(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112609
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】蓄電デバイス
(51)【国際特許分類】
H01M 50/188 20210101AFI20240814BHJP
H01M 50/552 20210101ALI20240814BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20240814BHJP
H01M 50/15 20210101ALI20240814BHJP
H01M 50/176 20210101ALI20240814BHJP
H01M 50/184 20210101ALI20240814BHJP
H01G 11/06 20130101ALI20240814BHJP
H01G 11/78 20130101ALI20240814BHJP
H01G 11/74 20130101ALI20240814BHJP
【FI】
H01M50/188
H01M50/552
H01M50/55 101
H01M50/15
H01M50/176
H01M50/184 A
H01G11/06
H01G11/78
H01G11/74
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017767
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 一生
【テーマコード(参考)】
5E078
5H011
5H043
【Fターム(参考)】
5E078AA10
5E078AB02
5E078AB06
5E078HA05
5E078HA23
5E078KA06
5H011AA01
5H011EE04
5H011FF04
5H011HH02
5H043AA01
5H043BA19
5H043CA04
5H043CA05
5H043DA01
5H043JA01D
5H043KA22D
5H043KA30D
5H043KA45D
5H043LA04D
(57)【要約】
【課題】安全性の高い蓄電デバイスを提供すること。
【解決手段】ここに開示される蓄電デバイスは、開口部を有するケース本体と、端子装着孔18を有し、開口部を封口する封口板14と、ケース本体の内部に収容された電極体と、一端がケース本体の内部で電極体と電気的に接続され、他端が端子装着孔を通過して封口板14の外面側に露出する集電端子30と、封口板14と集電端子30との間に配置される絶縁部材40と、を備える蓄電デバイスである。かかる蓄電デバイスにおいて、絶縁部材40は、封口板14の端子装着孔18の周縁部分および集電端子30と一体成型された状態で端子装着孔18の周縁18aに配置され、封口板14における端子装着孔18の周縁18aの少なくとも一部分は、該部分の周囲よりも薄肉である薄肉部14sを構成している。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有するケース本体と、
端子装着孔を有し、前記開口部を封口する封口板と、
前記ケース本体の内部に収容された電極体と、
一端が前記ケース本体の内部で前記電極体と電気的に接続され、他端が前記端子装着孔を通過して前記封口板の外面側に露出する集電端子と、
前記封口板と前記集電端子との間に配置される絶縁部材と、
を備える蓄電デバイスであって、
前記絶縁部材は、前記封口板の端子装着孔の周縁部分および前記集電端子と一体成型された状態で前記端子装着孔の周縁に配置され、
前記封口板における前記端子装着孔の周縁の少なくとも一部分は、該部分の周囲よりも薄肉である薄肉部を構成している、蓄電デバイス。
【請求項2】
前記薄肉部は、前記封口板の外面側においてその周囲よりも凹んだ溝状に構成された部分を含んでおり、
該凹んだ溝状部分には、前記集電端子の封口板外面側の一部が配置されている、請求項1に記載の蓄電デバイス。
【請求項3】
前記薄肉部は、前記封口板の内面側においてその周囲よりも凹んだ溝状に構成された部分を含んでおり、
該凹んだ溝状部分には、前記集電端子の封口板内面側の一部が配置されている、請求項1に記載の蓄電デバイス。
【請求項4】
前記薄肉部は、前記封口板の外面側及び/又は内面側において非貫通孔若しくは貫通孔を有している、請求項1に記載の蓄電デバイス。
【請求項5】
前記薄肉部の前記絶縁部材と接する表面、及び/又は、前記薄肉部と前記絶縁部材を挟んで対向する前記集電端子の表面には、その周囲の表面よりも凹凸のある粗化エリアを有している、請求項1~4のいずれか一項に記載の蓄電デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池等の二次電池やリチウムイオンキャパシタ等のキャパシタを包含するいわゆる蓄電デバイスは、パソコンや携帯端末等のポータブル電源のほか、BEV(電気自動車)、HEV(ハイブリッド自動車)、PHEV(プラグインハイブリッド自動車)等の車両駆動用電源として普及している。
かかる用途の蓄電デバイスとして、矩形状の六面からなる六面体形状のいわゆる角型形状の金属製ケース内に正負極を有する電極体を収容した形態のものが挙げられる。かかる形態の蓄電デバイスの典型例として、一面が開口した角型形状のケース本体と、該開口部分を塞ぐ矩形板状の封口板(蓋体)とを備え、ケースに収容する電極体の正負極それぞれと電気的に接続された正負極それぞれの集電端子を、上記封口板に設けられた正負極それぞれの端子装着孔を通して該端子の一部を該封口板の外面に配置した形態のものが挙げられる。
【0003】
この種の蓄電デバイスとして、予め上記端子装着孔の周縁部分に合成樹脂製の絶縁部材を配置した状態で、当該装着孔に上記集電端子の一部を通しつつ該集電端子を封口板に装着した封口板と集電端子との組立体(以下「集電端子-封口板組立体」という。)を所定の型を用いて一体に成型しておき、かかる一体成型された集電端子-封口板組立体に所定形状の電極体を接続したものをケース本体に収容し、そして該ケースの開口部分に封口板を接合する密閉型の蓄電デバイスが挙げられる。
例えば、特許文献1には、かかる一体成型された集電端子-封口板組立体を用いて製造された密閉型の蓄電デバイスの一例(リチウムイオン二次電池)が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されるような集電端子-封口板組立体については、次のような懸念がある。即ち、封口板のうち、上述した集電端子および絶縁部材と一体成型された部分の剛性は、一体成型によって、封口板のみの部分(一体成型に関与していない部分)の剛性よりも高まりやすい。より具体的には、ケース本体の開口部に封口板がはめ込まれ、封口のために封口板の周囲が溶接される場合が多い。その溶接された封口板の外周における剛性は、封口板周りで均一ではなく、集電端子が絶縁部材と一体に成形された部分に近い箇所の剛性は、集電端子が絶縁樹脂と一体に成形された部分から離れた箇所の剛性に比べて高くなる傾向にある。すなわち、溶接された後の封口板外周における剛性は、比較的高い部分と低い部分とが位置と関係して分布する形となると考えられる。
【0006】
蓄電デバイスの使用でケースの膨らみがあった場合や、蓄電デバイスの外部から荷重が加わる場合など、封口板に何らかの状況で応力が生じた際、かかる応力が相対的に剛性の低い部分に集中し、該部分の破断強度が低下する虞がある。このため、封口板の外周でみた場合、各場所によって剛性に過度に差(許容範囲を超える差)が生じるのは好ましくない。
本発明は、かかる問題を未然に防止すべく創出されたものであり、上述したような集電体および絶縁部材が封口板(具体的には上記端子装着孔の周縁部分を包含する部分)と一体成型された集電端子-封口板組立体であって、該一体成型された部分と、該一体成型に関与していない封口板の部分との剛性差を低減させた集電端子-封口板組立体、ならびに該集電端子-封口板組立体を用いて構築された蓄電デバイスの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここに開示される蓄電デバイスは、開口部を有するケース本体と、端子装着孔を有し、上記開口部を封口する封口板と、上記ケース本体の内部に収容された電極体と、一端が上記ケース本体の内部で上記電極体と電気的に接続され、他端が上記端子装着孔を通過して上記封口板の外面側に露出する集電端子と、上記封口板と上記集電端子との間に配置される絶縁部材と、を備えている。上記絶縁部材は、上記封口板の端子装着孔の周縁部分および上記集電端子と一体成型された状態で上記端子装着孔の周縁に配置され、上記封口板における上記端子装着孔の周縁の少なくとも一部分は、該部分の周囲よりも薄肉である薄肉部を構成している。
課題解決のためには、封口板の外周でみた場合、集電端子が絶縁部材によって端子装着孔に一体成型されて配置された箇所に比較的近い箇所の剛性と比較的遠い箇所の剛性との差を、基準差(許容差)内に収めるための手段を講じるということになる。
【0008】
上記構成の蓄電デバイスによれば、封口板と集電端子と絶縁部材とが一体成型された部分と、当該一体成型に関与していない部分との剛性差を低減することができる。これにより、応力集中を抑制することができ、破断強度を向上することができる。したがって、より安全性の高い蓄電デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る電池を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る電池の内部構造を模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、電極体の構成を模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、封口板と集電端子と絶縁部材とが一体成型された、集電端子-封口板組立体を模式的に示す図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る集電端子近傍を模式的に示す断面図である。
【
図6】
図6は、第2集電部が取り付けられた電極体を模式的に示す図である。
【
図7】
図7は、一実施形態に係る成形金型を模式的に示す図である。
【
図11】
図11は、第4実施形態に係る封口板を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、ここで開示される技術の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって、ここで開示される技術の実施に必要な事柄(例えば、ここに開示される技術を特徴付けない蓄電デバイスの一般的な構成および製造プロセス等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。ここで開示される技術は、本明細書に開示されている内容と、当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。なお、以下に説明する図面において、同じ作用を奏する部材、部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、本明細書において範囲を示す「A~B」(A,Bは任意の数値)の表記は、A以上B以下を意味する。
【0011】
本明細書において、「蓄電デバイス」とは、電解質を介して一対の電極(正極および負極)の間で電荷担体が移動することによって充放電反応が生じるデバイスをいう。かかる蓄電デバイスは、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等の二次電池;リチウムイオンキャパシタ、電気二重層キャパシタ等のキャパシタ(すなわち、物理電池);を包含する。
以下では、上述した蓄電デバイスのうち、リチウムイオン二次電池を例に挙げて、ここに開示される技術の一実施形態について説明する。
【0012】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態に係る二次電池100の斜視図である。
図2は、二次電池100の内部構造を模式的に示す図である。なお、以下の説明において、図面中の符号X、Y、Zは、二次電池100の短辺方向、短辺方向と直交する長辺方向、上下方向を、それぞれ表すものとする。また、図面中の符号L、R、F、Rr、U、Dは、左、右、前、後、上、下を表す。ただし、これらの方向は説明の便宜上の定めたものであり、二次電池100の設置形態を何ら限定するものではない。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は、必ずしも実際の寸法関係を反映するものではない。
【0013】
図1および
図2に示すように、二次電池100は、電極体20と、電解質(図示せず)と、電極体20および電解質を収容するケース本体12と、封口板14と、集電端子30と、絶縁部材40と、を備えている。
【0014】
図3は、電極体20の構成を模式的に示す図である。電極体20は、ここでは
図3に示すように、帯状の正極シート22と帯状の負極シート24とが、2枚の帯状のセパレータ26を介して絶縁された状態で積層され、巻回軸WLを中心として長手方向に巻回されてなる巻回電極体である。ただし、電極体は、方形状の正極シートと方形状の負極シートとが、方形状のセパレータによって絶縁された状態で積み重ねられてなる積層電極体であってもよい。あるいは、電極体は、方形状の正極シートと方形状の負極シートとが、つづら折りされたセパレータによって絶縁された状態で積み重ねられてなる積層電極体であってもよい。
【0015】
正極シート22は、
図3に示すように、長尺な帯状の部材である。正極シート22の構成は特に限定されず、従来公知の電池に用いられているものと同様でよい。例えば、正極シート22は、帯状の正極芯体22cと、正極芯体22cの少なくとも一方の表面上に固着された正極活物質層22aおよび正極保護層22pと、を有する。ただし、正極保護層22pは必須ではなく、他の実施形態において省略することもできる。
【0016】
正極芯体22cは、長尺な帯状の部材である。正極芯体22cは、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性金属から構成される。正極芯体22cは、ここでは金属箔、具体的にはアルミニウム箔である。正極芯体22cの寸法は特に限定されず、電池設計に応じて適宜決定すればよい。正極芯体22cの長辺方向Yの一方の端部(
図3の左端部)には、複数の正極タブ22tが設けられている。複数の正極タブ22tは、セパレータ26よりも長辺方向Yに突出している。複数の正極タブ22tは、セパレータ26よりも長辺方向Yに突出している。複数の正極タブ22tは、正極芯体22cの長手方向に沿って間隔を置いて(間欠的に)設けられている。正極タブ22tは、正極芯体22cの一部であり、金属箔(アルミ箔)からなっている。正極タブ22tの一部には、正極活物質層22aが形成されている。正極タブ22tの少なくとも一部では、正極活物質層22aが形成されずに正極芯体22cが露出している。複数の正極タブ22tは長辺方向Yの一方の端部(
図2の左端部)で積層され、正極タブ群23を構成している。複数の正極タブ22tは、外方側の端が揃うように折り曲げられて湾曲している。正極タブ群23は、集電体50を介して正極側の集電端子30と電気的に接続されている。
【0017】
正極活物質層22aは、
図3に示すように、正極芯体22cの長手方向に沿って、帯状に設けられている。正極活物質層22aは、正極活物質を含有する。正極活物質としては、リチウムイオン二次電池に用いられる公知の正極活物質を用いてよい。具体的に例えば、正極活物質として、リチウム複合酸化物、リチウム遷移金属リン酸化合物等を用いることができる。これらの正極活物質は、1種単独で用いてよく、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。正極活物質層22aは、正極活物質以外の成分、例えば、導電材、バインダ等を含み得る。導電材としては、例えばアセチレンブラック(AB)等のカーボンブラックやその他(例、グラファイトなど)の炭素材料を好適に使用し得る。バインダとしては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)等を使用し得る。
【0018】
正極保護層22pは、
図3に示すように、長辺方向Yにおいて正極芯体22cと正極活物質層22aとの境界部分に設けられている。正極保護層22pは、正極活物質層22aよりも電気伝導性が低くなるように構成された層であり得る。正極保護層22pは、ここでは正極芯体22cの長辺方向Yの一方の端部(
図3の左端部)に設けられている。ただし、正極保護層22pは、長辺方向Yの両端部に設けられていてもよい。正極保護層22pは、正極活物質層22aに沿って、帯状に設けられている。正極保護層22pは、無機フィラー(例えば、アルミナ)を含んでいる。正極保護層22pは、無機フィラー以外の任意成分、例えば、導電材、バインダ、各種添加成分等を含んでいてもよい。
【0019】
負極シート24は、
図3に示すように、長尺な帯状の部材である。負極シート24の構成は特に限定されず、従来公知の電池に用いられているものと同様でよい。例えば、負極シート24は、負極芯体24cと、負極芯体24cの少なくとも一方の表面上に固着された負極活物質層24aと、を有する。
【0020】
負極芯体24cは、長尺な帯状の部材である。負極芯体24cは、例えば銅、銅合金、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性金属からなっている。負極芯体24cは、ここでは金属箔、具体的には銅箔である。負極芯体24cの寸法は特に限定されず、電池設計に応じて適宜決定すればよい。負極芯体24cの長辺方向Yの一方の端部(
図3の右端部)には、複数の負極タブ24tが設けられている。複数の負極タブ24tは、セパレータ26よりも長辺方向Yに突出している。複数の負極タブ24tは、セパレータ26よりも長辺方向Yに突出している。複数の負極タブ24tは、負極シート24の長手方向に沿って間隔を置いて(間欠的に)設けられている負極タブ24tは、負極芯体24cの一部であり、金属箔(銅箔)からなっている。負極タブ24tの一部には、負極活物質層24aが形成されている。負極タブ24tの少なくとも一部では、負極活物質層24aが形成されずに負極芯体24cが露出している。複数の負極タブ24tは長辺方向Yの一方の端部(
図2の右端部)で積層され、負極タブ群25を構成している。複数の負極タブ24tは、外方側の端が揃うように折り曲げられて湾曲している。負極タブ群25は、集電体50を介して負極側の集電端子30と電気的に接続されている。
【0021】
負極活物質層24aは、
図3に示すように、帯状の負極芯体24cの長手方向に沿って、帯状に設けられている。負極活物質層24aは負極活物質を含有する。当該負極活物質としては、特に限定されないが、例えば黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン等の炭素材料を使用し得る。黒鉛は、天然黒鉛であっても人造黒鉛であってもよく、黒鉛が非晶質な炭素材料で被覆された形態の非晶質炭素被覆黒鉛であってもよい。負極活物質層24aは、負極活物質以外の成分、例えばバインダや増粘剤等を含み得る。バインダとしては、例えばスチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等を使用し得る。増粘剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)等を使用し得る。
【0022】
セパレータ26は、電荷担体が通過し得る微細な貫通孔が複数形成された絶縁性の樹脂シートである。セパレータ26の構成は特に限定されず、従来公知の電池に用いられているものと同様でよい。セパレータ26としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、セルロース、ポリアミド等の樹脂から構成される多孔性シート(フィルム)が挙げられる。セパレータ26の表面には、耐熱層(HRL)が設けられていてもよい。
【0023】
上記したとおり、二次電池100は電解質を備えている。電解質は特に限定されず、従来公知の電池に用いられているものと同様でよい。電解質は、例えば、非水系溶媒(有機溶媒)と電解質塩(支持塩)とを含み得る。非水系溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等を用いることができる。また、支持塩としては、種々のリチウム塩を用いることができ、なかでもLiPF6、LiBF4等のリチウム塩が好適である。電解液は、例えば、被膜形成剤、ガス発生剤、分散剤、増粘剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
【0024】
図1に示すように、ケース10(ここでは、電池ケース10)は、ケース本体12と、封口板14と、を備えている。電池ケース10は、ここでは有底の直方体形状(角型)の外形を有する。電池ケース10は、従来公知の材料を特に制限なく使用することができる。電池ケース10(ケース本体12および封口板14)は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、鉄、鉄合金等から構成され得る。
【0025】
ケース本体12は、電極体20と電解質とを収容する筐体である。ケース本体12は、一側面(ここでは上面)に開口部12h(
図2参照)を有する有底かつ角型の容器である。開口部12hは、ここでは略矩形状である。ケース本体12は、
図1に示すように、長辺および短辺を有し、平面視で略矩形状の底面12aと、底面12aの長辺から上下方向Zの上方に延び相互に対向する一対の長側壁12bと、底面12aの短辺から上下方向Zの上方に延び相互に対向する一対の短側壁12cと、を備えている。短側壁12cの面積は、長側壁12bの面積よりも小さい。特に限定されるものではないが、ケース本体12の平均厚み(平均板厚)は、耐久性等の観点から、概ね0.5mm以上、例えば1mm以上であるとよく、コストやエネルギー密度の観点から、概ね3mm以下、例えば2mm以下であるとよい。
【0026】
封口板14は、ここでは平面視で略矩形状であり、ケース本体12の開口部12hを封口する部材である。封口板14の外縁とケース本体12の開口部12hの周縁部とは、接合(例えば溶接接合)されている。封口板14は、二次電池100の内部側(電極体20と対向する側)の表面である内面14a(
図5参照)と、外部側の表面である外面14b(
図5参照)と、を有している。
図1に示すように、封口板14は、ケース本体12の底面12aと対向している。
【0027】
図2に示すように、封口板14は、当該封口板14の厚み方向に貫通する2つの端子装着孔18を有する。端子装着孔18は、封口板14の長辺方向Yの両端部に1個ずつ設けられている。一方側(
図2の左側)の端子装着孔18は正極用であり、他方側(
図2の右側)の端子装着孔18は負極用である。端子装着孔18の形状は、平面視においてここでは、略真円状である。ただし、端子装着孔18は、平面視において、楕円形状であってもよいし、四角形状や六角形状等の多角形状であってもよい。端子装着孔18の形状は、集電端子30の形状に合わせて適宜選択されればよい。
【0028】
また、封口板14には、注液孔15と、ガス排出弁17とが設けられている。注液孔15は、ケース本体12に封口板14を組み付けた後、電池ケース10の内部に電解液を注液するための貫通孔である。注液孔15は、電解液の注液後に封止部材16によって封止される。ガス排出弁17は、電池ケース10内の圧力が所定値以上になったときに破断して、電池ケース10内のガスを外部に排出するように構成されている。
【0029】
特に限定されるものではないが、封口板14の平均厚みt1(後述する薄肉部を含まない封口板の平均板厚。以下同じ。)は、耐久性等の観点から、概ね0.3mm以上、例えば0.5mm以上であるとよく、コストやエネルギー密度の観点から、概ね4.0mm以下、例えば3.0mm以下であるとよい。封口板14の平均厚みは、ケース本体12の平均厚みよりも薄くてもよい。
【0030】
図1に示すように、封口板14の外縁部と、ケース本体12の開口部12hの周縁部とは溶接接合されており、ケース本体12と封口板14との境界(嵌合部)に沿って溶接部13が形成されている。これにより、ケース本体12の開口部12hが封口板14により隙間なく塞がれ、電池ケース10が密閉され得る。溶接部13は、例えばレーザ溶接等の溶接接合によって形成され得る。溶接部13は、ケース本体12と封口板14との嵌合部がレーザ溶接されることによって、ケース本体12の構成金属と封口板14の構成金属とが溶融されて形成された部分である。溶接部13は、封口板14の外表面側に位置している。溶接部13では、ケース本体12の開口部12hの内周縁と封口板14の外周縁とが面一になるように連結されている。溶接部13は、封口板14とケース本体12との嵌合部に沿って全周に形成されている。
【0031】
図2に示すように、集電端子30は、封口板14の長辺方向Yの両端部に1個ずつ設けられている。封口板14の長辺方向Yの一方側(
図2の左側)に配置されている集電端子30は正極用であり、他方側(
図2の右側)の集電端子30は負極用である。集電端子30は、封口板14の端子装着孔18に挿通されている。集電端子30は、金属製であることが好ましい。正極用の集電端子30(すなわち、正極端子)は、アルミニウムを主成分とすることが好ましい。具体的には、正極用の集電端子30は、アルミニウムまたはアルミニウム合金から構成されることがより好ましい。一方、負極用の集電端子30(すなわち、負極端子)は、銅を主成分とすることが好ましい。具体的には、負極用の集電端子30は、例えば銅または銅合金から構成されることがより好ましい。ただし、集電端子30は、2つの導電部材が接合され一体化されて構成されていてもよい。例えば、正極側の集電端子30は、異なる2種類のアルミニウムが接合されて構成されていてもよい。負極側の集電端子30は、集電体50と接続される部分が銅または銅合金からなり、封口板14の外面14bに露出する部分がアルミニウムまたはアルミニウム合金からなっていてもよい。集電端子30は、例えば、2つの金属からなるクラッド材で構成されていてもよい。
なお、本明細書において、「Aを主成分とする」とは、集電端子を構成する成分のうち、質量基準でAが最大成分であることを意味する。
【0032】
集電端子30は、電池ケース10の外側において板状の外部導電部材35と電気的に接続されている。外部導電部材35は、複数の二次電池を相互に電気的に接続する際に、バスバーが付設される部材である。外部導電部材35は、金属製であることが好ましく、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金からなることがより好ましい。ただし、外部導電部材35は必須ではなく、他の実施形態において省略することもできる。
【0033】
図4は、封口板14と集電端子30と絶縁部材40とが一体成型された、集電端子-封口板組立体14Aを模式的に示す図である。
図5は、第1実施形態に係る集電端子近傍の模式的な断面図である。
図6は、第2集電部52が取り付けられた電極体20を模式的に示す図である。ここに開示される蓄電デバイスでは、
図4に示されるように、封口板14と集電端子30と絶縁部材40とが一体成型された、集電端子-封口板組立体14Aを備えている。なお、
図4では、封口板14と集電端子30と絶縁部材40とに加え、集電体50も一体に成型されている。
【0034】
図5に示すように、集電端子30は、封口板外面側31が封口板14の外面側に露出するように配置されている。また、集電端子30は、封口板内面側32が封口板14の内面側に配置されている。
図5に示す例では、集電端子30は、封口板内面側32が端子装着孔18を挿通可能な大きさに構成されている。これにより、後述する一体成型(インサート成型)を好適に実施することができる。ただし、封口板外面側31が端子装着孔18を挿通可能な大きさに構成されていてもよい。集電端子30の封口板外面側31の平面視における形状は、特に限定されない。封口板外面側31の平面視における形状は、三角形状、四角形状、六角形状等の多角形状であってもよいし、真円形状や楕円形状であってもよい。
【0035】
集電端子30は、電池ケース10の内部で集電体50を介して電極体20と接続されている。具体的に、正極側の集電体50は、複数の正極タブ22tからなる正極タブ群23と、正極側の集電端子30と、を接続する。また、負極側の集電体50は、複数の負極タブ24tからなる負極タブ群25と、負極側の集電端子30と、を接続する。集電体50は、
図2に示すように、第1集電部51と、第2集電部52と、を備えている。第1集電部51および第2集電部52は、導電性を有する金属、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス鋼等から構成され得る。
【0036】
第1集電部51は、
図5に示すように、封口板14の内面側に配置されている。第1集電部51は、第1領域51aと第2領域51bと、を有している。第1集電部51は、一つの部材を例えばプレス加工等によって折り曲げることによって構成されていてもよく、複数の部材を溶接接合等によって一体化することで構成されていてもよい。第1集電部51は、集電端子30の下端部と接合されている。第1集電部51と集電端子30とは、例えば超音波溶接、抵抗溶接、レーザ溶接等の溶接によって接合されている。あるいは、第1集電部51は、後述する一体成型工程において、集電端子30とともに封口板14と一体成型されることによって接合されていてもよい。また、第1集電部51と集電端子30とは、かしめ加工(リベッティング)等の機械的な加工によって接合されていてもよい。
【0037】
第1集電部51の第1領域51aは、封口板14と電極体20との間に配置される領域である。第1領域51aは、長辺方向Yに沿って延びている。第1領域51aは、封口板14の内面14aに沿って、水平に広がっている。
図5に示すように、封口板14と第1領域51aとの間には、絶縁部材40が配置されている。第1領域51aは、絶縁部材40によって、封口板14と絶縁されている。第1領域51aは、集電端子30の封口板内面側32と接続されている。第2領域51bは、第1領域51aの長辺方向Yの一方の端部(
図5の左端部)からケース本体12の短側壁12cに沿って、上下方向Zの下方に延びている。
図2に示すように、第2領域51bは、第2集電部52と接続される。
【0038】
図2に示すように、第2集電部52は、ケース本体12の短側壁12cに沿って延びている。
図6に示すように、第2集電部52は、第1集電部51と接続する第1接続部52aと、正極タブ群23または負極タブ群25と接続される第2接続部52bと、を有する。第1接続部52aと第1集電部51とは、例えば、超音波溶接、抵抗溶接、レーザ溶接等によって溶接接合される。第2接続部52bは、正極タブ群23または負極タブ群25に付設され、複数の正極タブ22tまたは負極タブ24tと電気的に接続される部位である。
図6に示すように、第2接続部52bは、上下方向Zに沿って延びている。第2接続部52bは、電極体20の捲回軸WLに対して略垂直に配置されている。第2接続部52bの複数の正極タブ22tと接続される面は、ケース本体12の短側壁12cと略平行に配置されている。第2接続部52bは、超音波溶接、抵抗溶接、レーザ溶接等によって正極タブ群23または負極タブ群25と溶接接合されている。
【0039】
絶縁部材40は、封口板14と集電端子30との導通を防止する部材である。
図5に示すように、絶縁部材40は、封口板14の端子装着孔18の周縁部分および集電端子30と一体成型された状態で端子装着孔18の周縁18aに配置されている。なお、本明細書において、「端子装着孔の周縁」とは、端子装着孔の縁だけでなく、その周囲の領域を含む。端子装着孔の周縁は、具体的に、端子装着孔の端(縁)から5mm~10mmの領域を含む。
【0040】
絶縁部材40は、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂や、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の合成樹脂材料によって構成される。なかでも、十分な接合強度を確保することができる観点から、絶縁部材40はポリフェニレンサルファイドから構成されることが好ましい。
【0041】
絶縁部材40は、
図5に示すように、第1フランジ部41と、第2フランジ部42と、筒状部43と、突出部44と、を有している。第1フランジ部41と第2フランジ部42と筒状部43と突出部44とは一体に形成されている。また、絶縁部材40は、封口板14の端子装着孔18と対応する位置において、上下方向Zに貫通した貫通孔40hを有している。第1フランジ部41は、封口板14の外面側に配置され、集電端子30の封口板外面側31と封口板14の外面14bとを絶縁している。第1フランジ部41は、
図4に示すように、平面視において、集電端子30よりも外側にはみ出し、外部に露出している。第2フランジ部42は、封口板14の内面側に配置され、集電端子30の封口板内面側32と封口板14の内面14aとを絶縁している。第2フランジ部42は、封口板14の内面14aに沿って水平方向に延びている。第1フランジ部41および第2フランジ部42の外形は、集電端子30の封口板外面側31および封口板内面側32の外形よりも大きい。
【0042】
筒状部43は、端子装着孔18と集電端子30の軸部33との間に位置している。筒状部43は、端子装着孔18と軸部33とを絶縁している。突出部44は、
図5に示すように、長辺方向Yにおいて、第2フランジ部42よりも封口板14の中央側に設けられている。突出部44は、第2フランジ部42の長辺方向Yの一方の端部(
図5の右端部)から上下方向Zの下方に向けて延びている。突出部44は、電極体20の湾曲部と対向し得る。これにより、二次電池100の使用時において、振動や衝撃が加わって電極体20が多少移動したとしても、封口板14と直接接触することを抑制することができる。
【0043】
ここに開示される蓄電デバイスでは、封口板14と集電端子30と絶縁部材40とが一体成型された集電端子-封口板組立体14Aを備えており、かかる集電端子-封口板組立体14Aにおいて、絶縁部材40は、封口板14の端子装着孔18の周縁部分および集電端子30と一体成型された状態で端子装着孔18の周縁18aに配置され、封口板14における端子装着孔18の周縁18aの少なくとも一部分は、該部分の周囲よりも薄肉である薄肉部14sを有している。これにより、電池全体の破断強度を高めることができ、より安全性の高い二次電池100を提供することができる。
ここに開示される技術を限定する意図はないが、かかる効果が得られる理由は、以下のように推測される。集電端子-封口板組立体14Aは、接合強度が所定の基準を満たすように強固に接合されている。ここで、封口板14のうち、集電端子30および絶縁部材40と一体成型された部分は、見かけの剛性が急激に高くなっている。すなわち、集電端子30および絶縁部材40と一体成型された部分は剛性が高く、一体成型に関与していない部分(封口板14のみの部分)は相対的に剛性が低くなっている。本発明者らが検討した結果によれば、剛性が高い部分と剛性が低い部分との境界では、剛性が低い部分に応力が集中するため、特に破断が生じやすいことを見出した。より具体的には、ケース本体12と封口板14との境界(例えば上記した溶接部13)では、一体成型された部分に近い箇所と遠い箇所との間で剛性差が生じやすく、一体成型に近い部分では当該一体成型された部分との剛性差が大きいため、破断しやすい傾向にある。そこで、ここに開示される二次電池100では、当該一体成型された部分の剛性と、当該一体成型されていない部分の剛性との差を低減して、二次電池100の破断強度を高めるべく、端子装着孔18の周縁18aの少なくとも一部が当該部分の周囲よりも薄肉である薄肉部を構成している。これによって、応力集中を抑制し、より安全性の高い二次電池100を提供することができる。
【0044】
薄肉部14sは、封口板14の端子装着孔18の周縁18aに設けられている。薄肉部14sは、封口板14と絶縁部材40とが接する領域に形成されている。薄肉部14sは、封口板14の厚みが薄肉部14sに近接する領域よりも薄い部分である。薄肉部14sは、封口板14において、相対的に体積が少ない部分であり得る。
【0045】
薄肉部14sは、連続的あるいは間欠的に形成され得る。薄肉部14sは、破線状に形成されていてもよいし、複数に分割形成されていてもよい。薄肉部14sは、封口板14の中でその周囲よりも断面積が小さく形成された部分であり得る。封口板14において、端子装着孔18の周縁18aの少なくとも一部に薄肉部14sを設けることにより、一体成型された部分と、一体成型に関与していない部分との剛性の差を小さくすることができる。これにより、剛性が相対的に小さい領域に応力が集中することを抑制して、電池ケース10が破断することを抑制することができ、電池の破断強度を向上させることができる。
【0046】
図5に示す例では、薄肉部14sは、端子装着孔18の周縁18aにおいて、所定の厚みt
2を有する領域である。薄肉部14sの厚みt
2は、特に限定されないが、封口板14の平均厚みt
1に対して、例えば、(1/10)×t
1≦t
2<t
1であることが好ましく、(1/8)×t
1≦t
2<t
1であることがより好ましく、(1/5)×t
1≦t
2<(4/5)×t
1であることがさらに好ましい。具体的に例えば、薄肉部14sの厚みt
2は、0.1mm~1mmであることが好ましく、例えば0.1mm~0.5mmであるとよい。
【0047】
第1実施形態では、
図5に示すように、薄肉部14sは、封口板14の外面側において、その周囲よりも凹んだ溝状に構成された部分(以下、「第1溝部14e」という。)を含む。
図5に示すように、第1溝部14eは、ここでは、封口板14の外面側から内面側に向けて、所定の溝深さd
1で凹んだ形状である。第1溝部14eは、端子装着孔18の縁に沿って、略円環状に形成され得る。第1溝部14eは、端子装着孔18の周縁18aにおいて、所定の溝深さd
1を有する領域が、径方向に所定の長さL
1で延在する部分である。封口板14の端子装着孔18の周縁18aであって、封口板の外面側にその周囲よりも凹んだ第1溝部14eを設けることにより、一体成型されている部分の剛性を低減することができる。このため、一体成型された部分と、一体成型に関与していない部分との剛性の差を小さくすることができる。
【0048】
図5に示すように、溝状に形成された第1溝部14eには、集電端子30の封口板外面側31の一部が配置されていることが好ましい。集電端子30の封口板外面側31の一部は、絶縁部材40を挟んで封口板14の第1溝部14eと対向する位置に配置される。集電端子-封口板組立体14Aにおいて、封口板14と集電端子30とが対向する領域は、特に見かけの剛性が高くなる傾向にある。かかる領域において封口板14に第1溝部14eを設け、封口板14と集電端子30との合計体積を減少させることにより、見かけの剛性を低減することができる。したがって、端子装着孔18の周縁18aであって、封口板14の外面14bに第1溝部14eを含む薄肉部14sを設け、当該第1溝部14eに集電端子30の一部が配置されることにより、集電端子-封口板組立体14Aにおける剛性差を小さくし、破断強度を向上させることができる。
【0049】
二次電池100が外部導電部材35を有し、集電端子30と外部導電部材35とが接続される場合、
図5に示すように、外部導電部材35の少なくとも一部が上記した第1溝部14eに配置されることが好ましい。外部導電部材35は、外部導電部材35と封口板14とが対向する領域の全てが第1溝部14eに配置されることがより好ましい。これにより、外部導電部材35を有する場合でも、封口板14と外部導電部材35との合計体積が減少し、集電端子-封口板組立体14A内における剛性差を小さくすることができる。
【0050】
第1溝部14eの最大の溝深さd1(封口板14の厚み方向に沿う方向の最大長さ)は、電池設計に応じて適宜設定されればよく、特に限定されない。例えば、集電端子30の封口板外面側31の平均厚み(上下方向Zの平均長さ)を厚みt3としたときに、第1溝部14eの溝深さd1は、d1≧(1/5)×t3であることが好ましく、d1≧(1/2)×t3であることがより好ましく、d1=t3(すなわち、第1溝部14eの溝深さd1と封口板外面側31の厚みt1とが同じ)であってもよい。第1溝部14eの溝深さd1を封口板外面側31の厚みt3の1/5以上の深さとすることで、上記したように合計体積を減少させることの効果が十分に発揮され、見かけの剛性の上昇を好適に抑制することができる。一方で、溝深さが深すぎる場合には、集電端子30(または外部導電部材35)がバスバーと接続し難くなるため、好ましくない。かかる観点からは、d1≦t3であることが好ましく、d1≦(3/4)t3であることがより好ましい。具体的に例えば、第1溝部14eの溝深さd1は0.2mm~1.9mm程度(好ましくは0.5mm~1mm)であるとよい。
【0051】
第1溝部14eの径方向の最大長さL1は、特に限定されないが、集電端子30の封口板外面側31が配置可能な長さであることが好ましい。また、二次電池100が外部導電部材35を有し、集電端子30と外部導電部材35とが接続される場合、第1溝部14eの最大長さL1は、集電端子30の封口板外面側31および外部導電部材35が配置可能な長さであることが好ましい。具体的に例えば、第1溝部14eの最大長さL1は、1mm~10mm程度(好ましくは2mm~8mm)であるとよい。
【0052】
集電端子-封口板組立体14Aにおいて、封口板14および集電端子30のうち少なくとも一部の表面には、粗面化処理された粗化エリア14rが設けられていることが好ましい。粗面化処理は、表面に凹凸を形成することによって表面積を大きくするとともにアンカー効果を高め、絶縁部材40と封口板14との接合性や密着性を向上させる表面処理である。したがって、粗化エリア14rは、その周囲よりも凹凸が多いエリアである。
【0053】
粗化エリア14rは、封口板14に設けられていてもよい。粗化エリア14rは、例えば、薄肉部14sの絶縁部材40と接する表面のうち、少なくとも一部に設けられていることが好ましい。粗化エリア14rは、薄肉部14sの表面であって、薄肉部14sと絶縁部材40とが接する表面の全てにおいて設けられていてもよい。粗化エリア14rでは上記したとおり、アンカー効果が発揮され、特に剛性が高くなる傾向にある。このような粗化エリア14rと、薄肉部14sとを重ならせて配置することにより、集電端子-封口板組立体14A内における剛性差を低減することができる。したがって、集電端子-封口板組立体14Aの接合性や気密性を十分に確保しつつ、破断強度を向上させることができ、より安全性に優れる蓄電デバイスを提供することができる。
【0054】
粗化エリア14rは、集電端子30に設けられていてもよい。集電端子30に粗化エリア14rが設けられている場合、粗化エリア14rが設けられている箇所は、少なくとも薄肉部14sと上下方向Zに重なる位置に配置されることが好ましい。例えば、粗化エリア14rは、集電端子30の封口板外面側31の表面であって、封口板14と絶縁部材40を挟んで対向する位置に設けられていることが好ましい。これにより、集電端子-封口板組立体14Aの気密性の向上と、電池の破断強度の向上とを実現することができる。
【0055】
特に限定されないが、粗化エリア14rは、封口板14と集電端子30の両方に設けられていてもよい。例えば、粗化エリア14rは、薄肉部14sの絶縁部材40と接する表面と、集電端子30の封口板外面側31の表面であって、薄肉部14sと絶縁部材40を挟んで対向する位置に設けられていることが好ましい。これにより、集電端子30と封口板14との接合性や気密性をさらに確保しつつ、集電端子-封口板組立体14A内における剛性差を小さくすることができる。
【0056】
特に限定されないが、粗化エリア14rは、集電体50に設けられていてもよい。具体的には、第1集電部51の表面であって、薄肉部14sと絶縁部材40を挟んで対向する位置に設けられていることが好ましい。これにより、集電体50と絶縁部材40との接合性を向上しつつ、集電端子30、封口板14、および集電体50が重なる領域の剛性を好適に下げることができ、破断強度を向上することができる。
【0057】
薄肉部14sは、2つの端子装着孔18のそれぞれの周縁18aに設けられていることが好ましい。これにより、より適切に封口板14内の剛性差を低減することができる。特に限定されないが、負極側の集電端子30が銅を主成分とし、正極側の集電端子30がアルミニウムを主成分とする場合、負極側の端子装着孔18の周縁18aに設けられる薄肉部のほうが、正極側の端子装着孔18の周縁18aに設けられる薄肉部よりも薄肉である(厚みが小さい)ことが好ましい。本発明者らが検討した結果によれば、銅を主成分とする負極側の集電端子30の方が、アルミニウムを主成分とする正極側の集電端子30よりも強度が高い傾向にある。したがって、負極側の端子装着孔18の周縁18aでは、正極側の端子装着孔18の周縁18aよりも見かけの剛性が高くなる傾向にある。このため、封口板14内の剛性差を低減させるために、負極側の端子装着孔18の周縁18aに設けられる薄肉部のほうが、正極側の端子装着孔18の周縁18aに設けられる薄肉部よりも厚みを小さくするとよい。
【0058】
<蓄電デバイスの製造方法>
以下、ここで開示される蓄電デバイスの製造方法の好適な一実施形態として、リチウムイオン二次電池を例にして説明するが、適用対象をかかる電池に限定することを意図したものではない。
【0059】
上記したような二次電池100は、封口板14、集電端子30、およびその他必要な部材を用意する工程と、封口板14と集電端子30とを一体成型する工程と、一体成型された集電端子-封口板組立体14Aとケース本体12とを組み立てる工程と、を含み得る。なお、任意の段階でさらに他の工程を含んでいてもよい。
【0060】
用意工程では、封口板14と集電端子30と電極体20とを用意する。集電端子30は、ここでは、封口板内面側32が端子装着孔18を挿通可能に構成されているものを用意する。また、上記したような薄肉部14sは、プレス加工、切削加工、レーザ加工等の従来公知の手法によって形成することができる。
【0061】
電極体20は、公知方法に従って作製することができる。
図3に示すように、電極体20が巻回電極体である場合、かかる巻回電極体は、例えば次のようにして準備することができる。まず、帯状の正極シート22と帯状の負極シート24とを、2枚の帯状のセパレータ26によって絶縁された状態となるように積層する。このとき、正極シート22の正極タブ22tと負極シート24の負極タブ24tとが、2枚のセパレータ26の長辺方向Yの端部から、それぞれ反対方向にはみ出すように重ね合わせる。次いで、用意した積層体を、巻回軸を中心として長手方向に巻回する。積層体の巻回は、公知方法に従って実施することができる。巻回した積層体をプレス処理して、扁平形状の巻回電極体を作製する。このプレス処理は、一般的な扁平形状の巻回電極体の製造に用いられる公知のプレス装置を用いて実施すればよく、特に限定されない。このようにして、電極体20を用意することができる。
【0062】
図7は、成形金型120を模式的に示す図である。一体成型工程では、インサート成型することによって、封口板14と集電端子30とを一体化して集電端子-封口板組立体14Aを作製する。インサート成型は、従来公知の方法に従って行うことができる。具体的に、インサート成型は、
図7に示すような下型121と上型122とを有する成形金型120を用いて、部品セット工程、位置決め工程、上型セット工程、射出成形工程、上型リリース工程、および部品取出工程、を含む方法によって作製できる。
【0063】
部品セット工程では、成形金型120に封口板14と集電端子30とを装着する。まず、封口板14の端子装着孔18に集電端子30を挿通する。集電端子30は、上記したように、封口板内面側32が端子装着孔18に挿通可能な大きさに構成されている。このため、集電端子30は、封口板内面側32から2つの端子装着孔18にそれぞれ挿通される。そして、2つの端子装着孔18にそれぞれ集電端子30が挿通された封口板14を、下型121の凹部121aに装着する。
【0064】
位置決め工程では、封口板14と集電端子30との位置決めが実施される。下型121に封口板14と集電端子30とを装着した後、例えばスイッチ押下等の所定の操作を行うと、位置決め工程が開始される。具体的には、スイッチ押下等の所定の操作によって、後方側に退避していたスライド部材123aおよび123bが前方側に移動する。そして、スライド部材123aおよび123bによって、それぞれの集電端子30が挟まれる。集電端子30は、スライド部材123aおよび123bによって支持され、所望する位置に配置される。
【0065】
上型セット工程では、下型121にセットされた封口板14と集電端子30とを上下方向Zに挟むように、上型122をセットする。上型122は、図示は省略するが、下型121と当接するシール部と、樹脂を供給する樹脂供給部と、供給された樹脂が流れ込む凹部と、を有し得る。上型122の凹部は、封口板14と集電端子30とを挟んで下型121の凹部121aと対向するように配置される。
【0066】
射出成型工程では、樹脂供給部から樹脂を供給(射出)して、封口板14と集電端子30とを一体成型する。射出成型工程では、まず、成形金型120を加熱する。加熱温度は樹脂の種類によって異なるため、特に限定されないが、例えば100℃~200℃程度であってよい。成形金型120の加熱が完了すると、樹脂供給部から溶融樹脂が供給される。供給された樹脂は上型122の凹部に充填され、さらに端子装着孔18を通って下型121の凹部121aに充填される。その後、成形金型120と成型品とが冷却される。これにより、封口板14と集電端子30とを一体成型することができる。
【0067】
上型リリース工程では、上型122が上昇し下型121から離間する。その後、部品取出工程では、成型品が下型121から取り外される。これにより、集電端子30と封口板14とが一体に成型された集電端子-封口板組立体14Aを作製することができる。なお、部品取出工程の後に成型の際にできたバリを除去する工程があってもよい。
【0068】
組立工程では、上記用意した電極体20をケース本体12の内部に収容した状態で、集電端子-封口板組立体14Aをケース本体12に取り付け、封口する。具体的には、まず、第2集電部52と電極体20とを接続する。次いで、集電端子-封口板組立体14Aの集電端子30に第1集電部51を取り付ける。そして、第1集電部51と第2集電部52とを接続する。これによって、集電端子-封口板組立体14Aと電極体20とを接続することができる。集電端子-封口板組立体14Aに取り付けられた電極体20を、ケース本体12の開口部12hから挿入する。このとき、電極体20の巻回軸WLが底面12aに沿った向き(すなわち、巻回軸WLが長辺方向Yと平行になる向き)でケース本体12の内部に配置されるように、挿入するとよい。電極体20がケース本体12の内部に収容された状態で、集電端子-封口板組立体14Aとケース本体12の開口部12hの周縁とをレーザ溶接等によって接合する。そして、注液孔15から電解液を注入し、該注液孔15を封止部材16で塞ぐことによって、二次電池100を密閉する。以上のようにして、二次電池100を製造することができる。
【0069】
<電池の用途>
上述した蓄電デバイスは各種用途に利用可能であるが、例えば、乗用車、トラック等の車両に搭載されるモータ用の動力源(駆動用電源)として好適に用いることができる。車両の種類は特に限定されないが、例えば、プラグインハイブリッド自動車(PHEV;Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、ハイブリッド自動車(HEV;Hybrid Electric Vehicle)、電気自動車(BEV;Battery Electric Vehicle)等が挙げられる。かかる蓄電デバイスは、当該蓄電デバイスを所定の配列方向に複数個並べて、配列方向に沿って拘束機構で荷重を加えてなる形態(例えば、リチウムイオン二次電池を所定の方向に複数個並べた組電池)としても好適に用いることができる。
【0070】
上述した一実施形態は、ここに開示される蓄電デバイスの一例に過ぎない。ここに開示される技術は、他にも種々の形態にて実施することができる。以下、ここに開示される技術の他の実施形態について説明する。
【0071】
<第2実施形態>
例えば、上記した第1実施形態では、薄肉部14sは、封口板14の外面側において、その周囲よりも凹んだ溝状に構成された部分(第1溝部14e)を含んでいた。しかしながら、薄肉部の形態は、これに限定されない。
図8は、第2実施形態に係る
図5対応図である。
図8に示すように、第2実施形態では、薄肉部214sは、封口板214の内面側において、その周囲よりも凹んだ溝状に構成された部分(以下、「第2溝部214f」という。)を含む。なお、このこと以外は、上記した第1実施形態と同様であってよく、詳細な説明については省略する。
【0072】
図8に示すように、第2溝部214fは、ここでは、封口板214の内面側から外面側に向けて、所定の溝深さd
2で凹んだ形状である。第2溝部214fは、端子装着孔218の縁に沿って、略円環状に形成され得る。第2溝部214fは、端子装着孔218の周縁218aにおいて、所定の溝深さd
2を有する領域が、径方向に所定の長さL
2で延在する部分である。封口板214の端子装着孔218の周縁218aであって、封口板の内面側にその周囲よりも凹んだ第2溝部214fを設けることにより、一体成型されている部分の剛性を低減することができる。このため、一体成型された部分と、一体成型に関与していない部分との剛性の差を小さくすることができる。
【0073】
図8に示すように、溝状に形成された第2溝部214fには、集電端子230の封口板内面側232の一部が配置されていることが好ましい。集電端子230の封口板内面側232の一部は、絶縁部材240を挟んで封口板214の第2溝部214fと対向する位置に配置される。集電端子-封口板組立体において、封口板214と集電端子230とが対向する領域は、特に見かけの剛性が高くなる傾向にある。かかる領域において封口板214に第2溝部214fを設け、封口板214と集電端子230との合計体積を減少させることにより、見かけの剛性を低減することができる。したがって、端子装着孔218の周縁であって、封口板214の内面214aに第2溝部214fを含む薄肉部214sを設け、当該第2溝部214fに集電端子230の一部が配置されることにより、集電端子-封口板組立体における剛性差を小さくし、破断強度を向上させることができる。
【0074】
図8に示すように、二次電池200が長辺方向Yに沿って延びる集電体250を有している場合、集電体(より詳細には、第1集電部251)の少なくとも一部が第2溝部214fに配置されることが好ましい。第1集電部251は、第1集電部251と封口板214とが対向する領域の全てが第2溝部214fに配置されることがより好ましい。これにより、集電体250と封口板214とが対向する領域においても、封口板214と集電体250との合計体積が減少し、集電端子-封口板組立体内における剛性差を小さくすることができる。
【0075】
第2溝部214fの溝深さd2(封口板214の厚み方向に沿う方向の最大長さ)は、電池設計に応じて適宜設定されればよく、特に限定されない。例えば、集電端子230の封口板内面側232の平均厚み(上下方向Zの平均長さ)を厚みt4としたときに、第2溝部214fの溝深さd2は、d2≧(1/5)×t4であることが好ましく、d2≧(1/2)×t4であることがより好ましく、d2=t4(すなわち、第2溝部214fの溝深さd2と封口板内面側232の厚みt4とが同じ)であってもよい。第2溝部214fの溝深さd2を封口板内面側232の厚みt4の1/5以上の深さとすることで、上記したように合計体積を減少させることの効果が十分に発揮され、見かけの剛性の上昇を好適に抑制することができる。溝深さd2の上限は特に限定されないが、d2≦2×t4であることが好ましく、d2≦1.5×t4であることがより好ましい。
【0076】
また、特に限定されないが、集電体250(より詳細には、第1集電部251)の平均厚み(上下方向Zの平均長さ)を厚みt5としたときに、第2溝部214fの溝深さd2は、封口板内面側232の厚みt4と第1集電部51の厚みt5との合計の1/5以上であることが好ましい。すなわち、d2≧(1/5)×(t4+t5)であることが好ましい。第2溝部214fの溝深さd2は、例えば、(1/5)×(t4+t5)≦d2≦(t4+t5)であることが好ましく、(1/2)×(t4+t5)≦d2≦(t4+t5)であることが好ましい。これにより、集電端子-封口板組立体内の剛性差を好適に小さくすることができる。具体的に例えば、第2溝部214fの溝深さd2は0.2mm~1.9mm程度(好ましくは0.5mm~1mm)であるとよい。
【0077】
第2溝部214fの径方向の最大長さL2は、特に限定されないが、集電端子230の封口板内面側232が配置可能な長さであることが好ましい。また、二次電池200が長辺方向Yに沿って延びる集電体250を有している場合、第2溝部214fの最大長さL2は、集電端子230の封口板内面側232および集電体250が配置可能な長さであることが好ましい。具体的に例えば、第2溝部214fの最大長さL2は、1mm~10mm程度(好ましくは2mm~8mm)であるとよい。
【0078】
集電端子230と封口板214とが一体に成型された集電端子-封口板組立体において、封口板214および集電端子230のうち少なくとも一部の表面には、粗面化処理された粗化エリア214rが設けられていることが好ましい。粗化エリア214rは、封口板214に設けられていてもよい。粗化エリア214rは、例えば、薄肉部214sの絶縁部材240と接する表面のうち、少なくとも一部に設けられていることが好ましい。粗化エリア214rは、薄肉部214sの表面であって、薄肉部214sと絶縁部材240とが接する表面の全てにおいて設けられていてもよい。粗化エリア214rでは上記したとおり、アンカー効果が発揮され、特に剛性が高くなる傾向にある。このような粗化エリア214rと、薄肉部214sとを重ならせて配置することにより、集電端子-封口板組立体内における剛性差を低減することができる。したがって、集電端子-封口板組立体の接合性や気密性を十分に確保しつつ、破断強度を向上させることができ、より安全性に優れる蓄電デバイスを提供することができる。
【0079】
粗化エリア214rは、集電端子230に設けられていてもよい。集電端子230に粗化エリア214rが設けられている場合、粗化エリア214rが設けられている箇所は、少なくとも薄肉部214sと上下方向Zに重なる位置に配置されることが好ましい。例えば、粗化エリア14rは、集電端子30の封口板内面側232の表面であって、封口板214と絶縁部材240を挟んで対向する位置に設けられていることが好ましい。これにより、集電端子-封口板組立体の気密性の向上と、電池の破断強度の向上とを実現することができる。
【0080】
特に限定されないが、粗化エリア214rは、封口板214と集電端子230の両方に設けられていてもよい。例えば、粗化エリア214rは、薄肉部214sの絶縁部材240と接する表面と、集電端子230の封口板内面側232の表面であって、薄肉部214sと絶縁部材240を挟んで対向する位置に設けられていることが好ましい。これにより、集電端子230と封口板214との接合性や気密性をさらに確保しつつ、集電端子-封口板組立体内における剛性差を小さくすることができる。
【0081】
特に限定されないが、粗化エリア214rは、集電体250に設けられていてもよい。具体的には、第1集電部251の表面であって、薄肉部214sと絶縁部材240を挟んで対向する位置に設けられていることが好ましい。これにより、集電端子230、封口板214、および集電体が重なる領域の剛性を好適に下げることができ、破断強度を向上することができる。
【0082】
かかる二次電池200は、第1実施形態と略同様にして作製することができる。具体的には、封口板214、集電端子230、およびその他必要な部材を用意する工程と、封口板214と集電端子230とを一体成型する工程と、一体成型された集電端子-封口板組立体とケース本体とを組み立てる工程と、を含み得る。なお、封口板214の端子装着孔218に集電端子230を取り付ける際には、封口板外面側231から端子装着孔218を挿通させるとよい。
【0083】
<第3実施形態>
例えば、上記した第1実施形態では、薄肉部14sは、封口板14の外面側において、その周囲よりも凹んだ溝状に構成された部分(第1溝部14e)を含んでいた。また、上記した第2実施形態では、薄肉部214sは、封口板14の内面側において、その周囲よりも凹んだ溝状に構成された部分(第2溝部214f)を含んでいた。しかしながら、薄肉部の形態は、これに限定されない。
図9は、第3実施形態に係る
図5対応図である。
図9に示すように、第3実施形態では、薄肉部314sは、封口板314の外面側において、その周囲よりも凹んだ溝状に構成された部分(第1溝部314e)と、封口板314の内面側において、その周囲よりも凹んだ溝状に構成された部分(第2溝部314f)と、を含んでいる。なお、このこと以外は、上記した第1実施形態および/または第2実施形態と同様であってよく、詳細な説明については省略する。
【0084】
図8に示すように、第1溝部314eは、封口板314の外面側から内面側に向けて凹んだ形状である。また、第2溝部314fは、封口板314の内面側から外面側に向けて凹んだ形状である。封口板314の内面314aおよび外面314bの両方において、その周囲よりも凹んだ第1溝部314e、第2溝部314fを設けることにより、絶縁部材340によって、封口板314と集電端子330とが一体成型されている部分の合計体積をより一層低減することができる。したがって、一体成型された部分と、一体成型に関与していない部分との剛性の差をさらに小さくすることができ、破断強度を向上することができる。
【0085】
封口板314の外面側において形成される第1溝部314eと、内面側において形成される第2溝部314fとは、上下方向Zにおいて重なる領域に形成されていてもよい。その場合において、第1溝部314eの最大の溝深さd3(封口板314の厚み方向に沿う方向の最大長さ)と、第2溝部314fの最大の溝深さd4(封口板314の厚み方向に沿う方向の最大長さ)との合計が、封口板314の平均厚みt6を下回るように形成される。例えば、(d3+d4)<t6であり、(d3+d4)≦(2/3)×t6であることが好ましい。かかる範囲であれば、端子装着孔318の周縁318aの強度を一定以上確保する観点からも好ましい。また、合計体積を低減する観点からは、(d3+d4)≧(2/5)×t6であることが好ましく、(d3+d4)≧(1/2)×t6であることがより好ましい。上記した範囲となるように、端子装着孔318の周縁318aにおいて第1溝部314e、第2溝部314fを含む薄肉部314sを設けることにより、より安全性の高い蓄電デバイスを提供することができる。なお、第1溝部314eの溝深さd3と、第2溝部314fの溝深さd4とは、同じ深さであってもよいし、異なる深さであってもよい。また、第1溝部314eの径方向の最大長さL3と、第2溝部314fの径方向の最大長さL4は、特に限定されない。かかる最大長さL3と最大長さL4とは、同じ長さであってもよいし、異なる長さであってもよい。かかる第1溝部314eおよび第2溝部314fの溝深さや最大長さは、集電端子330の形状等に合わせて、適宜変更され得る。
【0086】
集電端子330と封口板314とが一体に成型された集電端子-封口板組立体において、封口板314および集電端子330のうち少なくとも一部の表面には、粗面化処理された粗化エリア314rが設けられていることが好ましい。
図9に示す例では、端子装着孔318の周縁では、封口板314および集電端子330の両方において粗化エリア314rが設けられている。具体的には、粗化エリア314rは、薄肉部314sの絶縁部材40と接する表面と、集電端子330の封口板外面側331の表面であって、薄肉部14sと絶縁部材40を挟んで対向する位置と、集電端子330の封口板内面側332の表面であって、薄肉部314sと絶縁部材340を挟んで対向する位置と、に設けられていることが好ましい。第1溝部314eおよび第2溝部314fと粗化エリア314rとが重なる領域に配置されていることにより、一体に成型された部分と、一体成型に関与しない部分との剛性差を好適に小さくすることができる。
【0087】
かかる二次電池300は、第1実施形態と略同様にして作製することができる。具体的には、封口板314、集電端子330、およびその他必要な部材を用意する工程と、封口板314と集電端子330とを一体成型する工程と、一体成型された集電端子-封口板組立体とケース本体とを組み立てる工程と、を含み得る。なお、封口板314の端子装着孔318に集電端子330を取り付ける際には、封口板外面側331または封口板内面側332を傾けつつ端子装着孔318に通すことにより、
図9に示すように、端子装着孔318に集電端子330が挿通された状態とすることができる。
【0088】
<第4実施形態>
例えば、上記した第1実施形態~第3実施形態では、薄肉部は、封口板の外面側において、その周囲よりも凹んだ溝状に構成された部分(第1溝部)、および/または、封口板の内面側において、その周囲よりも凹んだ溝状に構成された部分(第2溝部)を含んでいた。しかしながら、薄肉部の形態は、これに限定されない。
図10は、第4実施形態に係る
図5対応図である。
図10に示すように、第4実施形態では、薄肉部414sは、封口板414の外面側及び/又は内面側において非貫通孔414j若しくは貫通孔414hを有している。なお、このこと以外は、上記した第1実施形態と同様であってよく、詳細な説明については省略する。
【0089】
図11は、第5実施形態に係る集電端子-封口板組立体414Aの模式的な平面図である。
図10および
図11に示すように、第4実施形態において薄肉部414sは、端子装着孔18の周縁に形成された非貫通孔414jおよび/または貫通孔414hによって構成されている。非貫通孔414jおよび/または貫通孔414hが形成されていることにより、薄肉部414sは、封口板414の中で体積が相対的に小さくなっている。これにより、剛性が相対的に小さい領域に応力が集中することを抑制して、電池ケースが破断することを抑制することができる。
【0090】
第4実施形態において、薄肉部414sは、非貫通孔414jのみで構成されていてもよいし、貫通孔414hのみで構成されていてもよいし、非貫通孔414jおよび貫通孔414hの両方から構成されていてもよい。非貫通孔414jおよび貫通孔414hは、封口板414と絶縁部材440とが接する領域において形成されている。非貫通孔414jは、一つであってもよいが、封口板414と絶縁部材440とが接する領域において、複数形成されていることが好ましい。また、貫通孔414hは、一つであってもよいが、封口板414と絶縁部材440とが接する領域において、複数形成されていることが好ましい。これにより、集電端子-封口板組立体において、一体成型されている部分と、一体成型に関与していない部分との剛性差をより好適に低減することができる。
【0091】
非貫通孔414jおよび貫通孔414hが複数形成される場合において、封口板414と絶縁部材440とが接する領域である限りにおいて、各々の形成位置は特に限定されない。好ましくは、封口板414と絶縁部材440とが接する領域において、非貫通孔414jおよび/または貫通孔414hが概ね均等に配置されていることが好ましい。具体的には、
図11に示すように、非貫通孔414jおよび/または貫通孔414hは、封口板414の短辺方向における中心線CLに対して対象に配置されているとよい。これにより、非貫通孔414jまたは貫通孔414hが形成されていない部分に応力が集中することを抑制する。
【0092】
非貫通孔414jは、端子装着孔418の周囲において、所定の深さd
5で、所定の間隔(ピッチ)で複数形成されていることが好ましい。
図10に示す例では、非貫通孔414jは、封口板414の内面側に設けられている。ただし、非貫通孔414jは、封口板414の外面側に設けられていてもよい。非貫通孔414jは、平面視において、真円形状、楕円形状、四角形状、六角形状等であってよい。なかでも、封口板414の体積を好適に低減させる観点から真円形状であることが好ましい。非貫通孔414jの最大径L
5は特に限定されないが、例えば、0.05mm~0.5mm程度であるとよい。非貫通孔414jの最大深さd
5(端子装着孔418に沿う方向の最大長さ)は、封口板414の平均厚みt
5より短い限りにおいて特に限定されない。非貫通孔414jの最大深さd
5は所望する封口板414の強度となるように適宜調整すればよい。一例として、非貫通孔414jの最大深さd
5は、0.1mm~1mm程度であるとよい。
【0093】
貫通孔414hは、封口板414の厚み方向に沿って、外面側から内面側に貫通する部分である。貫通孔414hは、端子装着孔418の周囲において、所定の間隔(ピッチ)で複数形成されていることが好ましい。貫通孔414hの最大径L6は特に限定されない。貫通孔414hの最大径L6は、上記した非貫通孔414jの最大径L5と概ね同じであってよい。具体的には、貫通孔414hの最大径L6は、例えば、0.05mm~0.5mm程度であるとよい。
【0094】
薄肉部414sが非貫通孔414jおよび/または貫通孔414hを含む形態において、集電端子430の少なくとも一部の表面には、粗面化処理された粗化エリア414rが設けられていることが好ましい。粗化エリア414rは、例えば、集電端子430の封口板内面側432の表面であって、集電端子430と封口板414とが絶縁部材440を挟んで対向する位置に設けられていることが好ましい。あるいは、粗化エリア414rは、例えば、集電端子430の封口板内面側432の表面であって、集電端子430と封口板414とが絶縁部材440を挟んで対向する位置に設けられていることが好ましい。粗化エリア414rは、非貫通孔414jおよび/または貫通孔414hをそれぞれ囲むように設けられていてもよい。薄肉部414sと粗化エリア414rとの位置を重ならせることにより、集電端子-封口板組立体の接合性や気密性を十分に確保しつつ、破断強度を向上させることができ、より安全性に優れる蓄電デバイスを提供することができる。
【0095】
第4実施形態において、非貫通孔414jおよび/または貫通孔414hは、粗化エリア414r以外の部分に設けられていてもよい。具体的には、粗化エリア414r以外の部分であって、絶縁部材440と封口板414とが接する領域に、非貫通孔414jおよび/または貫通孔414hを設けるとよい。粗化エリア414r以外の部分に非貫通孔414jおよび/または貫通孔414hを配置することにより、剛性が急激に変化する箇所を複数に分散させることができる。これにより、応力が集中することが緩和される。
【0096】
かかる二次電池400は、第1実施形態と略同様にして作製することができる。具体的には、封口板414、集電端子430、およびその他必要な部材を用意する工程と、封口板414と集電端子430とを一体成型する工程と、一体成型された集電端子-封口板組立体とケース本体とを組み立てる工程と、を含み得る。なお、非貫通孔414jおよび貫通孔414hは、レーザ加工、ドリル加工、エッチング等の従来公知の方法で作製することができる。
【0097】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、上記実施形態は一例に過ぎない。本発明は、他にも種々の形態にて実施することができる。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。請求の範囲に記載の技術には、上記に例示した実施形態を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、上記した実施形態の一部を他の変形態様に置き換えることも可能であり、上記した実施形態に他の変形態様を追加することも可能である。また、その技術的特徴が必須なものとして説明されていなければ、適宜削除することも可能である。
【0098】
以上のとおり、ここに開示される技術の具体的な態様として、以下の各項に記載のものが挙げられる。
項1:開口部を有するケース本体と、端子装着孔を有し、前記開口部を封口する封口板と、前記ケース本体の内部に収容された電極体と、一端が前記ケース本体の内部で前記電極体と電気的に接続され、他端が前記端子装着孔を通過して前記封口板の外面側に露出する集電端子と、前記封口板と前記集電端子との間に配置される絶縁部材と、を備える蓄電デバイスであって、前記絶縁部材は、前記封口板の端子装着孔の周縁部分および前記集電端子と一体成型された状態で前記端子装着孔の周縁に配置され、前記封口板における前記端子装着孔の周縁の少なくとも一部分は、該部分の周囲よりも薄肉である薄肉部を構成している、蓄電デバイス。
項2:前記薄肉部は、前記封口板の外面側においてその周囲よりも凹んだ溝状に構成された部分を含んでおり、該凹んだ溝状部分には、前記集電端子の封口板外面側の一部が配置されている、項1に記載の蓄電デバイス。
項3:前記薄肉部は、前記封口板の内面側においてその周囲よりも凹んだ溝状に構成された部分を含んでおり、該凹んだ溝状部分には、前記集電端子の封口板内面側の一部が配置されている、項1または2に記載の蓄電デバイス。
項4:前記薄肉部は、前記封口板の外面側及び/又は内面側において非貫通孔若しくは貫通孔を有している、項1~3のいずれか一つに記載の蓄電デバイス。
項5:前記薄肉部の前記絶縁部材と接する表面、及び/又は、前記薄肉部と前記絶縁部材を挟んで対向する前記集電端子の表面には、その周囲の表面よりも凹凸のある粗化エリアを有している、項1~4のいずれか一つに記載の蓄電デバイス。
【符号の説明】
【0099】
10 電池ケース
12 ケース本体
12h 開口部
14 封口板
14A 集電端子-封口板組立体
14e 第1溝部
14r 粗化エリア
14s 薄肉部
18 端子装着孔
20 電極体
30 集電端子
31 封口板外面側
32 封口板内面側
33 軸部
35 外部導電部材
40 絶縁部材
50 集電体
100 二次電池
120 成形金型
200 二次電池
214 封口板
214f 第2溝部
214r 粗化エリア
214s 薄肉部
218 端子装着孔
230 集電端子
240 絶縁部材
250 集電体
300 二次電池
314 封口板
314e 第1溝部
314f 第2溝部
314r 粗化エリア
314s 薄肉部
318 端子装着孔
330 集電端子
340 絶縁部材
400 二次電池
414 封口板
414h 貫通孔
414j 非貫通孔
414r 粗化エリア
414s 薄肉部
418 端子装着孔
430 集電端子
440 絶縁部材