IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三安ジャパンテクノロジー株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-弾性波デバイス 図1
  • 特開-弾性波デバイス 図2
  • 特開-弾性波デバイス 図3
  • 特開-弾性波デバイス 図4
  • 特開-弾性波デバイス 図5
  • 特開-弾性波デバイス 図6
  • 特開-弾性波デバイス 図7
  • 特開-弾性波デバイス 図8
  • 特開-弾性波デバイス 図9
  • 特開-弾性波デバイス 図10
  • 特開-弾性波デバイス 図11
  • 特開-弾性波デバイス 図12
  • 特開-弾性波デバイス 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112552
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】弾性波デバイス
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/25 20060101AFI20240814BHJP
   H03H 9/145 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
H03H9/25 A
H03H9/145 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017673
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】518453730
【氏名又は名称】三安ジャパンテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098202
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信彦
(72)【発明者】
【氏名】中村 博文
(72)【発明者】
【氏名】門川 裕
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 浩一
【テーマコード(参考)】
5J097
【Fターム(参考)】
5J097AA25
5J097AA29
5J097BB11
5J097DD19
5J097HA02
5J097JJ03
5J097JJ06
5J097KK09
5J097KK10
(57)【要約】
【課題】弾性波デバイスの放熱性、封止性、および、低背化を、より適切且つ合理的に向上できるようにする。
【解決手段】パッケージ基板2の実装面2aには、パッケージ基板2の中心2dを巡る樹脂製の周回状封止部9が形成されている。デバイスチップ3の一面3aにはその外縁部3fにデバイスチップ3の中心3iを巡る周回状突出部10が形成されている。周回状突出部10を周回状封止部9に食い込ませるようにして周回状封止部9においてパッケージ基板2とデバイスチップ3の外縁部2e、3fとが一体化されている。デバイスチップ3の他面3b、デバイスチップ3の側面3e、及び、周回状封止部9におけるパッケージ基板1の中心2d側と反対の外側面9cとを少なくとも被覆する金属層11を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面を実装面としたパッケージ基板と、
一面にIDT電極を含む機能素子が形成されたデバイスチップとを、
前記パッケージ基板の前記実装面と前記デバイスチップの前記一面とを向き合わせた状態でバンプを介して接続させてなる弾性波デバイスであって、
前記パッケージ基板の前記実装面には、前記パッケージ基板の中心を巡る樹脂製の周回状封止部が形成されており、
前記デバイスチップの前記一面にはその外縁部に前記デバイスチップの中心を巡る周回状突出部が形成されていると共に、この周回状突出部の内方に前記機能素子が形成されるようになっており、
前記周回状突出部を前記周回状封止部に食い込ませるようにして前記周回状封止部において前記パッケージ基板と前記デバイスチップの前記外縁部とが一体化されており、
しかも、前記デバイスチップの前記一面に対向する他面、この他面と前記一面との間に亘る前記デバイスチップの側面、及び、前記周回状封止部における前記パッケージ基板の前記中心側と反対の外側面とを少なくとも被覆する金属層を備えてなる、弾性波デバイス。
【請求項2】
前記周回状封止部における前記パッケージ基板の前記実装面と前記デバイスチップの前記一面との間に位置される内側部分が、前記デバイスチップの一面下に位置しない外側部分よりも大きくなるようにしてなる、請求項1に記載の弾性波デバイス。
【請求項3】
前記周回状封止部の全体が、前記パッケージ基板の前記実装面と前記デバイスチップの前記一面との間に位置されるようにしてなる、請求項1に記載の弾性波デバイス。
【請求項4】
前記周回状突出部を、前記デバイスチップの前記一面の前記外縁部に形成されて前記機能素子に接続された外縁側配線によって形成させてなる、請求項1に記載の弾性波デバイス。
【請求項5】
前記外縁側配線を前記金属層に接触させると共に、前記金属層を前記パッケージ基板の前記実装面における前記周回状封止部の外方に形成させた基板側配線に接続させるようにしてなる、請求項4に記載の弾性波デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、モバイル通信機器などにおいて周波数フィルタなどとして使用するのに適した弾性波デバイスの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
パネル上にフレーム構造体を介してチップを載置した構造の素子として、特許文献1に示されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2007-533475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、この種の素子としての弾性波デバイスの放熱性、封止性、および、低背化を、より適切且つ合理的に向上できるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を達成するために、この発明にあっては、弾性波デバイスを、一面を実装面としたパッケージ基板と、
一面にIDT電極を含む機能素子が形成されたデバイスチップとを、
前記パッケージ基板の前記実装面と前記デバイスチップの前記一面とを向き合わせた状態でバンプを介して接続させてなる弾性波デバイスであって、
前記パッケージ基板の前記実装面には、前記パッケージ基板の中心を巡る樹脂製の周回状封止部が形成されており、
前記デバイスチップの前記一面にはその外縁部に前記デバイスチップの中心を巡る周回状突出部が形成されていると共に、この周回状突出部の内方に前記機能素子が形成されるようになっており、
前記周回状突出部を前記周回状封止部に食い込ませるようにして前記周回状封止部において前記パッケージ基板と前記デバイスチップの前記外縁部とが一体化されており、
しかも、前記デバイスチップの前記一面に対向する他面、この他面と前記一面との間に亘る前記デバイスチップの側面、及び、前記周回状封止部における前記パッケージ基板の前記中心側と反対の外側面とを少なくとも被覆する金属層を備えてなる、ものとした。
【0006】
前記周回状封止部における前記パッケージ基板の前記実装面と前記デバイスチップの前記一面との間に位置される内側部分が、前記デバイスチップの一面下に位置しない外側部分よりも大きくなるようにすることが、この発明の態様の一つとされる。
【0007】
また、前記周回状封止部の全体が、前記パッケージ基板の前記実装面と前記デバイスチップの前記一面との間に位置されるようにすることが、この発明の態様の一つとされる。
【0008】
また、前記周回状突出部を、前記デバイスチップの前記一面の前記外縁部に形成されて前記機能素子に接続された外縁側配線によって形成させるようにすることが、この発明の態様の一つとされる。また、この場合には、前記外縁側配線を前記金属層に接触させると共に、前記金属層を前記パッケージ基板の前記実装面における前記周回状封止部の外方に形成させた基板側配線に接続させるようにすることが、この発明の態様の一つとされる。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、デバイスチップとパッケージ基板とは、両者間に前記周回状封止部とバンプとを介在させて一体化され、デバイスチップにおける機能素子の形成領域はデバイスチップとパッケージ基板と周回状封止部とによって封止されたキャビティ(内部空間、中空構造部)内に位置される。前記パッケージ基板と前記デバイスチップの前記外縁部とは、前記周回状突出部を前記周回状封止部に食い込ませるようにして一体化されており、両者の機械的一体性は高く確保され、また、この構造によって前記金属層を無電解メッキにより形成する場合はキャビティ内へのメッキ液の浸入は防止される。前記のように形成される金属層によって、弾性波デバイスへの信号の印加時に生じる熱は効率的に外部に放出される。また、前記のように形成される金属層により、前記キャビティの封止状態を強固なものとすることができる、また、デバイスチップの他面には前記金属層のみが存在することから、弾性波デバイスは可及的に薄型化(低背化)可能となり、これが実装されて構成されるモジュールの低背化にも寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、この発明の一実施の形態にかかる弾性波デバイス(第一例)の斜視構成図である。
図2図2は、前記第一例の断面構成図である。
図3図3は、図2のA-A線位置での前記第一例の断面構成図であり、機能素子及びバンプの記載を省略している。
図4図4は、前記第一例の構成の一部を変更した弾性波デバイスの第二例の断面構成図である。
図5図5は、前記第一例及び第二例を構成するデバイスチップに形成される共振器の一例を示した構成図である。
図6図6は、前記第一例及び第二例を構成するデバイスチップに形成される回路の一例を示した構成図である。
図7図7は、前記第一例の製造過程の一工程を示した断面構成図である。
図8図8は、前記第一例の製造過程の一工程を示した断面構成図である。
図9図9は、前記第一例の製造過程の一工程を示した断面構成図である。
図10図10は、前記第一例の製造過程の一工程を示した断面構成図である。
図11図11は、前記第一例の製造過程の一工程を示した断面構成図である。
図12図12は、前記第一例の製造過程の一工程を示した断面構成図である。
図13図13は、前記第一例の製造過程の一工程を示した断面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1図13に基づいて、この発明の典型的な実施の形態について、説明する。この実施の形態にかかる弾性波デバイス1は、モバイル通信機器などにおいて周波数フィルタなどとして使用するのに適したものである。
【0012】
かかる弾性波デバイス1は、パッケージ基板2の一面としての実装面2aに、IDT電極を含む機能素子5、典型的には共振器5aの形成された一面3aを向き合わせて前記パッケージ基板2に実装されたデバイスチップ3を備えている。
【0013】
典型的には、前記デバイスチップ3は、一辺を0.5ないし1mmとし、厚さを0.15ないし0.2mmとする四角形の板状をなすように構成される。また、前記パッケージ基板2は、一辺を0.7ないし3mmとし、厚さを0.15ないし0.2mmとする四角形の板状をなすように構成される。弾性波デバイス1は厚さを0.4ないし0.6mm程度とする。
【0014】
その断面構造を図2に示す。図中符号3はデバイスチップ、符号3aはその一面、符号3bは前記一面3aに対向する他面、符号5は機能素子、符号4は金などの導電性金属からなるバンプである。デバイスチップ3とパッケージ基板2とはデバイスチップ3側の配線に接続されたバンプパッド3cとパッケージ基板2側の配線に接続されたバンプパッド2bとの間に介在されて両バンプパッド2b、3cにそれぞれ固着されたる前記バンプ4によって電気的に接続されている。
前記バンプパッド2b、3cとバンプ4はなじみの良い金属同士、典型的には金やアルミニウムから構成されて接合される。
パッケージ基板2における前記デバイスチップ3の実装側の実装面2aと反対の他面2cには弾性波デバイス1を図示しないモジュール基板などに接続するための図示しない外部接続端子が形成される。
【0015】
デバイスチップ3は、弾性波を伝搬させる機能を持つ。デバイスチップ3には、典型的には、タンタル酸リチウムやニオブ酸リチウムなどの圧電体が用いられる。また、デバイスチップ3は、これら圧電体を、サファイア、シリコン、アルミナ、スピネル、水晶またはガラスなどの支持体に積層させて、構成される場合もある。
【0016】
デバイスチップ3の一面3aには、導電性金属膜からなる前記機能素子5が形成されている。機能素子5は典型的にはデバイスチップ3上に複数個形成される。
機能素子5を構成する導電性金属膜の厚さ、すなわち、デバイスチップ3の一面3aに直交する向きでの機能素子5を構成する導電性金属膜の厚さは、典型的には、0.1ないし0.2μmの範囲とされる。
かかる導電性金属膜は、典型的には、フォトリソグラフィ技術により形成される。
【0017】
図5にSAWフィルタとなる共振器5aの一例を示す。共振器5aはIDT電極5bと、IDT電極5bを挟むようにして形成される反射器5eとを有する。IDT電極5aは、電極対からなり、各電極対は弾性波の伝搬方向xに長さ方向を交叉させるように平行配列された複数の電極指5c同士をこれらの一端側においてバスバー5dで接続させてなる。反射器5eは、弾性波の伝搬方向xに長さ方向を交叉させるように平行配列された複数の電極指5fの端部間をバスバー5gで接続させてなる。
また、かかる共振器5aは、一つのデバイスチップ3上に、複数形成される場合もある。
【0018】
図6に一つのデバイスチップ3上に備えられる回路6の一例の概念を示す。符号5aaは入出力ポート間に直列に接続された共振器5a、符号5abは入出力ポート間に並列に接続された共振器5a、符号7はグランド、符号8は配線を示す。共振器5aの数や配置は必要に応じて変更される。すなわち、図5の回路によってラダー型フィルタが構成されるようになっている。
【0019】
前記パッケージ基板2の前記実装面2aには、前記パッケージ基板2の中心2dを巡る樹脂製の周回状封止部9が形成されている。
かかる周回状封止部9は、パッケージ基板2の実装面2aをこれに直交する向きから見た状態において、四角形の枠状をなすように形成されている(図3参照)。
また、かかる周回状封止部9は絶縁性を備えた樹脂から構成される。
【0020】
一方、前記デバイスチップ3の前記一面3aにはその外縁部3fに前記デバイスチップ3の中心を巡る周回状突出部10が形成されている。
かかる周回状突出部10も、デバイスチップ3の前記一面3aをこれに直交する向きから見た状態において、四角形の枠状をなすように形成されている(図3参照)。
【0021】
図1ないし図3に示される第一例では、周回状突出部10は、線状体によって形成されている。この第一例では、周回状突出部10の幅、すなわち、デバイスチップ3の前記一面3aに沿った向きでの周回状突出部10の寸法は、前記周回状封止部9の幅、すなわち、パッケージ基板2の実装面2aに沿った向きでの周回状封止部9の寸法よりも小さくなっている。
【0022】
図4に示される第二例では、周回状突出部10は、帯状体によって形成されている。この第二例では、周回状突出部10の幅、すなわち、デバイスチップ3の前記一面3aに沿った向きでの周回状突出部10の寸法は第一例よりは大きくなっている。この第二例でも、周回状突出部10の幅、すなわち、デバイスチップ3の前記一面3aに沿った向きでの周回状突出部10の寸法は、前記周回状封止部9の幅、すなわち、パッケージ基板2の実装面2aに沿った向きでの周回状封止部9の寸法よりも小さくなっている。
【0023】
前記機能素子5は、前記デバイスチップ3の一面3aにおける周回状突出部10の内方となる領域3dに形成されている。
【0024】
また、パッケージ基板2とデバイスチップ3とは、前記周回状突出部10を前記周回状封止部9に食い込ませるようにして、前記周回状封止部9において、つまり、パッケージ基板2の外縁部2eにおいて、一体化されている。
【0025】
前記第一例では、周回状封止部9は、パッケージ基板2の実装面2aに密着した下面9aと、デバイスチップ3の一面3aに密着する上面9bと、両者間に亘る外側面9cと内側面9dとを有している。第一例では、この周回状封止部9の上面9bにおける幅方向中程の位置において、周回状突出部10が周回状封止部9に食い込むようになっている。この第一例では、周回状封止部9の外側面9cはデバイスチップ3の側面3e(デバイスチップ3の一面3aに対向する他面3bと一面3aとの間に亘るデバイスチップ3の厚さ方向に沿った面)よりも外方に位置しており、周回状封止部9はパッケージ基板2の実装面2aとデバイスチップ3の一面3aとの間に位置される内側部分9eと、デバイスチップ3の一面3a下に位置しない外側部分9fとを持つようになっている。
【0026】
前記第二例でも、周回状封止部9は、パッケージ基板2の実装面2aに密着した下面9aと、デバイスチップ3の一面に密着する上面9bと、両者間に亘る外側面9cと内側面9dとを有している。第二例では、この周回状封止部9の上面9bにおける幅方向中程の位置からこの上面9bと外側面9cとが接し合う隅部9gとの間に亘る範囲において、周回状突出部10が周回状封止部9に食い込むようになっている。第二例では、周回状突出部10はさらに周回状封止部9の外側面9cとデバイスチップ3の一面3aと側面3eとが接し合う隅部3hとの間に亘る延出部10aを持つように形成されている。この第二例では、周回状封止部9の外側面9cはデバイスチップ3の側面3eよりも内方に位置しており、周回状封止部9の全体が、パッケージ基板2の実装面2aとデバイスチップ3の一面3aとの間に位置されるようになっている。
【0027】
また、この実施の形態にかかる弾性波デバイス1は、前記デバイスチップ3の前記他面3bの全体と、前記側面3eの全体と、前記周回状封止部9における前記パッケージ基板2の前記中心2d側に位置する内側面9dと反対の外側面9cの全体とを、少なくとも被覆する金属層11を備えている。
【0028】
デバイスチップ3とパッケージ基板2とは、両者間に前記周回状封止部9とバンプ4とを介在させて一体化され、デバイスチップ3における機能素子5の形成された領域3dはデバイスチップ3とパッケージ基板2と周回状封止部9とによって封止されたキャビティ12(内部空間、中空構造部)内に位置される。パッケージ基板2とデバイスチップ3の外縁部3fとは、周回状突出部10を周回状封止部9に食い込ませるようにして一体化されており、両者の機械的一体性は高く確保される。また、前記のように形成される金属層11によって、弾性波デバイス1への信号の印加時に生じる熱は効率的に外部に放出される。また、前記のように形成される金属層11により、前記キャビティ12の封止状態を強固なものとすることができる、また、デバイスチップ3の他面3bには前記金属層11のみが存在することから、弾性波デバイス1は可及的に薄型化(低背化)可能となり、これが実装されて構成されるモジュールの低背化にも寄与する。
【0029】
前記第一例のように、前記周回状封止部9における前記パッケージ基板2の前記実装面2aと前記デバイスチップ3の前記一面3aとの間に位置される内側部分9eが、前記デバイスチップ3の一面3a下に位置しない外側部分9fよりも大きくなるようにすれば、前記周回状封止部9によって前記キャビティ12を封止しながら、弾性波デバイス1をデバイスチップ3の前記一面3aに沿った向きにおいて小型化し易くなる。
前記第一例では、金属層11は、パッケージ基板2の中心2d(デバイスチップ3の中心3i)を巡るいずれの箇所においても、周回状封止部9の外側部分9f上の上面9bと外側面9cとその外側に位置するパッケージ基板2の外縁部2e側の実装面2aとを覆っている。
【0030】
また、前記第二例のように、前記周回状封止部9の全体が、前記パッケージ基板2の前記実装面2aと前記デバイスチップ3の前記一面3aとの間に位置されるようにすれば、前記周回状封止部9によって前記キャビティ12を封止しながら、弾性波デバイス1をデバイスチップ3の前記一面3aに沿った向きにおいてより一層小型化し易くなる。
前記第二例では、金属層11は、パッケージ基板2の中心2d(デバイスチップ3の中心3i)を巡るいずれの箇所においても、周回状封止部9の外側面9cとその外側に位置するパッケージ基板2の外縁部2e側の実装面2aとこの実装面2a上の基板側配線2fとを覆っている。
【0031】
前記周回状突出部10は、前記デバイスチップ3の前記一面3aの前記外縁部に3f形成され、かつ、前記機能素子5に電気的に接続された外縁側配線3gに兼ねさせてもよい。
【0032】
前記第二例のように、前記金属層11をこの金属層11が周回状突出部10の前記延出部10aに接触するように形成すれば、金属層11をデバイスチップ3に形成した回路のグランドとして利用することもできる。この第二例では、かかる金属層11はさらに、パッケージ基板2の実装面2aにおける前記周回状封止部9の外方となる領域に形成させた基板側配線2fにも接続されており、前記外縁側配線3gとされた周回状突出部10と基板側配線2fとを金属層11を利用して接続させている。
【0033】
以上に説明した弾性波デバイス1は、以下の各ステップを含む製造方法によって、適切且つ合理的に製造することができる。
【0034】
先ず、前記パッケージ基板2となる集合基板2gにおけるパッケージ基板2の実装面2aとなる面に対し、バンプパッド2b及び基板側配線2fを形成する(ステップ1/図7)。かかるバンプパッド2b及び基板側配線2fは、導電性金属膜から構成され、典型的には、フォトリソグラフィ技術により形成される。
【0035】
次いで、前記集合基板2gにおけるパッケージ基板2の実装面2aとなる面に対し、前記周回状封止部9となる樹脂層9hを形成させる(ステップ2/図8)。この樹脂層9hは、集合基板2gに感光性のドライフィルムを貼り付けることで形成できる。また、集合基板2gに液状の感光性樹脂を塗布することによっても形成できる。
【0036】
次いで、フォトリソグラフィ技術により、一つの弾性波デバイス1を構成する各パッケージ基板2の領域毎にそれぞれ、前記樹脂層9hから周回状封止部9を形成させる(ステップ3/図9)。
【0037】
次いで、前記各領域毎に、集合基板2gに対し、デバイスチップ3を実装する(ステップ4/図10)。具体的には、機能素子5と配線とバンプ4とが形成されたデバイスチップ3の機能素子5が周回状封止部9の内方に位置されるようにしながら、デバイスチップ3の一面3aの外縁部3fを周回状封止部9に押しつけ、周回状突出部10を周回状封止部9に食い込ませる。(なお、図10乃至図13においては周回状突出部10の記載は省略している。)このステップ4を円滑に行う観点からは、周回状封止部9を構成する樹脂は弱い粘着力を持つものとしておくことが好ましい。そして、このように、デバイスチップ3の外縁部3fを周回状封止部9に押しつけた状態において、バンプ4を集合基板2g側のバンプパッド2bに溶着する。
【0038】
次いで、デバイスチップ3が実装された集合基板2gを前記周回状封止部9が溶融・硬化する雰囲気下で加熱する(ステップ5)。これにより、集合基板2gに対しデバイスチップ3は周回状封止部9を介して固着され、前記領域毎に前記キャビティ12が形成される。
【0039】
次いで、デバイスチップ3が実装された集合基板2gに、金属層11を形成する(ステップ6/図11)。この金属層11は、無電解ニッケルメッキにより形成できる。また、スパッターによって形成できる。
パッケージ基板2とデバイスチップ3の外縁部3fとは、周回状突出部10を周回状封止部9に食い込ませるようにして一体化されており、この構造によって前記金属層11を前記無電解ニッケルメッキにより形成する場合はキャビティ12内へのメッキ液の浸入は防止される。
【0040】
最後に、前記のように金属層11が形成された集合基板2gにダイシングを施して前記領域の数分の弾性波デバイス1を前記集合基板2gから生成する(ステップ7/図12から図13)。
【0041】
なお、当然のことながら、本発明は以上に説明した実施態様に限定されるものではなく、本発明の目的を達成し得るすべての実施態様を含むものである。
【符号の説明】
【0042】
x 伝搬方向
1 弾性波デバイス
2 パッケージ基板
2a 実装面
2b バンプパッド
2c 他面
2d 中心
2e 外縁部
2f 基板側配線
2g 集合基板
3 デバイスチップ
3a 一面
3b 他面
3c バンプパッド
3d 領域
3e 側面
3f 外縁部
3g 外縁側配線
3h 隅部
3i 中心
4 バンプ
5 機能素子
5a、5aa、5ab 共振器
5b IDT電極
5c 電極指
5d バスバー
5e 反射器
5f 電極指
5g バスバー
6 回路
7 グランド
8 配線
9 周回状封止部
9a 下面
9b 上面
9c 外側面
9d 内側面
9e 内側部分
9f 外側部分
9g 隅部
9h 樹脂層
10 周回状突出部
10a 延出部
11 金属層
12 キャビティ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13