元のアドレスを指定して前記生体データを前記メモリから読み出して前記情報端末へ送信させる、
測定装置。
【0018】
(6)によれば、第1プロセッサが、第2プロセッサに接続されたメモリのアドレスを指定して生体データの書き込み、読み出し及び送信を第2プロセッサに指示する構成としたため、第1プロセッサと第2プロセッサとの間のインタフェース(UART:Universal Asynchronous Receiver Transmitter等)でフロー制御や送達確認が不要となり、情報端末への生体データの転送速度を向上させることができる。また、第2プロセッサは、メモリにおける指定されたアドレスへの情報の書き込み、メモリにおける指定されたアドレスからの情報の読み出し及び送信を行えばよいため、第2プロセッサについては簡易な構成とすることができる。また、第1プロセッサは、第2プロセッサへの指示により、メモリへの生体データの書き込み、メモリからの生体データの読み出し、読み出した生体データの送信を柔軟に行うことができる。ただし、生体データ等の書き込み処理、読み出し処理、送信処理等の負荷の大きい処理を第1プロセッサ自身で行わなくてもよいため、上記のように第1プロセッサの処理負荷を軽減することができる。
【0019】
(7)
(6)に記載の測定装置であって、
前記メモリは、前記生体データのために割り当てられた領域を有し、
前記書込先のアドレス及び前記読出元のアドレスは前記領域におけるアドレスである、
測定装置。
【0020】
(7)によれば、生体データ以外の情報は書き込まれない領域をメモリに設けることにより、第1プロセッサから第2プロセッサへの指示による生体データの書き込みと、第2プロセッサによる他の情報の書き込みと、の干渉を抑制することができる。
【0021】
(8)
(1)から(7)のいずれかに記載の測定装置であって、
前記メモリは、前記第1プロセッサからはアクセス不可である、
測定装置。
【0022】
(8)によれば、第1プロセッサと第2プロセッサで1つのメモリを共用する構成と比べて、アクセス処理が分散し高速化を図ることができる。
【0023】
(9)
(1)から(8)のいずれかに記載の測定装置であって、
前記生体データは、脈波データである、
測定装置。
【0024】
(9)のように、測定装置で測定される生体データとしては、例えば脈波データが好ましい。
【0025】
(10)
(9)に記載の測定装置であって、
前記第1プロセッサは、前記脈波データに基づく血圧測定結果の出力を行う、
測定装置。
【0026】
(10)によれば、第1プロセッサは、脈波データの情報端末への無線送信と、血圧測定結果の出力と、を行うことが可能である。
【0027】
(11)
(1)から(10)のいずれか1つに記載の測定装置であって、
前記メモリは、不揮発メモリである、
測定装置。
【0028】
(11)によれば、安価な構成により大容量の生体データを保存することができる。
【0029】
(12)
センサにより得られた生体データに基づく測定を行う第1プロセッサと、情報端末と無線通信を行う第2プロセッサと、前記第2プロセッサに接続されたメモリと、を備える測定装置の制御方法であって、
前記第1プロセッサが、
前記センサによるセンシング中に得られる前記生体データを順次、送達確認せずに前記第2プロセッサへ送信して前記メモリに前記生体データを書き込ませ、
前記センシングの終了後に、前記メモリへの前記生体データの書き込みに関する結果情報を前記第2プロセッサから受信し、
前記第2プロセッサは、
前記メモリに書き込んだ前記生体データを前記情報端末へ送信する、
制御方法。
【0030】
(12)によれば、生体データに基づく測定を行う第1プロセッサとは別に、無線通信を行う第2プロセッサを設けたことにより、脈波データ等の生体データを情報端末へ送信するための処理負荷を第2プロセッサに分散し、第1プロセッサの処理負荷を低減することができる。これにより、第1プロセッサによる測定等の処理の遅延を抑制することができる。また、センシング中に得られる生体データを第1プロセッサが順次、送達確認せずに第2プロセッサへ送信してメモリに生体データを書き込ませることにより、第1プロセッサから第2プロセッサへの生体データの転送速度を向上させることができる。また、センシング中における第1プロセッサの処理負荷を低減することができる。また、センシングの終了後に、メモリへの生体データの書き込みに関する結果情報を第2プロセッサから第1プロセッサへ送信することにより、上記の送達確認しない構成においても、第1プロセッサはメモリへの生体データの書き込み結果を認識することができる。
【0031】
(13)
センサにより得られた生体データに基づく測定を行う第1プロセッサと、情報端末と無線通信を行う第2プロセッサと、前記第2プロセッサに接続されたメモリと、を備える測定装置の制御プログラムであって、
前記第1プロセッサが、
前記センサによるセンシング中に得られる前記生体データを順次、送達確認せずに前記第2プロセッサへ送信して前記メモリに前記生体データを書き込ませ、
前記センシングの終了後に、前記メモリへの前記生体データの書き込みに関する結果情報を前記第2プロセッサから受信し、
前記第2プロセッサは、
前記メモリに書き込んだ前記生体データを前記情報端末へ送信する、
処理を実行させるための制御プログラム。
【0032】
(13)によれば、生体データに基づく測定を行う第1プロセッサとは別に、無線通信を行う第2プロセッサを設けたことにより、脈波データ等の生体データを情報端末へ送信するための処理負荷を第2プロセッサに分散し、第1プロセッサの処理負荷を低減することができる。これにより、第1プロセッサによる測定等の処理の遅延を抑制することができる。また、センシング中に得られる生体データを第1プロセッサが順次、送達確認せずに第2プロセッサへ送信してメモリに生体データを書き込ませることにより、第1プロセッサから第2プロセッサへの生体データの転送速度を向上させることができる。また、センシング中における第1プロセッサの処理負荷を低減することができる。また、センシングの終了後に、メモリへの生体データの書き込みに関する結果情報を第2プロセッサから第1プロセッサへ送信することにより、上記の送達確認しない構成においても、第1プロセッサはメモリへの生体データの書き込み結果を認識することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、プロセッサの処理負荷を低減し、測定等の処理の遅延を抑制することが可能な測定装置、測定方法、及び制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の測定装置と、当該測定装置と無線通信を行う情報端末と、を含む情報管理システムを示す図である。
【
図2】測定装置の一例である血圧計を示す図である。
【
図3】情報端末がネットワーク接続される一例を示す図である。
【
図6】測定装置におけるメインMCUと通信ICと不揮発メモリの動作を示すシーケンス図である。
【
図7】測定装置で測定される生体データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0036】
§1 適用例
<本発明を適用した情報管理システム100>
図1は、本発明の測定装置1と、当該測定装置1と無線通信を行う情報端末5と、を含む情報管理システム100である。
【0037】
測定装置1は、体重、体組成、血圧、脈拍、心拍、体温、血糖、又は血中酸素飽和度等の生体データを測定する生体データ測定装置を含む。測定装置1には、測定対象量を測定するための測定用センサが含まれる。測定用センサの測定対象量には、測定装置1に応じて、体重、体脂肪率、血圧値、脈拍数、心拍数、体温、血糖値、又は血中酸素飽和度等の生体データが含まれる。また、測定装置1は、非ウェアラブルな測定装置である。非ウェアラブルな測定装置とは、ウェアラブルでない測定装置である。ウェアラブルな測定装置とは、ユーザの身体への装着により携帯される測定装置(例えば活動量計)である。例えば、測定装置1(非ウェアラブルな測定装置)は、地面や台の上に設置された状態で使用される、体重計、体組成計、体重体組成計、血圧計などの測定装置である。測定装置1は、測定した生体データをユーザの測定生体データとして、無線通信により情報端末5に送信する。
【0038】
情報端末5は、測定装置1から受信した測定生体データを情報端末5内のデータ記憶部に記憶する。また、情報端末5は、測定装置1以外の外部機器とも無線通信を行うことが可能であり、外部機器から取得した情報を情報端末5内のデータ記憶部に記憶する。情報端末5は、測定装置1及びその他の外部機器から取得した種々の情報を分析する情報処理装置である。情報端末5は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ノートパソコン、及びデスクトップパソコン、ウェアラブル端末等のディスプレイを有する端末である。情報端末5は、特定の測定装置1から測定生体データを取得するように設定されていてもよい。測定生体データを取得する特定の測定装置1は、情報端末5のデータ記憶部に予め登録されていてもよい。
【0039】
図2は、測定装置1の一例である血圧計1Aを示す図である。血圧計1Aは、生体データ測定装置の一例であり、ユーザの血圧(圧脈波データ)を測定し、その測定結果をユーザに出力する。また、血圧計1Aは、測定結果をユーザの測定生体データとして無線通信により情報端末5に送信する。例えば、血圧計1Aは、本体部21と、ユーザの上腕に巻付け可能なカフ22と、本体部21とカフ22を接続するエアチューブ23とを備える。
図2の例ではカフ22と本体部21が別体となっているが、カフ22が本体部21と一体化されていてもよい。
【0040】
図3は、情報端末5がネットワーク接続される一例を示す図である。
図3に示すように、情報端末5は、インターネット等の広域ネットワークNを介してクラウドサーバ90に接続されてもよい。情報端末5は、自己が記憶する測定生体データを、広域ネットワークNを介してクラウドサーバ90に送信し、クラウドサーバ90においてデータベースとしてユーザWの測定生体データを管理するようにしてもよい。また、情報端末5は、クラウドサーバ90において管理される測定生体データを広域ネットワークNを介して取得し、取得した測定生体データを利用するようにしてもよい。
【0041】
§2 構成例
<測定装置1の構成>
図4は、測定装置1の構成を示すブロック図である。測定装置1は、種々の情報を表示可能な表示部11と、ユーザが操作可能な操作部12と、生体データ等を測定する測定部13と、外部機器と通信を行う通信IC(Integrated Circuit)14と、通信IC14に接続された不揮発メモリ14aと、通信用のアンテナ14bと、を備える。また、測定装置1は、情報を一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)16と、装置全体の動作を制御するメインMCU(Micro Controller Unit)18と、メインMCU18に接続された不揮発メモリ18aと、を備える。メインMCU18は、本発明の第1プロセッサの一例である。通信IC14は、本発明の第2プロセッサの一例である。メインMCU18と通信IC14との間の通信インタフェースには、例えばUART等のインタフェースが用いられる。
【0042】
表示部11は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイで構成される。操作部12は、ボタンやタッチパネルのようなユーザ操作を受け付けるユーザインタフェースである。ボタンは、測定装置1に物理的に設けられたボタンや表示部11に表示された仮想的なボタンを含む。
【0043】
測定部13は、体重、体組成、血圧、脈拍、心拍、体温、血糖、血中酸素飽和度等の生体データを測定するセンサを備える。何を測定するかは、測定装置1の測定対象により異なる。
【0044】
不揮発メモリ14aは、所定の機能を実現するために必要なパラメータ、制御プログラム、及び測定部13で測定された生体データを記憶する記録媒体である。不揮発メモリ14aは、例えば、フラッシュメモリで構成されている。不揮発メモリ14aには、生体データを記憶するために割り当てられた生体データ領域が設けられている。不揮発メモリ14aに記憶された生体データは通信IC14によって管理される。
【0045】
通信IC14は、制御プログラムを実行することで所定の機能を実現する。例えば、通信IC14は、不揮発メモリ14aに記憶される通信プログラムを実行することにより近距離無線通信を行うことが可能である。通信IC14は、例えば、BLE(Bluetooth Low Energy(登録商標))規格にしたがい通信を行う。通信IC14は、無線通信を行うためのアドバタイズ信号をブロードキャスト通信により不特定多数の外部機器へ周期的な期間において送信する。通信IC14は、アドバタイズ信号に、例えば、測定装置1の名前や属性情報を含めて発信する。通信IC14が行うBLE通信は、例えば、2.4GHz周波数を利用する通信である。
【0046】
また、通信IC14は、不揮発メモリ14aに記憶される例えば管理プログラムを実行することにより生体データを管理することが可能である。生体データは、測定部13で測定されるユーザの生体データである。
【0047】
例えば、通信IC14は、測定された生体データを不揮発メモリ14aに書き込む書き込み処理を行う。また、通信IC14は、不揮発メモリ14aから生体データを読み出す読み出し処理を行う。通信IC14は、メインMCU18から通信ICへ送信される書込指示信号にしたがって生体データを不揮発メモリ14aに書き込み、読出指示信号にしたがって生体データを不揮発メモリ14aから読み出す。通信IC14は、不揮発メモリ14aの生体データ領域に対して、生体データの書き込み処理及び読み出し処理を行う。生体データ領域には、メインMCU18からの書込指示信号にしたがって書き込まれる生体データ以外の情報は書き込まれない。生体データ領域は、不揮発メモリ14aに設けられる領域の中のメインMCU18が使用可能な専用領域である。
【0048】
また、通信IC14は、不揮発メモリ14aから読み出した生体データを、アンテナ14bを用いて無線通信により、例えば情報端末5に送信する送信処理を行う。通信IC14は、メインMCU18から通信IC14へ送信される送信指示信号にしたがって生体データの送信処理を行う。
【0049】
RAM16は、例えば、DRAM(Dynamic RAM)やSRAM(Static RAM)等の半導体デバイスで構成され、情報を一時的に記憶するとともに、メインMCU18の作業エリアとしても動作する。
【0050】
不揮発メモリ18aは、所定の機能を実現するために必要なパラメータ、制御プログラム、及び通信IC14に接続された不揮発メモリ14aにおける生体データ領域のアドレス情報等を記憶する記録媒体である。不揮発メモリ18aは、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)で構成されている。なお、本例では、不揮発メモリ14aが通信IC14から独立した構成となっているが、例えば、不揮発メモリ14aは通信IC14と1つのモジュールになっていてもよい。
【0051】
メインMCU18は、制御プログラムを実行することで所定の機能を実現する。例えば、メインMCU18は、不揮発メモリ18aに記憶される測定プログラムを実行することにより、測定部13で取得された生体データに基づく測定を行うことが可能である。
【0052】
また、メインMCU18は、不揮発メモリ18aに記憶される例えば管理指示プログラムを実行することにより、測定された生体データを管理指示することが可能である。例えば、メインMCU18は、不揮発メモリ14aの生体データ領域における書込先のアドレスを指定して生体データを不揮発メモリ14aに書き込ませる書込指示信号を通信IC14へ送信する。メインMCU18は、測定部13による測定中に得られる生体データを書込指示信号と共に順次、通信IC14へ送信する。メインMCU18は、通信IC14に生体データを送信したことに対する通信IC14からの応答信号を受信せずに、すなわち生体データの送達確認を行わずに順次、通信IC14へ生体データを送信する。生体データの順次送信とは、時系列データである生体データを一定時間ごとに区切って順次送信することをいう。メインMCU18は、一定時間ごとに区切った生体データを順次送る際に、その都度の送達確認を行わないで送信(例えば、ストリーミング方式の送信)する。メインMCU18は、生体データが送達されたか否かの送達確認を行わないことを示すフラグ情報を生体データに添付して通信IC14へ送信する。例えば、メインMCU18は、生体データを32msec毎に18バイトで通信ICへ送信する。
【0053】
また、メインMCU18は、不揮発メモリ14aの生体データ領域における読出元のアドレスを指定して生体データを不揮発メモリ14aから読み出させる読出指示信号を通信IC14へ送信する。なお、書き込みや読み出しのアドレス指定は、例えば、不揮発メモリ14aの生体データ領域における書き込みや読み出しの開始アドレスの指定及び書き込み情報や読み出し情報のサイズの指定であってもよいし、書き込みや読み出しの開始アドレス及び終了アドレスの指定であってもよい。
【0054】
また、メインMCU18は、不揮発メモリ18aに記憶される例えば送信指示プログラムを実行することにより、通信IC14の送信処理を指示することが可能である。例えば、メインMCU18は、無線通信(BLE通信)のためのアドバタイズ信号を周期的な期間で送信させる送信指示信号、及び不揮発メモリ14aから読み出した生体データを情報端末5等の外部機器へ送信させる送信指示信号を通信IC14へ送信する。メインMCU18は、測定した生体データを不揮発メモリ14aに書き込む場合、生体データを読み出す場合、及び生体データを外部機器へ送信する場合、通信IC14に対して不揮発メモリ14aのアドレス指定を含む指示信号を送信するのみである。そして、不揮発メモリ14aへの生体データの書き込み処理、生体データの読み出し処理、及び外部機器への送信処理については、メインMCU18から指示を受けた通信IC14が実行するように構成されている。すなわち、メインMCU18は、不揮発メモリ14aに対して通信IC14を介して間接的にアクセスすることは可能であるが、直接的にはアクセスできないように構成されている。
【0055】
また、メインMCU18は、生体データのセンシングの前に通信IC14に不揮発メモリ14aへの生体データの保存の開始を指示する保存開始の指示信号を送信する。また、メインMCU18は、生体データのセンシングの後に通信IC14に不揮発メモリ14aへの生体データの保存の終了を指示する保存終了の指示信号を送信する。また、メインMCU18は、生体データのセンシングの終了後に、不揮発メモリ14aへの生体データの書き込みに関する結果情報を通信IC14から受信する。結果情報は、保存終了の指示に対する通信IC14からメインMCU18への応答信号に含めて送信される。結果情報は、通信IC14がメインMCU18から受信した生体データの受信数を示す情報、及び通信IC14が不揮発メモリ14aへの書き込みに失敗した生体データの失敗数を示す情報を含む。なお、結果情報は、不揮発メモリ14aへの書き込みに成功した生体データの成功数を示す情報であってもよい。
【0056】
また、メインMCU18は、不揮発メモリ18aに記憶される例えば情報出力プログラムを実行することにより、測定した生体データに基づく生体測定結果、例えば、圧脈波データに基づく血圧測定結果を出力する。メインMCU18は、血圧測定結果を、例えば、測定装置1の表示部11に画面表示させる。また、メインMCU18は、血圧測定結果を測定装置1から音声出力してもよいし、情報端末5へ無線送信してもよい。
【0057】
<情報端末5の構成>
図5は、情報端末5の構成を示すブロック図である。情報端末5は、種々の情報を表示可能な表示部51と、ユーザが操作可能な操作部52と、位置を検出するためのGPS(Global Positioning System)センサ53と、外部機器と通信を行う第1無線通信部54及び第2無線通信部55と、を備える。また、情報端末5は、情報を一時的に記憶するRAM56と、情報やプログラムを記憶するデータ記憶部57と、端末全体の動作を制御するコントローラ58と、を備える。
【0058】
表示部51は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイで構成される。操作部52は、ボタンやタッチパネルのようなユーザ操作を受け付けるユーザインタフェースである。ボタンは、情報端末5に物理的に設けられたボタンや表示部51に表示された仮想的なボタンを含む。GPSセンサ53は、情報端末5の現在位置を検出するためのセンサである。
【0059】
第1無線通信部54は、セルラ通信を行う通信部、例えば、4G、5G、LTE(Long Term Evolution:登録商標)等の規格にしたがい通信を行うことが可能な回路(モジュール)である。また、第1無線通信部54は、無線LAN通信を行う通信部、例えば、Wi-Fi(登録商標)等の規格にしたがい通信を行うことが可能な回路(モジュール)である。第2無線通信部55は、近距離無線通信を行う通信部、例えば、BLE規格にしたがい通信を行うための回路(モジュール)である。
【0060】
第2無線通信部55は、例えば、測定装置1の通信IC14とBLE通信を行うことにより、測定装置1で測定されたユーザの生体データを取得する。第2無線通信部55は、スキャンすることで、測定装置1の通信IC14から送信されているアドバタイズ信号を受信する。第2無線通信部55は、受信したアドバタイズ信号から測定装置1を認識し、通信接続したい場合に接続要求を測定装置1に対して送信する。なお、測定装置1は、アドバタイズ信号を発信した後に、所定時間、接続要求を待ち、所定時間内に接続要求を受信するとアドバタイズ信号の発信を停止し、接続要求相手との1対1の接続通信に切り替える。
【0061】
RAM56は、例えば、DRAMやSRAM等の半導体デバイスで構成され、情報を一時的に記憶するとともに、コントローラ58の作業エリアとして動作する。
【0062】
データ記憶部57は、所定の機能を実現するために必要なパラメータ、制御プログラム、及び測定装置1から取得した測定生体データ等を記憶する記録媒体である。データ記憶部57は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)や半導体記憶装置(SSD)で構成される。
【0063】
コントローラ58は、制御プログラムを実行することで所定の機能を実現する。なお、本実施形態では、データ記憶部57に制御プログラムとして、例えば、情報端末用の管理アプリケーションソフトが予めインストールされており、コントローラ58はこの管理アプリケーションソフトを実行することにより所定の機能を実現する。例えば、コントローラ58は、情報端末用の管理アプリケーションソフトが立ち上げられると、スキャンすることでアドバタイズ信号を受信するように第2無線通信部55を制御する。コントローラ58は、測定装置1からのアドバタイズ信号が受信されると、測定装置1に接続要求を送信し、測定装置1から測定生体データを取得するように第2無線通信部55を制御する。
【0064】
§3 動作例
<測定装置1の動作例>
次に、
図6を参照して、測定装置1の動作例を説明する。
図6は、測定装置1におけるメインMCU18と通信IC14と不揮発メモリ14aの動作を示すシーケンス図である。なお、本例では、測定装置1を血圧計1Aとし、血圧計1Aによって測定される生体情報を脈圧派データとして以下に説明する。
【0065】
ユーザの上腕に血圧計1Aのカフ22が取り付けられて、測定開始スイッチが押下されたとする。
【0066】
まず、メインMCU18が、測定開始スイッチの押下を受け付ける(ステップS11)。次に、メインMCU18が、書き込み開始のための準備を指示する保存開始指示信号を通信IC14へ送信する(ステップS12)。
【0067】
次に、通信IC14が、ステップS12で受信した保存開始指示信号に応じて、不揮発メモリ14aへの書き込みを開始するための保存開始の処理を行う(ステップS13)。次に、通信IC14が、保存開始の処理が完了したことを通知する応答信号をメインMCU18へ送信する(ステップS14)。応答信号には、保存開始の処理が完了したことを示す結果コードが含まれる。
【0068】
次に、メインMCU18が、ステップS14で応答信号を受信すると、不揮発メモリ14aのデータを消去させるための消去指示信号を通信IC14へ送信する(ステップS15)。消去指示信号には、不揮発メモリ14aにおいて消去させる領域のアドレス及びそのサイズの指定が含まれる。
【0069】
次に、通信IC14が、ステップS15で受信した消去指示信号に応じて、指示された領域のデータを例えば1セクタごとに消去する処理を行う(ステップS16)。通信IC14は、指示された消去領域のサイズに応じて1セクタごとの消去処理を繰り返す。1セクタごとの消去処理とは、例えば、通信IC14側から見た場合、まず通信IC14が、1セクタごとの消去指示を不揮発メモリ14aへ送信し、その消去指示に応じたことを示す応答(1セクタを消去したという応答)を不揮発メモリ14aから受信する。次に、通信IC14が、消去した1セクタを読み出す読出要求を不揮発メモリ14aへ送信し、その読出要求に応じた応答(1セクタの読出しデータ)を不揮発メモリ14aから受信した後に、ベリファイを行って終了する。次に、通信IC14が、消去処理が完了したことを通知する応答信号をメインMCU18へ送信する(ステップS17)。応答信号には、消去処理が完了したことを示す結果コード、消去したデータの不揮発メモリ14aにおけるアドレス及びデータサイズが含まれる。
【0070】
次に、メインMCU18が、ステップS17で応答信号を受信すると、カフ22を加圧して脈圧派データの測定を開始する(ステップS18)。次に、メインMCU18は、測定した脈圧派データを不揮発メモリ14aの生体データ領域に書き込みさせるための書込指示信号を通信IC14へ送信する(ステップS19)。書込指示信号には、圧脈波データが送達されたか否かの送達確認を行わない送信(例えば、ストリーミング方式の送信)であることを示すフラグ、圧脈波データを書き込む不揮発メモリ14aのアドレスとそのデータサイズ、及び書き込む圧脈波データが含まれる。この書込指示における圧脈波データの送信は、測定部13によって測定される圧脈波データを一定時間ごとに区切って順次行う。
【0071】
次に、通信IC14が、ステップS19で受信した書込指示信号に応じて、メインMCU18から順次送信されてくる圧脈波データを、その順次送信されてくる圧脈波データごとに、不揮発メモリ14aの生体データ領域における指定されたアドレスに書き込む書込処理を行う(ステップS20)。順次送信された圧脈波データごとの書込処理とは、例えば、通信IC14側から見た場合、まず通信IC14が、メインMCU18から順次送信されてくる圧脈波データごとの書込指示を不揮発メモリ14aへ送信し、その書込指示に応じたことを示す応答(圧脈波データを書き込んだという応答)を不揮発メモリ14aから受信する。次に、通信IC14が、書き込んだ圧脈波データを読み出す読出要求を不揮発メモリ14aへ送信し、その読出要求に応じた応答(読み出した圧脈波データ)を不揮発メモリ14aから受信した後に、ベリファイを行って終了する。
【0072】
次に、メインMCU18が、圧脈波データの測定を終了すると(ステップS21)、書き込み終了のための処理を指示する保存終了指示信号を通信IC14へ送信する(ステップS22)。
【0073】
次に、通信IC14が、ステップS22で受信した保存終了指示信号に応じて、不揮発メモリ14aへの書き込みを終了するための保存終了の処理を行う(ステップS23)。次に、通信IC14が、保存終了の処理が完了したことを通知する応答信号をメインMCU18へ送信する(ステップS24)。応答信号には、保存終了の処理が完了したことを示す結果コード、通信IC14がメインMCU18から受信した圧脈波データの受信数、及び不揮発メモリ14aへの書き込みに失敗した圧脈波データの失敗数が含まれる。
【0074】
不揮発メモリ14aに書き込んだ圧脈波データを血圧計1Aから外部の情報端末5へ送信するための送信処理は、例えば、上述した圧脈波データの測定が終了した後に行われる。その場合、メインMCU18が、圧脈波データを送信させるための送信指示信号を通信ICへ送信する。送信指示信号には、送信させる圧脈波データの不揮発メモリ14aにおけるアドレス及びそのサイズの指定が含まれる。次に、通信IC14が、メインMCU18から受信した送信指示信号にしたがって、不揮発メモリ14aから圧脈波データを読み出し、読み出した圧脈波データを無線通信により情報端末5へ送信する。通信IC14は、圧脈波データと共に圧脈波データの書き込みに関する結果情報(受信数,失敗数等)を情報端末5へ送信する。
【0075】
§4 測定データ例
<測定装置1の測定データ>
図7は、測定装置1で測定される生体データの一例を示す図である。本例では、血圧計1Aによって測定される圧脈波データの一例を示す。
図7に示すように、圧脈波データ40は、略一定の周期性を有した連続する伝導波として測定される。測定された圧脈波データ40は、メインMCU18から通信ICへ送信される。メインMCU18は、測定された圧脈波データ40を一定時間ごとに区切って順次、通信IC14へ送信する。
【0076】
以上説明したように、測定装置1のメインMCU18は、測定部13によるセンシング中に得られる生体データを順次、送達確認を行わずに通信IC14へ送信して不揮発メモリ14aに書き込ませ、生体データのセンシングの終了後に、不揮発メモリ14aへの生体データの書き込みに関する結果情報を通信IC14から受信する。また、通信IC14は、不揮発メモリ14aに書き込んだ生体データを読み出し、無線通信により情報端末5に送信する。この構成によれば、生体データに基づく測定を行うメインMCU18とは別に、無線通信を行う通信IC14を設けたことにより、圧脈波データ等の生体データを情報端末5へ送信するための処理負荷を通信IC14に分散し、メインMCU18の処理負荷を低減することができる。これにより、メインMCU18による測定等の処理の遅延を抑制することができる。また、センシング中に得られる生体データをメインMCU18が順次、送達確認せずに通信IC14へ送信して不揮発メモリ14aに生体データを書き込ませることにより、メインMCU18から通信IC14への生体データの転送速度を向上させることができる。また、センシング中におけるメインMCU18の処理負荷を低減することができる。また、センシングの終了後に、不揮発メモリ14aへの生体データの書き込みに関する結果情報を通信IC14からメインMCU18へ送信することにより、上記の送達確認しない構成においても、メインMCU18は不揮発メモリ14aへの生体データの書き込み結果を認識することができる。
【0077】
また、測定装置1によれば、不揮発メモリ14aへの生体データの書き込みに関する結果情報には、通信IC14がメインMCU18から受信した生体データの受信数を示す情報、及び通信IC14が不揮発メモリ14aへの書き込みに失敗した生体データの失敗数を示す情報が含まれる。このため、例えば、情報端末5等の外部機器が生体データを通信IC14から受信した際に、生体データと共に受信する結果情報(受信数,失敗数)に基づいて、生体データを適切に解析することが可能である。
【0078】
また、測定装置1によれば、不揮発メモリへの生体データの書き込みに関する結果情報は、保存終了の指示に対する応答信号に含めて通信IC14からメインMCU18へ送信される。このため、送達確認を行わずに順次、生体データを送信する構成においても、メインMCU18は不揮発メモリ14aへの生体データの書き込み結果を認識することができる。
【0079】
また、測定装置1のメインMCU18は、通信IC14に対して、不揮発メモリ14aの生体データ領域における書込先のアドレスを指定して生体データを不揮発メモリ14aに書き込ませ、不揮発メモリ14aの生体データ領域における読出元のアドレスを指定して生体データを不揮発メモリ14aから読み出させ、不揮発メモリ14aから読み出させた生体データを情報端末5等の外部機器へ無線通信により送信させる。この構成によれば、メインMCU18が、通信IC14に接続された不揮発メモリ14aのアドレスを指定して生体データの書き込み、読み出し及び送信を通信IC14に指示する構成としたため、メインMCU18と通信IC14との間のインタフェースでフロー制御や送達確認が不要となり、情報端末5への生体データの転送速度を向上させることができる。また、通信IC14は、不揮発メモリ14aにおける指定されたアドレスへの情報の書き込み、不揮発メモリ14aにおける指定されたアドレスからの情報の読み出し及び送信を行えばよいため、通信IC14については簡易な構成とすることができる。また、メインMCU18は、通信IC14への指示により、不揮発メモリ14aへの生体データの書き込み、不揮発メモリ14aからの生体データの読み出し、読み出した生体データの送信を柔軟に行うことができる。ただし、生体データ等の書き込み処理、読み出し処理、送信処理等の負荷の大きい処理をメインMCU18自身で行わなくてもよいため、上記のようにメインMCU18の処理負荷を軽減することができる。
【0080】
また、測定装置1は、不揮発メモリ14aに生体データを記憶するために割り当てられた生体データ領域を有している。そして、生体データ領域に記憶された生体データは通信IC14によって管理され、メインMCU18からはアクセスできないように構成されている。この構成によれば、生体データ領域には生体データ以外の情報は書き込まれないため、メインMCU18から通信IC14への指示による生体データの書き込みと、通信IC14による他の情報の書き込みと、の干渉を抑制することができる。また、メインMCU18と通信IC14で1つの不揮発メモリを共用する構成と比べて、アクセス処理が分散し高速化を図ることができる。
【0081】
§5 変形例
以上、本発明の実施の形態を詳細に説明したが、上記の説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができる。例えば、以下のような変更が可能である。なお、以下では、上記実施形態と同様の構成要素に関しては同様の符号を用い、上記実施形態と同様の点については、適宜説明を省略した。以下の変形例は適宜組み合わせ可能である。
【0082】
上記実施形態では、メインMCU18が測定した生体データを不揮発メモリ14aへ書き込ませる場合及び不揮発メモリ14aから読み出す場合、不揮発メモリ14aにおける書込先及び読出元のアドレスを指定して生体データを通信IC14に送信しているが、これに限定されない。例えば、メインMCU18は、不揮発メモリ14aにおける生体データの書込先及び読出元のアドレスを指定しないで通信IC14に送信してもよい。この場合、通信IC14が、不揮発メモリ14aにおける生体データの書き込み及び読み出しのアドレス管理を行う。
【0083】
上記実施形態では、生体データが脈波データであり、脈波データとして圧脈波データを取得する構成について説明したが、測定装置1が脈波データとして容積脈波データを測定する構成としてもよい。
【0084】
上記実施形態では、通信IC14(第2プロセッサ)に接続されたメモリとして不揮発メモリ14aについて説明したが、通信IC14(第2プロセッサ)に接続されたメモリは、不揮発メモリ14aに限らず揮発メモリ等であってもよい。
【符号の説明】
【0085】
1 測定装置
1A 血圧計
5 情報端末
11,51 表示部
12,52 操作部
13 測定部
14 通信IC
14a,18a 不揮発メモリ
14b アンテナ
16,56 RAM
18 メインMCU
21 本体部
22 カフ
23 エアチューブ
40 圧脈波データ
53 GPSセンサ
54 第1無線通信部
55 第2無線通信部
57 データ記憶部
58 コントローラ
90 クラウドサーバ
100 情報管理システム