IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士ゼロックス株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-情報処理ユニットおよび電子機器 図1
  • 特開-情報処理ユニットおよび電子機器 図2
  • 特開-情報処理ユニットおよび電子機器 図3
  • 特開-情報処理ユニットおよび電子機器 図4
  • 特開-情報処理ユニットおよび電子機器 図5
  • 特開-情報処理ユニットおよび電子機器 図6
  • 特開-情報処理ユニットおよび電子機器 図7
  • 特開-情報処理ユニットおよび電子機器 図8
  • 特開-情報処理ユニットおよび電子機器 図9
  • 特開-情報処理ユニットおよび電子機器 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112555
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】情報処理ユニットおよび電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 9/00 20060101AFI20240814BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
H05K9/00 E
H05K1/02 N
H05K9/00 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017677
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】山口 勇太
【テーマコード(参考)】
5E321
5E338
【Fターム(参考)】
5E321AA03
5E321AA05
5E321AA14
5E321AA17
5E321BB21
5E321CC22
5E321GG01
5E321GG05
5E338AA03
5E338BB75
5E338CC06
5E338CD02
5E338EE13
(57)【要約】
【課題】電子機器の本体内部にある情報処理ユニット同士を無線で接続する際に、無線通信の感度が低下することを抑制しつつ、情報処理ユニット内部で発生するノイズが情報処理ユニットから漏洩することを抑制する。
【解決手段】開口を有し導電性を有する筐体と、筐体の内部に設けられる第1の基板と、筐体に設けられ、第1の基板と通信を行うとともに外部装置と無線通信を行い、筐体の開口を覆うグランド層を備えた第2の基板と、を有する情報処理ユニットである。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有し導電性を有する筐体と、
前記筐体の内部に設けられる第1の基板と、
前記筐体に設けられ、前記第1の基板と通信を行うとともに外部装置と無線通信を行い、当該筐体の前記開口を覆うグランド層を備えた第2の基板と、
を有する情報処理ユニット。
【請求項2】
前記第2の基板は、少なくとも3つの層を有する積層基板であり、前記第1の基板と通信を行う第1の集積回路を有し、前記グランド層に比べて前記筐体の内部側にある第1の外層と、前記外部装置と無線通信を行う第2の集積回路を有し、前記グランド層に比べて前記筐体の外部側にある第2の外層と、
を有していることを特徴とする請求項1に記載の情報処理ユニット。
【請求項3】
前記第1の集積回路と前記第2の集積回路とは、スルーホールで接続され前記グランド層に設けられた貫通孔を通過して接続されることを特徴とする請求項2に記載の情報処理ユニット。
【請求項4】
前記第2の外層は、前記開口に対応する位置に、前記第2の集積回路が配置され、
前記開口の大きさは、前記第2の基板の大きさよりも小さく、前記第2の集積回路の大きさよりも大きいことを特徴とする請求項3に記載の情報処理ユニット。
【請求項5】
前記第2の外層の外枠にグランドプレーンが配置され、当該グランドプレーンが前記筐体と接触することを特徴とする請求項4に記載の情報処理ユニット。
【請求項6】
前記グランド層は、前記筐体と導通が取られていることを特徴とする請求項1に記載の情報処理ユニット。
【請求項7】
前記筐体は、前記グランド層と当該筐体の隙間から回り込む電磁波を遮断する遮蔽部を有することを特徴とする請求項6に記載の情報処理ユニット。
【請求項8】
前記遮蔽部は、前記開口の周囲から、前記第2の基板に沿って前記筐体の内部に向かって伸びることを特徴とする請求項7に記載の情報処理ユニット。
【請求項9】
前記遮蔽部は、前記グランド層の側面に接触して導通することを特徴とする請求項8に記載の情報処理ユニット。
【請求項10】
電子機器の本体内部に、互いに無線通信を行う請求項1に記載の情報処理ユニットを複数有し、
複数の前記情報処理ユニット間の無線通信は、複数の当該情報処理ユニットの各々が有する第2の基板を介して行う電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理ユニットおよび電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、特定の周波数帯では電波を透過し、それ以外の帯域では高い遮蔽特性を示すシールド構造が示されている。
従来、電子機器の本体内部にある複数の情報処理ユニットの各々を無線で接続する技術が存在する。この情報処理ユニットの各々を接続する際の無線通信に使用される一般的な電波の特性として、導電性を有する物体と干渉し通信感度が悪化する、ということが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004―297763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子機器は、外部または内部からの電気的・磁気的な干渉により電子機器自体に不具合が生じる電磁感受性と、他の電子機器や人体に悪影響を与える電磁妨害との両方の対策を施すことが求められる。この電磁感受性と電磁妨害とを両立させる電磁両立性(EMC:electromagnetic compatibility)に関しては、EMC規格が定められている。このEMC規格に準拠させるための設計(EMC設計)としての望ましい構成の一つに、情報処理ユニットの電子基板から生じるノイズが外部に漏洩しないように情報処理ユニットを導電性の筐体で覆うものが存在する。
しかしながら、何ら対策をせず、互いに無線通信を行う複数の情報処理ユニットの各々を導体性の筐体で覆うと、この情報処理ユニット同士を無線で接続する際に情報処理ユニット間の通信感度が悪化してしまう。
本発明は、電子機器の本体内部にある情報処理ユニット同士を無線で接続する際に、無線通信の感度が低下することを抑制しつつ、情報処理ユニット内部で発生するノイズが情報処理ユニットから漏洩することを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、開口を有し導電性を有する筐体と、前記筐体の内部に設けられる第1の基板と、前記筐体に設けられ、前記第1の基板と通信を行うとともに外部装置と無線通信を行い、当該筐体の前記開口を覆うグランド層を備えた第2の基板と、を有する情報処理ユニットである。
請求項2記載の発明は、前記第2の基板は、少なくとも3つの層を有する積層基板であり、前記第1の基板と通信を行う第1の集積回路を有し、前記グランド層に比べて前記筐体の内部側にある第1の外層と、前記外部装置と無線通信を行う第2の集積回路を有し、前記グランド層に比べて前記筐体の外部側にある第2の外層と、を有していることを特徴とする請求項1に記載の情報処理ユニットである。
請求項3記載の発明は、前記第1の集積回路と前記第2の集積回路とは、スルーホールで接続され前記グランド層に設けられた貫通孔を通過して接続されることを特徴とする請求項2に記載の情報処理ユニットである。
請求項4記載の発明は、前記第2の外層は、前記開口に対応する位置に、前記第2の集積回路が配置され、前記開口の大きさは、前記第2の基板の大きさよりも小さく、前記第2の集積回路の大きさよりも大きいことを特徴とする請求項3に記載の情報処理ユニットである。
請求項5記載の発明は、前記第2の外層の外枠にグランドプレーンが配置され、当該グランドプレーンが前記筐体と接触することを特徴とする請求項4に記載の情報処理ユニットである。
請求項6記載の発明は、前記グランド層は、前記筐体と導通が取られていることを特徴とする請求項1に記載の情報処理ユニットである。
請求項7記載の発明は、前記筐体は、前記グランド層と当該筐体の隙間から回り込む電波を遮断する遮蔽部を有することを特徴とする請求項6に記載の情報処理ユニットである。
請求項8記載の発明は、前記遮蔽部は、前記開口の周囲から、前記第2の基板に沿って前記筐体の内部に向かって伸びることを特徴とする請求項7に記載の情報処理ユニットである。
請求項9記載の発明は、前記遮蔽部は、前記グランド層の側面に接触して導通することを特徴とする請求項8に記載の情報処理ユニットである。
請求項10記載の発明は、電子機器の本体内部に、互いに無線通信を行う請求項1に記載の情報処理ユニットを複数有し、複数の前記情報処理ユニット間の無線通信は、複数の当該情報処理ユニットの各々が有する第2の基板を介して行う電子機器である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、電子機器の本体内部にある情報処理ユニット同士を無線で接続する際に、無線通信の感度が低下することを抑制しつつ、情報処理ユニット内部で発生するノイズが情報処理ユニットから漏洩することを抑制できる。
請求項2の発明によれば、請求項2の構成を有しない場合に比べて、第1の集積回路から発生するノイズが漏洩することを抑制する。
請求項3の発明によれば、第1の集積回路と第2の集積回路とが、スルーホールで接続されグランド層に設けられた貫通孔を通過して接続される構成をとらない場合に比べて、ノイズが漏洩するのを抑制できる。
請求項4の発明によれば、請求項4の構成をとらない場合に比べて、ノイズが漏洩するのを抑制できる。
請求項5の発明によれば、請求項5の構成をとらない場合に比べて、回り込むノイズを吸収できる。
請求項6の発明によれば、グランド層が、筐体と導通が取られていない場合に比べて、グランド層による電波の遮蔽性能を高めることができる。
請求項7の発明によれば、筐体が、グランド層と筐体の隙間から回り込む電波を遮断する遮蔽部を有しない場合に比べて、第2の基板の隙間からノイズが漏れることを抑制できる。
請求項8の発明によれば、遮蔽部が、開口の周囲から、第2の基板に沿って筐体の内部に向かって伸びる構成を有しない場合に比べて、第2の基板の側面からノイズが漏れることを抑制する。
請求項9の発明によれば、遮蔽部が、グランド層の側面に接触して導通しない場合に比べて、第2の基板の側面からノイズが漏れることをさらに抑制できる。
請求項10の発明によれば、電子機器の本体内部にある情報処理ユニット同士を無線で接続する際に、無線通信の感度が低下することを抑制しつつ、情報処理ユニット内部で発生するノイズが情報処理ユニットから漏洩することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施の形態が適用される複合機の構成を示した図である。
図2】情報処理ユニットの代表例としてメインコントローラユニットを説明するための説明図である。
図3】中継基板を説明するための図であり、図2の線III-IIIにおける断面を示す断面図である。
図4】中継基板の各層を説明するための概念図である。
図5】中継基板の第4層を、図4に示すVの方向から見た平面図である。
図6】中継基板を取り付ける前の筐体の開口が設けられた箇所を、筐体の内部から見た平面図である。
図7】中継基板を筐体に取り付けた状態を示す図であり、筐体の内部から開口のあった箇所を眺めた平面図である。
図8図7の線VIII-VIIIにおける断面を拡大した断面拡大図である。
図9】筐体の開口の周辺の電波の流れを説明するための概念図である。
図10】本実施の形態が適用されるメインコントローラユニットの変形例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用される複合機100の構成を示した図である。
図1に示す複合機100は、例えば、文書や画像を印刷するプリンタ機能や原稿の画像を光学的に読み取る読み取り機能、読み取った画像などを印刷する複写機能などの様々な機能を有している。この複合機100は、複合機100内に複数のモジュールを有し、これら複数のモジュールを制御するために複数の情報処理ユニットを有する。そして、本実施の形態では、複合機100内の複数の情報処理ユニットは、複数のモジュールを連動して機能させるために無線通信を介して接続されている。
【0009】
電子機器の一例である複合機100は、情報処理ユニットとして、複合機100の全体を制御するメインコントローラユニット1と、複合機100の画像読取モジュールを制御するスキャナ制御ユニット2と、複合機100内のモータを制御するモータドライバユニット3と、複合機100が扱う電子文書および画像等に対して画像処理を行うエンジン制御ユニット4と、を有する。以下、各ユニットを区別する必要がない場合に、これらを単に「情報処理ユニット」と略す場合がある。また、複合機100は、外部の電力源から供給される電源電圧を各々の情報処理ユニットに適した電圧に変換し、各々の情報処理ユニットに供給する電源5を有する。なお、メインコントローラユニット1がメインコントローラユニット1以外の他の情報処理ユニットと無線通信を介して接続する場合に、メインコントローラユニット1に対して、他の情報処理ユニットは外部装置となる。
【0010】
メインコントローラユニット1は、複合機100の全体制御を行う。このメインコントローラユニット1は、全体制御を行うのに必要な情報を送受信するために、スキャナ制御ユニット2、モータドライバユニット3およびエンジン制御ユニット4の各々と無線通信を介して接続する。ここで、無線通信の規格は特に限定されるものではなく、例えば、Wifi(登録商標)やブルートゥース(登録商標)等を用いることができる。
【0011】
スキャナ制御ユニット2は、複合機100の画像読取モジュールを制御する。
モータドライバユニット3は、複合機100内の各種機構を動作させるための各種モータを制御する。
エンジン制御ユニット4は、画像を形成するための各種処理を行う画像処理エンジンを制御する。
【0012】
図2は、情報処理ユニットの代表例としてメインコントローラユニット1を説明するための説明図である。この図2では、メインコントローラユニット1の内部を示すために、外装である筐体50の一部を切断している。
メインコントローラユニット1は、複合機100の全体を制御する制御基板10と、制御基板10と他の情報処理ユニットとの間の無線通信を中継する中継基板40と、筐体50と、を有する。
【0013】
制御基板10は、必要な要素を全て搭載し単体でシステムとして機能させるように設計されたSoC(System on a Chip)21と、他の情報処理ユニットとの間で無線通信を行う通信IC(Integrated Circuit)22と、を有する。制御基板10は、本発明の第1の基板の一例であり、例えば、ガラスエポキシ基板に電子部品が取り付けられている所謂プリント基板で構成される。
【0014】
SoC21は、他の情報処理ユニットから取得した情報を用いて全体を制御するシステムとして機能する。通信IC22は、無線通信を行うためのアンテナを含み、無線通信を行う機能を有する集積回路である。なお、無線通信を行うためのアンテナと無線通信を行うための集積回路とを一体化せずに別々の部品として制御基板10に取り付けてもよい。
【0015】
筐体50は、筐体50の本体となる箱部51と、箱部51に設けられた開口である開口52とを有する。
箱部51は、例えば直方体の箱型の形状であり、内部に制御基板10を収納する。箱部51は、電波を遮断する導電性材料により作成され、例えば、アルミニウム等の金属材料や鉄などの板金材を用いることができる。
【0016】
中継基板40は、筐体50の内部に設けられている通信IC22と無線通信により接続されている。また、中継基板40は、外部装置である他の情報処理ユニットと無線通信により接続されている。これにより、中継基板40は、制御基板10の通信IC22が、外部装置である他の情報処理ユニットと無線通信する際の電波を中継する機能を有する。中継基板40は、本発明における第2の基板の一例である。
他の情報処理ユニットであるスキャナ制御ユニット2、モータドライバユニット3、およびエンジン制御ユニット4では、その処理は各々異なるものの、制御基板10と中継基板40とによる外部装置との無線通信は、同様に行われている。
【0017】
図3は、中継基板40を説明するための図であり、図2の線III-IIIにおける断面を示す断面図である。
中継基板40は積層基板であり、本実施の形態が適用される中継基板40は例えば4層などの多層構造を形成している。この中継基板40は、筐体50の開口52に取り付けられ、この中継基板40により開口52が塞がれている。筐体50に取り付けられた中継基板40は、筐体50の内側から、第1層41、第2層42、第3層43および第4層44の順で積層されている。
【0018】
中継基板40は、制御基板10の通信IC22と無線通信を行う通信IC31と、外部装置である他の情報処理ユニットと無線通信を行う通信IC32とを備える。通信IC31と通信IC32とは、それぞれ無線通信用のアンテナを含み、無線通信を行う機能を有する集積回路である。
【0019】
通信IC31は、中継基板40の第1層41に設けられ、筐体50の内部に位置する。
通信IC32は、中継基板40の第4層44に設けられ、筐体50の外部に露出し、外部装置である他の情報処理ユニットとは、筐体50の影響を受けずに円滑に無線通信を行うことが可能である。なお、「露出」は、電波の障害に対して影響のないことを意味しており、通信IC32の外側である筐体50の開口52に、例えば電波を透過するプラスチックなどの無線通信を阻害しない材料を用いて開口52を塞いでもよい。これにより、中継基板40および通信IC32が外部の埃等から保護される。なお、通信IC31は本発明の第1の集積回路の一例であり、通信IC32は本発明の第2の集積回路の一例である。
【0020】
中継基板40の通信IC31や通信IC32が形成される基板面の大きさは、筐体50の開口52の大きさより大きい。ここで、図3において、開口52の一辺の長さをL1、中継基板40の平面の一側面の長さをL2、通信IC32の一側面の長さをL3とすると、L2>L1>L3の関係にある。すなわち、中継基板40の平面の一側面の長さL2は開口52の一辺の長さL1よりも大きく、開口52の一辺の長さL1は通信IC32の一側面の長さL3よりも大きい。
【0021】
電源5は、有線によって制御基板10と中継基板40とに電源電圧を供給する。なお、図3では、電源5から制御基板10と中継基板40に、電力配線が直接的に接続されているが、例えば筐体50に、電源端子または電源端子を含む基板対基板コネクタ等を設け、この電源端子を介して電源電圧を供給してもよい。
【0022】
図4は、中継基板40の各層を説明するための概念図である。
第1層41は、集積回路や信号の伝達をする信号線の導体パターンなどが配置される信号層である。この第1層41には、通信IC31が配置される。
第2層42は、中継基板40に基準電位を与えるグランド層である。第2層42は、グランド用の導体が平面状に広がっている。この第2層42は、例えばスクリュー55(後述する図8参照)等を介して、筐体50と導通しグランド接続が行われる。
【0023】
第3層43は、電源用の導体が配置される電源層である。第4層44は、集積回路や信号の伝達をする信号線の導体パターンなどが配置される信号層である。この第4層44には、通信IC32が配置される。筐体50の内側に位置する通信IC31と、筐体50の外側に位置する通信IC32とは、中継基板40のスルーホール45を介して接続される。スルーホール45は、第1層41から第4層44までを貫く孔の内部に導体を有して接続される。
【0024】
図4とともに、図5を参照して、第4層44をさらに、説明する。
図5は、中継基板40の第4層44を、図4に示すVの方向から見た平面図である。第4層44は、さらに、中継基板40を筐体50に対して固定するためのスクリュー55(後述する図7および図8参照)を通すための貫通孔46と、電波を吸収するためのGND枠47と、中継基板40を筐体50に接地させるための接地用取付部48と、を有する。
【0025】
接地用取付部48は、貫通孔46に連続して設けられ、導電性を有する材質により作成されており、接地用取付部48の少なくとも一部に貫通孔46の一部が重なり合う関係にある。すなわち、第4層44の貫通孔46は接地用取付部48に形成され、貫通孔46の周りが接地用取付部48に重なっている。接地用取付部48は、中継基板40を筐体50に取り付けた際に筐体50に接触し、スクリュー55(後述する図7および図8参照)を用いて、グランド層である第2層42と筐体50との導通を確保している。
【0026】
GND枠47は、第4層44の端部から内側に向かって配置され、所謂ベタグランドで構成することができる。このベタグランドは、信号用導体パターンの空きスペースである基板の周囲に配置され、グランドレベルの電位を持つ面状の配線パターンで形成されている。GND枠47は、第4層44の端部から例えば5mmなど、予め定められた距離をもって設けられている。そして、GND枠47は、中継基板40が筐体50に接続された際に、筐体50に接触しグランド接続が行われる。GND枠47は、本発明の第2の外層の外枠の一例である。ベタグランドは、グランドプレーンの一例である。
【0027】
図6は、中継基板40を取り付ける前の筐体50の開口52が設けられた箇所を、筐体50の内部から見た平面図である。筐体50は、筐体50の内部に、中継基板40の位置決めのための突起であるボス53と、スクリュー55を固定するためのネジ穴54とを有する。ボス53は、開口52の周囲を囲む位置に配置されており、本発明の遮蔽部の一例である。
【0028】
図6に示すボス53は、筒状の形状をしている。この筒状であるボス53の内側の形状は、中継基板40の基板面の平面が入る形状となっており、中継基板40を入れることができる範囲で中継基板40の形状寸法に近い。ボス53は、導電性を有する材料により作成され、ボス53と箱部51とは導通が取られている。筐体50の箱部51が例えば金属材料で構成される場合には、ボス53は、例えば金属材料の枠体が箱部51に溶接される等によって形成される。
【0029】
ネジ穴54は、中継基板40を取り付けた際に中継基板40の各々の層の4角に設けられている貫通孔46に対応する位置に設けられている。
【0030】
次に、図7、8を用いて、中継基板40を筐体50に取り付けた状態を説明する。
図7は、中継基板40を筐体50に取り付けた状態を示す図であり、筐体50の内部から開口52のあった箇所を眺めた平面図である。また、図8は、図7の線VIII-VIIIにおける断面を拡大した断面拡大図である。
【0031】
上述したように、筒状であるボス53の内側の形状は中継基板40の基板面の平面が入る形状となっており、このボス53に中継基板40が嵌め込まれる。これにより、中継基板40と筐体50との位置合わせが行われる。そして、スクリュー55を中継基板40の各層に設けられている貫通孔46に通し、ネジ穴54に固定することで、中継基板40が筐体50に対して固定される。このスクリュー55の固定により、中継基板40のグランド層である第2層42が、筐体50の開口52を覆う位置に固定される。
【0032】
ボス53は、筐体50の内部であって、箱部51から内部に向かって伸びた凸形状となっており、開口52の周囲から、中継基板40に沿って、少なくとも中継基板40の第2層42まで、筐体50の内部に向かって伸びる。これにより、少なくとも中継基板40の第2層42から第4層44までの側面はボス53に囲われ、中継基板40の第2層42から第4層44までの側面に向かうノイズは、ボス53によって堰き止められる。
【0033】
また、上述したように、筐体50のボス53は、導電性を有する素材で作成され、ボス53と箱部51とは導通している。そのため、第2層42の全面を覆う面状のグランド用の配線を第2層42の側面まで伸ばし、第2層42の側面とボス53とを接触させて、第2層42のグランド配線をボス53に導通させれば、ノイズの堰き止め効果を増大させることが可能である。
【0034】
スクリュー55は、中継基板40を筐体50の箱部51に固定する。このスクリュー55は、グランド層である第2層42のグランド用の配線である導体に接触し、筐体50のネジ穴54と接触させることで、第2層42が筐体50に対して電気的に導通する。
【0035】
(作用)
図9は、筐体50の開口52の周辺の電波の流れを説明するための概念図である。
図9では、筐体50の箱部51や中継基板40の第2層42等によって形成される構造を金属構造90として模式的に示している。金属構造90の左側は、筐体50の内部にある通信IC31であり、金属構造90の右側は、筐体50の外部にある通信IC32である。
【0036】
上記で詳述したように、メインコントローラユニット1は、筐体50と、中継基板40のグランド層である第2層42とによって、シールドされた状態にある。メインコントローラユニット1から外部装置である他の情報処理ユニットとの間で行われる必要な電波は、中継基板40に設けられた通信IC31と通信IC32とを介して送られる。一方、通信に不要となる不要な電波は、筐体50と中継基板40のグランド層である第2層42とで構成される金属構造90によって遮蔽される。この結果、不要な電波が外部へ漏れることが抑制される。
【0037】
(変形例)
次に、変形例として、メインコントローラユニット1の制御基板10と中継基板40とを一体化したメインコントローラユニット7を説明する。
図10は、本実施の形態が適用されるメインコントローラユニット1の変形例を示した図である。ここでは、SoC21と通信IC31とが同一基板上に実装されている点が異なっている。なお、メインコントローラユニット1と変形例に係るメインコントローラユニット7とで、同様の機能を有するものについては同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0038】
メインコントローラユニット7は、中継基板40と、筐体50と、SoC21とを有し、その中継基板40は、第1層41と、第2層42層と、第3層43と、第4層44とを有している。そして、第1層41にSoC21が設けられ、第4層44に通信IC32が設けられている。
【0039】
図10に示すメインコントローラユニット7は、上述したメインコントローラユニット1に設けられている通信IC22と通信IC31とが不要であり、SoC21と通信IC32とが有線によって接続されている。その結果、通信IC22と通信IC31との間で行われる電波が発生しない。この電波は、外部機器との通信には不要であることから、この変形例によれば、図9に示す不要な電波の発生を抑制できる。また、この変形例によれば、制御基板10と中継基板40とが一体化されることで、メインコントローラユニット7の小型化が実現できる。
【0040】
なお、本実施の形態では、複合機を例に説明したが、本発明は、複数の制御基板を有する各種コンピュータ装置など、様々な電子機器に適用される。
【0041】
<付記>
(((1)))
開口を有し導電性を有する筐体と、
前記筐体の内部に設けられる第1の基板と、
前記筐体に設けられ、前記第1の基板と通信を行うとともに外部装置と無線通信を行い、当該筐体の前記開口を覆うグランド層を備えた第2の基板と、
を有する情報処理ユニット。
(((2)))
前記第2の基板は、少なくとも3つの層を有する積層基板であり、前記第1の基板と通信を行う第1の集積回路を有し、前記グランド層に比べて前記筐体の内部側にある第1の外層と、前記外部装置と無線通信を行う第2の集積回路を有し、前記グランド層に比べて前記筐体の外部側にある第2の外層と、
を有していることを特徴とする(((1)))に記載の情報処理ユニット。
(((3)))
前記第1の集積回路と前記第2の集積回路とは、スルーホールで接続され前記グランド層に設けられた貫通孔を通過して接続されることを特徴とする(((2)))に記載の情報処理ユニット。
(((4)))
前記第2の外層は、前記開口に対応する位置に、前記第2の集積回路が配置され、
前記開口の大きさは、前記第2の基板の大きさよりも小さく、前記第2の集積回路の大きさよりも大きいことを特徴とする(((3)))に記載の情報処理ユニット。
(((5)))
前記第2の外層の外枠にグランドプレーンが配置され、当該グランドプレーンが前記筐体と接触することを特徴とする(((4)))に記載の情報処理ユニット。
(((6)))
前記グランド層は、前記筐体と導通が取られていることを特徴とする(((1)))から(((5)))のいずれかに記載の情報処理ユニット。
(((7)))
前記筐体は、前記グランド層と当該筐体の隙間から回り込む電磁波を遮断する遮蔽部を有することを特徴とする(((1)))から(((6)))のいずれかに記載の情報処理ユニット。
(((8)))
前記遮蔽部は、前記開口の周囲から、前記第2の基板に沿って前記筐体の内部に向かって伸びることを特徴とする(((7)))に記載の情報処理ユニット。
(((9)))
前記遮蔽部は、前記グランド層の側面に接触して導通することを特徴とする(((8)))に記載の情報処理ユニット。
(((10)))
電子機器の本体内部に、互いに無線通信を行う請求項1に記載の情報処理ユニットを複数有し、
複数の前記情報処理ユニット間の無線通信は、複数の当該情報処理ユニットの各々が有する第2の基板を介して行う電子機器。
【0042】
(((1)))の発明によれば、電子機器の本体内部にある情報処理ユニット同士を無線で接続する際に、無線通信の感度が低下することを抑制しつつ、情報処理ユニット内部で発生するノイズが情報処理ユニットから漏洩することを抑制できる。
(((2)))の発明によれば、(((2)))の構成を有しない場合に比べて、第1の集積回路から発生するノイズが漏洩することを抑制する。
(((3)))の発明によれば、第1の集積回路と第2の集積回路とが、スルーホールで接続されグランド層に設けられた貫通孔を通過して接続される構成をとらない場合に比べて、ノイズが漏洩するのを抑制できる。
(((4)))の発明によれば、(((4)))の構成をとらない場合に比べて、ノイズが漏洩するのを抑制できる。
(((5)))の発明によれば、(((5)))の構成をとらない場合に比べて、回り込むノイズを吸収できる。
(((6)))の発明によれば、グランド層が、筐体と導通が取られていない場合に比べて、グランド層による電波の遮蔽性能を高めることができる。
(((7)))の発明によれば、筐体が、グランド層と筐体の隙間から回り込む電波を遮断する遮蔽部を有しない場合に比べて、第2の基板の隙間からノイズが漏れることを抑制できる。
(((8)))の発明によれば、遮蔽部が、開口の周囲から、第2の基板に沿って筐体の内部に向かって伸びる構成を有しない場合に比べて、第2の基板の側面からノイズが漏れることを抑制する。
(((9)))の発明によれば、遮蔽部が、グランド層の側面に接触して導通しない場合に比べて、第2の基板の側面からノイズが漏れることをさらに抑制できる。
(((10)))の発明によれば、電子機器の本体内部にある情報処理ユニット同士を無線で接続する際に、無線通信の感度が低下することを抑制しつつ、情報処理ユニット内部で発生するノイズが情報処理ユニットから漏洩することを抑制できる。
【符号の説明】
【0043】
1,7…メインコントローラユニット、2…スキャナ制御ユニット、3…モータドライバユニット、4…エンジン制御ユニット、5…電源、10…制御基板、21…SoC、22,31,32…通信IC、40…中継基板、41…第1層、42…第2層、43…第3層、44…第4層、45…スルーホール、46…貫通孔、47…GND枠、48…接地用取付部、50…筐体、51…箱部、52…開口、53…ボス、54…ネジ穴、55…スクリュー、100…複合機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10