(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112553
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】コイル装置
(51)【国際特許分類】
H01F 27/32 20060101AFI20240814BHJP
H01F 27/02 20060101ALI20240814BHJP
H01F 17/04 20060101ALI20240814BHJP
H01F 27/29 20060101ALI20240814BHJP
H01F 5/02 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
H01F27/32 150
H01F27/02 N
H01F17/04 F
H01F27/29 N
H01F5/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017674
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000220125
【氏名又は名称】東京パーツ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石川 一彰
(72)【発明者】
【氏名】清水 一男
(72)【発明者】
【氏名】鳩山 大輝
(72)【発明者】
【氏名】梶塚 洸太
【テーマコード(参考)】
5E044
5E070
【Fターム(参考)】
5E044BA01
5E044BB05
5E044CA03
5E044CB08
5E070AA01
5E070AB10
5E070BA08
5E070DA04
5E070EB02
(57)【要約】
【課題】巻枠部を被覆する被覆部が離脱することを防止することができるコイル装置を提供する。
【解決手段】コイル装置10は、ボビン部11と、コイル部12と、コア部13と、被覆部16と、を具備する。ボビン部11は、巻枠部111と、端子台部112と、を有する。巻枠部111は、巻回部1111と、巻回部1111の両端側に配設された鍔部1112と、鍔部1112の端部から成る顎部1113と、を有する。コイル部12は、巻回部1111に巻回される巻線部121を有する。コア部13は、巻枠部111の近傍に所定の磁気回路を形成するように配設される。被覆部16は、巻枠部111およびコア部13を被覆し、且つ、顎部1113に係止される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボビン部と、コイル部と、コア部と、被覆部と、を具備し、
前記ボビン部は、巻枠部と、端子台部と、を有し、
前記巻枠部は、巻回部と、前記巻回部の両端側に配設された鍔部と、前記鍔部の端部から成る顎部と、を有し、
前記コイル部は、前記巻回部に巻回される巻線部を有し、
前記コア部は、前記巻枠部の近傍に所定の磁気回路を形成するように配設され、
前記被覆部は、前記巻枠部および前記コア部を被覆し、且つ、前記顎部に係止されることを特徴とするコイル装置。
【請求項2】
前記顎部は、前記鍔部と前記端子台部との境界近傍に配設されることを特徴とする請求項1に記載のコイル装置。
【請求項3】
前記被覆部は、収縮することにより前記顎部に係止されるものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコイル装置。
【請求項4】
前記ボビン部は、空洞部を有し、
前記コア部は、その一部が前記空洞部の一方側部分に配置される第1コア部と、その一部が前記空洞部の他方側部分に配置される第2コア部と、を有し、
前記第1コア部および前記第2コア部は、前記被覆部により外側から覆われることを特徴とする請求項1に記載のコイル装置。
【請求項5】
前記コア部は、側脚部と、中脚部と、前記側脚部と前記中脚部とを連結する連結部と、を具備し、
前記連結部の長手方向は、実装面に対して略垂直であることを特徴とする請求項1または請求項4に記載のコイル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コイル装置は、螺旋状また円状に巻かれた導線から成り、様々な機器に組み込まれて使用される。例えば、コイル装置は、インダクタ、トランス等として各種機器に用いられる。
【0003】
また、コイル装置において、巻回された導線から成る巻線部は、絶縁のために樹脂膜により被覆される。巻線部を樹脂膜により被覆する発明は、以下の特許文献に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平1-158710号公報
【特許文献2】実開昭62-122318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した各特許文献に記載されたコイル装置では、巻線部を樹脂膜により確実に被覆する観点から改善の余地があった。
【0006】
例えば、特許文献1を参照すると、コアは熱収縮性ゴムチューブにより被覆される。また、熱収縮性ゴムチューブは、外側面、側壁および端子台も被覆する。しかしながら、熱収縮性ゴムチューブは、一次コイル、二次コイルの周囲(特に上方)に対する絶縁には寄与していない。また、特許文献2に記載された構成においては、熱収縮チューブはコイル周辺を被覆しているが、コイル装置に対して強固に係合されている箇所が無いことから、使用状況下において熱収縮チューブが外れてしまう恐れがあった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、巻枠部を被覆する被覆部が離脱することを防止することができるコイル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のコイル装置は、ボビン部と、コイル部と、コア部と、被覆部と、を具備し、前記ボビン部は、巻枠部と、端子台部と、を有し、前記巻枠部は、巻回部と、前記巻回部の両端側に配設された鍔部と、前記鍔部の端部から成る顎部と、を有し、前記コイル部は、前記巻回部に巻回される巻線部を有し、前記コア部は、前記巻枠部の近傍に所定の磁気回路を形成するように配設され、前記被覆部は、前記巻枠部および前記コア部を被覆し、且つ、前記顎部に係止されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明のコイル装置では、前記顎部は、前記鍔部と前記端子台部との境界近傍に配設されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のコイル装置では、前記被覆部は、収縮することにより前記顎部に係止されるものであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明のコイル装置では、前記ボビン部は、空洞部を有し、前記コア部は、その一部が前記空洞部の一方側部分に配置される第1コア部と、その一部が前記空洞部の他方側部分に配置される第2コア部と、を有し、前記第1コア部および前記第2コア部は、前記被覆部により外側から覆われることを特徴とする。
【0012】
また、本発明のコイル装置では、前記コア部は、側脚部と、中脚部と、前記側脚部と前記中脚部とを連結する連結部と、を具備し、前記連結部の長手方向は、実装面に対して略垂直であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のコイル装置によれば、被覆部が顎部に係止されることにより、実装時および使用時において、被覆部が巻枠部から外れることを防止できる。よって、被覆部により巻回部を確実に絶縁できる。更には、被覆部によりコア部を良好に固定できる。
【0014】
また、本発明のコイル装置によれば、鍔部と端子台部との境界近傍に顎部を配設することで、被覆部により巻回部を端部まで被覆することができる。
【0015】
また、本発明のコイル装置によれば、被覆部が収縮性を有することで、被覆部を顎部に確実に係止できる。
【0016】
また、本発明のコイル装置によれば、被覆部により第1コア部および第2コア部を固定することができる。
【0017】
また、本発明のコイル装置によれば、巻枠部上方にコア部の側脚が配される構成となるため、上方に対する絶縁性を向上できる。また、連結部の長手方向が実装面に対して略水平である構成と比較して、実装面上の占有面積を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係るコイル装置を示す分解斜視図である。
【
図2A】本発明の一実施形態に係るコイル装置を示す図であり、被覆部を除外したコイル装置を示す斜視図である。
【
図2B】本発明の一実施形態に係るコイル装置を示す図であり、被覆部を除外したコイル装置を示す斜視図である。
【
図3A】本発明の一実施形態に係るコイル装置の被覆部を示す斜視図である。
【
図3B】本発明の一実施形態に係るコイル装置の被覆部を示す斜視図である。
【
図4A】本発明の一実施形態に係るコイル装置を示す斜視図である。
【
図4B】本発明の一実施形態に係るコイル装置を示す斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るコイル装置を示す断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るコイル装置において、巻回部に被覆部を装着する状態を示す斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るコイル装置において、巻回部に被覆部を装着した状態を示す斜視図である。
【
図8】本発明の他実施形態に係るコイル装置において、巻回部に熱収縮チューブを装着する状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態のコイル装置10を図面に基づき詳細に説明する。以下の説明では、同一の部材には原則的に同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。また、以下の説明では上下前後左右の各方向を用いてコイル装置10を説明する。上方とは、後述する実装面14に対してコイル装置10が実装される方向である。下方とは、上方の反対方向である。前後とは、後述する第1コア部131および第2コア部132が配列する方向である。左右とは、前方からコイル装置10を見た場合の方向である。
【0020】
図1は、コイル装置10を示す分解斜視図である。
図1では、第1コア部131および第2コア部132を、ボビン部11から前後方向に離して示す。更に、
図1では、巻線部121および被覆部16を、ボビン部11から上方に離して示す。
【0021】
コイル装置10は、ボビン部11と、コイル部12と、コア部13と、被覆部16と、を主要に具備する。コイル装置10は、例えば、トランス、ラインフィルタ、ノイズフィルタ等として用いられる。コイル装置10は、例えば実装基板である実装面14に対して実装される実装部品である。コイル装置10の実装構造としては、差込または半田溶着等を採用することができる。
【0022】
ボビン部11は、巻枠部111と、端子台部112と、を主要に有する。巻枠部111は、ボビン部11の上方部分であり、端子台部112はボビン部11の下方部分である。ボビン部11は、コイル装置10を構成する部品が組み付けられる本体部と見做すこともできる。ボビン部11は、射出成形された合成樹脂等の絶縁材料から成る。
【0023】
コイル部12は、ボビン部11に巻き付けられる導線から成る。コイル部12は、巻回部1111に巻回される部分により、巻線部121を構成する。
【0024】
巻枠部111は、巻回部1111と、鍔部1112と、顎部1113と、を主要に有する。巻枠部111は、巻線部121を所定形状、例えば略直方体形状に巻回成形して保持するための部位である。更に、巻枠部111には、コア部13を組み付けるための空洞部113が形成される。
【0025】
巻回部1111は、略直方体形状を呈する部位である。コイル部12の巻線部121を構成する導線は、巻回部1111に角形状となるように巻き付けられる。
【0026】
鍔部1112は、巻回部1111の両端側、即ち前端部および後端部に配設される。鍔部1112は、巻回部1111の前端部および後端部を、左方、上方および右方に向かって壁状に突出させた部位である。前方から見た場合、鍔部1112は、略矩形状を呈する。また、鍔部1112の下方は、端子台部112に接している。
【0027】
顎部1113は、鍔部1112の端部から成る部位である。具体的には、顎部1113は、鍔部1112の下方端部を顎形状とした部位であり、鍔部1112の左方下端および右方下端に形成される。顎部1113は、鍔部1112と端子台部112との境界近傍に配設される。顎部1113を前方から見た場合、顎部1113は略直角を呈する。各々の鍔部1112に、2つの顎部1113が配設される。よって、コイル装置10は、合計で4つの顎部1113を有する。左右方向において、顎部1113は、当該顎部1113が接している端子台部112よりも外側に突出する。顎部1113が外側に向かって突出するように構成されることにより、後述するように、顎部1113が被覆部16の下端部を係止することができ、被覆部16が巻枠部111から外れることを防止できる。更には、コイル部12の巻線部121を、被覆部16により全体的に被覆できる。
【0028】
端子台部112は、巻枠部111の下端から、下側前方および下側後方に向かって伸びる台状の部位である。端子台部112は、コイル装置10が実装面14に実装される際に、コイル装置10全体を支える支持部である。
【0029】
端子部15は、端子台部112に埋設される銅などの導電部材からから成る。端子部15は、下方端子部151と、側方端子部152とを有する。
【0030】
下方端子部151は、端子台部112の下面から下方に向かって伸び、コイル装置10の外部接続端子として機能する。下方端子部151は、コイル部12を構成する導線と電気的に接続される。コイル装置10が実装面14に実装される際、下方端子部151は、実装面14の孔部に挿入される。または、下方端子部151は、実装面14の上面に半田等を用いて面実装される。
【0031】
側方端子部152は、端子台部112の右側面および左側面から、側方に向かって突出する。側方端子部152は、例えば、テスト用の端子である。側方端子部152は、端子台部112の内部を経由して下方端子部151と電気的に繋がっている。よって、側方端子部152は、巻線部121と絶縁される必要がある。本実施形態では、側方端子部152と巻線部121との間に、顎部1113を設け、顎部1113に被覆部16の下端を係止する。よって、巻線部121と側方端子部152とは、被覆部16により絶縁される。
【0032】
空洞部113は、ボビン部11に形成された空洞である。具体的には、空洞部113は、ボビン部11の内部に前後方向に向かって貫通する空洞である。空洞部113には、後述するコア部13が部分的に収納される。空洞部113は、第1空洞部1131および第2空洞部1132を有する。
【0033】
第1空洞部1131は、巻回部1111および鍔部1112を貫通する空洞である。第1空洞部1131は、略直方体形状を呈する空洞である。
【0034】
第2空洞部1132は、端子台部112の上方部分を前後方向に貫通する空洞である。第2空洞部1132は、略直方体形状を呈する。第2空洞部1132は、前方側の端子台部112、および、後方側の端子台部112の何れにも形成される。
【0035】
コア部13は、巻枠部111の近傍に、所定の磁気回路を形成するように配設される。コア部13の材料としては、アモルファス合金、けい素鋼板、フェライト等の磁性体を採用することができる。コア部13は、第1コア部131および第2コア部132を有する。
【0036】
第1コア部131は、巻枠部111の前方側に配設され、側脚部1311、中脚部1312、側脚部1313および第1連結部1314を有する。側脚部1311、中脚部1312および側脚部1313は、前後方向に沿って伸びる部位である。第1連結部1314は、実装面14に対して垂直な上下方向に沿って伸び、側脚部1311、中脚部1312および側脚部1313の前端部を連結する。側脚部1311は、巻回部1111および後述する巻線部121の上方側に配置される。中脚部1312は、第1空洞部1131の内部に配置される。側脚部1313は、前方側の第2空洞部1132から後方に向かって挿入され、巻回部1111および後述する巻線部121の下方に配置される。
【0037】
第2コア部132は、巻枠部111の後方側に配設され、側脚部1321、中脚部1322、側脚部1323および第2連結部1324を有する。側脚部1321、中脚部1322および側脚部1323は、前後方向に沿って伸びる部位である。第2連結部1324は、実装面14に対して垂直な上下方向に沿って伸び、側脚部1321、中脚部1322および側脚部1323の後端部を連結する。側脚部1321は、巻回部1111および後述する巻線部121の上方側に配置される。中脚部1322は、第1空洞部1131の内部に配置される。側脚部1323は、後方側の第2空洞部1132から前方側に挿入され、巻回部1111および後述する巻線部121の下方に配置される。
【0038】
本実施形態によれば、巻枠部111の上方に、第1コア部131の側脚部1311、および、第2コア部132の側脚部1321が配される構成となるため、上方に対する絶縁性を向上できる。また、第1連結部1314および第2連結部1324の長手方向が実装面14に対して略水平である構成と比較して、実装面14においてコイル装置10が占有する面積を小さくすることができる。
【0039】
第1コア部131の側脚部1311、中脚部1312および側脚部1313の後端部は、第2コア部132の側脚部1321、中脚部1322および側脚部1323の前端部に対して、接近または当接する。これにより、巻線部121の周囲に所定の磁気回路を形成することが出来る。
【0040】
図2Aは、被覆部16を除外したコイル装置10を上方から見た斜視図である。
図2Bは、被覆部16を除外したコイル装置10を下方から見た斜視図である。
【0041】
図2Aおよび
図2Bを参照して、前述したボビン部11の巻回部1111には、コイル部12の巻線部121が巻回される。前述した巻回部1111は、略直方体形状であることから、巻線部121の形状も略直方体形状を呈する。巻線部121から伸びる導線は、端子台部112の下面に形成された下方端子部151と接続される。巻線部121は、前述した被覆部16により被覆されることにより外部との絶縁が確保される。
【0042】
図3Aは、被覆部16を上方から見た斜視図である。
図3Bは、被覆部16を下方から見た斜視図である。
【0043】
図3Aおよび
図3Bを参照して、被覆部16は、加熱することで熱収縮する樹脂膜等から成る部材である。また、被覆部16は、上面部161、側面部162、下面部163、上開口部164および下開口部165を有する。概略的には、被覆部16は、上部と下部が開口する略筒状の樹脂膜部材である。
【0044】
上面部161は、被覆部16の上面において、左方部分および右方部分に配設される。上面部161は、前述したコア部13等を上方から被覆する。
【0045】
側面部162は、筒状の部位を形成する。側面部162は、前述した第1コア部131、第2コア部132、鍔部1112の外側面を被覆する。
【0046】
下面部163は、側面部162の下端から内側に向かって伸びる部位である。下面部163は、前述した顎部1113に係合する。
【0047】
上開口部164は、被覆部16の上面に形成された開口である。
【0048】
下開口部165は、被覆部16の下面に形成された開口である。前述したボビン部11の上方部分は、下開口部165から被覆部16の内部に挿入される。
【0049】
図4Aは、コイル装置10を上方から見た斜視図である。
図4Bは、コイル装置10を下方から見た斜視図である。
図4Aおよび
図4Bでは、被覆部16を熱収縮させた後のコイル装置10を示している。また、熱収縮後の被覆部16により被覆される部分のコイル装置10の各部を点線で示す。
【0050】
図4Aおよび
図4Bを参照して、被覆部16は、巻枠部111、巻線部121およびコア部13を被覆する。被覆部16は、コア部13および巻枠部111の外面に密着する。被覆部16が巻線部121を被覆することで、巻線部121の絶縁性が確保される。被覆部16がコア部13を被覆することで、第1コア部131と第2コア部132とを密着した状態で固定し、両者が分離することを防止できる。
【0051】
図5は、前述した
図4AのA-A切断面線に於ける切断図である。
【0052】
図5を参照して、被覆部16の上面部161は、鍔部1112の上端および側脚部1311を被覆する。巻線部121が被覆部16の上面部161とコア部13の側脚部1311、1321で被覆されることで、巻線部121の上方に対する絶縁性が高まる。また、被覆部16の側面部162は、鍔部1112の側面を被覆する。更に、被覆部16の下面部163は、顎部1113の下面を被覆する。係る構成により、被覆部16の下端は、鍔部1112の顎部1113に係止される。よって、コイル装置10の実装段階および使用段階に於いて、被覆部16がボビン部11から離脱することが防止される。
【0053】
図6は、コイル装置10の製造工程において、ボビン部11に被覆部16を装着する状態を示す斜視図である。
図7は、コイル装置10の製造工程において、被覆部16が装着されたボビン部11を示す斜視図である。
【0054】
図6を参照して、本実施形態では、ボビン部11の巻回部1111に巻線部121を巻回し、ボビン部11に第1コア部131および第2コア部132を組み込む。この状態で、ボビン部11に、被覆部16を上方から被せる。
【0055】
図7に、ボビン部11に被覆部16を被せた状態を示す。この状態で、被覆部16を加熱する。そうすると、被覆部16が加熱収縮し、
図4Aおよび
図4Bに示した状態となる。即ち、被覆部16が、巻枠部111、巻線部121およびコア部13の外面に密着する。更に、
図5に示したように、鍔部1112の顎部1113に、被覆部16の下面部163が確実に係止される。
【0056】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更が可能である。また、前述した各形態は相互に組み合わせることが可能である。
【0057】
前述した実施形態例では、上面部161および下面部163を有する樹脂膜を被覆部16としていたが、これに限られない。上面部および下面部を有さない筒状の熱収縮チューブを、被覆部16とした構成としてもよい。
【0058】
図8を参照して、他形態として、熱収縮チューブ17を採用したコイル装置10の構成等を説明する。熱収縮チューブ17は、加熱により収縮する合成樹脂膜を、略筒形状に成形したものである。熱収縮チューブ17は、コア部13および巻枠部111を周囲から囲い込むことを可能とする大きさである。ここでのコイル装置10を製造する際には、先ず、ボビン部11の巻回部1111に巻線部121を巻回し、ボビン部11に第1コア部131および第2コア部132を組み込む。次に、ボビン部11に、熱収縮チューブ17の下端が、端子台部112の上面に当接するように、熱収縮チューブ17を上方から被せる。このようにすることで、熱収縮チューブ17の上下方向の位置決めが容易に行える。
【0059】
この状態で、熱収縮チューブ17を加熱する。そうすると、熱収縮チューブ17が加熱収縮し、
図4Aおよび
図4Bに示した被覆部16の状態となる。即ち、熱収縮チューブ17が、巻枠部111、巻線部121およびコア部13の外面に、被覆部16として密着する。更に、
図5に示したように、鍔部1112の顎部1113に、熱収縮チューブ17の下端部が、被覆部16の下面部163として確実に係止される。
【符号の説明】
【0060】
10…コイル装置、 11…ボビン部、 111…巻枠部、 1111…巻回部、 1112…鍔部、 1113…顎部、 112…端子台部、 113…空洞部、 1131…第1空洞部、 1132…第2空洞部、 12…コイル部、 121…巻線部、 13…コア部、 131…第1コア部、 1311…側脚部、 1312…中脚部、 1313…側脚部、 1314…第1連結部、 132…第2コア部、 1321…側脚部、 1322…中脚部、 1323…側脚部、 1324…第2連結部、 14…実装面、 15…端子部、 151…下方端子部、 152…側方端子部、 16…被覆部、 161…上面部、 162…側面部、 163…下面部、 164…上開口部、 165…下開口部、 17…熱収縮チューブ