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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112599
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】超音波診断装置及び拡張コネクタ
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
A61B8/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017743
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【弁理士】
【氏名又は名称】柳本 陽征
(74)【代理人】
【識別番号】100202429
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 信人
(74)【代理人】
【識別番号】100120385
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 健之
(72)【発明者】
【氏名】崔 載鎬
(72)【発明者】
【氏名】大淵 さつき
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601EE11
4C601EE21
4C601GD18
4C601LL17
(57)【要約】
【課題】装置本体に超音波プローブを接続する拡張コネクタに発生した異常に迅速に対処すること。
【解決手段】実施形態に係る超音波診断装置は、装置本体と、拡張コネクタとを備える。装置本体は、コネクタポートを有する。拡張コネクタは、コネクタポートに接続され、装置本体に超音波プローブを接続する。拡張コネクタは、異常検知部と、異常通知部とを備える。異常検知部は、拡張コネクタに生じた異常を検知する。異常通知部は、装置本体に向けて異常検知部によって検知された異常を通知する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタポートを有する装置本体と、
前記コネクタポートに接続される拡張コネクタであって、前記装置本体に超音波プローブを接続する拡張コネクタと、を備え、
前記拡張コネクタは、
前記拡張コネクタに生じた異常を検知する異常検知部と、
前記装置本体に向けて前記異常検知部によって検知された前記異常を通知する異常通知部と、を備える、
超音波診断装置。
【請求項2】
前記拡張コネクタは、前記超音波プローブに設けられた第2のコネクタが接続される複数の第2のコネクタポートを有する拡張コネクタである、請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記異常の通知は、前記異常の種類を識別する情報の通知を含む、請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記拡張コネクタは、
前記異常の通知に用いるクロック信号を生成するクロック生成部と、
前記クロック生成部による前記クロック信号の生成を制御するクロック生成制御部と、
を更に備える、請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記拡張コネクタは、前記拡張コネクタと前記装置本体との間で通信を行うためのバスを更に備え、
前記異常通知部は、前記バスを通じて前記異常の通知を行う、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記拡張コネクタは、前記装置本体に信号を送信するための信号線を更に備え、
前記異常通知部は、前記信号線を通じて前記装置本体に、超音波の送信停止を要求する送信停止要求信号又は警告の出力を要求する警告出力要求信号を送信することで、前記異常を通知する、請求項1又は2に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記装置本体は、前記送信停止要求信号又は前記警告出力要求信号が送信された場合に前記拡張コネクタから前記異常の種類を識別する情報を読み込む情報読み込み部を備える、請求項6に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記異常通知部は、クロック信号を用いずに前記送信停止要求信号又は前記警告出力要求信号を送信する、請求項6に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記異常検知部は、前記拡張コネクタに生じた異常として前記複数の第2のコネクタポートに生じた異常を検知可能であり、
前記拡張コネクタは、前記異常が検知された前記第2のコネクタポートへの電源供給を停止する処理を行う電源停止処理部を更に備える、請求項2に記載の超音波診断装置。
【請求項10】
前記拡張コネクタは、前記拡張コネクタと前記装置本体との間で通信を行うためのバスを更に備え、
前記クロック生成制御部は、前記装置本体が前記バスを通じて前記コネクタにアクセスするときに、前記クロック信号の要否を判断して必要と判断された場合に前記クロック生成部に前記クロック信号を生成させ、前記クロック信号を用いた前記アクセスが終了したときに前記クロック生成部に前記クロック信号の生成を停止させる、請求項4に記載の超音波診断装置。
【請求項11】
前記装置本体は、
前記バスを通じた前記拡張コネクタとの通信に用いる第2のクロック信号を生成する第2のクロック生成部と、
前記第2のクロック生成部による前記第2のクロック信号の生成を制御する第2のクロック生成制御部と、
を備え、
前記第2のクロック生成制御部は、前記装置本体がマスターとして動作するときは、前記第2のクロック生成部に前記第2のクロック信号を生成させ、前記装置本体がスレーブとして動作するときは、前記第2のクロック生成部に前記第2のクロック信号の生成を停止させる、請求項10に記載の超音波診断装置。
【請求項12】
前記異常は、前記装置本体により選択されたコネクタポートに供給された電圧が上限値を上回ること、前記選択されたコネクタポートに供給された電流が上限値を上回ること、前記選択されたコネクタポートにおいて前記超音波プローブが変わったこと、前記超音波プローブが接続されていないコネクタポートが前記装置本体により選択されたこと、及び前記超音波プローブが接続されていないコネクタポートにリレーが接続されたことの少なくとも1つを含む、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
【請求項13】
前記拡張コネクタは、前記異常が検知される前及び前記異常が解消された後は、スレーブとして動作し、前記異常が検知されてから前記異常が解消されるまでは、マスターとして動作し、
前記装置本体は、前記異常が検知される前及び前記異常が解消された後は、マスターとして動作し、前記異常が検知されてから前記異常が解消されるまでは、スレーブとして動作する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
【請求項14】
装置本体のコネクタポートに接続されて前記装置本体に超音波プローブを接続する拡張コネクタであって、
前記拡張コネクタに生じた異常を検知する異常検知部と、
前記装置本体に向けて前記異常検知部によって検知された前記異常を通知する異常通知部と、を備える、
拡張コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、超音波診断装置及び拡張コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ハンドキャリー型超音波診断装置等の超音波診断装置においては、超音波プローブが接続されるプローブポートの個数を増やすために、プローブポートの拡張基板を使用することがあった。また、超音波診断装置においては、装置本体のプローブポートと異なる形状のプローブポートに対応する超音波プローブを装置本体に接続して使用するために、プローブポートの変換基板を使用することがあった。
【0003】
また、近年、超音波診断装置においては、装置本体のプローブポートの個数を減らすことで、小型化及びコストの削減が図られるようになった。一方、小型の超音波診断装置においても、ユーザによっては、プローブポートの個数を増やすことが求められることがある。そこで、小型の超音波診断装置においては、装置本体のプローブポートに拡張基板を接続することで、ユーザの要求に応えている。
【0004】
拡張基板及び変換基板は、超音波送信パルスとエコーデータとが通るノイズに敏感な部分である。このため、拡張基板及び変換基板は、超音波送受信中には、装置本体とのコミュニケーション用のバスを停止したり、拡張基板内及び変換基板内のクロック信号を止めたりして、常にスレーブモードで動作する。拡張基板及び変換基板にフォールトが発生したとき、装置本体は、フォールトの状態を直接知ることができない。このため、装置本体は、コミュニケーション用のバスを通じたポーリング(すなわち、監視)によって、拡張基板上及び変換基板上のフォールト情報を収集する必要があった。
【0005】
しかしながら、従来は、フォールトの発生から、装置本体がフォールトを認識して超音波の送信停止等の緊急処理を行うまでに時間がかかっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-46120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、装置本体に超音波プローブを接続する拡張コネクタに発生した異常に迅速に対処することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る超音波診断装置は、装置本体と、拡張コネクタとを備える。装置本体は、コネクタポートを有する。コネクタは、コネクタポートに接続され、装置本体に超音波プローブを接続する。拡張コネクタは、異常検知部と、異常通知部とを備える。異常検知部は、拡張コネクタに生じた異常を検知する。異常通知部は、装置本体に向けて異常検知部によって検知された異常を通知する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成の一例を示すブロック図。
図2図2は、第1の実施形態に係る超音波診断装置における拡張基板の構成の一例を示すブロック図。
図3図3は、第1の実施形態に係る超音波診断装置における拡張基板の動作例を示すフローチャート。
図4図4は、第1の実施形態に係る超音波診断装置における装置本体の動作例を示すフローチャート。
図5図5は、第2の実施形態に係る超音波診断装置における拡張基板の構成の一例を示すブロック図。
図6図6は、第2の実施形態に係る超音波診断装置における拡張基板の動作例を示すフローチャート。
図7図7は、第3の実施形態に係る超音波診断装置における拡張基板の構成の一例を示すブロック図。
図8図8は、第3の実施形態に係る超音波診断装置における拡張基板の動作例を示すフローチャート。
図9図9は、第3の実施形態に係る超音波診断装置の動作例を説明するために用いる異常の種類と通知方法との対応表。
図10図10は、第3の実施形態に係る超音波診断装置における装置本体の動作例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、超音波診断装置及び拡張コネクタの実施形態について説明する。なお、以下の説明において、実質的に同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行うこととする。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、超音波プローブ2A,2B,2Cと、拡張基板3と、入力インタフェース4と、出力インタフェース5と、装置本体6とを備える。拡張基板3は、拡張コネクタの一例である。拡張基板3は、プローブアダプタと呼ぶこともある。拡張基板3、入力インタフェース4、及び出力インタフェース5は、装置本体6と通信可能に接続される。図1に示される例において、超音波プローブ2A,2B,2Cは、拡張基板3を介して装置本体6と接続される。超音波プローブ2A,2B,2Cは、装置本体6に直接接続されてもよい。
【0012】
超音波プローブ2A,2B,2Cは、被検体Pの超音波画像を取得するために、被検体Pに超音波を送信し、被検体Pから超音波の反射波(エコー)を受信する装置である。なお、図1に示される例において、超音波プローブ2A,2B,2Cの個数は3個である。超音波プローブ2A,2B,2Cの個数は3個に限定されず、後述するプローブポートの個数に応じて種々変更することが可能である。
【0013】
超音波プローブ2A,2B,2Cは、複数の振動子を有する。複数の振動子は、装置本体6から送信される駆動信号(電気信号)を超音波に変換し、変換された超音波を被検体Pに送信する。また、超音波プローブ2A,2B,2Cは、被検体Pによって反射された超音波(反射波)を受信して電気信号に変換する。すなわち、超音波プローブ2A,2B,2Cは、被検体を超音波でスキャンして、被検体から反射波を受信する。振動子には、駆動信号の入力及び反射波の電気信号の入力のための電極が設けられている。振動子は、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)及びPVDF(ポリフッ化ビニリデン)等で構成されていてもよい。振動子の表面には、例えば、音響整合層と、音響レンズとが配置されている。振動子の背面には、例えば、バッキング材が配置されている。音響整合層は、λ/4層とも呼ばれ、振動子と生体間のインピーダンス差を低減することで、超音波を効率良く送受信するための層である。音響レンズは、検査時に生体表面との摩擦を少なくし、また、超音波ビームを収束させてスライス分解能を向上させるための構造である。バッキング材は、後方への超音波を吸収し、前方への超音波のパルス幅を短くする構造である。図1に示される例において、超音波プローブ2A,2B,2Cは、拡張基板3と着脱自在に接続される。超音波プローブ2A,2B,2Cは、装置本体6と着脱自在に接続されてもよい。
【0014】
超音波プローブ2A,2B,2Cから被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ2A,2B,2Cが有する複数の振動子で受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
【0015】
超音波プローブ2A,2B,2Cは、例えば、リニア型、セクタ型、コンベックス型、及びラジアル型のいずれのビームスキャン方式の超音波プローブであってもよい。また、超音波プローブ2A,2B,2Cは、被検体Pを2次元で走査する1Dアレイプローブであっても、被検体Pを3次元で走査する3次元プローブすなわちメカニカル4Dプローブ又は2Dアレイプローブであっても適用可能である。
【0016】
拡張基板3は、装置本体6に超音波プローブ2A,2B,2Cを接続する。拡張基板3は、超音波プローブ2A,2B,2Cに設けられたコネクタ20a,20b,20cが接続される複数のコネクタポート3a,3b,3cを有する。また、拡張基板3は、装置本体6に設けられた複数のコネクタポート61A,61B,61Cに接続可能なコネクタ3dを有する。拡張基板3は、装置本体6のいずれかのコネクタポート61A,61B,61Cに接続されることで、装置本体6に超音波プローブ2A,2B,2Cを接続する。コネクタ20a,20b,20cは、第2のコネクタの一例である。
【0017】
図2は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1における拡張基板3の構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、拡張基板3は、コネクタポート3a,3b,3c及びコネクタ3dに加えて、更に、切替回路31と、記憶回路32と、発振回路33と、処理回路34とを備える。発振回路33は、クロック生成部の一例である。切替回路31と、記憶回路32と、発振回路33と、処理回路34とは、バス7を介して接続されている。
【0018】
バス7は、例えば、複数の信号線(図示せず)で構成されている。バス7を構成する複数の信号線のうち、一部の信号線は、拡張基板3と装置本体6との間で通信を行うために用いられる。拡張基板3と装置本体6との間での通信は、双方向通信であってもよい。バス7を構成する複数の信号線のうち、他の一部の信号線は、超音波プローブ2A,2B,2Cの駆動信号および反射波信号の伝送に用いられてもよい。
【0019】
バス7は、例えば、SPI、I2C、RS232、RS422/RS485等のシリアル通信方式のバスである。これに限定されず、例えば、バス7は、イーサネット又はパラレル通信方式のバスであってもよい。
【0020】
切替回路31は、スキャン(すなわち、超音波の送受信)に使用される超音波プローブ2A,2B,2Cを切り替える。切替回路31は、コネクタポート3a,3b,3cとコネクタ3dとの接続を切り替えることで、スキャンに使用される超音波プローブ2A,2B,2Cを切り替える。切替回路31は、例えば、リレーである。
【0021】
記憶回路32は、種々の情報を記憶する非一過性の記憶装置であり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、光ディスク、SSD(Solid State Drive)、及び集積回路記憶装置等である。記憶回路32は、例えば、拡張基板3を制御する制御プログラムと、この制御プログラムの実行に用いられる各種のデータとを記憶する。記憶回路32は、HDD及びSSD等以外にも、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)及びフラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体、或いはRAM(Random Access Memory)等の半導体メモリ素子等との間で種々の情報を読み書きする駆動装置であってもよいし、FPGAやPLDの内部メモリでもよい。基本的に拡張基板3の記憶回路32はクロックを止めても良い軽いものが良い。
【0022】
発振回路33は、バス7を介した拡張基板3と装置本体6との通信に用いるクロック信号を生成する。例えば、発振回路33で生成されたクロック信号は、後述する拡張基板3に生じた異常を装置本体6に通知することに用いられる。
【0023】
処理回路34は、拡張基板3の動作を制御する回路である。例えば、処理回路34は、プローブ識別情報通知機能341と、切替制御機能342と、異常検知機能343と、異常通知機能344と、クロック生成制御機能345とを備える。異常検知機能343は、異常検知部の一例である。異常通知機能344は、異常通知部の一例である。クロック生成制御機能345は、クロック生成制御部の一例である。
【0024】
ここで、例えば、図2に示す処理回路34の構成要素であるプローブ識別情報通知機能341、切替制御機能342、異常検知機能343、異常通知機能344、及びクロック生成制御機能345が実行する各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路32に記録されている。処理回路34は、例えば、プロセッサ、もしくはFPGAやPLDである。処理回路34は、記憶回路32から各プログラムを読み出し、実行することで読み出した各プログラムに対応する機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路34は、図2の処理回路34内に示された各機能を有することとなる。基本的に拡張基板3の処理回路はプロセッサよりもクロックが無くても動作するFPGAやPLDが好まれる。
【0025】
なお、図2においては、プローブ識別情報通知機能341、切替制御機能342、異常検知機能343、異常通知機能344、及びクロック生成制御機能345の各処理機能が単一の処理回路34によって実現される場合を示したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、処理回路34は、複数の独立したプロセッサを組み合わせて構成され、各プロセッサが各プログラムを実行することにより各処理機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路34が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
【0026】
プローブ識別情報通知機能341は、切替回路31によって装置本体6に接続された超音波プローブ2A,2B,2Cの識別情報(すなわち、プローブID)を、装置本体6に通知する。超音波プローブ2A,2B,2Cの識別情報は、例えば、超音波プローブ2A,2B,2Cの製品番号、振動アレイの形状の種類、及びビームスキャン方式の種類等であってもよいが、これらに限定されるものではない。例えば、プローブ識別情報通知機能341は、装置本体6がマスターとして動作し、拡張基板3がスレーブとして動作するときに、装置本体6からの指示にしたがって、装置本体6に接続された超音波プローブ2A,2B,2Cの識別情報を装置本体6に通知する。
【0027】
切替制御機能342は、切替回路31による超音波プローブ2A,2B,2Cの切り替えを制御する。例えば、切替制御機能342は、装置本体6がマスターとして動作し、拡張基板3がスレーブとして動作するときに、装置本体6からの指示にしたがって、装置本体6により選択されたコネクタポート3a,3b,3cに対応する1つの超音波プローブ2A,2B,2Cを送受信回路63に接続するように切替回路31を制御する。
【0028】
異常検知機能343は、拡張基板3に生じた異常(すなわち、フォールト)を検知する。例えば、拡張基板3で生じる異常は、装置本体6により選択されたコネクタポート3a,3b,3cに供給された高電圧が基準電圧(上限値)を上回る異常(以下、Probe High Voltage Errorと呼ぶ)を含んでもよい。高電圧は、超音波プローブ2A,2B,2Cの音響パワーを上げるために超音波プローブ2A,2B,2Cに供給される電圧である。また、拡張基板3で生じる異常は、装置本体6により選択されたコネクタポート3a,3b,3cに供給された5Vバッテリによる印加電流が上限値を上回る異常(以下、P5V Over-Currentと呼ぶ)を含んでもよい。また、拡張基板3で生じる異常は、装置本体6により選択されたコネクタポート3a,3b,3cにおいて超音波プローブ2A,2B,2Cが変わった異常(以下、Probe Changeと呼ぶ)を含んでもよい。また、拡張基板3で生じる異常は、超音波プローブ2A,2B,2Cが接続されていないコネクタポート3a,3b,3cが装置本体6により選択された異常(以下、Probe No Existと呼ぶ)を含んでもよい。また、拡張基板3に生じる異常は、超音波プローブ2A,2B,2Cが接続されていないコネクタポート3a,3b,3cにリレー(切替回路31)が接続された異常(以下、Relay Faultと呼ぶ)を含んでもよい。
【0029】
異常検知機能343は、例えば、装置本体6からの指示によらず、自主的に拡張基板3の動作状態を監視することで、拡張基板3に生じた異常を検知する。
【0030】
例えば、拡張基板3は、異常検知機能343によって拡張基板3の異常が検知されるまでは、スレーブとして動作し、拡張基板3の異常が検知されると、マスターとして動作する。
【0031】
異常通知機能344は、装置本体6に向けて異常検知機能343によって検知された異常を通知する。第1の実施形態において、異常通知機能344は、バス7を通じて装置本体6に異常を通知する。異常の通知は、異常の種類を識別する情報の通知を含む。異常の種類を識別する情報は、例えば、異常検知機能343によって生成されて記憶回路32に記憶される。異常通知機能344は、記憶回路32から異常の種類を識別する情報を読み出して装置本体6に通知する。異常通知機能344は、装置本体6からの指示によらず、自主的に装置本体6に異常を通知することで、拡張基板3のマスターとしての動作の1つを実行する。
【0032】
クロック生成制御機能345は、発振回路33によるクロック信号の生成を制御する。例えば、クロック生成制御機能345は、異常検知機能343によって拡張基板3の異常が検知された場合に、異常通知機能344による異常の通知に用いるクロック信号を発振回路33に生成させる。異常通知機能344は、発振回路33によって生成されたクロック信号を用いて、バス7を通じて異常の通知を行う。第1の実施形態において、異常通知機能344による異常の通知は、異常の種類を識別する情報の通知を含む。クロック生成制御機能345は、異常通知機能344による異常の通知のために、装置本体6からの指示によらず、自主的に発振回路33にクロック信号を生成させる。これにより、クロック生成制御機能345は、拡張基板3のマスターとしての動作の1つを実行する。クロック生成制御機能345は、拡張基板3がマスターとしての動作を終了するときに、発振回路33にクロック信号の生成を停止させる。なお、クロック生成制御機能345は、拡張基板3がスレーブとして動作するときにも、装置本体6からの指示にしたがって発振回路33にクロック信号を生成させてもよい。
【0033】
図1に戻って、入力インタフェース4は、操作者から各種の指示及び情報の入力操作を受け付ける。具体的には、入力インタフェース4は、操作者から受け付けた入力操作を電気信号へ変換して装置本体6に出力する。例えば、入力インタフェース4は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。なお、入力インタフェース4は、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース4の例に含まれる。
【0034】
出力インタフェース5は、各種の情報を出力する。例えば、出力インタフェース5は、ディスプレイを備える。ディスプレイは、装置本体6から送られる情報及び画像のデータを表示用の電気信号に変換して出力する。ディスプレイは、液晶モニタ、CRT(Cathode Ray Tube)モニタ、及び、タッチパネル等によって実現される。出力インタフェース5は、スピーカを備えていてもよい。スピーカは、装置本体6の処理状況を操作者に通知するために、ビープ音等の所定の音声を出力する。
【0035】
装置本体6は、コネクタポート61A,61B,61Cと、切替回路62と、送受信回路63と、記憶回路64と、発振回路65と、処理回路66とを有する。発振回路65は、第2のクロック生成部の一例である。
【0036】
コネクタポート61A,61B,61Cには、コネクタ3dを介して拡張基板3が接続可能である。また、コネクタポート61A,61B,61Cには、超音波プローブを直接接続することも可能である。コネクタポート61A,61B,61Cに拡張基板3又は超音波プローブが接続されると、コネクタポート61A,61B,61Cから処理回路66に、コネクタポート61A,61B,61C又は超音波プローブが接続状態であることが通知される。1つのコネクタポート61A,61B,61Cに複数の超音波プローブ2A,2B,2Cが接続された拡張基板3を接続することで、装置本体6のコネクタポート61A,61B,61Cの個数を増やすことなく超音波プローブの接続数を増やすことができる。
【0037】
切替回路62は、装置本体6に直接又は拡張基板3を介して接続された超音波プローブのうち、スキャンに使用される超音波プローブを切り替える。切替回路62は、コネクタポート61A,61B,61Cと送受信回路63との接続を切り替えることで、スキャンに使用される超音波プローブを切り替える。切替回路62は、例えば、リレーである。
【0038】
送受信回路63は、処理回路66による制御の下で、超音波プローブ2A,2B,2Cに駆動信号を供給する回路である。また、送受信回路63は、超音波プローブ2A,2B,2Cが受信した反射波信号に対して各種処理を行って反射波データを生成する回路でもある。
【0039】
送受信回路63は、処理回路66から取得されたパルス繰り返し周波数(PRF)、送信位置情報、送信開口、及び送信遅延等の送信条件に従って、所望の超音波パルスが送信されるように超音波プローブ2A,2B,2Cを駆動する。例えば、送受信回路63は、パルス発生器、送信遅延部、及びパルサ等を有する。パルス発生器は、処理回路66から与えられたパルス繰り返し周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。また、送信遅延部は、超音波プローブ2A,2B,2Cから発生される超音波をビーム状に集束し、かつ送信指向性を決定するために必要な振動子ごとの遅延時間を、パルス発生器が発生する各レートパルスに対して与える。パルサは、遅延時間が与えられたレートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ2A,2B,2Cに駆動信号(駆動パルス)を印加する。すなわち、送信遅延部は、各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、振動子面から送信される超音波の送信方向を任意に調整する。
【0040】
また、送受信回路63は、処理回路66から取得された受信開口情報及び受信遅延等の受信条件に従って、超音波プローブ2A,2B,2Cが受信した反射波信号(超音波受信信号)から反射波データ(ビームデータ)を生成する。例えば、送受信回路63は、プリアンプ、A/D(Analog/Digital)変換器、受信遅延部、及び、加算器等を有する。プリアンプは、反射波信号をチャネル毎に増幅する。A/D変換器は、増幅された反射波信号をA/D変換する。受信遅延部は、受信指向性を決定するために必要な遅延時間を与える。加算器は、受信遅延部によって処理された反射波信号の加算処理を行って反射波データを生成する。加算器の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的なビームが形成される。送受信回路63からの出力信号の形態は、RF(Radio Frequency)信号と呼ばれる位相情報が含まれる信号である場合、及び、包絡線検波処理後の振幅情報である場合等、種々の形態が選択可能である。
【0041】
図1に示される例において、送受信回路63は装置本体6に配置されている。装置本体6に配置されていることに限定されず、送受信回路63は、その少なくとも一部が超音波プローブ2A,2B,2Cに配置されてもよい。
【0042】
記憶回路64は、種々の情報を記憶する非一過性の記憶装置であり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、光ディスク、SSD(Solid State Drive)、及び集積回路記憶装置等である。記憶回路64は、例えば、超音波診断装置1を制御する制御プログラムと、この制御プログラムの実行に用いられる各種のデータとを記憶する。記憶回路64は、HDD及びSSD等以外にも、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)及びフラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体、或いはRAM(Random Access Memory)等の半導体メモリ素子等との間で種々の情報を読み書きする駆動装置であってもよい。
【0043】
発振回路65は、バス7を介した装置本体6と拡張基板3との通信に用いるクロック信号を生成する。発振回路65で生成されたクロック信号は、例えば、装置本体6がマスターとして動作するときに、超音波プローブ2A,2B,2Cの識別情報の認識及び切替回路31による超音波プローブ2A,2B,2Cの切り替え等に用いられる。
【0044】
処理回路66は、入力操作によって入力インタフェース4から入力される電気信号に応じて、超音波診断装置1全体の動作を制御する回路である。例えば、処理回路66は、送受信制御機能661と、信号処理機能662と、超音波画像生成機能663と、プローブ識別機能664と、プローブ識別情報表示機能665と、プローブ切替指示機能666と、異常対応処理機能667と、クロック生成制御機能668とを備える。
【0045】
ここで、例えば、図1に示す処理回路66の構成要素である送受信制御機能661、信号処理機能662、超音波画像生成機能663、プローブ識別機能664、プローブ識別情報表示機能665、プローブ切替指示機能666、異常対応処理機能667、及びクロック生成制御機能668が実行する各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路64に記録されている。処理回路66は、例えば、プロセッサである。処理回路66を構成するプロセッサは、記憶回路64から各プログラムを読み出し、実行することで読み出した各プログラムに対応する機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路66は、図1の処理回路66内に示された各機能を有することとなる。
【0046】
なお、図1においては、送受信制御機能661、信号処理機能662、超音波画像生成機能663、プローブ識別機能664、プローブ識別情報表示機能665、プローブ切替指示機能666、異常対応処理機能667、及びクロック生成制御機能668の各処理機能が単一の処理回路66によって実現される場合を示したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、処理回路66は、複数の独立したプロセッサを組み合わせて構成され、各プロセッサが各プログラムを実行することにより各処理機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路66が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
【0047】
送受信制御機能661は、送受信回路63による超音波の送受信を制御する。送受信制御機能661は、入力操作によって入力インタフェース4から入力された画像モード、ビーム数、フレームレート、及び診断深さ等に応じてパルス繰り返し周波数を生成し、生成されたパルス繰り返し周波数を、記憶回路64に記憶された送信位置情報、送信開口、及び送信遅延等と共に送信条件として送受信回路63に提供する。また、送受信制御機能661は、記憶回路64に記憶された受信開口情報及び受信遅延等の受信条件を送受信回路63に提供する。
【0048】
信号処理機能662は、送受信回路63が受信した反射波データに信号処理を行う。例えば、信号処理機能662は、記憶回路64に記憶されたデジタルフィルタ処理条件にしたがって、反射波データにフィルタリング処理を行う。
【0049】
超音波画像生成機能663は、被検体Pからの超音波の反射波に基づいて、被検体Pの超音波画像を取得する。具体的には、超音波画像生成機能663は、送受信回路63を介して超音波プローブ2A,2B,2Cから反射波データを受信し、受信された反射波データ(すなわち、フィルタリング処理された反射波データ)に基づいて超音波画像を生成する。
【0050】
例えば、超音波画像生成機能663は、反射波データに対数増幅、包絡線検波処理等を行って、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。また、超音波画像生成機能663は、反射波データから速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、速度、分散、パワー等の移動体情報を多点について抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。また、超音波画像生成機能663は、2次元の反射波データ及び3次元の反射波データの両方について処理可能である。すなわち、超音波画像生成機能663は、2次元の反射波データから2次元のBモードデータを生成し、3次元の反射波データから3次元のBモードデータを生成する。また、超音波画像生成機能663は、2次元の反射波データから2次元のドプラデータを生成し、3次元の反射波データから3次元のドプラデータを生成する。
【0051】
そして、超音波画像生成機能663は、生成されたデータから超音波画像を生成する。例えば、超音波画像生成機能663は、2次元のBモードデータから反射波の強度を輝度で表した2次元のBモード画像を生成する。また、例えば、超音波画像生成機能663は、2次元のドプラデータから、血流情報が映像化された2次元のドプラ画像を生成する。2次元のドプラ画像は、血流の平均速度を表す速度画像データ、血流の分散値を表す分散画像データ、血流のパワーを表すパワー画像データ、又は、これらを組み合わせた画像データである。また、超音波画像生成機能663は、ドプラ画像として、血流の平均速度、分散値、パワー等の血流情報がカラーで表示されるカラードプラ画像を生成したり、1つの血流情報がグレースケールで表示されるドプラ画像を生成したりする。また、例えば、超音波画像生成機能663は、1走査線上のBモードデータの時系列データから、Mモード画像を生成することも可能である。また、超音波画像生成機能663は、ドプラデータから、血流や組織の速
度情報を時系列に沿ってプロットしたドプラ波形を生成することも可能である。
【0052】
プローブ識別機能664は、装置本体6のコネクタポート61A,61B,61C及び拡張基板3のコネクタポート3a,3b,3cに接続された超音波プローブの種類を識別する。図1及び図2に示される例において、プローブ識別機能664は、拡張基板3のプローブ識別情報通知機能341から通知された超音波プローブ2A,2B,2Cの識別情報を取得し、取得された識別情報に基づいて超音波プローブ2A,2B,2Cの種類を識別する。なお、プローブ識別機能664は、コネクタポート3a,3b,3c,61A,61B,61Cに接続される超音波プローブの種類が既知の場合は、コネクタポート3a,3b,3c,61A,61B,61Cの接続状態に基づいて、装置本体6に接続された超音波プローブの種類を識別してもよい。
【0053】
プローブ識別情報表示機能665は、プローブ識別機能664によって識別された超音波プローブ2A,2B,2Cの識別情報を出力インタフェース5(すなわち、ディスプレイ)に表示させる。
【0054】
プローブ切替指示機能666は、入力操作によって入力インタフェース4から入力された電気信号にしたがって、装置本体6のコネクタポート61A,61B,61C及び拡張基板3のコネクタポート3a,3b,3cに接続された超音波プローブのうち、スキャンに使用される超音波プローブの切り替えを指示する。具体的には、プローブ切替指示機能666は、超音波プローブの切り替えを指示する指示信号を装置本体6の切替回路62及び拡張基板3の処理回路34に出力する。切替回路62は、プローブ切替指示機能666からの指示信号にしたがって、送受信回路63に接続される超音波プローブを切り替える。拡張基板3の処理回路34の切替制御機能342は、プローブ切替指示機能666からの指示信号にしたがって、送受信回路63に接続される超音波プローブを切替回路31に切り替えさせる。
【0055】
異常対応処理機能667は、異常通知機能344から拡張基板3の異常が通知された場合に、異常の種類に応じて、異常に対処するための異常対応処理を行う。例えば、異常対応処理機能667は、緊急性が高い種類の異常に対しては、異常対応処理として、拡張基板3への超音波送信の停止及び拡張基板3への電源供給の停止等を行う。一方、異常対応処理機能667は、緊急性が比較的低い種類の異常に対しては、異常対応処理として、警告の表示処理を行う。異常対応処理を行うことで、超音波診断装置1の故障及び誤動作等を防止することができる。
【0056】
クロック生成制御機能668は、発振回路65によるクロック信号の生成を制御する。例えば、クロック生成制御機能668は、装置本体6がマスターとして動作するときに、発振回路65にクロック信号を生成させる。クロック生成制御機能668は、装置本体6がスレーブとして動作するときに、発振回路65にクロック信号の生成を停止させる。
【0057】
次に、以上のように構成された第1の実施形態に係る超音波診断装置1の動作例について説明する。図3は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1における拡張基板3の動作例を示すフローチャートである。なお、図3のフローチャートに示される一連の工程は、必要に応じて繰り返される。
【0058】
先ず、図3に示すように、拡張基板3の異常が検知されていない通常時において、拡張基板3は、スレーブとして動作する(ステップS1)。
【0059】
例えば、通常時において、拡張基板3のプローブ識別情報通知機能341は、装置本体6のプローブ識別機能664からの指示にしたがって、装置本体6に接続された超音波プローブ2A,2B,2Cの識別情報を通知する。超音波プローブ2A,2B,2Cの識別情報は、例えば、装置本体6の発振回路65で生成されたクロック信号を用いた通信(すなわち、クロック同期式の通信)により、バス7を通じて装置本体6に通知される。装置本体6の発振回路65で生成されたクロック信号を用いることに限定されず、例えば、拡張基板3のクロック生成制御機能345は、装置本体6による制御の下で、発振回路33にクロック信号を生成させてもよい。すなわち、超音波プローブ2A,2B,2Cの識別情報は、発振回路33で生成されたクロック信号を用いた通信によって装置本体6に通知されてもよい。
【0060】
また、通常時において、例えば、拡張基板3の切替制御機能342は、装置本体6のプローブ切替指示機能666からの指示にしたがって、プローブ切替指示機能666により選択された超音波プローブ2A,2B,2Cを送受信回路63に接続するように切替回路31を制御する。切替回路31の制御は、例えば、装置本体6の発振回路65で生成されたクロック信号を用いた通信によって行われる。切替回路31の制御は、装置本体6による制御の下で、拡張基板3の発振回路33で生成されたクロック信号を用いた通信によって行われてもよい。
【0061】
なお、拡張基板3のクロック生成制御機能345は、装置本体6からバス7を通じたアクセスがあるときに、アクセスの内容に基づいてクロック信号の生成の有無を自己判断し、必要と判断されたときに発振回路33にクロック信号を生成させてもよい。そして、クロック生成制御機能345は、当該アクセスが終了したときに、発振回路33にクロック信号の生成を停止させてもよい。例えば、アクセスの内容が超音波プローブ2A,2B,2Cの接続切り替えの指示であるときは、クロック生成制御機能345は、クロック信号の生成が必要と判断して発振回路33にクロック信号を生成させてもよい。一方、アクセスの内容が拡張基板3のステータス情報の読み込みであるときは、クロック生成制御機能345は、クロック信号の生成が不要と判断してクロック信号を生成しなくてもよい。
【0062】
次いで、異常検知機能343は、拡張基板3に異常が生じたか否かを判定する(ステップS2)。例えば、装置本体6のプローブ切替指示機能666により選択されたコネクタポート3a,3b,3cに供給された高電圧が基準電圧を上回った場合には、異常検知機能343は、異常としてProbe High Voltage Errorが生じたと判定する。また、異常検知機能343は、装置本体6のプローブ切替指示機能666により選択されたコネクタポート3a,3b,3cに供給された5Vバッテリによる印加電流が上限値を上回った場合には、異常検知機能343は、異常としてP5V Over-Currentが生じたと判定する。また、異常検知機能343は、装置本体6のプローブ切替指示機能666により選択されたコネクタポート3a,3b,3cにおいて超音波プローブ2A,2B,2Cが変わった場合には、異常検知機能343は、異常としてProbe Changeが生じたと判定する。また、異常検知機能343は、超音波プローブ2A,2B,2Cが接続されていないコネクタポート3a,3b,3cが装置本体6のプローブ切替指示機能666により選択された場合には、異常としてProbe No Existが生じたと判定する。また、異常検知機能343は、超音波プローブ2A,2B,2Cが接続されていないコネクタポート3a,3b,3cにリレー(切替回路31)が接続された場合には、異常としてRelay Faultが生じたと判定する。異常検知機能343は、検知された異常の種類を識別する情報を生成し、生成された情報を記憶回路32に記憶させる。
【0063】
異常が生じた場合(すなわち、異常が検知された場合)(ステップS2:Yes)、拡張基板3は、スレーブからマスターへと切り替わる(ステップS3)。一方、異常が生じていない場合(ステップS2:No)、拡張基板3は、スレーブとしての動作を継続する(ステップS1)。
【0064】
拡張基板3がマスターに切り替わった後、拡張基板3のクロック生成制御機能345は、拡張基板3の発振回路33にクロック信号を生成させる(ステップS4)。このとき、クロック信号の生成は、装置本体6の指示によらず、拡張基板3で自主的に行われる。
【0065】
クロック信号が生成された後、拡張基板3の異常通知機能344は、クロック信号を用いた通信によって、装置本体6に、バス7を通じて異常の通知及び異常の種類を識別する情報の通知を行う(ステップS5)。例えば、異常通知機能344は、異常が生じたことと、生じた異常がProbe High Voltage Error、P5V Over-Current、Probe Change、Probe No Exist、及びRelay Faultのいずれであるかを示す情報とを、装置本体6に通知する。異常通知機能344による異常の通知に応じて、装置本体6による異常対応処理が行われる。
【0066】
次いで、異常検知機能343は、異常が解消されたか否かを判定する(ステップS6)。異常が解消された場合(ステップS6:Yes)、異常通知機能344は、装置本体6に、バス7を通じて異常の解消を通知する(ステップS7)。一方、異常が解消されていない場合(ステップS6:No)、異常通知機能344は、装置本体6への異常の通知を繰り返す(ステップS5)。この時、同じ異常通知を無限に装置本体6に通知すると、処理回路66に負荷がかかり、ロックすることがあるから、異常通知機能344は、異種の異常が発生したら通知し、同種の異常は通知をしない。
【0067】
異常の解消が通知された後、拡張基板3のクロック生成制御機能345は、発振回路33にクロック信号の生成を停止させる(ステップS8)。
【0068】
クロック信号の生成を停止させた後、拡張基板3は、スレーブに切り替わる(ステップS9)。
【0069】
図4は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1における装置本体6の動作例を示すフローチャートである。なお、図4のフローチャートに示される一連の工程は、必要に応じて繰り返される。
【0070】
一方、図4に示すように、装置本体6は、拡張基板3の異常が検知されていない通常時において、マスターとして動作する(ステップS21)。
【0071】
例えば、通常時において、装置本体6のプローブ識別機能664は、拡張基板3に、超音波プローブ2A,2B,2Cの識別情報を要求する指示を出力し、拡張基板3から応答された識別情報を取得する。このとき、装置本体6のクロック生成制御機能668は、発振回路65にクロック信号を生成させる。プローブ識別機能664は、発振回路65により生成されたクロック信号を用いた通信によって、拡張基板3から超音波プローブ2A,2B,2Cの識別情報を取得する。なお、上述したように、プローブ識別機能664は、装置本体6の制御の下で拡張基板3の発振回路33で生成されたクロック信号を用いて超音波プローブ2A,2B,2Cの識別情報を取得してもよい。そして、プローブ識別機能664は、拡張基板3から取得された超音波プローブ2A,2B,2Cの識別情報に基づいて、拡張基板3に接続された超音波プローブ2A,2B,2Cの種類を識別する。装置本体6のプローブ識別情報表示機能665は、プローブ識別機能664によって取得された超音波プローブ2A,2B,2Cの識別情報を出力インタフェース5に表示させる。
【0072】
また、通常時において、装置本体6のプローブ切替指示機能666は、入力操作によって入力インタフェース4から入力された電気信号にしたがって、超音波プローブの切り替えを指示する指示信号を拡張基板3の処理回路34に出力する。指示信号を出力することで、拡張基板3の切替制御機能342に、指示信号にしたがった超音波プローブ2A,2B,2Cを送受信回路63に接続するように切替回路31を制御させる。このとき、装置本体6のクロック生成制御機能668は、発振回路65にクロック信号を生成させる。プローブ切替指示機能666は、発振回路65により生成されたクロック信号を用いた通信(すなわち、指示信号の送信)によって、超音波プローブ2A,2B,2Cの切り替えを行う。なお、上述したように、プローブ切替指示機能666は、装置本体6の制御の下で、拡張基板3の発振回路33で生成されたクロック信号を用いた通信によって超音波プローブ2A,2B,2Cの切り替えを行ってもよい。
【0073】
次いで、装置本体6の処理回路66はマスター動作が終了したかを判定する(ステップS22)。マスター動作が終了した場合(ステップS22:Yes)、装置本体6は、スレーブに切り替わる(ステップS23)。一方、マスター動作が終了していなかった場合(ステップS22:No)、装置本体6は、マスターとしての動作を継続する(ステップS21)。
【0074】
装置本体6がスレーブに切り替わった後、装置本体6の異常対応処理機能667は、拡張基板3から異常通知を受け、異常の種類に応じた異常対応処理を行う(ステップS24)。例えば、異常対応処理機能667は、拡張基板3の異常として、Probe High Voltage Error、Probe Change、Probe No Exist、又はRelay Faultが通知された場合には、異常対応処理として、例えば、拡張基板3への超音波送信の停止又は拡張基板3への電源供給の停止を行う。なお、異常対応処理の詳細な内容は、異常の種類毎に異なり得る。一方、異常対応処理機能667は、拡張基板3の異常として、P5V Over-Currentが通知された場合には、異常対応処理として、出力インタフェース5を介した警告の表示処理を行う。また、異常対応処理機能667は、拡張基板3の異常としてP5V Over-Currentが通知された場合には、異常対応処理として、異常が検知されたコネクタポート3a,3b,3cへの電流供給を無効(5V Enable Off)にしてもよい。
【0075】
異常対応処理を行った後、異常対応処理機能667は、拡張基板3から異常の解消が通知されたか否かを判定する(ステップS25)。異常の解消が通知された場合(ステップS25:Yes)、異常対応処理機能667は、異常対応処理を終了させる(ステップS26)。一方、異常の解消が通知されていない場合(ステップS25:No)、異常対応処理機能667は、異常対応処理を繰り返す(ステップS24)。
【0076】
異常対応処理の終了後、装置本体6は、マスター動作があるかを判断する(ステップS27)。マスター動作がある場合(ステップ27:Yes)、装置本体6はマスターとしての動作する(ステップS21)。マスター動作がない場合(ステップ27:No)、装置本体6はスレーブのまま、異常通知を受け、異常対応処理を行う(ステップS24)。
【0077】
以上説明したように、第1の実施形態では、異常検知機能343が、拡張基板3に生じた異常を検知する。また、異常通知機能344は、装置本体6に向けて異常検知機能343によって検知された異常を通知する。
【0078】
これにより、従来のように装置本体6によるポーリングによって拡張基板3の異常を検知する場合と比較して、拡張基板3が自らの異常を迅速に検知して装置本体6に通知することができる。拡張基板3の異常を迅速に通知できることで、装置本体6が、通知された異常に迅速に対処することができる。
【0079】
また、第1の実施形態では、異常通知機能344による異常の通知が、異常の種類を識別する情報の通知を含む。
【0080】
これにより、異常を通知された装置本体6が、異常の通知の後に異常の種類を識別する処理を行う必要がないため、異常の種類に応じた異常対応処理を迅速に行うことができる。また、異常の種類を通知するための専用の信号線を要しないため、部品点数を削減することができる。
【0081】
また、第1の実施形態では、拡張基板3の発振回路33が、異常の通知に用いるクロック信号を生成する。また、クロック生成制御機能345は、発振回路33によるクロック信号の生成を制御する。
【0082】
これにより、拡張基板3が独自のクロック信号を用いて異常の通知を迅速に行うことができる。
【0083】
また、第1の実施形態では、異常検知機能343は、拡張基板3と装置本体6との間で通信を行うためのバス7を通じて、異常の種類を識別する情報の通知を含む異常の通知を行う。
【0084】
これにより、異常の種類を識別する情報の通知を含む異常の通知を適切に行うことができる。
【0085】
また、第1の実施形態では、装置本体6のクロック生成制御機能668は、装置本体6がマスターとして動作するときに発振回路65にクロック信号を生成させ、装置本体が6がスレーブとして動作するときは、発振回路65にクロック信号の生成を停止させる。装置本体6は、マスター動作がある場合、マスターとして動作し、マスター動作が終了すると、スレーブとして動作する。また、異常が検知される前及び異常が解消された後は、拡張基板3がスレーブとして動作し、異常が検知された後、異常が解消されるまでは、拡張基板3がマスターとして動作する。
【0086】
これにより、マスターとして動作する拡張基板3が、拡張基板3に生じた異常を迅速に通知することができるので、異常への迅速な対処をより確実に行うことができる。
【0087】
(第2の実施形態)
次に、拡張基板3が自ら異常対応処理を行う第2の実施形態について、第1の実施形態との差異を中心に説明する。図5は、第2の実施形態に係る超音波診断装置1における拡張基板3の構成の一例を示すブロック図である。第2の実施形態における拡張基板3の処理回路34は、第1の実施形態の構成に加えて、更に、電源停止処理機能346を有する。電源停止処理機能346は、電源停止処理部の一例である。
【0088】
電源停止処理機能346は、異常が検知されたコネクタポート3a,3b,3cへの電源供給の停止処理を行う。電源停止処理機能346は、装置本体6からの指示によらず、自主的に異常が検知されたコネクタポート3a,3b,3cへの電源供給の停止処理を行う。
【0089】
第2の実施形態に係る超音波診断装置1の動作例について、第1の実施形態との差異を中心に説明する。図6は、第2の実施形態に係る超音波診断装置1における拡張基板3の動作例を示すフローチャートである。具体的には、第2の実施形態において、電源停止処理機能346は、図6に示すように、異常検知機能343による異常の通知(ステップS5)が行われた後に、異常が検知されたコネクタポート3a,3b,3cへの電源供給の停止処理を行う(ステップS10)。電源供給の停止処理は、例えば、電源と異常が検知されたコネクタポート3a,3b,3cとの間の電源ライン上に配置されたスイッチをオフする処理であってもよいが、これに限定されない。
【0090】
第2の実施形態では、拡張基板3の電源停止処理機能346が、異常対応処理として、異常が検知されたコネクタポート3a,3b,3cへの電源供給の停止処理を行う。
【0091】
これにより、拡張基板3自らが異常対応処理を行うことができるので、より迅速に異常に対処することができる。
【0092】
(第3の実施形態)
次に、異常通知機能344による異常の通知が異常の種別を識別する情報の通知を含まない第3の実施形態について、第1の実施形態との差異を中心に説明する。図7は、第3の実施形態に係る超音波診断装置1における拡張基板3の構成の一例を示すブロック図である。第3の実施形態における拡張基板3の処理回路34は、第1の実施形態の構成に加えて、更に、装置本体6に信号を送信するための信号線8と、送信停止要求信号生成機能347と、警告出力要求信号生成機能348とを有する。
【0093】
送信停止要求信号生成機能347は、異常検知機能343によって異常が検知された場合に、異常の種類に応じて、超音波の送信停止を要求する送信停止要求信号を生成する。例えば、送信停止要求信号生成機能347は、異常検知機能343によってProbe High Voltage Error、Probe Change、Probe No Exist、又はRelay Faultが検知された場合に、送信停止要求信号を生成する。なお、これらの四種類の異常に対しては、装置本体6の異常対応処理機能667によって超音波の送信停止という共通の異常対応処理が行われる。しかしながら、四種類の異常が解消される条件は互いに異なるため、超音波の送信停止の解除条件は、四種類の異常毎に異なる。すなわち、四種類の異常毎に、異常対応処理機能667で行われる異常対応処理の詳細は異なる。
【0094】
警告出力要求信号生成機能348は、異常検知機能343によって異常が検知された場合に、異常の種類に応じて、警告の出力を要求する警告出力要求信号を生成する。例えば、警告出力要求信号生成機能348は、異常検知機能343によってP5V Over-Currentが検知された場合には、警告出力要求信号を生成する。
【0095】
異常通知機能344は、信号線8を通じて装置本体6に、送信停止要求信号又は警告出力要求信号を送信することで、装置本体6に異常を通知する。異常通知機能344は、クロック信号を用いずに、装置本体6に送信停止要求信号又は警告出力要求信号を送信する。
【0096】
異常対応処理機能667(情報読み込み部)は、送信停止要求信号又は警告出力要求信号が送信された場合に、拡張基板3から、異常の種類を識別する情報を読み込む。異常の種類を識別する情報を読み込むことで、異常対応処理機能667は、送信停止要求信号又は警告出力要求信号だけでは判断できない異常の種類に応じた適切な異常対応処理を行うことができる。異常の種類を識別する情報は、例えば、異常検知機能343によって記憶回路32に記録された情報である。異常の種類を識別する情報の読み込みは、クロック信号を用いた通信によって、バス7経由で行われる。クロック信号は、例えば、拡張基板3の発振回路33で生成される。これに限定されず、クロック信号は、装置本体6の発振回路65で生成されてもよい。異常対応処理機能667は、取得された異常の種類に応じた異常対応処理を行う。例えば、異常対応処理機能667は、Probe High Voltage Error、Probe Change、Probe No Exist、又はRelay Faultが取得された場合には、それぞれの異常の解消が拡張基板3から通知されるまで、超音波の送信を停止する。また、異常対応処理機能667は、P5V Over-Currentが取得された場合には、P5V Over-Currentの解消が拡張基板3から通知されるまで、警告を表示する。
【0097】
次に、第3の実施形態に係る超音波診断装置1の動作例について、第1の実施形態との差異を中心に説明する。図8は、第3の実施形態に係る超音波診断装置1における拡張基板3の動作例を示すフローチャートである。図9は、第3の実施形態に係る超音波診断装置1の動作例を説明するために用いる異常の種類と通知方法との対応表である。図10は、第3の実施形態に係る超音波診断装置1における装置本体6の動作例を示すフローチャートである。この動作例では、拡張基板がバス7を使わず、装置本体がマスターになってバス7で異常識別情報を読み込むため、装置本体は常にマスターとなっている。
【0098】
図8に示すように、第3の実施形態においては、異常検知機能343によって拡張基板3の異常が検知されて拡張基板3が検知された異常に応じて、送信停止要求信号生成機能347が送信停止要求信号を生成し、又は警告出力要求信号生成機能348が警告出力要求信号を生成する(ステップS11)。送信停止要求信号及び警告出力要求信号のいずれを生成するかについては、例えば、図9に示すような異常の種類と信号との対応表に基づいて行ってもよい。図9に示される例においては、Probe High Voltage Error、Probe Change、Probe No Exist、又はRelay Faultが検知された場合に、送信停止要求信号を生成し、P5V Over-Currentが検知された場合に、警告出力要求信号を生成する。
【0099】
送信停止要求信号又は警告出力要求信号が生成された後、異常通知機能344は、信号線8を通じて装置本体6に、生成された送信停止要求信号又は警告出力要求信号を送信する。送信停止要求信号又は警告出力要求信号を送信することで、異常通知機能344は、装置本体6に異常を通知する(ステップS12)。
【0100】
また、図8に示すように、第3の実施形態においては、異常の解消が通知された後に、送信停止要求信号生成機能347が送信停止要求信号の生成を停止し、又は警告出力要求信号生成機能348が警告出力要求信号の生成を停止する(ステップS13)。
【0101】
一方、図10に示すように、装置本体6の異常対応処理機能667は、マスターとして動作しているときに、拡張基板3から送信停止要求信号又は警告出力要求信号が受信されたか否かを判定する(ステップS28)。送信停止要求信号又は警告出力要求信号が受信された場合(ステップS28:Yes)、一方、送信停止要求信号及び警告出力要求信号のいずれも受信されていない場合(ステップS28:No)、装置本体6は、マスターとしての動作を継続する(ステップS21)。
【0102】
装置本体6が異常対応処理機能667は、クロック信号を用いない拡張基板3との通信により、拡張基板3から、異常の種類を識別する異常識別情報を読み込む(ステップS29)。
【0103】
異常識別情報を読み込んだ後、異常対応処理機能667は、異常識別情報に示される異常の種類に応じた異常対応処理を行う(ステップS24)。
【0104】
第3の実施形態では、異常通知機能344が、信号線8を通じて装置本体6に送信停止要求信号又は警告出力要求信号を送信することで、拡張基板3に生じた異常を通知する。また、装置本体6の異常対応処理機能667は、送信停止要求信号又は警告出力要求信号が送信された場合に、拡張基板3から異常識別情報を読み込む。そして、異常対応処理機能667は、読み込まれた異常識別情報に示される異常の種類に応じた異常対応処理を行う。第3の実施形態においても、従来と比較して拡張基板3の異常に迅速に対処することができる。
【0105】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及び、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは、記憶回路に保存されたプログラムを読み出して実行することにより機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成して構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、プロセッサは、プロセッサ単一の回路として構成されている場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて、1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合して、その機能を実現するようにしてもよい。
【0106】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、装置本体に超音波プローブを接続するコネクタに発生した異常に迅速に対処することができる。
【0107】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置及び方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置及び方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲及びこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0108】
1 超音波診断装置
2A,2B,2C 超音波プローブ
20 コネクタ
3a,3b,3c コネクタポート
3 拡張基板
33 発振回路
343 異常検知機能
344 異常通知機能
345 クロック生成制御機能
346 電源停止処理機能
347 送信停止要求信号生成機能
348 警告出力要求信号生成機能
6 装置本体
61A,61B,61C コネクタポート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10