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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112554
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】表示機、信号機
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/095 20060101AFI20240814BHJP
   E01F 9/00 20160101ALI20240814BHJP
【FI】
G08G1/095 D
E01F9/00
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017675
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】598090184
【氏名又は名称】常盤電業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】599161616
【氏名又は名称】小林 保正
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】小林 保正
【テーマコード(参考)】
2D064
5H181
【Fターム(参考)】
2D064AA11
2D064AA22
2D064BA01
2D064DA11
2D064EA01
2D064HA01
5H181GG13
(57)【要約】
【課題】 効率よく着雪の成長を抑制することが可能な表示機及び信号機を提供する。
【解決手段】 複数の光源配設部3は、所定の間隔をあけて互いに略平行に配置される。表示機1(光源配設部3)の後方には、光源配設部3の長手方向に対して直交するように回転軸15が水平方向に配置される。回転軸15には、複数の掻き出し部材17が固定される。回転軸15は、駆動部21によって回転可能である。駆動部21によって回転軸15を回転させると、回転軸15とともに、掻き出し部材17が回転動作する。この際、隣り合う光源配設部3の隙間19に存在している除去対象物23(雪や枯葉等の異物など)が掻き出し部材17によって掻き出されて除去される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源が併設された光源配設部と、
複数の前記光源配設部を、所定の間隔をあけて連結する連結部と、
隣り合う前記光源配設部の隙間の詰まりを除去する掻き出し部材と、
前記掻き出し部材を隣り合う前記光源配設部の隙間において移動させる駆動部と、
を具備し、
前方からの風雪が、隣り合う前記光源配設部の間の隙間から後方に抜けることが可能であり、前記駆動部によって前記掻き出し部材を動作させ、隣り合う前記光源配設部の間の隙間の除去対象物を除去可能であることを特徴とする表示機。
【請求項2】
前記光源配設部の後方において、複数の前記掻き出し部材が固定された回転軸を有し、
前記駆動部は、前記回転軸を回転させることで、それぞれの前記掻き出し部材を隣り合う前記光源配設部の間の隙間に沿って回転させることが可能であることを特徴とする請求項1記載の表示機。
【請求項3】
前記駆動部は、掻き出し動作を停止する際に、前記掻き出し部材が隣り合う前記光源配設部の間の隙間から後方に退避した位置で前記回転軸を停止させることを特徴とする請求項2記載の表示機。
【請求項4】
前記回転軸が複数配置され、それぞれの前記回転軸に固定された前記掻き出し部材は、前記光源配設部の異なる部位に対して前記除去対象物を除去可能であることを特徴とする請求項2に記載の表示機。
【請求項5】
前記駆動部は、複数の前記掻き出し部材が固定された固定部材を、隣り合う前記光源配設部の間の隙間に沿って往復動作させることが可能であることを特徴とする請求項1記載の表示機。
【請求項6】
前記掻き出し部材は、前記除去対象物に対する抵抗によって、弾性変形可能な弾性部材で構成されることを特徴とする請求項1記載の表示機。
【請求項7】
複数の前記光源配設部は、水平方向に向けて配置され、
前記掻き出し部材は、隣り合う前記光源配設部の間と、前記表示機の下方に付着する氷柱又は水滴を除去することが可能であることを特徴とする請求項1記載の表示機。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかの表示機を用いた信号機であって、
略矩形に配置された複数の前記光源配設部において、前記光源が、正面視で略円形となるように配置されていることを特徴とする信号機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に雪国において、着雪を防止することが可能な交通用信号機などの表示機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境の変化に伴い、冬季における強風下の多量な降雪による被害が問題となっている。豪雪は、道路交通の障害物となるばかりではなく、暴風雪により交通信号機のランプなどに着雪することで、交通信号色の発光を遮り、交通信号機を視認することができない事態をまねく。このため、交通信号機などの表示機の着雪対策が望まれる。
【0003】
このような、着雪対策としては、信号機を覆うようなフードやカバーを設ける方法がある(例えば特許文献1、特許文献2)。
【0004】
また、発熱体を用いて、着雪を融解する方法がある(例えば特許文献3、特許文献4)。
【0005】
しかし、特許文献1や特許文献2のように、大掛かりなフード等を設ける方法は、着雪が起こりにくくなるとしても、一度着雪が起こると、着雪部が成長し、信号機の視認性を妨げることとなる。
【0006】
また、特許文献3のように、熱源として赤外線を用いる場合、電気エネルギーを光に変換するため、変換と吸収に係る効率が悪く、発光面の着雪を除去する十分な熱量を得るには、極めて多量の電気エネルギーを要する困難さがある。
【0007】
また、特許文献4は、カバーを設けて、熱源となる光を吸収して発熱させる暗色部を形成するものであるが、光をエネルギー伝達手段に用いる場合の効率の悪さ、およびこのような物を被せることにより通常時において信号機の視認性の妨げとなるという問題がある。
【0008】
これに対し、複数の光源配設部を、所定の間隔をあけて配置し、前方からの風雪が、隣り合う光源配設部の間の隙間から後方に抜けるようにした表示機が提案されている(特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008-305025号公報
【特許文献2】実開2009-190554号公報
【特許文献3】実用新案登録第3161877号公報
【特許文献4】特開2012-108861号公報
【特許文献5】特開2021-26658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献5によれば、前方からの風雪が隣り合う光源配設部の間の隙間から後方に通り抜けるため、光源配設部の隙間を適切に設定することで、光源配設部の前面への着雪を抑制することができる。しかし、風の強さや向き、雪片の大きさや水分量など様々な要因で着雪形態は変化する。このため、あらゆる条件で着雪を完全に抑制するには、過剰に光源配設部の間隔を広くする必要があるが、この場合には通常時における視認性の低下にもつながる。
【0011】
これに対し、発明者は、隣り合う光源配設部の隙間の一部に雪が詰まると、この部位を基点として着雪が成長することに着目した。すなわち、隣り合う光源配設部の隙間が十分であれば、着雪を抑制することが可能であるが、何らかの原因で隙間の一部に雪が埋まると、この部位を基点に着雪が成長して、着雪領域拡大の恐れがある。
【0012】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、より効率よく着雪の成長を抑制することが可能な表示機及び信号機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述した目的を達するために第1の発明は、光源が併設された光源配設部と、複数の前記光源配設部を、所定の間隔をあけて連結する連結部と、隣り合う前記光源配設部の隙間の詰まりを除去する掻き出し部材と、前記掻き出し部材を隣り合う前記光源配設部の隙間において移動させる駆動部と、を具備し、前方からの風雪が、隣り合う前記光源配設部の間の隙間から後方に通り抜けることが可能であり、前記駆動部によって前記掻き出し部材を動作させ、隣り合う前記光源配設部の間の隙間の除去対象物を除去可能であることを特徴とする表示機である。
【0014】
前記光源配設部の後方において、複数の前記掻き出し部材が固定された回転軸を有し、前記駆動部は、前記回転軸を回転させることで、それぞれの前記掻き出し部材を隣り合う前記光源配設部の間の隙間に沿って回転させることが可能であってもよい。
【0015】
前記駆動部は、掻き出し動作を停止する際に、前記掻き出し部材が隣り合う前記光源配設部の間の隙間から後方に退避した位置で前記回転軸を停止させることが望ましい。
【0016】
前記回転軸が複数配置され、それぞれの前記回転軸に固定された前記掻き出し部材は、前記光源配設部の異なる部位に対して前記除去対象物を除去可能であってもよい。
【0017】
前記駆動部は、複数の前記掻き出し部材が固定された固定部材を、隣り合う前記光源配設部の間の隙間に沿って往復動作させてもよい。
【0018】
前記掻き出し部材は、前記除去対象物に対する抵抗によって、弾性変形可能な弾性部材で構成されることが望ましい。
【0019】
複数の前記光源配設部は、水平方向に向けて配置され、前記掻き出し部材は、隣り合う前記光源配設部の間と、前記表示機の下方に付着する氷柱又は水滴を除去することが可能であってもよい。
【0020】
第1の発明によれば、複数の隣り合う光源配設部の間に隙間が形成され、この隙間を風が通過可能であるため、光源配設部の前方での風の流れのよどみが抑制され、光源配設部の前面への着雪を抑制することができる。この際、何らかの原因で隙間に着雪等が生じた場合でも、補助的に掻き出し部材を動作させて隣り合う光源配設部の隙間の詰まりを除去することが可能であるため、隙間が埋まることがなく、着雪の成長を抑制することができる。
【0021】
また、掻き出し部材を回転させることで、簡易な構造で隣り合う光源配設部の隙間の詰まりを除去することができる。
【0022】
この場合において、掻き出し部材の回転を停止する際に、掻き出し部材が隣り合う光源配設部の隙間から前方に突出しないようにすることで、掻き出し部材によって隙間が塞がれることがなく、また、掻き出し部材自体への着雪を抑制することができる。
【0023】
また、複数の回転軸で掻き出し部材を回転させることで、掻き出し部材の長さを短くしても、全範囲の掻き出しを行うことができる。
【0024】
また、掻き出し部材を回転ではなく往復動作させても同様の効果を得ることができる。
【0025】
また、掻き出し部を弾性変形可能な弾性部材で構成することで、除去対象物の抵抗が大きい場合に、回転や往復動作が止められてしまうことがなく、除去動作を継続することができる。
【0026】
また、複数の光源配設部を水平方向に向けて配置した場合において、掻き出し部材によって、表示機の下方に付着する氷柱又は水滴を除去することで、氷柱の発生及び成長を抑制することができる。
【0027】
第2の発明は、第1の発明にかかる表示機を用いた信号機であって、略矩形に配置された複数の前記光源配設部において、前記光源が、正面視で略円形となるように配置されていることを特徴とする信号機である。
【0028】
第2の発明によれば、視認性に優れた信号機を得ることができる。この際、信号機のライトとなる円形部以外を遮光するパネル等を用いずに、光源の配置によって信号機の発光部を略円形とすることで、風の流れを妨げることがない。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、効率よく着雪の成長を抑制することが可能な表示機及び信号機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】(a)は、表示機1を示す正面図、(b)は、表示機1を示す断面図であって、(a)のB-B線断面図。
図2】(a)~(c)は、掻き出し部材17の動作を示す図。
図3】(a)~(c)は、掻き出し部材17の動作を示す図。
図4】回転軸15を複数配置した表示機1aを示す図。
図5】(a)~(c)は、表示機1bにおける掻き出し部材17の動作を示す背面図。
図6】(a)~(c)は、表示機1bにおける掻き出し部材17の動作を示す断面図。
図7】(a)は、表示機1cを示す図、(b)は、表示機1dを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら、本発明の第1の実施形態について説明する。図1(a)は、表示機1を示す正面図、図1(b)は、表示機1を示す断面図であって、図1(a)のB-B線断面図である。なお、図示した例では、後方の遮光部材等の図示を省略する。また、以下の説明では、表示機1が横に3つ連なった交通用の信号機である例を説明するが、本発明の表示機1は、縦に連結されてもよく、又は2連の信号機としてもよい。また、表示機1は、信号機以外にも、交通情報や警報、標識、その他情報などを表示する表示機として利用可能である。
【0032】
表示機1は、主に、光源配設部3、光源5、枠部7、掻き出し部材17等から構成される。光源配設部3には、複数の光源5が長手方向に併設される。光源5は、例えばLED光源である。なお、図示した例では、それぞれの光源配設部3において、光源5が一列に配置される例を示すが、2列以上に配置してもよい。但し、光源配設部3の幅が広くなると、着雪量が多くなりうるため、光源配設部3の幅は狭い方がよい。
【0033】
複数の光源配設部3は、所定の間隔をあけて互いに略平行に配置される。図示した例では、複数の光源配設部3は、鉛直方向に向けて縦格子状に配置される。枠部7は、少なくとも光源配設部3の上部と下部とで、複数の光源配設部3を支持する連結部となる。このように、複数の隣り合う光源配設部3の間に隙間が形成されることで、前方からの風が、隣り合う光源配設部3の間の隙間から後方へ通り抜けることが可能である。なお、隣り合う光源配設部3の間に隙間が形成されるとは、隣り合う光源配設部3の間に風が通過可能な意図的な空間を有することを意味する。
【0034】
それぞれの光源配設部3には、複数の光源5が配設される。なお、略同一の長さの光源配設部3が所定の間隔で配置されるため、光源5を設置可能となる発光領域は略矩形となる。このように略矩形に配置された複数の光源配設部3において、光源5は、正面視で略円形となるように配置される(図中A)。このようにすることで、略円形に発光させて、円形の光として認識することができる。
【0035】
なお、円形の発光部以外を遮蔽板などで覆う方法もあるが、このようにすると、遮蔽板によって隣り合う光源配設部3の隙間を埋めることとなる。このため、遮蔽板によって、隣り合う光源配設部3の間の流体(風)の流れが妨げられる。このため、光源配設部3の一部を塞ぐのではなく、光源配設部3における光源5の配置によって略円形の発光領域を形成することが望ましい。
【0036】
なお、図1(b)に示すように、光源配設部3における光源5の発光面側には、光源5を保護する透明カバー9が配置される。透明カバー9は、光源配設部3の長手方向に垂直な断面において、前方に向けてなだらかな凸形状とすることが望ましい。
【0037】
特許文献5と同様に、本実施形態では、発光面に対して、複数の光源配設部3が設置され、隣り合う光源配設部3の間に隙間が形成される。このため、個々の光源配設部3の幅は、発光面全体に対して小さく、着雪範囲が狭い。また、透明カバー9の前方をなだらかな凸形状とすることで、風はなだらかに(大きな乱流を形成せずに)光源配設部3の後方へ流れる。このため、よどみ点領域を小さくすることができる。この結果、風と共に流れる雪片は、光源配設部3のよどみ点近傍にわずかに着雪しても、その後は風と共に後方に流れ、着雪が大きく成長することを抑制することができる。
【0038】
表示機1(光源配設部3)の後方には、光源配設部3の長手方向に対して直交するように回転軸15が水平方向に配置される。回転軸15は、例えば両端が枠部7に軸受け等を介して固定される。回転軸15には、複数の掻き出し部材17が固定される。掻き出し部材17は、隣り合う光源配設部3の隙間に対応した部位に配置される。
【0039】
なお、通常の状態において、掻き出し部材17と光源配設部3との間には隙間が形成される。すなわち、掻き出し部材17によって、隣り合う光源配設部3の隙間19が塞がれることがなく、風雪が後方に抜ける際の大きな妨げとならない程度に、掻き出し部材17(回転軸15)は、光源配設部3の後方に多少の間隔をあけて配置される。
【0040】
回転軸15は、駆動部21によって回転可能である。駆動部21は、枠部7に固定され、回転力をベルトによって回転軸15に伝達することが可能である。なお、駆動部21の配置や駆動部21から回転軸15への動力伝達構造は図示した構造には限られない。駆動部21によって回転軸15を回転させることで、それぞれの掻き出し部材17を隣り合う光源配設部3の間の隙間に沿って回転移動させることが可能である。この際、隣り合う光源配設部3の間に何らかの詰まりがある場合には、掻き出し部材17の回転移動によって、隣り合う光源配設部3の隙間の詰まりを除去することができる。
【0041】
次に、掻き出し部材17の動作について詳細に説明する。図2(a)~図2(c)は、掻き出し部材17の動作(回転軸15の回転動作)を示す図である。なお、駆動部21や、回転軸15の軸受け等の図示を省略する。
【0042】
図示した例では、回転軸15は、表示機1の高さ方向の略中央に配置され、回転軸15に対して、互いに逆方向(図中上下方向)にそれぞれ掻き出し部材17が配置される。すなわち、それぞれの掻き出し部材17は、光源配設部3の長さの約1/2となる。
【0043】
図2(a)に示す状態から、駆動部21によって回転軸15を回転させると、図2(b)~図2(c)に示すように、回転軸15とともに、掻き出し部材17が回転動作する(図中D方向)。この際、隣り合う光源配設部3の隙間19に存在している除去対象物23(雪や枯葉等の異物)が掻き出し部材17によって掻き出されて除去される。
【0044】
なお、回転軸15の回転方向は、掻き出し部材17が、隙間19を上方から下方に向けて回転移動(図中反時計回り)するように設定される。このようにすることで、効率よく除去対象物23を表示機1の下方に向けて掻き出して除去することができる。
【0045】
なお、駆動部21は、常時回転軸15を回転させてもよいが、間欠的に動作させてもよい。例えば、タイマーによって夜間や昼間の所定の時間のみ動作させてもよく、気温や天候をセンサ等で検知して、所定条件において動作させてもよい。また、隣り合う光源配設部3の隙間に異物があることをセンサで検知してもよい。また、例えば高速道路等の料金所の信号などのように、管理者がいる場合には、手動で駆動部21の動作を行ってもよい。
【0046】
なお、回転軸15の回転位置を検知可能な位置センサを設けておき、駆動部21が停止する際には、常に一定の位置で回転軸を停止することが望ましい。例えば、図2(a)に示すように、駆動部21は、掻き出し部材17の回転動作を停止する際に、掻き出し部材17が隣り合う光源配設部3の間の隙間から後方に退避した位置(図中、掻き出し部材17が鉛直方向に向いた位置)で回転軸15を停止させる。このようにすることで、掻き出し部材17が光源配設部3の前方に突出した状態で停止することがなく、視認性の妨げとなることがなく、掻き出し部材17自体への着雪等を抑制することができる。
【0047】
図3(a)~図3(c)は、同様に掻き出し部材17の動作を示す図であるが、除去対象物23が光源配設部3の隙間19から掻き出せない場合を示す図である。例えば、除去対象物23が光源配設部3の隙間に挟まっている状態や、光源配設部3に凍り付いているなどの場合である。
【0048】
このような場合において、掻き出し部材17の剛性が高いと、除去対象物23によって掻き出し部材17が引っ掛かり、それ以上の回転が不可能となる。したがって、掻き出し部材17の効果を得ることができなくなる。
【0049】
これに対して、本実施形態では、掻き出し部材17が、除去対象物23に対する抵抗によって弾性変形可能な弾性部材で構成される。このため、除去対象物23が動かない場合でも、掻き出し部材17の回転を継続することができる。このようにすることで、例えば、除去対象物23を少しずつ削り取りながら掻き出すことが可能であり、繰り返しの力によって除去対象物23を少しずつ除去することも可能である。また、回転が継続されるため、少なくともそれ以上の除去対象物23の成長を抑制することができる。なお、このような掻き出し部材17としては、例えば軟質樹脂などを適用可能である。
【0050】
以上、本実施の形態によれば、光源5が配置される隣り合う光源配設部3の間を、風雪が吹き抜ける構造としたため、光源配設部3の前方に吹付けられる風から受ける動圧を大幅に減らすことができる。このため、光源配設部3の発光面への着雪を大幅に減少することができる。また、仮に隣り合う光源配設部3の隙間に着雪等が生じても、補助的に掻き出し部材17の動作させることで、除去対象物23を容易に除去することができる。
【0051】
また、掻き出し部材17が柔軟な弾性部材で構成されるため、除去対象物23の抵抗によって掻き出し部材17の回転動作が止められることなく回転を継続させることができる。
【0052】
また、回転を停止した際には、掻き出し部材17が光源配設部3の後方に退避した状態で停止するため、掻き出し部材17が表示機1の前方に突出した状態で停止することが無い。このため、掻き出し部材17によって視認性が低下することがなく、掻き出し部材17への着雪等も抑制することができる。
【0053】
次に、第2の実施形態について説明する。図4は、第2の実施形態に係る表示機1aの形態を示す図である。なお、以下の説明において、第1の実施形態と同様の機能等を有する構成については、図1図3と同様の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0054】
第2の実施形態は、第1の実施形態と略同様の構成であるが、回転軸15が複数配置される点で異なる。本実施形態では、3本の回転軸15が略平行に併設される。すなわち、それぞれの掻き出し部材17の長さは、光源配設部3の長さの約1/6程度となる。すなわち、それぞれの掻き出し部材17の長さを短くすることができる。
【0055】
回転軸15を回転させると、それぞれの回転軸15に固定された掻き出し部材17は、光源配設部3の異なる部位に対して除去対象物23(図示せず)を除去可能である。すなわち、複数の回転軸15を用い、掻き出し部材17を分割することで、短い掻き出し部材17であっても、表示機1aの全面に対して、除去対象物23を除去することができる。
【0056】
なお、表示機1aは、遮光部材13が複数段に配置される。前述したように、隣り合う光源配設部3の間には隙間が形成されるため、表示機の前方から、後方の風景や、後方からの太陽光などを視認することが可能となる。このため、表示機の前方における発光部の視認性が阻害される恐れがある。これに対し。遮光部材13を配置することで、表示機1aの後方からの光等が遮蔽され、光源配設部3の各光源5の光の視認性を高めることができる。
【0057】
また、遮光部材13は隙間を開けて配置され、隣り合う光源配設部3の間を通り向けた風を、そのまま表示機1aの後方に流すことができる。このため、後方からの光等を遮光しても、風の流れを阻害することがない。このため、光源配設部3の前面への着雪を抑制することができる。
【0058】
このような遮光部材13を配置した場合においても、掻き出し部材17の長さを短くすることで、掻き出し部材17と遮光部材13とが干渉することがなく、表示機1aを小型化することができる。
【0059】
なお、回転軸15を複数配置する際には、表示機1aの略中央における除去対象物23を効率よく除去することができるように、回転軸15を奇数本とすることが望ましい。このようにすることで、少なくとも1本の回転軸15を、表示機1aの高さ方向の略中央に配置することができる。
【0060】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また回転軸15を複数配置して、掻き出し部材17を分割して配置することで、個々の掻き出し部材17の長さを短くすることができる。
【0061】
次に、第3の実施形態について説明する。図5(a)~図5(c)は、表示機1bの動作を示す背面図であり、図6(a)~図6(c)は、各工程における断面図である。表示機1bは、表示機1と略同様の構造であるが、回転軸15に代えて、固定部材27等が用いられる点で異なる。
【0062】
表示機1bの背面には、取付け部29によって駆動部21aが固定される。取付け部29は、表示機1bの上下にまたがる様に配置される。駆動部21aにはリンク33が取り付けられる。リンク33には長手方向に沿って長穴35が設けられる。
【0063】
表示機1bの両側部には、上下方向にガイド25がそれぞれ設けられる。両方のガイド25にまたがる様にして固定部材27が配置される。固定部材27は、ガイド25に沿って上下に移動可能である。
【0064】
固定部材27の後部にはピン31が設けられる。リンク33の長穴35にはピンが嵌合する。この状態で、駆動部21aを稼働すると、リンク33は図5(a)~図5(c)のように、回転動作する。この際、リンク33の長穴35には固定部材27のピン31が嵌合するため、リンク33の回転動作に応じて固定部材27が上方から下方へ移動する。
【0065】
駆動部21aは、リンク33を所定の回転範囲で往復動作させることが可能である。すなわち、駆動部21aは、リンク33を所定の角度だけ回転させると、回転方向を反転させて、リンク33を逆回転させる。駆動部21aは、この動作を繰り返す。すなわち、リンク33の回転動作に伴い、固定部材27が、図5(a)→図5(b)→図5(c)→図5(b)→図5(a)と上下に往復移動を繰り返す。
【0066】
固定部材27の前面側には掻き出し部材17が固定される。掻き出し部材17は、隣り合う光源配設部3の隙間19に対応した部位に配置され、一部が隙間19に挿入される。このように、駆動部21aは、固定部材27に固定された複数の掻き出し部材17を、隣り合う光源配設部3の間の隙間19に沿って往復移動させることが可能である。
【0067】
図6(a)~図6(c)に示すように、隣り合う光源配設部3の間に除去対象物23が存在する場合において、掻き出し部材17を隙間19に沿って上方から下方に向けて移動させることで、隙間19にある除去対象物23を除去することができる。なお、駆動部21aも駆動部21と同様に、常時動作させてもよく、所定の条件で動作させてもよい。また、センサ等によって、駆動部21aの動作を停止する際には、固定部材27が上端に位置した状態で停止する。すなわち、固定部材27が上端に位置した状態が待機状態となる。
【0068】
以上、第3の実施の形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。このように、掻き出し部材17の動作は、回転動作に限られず、往復動作など、隣り合う光源配設部3の隙間19に沿って移動可能であれば、その態様は特に限定されない。
【0069】
次に、第4の実施形態について説明する。図7(a)は、表示機1cを示す正面図である。表示機1cは、表示機1と略同様の構造であるが、光源配設部3の配置方向が異なる。表示機1cは、複数の光源配設部3は、水平方向に向けて横格子状に配置される。
【0070】
このため、回転軸15は、光源配設部3と直交するように鉛直方向に配置される。図示した例では、3本の回転軸15が配置され、それぞれの回転軸15に掻き出し部材17が固定される。このため、回転軸15を回転させると、掻き出し部材17は、隣り合う光源配設部3の隙間に沿って回転移動して、隙間19の除去対象物23(図示せず)を除去することができる。
【0071】
また、表示機1cでは、回転軸15は、表示機1cの下方に突出する。また、回転軸15の下端近傍にも、掻き出し部材17が固定される。すなわち、最下段の掻き出し部材17は、隣り合う光源配設部3の隙間19ではなく、表示機1c(枠部7)の下方に配置される。
【0072】
表示機1cの下方(枠部7の下方)には、雨水や溶けた雪が流れて水滴となって付着する場合がある。このような水滴は夜間などの低温時に凝固して氷柱となる。表示機1cでは、掻き出し部材17が隣り合う光源配設部3の間だけでなく、表示機1cの下方にも配置されるため、掻き出し部材17によって、表示機1cの下方に付着する氷柱又は水滴を除去することが可能である。
【0073】
また、図7(b)は、表示機1dを示す図である。表示機1dは、表示機1bと略同様であるが、複数の光源配設部3は、水平方向に向けて横格子状に配置され、固定部材27が、光源配設部3と直交するように鉛直方向に配置される。なお、図示した例では、3本の固定部材27が配置され、それぞれの固定部材27に掻き出し部材17が固定される。このため、固定部材27を往復動作させると、掻き出し部材17は、隣り合う光源配設部3の隙間に沿って水平方向に往復移動して、隙間19の除去対象物23(図示せず)を除去することができる。
【0074】
また、表示機1dも表示機1cと同様に、固定部材27が、表示機1dの下方に突出する。また、固定部材27の下端近傍にも、掻き出し部材17が固定される。すなわち、最下段の掻き出し部材17は、隣り合う光源配設部3の隙間19ではなく、表示機1b(枠部7)の下方に配置される。このように、表示機1dでは、掻き出し部材17が隣り合う光源配設部3の間だけでなく、表示機1dの下方にも配置されるため、掻き出し部材17によって、表示機1dの下方に付着する氷柱又は水滴を除去することが可能である。
【0075】
以上、第4の実施の形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、掻き出し部材17を表示機の下方にも配置することで、表示機の下方に付着する水滴や生じた氷柱を除去することができる。
【0076】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0077】
例えば、上述した各実施形態は、互に組み合わせることができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0078】
1、1a、1c、1d………表示機
3………光源配設部
5………光源
7………枠部
9………透明カバー
13………遮光部材
15………回転軸
17………掻き出し部材
19………隙間
21、21a………駆動部
23………除去対象物
25………ガイド
27………固定部材
29………取付け部
31………ピン
33………リンク
35………長穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7