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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112550
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/50 20230101AFI20240814BHJP
   H04N 23/56 20230101ALI20240814BHJP
   G03B 15/02 20210101ALI20240814BHJP
   G03B 15/03 20210101ALI20240814BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20240814BHJP
   G03B 15/04 20210101ALI20240814BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20240814BHJP
【FI】
H04N23/50
H04N23/56
G03B15/02 G
G03B15/02 P
G03B15/02 Q
G03B15/02 T
G03B15/03 K
G03B15/03 W
G03B17/02
G03B15/04
G03B15/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017671
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】ニデックプレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠介
【テーマコード(参考)】
2H053
2H100
5C122
【Fターム(参考)】
2H053AA01
2H053BA31
2H053CA06
2H053CA12
2H053CA45
2H100AA02
2H100BB07
2H100CC04
5C122DA11
5C122EA15
5C122GE11
5C122GG06
5C122GG07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】照明光源が発した照明光が撮像素子に入射することを抑制できる撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置が有するカメラモジュールのハウジングに収容された照明部16は、光学部材を介して被写体光を受光する撮像素子と、被写体を照明する照明光を発する照明光源161と、照明光源161が配置される基板160と、基板160上において照明光源161の周囲に設けられ、照明光源161が配置される貫通孔165を有する第1遮光部材163と、を備える。貫通孔165は、照明光源161の光軸Laの方向に延び、貫通孔165の壁面165aが、照明光源161が発する照明光の一部を遮光する。
【選択図】図6B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学部材を介して被写体光を受光する撮像素子と、
被写体を照明する照明光を発する照明光源と、前記照明光源が配置される支持部材と、を有する照明部と、
前記支持部材上において前記照明光源の周囲に設けられる第1遮光部材と、を備え、
前記第1遮光部材は、前記照明光源が配置される貫通孔を有し、
前記貫通孔は、前記照明光源の光軸の方向に延び、
前記貫通孔の壁面は、前記照明光源が発する前記照明光の一部を遮光する、撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記壁面は、前記照明光源から出射される光束のうち、前記照明光源の光軸に対して所定角度よりも傾いた方向に進む光束を遮光する、撮像装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の撮像装置において、
前記撮像素子と、前記照明光源と、前記支持部材と、前記第1遮光部材とを収容するハウジングを備え、
前記壁面は、前記ハウジングと前記支持部材との間の空間を、前記照明光源が配置される第1空間と、前記照明光源が非配置の第2空間とに区画する、撮像装置。
【請求項4】
請求項2に記載の撮像装置において、
前記第1遮光部材は、前記支持部材よりも前記被写体に近接する位置に、前記照明光源の一部を覆う被覆面を有し、
前記被覆面には光源開口部が形成され、前記照明光源から出射した光束のうち前記光源開口部を通過した光束が前記被写体を照明する、撮像装置。
【請求項5】
請求項4に記載の撮像装置において、
前記第1遮光部材は、前記被覆面よりも前記被写体に近接する位置に、前記光源開口部を通過した光束を前記被写体に向けて反射する反射部を有する、撮像装置。
【請求項6】
請求項3に記載の撮像装置において、
前記ハウジングに収容され、前記ハウジングに形成された開口部を介して外部の光を受光して、周囲の環境の明るさを検出する照度計と、
前記照度計の周囲に設けられ、前記照度計が実装される基板と前記ハウジングとの間の空間を塞いで遮光する第2遮光部材と、を備える撮像装置。
【請求項7】
請求項6に記載の撮像装置において、
前記照明光源は、前記光学部材の光軸の方向に沿って、前記照度計に対して前記被写体から離れた位置に配置される、撮像装置。
【請求項8】
請求項6に記載の撮像装置において、
前記第1遮光部材及び前記第2遮光部材は、弾性材によって形成される、撮像装置。
【請求項9】
請求項6に記載の撮像装置において、
前記第2遮光部材の前記光学部材の光軸の方向の長さは、前記ハウジングと前記基板との間の前記光軸の方向の距離よりも大きく、
前記ハウジング内に収容された前記第2遮光部材は、前記ハウジングと前記基板とによって前記光軸の方向に沿って変形される、撮像装置。
【請求項10】
請求項6に記載の撮像装置において、
前記第2遮光部材には、前記ハウジングの前記開口部を通過した外部の光が通過する貫通穴が設けられる、撮像装置。
【請求項11】
請求項10に記載の撮像装置において、
前記貫通穴は長穴である、撮像装置。
【請求項12】
請求項10に記載の撮像装置において、
前記貫通穴は、前記光学部材の光軸の方向に沿って進行する外部の光を通過させる、撮像装置。
【請求項13】
請求項6に記載の撮像装置において、
前記ハウジングと前記照度計との間に、透光性を有するフィルムを備える、撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
介護施設、病院、工場、店舗等の様々な場所には、防犯や防災等の観点から監視カメラが設置されている。撮像装置である監視カメラは、太陽光の直接入射及び間接入射がない場合や電球が点灯していない場合の室内等の暗い環境下で使用されることがある。
【0003】
特許文献1には、個室見守りシステムが開示されている。このシステムが備えるセンサユニットの光学ブロックには、室内に赤外線レーザビームを透光する投光器と、室内に赤外光を照明光として発するLED拡散光照明器と、室内を撮像する撮像装置と、照度計とが設けられている。撮像装置は、投光器によって室内に投影された輝点群を撮像して画像を取得するとともに、LED拡散光照明器によって照明された室内を撮像して画像を取得する。照度計は、撮像装置の近傍に設けられている。外乱光の影響により照度計の受光量が一定の値を超えた場合に、センサユニットは、正常な見守りができない旨の通知を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2018/038087号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された光学ブロックでは、投光器やLED拡散光照明器から出射された光が光学ブロック内部で乱反射等によって各種の受光センサに入射して、受光センサが出力する信号に悪影響を与えるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様による撮像装置は、光学部材を介して被写体光を受光する撮像素子と、被写体を照明する照明光を発する照明光源と、前記照明光源が配置される支持部材と、を有する照明部と、前記支持部材上において前記照明光源の周囲に設けられる第1遮光部材と、を備える。前記第1遮光部材は、前記照明光源が配置される貫通孔を有する。前記貫通孔は、前記照明光源の光軸の方向に延びる。前記貫通孔の壁面は、前記照明光源が発する前記照明光の一部を遮光する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、照明光源が発した照明光が撮像素子に入射することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態の撮像装置の外観斜視図である。
図2図2は、フロントケースの外観斜視図である。
図3図3は、撮像装置の内部斜視図である。
図4図4は、図1に示されるA-A線での撮像装置の断面図である。
図5A図5Aは、図1に示されるB-B線での撮像装置の断面図である。
図5B図5Bは、図1に示されるC-C線での撮像装置の断面図である。
図6A図6Aは、図3に示される内部斜視図の一部を拡大して示す図である。
図6B図6Bは、図5Bに示される断面図の一部を拡大して示す図である。
図7A図7Aは、図2に示される外観斜視図の一部を拡大して示す図である。
図7B図7Bは、図4に示される断面図の一部を拡大して示す図である。
図8図8は、図5Aに示される断面図の一部を拡大して示す図である。
図9図9は、第1変形例の第1遮光部材の形状を示す断面図である。
図10A図10Aは、第2変形例の第1遮光部材の形状を示す外観斜視図である。
図10B図10Bは、第2変形例の第1遮光部材の形状を示す断面図である。
図11A図11Aは、第3変形例の第1遮光部材の形状を示す外観斜視図である。
図11B図11Bは、第3変形例の第1遮光部材の形状を示す断面図である。
図12図12は、実施の形態の別の例における第1遮光部材の形状を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態の撮像装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
撮像装置の用途は特に限定されないが、病院,介護施設,工場,店舗等に、監視カメラや見守りカメラとして設置するのに適している。撮像装置は、照度計を用いて周囲の外部環境の明るさを検出し、検出した明るさに応じて、通常撮影モードによる撮影と暗視モードによる撮影とを切替可能である。通常撮影モードでは外部環境が明るいときに結像光学系に入射した光により撮影が行われる。暗視モードでは外部環境が暗いときに照明光が出射され、照明光に照射された被写体の撮影が行われる。
【0011】
<撮像装置10の全体構成>
図1は、撮像装置10の外観斜視図である。撮像装置10は、カメラモジュール11と、ハウジング(外装ケース)12と、照明部16と、メモリスロット26とを有する。
【0012】
<ハウジング12>
ハウジング12は、フロントケース120及びリアケース121から構成される。フロントケース120は、長方形又は略長方形の天井板122と、天井板122から各辺に連接する側壁板123a,123b,123c,123dとを備えている。天井板122及び側壁板123a,123b,123c,123dは、合成樹脂によって一体成形されており、側壁板123aは天井板122の一方の長辺に連接し、側壁板123bは天井板122の他方の長辺に連接している。また、側壁板123cは天井板122の一方の短辺に連接しており、側壁板123dは天井板122の他方の短辺に連接している。
【0013】
尚、以下の説明では、ハウジング12のフロントケース120の方向を上方、リアケース121の方向を下方、側壁板123aの方向を前方、側壁板123bの方向を後方、側壁板123cの方向を右方、側壁板123dの方向を左方と呼ぶことがある。
【0014】
フロントケース120の天井板122は、カメラモジュール11が有するレンズ111の光軸Lと交わる外装板である。天井板122は、前後方向において、中央部(すなわち、第1基準位置P1)が前側及び後側の端部に対して上側に突出する形状を有する。すなわち、天井板122の前側及び後側は、中央部に対して傾斜する面である。
【0015】
天井板122には、ケース開口部125と4個の照明開口部126が形成される。ケース開口部125は、レンズ111の光軸Lが通過する位置を中心とする円形又は略円形に形成されている。このケース開口部125に後述するレンズ111が挿入される。本実施の形態においては、レンズ111の光軸Lが天井板122の中心部を通過するものとして説明を行う。
【0016】
尚、レンズ111の光軸Lが天井板122の中心部を通るものに限定されない。レンズ111の光軸Lが天井板122の中心部から右側または左側にずれた位置を通ってもよいし、天井板122の中心部から前側または後側にずれた位置を通ってもよい。
【0017】
照明開口部126は、天井板122の四隅に形成される。照明開口部126は、ハウジング12の内部に配置された後述する照明部16から出射される照明光を撮像装置10の外部に通過させるために形成される。尚、図1に示されるように、天井板122の右側に2個(一方は前側、他方は後側)と、天井板122の左側に2個(一方は前側、他方は側壁板後側)の合計4個の照明開口部126が設けられている。すなわち、照明開口部126は、天井板122のうち中央部に対して傾斜する面に形成されている。しかし、照明開口部126の位置は図示された位置に限定されるものではなく、照明部16の配置位置に応じて適宜決定される。また、照明開口部126の個数は4個に限定されず、3個以下でも5個以上でもよく、撮像装置10が備える照明部16の個数に応じて決定される。
【0018】
フロントケース120の天井板122には、第1基準位置P1の近傍において、ケース開口部125に対して右側に複数の丸穴である収音開口部201が形成される。収音開口部201は、後述する収音部20(図3,4参照)の上部に形成される。
【0019】
図2は、フロントケース120を下方から見た斜視図である。天井板122の内壁面には、収音開口部201に対して右側に収容部124が形成される。収容部124は、天井板122の内壁面から下方に突出する壁部124a,124b,124cに囲まれた内部の領域である。壁部124aは、第1基準位置P1(図1参照)に対して前方側で左右方向に沿って形成される。壁部124cは、第1基準位置P1に対して後方側で左右方向に沿って形成される。収容部124には、後述する照度計17の側面から照度計17へ入射される光を制限する第2遮光部材171が嵌め込まれて収容される。
【0020】
図1に示されるリアケース121はフロントケース120に固定されて、フロントケース120の底部(下方)を閉塞している。リアケース121は、例えばねじ結合によってフロントケース120に固定されている。
【0021】
<メモリスロット26>
撮像装置10は、所定の記録媒体を接続可能なメモリスロット26も備えている。より特定的には、撮像装置10は、SDメモリカードを挿抜可能なスロットを備えている。リアケース121に設けられている蓋を開けると、メモリスロット26にSDメモリカードを抜き差しすることができる。
【0022】
<撮像装置10の内部構成>
図3は、図1に示される撮像装置10の内部の斜視図である。図4は、図1に示される撮像装置10のA-A線における断面図である。図5A図1に示される撮像装置10のB-B線における断面図であり、図5B図1に示される撮像装置10のC-C線における断面図である。撮像装置10は、上述した構成に加えて、支持部14と、照度計17と、収音部20とを備える。
【0023】
<カメラモジュール11>
カメラモジュール11は、CMOSやCCD等の撮像素子(イメージセンサ)110及びレンズ111を備えている。撮像素子110は、基板112に搭載され、ハウジング12内に収容されている。レンズ111は、撮像素子110の上方に配置され、レンズホルダ113によって保持されている。レンズホルダ113によって保持されたレンズ111は、上述したハウジング12の天井板122に形成されたケース開口部125を介して、天井板122に対して上側に突出する位置に配置される。レンズホルダ113の下方には、上記の撮像素子110が搭載された基板112が、例えばねじ結合により固定されている。
【0024】
撮像装置10の外部から到達した被写体光は、レンズ111によって撮像素子110の受光面に導かれ、集光される。すなわち、レンズ111は、撮像素子110の受光面上に撮像対象物の像をつくる光学部材(結像光学系)であるか、少なくとも光学部材の一部である。撮像素子110は、レンズ111によって結像された像の光の明暗を電荷量に変換し、変換された電荷量に応じた信号(画像信号)を出力する。
【0025】
<照明部16>
照明部16は、後述する制御部31により制御されて、周囲の外部環境が暗い場合の撮像時(すなわち暗視モードでの撮像時)に、撮像対象物(被写体)を照明する照明光を発する。照明部16は、ハウジング12内に収容され、照明開口部126の下側に配置される。照明部16は、基板160と、照明光源161と、カバー部162とを有する。照明光源161は基板160上に配置される。すなわち、基板160は、照明光源161を支持する支持部材として機能する。照明光源161は、例えばLEDチップと、LEDチップの上部に設けられた光学部材とを有し、制御部31により制御されて赤外域の波長を有する光(赤外線、赤外光)を発する。尚、照明部16が発する照明光は、赤外光であるものに限定されず、赤外光以外の可視光でもよい。
【0026】
カバー部162は、例えば透光性を有する樹脂等により成形され、照明光源161の上側に設けられる。カバー部162は、照明光源161の少なくとも上側を被覆する面164を有する。具体的には、カバー部162の面164は、照明光源161の光軸Laと直交又は略直交するようにカバー部162が配置される。カバー部162の面164は、照明開口部126に嵌め込まれる。上述したように、照明開口部126は、天井板122のうち中央部に対して傾斜した面に設けられている。このため、カバー部162の面164と直交又は略直交する照明光源161の光軸Laと、レンズ111の光軸Lとは非平行である。照明光源161が発した照明光は、カバー部162の面164を介して撮像装置10の外部に出射される。すなわち、照明光は照明開口部126から撮像装置10の外部に出射される。
【0027】
照明光源161の周囲には、第1遮光部材163が設けられる。第1遮光部材163の詳細については、説明を後述する。
【0028】
図1及び図3に示されるように、撮像装置10は4個の照明部16を備えている。4個のうちの一対の照明部16は、後述する支持部14の右側において、1個の照明部16が前側、他の1個の照明部16が後側に配置される。他の一対の照明部16は、支持部14の左側において、1個の照明部16が前側、他の1個の照明部16が後側に配置される。
【0029】
尚、撮像装置10が備える照明部16は4個であるものに限られない。撮像装置10は、3個以下の照明部16を備えてもよいし、5個以上の照明部16を備えてもよい。
【0030】
<照度計17>
照度計17は、例えばフォトレジスタやフォトダイオードであり、撮像装置10の周囲の外部環境から到達する外部の光を受光する。照度計17は、後述する支持部14上の第2基準位置P2(図3参照)の近傍であって、収音開口部201を介して撮像装置10の周囲の音を収集するマイクを有する収音部20に対して右側に配置される基板170上に実装される。具体的には、照度計17は、フロントケース120の天井板122に形成された複数の収音開口部201のうち、最も右側に形成された収音開口部201の下方に配置される。照度計17は、この収音開口部201を介して外部の光を受光する。照度計17は、受光された外部の光の明暗を電荷量に変換して、電荷量に応じた信号(輝度信号)を出力する。すなわち、照度計17は、撮像装置10の周囲の外部環境の明るさを検出する。また、照度計17の周囲には、照度計17へ外部の光以外の光が入射することを抑制する第2遮光部材171が設けられる。第2遮光部材171の詳細については、説明を後述する。
【0031】
また、照度計17の受光面とフロントケース120との間に例えば白色等の透光性を有するフィルム173(図7B図8参照)が配置される。フィルム173は、外部の光を透過させて照度計17に到達させるとともに、収音開口部201から塵等が撮像装置10内部に進入することを抑制する。尚、フィルム173は所望の波長領域の光を通過させるバンドパスフィルタ(Band Pass Filter)でも良い。フィルム173としてバンドパルフィルタが用いられることにより、周囲の外部環境の明るさを検出するために必要な波長領域の光を通過させて、周囲の外部環境の明るさを精度よく検出することができる。また、フィルム173が設けられていなくてもよい。
【0032】
<制御部31>
制御部31は、ハウジング12内の後側に配置され基板310上に搭載されている。制御部31は、例えばCPUやメモリ等によって構成され、撮像素子110が搭載された基板112と電気的に接続されている。制御部31は、例えばフラッシュメモリ等の記録媒体に予め記録されている制御プログラムを読み込んで実行することにより、撮像装置10の各部を制御するプロセッサーである。例えば、制御部31は、電源部による撮像素子110等の各部への電力供給を制御する。
【0033】
また、制御部31は、照度計17から出力された輝度信号に基づいて、撮像装置10の外部環境が明るい場合には通常撮影モードの設定を行い、撮像装置10の外部環境が暗い場合には暗視モードの設定を行う。暗視モードでは、制御部31は、外部環境が暗く光量が不十分のときに、照明部16を制御して、照明光を出射させ、この照明光により被写体を照明させる。
【0034】
<支持部14>
支持部14は、例えば合成樹脂によって成形され、メインベース部141とサブベース部142とにより一体成形される。メインベース部141は、フロントケース120の湾曲形状と平行又は略平行に湾曲した湾曲形状を有する。すなわち、メインベース部141は、前後方向において、中央部(すなわち、レンズ111の光軸Lが通る位置)を通り左右方向に沿う線上の位置である第2基準位置P2が最も外側(上側)に突出した湾曲した形状を有する。第2基準位置P2は、上述したフロントケース120の第1基準位置P1の下方にて、第1基準位置P1と平行又は略平行となる。
【0035】
サブベース部142は、メインベース部141から下方向に向けて立ち上がり、一部にリアケース121とねじ結合されるためのねじ穴が形成されている。サブベース部142がリアケース121にねじ結合により固定されることにより、支持部14がリアケース121に固定される。
【0036】
メインベース部141には、レンズ111の光軸Lが通る位置を中心として、支持部14の上下に連通する円形又は略円形のメインベース開口部143が形成される。換言すると、メインベース開口部143はメインベース部141に設けられた貫通穴である。このメインベース開口部143にレンズ111が挿入される。
【0037】
メインベース部141の上面には、照明部16と、照度計17と、収音部20とが搭載される。照明部16は、メインベース部141のうち右側と左側に2個ずつ搭載される。具体的には、照明部16は、メインベース部141の左側の端部近傍の前方及び後方と、右側の端部近傍の前方及び後方と、にそれぞれ1個ずつ搭載される。照度計17及び収音部20は、メインベース部141上の第2基準位置P2の近傍であって、メインベース開口部143に対して右側に配置される。
【0038】
上述したように、メインベース部141は前後方向において、第2基準位置P2が最も上方に突出した湾曲形状を有している。このため、メインベース部141に搭載された照明部16及び照度計17では、照度計17が照明部16に対して上方に位置している。換言すると、照明部16は、照度計17に対して光軸Lに沿って被写体から離れた位置に配置される。
【0039】
<第1遮光部材163>
図6A及び図6Bも参照して、第1遮光部材163について説明する。図6A図3に示される円で囲まれた領域Aを拡大して示す図であり、図6B図5Bに示される円で囲まれた領域Bを拡大して示す図である。
【0040】
図6A,6Bに示されるように、第1遮光部材163は、照明光源161の前後左右方向から周囲を取り囲んで配置される。第1遮光部材163は、照明光源161の光軸Laの方向に延びる形状を有する部材である。第1遮光部材163は、照明光源161の光軸Laに沿う方向に貫通する貫通孔165が形成される。すなわち、貫通孔165の壁面165aは、光軸Laの方向に延びる。照明光源161は、この貫通孔165の内周側に配置される。第1遮光部材163は、例えばゴムやウレタン等の弾性材により形成される。第1遮光部材163の内壁面である貫通孔165の壁面165aが、光を吸収する光吸収材等によりコーティングされてもよい。
【0041】
具体的には、第1遮光部材163は、円筒形状を有する。例えば、第1遮光部材163は、円柱状の部材に、照明光源161の光軸Laを中心として上述した貫通孔165が設けられることによって形成される。貫通孔165は、光軸Laと交差する方向において円形又は略円形に形成されている。貫通孔165の径、すなわち第1遮光部材163の内径は、照明光源161の径以上の大きさを有する。
【0042】
尚、第1遮光部材163は円筒形状を有するものに限定されず、第1遮光部材163が配置される位置や他の部材との位置関係等に応じて、矩形筒形状等の多角形筒形状であってもよい。また、貫通孔165が、光軸Laと交差する方向において、円形又は略円形に形成されているものに限定されず、貫通孔165の内周側に配置される照明光源161の形状に応じて、矩形等の多角形状に形成されてもよい。
【0043】
第1遮光部材163は、第1遮光部材163の下方側の面と基板160の上面とが例えば接着剤や両面テープ等によって貼り付けられることにより、基板160に取り付けられる。すなわち、第1遮光部材163は、基板160上において、照明光源161の周囲に設けられる。第1遮光部材163の光軸Laに沿う方向の長さ(高さ)は、基板160とカバー部162の面164との間の光軸Laに沿う方向の距離よりも大きい。このため、フロントケース120にリアケース121が取り付けられると、フロントケース120により上方から作用する力と、基板160を介してメインベース部141により下方から作用する力とにより、弾性材により形成された第1遮光部材163は、上下方向に収縮して変形する。すなわち、貫通孔165の壁面165aは、第1遮光部材163の上面とカバー部162の面164の下面との間に隙間が生じることが抑制された状態で、フロントケース120と基板160との間の空間を塞いでいる。換言すると、貫通孔165の壁面165aは、ハウジング12と基板160との間の空間を、照明光源161が配置される側の第1空間S1と、照明光源161が配置されない側の第2空間S2とに区画している。
【0044】
上記のように、第1遮光部材163とフロントケース120との間に隙間が生じることが抑制されている。このため、照明光源161から出射された照明光の光束のうち光軸Laに対して所定角度である拡散角度θよりも傾いた方向に進む光束は、第1遮光部材163の内壁面(すなわち、貫通孔165の壁面165a)によって遮光される。すなわち、照明光源161から出射される光束うち、拡散角度θより傾きが小さい方向に進む光束が、カバー部162及び照明開口部126を通過して、撮像装置10の外部に出射され、被写体を照明する。
【0045】
尚、上記の拡散角度θは、照明開口部126の内壁面(すなわちフロントケース120)により照明光がケラレることなく撮像装置10の外部に出射可能な範囲である。具体的には、拡散角度θは、照明開口部126の内壁面の上端122aと、光束が照明光源161から出射する点(出射点)P3とを結ぶ直線である拡散限界線L1によって囲まれる範囲に対応する。第1遮光部材163の壁面165aの上端面166が、拡散限界線L1よりも内側に位置する。このため、照明光源161が出射した光束のうち拡散限界線L1よりも傾いた方向に進む光束、すなわちフロントケース120によりケラレる方向に進む光束は、第1遮光部材163によって遮光され、第1遮光部材163の外部には進まない。この結果、照明光源161が発した照明光が、フロントケース120の下面側や撮像装置10の各種の内部構造にて乱反射して、撮像素子110や照度計17に入射することが第1遮光部材163によって抑制される。
【0046】
<第2遮光部材171>
図7A,7B及び図8を参照して、第2遮光部材171について説明する。図7A図2に示される円で囲まれた領域Cを拡大して示す図であり、図7B図4に示される円で囲まれた領域Dを拡大して示す図であり、図8図5Aに示される円で囲まれた領域Eを拡大して示す図である。
【0047】
図に示されるように、第2遮光部材171は、照度計17の前後左右方向から周囲を取り囲むように配置される。第2遮光部材171は、例えばゴムやウレタン等の弾性材により形成される。第2遮光部材171の表面は、光を吸収する光吸収材等によりコーティングされてもよい。第2遮光部材171には、照度計17が配置される位置に応じて上下方向に貫通する貫通穴172が形成される。このため、第2遮光部材171は照度計17の周囲に設けられる、と言うことができる。
【0048】
第2遮光部材171は、収容部124の形状に応じて、左右方向を長辺とする直方体形状に形成される。尚、第2遮光部材171の形状は直方体形状に限定されるものではなく、例えば立方体形状であってもよい。第2遮光部材171は、例えば接着剤や両面テープ等によって収容部124、すなわちフロントケース120の天井板122の内壁面に取り付けられる。尚、第2遮光部材171は、上記の位置に設置可能であり固定強度を確保できれば、天井板122との接着面積を増やすため、上方の面の面積が大きくなるような形状を有してもよい。
【0049】
第2遮光部材171の上下方向である光軸Lに沿う方向の長さ(高さ)は、収容部124の壁部124a,124b,124cの上下方向の長さ(高さ)よりも大きい。より特定的には、第2遮光部材171の高さは、フロントケース120の天井板122の内壁面(下面)と、支持部14のメインベース部141上に配置された基板170との間の上下方向の距離よりも大きい。このため、フロントケース120にリアケース121が取り付けられると、フロントケース120により上方から作用する力と、照度計17が実装された基板170により下方から作用する力とにより、弾性材により形成された第2遮光部材171は、上下方向に収縮して変形する。すなわち、第2遮光部材171の下面と基板170の上面との間に隙間が生じることが抑制された状態で、照度計17の側面のフロントケース120と基板170との間の空間が第2遮光部材171によって塞がれる。第2遮光部材171と基板170との間に隙間が生じることが抑制されているため、第2遮光部材171は照度計17の側面から照度計17に向けて進む光を遮光することができる。
【0050】
特に、照明部16は、照度計17に対して下方側に配置されている。このため、照明部16から出射した照明光のうち撮像装置10の内部に進む光が生じた場合であっても、撮像装置10の各種の内部構造により反射された光が照度計17の側方から入射することが第2遮光部材171によって抑制される。この結果、照度計17は、撮像装置10の正面(上方)側から入射する外部の光を受光できるので、周囲の外部環境の明るさを精度よく検出することができる。
【0051】
貫通穴172は、第2遮光部材171がフロントケース120の収容部124に収容された際に、複数の収音開口部201のうち最も右側の収音開口部201aの下方となる位置に設けられる。すなわち、貫通穴172は、照度計17が配置される位置に形成される。このため、外部の光のうち、収音開口部201aを通過した外部の光が貫通穴172を通過して、照度計17に受光される。また、照度計17に対して斜入射する外部の光、すなわちレンズ111の光軸Lと非平行に進行する光は、貫通穴172の側壁面にて遮光され、照度計17に受光されない。すなわち、貫通穴172は、外部の光のうち、光軸Lに沿って進行する光を通過させる。これにより、照度計17は、撮像装置10の正面(上方)側から入射する外部の光を受光できる。尚、貫通穴172は、収音開口部201aの下方となる位置に設けられるものに限定されず、第2遮光部材171において、複数の収音開口部201の少なくとも一つの下方となる位置に設けられてもよい。
【0052】
貫通穴172は長穴である。貫通穴172の短軸の長さは、丸穴である収音開口部201aの直径と同一又は略同一である。貫通穴172の長軸の長さは、収音開口部201aの直径よりも大きい。ただし、貫通穴172の大きさは、照度計17の受光部よりも大きい。このため、製造時に第2遮光部材171がフロントケース120の天井板122に対して左右方向に位置ずれを起こした状態で取り付けられた場合であっても、収音開口部201aが第2遮光部材171により塞がれることが抑制される。
【0053】
尚、図7Aにおいては、貫通穴172の長軸が左右方向に沿うように貫通穴172が形成された場合が示されている。しかし、貫通穴172の長軸の方向は図示された例に限定されるものではなく、貫通穴172の長軸が前後方向やその他の方向に沿ってもよい。すなわち、貫通穴172の長軸は、第2遮光部材171を取り付ける際に生じる可能性がある位置ずれの方向に沿っていればよい。また、貫通穴172は、収音開口部201aの径よりも大きな径を有する丸穴とすることにより、第2遮光部材171が収音開口部201aを塞ぐことを抑制してもよい。また、貫通穴172と収音開口部201aとに位置ずれを生じさせることなく第2遮光部材171をフロントケース120に取り付けることが可能であれば、貫通穴172の形状は長穴ではなく収音開口部201aと同様の丸穴であってもよい。
【0054】
上述した実施の形態によれば以下の作用効果のうちの少なくとも一つが得られる。
【0055】
(1)撮像装置10は、支持部材である基板160上において照明光源161の周囲に設けられる第1遮光部材163を備える。第1遮光部材163は、照明光源161が配置される貫通孔165を有し、貫通孔165は照明光源161の光軸Laの方向に延びる。貫通孔165の壁面165aは、照明光源161から出射される光束の一部を遮光する。これにより、照明光源161が出射する光束のうちフロントケース120の照明開口部126によりケラレる方向に進む光束は、第1遮光部材163によって遮光され、第1遮光部材163の外部には進まない。この結果、照明光源161が発した照明光が、フロントケース120の下面側や撮像装置10の各種の内部構造にて乱反射して、撮像素子110等の受光センサを有する他の機器に入射することが抑制される。すなわち、撮像素子110により撮像され生成される画像の画質低下や各受光センサの検出精度の低下を抑えることができる。また、受光センサを有する他の機器に対する照明部16の配置上の制約が低減され、設計の自由度を向上させることができる。
【0056】
(2)第1遮光部材163の壁面165aは、照明光源161から出射される光束のうち光軸Laに対して拡散角度θよりも傾いた方向に進む光束を遮光する。照明光源161から出射した光束のうち拡散限界線L1の外側を進む光束は、フロントケース120によりケラレる方向に進む光束である。このような光束は第1遮光部材163の壁面165aによって遮光され、第1遮光部材163の外部には進まない。この結果、照明光源161が発した照明光が、フロントケース120の下面側や撮像装置10の各種の内部構造にて乱反射して、撮像素子110等の受光センサを有する他の機器に入射することが抑制される。
【0057】
(3)壁面165aは、ハウジング12と支持部材である基板160との間の空間を、照明光源161が配置される第1空間S1と、照明光源161が配置されない非配置の第2空間S2とに区画する。これにより、フロントケース120によりケラレ、撮像装置10の内部に向かう光束が第1遮光部材163の外部に進むことが抑制される。この結果、照明光源161が発した照明光によって、撮像素子110等の受光センサを有する他の機器に影響を与えることが抑えられる。
【0058】
(4)撮像装置10が備える照度計17は、ハウジング12に収容され、ハウジング12に形成された収音開口部201aを介して外部の光を受光して、周囲の環境の明るさを検出する。撮像装置10が備える第2遮光部材171は、照度計17の周囲に設けられ、照度計17が実装される基板170とハウジング12との間の空間を塞いで遮光する。これにより、第2遮光部材171と基板170との間に隙間が生じることが抑制され、第2遮光部材171は照度計17の側面から照度計17に向けて進む光を遮光することができる。すなわち、ハウジング12の内部に設けられた他の機器が発する光が、ハウジング12の内部構造により反射され照度計17に受光されることが抑制される。したがって、照度計17への外乱光による影響が低減され、照度計17による周囲の外部環境の明るさを検出する際の精度を向上させることができる。また、光を発する機器に対する配置上の制約が低減され、設計の自由度を向上させることができる。
【0059】
(5)被写体を照明する照明光を出射する照明部16は、照度計17に対して、レンズ111の光軸Lに沿って被写体から離れた位置に配置される。すなわち、照明部16は、照度計17よりも下方に配置される。照度計17に対して下方側に配置された照明部16から出射した照明光のうち、撮像装置10の各種の内部構造により乱反射された光が照度計17の側方から照度計17に入射することが第2遮光部材171によって抑制される。すなわち、照明部16を配置する場所の自由度を向上させることができる。照明部16を配置する場所の自由度が向上されたことにより、撮像装置10が備える他の機器や部材が配置される場所の制約が低減され、設計の自由度を向上させることができる。
【0060】
(6)第1遮光部材163及び第2遮光部材171は、弾性材により形成される。第1遮光部材163がハウジング12内に収容されたとき、フロントケース120により上方から作用する力と、基板160により下方から作用する力とにより、上下方向に収縮して変形する。これにより、第1空間S1と第2空間S2とが隙間なく区画されるので、撮像装置10の内部に向かう光束が第1遮光部材163の外部に進むことが抑制される。また、第2遮光部材171がハウジング12内に収容されたときに、フロントケース120の天井板122の形状と基板170の形状に応じた変形が容易となる。この結果、天井板122が湾曲形状を有するような場合であっても、第2遮光部材171をフロントケース120の天井板122及び基板170に対して高い密着度を有して配置させることができる。
【0061】
(7)第2遮光部材171の光軸Lに沿う方向(上下方向)の長さは、ハウジング12のフロントケース120の天井板122の下面と基板170との間の光軸Lに沿う方向(上下方向)の距離よりも大きい。第2遮光部材171がフロントケース120に取り付けられハウジング12内に収容されると、第2遮光部材171はハウジング12の天井板122と基板170とによって光軸Lの方向(上下方向)に沿って形状が変形する。これにより、第2遮光部材171が天井板122及び基板170に対して高い密着度を有して配置されるため、照度計17の周囲の基板170と天井板122との間の空間が隙間なく塞がれる。この結果、照度計17の側面から照度計17に向かう光が第2遮光部材171によって遮光されるので、外乱光による影響が低減され、照度計17により検出される外部環境の明るさの精度を向上させることができる。
【0062】
(8)第2遮光部材171には、収音開口部201aを通過した外部の光が通過する貫通穴172が形成される。これにより、外乱光の入射が抑制された状態で照度計17は外部の光を受光し、周囲の外部環境の明るさを検出することができる。
【0063】
(9)貫通穴172は長穴である。これにより、製造時に第2遮光部材171がフロントケース120の天井板122に対して左右方向に位置ずれを起こした状態で取り付けられた場合であっても、収音開口部201aが第2遮光部材171により塞がれることが抑制される。
【0064】
(10)貫通穴172は、光軸Lの方向に沿って進行する外部の光を通過させる。これにより、照度計17は、撮像装置10の正面(上方)側から入射する外部の光を受光できる。
【0065】
(11)ハウジング12のフロントケース120の天井板122と照度計17との間に、透光性を有するフィルム173が設けられる。これにより、外部の光が照度計17に到達することを妨げることなく、収音開口部201aから塵等が撮像装置10内部に進入することを抑制することができる。
【0066】
<第1変形例>
第1変形例の撮像装置10が備える照明部16は、実施の形態の第1遮光部材163とは異なる形状を有する第1遮光部材を有する。第1変形例の第1遮光部材は、光軸Laに沿う方向の長さ(高さ)が基板160とカバー部162の面164との間の光軸Laに沿う方向の距離よりも小さい点で、実施の形態の第1遮光部材163とは異なる。以下、詳細に説明する。
【0067】
図9は、図6Bと同様に、第1変形例の第1遮光部材263と、照明光源161とを拡大して示す断面図である。第1遮光部材263の光軸Laに沿う方向の長さD1は、基板160とカバー部162の面164との間の光軸Laに沿う方向の距離D2よりも小さい。第1遮光部材263の長さD1は、拡散角度θに応じて決まる値である。具体的には、第1遮光部材263の壁面265aの上端266が、照明開口部126の内壁面の上端122aと、照明光の出射点P3とを結ぶ拡散限界線L1上に位置している。
【0068】
これにより、光軸Laに対して拡散角度θよりも傾いた方向に進む光束は、第1遮光部材263の壁面265aによって遮光される。この結果、実施の形態と同様に、照明光源161が発した照明光が、フロントケース120の下面側や撮像装置10の各種の内部構造により乱反射して、撮像素子110や照度計17に入射することが抑制される。すなわち、上述した実施の形態の作用効果(1),(2)と同様の作用効果が得られる。また、第1遮光部材263の上端266が拡散限界線L1上に位置しているため、撮像装置10の外部に出射されるべき照明光の一部が第1遮光部材263により遮光され、照明光の光量が低下することが抑制される。
【0069】
<第2変形例>
第2変形例の撮像装置10が備える照明部16は、実施の形態の第1遮光部材163又は第1変形例の第1遮光部材263とは異なる形状を有する第1遮光部材を有する。第2変形例の第1遮光部材は、照明光源161に対して上方側に光軸Laと交わる面を有し、その面には光源開口部が形成されている。以下、詳細に説明する。
【0070】
図10Aは、第2変形例の第1遮光部材363の外観斜視図である。図10Bは、図6Bと同様に、第2変形例の第1遮光部材363と、照明光源161とを拡大して示す断面図である。
【0071】
第1遮光部材363は、上端側(すなわち、基板160よりも被写体に近接する位置)に光軸Laと交わる面上に被覆面363aが設けられた形状を有している。第1遮光部材363は、第1変形例の第1遮光部材263と同様に、第1遮光部材363の光軸Laに沿う方向の長さは、メインベース部141とカバー部162の面164との間の光軸Laに沿う方向の距離よりも小さい。すなわち、第1遮光部材363の上端側の被覆面363aはカバー部162の面164と接触していない。
【0072】
被覆面363aには、貫通孔365の一方端(上方端)の開口として、照明光源161の光軸Laを中心とする円形又は略円形の光源開口部363bが形成されている。図10Bに示されるように、光源開口部363bの内径は、貫通孔365の下方側の内径よりも小さい。貫通孔365の下方側の内径は照明光源161の径に応じた大きさを有することから、照明光源161の上方側の一部は被覆面363aによって被覆される。
【0073】
光源開口部363bの大きさは、照明光の拡散角度θに応じて決まる値である。具体的には、光源開口部363bの内壁面の上端363cが、拡散限界線L1で囲まれる領域内に位置する。これにより、光軸Laに対して拡散角度θよりも傾いた方向に進む光束は、第1遮光部材363の内壁面である貫通孔365の壁面365aによって遮光される。
【0074】
第2変形例によれば、上述した実施の形態により得られる作用効果に加えて、以下の作用効果が得られる。
【0075】
第1遮光部材363は、基板160よりも被写体に近接する位置に、照明光源161の一部を覆う被覆面363aを有する。被覆面363aには光源開口部363bが形成され、照明光源161から出射した光束のうち光源開口部363bを通過した光束が被写体を照明する。これにより、実施の形態や第1変形例と同様に、照明光源161が発した照明光が、フロントケース120の下面側や撮像装置10の各種の内部構造により乱反射して、撮像素子110や照度計17に入射することが抑制される。
【0076】
尚、光源開口部363bの上端363cが拡散限界線L1上に位置していてもよい。この場合、撮像装置10の外部に出射されるべき照明光の一部が第1遮光部材363により遮光されることが抑制される。この結果、撮像装置10の外部に出射される照明光の光量低下が抑えられる。
【0077】
また、図10Bにおいては、貫通孔365の壁面365aは、光軸Laに沿う方向において、照明光源161の光学部材の外形形状に沿って湾曲した形状を有していたが、この形状に限定されない。実施の形態の第1遮光部材163や第1変形例の第1遮光部材263と同様に、貫通孔365の壁面365aは、光軸Laに沿う方向において、直線形状でもよい。
【0078】
また、貫通孔365が、光軸Laと交差する方向において、円形又は略円形に形成されているものに限定されず、貫通孔365の内周側に配置される照明光源161の形状に応じて、矩形状等の多角形状に形成されてもよい。すなわち、光源開口部363bの形状が、照明光源161の形状に応じて、矩形等の多角形状に形成されてもよい。
【0079】
<第3変形例>
第3変形例の撮像装置10が備える照明部16の第1遮光部材は、上述した第1遮光部材163,263,363とは異なる形状を有する。第3変形例の第1遮光部材は、第2変形例の第1遮光部材363の上方に、照明光源161から出射された照明光を反射する反射部を有している。以下、詳細に説明する。
【0080】
図11Aは第3変形例の第1遮光部材463の外観斜視図であり、図11Bは、図6Bと同様に、第3変形例の第1遮光部材463と、照明光源161とを拡大して示す断面図である。
【0081】
第1遮光部材463は、照明光源161の光軸La方向に沿った貫通孔465が形成された筒形状を有する。光軸Laと交わる(直交又は略直交する)面において、貫通孔465は、光軸Laを中心とする円形又は略円形に形成される。貫通孔465は、光軸Laに沿って、互いに内径が異なる第1開口部465aと、第2開口部465bと、第3開口部465cとを有する。第1開口部465aは、第1遮光部材463の上端側の面である上端面463aに形成される。第2開口部465bは、第1遮光部材463の下端側の面である下端面463bに形成される。第3開口部465cは、光軸Laの方向に沿って第1開口部465aと第2開口部465bとの間に形成される。
【0082】
第3開口部465cの内径は、第1開口部465aの内径及び第2開口部465bの内径よりも小さい。第3開口部465cの大きさは、第2変形例の光源開口部363bの大きさと同様に、照明光の拡散角度θに応じて決まる値である。具体的には、第3開口部465cの内壁面の上端465dが、拡散限界線L1で囲まれる領域内に位置する。すなわち、第3開口部465cは、第2変形例の光源開口部363bに相当する。
【0083】
貫通孔465の壁面のうち、第2開口部465bと第3開口部465cとは、光軸Laに沿う方向において、照明光源161の光学部材の外形形状に沿って湾曲した形状を有する壁面466aによって連結される。換言すると、第1遮光部材463は、第3開口部465cから下方側において、第2変形例の第1遮光部材363と同様の形状を有している。これにより、照明光源161から出射した光束のうち光軸Laに対して拡散角度θよりも傾いた方向に進む光束は壁面466aによって遮光され、拡散角度θよりも傾きが小さい方向に進む光束が第3開口部465cを通過する。
【0084】
貫通孔465の壁面のうち、第1開口部465aと第3開口部465cとは、光軸Laに対して傾斜した傾斜面464によって連結される。傾斜面464の表面は、例えばアルミ等の金属が蒸着されることにより形成された反射面である。あるいは、傾斜面464は金属材を用いて製造されてもよい。傾斜面464は、照明光源161から出射した光束のうち第3開口部465cを通過した光束を反射する。換言すると、傾斜面464は、第3開口部465cを通過した光束を反射する反射部として機能する。
【0085】
また、上述したように、第1遮光部材463の第3開口部465cから下方側は第2変形例の第1遮光部材363と同様の形状を有している。このため、反射部は、第2変形例の第1遮光部材363の上方側(すなわち、第1遮光部材363の被覆面363aよりも被写体に近接する位置)に設けられる、と言うことができる。
【0086】
第3変形例によれば、上述した実施の形態により得られる作用効果に加えて、以下の作用効果が得られる。
【0087】
第1遮光部材463は、第2変形例の被覆面363aよりも被写体に近接する位置に相当する上方側に、第2変形例の363aの光源開口部363bに相当する第3開口部465cを通過した光束を被写体に向けて反射する反射面である傾斜面464を有する。これにより、第1遮光部材463によって照明光源161が発した照明光の一部が遮光された場合であっても、傾斜面464により照明光の進む方向が被写体に向けられるので、被写体を照明する光量の低下を抑制することができる。
【0088】
尚、貫通孔465が、光軸Laと交差する方向において、円形又は略円形に形成されているものに限定されず、貫通孔465の内周側に配置される照明光源161の形状に応じて、矩形等の多角形状に形成されてもよい。すなわち、第1開口部465a、第2開口部465b及び第3開口部465cの形状が、照明光源161の形状に応じて、矩形等の多角形状に形成されてもよい。
【0089】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【0090】
実施の形態においては、第1遮光部材163の壁面165aの上端面166が、拡散限界線L1よりも内側に位置していたが、この例に限定されない。例えば、基板160とカバー部162の面164との間の距離、照明開口部126の大きさと等の関係に応じて、図12の断面図に示されるように、第1遮光部材163の壁面165aの上端面166が、拡散限界線L1上に位置してもよい。すなわち、第1遮光部材163の上端面166がカバー部162の面164に接触し、かつ、拡散限界線L1上に位置してよい。これにより、実施の形態により得られる(1)~(3)と同様の作用効果が得られる。
【0091】
また、撮像装置10が、照度計17の周囲に設けられる第2遮光部材171を備えていなくてもよい。この場合も、照明光源161から出射される照明光のうち拡散角度θよりも大きな角度で進む光束は第1遮光部材163によって遮光される。このため、照明光によって撮像装置10の内部構造により乱反射して、撮像素子110や照度計17に入射することが第1遮光部材163によって抑制される。すなわち、実施の形態により得られる作用効果(1)~(3)の少なくとも一つと同様の作用効果が得られる。
【0092】
また、撮像装置10が照度計17を備えていなくてもよい。
【0093】
また、第2遮光部材171をフロントケース120に貼り付けるものに代えて、基板170に貼り付けてもよい。この場合も、第2遮光部材171は、基板170との接着面積を増やすため、下方の面の面積が大きくなるような形状を有してもよい。また、第2遮光部材171の長辺が左右方向に沿って取り付けられるものに限定されない。例えば、第2遮光部材171の長辺が前後方向に沿って取り付けられてもよく、第2遮光部材171は、ハウジング12の内部に設けられる他の構成の配置関係に応じて適宜好ましい方向に取り付けられればよい。
【0094】
尚、本技術は以下の構成をとることが可能である。
【0095】
(1)光学部材を介して被写体光を受光する撮像素子と、被写体を照明する照明光を発する照明光源と、前記照明光源が配置される支持部材と、を有する照明部と、前記支持部材上において前記照明光源の周囲に設けられる第1遮光部材と、を備え、前記第1遮光部材は、前記照明光源が配置される貫通孔を有し、前記貫通孔は、前記照明光源の光軸の方向に延び、前記貫通孔の壁面は、前記照明光源が発する前記照明光の一部を遮光する、撮像装置。
【0096】
(2)前記壁面は、前記照明光源から出射される光束のうち、前記照明光源の前記光軸に対して所定角度よりも傾いた方向に進む光束を遮光する、(1)に記載の撮像装置。
【0097】
(3)前記撮像素子と、前記照明光源と、前記支持部材と、前記第1遮光部材とを収容するハウジングを備え、前記壁面は、前記ハウジングと前記支持部材との間の空間を、前記照明光源が配置される第1空間と、前記照明光源が非配置の第2空間とに区画する、(1)又は(2)に記載の撮像装置。
【0098】
(4)前記第1遮光部材は、前記支持部材よりも前記被写体に近接する位置に、前記照明光源の一部を覆う被覆面を有し、前記被覆面には光源開口部が形成され、前記照明光源から出射した光束のうち前記光源開口部を通過した光束が前記被写体を照明する、(1)から(3)の何れかに記載の撮像装置。
【0099】
(5)前記第1遮光部材は、被覆面よりも前記被写体に近接する位置に、前記光源開口部を通過した光束を前記被写体に向けて反射する反射部を有する、(4)に記載の撮像装置。
【0100】
(6)前記ハウジングに収容され、前記ハウジングに形成された開口部を介して外部の光を受光して、周囲の環境の明るさを検出する照度計と、前記照度計の周囲に設けられ、前記照度計が実装される基板と前記ハウジングとの間の空間を塞いで遮光する第2遮光部材と、を備える、(3)に記載の撮像装置。
【0101】
(7)前記照明光源は、前記光学部材の光軸の方向に沿って、前記照度計に対して前記被写体から離れた位置に配置される、(6)に記載の撮像装置。
【0102】
(8)前記第1遮光部材及び前記第2遮光部材は、弾性材によって形成される、(6)または(7)に記載の撮像装置。
【0103】
(9)前記第2遮光部材の前記光学部材の光軸の方向の長さは、前記ハウジングと前記基板との間の前記光軸の方向の距離よりも大きく、前記ハウジング内に収容された前記第2遮光部材は、前記ハウジングと前記基板とによって前記光軸の方向に沿って変形される、(6)から(8)までの何れかに記載の撮像装置。
【0104】
(10)前記第2遮光部材には、前記ハウジングの前記開口部を通過した外部の光が通過する貫通穴が設けられる、(6)から(9)までの何れかに記載の撮像装置。
【0105】
(11)前記貫通穴は長穴である、(10)に記載の撮像装置。
【0106】
(12)前記貫通穴は、前記光学部材の光軸の方向に沿って進行する外部の光を通過させる、(10)または(11)に記載の撮像装置。
【0107】
(13)前記ハウジングと前記照度計との間に、透光性を有するフィルムを備える、(6)から(12)までの何れかに記載の撮像装置。
【符号の説明】
【0108】
10 撮像装置、11 カメラモジュール、12 ハウジング、14 支持部、16 照明部、17 照度計、20 収音部、110 撮像素子、111 レンズ、120 フロントケース、121 リアケース、122 天井板、122a 上端、124 収容部、124a,124b,124c 壁部、126 照明開口部、160 基板、161 照明光源、162 カバー部、163,263,363,463 第1遮光部材、164 面、165,365,465 貫通孔、165a,365a 壁面、166,463a 上端面、170 基板、171 第2遮光部材、172 貫通穴、173 フィルム、201,201a 収音開口部、363a 被覆面、363b 光源開口部、363c 上端、463b 下端面、464 傾斜面、465a 第1開口部、465b 第2開口部、465c 第3開口部、466,466a 壁面
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12