(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112646
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20240814BHJP
H01G 2/08 20060101ALI20240814BHJP
H01G 2/10 20060101ALI20240814BHJP
H01G 4/228 20060101ALI20240814BHJP
H01G 17/00 20060101ALI20240814BHJP
H01G 4/40 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H01G2/08 A
H01G2/10 600
H01G4/228 J
H01G17/00
H01G4/40 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017842
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】木暮 晋太郎
(72)【発明者】
【氏名】北守 隆旺
【テーマコード(参考)】
5E082
5H770
【Fターム(参考)】
5E082BC25
5E082DD13
5E082GG08
5E082LL15
5H770AA21
5H770BA02
5H770CA06
5H770DA03
5H770DA41
5H770JA11W
5H770PA11
5H770QA06
5H770QA12
5H770QA21
5H770QA22
5H770QA28
(57)【要約】
【課題】Yコンデンサが高温になることが抑制された電力変換装置を提供する。
【解決手段】バッテリ2から供給される電力を変換するインバータ11と、バッテリから供給される電流を平滑化する平滑コンデンサ20と、ノイズを低減するためのYコンデンサ素子31、32を有するYコンデンサ30と、インバータ、平滑コンデンサ、および、コンデンサを収容するケース130と、を有し、ケースは、一方向TDに開口して環を成す枠131と、枠に囲まれる収納空間140を一方向に二分する区分壁136を備え、枠の一部と区分壁に囲まれた第1収納空間141に、インバータおよび平滑コンデンサを有する電気部品11、20が設けられ、枠の残りと区分壁に囲まれた第2収納空間142に、Yコンデンサが設けられ、電気部品とYコンデンサとが一方向で非重複となるように、電気部品とYコンデンサとが一方向に直交する平面方向にずれて配置されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリ(2)から供給される電力を変換するインバータ(11)と、
前記バッテリから供給される電流を平滑化する平滑コンデンサ(20)と、
ノイズを低減するためのYコンデンサ素子(31、32)を有するYコンデンサ(30)と、
前記インバータ、前記平滑コンデンサ、および、前記Yコンデンサを収容するケース(130)と、を有し、
前記ケースは、一方向(TD)に開口して環を成す枠(131)と、前記枠に囲まれる収納空間(132)を前記一方向に二分する区分壁(136)を備え、
前記枠の一部と前記区分壁に囲まれた第1収納空間(141)に、前記インバータおよび前記平滑コンデンサを有する電気部品(11、20)が設けられ、
前記枠の残りと前記区分壁に囲まれた第2収納空間(142)に、前記Yコンデンサが設けられ、
前記電気部品と前記Yコンデンサとが前記一方向で非重複となるように、前記電気部品と前記Yコンデンサとが前記一方向に直交する平面方向にずれて配置されている電力変換装置。
【請求項2】
前記インバータ、前記平滑コンデンサ、および、前記バッテリに電気的に接続される第1配線(10A、10B)をさらに備え、
前記Yコンデンサは、前記第1配線に接続される第2配線(41、42)をさらに備え、
前記区分壁に前記一方向に貫通する孔(138)が形成され、
前記孔に前記第2配線が通され、
前記第1配線と前記第2配線との接続部位が、前記第1収納空間における前記孔に重なる位置に設けられている請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記第1配線、前記第2配線、および、前記バッテリを電気的に接続するコネクタ(81)をさらに備え、
前記コネクタは前記バッテリから電力が供給される供給部(82)と、前記第1収納空間側で前記第1配線および前記第2配線に接続される配電部(83)と、を備え、
前記供給部は前記枠に設けられ、
前記枠における前記供給部が設けられている部位に隣接するように、前記区分壁に前記孔が形成され、
前記孔を覆うように、前記第2収納空間に前記Yコンデンサが設けられている請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記Yコンデンサは、
前記ケースを介して前記Yコンデンサ素子をグラウンドに接続するGNDバスバー(50)と、
前記Yコンデンサ素子および前記第2配線の一部を収納する収納部(34A、34B)を有するYコンデンサケース(33)と、
前記収納部において、前記Yコンデンサ素子と前記第2配線の一部を被覆する被覆樹脂(36)と、をさらに備え、
前記被覆樹脂の露出面(36A)が前記第1収納空間側を向くように、前記第2収納空間に前記Yコンデンサが設けられ、
前記GNDバスバーにおける前記Yコンデンサ素子と接続される接続端子(51、52)が、前記Yコンデンサ素子よりも前記一方向に関して前記第1収納空間側に設けられている請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記Yコンデンサ素子、前記第2配線、および、前記収納部を2つずつ備え、
個々の前記収納部に、1つの前記Yコンデンサ素子と1つの前記第2配線がそれぞれ設けられ、
前記Yコンデンサケースは、2つの前記収納部を連結する連結部(35)をさらに備え、
前記GNDバスバーにおける、前記接続端子から延長する延長部(53)の一部が、前記連結部に沿って延び、
前記延長部に、前記ケースに接続されるケース接続部(54)が設けられている請求項4に記載の電力変換装置。
【請求項6】
2つの前記Yコンデンサ素子は、それぞれ、前記第2配線に接続される第1素子端子(31A、32A)と、前記GNDバスバーに接続される第2素子端子(31B、32B)と、を備え、
前記第2素子端子は、前記第1素子端子よりも前記ケース接続部の近くに設けられている請求項5に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記延長部における自身の長手方向に直交する断面の断面積が、前記接続端子における自身の長手方向に直交する断面の断面積よりも大きい請求項6に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記第2配線は前記被覆樹脂の外側で前記第1素子端子にはんだ接続され、
前記GNDバスバーは前記被覆樹脂の外側で前記第2素子端子にはんだ接続され、
前記第2配線は、前記第1素子端子との接続部位から前記第1配線との接続部位に向かって延びる途中で、前記被覆樹脂の内部に配策され、
前記GNDバスバーは、前記第2素子端子との接続部位から前記ケース接続部に向かって延びる途中で、前記被覆樹脂の内部に配策されている請求項7に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記GNDバスバーにおける前記被覆樹脂に被覆された部位が、前記Yコンデンサ素子と対向している請求項8に記載の電力変換装置。
【請求項10】
前記収納部は、前記Yコンデンサ素子と前記第2配線における前記被覆樹脂に被覆された部位との間に、前記Yコンデンサ素子と前記第2配線の伝熱を抑制する介在壁(37)を有する請求項9に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の開示は電力変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の電力変換装置は、スイッチング素子と、平滑コンデンサと、スイッチング素子で生じたノイズを低減するためのYコンデンサと、これらを収容する筐体と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スイッチング素子と、平滑コンデンサと、Yコンデンサとが、筐体の同一空間に収容されている。スイッチング素子、および、平滑コンデンサの熱がYコンデンサに伝熱されやすく、Yコンデンサが高温になる虞があった。
【0005】
本開示の目的は、Yコンデンサが高温になることが抑制された電力変換装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による電力変換装置は、
バッテリ(2)から供給される電力を変換するインバータ(11)と、
バッテリから供給される電流を平滑化する平滑コンデンサ(20)と、
ノイズを低減するためのYコンデンサ素子(31、32)を有するYコンデンサ(30)と、
インバータ、平滑コンデンサ、および、Yコンデンサを収容するケース(130)と、を有し、
ケースは、一方向(TD)に開口して環を成す枠(131)と、枠に囲まれる収納空間(132)を一方向に二分する区分壁(136)を備え、
枠の一部と区分壁に囲まれた第1収納空間(141)に、インバータおよび平滑コンデンサを有する電気部品(11、20)が設けられ、
枠の残りと区分壁に囲まれた第2収納空間(142)に、Yコンデンサが設けられ、
電気部品とYコンデンサとが一方向で非重複となるように、電気部品とYコンデンサとが一方向に直交する平面方向にずれて配置されている。
【0007】
これによれば、電気部品(11、20)の熱がYコンデンサ素子(31、32)に伝熱することが抑制される。Yコンデンサ素子(31、32)が高温になることが抑制される。
【0008】
なお、上記の括弧内の参照番号は、後述の実施形態に記載の構成との対応関係を示すものに過ぎず、技術的範囲を何ら制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】第1収納空間側から見た電力変換装置の平面図である。
【
図3】第2収納空間側から見た電力変換装置の平面図である。
【
図4】
図3に示すIV-IV線に沿う断面図である。
【
図5】Yコンデンサの第2収納空間への配置を説明するための分解斜視図である。
【
図6】Yコンデンサの第2収納空間への配置を説明するための斜視図である。
【
図8】
図7に示すVIII-VIII線に沿うYコンデンサの断面図である。
【
図9】
図7に示すIX-IX線に沿うYコンデンサの断面図である。
【
図10】Yコンデンサの変形例を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。
【0011】
また、各実施形態で組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士、実施形態と変形例、および、変形例同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0012】
(第1実施形態)
<車載システム>
図1は、車載システム1に搭載される電力変換装置10の電気回路図である。車載システム1に、高圧バッテリ2、低圧バッテリ3、モータジェネレータ4、制御装置5、および、電力変換装置10が搭載されている。車載システム1が搭載される車両は、エンジンの駆動力とモータジェネレータ4の駆動力とを切り替えて、及び/又は、組み合わせて走行可能なハイブリッド自動車である。
【0013】
電力変換装置10は、高圧配線10A、10B、インバータ11、制御回路基板15、平滑コンデンサ20、Yコンデンサ30、高圧コネクタ81、および、低圧コネクタ91を有する。高圧配線10Aは高圧バッテリ2の正極に接続される配線である。高圧配線10AはP側高圧配線10Aと称する場合がある。高圧配線10Bは高圧バッテリ2の負極に接続される配線である。高圧配線10BはN側高圧配線10Bと称する場合がある。なお、インバータ11および平滑コンデンサ20は電気部品と称される場合がある。電気部品はインバータ11および平滑コンデンサ20を有する。
【0014】
インバータ11はP側高圧配線10AとN側高圧配線10Bに接続されている。インバータ11は、複数の半導体モジュール12を有する。半導体モジュール12はスイッチング素子13とダイオード13Aとを2つずつ有する。2つのスイッチング素子13は、P側高圧配線10AとN側高圧配線10Bの間で直列接続されている。
【0015】
2つのスイッチング素子13のうちP側に設けられた1つのコレクタ電極に、高圧バッテリ2につながるP側入力端子11Aが接続されている。2つのスイッチング素子13のうちN側に設けられた1つのエミッタに、高圧バッテリ2につながるN側入力端子11Bが接続されている。ダイオード13Aのアノードは対応するスイッチング素子13のエミッタに接続されている。ダイオード13Aのカソードは対応するスイッチング素子13のコレクタに接続されている。
【0016】
P側のスイッチング素子13のエミッタとN側のスイッチング素子13のコレクタに、モータジェネレータ4につながるモータ端子11Cが接続されている。複数のスイッチング素子13は、高圧バッテリ2から供給される直流電力を、モータジェネレータ4が駆動可能な交流電力に変換する。電力変換された電力は連結バスバー14を介してモータジェネレータ4に供給される。
【0017】
制御回路基板15は、低圧バッテリ3から供給される動作電力によって、複数のスイッチング素子13をオンオフ制御する。制御回路基板15には複数のスイッチング素子13をオンオフ制御する制御回路が実装されている。複数のスイッチング素子13の接続端子11Dが制御回路基板15にはんだ接続されている。複数のスイッチング素子13の接続端子11Dが制御回路に電気的に接続されている。
【0018】
平滑コンデンサ20は主として、高圧バッテリ2から供給される直流電圧を平滑化する。平滑コンデンサ20はP側高圧配線10AとN側高圧配線10Bに接続されている。平滑コンデンサ20はインバータ11に並列接続されている。高圧配線10A、10Bは、インバータ11と平滑コンデンサ20と高圧バッテリ2とを電気的に接続している。
【0019】
Yコンデンサ30は主として、インバータ11から漏れ出たノイズ成分を取り除く。Yコンデンサ30は、2つのYコンデンサ素子31、32、2つのYコンデンサバスバー41、42、および、GNDバスバ50を有する。2つのYコンデンサ素子31、32は、2つのYコンデンサバスバー41、42を介してP側高圧配線10AとN側高圧配線10Bに直列接続されている。
【0020】
なお、2つのYコンデンサ素子31、32のうちP側高圧配線10A側に設けられた1つをP側Yコンデンサ素子31と称する場合がある。2つのYコンデンサバスバー41、42のうちP側Yコンデンサ素子31に接続される1つをP側Yコンデンサバスバー41と称する場合がある。P側Yコンデンサバスバー41は、P側Yコンデンサ素子31に接続されるP側第1バスバー端子41Aと、P側高圧配線10Aに接続されるP側第2バスバー端子41Bを有する。P側Yコンデンサ素子31がP側Yコンデンサバスバー41を介してP側高圧配線10Aに電気的に接続されている。
【0021】
同様に、2つのYコンデンサ素子31、32のうちN側高圧配線10B側に設けられた1つをN側Yコンデンサ素子32と称する場合がある。2つのYコンデンサバスバー41、42のうちN側Yコンデンサ素子32に接続される1つをN側Yコンデンサバスバー42と称する場合がある。N側Yコンデンサバスバー42は、N側Yコンデンサ素子32に接続されるN側第1バスバー端子42Aと、N側高圧配線10Bに接続されるN側第2バスバー端子42Bを有する。N側Yコンデンサ素子32がN側Yコンデンサバスバー42を介してN側高圧配線10Bに電気的に接続されている。
【0022】
GNDバスバー50は、P側Yコンデンサ素子31に接続されるP側GND端子51と、N側Yコンデンサ素子32に接続されるN側GND端子52と、ケース130に接続されるケース接続部54と、を有する。GNDバスバー50は、P側GND端子51とN側GND端子52とケース接続部54とをつなぐように延びている。またGNDバスバー50は、P側GND端子51と、N側GND端子52と、P側GND端子51およびN側GND端子52をつなぐ延長部53を有するとも言える。延長部53はケース接続部54を有するとも言える。
【0023】
P側Yコンデンサ素子31とN側Yコンデンサ素子32がGNDバスバ50を介して電気的および熱的に接続されている。GNDバスバー50はYコンデンサ素子31、32に接続されるとともに電力変換装置10の筐体に電気的および熱的に接続されている。
【0024】
GNDバスバー50はケース130を介してシャーシ等のボディグラウンドに電気的に接続されている。Yコンデンサ素子31、32はインバータ11から漏れ出たノイズ成分を、GNDバスバー50を介してボディグラウンドに流すことでインバータ11からノイズ成分を取り除いている。またYコンデンサ素子31、32はインバータ11から漏れ出すノイズ成分に限らず高圧配線10A、10Bを流れるノイズ成分を取り除くことも可能である。
【0025】
高圧コネクタ81は高圧バッテリ2から高圧電力が供給される供給口である。高圧コネクタ81に高圧配線10A、10B、および、Yコンデンサバスバー41、42が電気的に接続されている。高圧コネクタ81を介して、高圧バッテリ2から、インバータ11、平滑コンデンサ20、および、Yコンデンサ30に高圧電力が供給されている。また高圧コネクタ81には高圧バッテリ2の他に、インターロック信号を伝達する信号配線84がつながっている。信号配線84は一端が高圧コネクタ81に接続され、他端が制御回路基板15に接続されている。なお、高圧配線10A、10Bは第1配線と称される場合がある。Yコンデンサバスバー41、42は第2配線と称される場合がある。
【0026】
低圧コネクタ91は低圧バッテリ3から低圧電力が供給される供給口である。低圧コネクタ91に制御回路基板15が電気的に接続されている。低圧コネクタ91を介して低圧バッテリ3から制御回路基板15に低圧電力が供給されている。また低圧コネクタ91には低圧バッテリ3の他に、一例として上位ECUとしての制御装置5などが電気的に接続されている。制御回路基板15に実装された制御回路は、制御装置5と協調して、インバータ11や車両に含まれる補機の制御を行う。
【0027】
<電力変換装置の機械的構成>
電力変換装置10の機械的構成について説明するにあたって先に図面を説明する。
図2は、第1収納空間141側から見た電力変換装置10の平面図である。
図3は、第2収納空間142側から見た電力変換装置10の平面図である。
図4は、
図3に示すIV-IV線に沿う断面図である。
図5は、Yコンデンサ30の第2収納空間142への配置を説明するための分解斜視図である。
図6は、Yコンデンサ30の第2収納空間142への配置を説明するための斜視図である。
図7は、Yコンデンサ30の斜視図である。
図8は
図7に示すVIII-VIII線に沿うYコンデンサの断面図である。
図9は
図7に示すIX-IX線に沿うYコンデンサの断面図である。
【0028】
なお、本実施形態では一例として、
図2においてパワーモジュール120に重なる2つの高圧配線10A、10Bのうち、第1開口部131B側に設けられる1つをP側高圧配線10Aとして説明している。第2開口部131C側に設けられる1つをN側高圧配線10Bとして説明している。しかしながらP側高圧配線10AとN側高圧配線10Bはこれに限定されない。2つの高圧配線10A、10Bのうち、第1開口部131B側に設けられる1つをN側高圧配線10Bとみなし、第2開口部131C側に設けられる1つをP側高圧配線10Aとみなしていてもよい。これから説明する構成はあくまで本実施形態の一例として説明する。
【0029】
次に電力変換装置10の機械的構成について説明する。電力変換装置10は、これまでに説明した構成要素の他に、冷却器110、および、ケース130を備える。複数の半導体モジュール12と冷却器110によってパワーモジュール120が構成されている。冷却器110は積層冷却構造を有する。冷却器110は、供給管111、排出管113、および、複数の中継管112を備える。複数の中継管112が供給管111と排出管113の間に梯子状に架け渡されている。供給管111と排出管113とが中継管112を介して冷媒が流通可能な態様で接続されている。
【0030】
そして隣合う中継管112の間に半導体モジュール12が個別に収納されている。半導体モジュール12は隣り合う中継管112の間に挟持されている。冷却器110に半導体モジュール12が収納されることで、パワーモジュール120が形成されている。半導体モジュール12の熱が中継管112に効率的に放熱されやすくなっている。また冷却器110はケース130に固定されている。冷却器110は内部に冷媒が流れているために冷却器110の温度は低温である。ケース130は冷却器110に固定されているために、ケース130の温度もまた低温である。
【0031】
<ケース>
ケース130は一つの容器を形成する。ケース130は、金属材料によって形成されている。ケース130は、例えば、アルミダイカストによって形成されている。ケース130は、枠131、および、区分壁136を備える。枠131は、一方向に延びるとともに、一方向に沿う軸を中心として、環状に閉じた囲い形状を成している。枠131は一方向に離れた2つの端部を有する。枠131における1つの端部によって一方向に開口する第1開口部131Bが形成されている。枠131における別の1つの端部によって幅方向に開口する第2開口部131Cが形成されている。一例として第1開口部131Bが第2開口部131Cよりも重力方向で下方に設けられている。
【0032】
区分壁136は枠131の内側に設けられて枠131の内側の収納空間140を二分している。区分壁136は一方向に厚さの薄い扁平形状をしている。区分壁136は一方向に並ぶ表面136Aとその裏側の裏面136Bを有する。表面136Aが第2開口部131C側に設けられている。裏面136Bが第1開口部131B側に設けられている。
【0033】
なお、一方向は区分壁136の板厚方向に一致しているために厚さ方向TDと称される場合がある。厚さ方向TDに直交する奥行方向を奥行方向DPと称される場合がある。厚さ方向TDと奥行方向DPに直交する、幅方向を幅方向WDと称される場合がある。なお、厚さ方向TDに直交する方向を平面方向と称される場合がある。平面方向とは、幅方向WDと奥行方向DPに沿う方向である。
【0034】
枠131は、幅方向WDに離れて並ぶ2つの壁と、奥行方向DPに離れて並ぶ2つの壁を有する。具体的に言えば、枠131は、幅方向WDに離れて並ぶ、第1壁部132、および、第3壁部134と、奥行方向DPに離れて並ぶ、第2壁部133、および、第4壁部135を備える。第1壁部132~第4壁部135が時計回りに順に並んでいる。第1壁部132~第4壁部135が一体的に連結されて枠131が形成されている。
【0035】
枠131の内面131Aに、収納空間140を厚さ方向TDで区分けする区分壁136が設けられている。区分壁136によって収納空間140が第1収納空間141と第2収納空間142に区分けされている。枠131の第1開口部131B側の部位と区分壁136の裏面136Bとによって第1収納空間141が区分けされている。枠131の第2開口部131C側の部位と区分壁136の表面136Aとによって第2収納空間142が区分けされている。
【0036】
区分壁136に半導体モジュール12から延びる接続端子11Dを通すための通し孔137と、信号配線84を通すための配線孔138が設けられている。なお配線孔138は信号配線84を通す目的以外にも第1収納空間141に収納された電気部品と第2収納空間142に収納された電気部品との機械的な接続のための工具を通す目的もある。
【0037】
通し孔137および配線孔138は、区分壁136を厚さ方向TDに貫通する孔である。一例として区分壁136における幅方向WDの略中央に通し孔137が設けられている。通し孔137よりも第3壁部134側に配線孔138が設けられている。
【0038】
また第3壁部134に高圧コネクタ81が設けられている。高圧コネクタ81は供給部82と配電部83を有する。供給部82は高圧バッテリ2から高圧電力が供給される部位である。配電部83は高圧配線10A、10BおよびYコンデンサバスバー41、42に配電される部位である。なお配電部83におけるP側高圧配線10AおよびP側Yコンデンサバスバー41に接続される部位をP側配電部83Aと称する場合がある。配電部83におけるN側高圧配線10BおよびN側Yコンデンサバスバー42に接続される部位をN側配電部83Bと称する場合がある。P側高圧配線10AとP側Yコンデンサバスバー41とP側配電部83AとはP側締結部材100Aを介して電気的および機械的に締結されている。N側高圧配線10BとN側Yコンデンサバスバー42とN側配電部83BとはN側締結部材100Bを介して電気的および機械的に締結されている。
【0039】
供給部82は第3壁部134に取り付けられている。配電部83は第1収納空間141において第3壁部134から遠ざかるように幅方向WDに延びている。P側配電部83AおよびN側配電部83Bは第1収納空間141において第3壁部134から遠ざかるように幅方向WDに延びている。配線孔138は、第3壁部134における高圧コネクタ81が設けられている部位に隣接するように区分壁136に形成されている。配線孔138はさらにP側締結部材100AおよびN側締結部材100Bと厚さ方向TDに関して重なっている。
【0040】
第1収納空間141に、高圧配線10A、10B、平滑コンデンサ20、および、パワーモジュール120が収納されている。通し孔137から半導体モジュール12の接続端子11Dが第2収納空間142側へ延びている。第2収納空間142に、制御回路基板15、および、Yコンデンサ30が収納されている。制御回路基板15は一部が通し孔137に重なるように区分壁136に取り付けられている。なお、第1収納空間141は高圧バッテリ2から高圧電力が供給される高圧部品が収納されている領域であることから高圧領域と称される場合がある。第2収納空間142は低圧バッテリ3から低圧電力が供給される低圧部品が収納されている領域であることから低圧領域と称される場合がある。
【0041】
Yコンデンサ30はYコンデンサバスバー41、42が配線孔138を通るように第2収納空間142に設けられている。Yコンデンサ30はYコンデンサバスバー41、42が配線孔138を通るように区分壁136における配線孔138の脇に取り付けられている。P側Yコンデンサ素子31およびN側Yコンデンサ素子32は第2収納空間142に収納されている。Yコンデンサバスバー41、42は配線孔138を通って第2収納空間142から第1収納空間141に渡って延びている。また区分壁136における配線孔138の近傍にGNDバスバー50が締結される締結孔139が設けられている。締結孔139にGNDバスバー50が締結部材100Cを介して締結されることでYコンデンサ素子31、32がケース130に電気的に接続される。Yコンデンサ素子31、32はケース130を介してシャーシ等のボディグラウンドに電気的に接続される。
【0042】
第1収納空間141における幅方向WDの略中央にパワーモジュール120が設けられている。パワーモジュール120は奥行方向DPにおいて第4壁部135側に設けられている。パワーモジュール120よりも幅方向WDにおいて第1壁部132側に平滑コンデンサ20が設けられている。平滑コンデンサ20は奥行方向DPにおいて第2壁部133から第4壁部135にわたって設けられている。また第3壁部134に高圧コネクタ81が設けられている。高圧コネクタ81は奥行方向DPにおいてパワーモジュール120よりも第2壁部133側に設けられている。
【0043】
上記したように第3壁部134における高圧コネクタ81が設けられている部位に隣接するように配線孔138が設けられている。Yコンデンサ30は配線孔138を覆うように第2収納空間142に設けられている。以下単にYコンデンサ30は配線孔138に設けられていると称される場合もある。Yコンデンサ30はYコンデンサバスバー41、42が配線孔138を通るように区分壁136における配線孔138の脇に取り付けられている。
【0044】
幅方向WDに関して配線孔138およびYコンデンサ30は、平滑コンデンサ20およびパワーモジュール120よりも第3壁部134側に設けられている。Yコンデンサ30は、厚さ方向TDに関して、平滑コンデンサ20およびパワーモジュール120と非重複である。Yコンデンサ30は、平滑コンデンサ20およびパワーモジュール120に対して平面方向にずれて配置されている。
【0045】
P側高圧配線10Aは、パワーモジュール120のP側入力端子11Aと平滑コンデンサ20を接続するP側コンデンサバスバー101Aと、パワーモジュール120と高圧コネクタ81のP側配電部83Aを接続するP側コネクタバスバー102Aと、を有する。P側コンデンサバスバー101Aは平滑コンデンサ20とパワーモジュール120の間で幅方向WDに延びている。P側コンデンサバスバー101Aは、幅方向WDに延びてP側入力端子11Aと平滑コンデンサ20とを接続する平坦部と、平坦部から第2壁部133に向かって突起する突起部とを有する。
【0046】
P側コネクタバスバー102Aは、P側コンデンサバスバー101Aにおける第2壁部133に向かって突起した部位とP側配電部83Aとの間で幅方向WDに延びている。第1収納空間141における配線孔138に厚さ方向TDで重なる位置で、P側第2バスバー端子41BとP側コネクタバスバー102AとP側配電部83AとがP側締結部材100Aを介して締結されている。P側第2バスバー端子41BとP側コネクタバスバー102AとP側配電部83AとがP側締結部材100Aを介して電気的および機械的に接続されている。
【0047】
N側高圧配線10Bは、パワーモジュール120のN側入力端子11Bと平滑コンデンサ20を接続するN側コンデンサバスバー101Bと、パワーモジュール120と高圧コネクタ81のN側配電部83Bを接続するN側コネクタバスバー102Bと、を有する。N側コンデンサバスバー101Bは平滑コンデンサ20とパワーモジュール120の間で幅方向WDに延びている。N側コンデンサバスバー101Bは、幅方向WDに延びてN側入力端子11Bと平滑コンデンサ20とを接続する平坦部と、平坦部から第2壁部133に向かって突起する突起部とを有する。
【0048】
N側コネクタバスバー102Bは、N側コンデンサバスバー101Bにおける第2壁部133に向かって突起した部位とN側配電部83Bとの間で幅方向WDに延びている。第1収納空間141における配線孔138に厚さ方向TDで重なる位置で、N側第2バスバー端子42BとN側コネクタバスバー102BとN側配電部83BとがN側締結部材100Bを介して締結されている。N側第2バスバー端子42BとN側コネクタバスバー102BとN側配電部83BとがN側締結部材100Bを介して電気的および機械的に接続されている。
【0049】
<Yコンデンサの機械的構成>
Yコンデンサ30は、これまでに説明した構成要素の他に、Yコンデンサケース33および被覆樹脂36をさらに備える。Yコンデンサケース33は、Yコンデンサ素子31、32、および、Yコンデンサバスバー41、42、および、GNDバスバー50を保持収納する。Yコンデンサケース33は、Yコンデンサ素子31、32を個々に収納する2つの素子収納部34と、GNDバスバー50を保持する連結部35を備える。素子収納部34は厚さ方向TDの一端側に開口する有底箱形状をしている。2つの素子収納部34が連結部35を介して連結されている。連結部35は平面方向に延びる平坦形状をしている。
【0050】
P側Yコンデンサ素子31が収納される素子収納部34をP型素子収納部34Aと称する場合がある。P型素子収納部34Aに、P側Yコンデンサ素子31、P側Yコンデンサバスバー41の一部、および、GNDバスバー50の一部が設けられている。P型素子収納部34Aに被覆樹脂36が充填されている。P側Yコンデンサ素子31、P側Yコンデンサバスバー41の一部、および、GNDバスバー50の一部が被覆樹脂36に被覆されている。被覆樹脂36の露出面36AからP側第1バスバー端子41A、P側第2バスバー端子41B、P側GND端子51が露出されている。
【0051】
P側Yコンデンサバスバー41は主部41CとP側第1バスバー端子41AおよびP側第2バスバー端子41Bを有している。主部41Cは、P型素子収納部34Aの底面に沿って平面方向に延びる部分と、厚さ方向TDに延びる部分とを有する。主部41Cは、厚さ方向TDに延びる部分を2つ有する。厚さ方向TDに延びる部分は、P型素子収納部34Aの底面に沿って平面方向に延びる部分における幅方向WDの両端に1つずつ設けられている。
【0052】
厚さ方向TDに延びる部分の1つの先端にP側第1バスバー端子41Aが設けられている。厚さ方向TDに延びる部分の別の1つの先端にP側第2バスバー端子41Bが設けられている。P側第1バスバー端子41AおよびP側第2バスバー端子41Bはともに平面方向に沿って延びている。P側Yコンデンサバスバー41は奥行方向DP面視で略U字形状をしている。U字形状における凹んでいる側の部分が被覆樹脂36に被覆されP型素子収納部34Aの内面に固定されている。
【0053】
被覆樹脂36に、P型素子収納部34Aの底面に沿って平面方向に延びる部分と、2つの厚さ方向TDに延びる部分の一部が被覆されている。被覆樹脂36の露出面36Aから2つの厚さ方向TDに延びる部分の残りとP側第1バスバー端子41AおよびP側第2バスバー端子41Bが露出されている。
【0054】
P側Yコンデンサ素子31は、P側第1バスバー端子41Aに接続されるP側第1素子端子31Aと、P側GND端子51に接続されるP側第2素子端子31Bを備えている。P側第1素子端子31AおよびP側第2素子端子31BはP側Yコンデンサ素子31から遠ざかるように厚さ方向TDに延長している。P側第1素子端子31Aの先端およびP側第2素子端子31Bの先端が露出面36Aから露出されている。
【0055】
露出面36Aから露出されたP側第1素子端子31AとP側第1バスバー端子41Aとがはんだ102を介して接続されている。露出面36Aから露出されたP側第2素子端子31BとP側GND端子51とがはんだ102を介して接続されている。P側GND端子51は露出面36Aよりも第1開口端側に設けられている。P側第1バスバー端子41Aは露出面36Aよりも第1収納空間141側に設けられているとも言える。P側GND端子51は露出面36Aよりも第1収納空間141側に設けられているとも言える。
【0056】
P側Yコンデンサバスバー41は被覆樹脂36の外側でP側第1バスバー端子41Aにはんだ接続される。P側Yコンデンサバスバー41はP側第1バスバー端子41Aとの接続部位からP側高圧配線10Aとの接続部位に向かって延びる途中で被覆樹脂36に被覆されるように配策されている。
【0057】
N側Yコンデンサ素子32が収納される素子収納部34をN型素子収納部34Bと称する場合がある。N型素子収納部34Bに、N側Yコンデンサ素子32、N側Yコンデンサバスバー42の一部、および、GNDバスバー50の一部が設けられている。N型素子収納部34Bに被覆樹脂36が充填されている。N側Yコンデンサ素子32、N側Yコンデンサバスバー42の一部、および、GNDバスバー50の一部が被覆樹脂36に被覆されている。被覆樹脂36の露出面36AからN側第1バスバー端子42A、N側第2バスバー端子42B、N側GND端子52が露出されている。
【0058】
N側Yコンデンサバスバー42は主部42CとN側第1バスバー端子42AおよびN側第2バスバー端子42Bを有している。主部42Cは、N型素子収納部34Bの底面に沿って平面方向に延びる部分と、厚さ方向TDに延びる部分とを有する。N側Yコンデンサバスバー42は、厚さ方向TDに延びる部分を2つ有する。厚さ方向TDに延びる部分は、N型素子収納部34Bの底面に沿って平面方向に延びる部分における幅方向WDの端部と奥行方向DPの端部に1つずつ設けられている。
【0059】
幅方向WDの端部から厚さ方向TDに延びる部分の先端にN側第1バスバー端子42Aが設けられている。奥行方向DPの端部から厚さ方向TDに延びる部分の先端にN側第2バスバー端子42Bが設けられている。N側第1バスバー端子42AおよびN側第2バスバー端子42Bはともに平面方向に沿って延びている。
【0060】
被覆樹脂36に、N型素子収納部34Bの底面に沿って平面方向に延びる部分と、幅方向WDの端部から厚さ方向TDに延びる部分および奥行方向DPの端部から厚さ方向TDに延びる部分の一部が被覆されている。被覆樹脂36の露出面36Aから幅方向WDの端部から厚さ方向TDに延びる部分および奥行方向DPの端部から厚さ方向TDに延びる部分の残りとN側第1バスバー端子42AおよびN側第2バスバー端子42Bが露出されている。
【0061】
N側Yコンデンサ素子32は、N側第1バスバー端子42Aに接続されるN側第1素子端子32Aと、N側GND端子52に接続されるN側第2素子端子32Bを備えている。N側第1素子端子32AおよびN側第2素子端子32BはN側Yコンデンサ素子32から遠ざかるように厚さ方向TDに延長している。N側第1素子端子32Aの先端およびN側第2素子端子32Bの先端が露出面36Aから露出されている。
【0062】
露出面36Aから露出されたN側第1素子端子32AとN側第1バスバー端子42Aとがはんだ102を介して接続されている。露出面36Aから露出されたN側第2素子端子32BとN側GND端子52とがはんだ102を介して接続されている。N側GND端子52は露出面36Aよりも第1開口端側に設けられている。N側第1バスバー端子42Aは露出面36Aよりも第1収納空間141側に設けられているとも言える。N側GND端子52は露出面36Aよりも第1収納空間141側に設けられているとも言える。
【0063】
N側Yコンデンサバスバー42は被覆樹脂36の外側でN側第1バスバー端子42Aにはんだ接続される。N側Yコンデンサバスバー42はN側第1バスバー端子42Aとの接続部位からN側高圧配線10Bとの接続部位に向かって延びる途中で被覆樹脂36に被覆されるように配策されている。
【0064】
Yコンデンサ30は、露出面36Aが第1開口端側を向くように配線孔138の上方に設けられている。Yコンデンサ30は、露出面36Aが表面136Aまたは第1収納空間141側を向くように配線孔138の上方に設けられている。上記したように露出面36AからP側Yコンデンサバスバー41の一部とN側Yコンデンサバスバー42の一部が露出している。
【0065】
露出面36Aから露出したP側Yコンデンサバスバー41および露出面36Aから露出したN側Yコンデンサバスバー42が配線孔138を通って第2収納空間142側から第1収納空間141側に延びている。そして第1収納空間141でP側第2バスバー端子41BとP側締結部材100AとP側配電部83AとがP側締結部材100Aを介して締結されている。第1収納空間141で、N側第2バスバー端子42BとN側高圧配線10BとN側配電部83BとがN側締結部材100Bを介して締結されている。
【0066】
<Yコンデンサケース>
以下にYコンデンサケース33の具体的な構成について説明する。上記したようにYコンデンサケース33は2つの素子収納部34と連結部35とを有する。連結部35には厚さ方向TDで貫通する第1貫通孔35Aが設けられている。Yコンデンサ30は第1貫通孔35Aと締結孔139とが厚さ方向TDで重なるように配線孔138を覆うように設けられている。
【0067】
P型素子収納部34Aの開口は厚さ方向TD面視で幅方向WDと奥行方向DPに延びる略L字形状をしている。L字形状の一端が第1貫通孔35Aに隣接している。P型素子収納部34AはL字形状の一部が幅方向WDに延び、L字形状の残りが奥行方向DPに延びている。P側Yコンデンサ素子31はP型素子収納部34Aにおける奥行方向DPに延びている部位に収納されている。
【0068】
P側Yコンデンサ素子31は、P側第1素子端子31AおよびP側第2素子端子31Bが奥行方向DPに並ぶように、P型素子収納部34Aにおける奥行方向DPに延びている部位に収納されている。P側第1素子端子31AがP側第2素子端子31Bよりも締結孔139から離れている。P側Yコンデンサバスバー41におけるP側第2バスバー端子41Bが設けられた部位が、P型素子収納部34Aにおける幅方向WDに延びた部位のP側第1素子端子31Aから最も離れた壁面に沿うように延びている。
【0069】
N型素子収納部34Bの開口は厚さ方向TD面視で幅方向WDに延びる略長方形をしている。長方形の幅方向WDの一端が第1貫通孔35Aに隣接している。N側Yコンデンサ素子32はN側第1素子端子32AおよびN側第2素子端子32Bが幅方向WDに並ぶように、N型素子収納部34Bに収納されている。N側第1素子端子32AがN側第2素子端子32Bよりも締結孔139から離れている。N側Yコンデンサバスバー42におけるN側第2バスバー端子42Bが設けられた部位が、N型素子収納部34BにおけるN側第1素子端子32Aに奥行方向DPで並ぶ壁面に沿うように延びている。
【0070】
P型素子収納部34Aにおける平面方向で内側に設けられる壁部と、N型素子収納部34Bにおける平面方向で内側に設けられる壁部とをつなぐように連結部35が設けられている。連結部35における2つの壁部からつながる角に第1貫通孔35Aが設けられている。
【0071】
<GNDバスバー>
上記したようにGNDバスバー50は、P側GND端子51、N側GND端子52、および、P側GND端子51とN側GND端子52をつなぐ延長部53を有する。延長部53は、連結部35と重なる重複部55と、重複部55とP側GND端子51とをつなぐ第1連結部56と、重複部55とN側GND端子52とをつなぐ第2連結部57とを有する。重複部55はケース接続部54を有する。重複部55は連結部35に沿うように延びている。GNDバスバー50は、P側GND端子51およびN側GND端子52の接続部位からケース接続部54に向かって延びる途中で被覆樹脂36に被覆されるように配策されている。
【0072】
重複部55は、第1連結部56と第2連結部57を結ぶように平面方向に沿って延びている。重複部55における第1連結部56と第2連結部57を結ぶように延びる延長方向に直交する断面で切った断面積は、P側GND端子51およびN側GND端子52における延長方向に直交する断面で切った断面積よりも大きい。なお重複部55における第1連結部56と第2連結部57を結ぶように延びる延長方向は重複部55の長手方向に相当する。P側GND端子51およびN側GND端子52における延長方向はP側GND端子51およびN側GND端子52の長手方向に相当する。
【0073】
重複部55はケース130に設けられている。重複部55はケース130に接続されるケース接続部54を有する。ケース接続部54は厚さ方向TDに貫通する第2貫通孔54Aを有している。第1貫通孔35Aおよび締結孔139に第2貫通孔54Aが重なっている。第1貫通孔35Aと締結孔139と第2貫通孔54Aに締結部材100Cが通されている。締結部材100Cを介してGNDバスバー50がケース130に電気的に接続されている。P側Yコンデンサ素子31のP側第2素子端子31BはP側第1素子端子31Aよりもケース接続部54の近くに設けられている。N側Yコンデンサ素子32のN側第2素子端子32BはN側第1素子端子32Aよりもケース接続部54の近くに設けられている。
【0074】
第1連結部56は、P型素子収納部34Aの底面に沿って平面方向に延びる部分と、厚さ方向TDに延びる部分とを有する。第1連結部56は、厚さ方向TDに延びる部分を2つ有する。厚さ方向TDに延びる部分は、P型素子収納部34Aの底面に沿って平面方向に延びる部分における奥行方向DPの両端に1つずつ設けられている。厚さ方向TDに延びる部分の1つの先端にP側GND端子51が設けられている。厚さ方向TDに延びる部分の別の1つの先端に重複部55が設けられている。
【0075】
P側GND端子51および重複部55はともに平面方向に沿って延びている。第1連結部56は幅方向WD面視で略U字形状をしている。U字形状における凹んでいる側の部分が被覆樹脂36に被覆されP型素子収納部34Aの内面に固定されている。第1連結部56における被覆樹脂36に被覆された部分はP側Yコンデンサ素子31と奥行方向DPで対向している。P側Yコンデンサ素子31の熱が被覆樹脂36を介して第1連結部56に伝熱されやすくなっている。
【0076】
第2連結部57においても第1連結部56と同様である。第2連結部57は、N型素子収納部34Bの底面に沿って平面方向に延びる部分と、厚さ方向TDに延びる部分とを有する。第2連結部57は、厚さ方向TDに延びる部分を2つ有する。厚さ方向TDに延びる部分は、N型素子収納部34Bの底面に沿って平面方向に延びる部分における幅方向WDの両端に1つずつ設けられている。厚さ方向TDに延びる部分の1つの先端にN側GND端子52が設けられている。厚さ方向TDに延びる部分の別の1つの先端に重複部55が設けられている。
【0077】
N側GND端子52および重複部55はともに平面方向に沿って延びている。第2連結部57におけるN型素子収納部34Bに収納されている部分は、奥行方向DP面視で略U字形状をしている。U字形状における凹んでいる側の部分が被覆樹脂36に被覆されN型素子収納部34Bの内面に固定されている。第2連結部57における被覆樹脂36に被覆された部分はN側Yコンデンサ素子32と奥行方向DPで対向している。N側Yコンデンサ素子32の熱が被覆樹脂36を介して第2連結部57に伝熱されやすくなっている。
【0078】
<作用効果>
近年、インバータにおけるスイッチング速度アップおよびEMC規格のシビア化に伴い、今まで問題とならなかったFM帯域が問題になってきており、このFM帯域のノイズ低減が求められている。そこでFM帯域のノイズ除去のために、電力変換装置にYコンデンサを搭載することが求められている。一般的にコンデンサは、自己発熱や放熱性を考慮し、耐熱以下での使用が求められている。Yコンデンサにおいても耐熱以下での使用が求められる。Yコンデンサは電力変換装置に搭載される部品の中では耐熱が最も低い。そのためにYコンデンサの電力変換装置内の搭載の配置や搭載方法などに工夫を施す必要があった。
【0079】
電力変換装置10は、パワーモジュール120、平滑コンデンサ20、Yコンデンサ30、および、これらを収納するケース130を有する。ケース130は、枠131、および、区分壁136を備える。枠131は、一方向に延びるとともに、一方向に沿う軸を中心として、環状に閉じた囲い形状を成している。区分壁136は枠131の内側に設けられて枠131の内側の収納空間140を二分している。区分壁136によって収納空間140が第1収納空間141と第2収納空間142に区分けされている。第1収納空間141に、平滑コンデンサ20、および、パワーモジュール120が収納されている。第2収納空間142にYコンデンサ30が収納されている。Yコンデンサ30は、厚さ方向TDに関して、平滑コンデンサ20およびパワーモジュール120と非重複である。Yコンデンサ30は、平滑コンデンサ20およびパワーモジュール120に対して平面方向にずれて配置されている。これによればパワーモジュール120および平滑コンデンサ20の輻射熱がYコンデンサ30に伝熱することが抑制されやすくなる。
【0080】
電力変換装置10は高圧配線10A、10Bを有する。高圧配線10A、10Bは、インバータ11と平滑コンデンサ20と高圧バッテリ2とを電気的に接続している。Yコンデンサ30は、Yコンデンサ素子31、32の他に、Yコンデンサ素子31、32と高圧配線10A、10Bとを接続するYコンデンサバスバー41、42を有している。区分壁136に厚さ方向TDに貫通する配線孔138が設けられている。Yコンデンサ30はYコンデンサバスバー41、42が配線孔138を通るように第2収納空間142に設けられている。第1収納空間141における配線孔138に厚さ方向TDで重なる位置で、高圧配線10A、10BとYコンデンサバスバー41、42とが締結部材100A、100Bを介して電気的および機械的に接続されている。
【0081】
これによれば、製造時に配線孔138に工具を通してYコンデンサバスバー41、42と高圧配線10A、10Bとを締結部材100Aを介して締結することができる。さらにこの配線孔138を、Yコンデンサバスバー41を通す孔と共通化させることで、区分壁136に配線孔138とは別のYコンデンサバスバー41を通すための孔を形成する必要がなくなる。パワーモジュール120および平滑コンデンサ20の輻射熱が第2収納空間側に伝熱することが抑制されやすくなる。Yコンデンサ30の温度が上昇することが抑制されやすくなる。
【0082】
電力変換装置10は、高圧バッテリ2、高圧配線10A、10B、および、Yコンデンサバスバー41、42を電気的に接続する高圧コネクタ81を有する。高圧コネクタ81は、高圧バッテリ2から高圧電力が供給される供給部82と、高圧配線10A、10BおよびYコンデンサバスバー41、42に接続される配電部83を有する。供給部82は枠131の第3壁部134に取り付けられている。配線孔138は、第3壁部134における高圧コネクタ81が設けられている部位に隣接するように区分壁136に形成されている。
【0083】
Yコンデンサ30は配線孔138を覆うように第2収納空間142に設けられている。これによればケース130の外側から内側に入り込もうとするノイズが内側に収納された電気部品に到達する前にYコンデンサ素子31、32によって低減されやすくなる。またスイッチングにより発生したノイズがYコンデンサ素子31、32によって低減されやすくなるためにノイズが内側から外側に飛び出ることが抑制されやすくなる。外部機器にノイズが伝搬されることが抑制されやすくなる。
【0084】
Yコンデンサ30は、GNDバスバー50、Yコンデンサケース33、および、被覆樹脂36をさらに備える。GNDバスバー50はYコンデンサ素子31、32をグラウンドに電気的に接続する。Yコンデンサケース33は、Yコンデンサ素子31、32、および、Yコンデンサバスバー41、42の一部を収納する素子収納部34を有している。素子収納部34に被覆樹脂36が設けられている。被覆樹脂36によって、Yコンデンサ素子31、32、および、Yコンデンサバスバー41、42の一部が被覆されている。
【0085】
露出面36Aが第1収納空間141側を向くように、第2収納空間142にYコンデンサ30が設けられている。GNDバスバー50におけるYコンデンサ素子31、32との接続部位であるGND端子51、52が、Yコンデンサ素子31、32よりも厚さ方向TDに関して第1収納空間141側に設けられている。これによれば、パワーモジュール120および平滑コンデンサ20の輻射熱がGNDバスバー50を介してケース130に伝熱されやすくなる。パワーモジュール120および平滑コンデンサ20の輻射熱がYコンデンサ素子31、32に伝熱することが抑制されやすくなる。
【0086】
Yコンデンサ30は、2つのYコンデンサ素子31、32、および、2つのYコンデンサバスバー41、42を有する。Yコンデンサケース33は2つの素子収納部34を有する。1つの素子収納部34AにYコンデンサ素子31とYコンデンサバスバー41の一部とが収納されている。別の1つの素子収納部34BにYコンデンサ素子32とYコンデンサバスバー42の一部が収納されている。Yコンデンサケース33は2つの素子収納部34A、34Bの他に、2つの素子収納部34A、34Bをつなぐ連結部35を有する。GNDバスバー50におけるGND端子51、52から延長する延長部53が連結部35に沿うように延びている。延長部53においてGNDバスバー50とケース130とが電気的および熱的に接続されている。
【0087】
P側Yコンデンサ素子31とN側Yコンデンサ素子32とが個々の素子収納部34に収納されているためにP側Yコンデンサ素子31とN側Yコンデンサ素子32とが互いに熱干渉することが抑制される。また延長部53においてGNDバスバー50とケース130とが電気的および熱的に接続されているために、効率的にP側Yコンデンサ素子31とN側Yコンデンサ素子32とが互いに熱干渉することが抑制される。
【0088】
P側Yコンデンサ素子31は、P側第1バスバー端子41Aに接続されるP側第1素子端子31Aと、P側GND端子51に接続されるP側第2素子端子31Bを備えている。N側Yコンデンサ素子32は、N側第1バスバー端子42Aに接続されるN側第1素子端子32Aと、N側GND端子52に接続されるN側第2素子端子32Bを備えている。P側Yコンデンサ素子31のP側第2素子端子31BはP側第1素子端子31Aよりもケース接続部54の近くに設けられている。N側Yコンデンサ素子32のN側第2素子端子32BはN側第1素子端子32Aよりもケース接続部54の近くに設けられている。これによれば、P側Yコンデンサ素子31およびN側Yコンデンサ素子32の熱を効率的にGNDバスバー50に放熱できる。
【0089】
また重複部55における自身の長手方向に直交する断面で切った断面積は、P側GND端子51およびN側GND端子52それぞれにおける自身の長手方向に直交する断面で切った断面積よりも大きい。これによれば、重複部55におけるケース130に放熱可能な面積が増大する。そのためにP側GND端子51およびN側GND端子52の放熱性が向上する。P側GND端子51およびN側GND端子52の温度の上昇が抑制できる。
【0090】
P側Yコンデンサバスバー41は被覆樹脂36の外側でP側第1バスバー端子41Aにはんだ接続されている。P側Yコンデンサバスバー41はP側第1バスバー端子41Aとの接続部位からP側高圧配線10Aとの接続部位に向かって延びる途中で被覆樹脂36に被覆されるように配策されている。N側Yコンデンサバスバー42は被覆樹脂36の外側でN側第1バスバー端子42Aにはんだ接続されている。N側Yコンデンサバスバー42はN側第1バスバー端子42Aとの接続部位からN側高圧配線10Bとの接続部位に向かって延びる途中で被覆樹脂36に被覆されるように配策されている。
【0091】
GNDバスバー50は被覆樹脂36の外側でP側GND端子51およびN側GND端子52にはんだ接続されている。P側GND端子51およびN側GND端子52の接続部位からケース接続部54に向かって延びる途中で被覆樹脂36に被覆されるように配策されている。
【0092】
これによれば、第2バスバー端子41B、42B側からYコンデンサバスバー41、42に振動が伝わったとしても、一部が被覆部材に被覆されているためにYコンデンサ素子31、32との接続部位に振動が伝わることが抑制される。Yコンデンサ素子31、32とYコンデンサバスバー41、42とを接続するはんだ102にストレスがかかることが抑制される。同様にケース接続部54側からGNDバスバー50に振動が伝わったとしても、一部が被覆部材に被覆されているためにYコンデンサ素子31、32との接続部位に振動が伝わることが抑制される。Yコンデンサ素子31、32とGNDバスバー50とを接続するはんだ102にストレスがかかることが抑制される。
【0093】
GNDバスバー50は、P側GND端子51、N側GND端子52、および、P側GND端子51とN側GND端子52をつなぐ延長部53を有する。延長部53は、連結部35と重なる重複部55と、重複部55とP側GND端子51とをつなぐ第1連結部56と、重複部55とN側GND端子52とをつなぐ第2連結部57とを有する。第1連結部56における被覆樹脂36に被覆された部分はP側Yコンデンサ素子31と奥行方向DPで対向している。第2連結部57における被覆樹脂36に被覆された部分はN側Yコンデンサ素子32と奥行方向DPで対向している。これによればYコンデンサ素子31、32の熱がGNDバスバー50に伝熱されやすくなる。
【0094】
(第2実施形態)
図10はYコンデンサ30の変形例を説明する断面図である。第2実施形態においては素子収納部34A、34Bに、底部から立ち上がる壁37が設けられている。素子収納部34Aに設けられた壁37は、P側Yコンデンサバスバー41における被覆樹脂36に被覆された部分とP側Yコンデンサ素子31の間に設けられている。壁37はP側Yコンデンサバスバー41における被覆樹脂36に被覆された部分とP側Yコンデンサ素子31の間の伝熱を抑制する。図面を省略するが、素子収納部34Bに設けられた壁37は、N側Yコンデンサバスバー42における被覆樹脂36に被覆された部分とN側Yコンデンサ素子32の間に設けられている。壁37はN側Yコンデンサバスバー42における被覆樹脂36に被覆された部分とN側Yコンデンサ素子32の間の伝熱を抑制する。壁37はYコンデンサバスバー41、42とコンデンサ素子31、32との間に介在されるものであるから介在壁37と称される場合がある。介在壁37によってYコンデンサバスバー42からYコンデンサ素子31、32に熱が伝熱することが抑制される。
【0095】
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態が本開示に示されているが、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【0096】
(技術的思想の開示)
この明細書は、以下に列挙する複数の項に記載された複数の技術的思想を開示している。いくつかの項は、後続の項において先行する項を択一的に引用する多項従属形式(a multiple dependent form)により記載されている場合がある。いくつかの項は、他の多項従属形式の項を引用する多項従属形式(a multiple dependent form referring to another multiple dependent form)により記載されている場合がある。これらの多項従属形式で記載された項は、複数の技術的思想を定義している。
【0097】
(技術的思想1)
バッテリ(2)から供給される電力を変換するインバータ(11)と、
前記バッテリから供給される電流を平滑化する平滑コンデンサ(20)と、
ノイズを低減するためのYコンデンサ素子(31、32)を有するYコンデンサ(30)と、
前記インバータ、前記平滑コンデンサ、および、前記Yコンデンサを収容するケース(130)と、を有し、
前記ケースは、一方向(TD)に開口して環を成す枠(131)と、前記枠に囲まれる収納空間(132)を前記一方向に二分する区分壁(136)を備え、
前記枠の一部と前記区分壁に囲まれた第1収納空間(141)に、前記インバータおよび前記平滑コンデンサを有する電気部品(11、20)が設けられ、
前記枠の残りと前記区分壁に囲まれた第2収納空間(142)に、前記Yコンデンサが設けられ、
前記電気部品と前記Yコンデンサとが前記一方向で非重複となるように、前記電気部品と前記Yコンデンサとが前記一方向に直交する平面方向にずれて配置されている電力変換装置。
【0098】
(技術的思想2)
前記インバータ、前記平滑コンデンサ、および、前記バッテリに電気的に接続される第1配線(10A、10B)をさらに備え、
前記Yコンデンサは、前記第1配線に接続される第2配線(41、42)をさらに備え、
前記区分壁に前記一方向に貫通する孔(138)が形成され、
前記孔に前記第2配線が通され、
前記第1配線と前記第2配線との接続部位が、前記第1収納空間における前記孔に重なる位置に設けられている技術的思想1に記載の電力変換装置。
【0099】
(技術的思想3)
前記第1配線、前記第2配線、および、前記バッテリを電気的に接続するコネクタ(81)をさらに備え、
前記コネクタは前記バッテリから電力が供給される供給部(82)と、前記第1収納空間側で前記第1配線および前記第2配線に接続される配電部(83)と、を備え、
前記供給部は前記枠に設けられ、
前記枠における前記供給部が設けられている部位に隣接するように、前記区分壁に前記孔が形成され、
前記孔を覆うように、前記第2収納空間に前記Yコンデンサが設けられている技術的思想2に記載の電力変換装置。
【0100】
(技術的思想4)
前記Yコンデンサは、
前記ケースを介して前記Yコンデンサ素子をグラウンドに接続するGNDバスバ(50)と、
前記Yコンデンサ素子および前記第2配線の一部を収納する収納部(34A、34B)を有するYコンデンサケース(33)と、
前記収納部において、前記Yコンデンサ素子と前記第2配線の一部を被覆する被覆樹脂(36)と、をさらに備え、
前記被覆樹脂の露出面(36A)が前記第1収納空間側を向くように、前記第2収納空間に前記Yコンデンサが設けられ、
前記GNDバスバーにおける前記Yコンデンサ素子と接続される接続端子(51、52)が、前記Yコンデンサ素子よりも前記一方向に関して前記第1収納空間側に設けられている技術的思想2または3に記載の電力変換装置。
【0101】
(技術的思想5)
前記Yコンデンサ素子、前記第2配線、および、前記収納部を2つずつ備え、
個々の前記収納部に、1つの前記Yコンデンサ素子と1つの前記第2配線がそれぞれ設けられ、
前記Yコンデンサケースは、2つの前記収納部を連結する連結部(35)をさらに備え、
前記GNDバスバーにおける、前記接続端子から延長する延長部(53)の一部が、前記連結部に沿って延び、
前記延長部に、前記ケースに接続されるケース接続部(54)が設けられている技術的思想4に記載の電力変換装置。
【0102】
(技術的思想6)
2つの前記Yコンデンサ素子は、それぞれ、前記第2配線に接続される第1素子端子(31A、32A)と、前記GNDバスバーに接続される第2素子端子(31B、32B)と、を備え、
前記第2素子端子は、前記第1素子端子よりも前記ケース接続部の近くに設けられている技術的思想5に記載の電力変換装置。
【0103】
(技術的思想7)
前記延長部における自身の長手方向に直交する断面の断面積が、前記接続端子における自身の長手方向に直交する断面の断面積よりも大きい技術的思想5または6に記載の電力変換装置。
【0104】
(技術的思想8)
前記第2配線は前記被覆樹脂の外側で前記第1素子端子にはんだ接続され、
前記GNDバスバーは前記被覆樹脂の外側で前記第2素子端子にはんだ接続され、
前記第2配線は、前記第1素子端子との接続部位から前記第1配線との接続部位に向かって延びる途中で、前記被覆樹脂の内部に配策され、
前記GNDバスバーは、前記第2素子端子との接続部位から前記ケース接続部に向かって延びる途中で、前記被覆樹脂の内部に配策されている技術的思想6または7に記載の電力変換装置。
【0105】
(技術的思想9)
前記GNDバスバーにおける前記被覆樹脂に被覆された部位が、前記Yコンデンサ素子と対向している技術的思想8に記載の電力変換装置。
【0106】
(技術的思想10)
前記収納部は、前記Yコンデンサ素子と前記第2配線における前記被覆樹脂に被覆された部位との間に、両者の伝熱を抑制する介在壁(37)を有する技術的思想9に記載の電力変換装置。
【符号の説明】
【0107】
10A、10B 第1配線、 11 インバータ、 11 電気部品、 130 ケース、 131 枠、 132 収納空間、 136 区分壁、 138 孔、 141 第1収納空間、 142 第2収納空間、 2 バッテリ、 20 平滑コンデンサ、 20 電気部品、 30 Yコンデンサ、 31 Yコンデンサ素子、 31A 第1素子端子、 31B 第2素子端子、 32 Yコンデンサ素子、 32A 第1素子端子、 32B 第2素子端子、 33 Yコンデンサケース、 34A、34B 収納部、 35 連結部、 36 被覆樹脂、 36A 露出面、 37 介在壁、 41、42 第2配線、 50 GNDバスバ、 51、52 接続端子、 53 延長部、 54 ケース接続部、 81 コネクタ、 82 供給部、 83 配電部、 TD 一方向