(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112597
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】自動分析装置及びプローブへの液滴付着検出方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/10 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
G01N35/10 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017741
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【弁理士】
【氏名又は名称】柳本 陽征
(74)【代理人】
【識別番号】100202429
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 信人
(72)【発明者】
【氏名】瀬町 崇浩
(72)【発明者】
【氏名】松田 勇
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 誠
(72)【発明者】
【氏名】児玉 究
(72)【発明者】
【氏名】下平 雄貴
(72)【発明者】
【氏名】小森 裕也
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058ED25
2G058GB10
2G058GE10
(57)【要約】
【課題】自動分析装置において、プローブの外面に液滴が付着していることを検知すること。
【解決手段】自動分析装置は、プローブと、検知手段と、制御部とを備える。プローブは、試料及び/又は試薬の吸引及び吐出を行う。検知手段は、プローブと液体との接触を検知する。制御部は、検知手段による検知結果に基づいて、プローブに液滴が付着していることを検出する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料及び/又は試薬の吸引及び吐出を行うプローブと、
前記プローブと液体との接触を検知する検知手段と、
前記検知手段による検知結果に基づいて、前記プローブに液滴が付着していることを検出する制御部と、
を備える自動分析装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記検知手段により検知された信号が閾値を超えたときに、前記プローブに前記液滴が付着していると判定する、請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記信号は、前記プローブの移動動作の終了後に前記検知手段により検知された信号である、請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記制御部は、試料及び/又は試薬の吸引動作後、若しくは、前記プローブの洗浄動作後に、前記プローブに液滴が付着していることを検出した場合、当該動作をキャンセルする、請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記試料についての情報を記憶する記憶部を備え、
前記動作がキャンセルされた場合、前記制御部は、キャンセルされた前記動作に関連する前記試料についての前記情報に、当該動作がキャンセルされた旨の情報を追加する、請求項4に記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記プローブに液滴が付着していることを検出した場合、前記プローブの洗浄動作を行う、請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記プローブに液滴が付着していることを検出した場合、使用者への報知を行う、請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項8】
試料及び/又は試薬の吸引及び吐出を行うプローブと、前記プローブと液体との接触を検知する検知手段と、を備えた自動分析装置における、プローブへの液滴付着検出方法であって、
前記検知手段による検知結果に基づいて、前記プローブに液滴が付着していることを検出する、プローブへの液滴付着検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、自動分析装置及びプローブへの液滴付着検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液や尿などの検体試料の定性・定量分析を行う自動分析装置が知られている。自動分析装置では、プローブを試薬容器又は試料容器内に挿入して容器内に保持された試薬又は試料等の流動体を吸引し、反応ディスクに保持された反応容器にこの流動体を分注する。通常、プローブを用いて流動体の1回の吸引及び吐出を行うごとに、洗浄部においてプローブが洗浄される。
【0003】
試薬、試料等の流動体を吸引・吐出する際、プローブが流動体の液面から離れる際に、プローブの外面に流動体の一部が付着して液滴となることがある。この液滴は、例えば経年使用により、プローブの外面に劣化や汚れなどがある場合に生じ得る。プローブ内の流路にリークが生じている場合、プローブを保持するアームの回転時にプローブの先端から流動体が漏れ出て、プローブの外面に液滴を形成することもある。プローブの外面に液滴が付着したまま反応容器内への流動体の吐出を行うと、液滴が反応容器内へ落下することがある。この場合、反応容器内に規定量より多い試薬、試料等が導入されてしまうことになる。
【0004】
また、洗浄部におけるプローブの洗浄後に、プローブの外面に洗浄液の一部が付着して液滴となることがある。洗浄液としては、例えば純水等の水が使用される。プローブの外面に洗浄液の液滴が付着したまま試薬、試料等の吸引を行うと、洗浄液の液滴が試薬容器又は試料容器内へ落下することがある。この場合、試薬容器、試料容器内の試薬、試料等が水等の洗浄液で薄められる。
【0005】
このように、プローブの外面に付着した液滴が、反応容器、試薬容器、試料容器内へ落下すると、試薬、試料等の濃度が規定の範囲から外れ、自動分析装置による分析結果の正確性が損なわれるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、自動分析装置において、プローブの外面に液滴が付着していることを検知することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る自動分析装置は、プローブと、検知手段と、制御部とを備える。プローブは、試料及び/又は試薬の吸引及び吐出を行う。検知手段は、プローブと液体との接触を検知する。制御部は、検知手段による検知結果に基づいて、プローブに液滴が付着していることを検出する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、自動分析装置の一例の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、自動分析装置の分析制御部の機能構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、自動分析装置の分析部の構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、プローブへの試薬、試料等の液滴の付着を検出する方法の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、プローブへの液滴付着検出工程について説明するための図である。
【
図6】
図6は、プローブへの液滴付着検出工程について説明するための図である。
【
図7】
図7は、プローブへの液滴付着検出工程について説明するための図である。
【
図8】
図8は、プローブの外面に液滴が付着していないときの、検知手段による検知結果の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、プローブの外面に液滴が付着しているときの、検知手段による検知結果の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、プローブへの洗浄液の液滴の付着を検出する方法の一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、プローブへの液滴付着検出工程について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。なお、本明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺及び縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0011】
図1は、自動分析装置10の一例の構成を示すブロック図であり、
図2は、自動分析装置10の分析制御部11の機能構成の一例を示す図であり、
図3は、自動分析装置10の分析部20の構成の一例を示す図である。
【0012】
自動分析装置10は、分析部20と、分析制御部11と、分析データ処理部13と、出力部15と、操作部17と、システム制御部19とを備えている。分析部20は、被検試料やキャリブレータの測定、分析を行う。分析制御部11は、分析部20の制御を行う。分析データ処理部13は、分析部20から出力された分析信号を処理して分析データを算出する。出力部15は、分析データ処理部13からの分析データを出力する。操作部17は、分析条件や各種コマンド信号の入力を受け付ける。システム制御部19は、上述したこれらのユニットを統括して制御する。
【0013】
分析データ処理部13は、分析部20から出力されたキャリブレーション信号、分析信号などからキャリブレーションテーブルの作成、分析データの算出などを行う演算部131と、演算部131で作成されたキャリブレーションテーブルや算出された分析データなどを保存する記憶部132とを備えている。
【0014】
演算部131は、分析部20から出力された各項目のキャリブレーション信号から各項目のキャリブレーションテーブルを作成して出力部15に出力すると共に記憶部132に保存する。また、演算部131は、分析部20から出力された各項目の分析信号に対して、その分析信号の項目に対応したキャリブレーションテーブルを記憶部132から読み出した後、このキャリブレーションテーブルを用いて分析データを算出して出力部15に出力すると共に記憶部132に保存する。
【0015】
記憶部132は、ハードディスクなどを備え、演算部131から出力されたキャリブレーションテーブル、分析データなどを被検試料毎に保存する。
【0016】
出力部15は、分析データ処理部13から出力されたキャリブレーションテーブル、分析データなどを印刷出力する印刷部151及び表示出力する表示部152と、分析データなどを外部の情報システムなどに出力するためのオンライン部153とを備えている。そして、印刷部151は、プリンタなどを備え、分析データ処理部13から出力されたキャリブレーションテーブル、分析データなどを予め設定されたフォーマットに基づいて、プリンタ用紙に印刷出力する。また、表示部152は、CRT(Cathode Ray Tube)、液晶表示モニタ、有機EL表示モニタなどのモニタを備え、分析データ処理部13から出力されたキャリブレーションテーブル、分析データなどの表示や、システム制御部19からの指示により分析条件を設定するための画面の表示を行う。
【0017】
操作部17は、キーボード、マウス、ボタン、タッチパネルなどの入力デバイスを備え、分析条件の設定、被検体の被検体IDや被検体名などの被検体情報の入力、被検体の被検試料毎の測定項目の選択、各項目のキャリブレーション操作、被検試料分析操作などの様々な操作が行われる。
【0018】
システム制御部19は、CPUと記憶回路を備え、操作部17から供給される使用者のコマンド信号、分析条件、被検体情報、被検試料毎の測定項目などの情報を記憶した後、これらの情報に基づいて、分析部20を構成する各ユニットを一定サイクルの所定のシーケンスで動作させる制御、或いはキャリブレーションテーブルの作成、分析データの算出と出力に関する制御などシステム全体の制御を行なう。
【0019】
分析部20は、試料の分析を行う。とりわけ分析部20は、ブランク測定によるブランクデータの生成や、各検査項目の標準試料と各検査項目の分析に用いる試薬との混合液を測定する標準測定による標準データの生成、被検試料と試薬との混合液を測定する被検測定による被検データの生成等を行う。分析部20は、サンプルディスク21と、試薬庫22と、試薬庫23と、反応ディスク24と、第1試薬分注機構25と、第2試薬分注機構26と、試料分注機構27と、第1撹拌機構28と、第2撹拌機構29と、を備える。
【0020】
サンプルディスク21は、複数の試料容器31を保持しており、この試料容器31には、標準試料、血清等の被検試料等の試料が収容される。試料容器31は、例えば試料ラックに載置されてサンプルディスク21に保持される。1つの試料ラックには、1以上の試料容器31が載置される。
【0021】
試薬庫22には、複数の試薬容器32を回動可能に保持する試薬ラック35を備えており、この試薬ラック35は、試薬容器32に収容された第1試薬を保冷しつつ保持する。すなわち、試薬容器32は、標準試料、被検試料等の各試料に含まれる検査項目の成分と反応する、例えば、1試薬系及び2試薬系の第1試薬を収容する。試薬庫23には、複数の試薬容器33を回動可能に保持する試薬ラック36を備えており、この試薬ラック36は、試薬容器33に収容された第2試薬を保冷しつつ保持する。すなわち、試薬容器33は、第1試薬と対をなす第2試薬を収容する。なお、試薬ラック35は、第1試薬を収容した試薬容器32及び第2試薬を収容した試薬容器33の両方を保持してもよい。
【0022】
反応ディスク(移送機構)24は、複数の固定具を着脱可能に円周上に保持する。この固定具は、複数の反応容器を所定の間隔を開けて円弧状に保持する。すなわち、反応ディスク24は、複数の固定具を複数の反応容器の固定具として搭載し、複数の反応容器を移動可能に保持する。
【0023】
第1試薬分注機構25は、第1試薬分注プローブ251(プローブ40)と、第1アーム252と、第1洗浄機構61(洗浄部60)と、を備える。第1試薬分注プローブ251は、試薬ラック35に保持された試薬容器32内の第1試薬を吸引して、試料が吐出された反応容器内に吐出する分注を行う。第1アーム252は、第1試薬分注プローブ251を回動及び上下移動可能に保持する。第1洗浄機構61は、第1試薬分注プローブ251から1つの試薬の分注が終了するごとに、この第1試薬分注プローブ251の洗浄を行う。
【0024】
第2試薬分注機構26は、第2試薬分注プローブ261(プローブ40)と、第2アーム262と、第2洗浄機構62(洗浄部60)と、を備える。第2試薬分注プローブ261は、試薬ラック36に保持された試薬容器33内の第2試薬を吸引して、第1試薬が吐出された反応容器内に吐出する分注を行う。第2アーム262は、第2試薬分注プローブ261を回動及び上下移動可能に保持する。第2洗浄機構62は、第2試薬分注プローブ261から1つの試薬の分注が終了するごとに、この第2試薬分注プローブ261の洗浄を行う。
【0025】
試料分注機構27は、試料分注プローブ271(プローブ40)と、第3アーム272と、第3洗浄機構63(洗浄部60)と、を備える。試料分注プローブ271は、サンプルディスク21に保持された試料容器31に収容された試料を吸引して、反応容器内へ吐出する分注を行う。第3アーム272は、試料分注プローブ271を回動及び上下移動可能に保持する。第3洗浄機構63は、試料分注プローブ271から1つの試料の分注が終了するごとに、この試料分注プローブ271の洗浄を行う。
【0026】
本明細書では、第1試薬分注プローブ251、第2試薬分注プローブ261及び試料分注プローブ271をまとめてプローブ40と呼ぶ。すなわち、プローブ40は、第1試薬分注プローブ251、第2試薬分注プローブ261及び試料分注プローブ271のそれぞれを指す。また、第1洗浄機構61、第2洗浄機構62及び第3洗浄機構63をまとめて洗浄機構(洗浄部)60と呼ぶ。すなわち、洗浄機構(洗浄部)60は、第1洗浄機構61、第2洗浄機構62及び第3洗浄機構63のそれぞれを指す。
【0027】
第1撹拌機構28は、撹拌子と、アームと、洗浄プールと、を備える。撹拌子は、反応容器に分注された試料と第1試薬との混合液を撹拌する。アームは、撹拌子を回動及び上下移動可能に保持する。洗浄プールは、混合液の撹拌終了ごとに、撹拌子の洗浄を行う。
【0028】
第2撹拌機構29は、撹拌子と、アームと、洗浄プールと、を備える。撹拌子は、反応容器に分注された試料と第1試薬と第2試薬との混合液を撹拌する。アームは、撹拌子を回動及び上下移動可能に保持する。洗浄プールは、混合液の撹拌終了ごとに、撹拌子の洗浄を行う。
【0029】
また、自動分析装置10は、さらに、反応容器洗浄機構38と、測定部39と、を備える。測定部39は、水、混合液等の溶液を収容する反応容器に照射した光のうち、反応容器を透過した光を測定する。反応容器洗浄機構38は、測定部39で混合液の測定を終了した反応容器の内部を洗浄し、乾燥する洗浄処理を行う。また、反応容器洗浄機構38は、ブランク測定のために、洗浄を行った反応容器に純水等の液体であるブランク液を吐出する。
【0030】
また、測定部39は、ブランク液が分注された反応容器を透過した光を検出するブランク測定により、ブランクデータを生成する。また、測定部39は、標準試料及び試薬が分注された反応容器内の混合液を透過した光を検出する標準測定により、標準データを生成する。さらに、被検試料及び試薬が分注された反応容器内の混合液を透過した光を検出する被検測定により、被検データを生成する。
【0031】
本実施形態の自動分析装置10は、さらに、検知手段50を備える(
図5参照)。検知手段50は、プローブ40の先端部分に配置されている。検知手段50は、例えば電極であり、この電極に生じた静電容量の電位を測定することができるように構成されている。検知手段50では、測定された静電容量の電位の変化により、プローブ40と試料、試薬及び/又は洗浄液とが接触したことを検知することができる。また、本実施形態の検知手段50では、測定された静電容量の電位の変化により、プローブ40と液滴Dとの接触も検知することができる。
【0032】
分析制御部11は、分析部20の各種構成ユニットを制御する。例えば、分析制御部11は、検査を行うために、反応容器洗浄機構38で洗浄処理が行われた反応容器に、被検試料ごとに入力された検査項目を順次割り当てる。そして、検査項目を割り当てた反応容器に、その検査項目の分析パラメータとして設定される試料の分注量と試薬の分注量とを合計した合計量のブランク液を、反応容器洗浄機構38に吐出させる。続いて、ブランク液を吐出させた反応容器のブランク測定を測定部39に行わせて、ブランクデータを生成させる。
【0033】
分析制御部11は、制御回路110と、記憶回路118と、駆動機構120と、を含んでいる。駆動機構120は、制御回路110の制御に従い、分析部20を駆動させる。駆動機構120は、例えば、ギア、ステッピングモータ、ベルトコンベア、及びリードスクリュー等により実現される。駆動機構120は、例えば、サンプルディスク21と、試薬ラック35と、試薬ラック36と、を個別に回動駆動して、試料容器31と、試薬容器32と、試薬容器33と、をそれぞれ移動する。また、駆動機構120は、移送機構(反応ディスク)24を回転駆動して、反応容器を移動する。さらに、駆動機構120は、上述したアーム252,262,272を個別に上下及び回動駆動し、プローブ40(251,261,271)をそれぞれ移動する。
【0034】
記憶回路118は、少なくとも制御回路110に備わる機能を実現するためのプログラムを記憶している。記憶回路118は、制御回路110に備わる機能を実現するためのプログラムの他に、他のプログラム、操作部17を介して入力されたデータ、分析部20で生成されたデータ等の他の情報を記憶してもよい。記憶回路118は、磁気的、若しくは光学的記録媒体、又は半導体メモリ等の、プロセッサにより読み取り可能な記録媒体等を含む。なお、記憶回路118は、必ずしも単一の記憶装置により実現される必要はない。例えば、記憶回路118は、複数の記憶装置により実現されてもよい。
【0035】
制御回路110は、自動分析装置10の中枢として機能するプロセッサである。制御回路110は、記憶回路118に記憶されているプログラムを実行することで、実行したプログラムに対応する機能を実現する。なお、制御回路110は、記憶回路118で記憶されているデータの少なくとも一部を記憶する記憶領域を備えてもよい。
図2に示される制御回路110は、記憶回路118に記憶されているプログラムを実行することで、例えば、プローブ駆動機能111と、検知機能112と、判定機能113と、洗浄機能114と、報知機能115とを有する。なお、本実施形態では、単一のプロセッサによって、プローブ駆動機能111と、検知機能112と、判定機能113と、洗浄機能114と、報知機能115とが実現される場合を説明するが、これに限定されない。例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて制御回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより、これらの各種機能を実現してもよい。
【0036】
本明細書の各実施形態において、プローブ駆動機能111がプローブ駆動部を構成し、検知機能112が検知部を構成し、判定機能113が判定部を構成し、制御回路110の洗浄機能114が洗浄部を構成し、報知機能115が報知部を構成する。
【0037】
プローブ駆動機能111は、駆動機構120を制御して、各プローブ40を駆動する機能である。例えば、プローブ駆動機能111において、各プローブ40を垂直方向(上下方向)及び/又は水平方向に移動させるように、駆動機構120を制御する。
【0038】
検知機能112は、検知手段50を制御して、プローブ40と液体との接触を検知する機能である。液体は、例えば、試料、試薬又は洗浄液である。例えば、検知機能112において、検知手段50で検知する静電容量の電位の変化に基づいて、プローブ40と液体とが接触したことを検知するように、検知手段50を制御する。本実施形態では、検知機能112により、プローブ40と液滴Dとの接触も検知することができる。
【0039】
判定機能113は、検知手段50による検知結果に基づいて、プローブ40に液滴が付着しているか否かを検出する機能である。判定機能113における判定方法の詳細については後述する。
【0040】
洗浄機能114は、プローブ40を洗浄する機能である。とりわけ、洗浄機能114は、プローブ40の外面42を洗浄する機能である。プローブ40を用いた試料や試薬の1回の分注が終了する度に、洗浄機能114によりプローブ40が洗浄される。本実施形態では、プローブ40で試料や試薬を吸引し、プローブ40が移動した後に外面42に液滴D(例えば試料や試薬)が付着している場合に、洗浄機能114によりプローブ40が洗浄されてもよい。また、プローブ40を洗浄し、プローブ40が移動した後に外面42に液滴D(例えば洗浄液)が付着している場合に、洗浄機能114によりプローブ40が洗浄されてもよい。洗浄機能114では、プローブ40の外面42に向けて洗浄液が噴射される。これにより、外面42に付着した試料、試薬、洗浄液等が洗い流される。洗浄液は、例えば純水等の水である。なお、プローブ40は、複数回の分注動作の後に洗浄されてもよい。例えば、キャリブレーションやコントロール試料の測定の際には、プローブ40は、1試料分の分注の間は洗浄されずに吸引及び吐出する動作をし続けてもよい。すなわち、プローブ40は、1試料分の複数の分注動作の後に洗浄されてもよい。
【0041】
報知機能115は、使用者に対して報知を行う機能である。例えば、報知機能115において、プローブ40に液滴Dが付着していることを検出した場合に、使用者へ通知するように、出力部15を制御してもよい。また、報知機能115において、プローブ40に液滴Dが付着していることを検出したことによって、プローブ40による試料及び/又は試薬の吸引動作、若しくは、プローブ40の洗浄動作をキャンセルした場合に、使用者へ通知するように、出力部15を制御してもよい。さらに、記憶部132内の情報に、当該動作がキャンセルされた旨の情報を追加した場合に、使用者へ通知するように、出力部15を制御してもよい。
【0042】
本実施形態の自動分析装置10では、分析部20において、一例として、試料分注工程、第1試薬分注工程及び第2試薬分注工程が、この順に行われる。
【0043】
試料分注工程では、まず、試料分注プローブ271を、サンプルディスク21に保持された試料容器31内に下降させ、試料分注プローブ271内に所定量の試料(流動体)を吸引する。次に、試料分注プローブ271を上昇させる。次に、第3アーム272を回転させて、試料分注プローブ271を反応ディスク24に保持された反応容器の上方に位置させる。次に、試料分注プローブ271内に保持された試料を反応容器内に吐出する。その後、第3洗浄機構63において試料分注プローブ271を洗浄する。
【0044】
第1試薬分注工程では、まず、第1試薬分注プローブ251を、試薬ラック35に保持された試薬容器32内に下降させ、第1試薬分注プローブ251内に所定量の第1試薬を吸引する。次に、第1試薬分注プローブ251を上昇させる。次に、第1アーム252を回転させて、第1試薬分注プローブ251を反応容器の上方に位置させる。次に、第1試薬分注プローブ251内に保持された第1試薬を反応容器内に吐出する。その後、第1洗浄機構61において第1試薬分注プローブ251を洗浄する。
【0045】
第2試薬分注工程では、まず、第2試薬分注プローブ261を、試薬ラック36に保持された試薬容器33内に下降させ、第2試薬分注プローブ261内に所定量の第2試薬を吸引する。次に、第2試薬分注プローブ261を上昇させる。次に、第2アーム262を回転させて、第2試薬分注プローブ261を反応容器の上方に位置させる。次に、第2試薬分注プローブ261内に保持された第2試薬を反応容器内に吐出する。その後、第2洗浄機構62において第2試薬分注プローブ261を洗浄する。
【0046】
図4~
図7を参照して、試料分注工程、第1試薬分注工程及び第2試薬分注工程における、プローブ40、検知手段50及び制御部11の具体的な動作の一例について説明する。
図4は、プローブ40への試薬、試料等の液滴Dの付着を検出する方法の一例を示すフローチャートである。
図5~
図7は、プローブ40への試薬、試料等の液滴Dの付着検出工程について説明するための図である。
【0047】
本実施形態におけるプローブ40への液滴Dの付着検出方法は、試料分注工程、第1試薬分注工程及び第2試薬分注工程において同様に行われ得る。したがって、ここでは、試料分注工程、第1試薬分注工程及び第2試薬分注工程におけるプローブ40への液滴Dの付着検出方法についてまとめて説明する。そのため、本明細書では、試料容器31、試薬容器32及び試薬容器33をまとめて容器30と呼ぶ。また、試料、第1試薬及び第2試薬をまとめて流動体34と呼ぶ。したがって、試料分注工程では、容器30は試料容器31を指し、流動体34は試料を指す。第1試薬分注工程では、容器30は試薬容器32を指し、流動体34は第1試薬を指す。また、第2試薬分注工程では、容器30は試薬容器33を指し、流動体34は第2試薬を指す。
【0048】
まず、プローブ40を下降させて、
図5に示されているように、プローブ40の先端(下端)を容器30内に挿入する。このプローブ40の下降は、制御回路110のプローブ駆動機能111により制御され、実行される。次に、プローブ40による流動体34の吸引動作又は吐出動作を行う(ステップS1)。この流動体34の吸引動作及び吐出動作は、制御回路110のプローブ駆動機能111により制御され、実行される。
【0049】
次に、
図6及び
図7に示されているように、プローブ40を移動させた後、停止させる(ステップS2)。とりわけ、ステップS2では、プローブ40を上昇させた後、停止させる。このプローブ40の移動は、制御回路110のプローブ駆動機能111により制御され、実行される。
図7には、プローブ40が停止した状態で示されている。このとき、プローブ40の外面42に流動体34の一部が液滴Dとなって付着することがある。
図6及び
図7には、プローブ40の外面42に液滴Dが付着した例が示されている。本実施形態では、検知手段50を用いて、プローブ40に液滴Dが付着しているか否かを検知する。
【0050】
本実施形態では、検知手段50によって常に静電容量の電位が測定されている。この場合、プローブ40と液体との接触が常に検知可能である。なお、これに限られず、検知手段50による電位の測定は、所定の期間にのみ行われてもよい。ステップS2において、検知手段50によってプローブ40が流動体34の液面から離れたことが検知された後、プローブ40に液滴Dが付着しているか否かを検知するための検知手段50による電位の測定が行われる(ステップS3)。この測定は、制御回路110の検知機能112により制御され、実行される。この測定は、所定期間にわたって行われる。この所定期間は、検知手段50によってプローブ40が流動体34の液面から離れたことが検知された後に開始され、プローブ40が停止された後に終了されてもよい。また、この所定期間は、プローブ40が停止された後に開始されてもよい。所定期間は、例えば、0.1秒以上2秒以下の期間であってもよい。また、所定期間は、0.2秒以上1.5秒以下の期間であってもよいし、0.3秒以上1秒以下の期間であってもよいし、0.4秒以上0.8秒以下の期間であってもよい。一例として、所定期間は、0.5秒間であってもよい。
【0051】
制御部11は、検知手段50による検知結果に基づいて、プローブ40に液滴Dが付着しているか否かを判定する(ステップS4)。この判定は、制御回路110の判定機能113により制御され、実行される。ステップS4において、所定期間内に、検知手段50によって測定された電位信号が閾値Tを超えた場合には、制御部11は、プローブ40に液滴Dが付着していると判定する。その一方、この所定期間内に、検知手段50によって測定された電位信号が閾値Tを超えない場合には、制御部11は、プローブ40に液滴Dが付着していないと判定する。
【0052】
図8は、プローブ40の外面42に液滴Dが付着していないときの、検知手段50による検知結果の一例を示す図であり、
図9は、プローブ40の外面42に液滴Dが付着しているときの、検知手段50による検知結果の一例を示す図である。
図8及び
図9では、閾値Tとして、下限値T1及び上限値T2を設定している。なお、これに限られず、閾値Tとして、下限値T1のみを設定してもよく、上限値T2のみを設定してもよい。閾値T(T1,T2)は、絶対的に設定された電位値であってもよいし、ある時点で検知手段50によって測定された電位値に対して相対的に設定された電位値であってもよい。
【0053】
図8及び
図9に示された例において、グラフの左端が所定期間の開始時点であり、グラフの右端が所定期間の終了時点である。
図8に示された例では、所定期間内に検知手段50によって測定された電位信号が閾値T(T1,T2)を超えていない。この場合、制御部11は、プローブ40に液滴Dが付着していないと判定する。
図9に示された例では、所定期間内に検知手段50によって測定された電位信号が閾値T(下限値T1)を超えている。この場合、制御部11は、プローブ40に液滴Dが付着していると判定する。なお、検知手段50によって測定された電位信号が閾値T(T1,T2)を超えるとは、当該電位信号が、下限値T1よりも大きい値から下限値T1よりも小さい値に変化すること、又は、当該電位信号が、上限値T2よりも小さい値から上限値T2よりも大きい値に変化することを意味する。
【0054】
ステップS4において、制御部11により、プローブ40に液滴Dが付着していないと判定された場合(ステップS4で「NO」の場合)には、その後の通常の動作を継続する(ステップS5)。その一方、ステップS4において、制御部11により、プローブ40に液滴Dが付着していると判定された場合(ステップS4で「YES」の場合)には、プローブ40を洗浄部60(第1洗浄機構61、第2洗浄機構62、第3洗浄機構63)に移動させて、洗浄部60においてプローブ40の洗浄を行う(ステップS6)。このプローブ40の洗浄は、制御回路110の洗浄機能114により制御され、実行される。
【0055】
ステップS4において、制御部11により、プローブ40に液滴Dが付着していると判定された場合には、制御部11は使用者への報知を行ってもよい。この報知は、制御回路110の報知機能115により制御され、実行される。使用者への報知は、印刷部151からの印刷出力、表示部152への表示、スピーカーからの音声出力等により、実行することができる。また、使用者への報知は、オンライン部153を介して、使用者が使用する情報端末へ通知を行うことにより実行してもよい。情報端末は、パーソナルコンピュータ、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末等であってもよい。
【0056】
プローブ40の洗浄が終了すると、制御部11は、プローブ40による再度の吸引動作が可能か否かを判定する(ステップS7)。この判定は、制御回路110の判定機能113により制御され、実行される。ステップS7では、例えば、ステップS1で吸引又は吐出動作が行われていた容器30の位置が変更されておらず、プローブ40による流動体34の吸引が可能である場合には、プローブ40による再度の吸引動作が可能であると判定してもよい。この場合、ステップS1で吸引又は吐出動作が行われていた容器30の位置が変更されている場合には、プローブ40による再度の吸引動作が不可能であると判定する。また、プローブ40による再度の吸引動作に要する時間等を考慮して、再度の吸引動作が可能であるか否かを判定することもできる。再度の吸引動作が可能であるタイミングの閾値を設定しておき、プローブ40が洗浄部60での洗浄から復帰した時刻がこの閾値を超えていない場合には再度の吸引動作が可能であると判定してもよい。この場合、プローブ40が洗浄部60での洗浄から復帰した時刻がこの閾値を超えている場合には再度の吸引動作が不可能であると判定する。
【0057】
ステップS7において、プローブ40による再度の吸引動作が可能であると判定された場合(ステップS7で「YES」の場合)には、ステップS1で吸引又は吐出動作が行われていた容器30内にある流動体34の再吸引動作と、プローブ40内に吸引した流動体34の反応容器への吐出を行う(ステップS8)。
【0058】
ここで、本実施形態の記憶部132には、試料についての情報が記憶されている。試料についての情報は、例えば、各試料を特定するIDと、このIDに紐づけされた情報を含んでいる。IDに紐づけされた情報は、そのIDで特定される試料についての分析結果を含んでもよい。
【0059】
ステップS7において、プローブ40による再度の吸引動作が不可能であると判定された場合(ステップS7で「NO」の場合)には、制御部11は、ステップS1で吸引又は吐出動作が行われていた容器30内にある流動体34の吸引及び吐出動作をキャンセルする。このとき、制御部11は、記憶部132内に記憶された、ステップS1で吸引又は吐出動作が行われていた容器30内にある流動体34が吐出されるべき反応容器に収容される試料のIDに紐づけて、流動体34の吸引及び吐出動作がキャンセルされた旨の情報を追加して記憶する(ステップS9)。この流動体34の吸引及び吐出動作がキャンセルされた旨の情報は、エラーフラグとも呼ばれる。このエラーフラグの追加は、制御回路110の判定機能113により制御され、実行される。
【0060】
ステップS9において、制御部11により、記憶部132の情報にエラーフラグが追加された場合には、制御部11は使用者への報知を行ってもよい。この報知は、制御回路110の報知機能115により制御され、実行される。使用者への報知は、印刷部151からの印刷出力、表示部152への表示、スピーカーからの音声出力等により、実行することができる。また、使用者への報知は、オンライン部153を介して、使用者が使用する情報端末へ通知を行うことにより実行してもよい。情報端末は、パーソナルコンピュータ、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末等であってもよい。
【0061】
その後、次の容器30の処理に移る。具体的には、プローブ40により、次の容器30内に収容された流動体34の吸引動作を行う(ステップS10)。ステップS10は、次の容器30についてのステップS1であってもよい。
【0062】
洗浄部60でプローブ40を洗浄した際に、プローブ40の外面42に洗浄液の一部が付着して液滴Dとなることがある。外面42に洗浄液の液滴Dが付着したまま試薬、試料等の吸引を行うと、洗浄液の液滴Dが試料容器31又は試薬容器32,33内へ落下することがある。この場合、試料容器31、試薬容器32,33内に収容された試料、試薬等が洗浄液で薄められる。
【0063】
本実施形態の自動分析装置10では、洗浄部60で洗浄されたプローブ40に洗浄液の液滴Dが付着しているか否かを検出することができる。
図10及び
図11を参照して、洗浄工程におけるプローブ40、検知手段50及び制御部11の具体的な動作の一例について説明する。
図10は、プローブ40への洗浄液の液滴Dの付着を検出する方法の一例を示すフローチャートである。
図11は、プローブ40への液滴Dの付着を検出する工程について説明するための図である。
【0064】
まず、洗浄部60においてプローブ40を洗浄する(ステップS11)。ステップS11では、洗浄部60において、プローブ40に向かって洗浄液を噴射して、プローブ40に付着した試料や試薬を洗い流す。なお、洗浄液としては、例えば純水等の水が使用される。このプローブ40の洗浄は、制御回路110の洗浄機能114により制御され、実行される。
【0065】
次に、プローブ40を移動させた後、停止させる(ステップS12)。ステップS12では、プローブ40を水平方向に移動させて、容器30の上方で停止させてもよい。また、ステップS12では、プローブ40を上昇させて停止させてもよい。このプローブ40の移動は、制御回路110のプローブ駆動機能111により制御され、実行される。
図11には、プローブ40を水平方向に移動させて、容器30の上方で停止させた状態が示されている。また、
図11には、プローブ40の外面42に洗浄液の液滴Dが付着した例が示されている。本実施形態では、検知手段50を用いて、プローブ40に洗浄液の液滴Dが付着しているか否かを検知する。
【0066】
ステップS12において、検知手段50によってプローブ40が洗浄部60から噴射された洗浄液から離れたことが検知された後、プローブ40に液滴Dが付着しているか否かを検知するための検知手段50による電位の測定が行われる(ステップS13)。この測定は、制御回路110の検知機能112により制御され、実行される。この測定は、所定期間にわたって行われる。この所定期間は、検知手段50によってプローブ40が洗浄部60から噴射された洗浄液から離れたことが検知された後に開始され、プローブ40が停止された後に終了されてもよい。また、この所定期間は、プローブ40が停止された後に開始されてもよい。所定期間は、例えば、0.1秒以上2秒以下の期間であってもよい。また、所定期間は、0.2秒以上1.5秒以下の期間であってもよいし、0.3秒以上1秒以下の期間であってもよいし、0.4秒以上0.8秒以下の期間であってもよい。一例として、所定期間は、0.5秒間であってもよい。
【0067】
制御部11は、検知手段50による検知結果に基づいて、プローブ40に液滴Dが付着しているか否かを判定する(ステップS14)。この判定は、制御回路110の判定機能113により制御され、実行される。ステップS14において、所定期間内に、検知手段50によって測定された電位信号が閾値Tを超えた場合には、制御部11は、プローブ40に液滴Dが付着していると判定する。その一方、この所定期間内に、検知手段50によって測定された電位信号が閾値Tを超えない場合には、制御部11は、プローブ40に液滴Dが付着していないと判定する。
【0068】
ステップS14において、制御部11により、プローブ40に液滴Dが付着していないと判定された場合(ステップS14で「NO」の場合)には、その後の通常の動作を継続する(ステップS15)。その一方、ステップS14において、制御部11により、プローブ40に液滴Dが付着していると判定された場合(ステップS14で「YES」の場合)には、プローブ40を洗浄部60に移動させて、洗浄部60において再度プローブ40の洗浄を行う(ステップS166)。このプローブ40の再洗浄は、制御回路110の洗浄機能114により制御され、実行される。
【0069】
ステップS14において、制御部11により、プローブ40に液滴Dが付着していると判定された場合には、制御部11は使用者への報知を行ってもよい。この報知は、制御回路110の報知機能115により制御され、実行される。使用者への報知は、印刷部151からの印刷出力、表示部152への表示、スピーカーからの音声出力等により、実行することができる。また、使用者への報知は、オンライン部153を介して、使用者が使用する情報端末へ通知を行うことにより実行してもよい。情報端末は、パーソナルコンピュータ、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末等であってもよい。
【0070】
図10及び
図11を参照して説明した、プローブ40への液滴Dの付着の検知は、
図4を参照して説明したステップS6のプローブ40の洗浄工程で行われてもよい。
【0071】
ステップS14において、制御部11により、プローブ40に液滴Dが付着していると判定された場合に、制御部11は、洗浄部60における洗浄動作をキャンセルしてもよい。このとき、制御部11は、記憶部132内に記憶された、ステップS1で吸引又は吐出動作が行われていた容器30内にある流動体34が吐出されるべき反応容器に収容される試料のIDに紐づけて、洗浄動作がキャンセルされた旨の情報(エラーフラグ)を追加して記憶してもよい。このエラーフラグの追加は、制御回路110の判定機能113により制御され、実行される。
【0072】
本実施形態の自動分析装置10は、
[1]試料及び/又は試薬の吸引及び吐出を行うプローブ40と、
前記プローブ40と液体との接触を検知する検知手段50と、
前記検知手段50による検知結果に基づいて、前記プローブ40に液滴Dが付着していることを検出する制御部11と、
を備える自動分析装置10、である。
【0073】
本実施形態の自動分析装置10は、
[2]前記制御部11は、前記検知手段50により検知された信号が閾値Tを超えたときに、前記プローブ40に前記液滴Dが付着していると判定する、[1]に記載の自動分析装置10、である。
【0074】
本実施形態の自動分析装置10は、
[3]前記信号は、前記プローブ40の移動動作の終了後に前記検知手段50により検知された信号である、[2]に記載の自動分析装置10、である。
【0075】
本実施形態の自動分析装置10は、
[4]前記制御部11は、試料及び/又は試薬の吸引動作後、若しくは、前記プローブ40の洗浄動作後に、前記プローブ40に液滴Dが付着していることを検出した場合、当該動作をキャンセルする、[1]~[3]のいずれか1つに記載の自動分析装置10、である。
【0076】
本実施形態の自動分析装置10は、
[5]前記試料についての情報を記憶する記憶部132を備え、
前記動作がキャンセルされた場合、前記制御部11は、キャンセルされた前記動作に関連する前記試料についての前記情報に、当該動作がキャンセルされた旨の情報を追加する、[4]に記載の自動分析装置10、である。
【0077】
本実施形態の自動分析装置10は、
[6]前記制御部11は、前記プローブ40に液滴Dが付着していることを検出した場合、前記プローブ40の洗浄動作を行う、[1]~[5]のいずれか1つに記載の自動分析装置10、である。
【0078】
本実施形態の自動分析装置10は、
[7]前記制御部11は、前記プローブ40に液滴Dが付着していることを検出した場合、使用者への報知を行う、[1]~[6]のいずれか1つに記載の自動分析装置10、である。
【0079】
本実施形態のプローブ40への液滴付着検出方法は、
[8]試料及び/又は試薬の吸引及び吐出を行うプローブ40と、前記プローブ40と液体との接触を検知する検知手段50と、を備えた自動分析装置10における、プローブ40への液滴付着検出方法であって、
前記検知手段50による検知結果に基づいて、前記プローブ40に液滴Dが付着していることを検出する、プローブ40への液滴付着検出方法、である。
【0080】
なお、上記説明における「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(central processing unit)、GPU (Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出して実行することで各処理機能を実現する。一方、プロセッサが例えばASICである場合、プログラムが記憶回路に保存される代わりに、当該処理機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その処理機能を実現するようにしてもよい。さらに、
図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその処理機能を実現するようにしてもよい。
【0081】
いくつかの実施形態及び変形例を説明したが、これらの実施形態及び変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態及び変形例同士の組み合わせを行うことができる。これらの実施形態及び変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0082】
10 自動分析装置
11 分析制御部(制御部)
13 分析データ処理部
15 出力部
17 操作部
19 システム制御部
20 分析部
21 サンプルディスク
22 試薬庫
23 試薬庫
24 反応ディスク
25 第1試薬分注機構
40 プローブ
42 外面
26 第2試薬分注機構
27 試料分注機構
39 測定部
50 検知手段
60 洗浄部
110 制御回路
111 プローブ駆動機能
112 検知機能
113 判定機能
114 洗浄機能
115 報知機能
118 記憶回路
120 駆動機構
132 記憶部
D 液滴
T 閾値