(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112619
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】ロック装置及び収納装置
(51)【国際特許分類】
E05B 83/30 20140101AFI20240814BHJP
E05B 77/36 20140101ALI20240814BHJP
E05B 79/16 20140101ALI20240814BHJP
B60R 7/06 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
E05B83/30 A
E05B77/36
E05B79/16
B60R7/06 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017790
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000229955
【氏名又は名称】日本プラスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】汐月 隆仁
【テーマコード(参考)】
2E250
3D022
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250JJ09
2E250LL11
2E250PP02
2E250PP03
3D022CA08
3D022CD14
(57)【要約】
【課題】回動体とロック体とを連結する連結部でのがたつきを抑制したロック装置を提供する。
【解決手段】ロック装置は、ロック体12の端部側を回動体に対して回動可能に連結する連結部30を備える。少なくともいずれかの連結部30は、回転体形状の凸部32bと、凸部32bの外周面を保持する円筒面状の保持壁部43と保持壁部43に対向する弾性変形可能な弾性壁部44と少なくとも弾性壁部44に突設された抜止部46とを備え凸部32bを回動可能に受ける挿入部33bと、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一部材に対し第二部材をロック可能であるとともにこのロックを解除可能なロック装置であって、
回動可能であり、前記第一部材と前記第二部材との一方に位置する回動体と、
前記第一部材と前記第二部材との他方に設けられた対をなすロック受け部に対してそれぞれ移動により一端部側が挿脱される対をなすロック体と、
一方の前記ロック体の他端部側を前記回動体の回動中心に対して一側に回動可能に連結し、他方の前記ロック体の他端部側を前記回動体の回動中心に対して他側に回動可能に連結する連結部と、を備え、
少なくともいずれかの前記連結部は、
前記回動体と前記ロック体との一方に設けられた回転体形状の凸部と、
この凸部の外周面を保持する円筒面状の保持壁部と、この保持壁部に対向する弾性変形可能な弾性壁部と、少なくとも前記弾性壁部に突設された抜止部と、を備え、前記回動体と前記ロック体との他方に凹設されて前記凸部を回動可能に受ける挿入部と、を有する
ことを特徴とするロック装置。
【請求項2】
抜止部は、弾性壁部及び保持壁部にそれぞれ突設されている
ことを特徴とする請求項1記載のロック装置。
【請求項3】
挿入部は、凸部の前記挿入部内での位置を規制する規制壁部を、保持壁部と弾性壁部との対向方向に対して交差する方向に対向して備える
ことを特徴とする請求項1記載のロック装置。
【請求項4】
凸部は、スピンドル形状である
ことを特徴とする請求項1記載のロック装置。
【請求項5】
開口部を有する第一部材である本体部と、
前記開口部を開閉可能な第二部材である蓋部材と、
前記本体部と前記蓋部材とのいずれかに設けられ、前記開口部を閉じた状態で前記蓋部材を前記本体部にロックする請求項1ないし4いずれか一記載のロック装置と、
を備えることを特徴とする収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一部材に対し第二部材をロック可能であるとともにこのロックを解除可能なロック装置及びこれを備えた収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車などの車両に搭載されるグローブボックスなどの開閉装置において、第一部材である本体部に対して第二部材である蓋体を開閉可能にロックするロック装置が用いられる。このようなロック装置は、ロック体である長尺の一対のロッドの先端部がロック受け部に付勢された状態で挿入されて蓋体をロックしており、乗員などの使用者が操作ハンドルをスライドまたは回動させることで、この操作ハンドルの操作に応じてロッドが付勢に抗してロック受け部から長手方向に退避することにより、ロックが解除される。
【0003】
一対のロッドを操作ハンドルの操作に連動させるために、回動可能な回動体であるロータが用いられる。ロータの回動中心を基準として互いに反対側の位置にロッドの他端部がそれぞれ回動可能に連結され、操作ハンドルの操作により生じる外力を受けてロータが回動することにより、一対のロッドが互いに反対方向に移動することで、これらロッドの一端部がロック受け部からそれぞれ退避するように構成されている。ロータとロッドの他端部とは、一方に設けられた球状の凸部が他方に凹設された挿入部に挿入され、挿入部の内壁部に突設された抜止部である弾性爪によって保持されることで連結されている(例えば、特許文献1ないし3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】再公表特許第2012/132546号 (第4-10頁、
図1-4)
【特許文献2】再公表特許第2015/163282号 (第4-7頁、
図1-4)
【特許文献3】特開2019-23379号公報 (第4-10頁、
図1-4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の構成の場合、凸部の位置を規制する挿入部の内壁部が、ロッドの長手方向に対向する一対と、ロッドの幅方向に対向する一対と、に平面状に設定されていることにより、球状の凸部の外周面と内壁部との接触保持面積が大きく取れないため、凸部と挿入部とのがたつきが生じないように、さらなる対策が必要となる。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、回動体とロック体とを連結する連結部でのがたつきを抑制したロック装置及びこれを備えた収納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載のロック装置は、第一部材に対し第二部材をロック可能であるとともにこのロックを解除可能なロック装置であって、回動可能であり、前記第一部材と前記第二部材との一方に位置する回動体と、前記第一部材と前記第二部材との他方に設けられた対をなすロック受け部に対してそれぞれ移動により一端部側が挿脱される対をなすロック体と、一方の前記ロック体の他端部側を前記回動体の回動中心に対して一側に回動可能に連結し、他方の前記ロック体の他端部側を前記回動体の回動中心に対して他側に回動可能に連結する連結部と、を備え、少なくともいずれかの前記連結部は、前記回動体と前記ロック体との一方に設けられた回転体形状の凸部と、この凸部の外周面を保持する円筒面状の保持壁部と、この保持壁部に対向する弾性変形可能な弾性壁部と、少なくとも前記弾性壁部に突設された抜止部と、を備え、前記回動体と前記ロック体との他方に凹設されて前記凸部を回動可能に受ける挿入部と、を有するものである。
【0008】
請求項2記載のロック装置は、請求項1記載のロック装置において、抜止部は、弾性壁部及び保持壁部にそれぞれ突設されているものである。
【0009】
請求項3記載のロック装置は、請求項1記載のロック装置において、挿入部は、凸部の前記挿入部内での位置を規制する規制壁部を、保持壁部と弾性壁部との対向方向に対して交差する方向に対向して備えるものである。
【0010】
請求項4記載のロック装置は、請求項1記載のロック装置において、凸部は、スピンドル形状であるものである。
【0011】
請求項5記載の収納装置は、開口部を有する第一部材である本体部と、前記開口部を開閉可能な第二部材である蓋部材と、前記本体部と前記蓋部材とのいずれかに設けられ、前記開口部を閉じた状態で前記蓋部材を前記本体部にロックする請求項1ないし4いずれか一記載のロック装置と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載のロック装置によれば、凸部を保持壁部と弾性壁部との間に遊びなく大きな表面積で挟み込みつつ抜止部で保持し、連結部でのがたつきを抑制できる。
【0013】
請求項2記載のロック装置によれば、請求項1記載のロック装置に効果に加えて、挿入部に挿入された凸部を、より確実に挿入部に保持できる。
【0014】
請求項3記載のロック装置によれば、請求項1記載のロック装置の効果に加えて、凸部を挿入部内で左右方向及び上下方向に動かないように保持でき、連結部でのがたつきをより確実に抑制できる。
【0015】
請求項4記載のロック装置によれば、請求項1記載のロック装置の効果に加えて、凸部の挿入部への挿入時の荷重を抑制できる。
【0016】
請求項5記載の収納装置によれば、操作時のがたつきを抑制した、高級感がある収納装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施の形態のロック装置を示し、(a)は連結部の挿入部の正面図、(b)は同上挿入部の背面図である。
【
図2】同上ロック装置の端面図であり、(a)は
図1(a)のI-I相当位置を示し、(b)は
図1(b)のII-II相当位置を示す。
【
図3】同上ロック装置の連結部の凸部の斜視図であり、(a)は一方の凸部を示し、(b)は他方の凸部を示す。
【
図4】同上ロック装置を正面側から示す分解斜視図である。
【
図5】同上ロック装置の一部を背面側から示す分解斜視図である。
【
図6】同上ロック装置の斜視図であり、(a)は正面側から示し、(b)は背面側から示す。
【
図7】同上ロック装置を備える収納装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
図6(a)及び
図6(b)において、1はロック装置を示す。ロック装置1は、第一部材に対し第二部材をロック可能であるとともにこのロックを解除可能なものである。例えば、第一部材及び第二部材は開閉装置あるいは収納装置に用いられる。
図7に示す例では、ロック装置1は収納装置2に用いられる。収納装置2は、例えば車両用のグローブボックスである。収納装置2は、開口部3を有する第一部材である本体部4と、この本体部4の開口部3を開閉する第二部材である蓋部材5と、を備える。蓋部材5は、インナ部材とアウタ部材との複数の部材を有し、ロック装置1は、蓋部材5においてインナ部材とアウタ部材との間の空間部に主として配置される。そして、ロック装置1は、開口部3を閉じた状態で蓋部材5を本体部4にロックするとともに、ロックの解除により蓋部材5が開口部3を開くことが可能となる。
【0020】
ロック装置1は、
図4及び
図5に示す基体10を備える。基体10は、ボディ部などとも呼ばれ、第一部材と第二部材とのいずれか一方、本実施の形態では第二部材(蓋部材5(
図7))に一体的に取り付けられる。図示される例では、基体10は、第一部材と第二部材とのいずれか一方に対し別体として形成されているが、これに限らず、一体に形成されていてもよい。そして、この基体10に対し、回動体11、及び、対をなすロック体12が取り付けられる。図示される例では、基体10に対し、車両の乗員などの使用者によりロックの解除時に操作される被操作体13がさらに取り付けられる。
【0021】
なお、以下、使用者側から見た方向を基準として前後方向を規定し、使用者側である図中の矢印FR方向を前側あるいは手前側、その反対方向である矢印RR方向を後側あるいは背後側とする。また、図示される例では、ロック体12は左右方向(矢印L,R方向)に延びて配置されているものとし、これら前後方向及び左右方向に対して直交する方向(矢印U,D方向)を上下方向として説明するが、これに限られず、ロック装置1の設置姿勢によって、左右方向及び上下方向については適宜変更されるものとする。
【0022】
回動体11は、ロータなどとも呼ばれ、回動により、ロック体12を互いに反対方向に移動またはスライドさせるように連動させる連動部材である。回動体11は、反対方向に基体10に形成された支軸15に回動可能に支持されている。そのため、回動体11は、基体10を介して、第一部材と第二部材とのいずれか一方に回動可能に支持される。本実施の形態において、支軸15は、例えば基体10の後部、つまり被操作体13とは反対側の位置に突設され、回動体11が左右に回動可能となっている。
【0023】
回動体11は、支軸15に支持される被支持部17と、被支持部17から径方向に延出する対をなす腕部18と、を有する。
【0024】
図示される例では、被支持部17は、円筒状に形成され、支軸15が前側から後側に挿入されている。対をなす腕部18は、被支持部17の中心すなわち回動体11の回動中心に対して互いに反対側に延びている。つまり、対をなす腕部18は、回動体11の回動中心に対して一側と他側に位置する。それぞれの腕部18に対し、ロック体12が連結される。本実施の形態では、腕部18は、被支持部17に対して上下に位置する。
【0025】
好ましくは、回動体11は付勢手段20により回動方向に付勢されている。付勢手段20は、例えばコイルばね、あるいはトーションばねなどであり、回動体11の前側、つまり回動体11と基体10との間にて支軸15に保持されており、一端側が基体10に固定され、他端側が回動体11に固定されている。付勢手段20による回動体11の付勢方向は、ロック装置1によるロックを保持する方向となっている。本実施の形態では、回動体11には、付勢手段20による付勢に対し回動体11の回動範囲を規制するためのストッパ部22が形成されている。図示される例では、ストッパ部22は、回動体11の前部に突設され、基体10に形成されたストッパ受け部23に対して当接することにより回動体11の回動範囲を規制するように構成されている。
【0026】
ロック体12は、ロッド、あるいはピンなどとも呼ばれる長尺状の部材である。ロック体12は、第一方向に移動可能であって、第一部材と第二部材との他方に設けられた穴部などの対をなすロック受け部に対してそれぞれ移動により一端部側(先端部側)が挿脱されることで、第二部材をロックするスライド部材である。本実施の形態において、ロック体12は、その長手方向に移動可能である。すなわち、本実施の形態では、第一方向とは、ロック体12の長手方向であって、図示される例では左右方向である。
【0027】
本実施の形態において、ロック体12は、基体10に対して左右に対をなし、基体10に対して左右方向に延出されている。基体10に対し右側に位置する一方のロック体12aは、一端部側である右端部側が基体10から右側に延出され、基体10に対し左側に位置する他方のロック体12bは、一端部側である左端部側が基体10から左側に延出されている。これらロック体12a,12bの長さについては、収納装置2(
図7)におけるロック装置1の配置に応じて設定され、本実施の形態では一方のロック体12aと比較して他方のロック体12bがより長尺となっている。ロック体12には、基体10から延出される一端部側に、ロック受け部に挿脱されるロック部26が形成されている。図中では、ロック部26については、一方のロック体12aにのみ示している。
【0028】
また、本実施の形態では、少なくともいずれかのロック体12が、基体10に移動方向にガイドされている。図示される例では、一方のロック体12aが、基体10の後部に形成されたガイド部28により左右方向にスライド可能に保持されている。
【0029】
また、ロック体12の他端部(基端部)は、それぞれ連結部30を介して回動体11の腕部18に回動可能に連結されている。本実施の形態では、一方のロック体12aの右端部側が回動体11の回動中心に対して上側の一方の腕部18aに連結され、他方のロック体12bの右端部側が回動体11の回動中心に対して下側の他方の腕部18bに連結されている。
【0030】
連結部30は、それぞれ同一の構成でもよいが、本実施の形態では、互いに異なる構成となっている。一方のロック体12aと回動体11の一方の腕部18aとを連結する一方の連結部30aは、一方のロック体12aと回動体11の一方の腕部18aとの一方に形成された凸部32aと、一方のロック体12aと回動体11の一方の腕部18aとの他方に形成された挿入部33aと、を備える。本実施の形態において、凸部32aは、回動体11の一方の腕部18aの先端部寄りの位置から前側に突設され、挿入部33aは一方のロック体12aの後部に形成されている。
【0031】
図3(a)に示す凸部32aは、回動体11の回動軸線と少なくとも平行または略平行な回動軸線を有する回転体形状である。本実施の形態において、凸部32aは、略円柱状に形成されている。図示される例では、凸部32aは、先端側に向かい縮径する截頭円錐状または円錐台状の傾斜部35aが先端部に形成され、傾斜部35aの基端側に連なって、一定または略一定の径寸法を有する円柱状の一般部36aが基端部に亘り形成されている。つまり、凸部32aは、傾斜部35aによって先端部が先細となっている。
【0032】
また、
図5に示す挿入部33aは、凸部32aが挿入される凹部である。本実施の形態において、挿入部33aは、凸部32aが遊嵌される部分である。つまり、挿入部33a内には、凸部32aの周囲に、凸部32aが僅かに移動可能な隙間がある。挿入部33aは、一方のロック体12aの移動に伴い凸部32aと当接する当接壁部40,41を有する。本実施の形態では、当接壁部40,41は、挿入部33aの左右に設定され、前後方向及び上下方向に延びる平面状となっている。すなわち、当接壁部40,41は、ロック体12の移動方向に対して交差または直交する方向であるロック体12の幅方向に延びている。
【0033】
また、本実施の形態において、挿入部33aは一方のロック体12aを厚み方向である前後方向に貫通して形成された穴部である。また、挿入部33aの下部は開放されている。つまり、挿入部33aの下部は、一方のロック体12aの外部と直接連通している。
【0034】
また、他方のロック体12bと回動体11の他方の腕部18bとを連結する他方の連結部30bは、
図1(a)及び
図1(b)に示すように、他方のロック体12bと回動体11の他方の腕部18bとの一方に形成された凸部32bと、他方のロック体12bと回動体11の他方の腕部18bとの他方に形成された挿入部33bと、を備える。本実施の形態において、凸部32bは、回動体11の他方の腕部18bの先端部寄りの位置から前側に突設され、挿入部33bは他方のロック体12bの後部に形成されている。
【0035】
図3(b)に示す凸部32bは、回動体11の回動軸線と少なくとも平行または略平行な回動軸線を有する回転体形状である。本実施の形態において、凸部32bは、非球面体形状であって、スピンドル形状に形成されている。図示される例では、凸部32bは、先端側に向かい例えば一定または略一定の割合で縮径する截頭円錐状または円錐台状の傾斜部35bが先端部に形成され、傾斜部35bの基端側に連なって、一定または略一定の径寸法を有する円柱状の一般部36bが形成されている。さらに、凸部32bには、一般部36bの基端側に連なって、括れ部37が基端部に形成されている。括れ部37は、基端側に向かい縮径される截頭円錐状、円錐台状または球面状に形成されている。つまり、凸部32bは、傾斜部35bによって先端部が先細となっており、括れ部37によって基端部が括れているとともに、これら傾斜部35bと括れ部37との間の領域が径寸法一定または略一定の最大径領域となっている。
【0036】
図1(a)、
図1(b)、
図2(a)及び
図2(b)に示す挿入部33bは、凸部32bが挿入される凹部である。本実施の形態において、挿入部33bは、凸部32bが嵌合保持される部分である。つまり、挿入部33bは、凸部32bの外周面を保持する保持壁部43を有する。
【0037】
保持壁部43は、円筒面状に形成されている。保持壁部43は、凸部32bの一般部36bの外周面と等しいまたは略等しい径寸法を有する円筒面状である。そのため、保持壁部43は、挿入部33bに挿入された凸部32bの一般部36bの外周面に対して隙間を有することなく接触または干渉する。保持壁部43は、例えば挿入部33bの上下方向の一方側、本実施の形態では上部に形成されている。
【0038】
また、挿入部33bは、保持壁部43に対向する弾性壁部44を有する。すなわち、本実施の形態において、弾性壁部44は、挿入部33bの下部に形成されている。弾性壁部44は、凸部32bの挿入部33bへの挿入時に弾性的に撓むことで挿入荷重を低減するものである。弾性壁部44は、左右方向に直線状に延びており、挿入部33bの中央部または挿入部33bに挿入される凸部32bの中心軸から離れる方向、本実施の形態では下方向に弾性変形可能となっている。そのため、弾性壁部44は、左右方向の中央部において、凸部32bの一般部36bの外周面と接触するように構成されている。本実施の形態では、弾性壁部44は、他方のロック体12bの前面を貫通する左右方向に長手状のスリット45の下部に沿って形成され、スリット45によって上下方向の弾性変形がより容易になっている。
【0039】
そして、弾性壁部44には、凸部32bを挿入部33bに対し抜け止め保持する抜止部46が形成されている。抜止部46は、挿入部33bに挿入された凸部32bの括れ部37に係合される爪部である。抜止部46は、弾性壁部44において、凸部32bの挿入側、本実施の形態では後端部の内縁に設定されてている。そのため、抜止部46は、挿入部33bの下部に設定されている。
【0040】
好ましくは、抜止部46は、保持壁部43にも形成されている。抜止部46は、保持壁部43において、凸部32bの挿入側、本実施の形態では後端部の内縁に設定されてている。そのため、本実施の形態において、抜止部46は、挿入部33bの上下部に設定されている。
【0041】
さらに、挿入部33bには、保持壁部43と弾性壁部44との対向方向に対して直交する左右方向に対向する規制壁部47が形成されている。規制壁部47は、上下方向に直線状に形成されている。規制壁部47は、上下方向の中央部において、挿入部33bに挿入された凸部32bの一般部36bの外周面と接触するように構成されている。本実施の形態において、規制壁部47,47は、挿入部33bに対する凸部32bの挿入側である後側が左右方向に拡開された拡開部48となっている。
【0042】
また、
図4に示す被操作体13は、操作ハンドルなどとも呼ばれる。被操作体13は、基体10に可動的に設けられて、ロック装置1が取り付けられた第一部材と第二部材とのいずれか一方(本実施の形態では蓋部材5(
図7))から露出し、使用者の操作に応じて基体10に対して動作することによりロック体12を移動させてロック装置1によるロックを解除(アンロック)する部材である。対をなすロック体12と回動体11とは、一体的に連動するため、被操作体13は、対をなすロック体12と回動体11とのいずれかに対して外力を作用させることにより、ロック体12をロック解除方向に移動させることができる。被操作体13は、基体10に対する位置または姿勢が変わるように動作すれば、基体10に対してスライド可能な構成などとしてもよいが、本実施の形態では、被操作体13は、基体10の前部に形成された軸支部50に左右方向に回動可能に支持されている。図示される例では、被操作体13は、例えば正面から見て四角形状に形成された板状部材である。
【0043】
また、被操作体13には、後部すなわち基体10に対向する側に加圧部51が突設されており、この加圧部51が基体10を前後方向に貫通して形成された穴部52に前側から後側へと挿入され、
図6(b)に示すように基体10の後部の位置でガイド部28に保持されている一方のロック体12aの受圧部53に対向している。すなわち、本実施の形態では、一方のロック体12aが、被操作体13から直接外力を受けて動作されるロック体であり、他方のロック体12bが、被操作体13の操作に対して回動体11を介して間接的に動作されるロック体である。
【0044】
そして、ロック装置1を組み立てる際には、まず、回動体11とロック体12a,12bとを連結部30により連結する。つまり、回動体11に形成された凸部32aを一方のロック体12aに形成された挿入部33aの当接壁部40,41間に挿入するとともに、回動体11に形成された凸部32bを他方のロック体12bに形成された挿入部33bに挿入する。
【0045】
このとき、凸部32bを挿入部33bに位置合わせして押し込むと、まず凸部32bの傾斜部35bが挿入部33bの保持壁部43及び弾性壁部44間に挿入される。さらに凸部32bを挿入部33b内に押し込み、凸部32bの一般部36bが保持壁部43及び弾性壁部44に形成された抜止部45,45間に当接すると、弾性壁部44が下方に弾性的に変形して抜止部45,45間が弾性的に押し開かれ、凸部32bの一般部36bが抜止部45,45を乗り越えながら挿入部33bの奥へと進入する。そして、凸部32bの一般部36bが抜止部45,45を通過して、括れ部37が抜止部45の位置となると、弾性壁部44が上方に復帰変形し、抜止部45が括れ部37に引っ掛かって、凸部32bが挿入部33bに抜け止めされた状態で係止保持される。この状態で、凸部32bの一般部36bの左右両側は、挿入部33bの規制壁部46,46間に保持されることで、挿入部33b内での動きが規制される。
【0046】
この後、回動体11の被支持部17を付勢手段20とともに基体10の支軸15に圧入し、回動体11、付勢手段20及びロック体12a,12bを基体10の後部に組み付けるとともに、基体10の前部から被操作体13を、加圧部51を穴部52に挿入しつつ基体10の軸支部50に回動可能に組み付けて、加圧部51を一方のロック体12aの受圧部53に対向させることで、ロック装置1が組み立てられる。組み立てたロック装置1は、基体10及び他方のロック体12bを第一部材または第二部材、例えば本実施の形態では
図7に示す蓋部材5のインナ部材に取り付けることで、収納装置2に取り付けられる。
【0047】
そして、ロック装置1は、蓋部材5が開口部3を閉じた位置で、付勢手段20により回動体11が付勢されることにより、挿入部33aの当接壁部40が凸部32aに当接することで一方のロック体12aが右側へと押圧され、挿入部33bに挿入されている凸部32bが左側に押し込まれることで他方のロック体12bが左側へと押圧されて、ロック体12a,12bのロック部26,26がロック受け部にそれぞれ挿入された状態で保持され、蓋部材5を本体部4にロックする。
【0048】
また、ロック装置1によるロックを解除する際には、使用者が被操作体13を回動させると、被操作体13の加圧部51が一方のロック体12aの受圧部53に当接して受圧部53を介して一方のロック体12aを左側へと押圧することにより、一方のロック体12aがガイド部28に沿って左側に移動し、挿入部33aの当接壁部41が凸部32aに当接することで、回動体11の一方の腕部18aが左側へと、付勢手段20の付勢に抗して押し込まれる。そこで、回動体11が支軸15を中心として回動し、一方のロック体12aと反対側の回動体11の他方の腕部18bに他方の連結部30bを介して連結された他方のロック体12bが、回動体11の回動に伴い右側に引っ張られて右側に移動する。すなわち、対をなすロック体12が回動体11を介して互いに反対方向に移動して、ロック部26がロック受け部から引き抜かれ、ロック装置1によるロックが解除される。
【0049】
上述したように、一実施の形態によれば、連結部30の凸部32bを回動可能に受ける挿入部33bにおいて、凸部32bの外周面を保持する円筒面状の保持壁部43を形成し、この保持壁部43に対向して弾性変形可能な弾性壁部44を形成するとともに、少なくとも弾性壁部44に抜止部46を突設したことで、凸部32bを保持壁部43と弾性壁部44との間に遊びなく大きな表面積で挟み込みつつ抜止部46で保持し、連結部30でのがたつきを抑制できる。
【0050】
また、抜止部46を弾性壁部44だけでなく保持壁部43にも設けることで、挿入部33bに挿入された凸部32bを、より確実に挿入部33bに保持できる。
【0051】
さらに、保持壁部43と弾性壁部44との対向方向である上下方向に対して交差または直交する左右方向に対向する規制壁部47によって、挿入部36bの左右方向の位置を規制することにより、凸部32bを挿入部33b内で左右方向及び上下方向に動かないように保持でき、連結部30でのがたつきをより確実に抑制できる。
【0052】
また、凸部を球状とする場合には、挿入部に挿入する際に、凸部の最大径位置が抜止部46,46間を通過する間まで荷重が増大し続けるのに対し、凸部32bをスピンドル形状とすることで、凸部32bを挿入部33bに挿入するときに、抜止部46,46間を傾斜部35bが通過してしまえば、径寸法が一定または略一定の一般部36bが抜止部46,46間を通過することとなるため、荷重が増大することがない。したがって、凸部32bの挿入部33bへの挿入時の荷重を抑制できる。
【0053】
そこで、強固な爪掛りなどを設定することなく、凸部32bを挿入部33bに対して、取り付けやすくしつつがたつきなく保持できるので、連結部30による連結の作業性が向上するとともに、凸部32bの挿入部33bへの挿入時に無理な荷重を加える必要がないので、凸部32b及び挿入部33bが合成樹脂製である場合、凸部32b及び挿入部33bの白化や削れなども抑制できる。
【0054】
また、本実施の形態では、被操作体13の操作により一方のロック体12aに直接外力を加えて一方のロック体12aを移動させ、一方のロック体12aにより回動体11を直接押して回動させる構成であるため、一方のロック体12aと回動体11との一方の連結部30aについては、凸部32aと挿入部33aとの間に遊びを持たせておいても回動体11の回動時にがたつきが生じることがない。
【0055】
そして、上記のロック装置1を備えることで、連結部30でのがたつきに起因する被操作体13の操作時のがたつきを抑制した、高級感がある収納装置2を提供できる。
【0056】
なお、一実施の形態では、保持壁部43と弾性壁部44とを上下方向に対向させたが、左右方向に対向させてもよいし、上下方向及び左右方向に対し傾斜する方向に対向させてもよい。この場合、規制壁部47,47は、保持壁部43と弾性壁部44との対向方向と交差または直交する方向に対向させることで、上記の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0057】
また、凸部32bを回動体11に形成し、挿入部33bをロック体12に形成したが、これに限らず、凸部32bをロック体12に形成し、挿入部33bを回動体11に形成しても、連結部30でのがたつきを抑制できるなど、一実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、例えば車両用の収納装置の蓋部材をロックするロック装置に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0059】
1 ロック装置
2 収納装置
3 開口部
4 第一部材である本体部
5 第二部材である蓋部材
11 回動体
12 ロック体
30 連結部
32b 凸部
33b 挿入部
43 保持壁部
44 弾性壁部
46 抜止部
47 規制壁部