IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝メモリ株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112651
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】メモリデバイス
(51)【国際特許分類】
   H10B 43/27 20230101AFI20240814BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240814BHJP
   H10B 41/27 20230101ALI20240814BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
H10B43/27
H01L29/78 371
H10B41/27
H01L25/08 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017848
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保田 吉博
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F083EP02
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP32
5F083EP42
5F083EP47
5F083EP48
5F083EP76
5F083ER03
5F083ER09
5F083ER14
5F083ER19
5F083ER22
5F083GA10
5F083JA04
5F083JA05
5F083JA19
5F083JA36
5F083JA37
5F083JA39
5F083JA40
5F083KA01
5F083KA05
5F083KA11
5F083LA12
5F083LA16
5F083LA20
5F083MA06
5F083MA16
5F083PR03
5F083PR05
5F083PR06
5F083PR21
5F083PR22
5F083PR40
5F083ZA28
5F101BA01
5F101BA45
5F101BB04
5F101BC02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE07
5F101BH02
5F101BH04
5F101BH14
5F101BH15
(57)【要約】
【課題】メモリデバイスの製造コストを低減する。
【解決手段】実施形態のデバイスは、第1チップと、第1チップと貼り合わされた第2チップ10と、を備える。第2チップ10は、ソース線に接続されたメモリセルアレイを含む第1エリアMAと、Z方向におけるソース線と同じ第1高さに設けられた層DM2とこの層内の第1開口部OP1内に設けられたコンタクト部CCとを含む第2エリアCAと、第1及び第2エリアMA,CA間において第1高さの層DM1内の第2開口部S1内に設けられた第1構造体90を含む第3エリアDAと、を含む。第1開口部OP1は、第1チップ側の寸法が第2チップ側の寸法より小さいテーパー形状を有し、第2開口部S1の側面が第1チップ側におけるY方向に沿う部分と成す角は、第1開口部OP1の側面が第1チップ側におけるY方向に沿う部分と成す角よりも90度に近い。
【選択図】 図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板上の回路と、を含む第1のチップと、
前記第1のチップと貼り合わされた第2のチップと、
を具備し、
前記第2のチップは、
第1のソース線と、前記第1のソース線に接続された第1のメモリセルアレイと、を含む第1のエリアと、
前記基板の表面に対して垂直な第1の方向における前記第1のソース線と同じ第1の高さに設けられた第1の層と、前記第1の層に形成された第1の開口部内に、前記第1の開口部から前記第1の方向に延びて前記回路に電気的に接続される部材を含んで設けられたコンタクト部と、を含む第2のエリアと、
前記第1のエリアと前記第2のエリアとの間で、前記第1の高さの層に形成された第2の開口部内に設けられた第1の構造体を含む第3のエリアと、
を含み、
前記第1の開口部は、前記第1のチップ側における前記基板の表面に対して平行な第2の方向に沿う部分の寸法が前記第2のチップ側における前記第2の方向に沿う部分の寸法より小さいテーパー形状を有し、
前記第2の開口部に関してその側面が前記第1のチップ側における前記第2の方向に沿う部分と成す角は、前記第1の開口部に関してその側面が前記第1のチップ側における前記第2の方向に沿う前記部分と成す角よりも90度に近い、
メモリデバイス。
【請求項2】
前記第2の開口部の前記側面が前記第1のチップ側における前記第2の方向に沿う前記部分と成す前記角は、90度以下であり、
前記第1の開口部の前記側面が前記第1のチップ側における前記第2の方向に沿う前記部分と成す前記角は、90度より大きい、
請求項1に記載のメモリデバイス。
【請求項3】
前記第2の開口部は、前記第1のチップ側における前記第2の方向に沿う前記部分の寸法が前記第2のチップ側における前記第2の方向に沿う部分の寸法以上である形状を有する、
請求項1に記載のメモリデバイス。
【請求項4】
前記第1のソース線は、
前記第1の方向に並ぶ第1の半導体層及び第2の半導体層と、
前記第1の方向における前記第1の半導体層と前記第2の半導体層との間の第3の半導体層と、
を含み、
前記第1の層は、
前記第1の方向に並ぶ第4の半導体層及び第5の半導体層と、
前記第1の方向における前記第4の半導体層と前記第5の半導体層との間の第2の絶縁層と、
を含む、
請求項1に記載のメモリデバイス。
【請求項5】
前記第2のチップは、
第2のソース線と、前記第2のソース線に接続された第2のメモリセルアレイと、を含む第4のエリア
をさらに含み、
前記第3のエリアは、前記第1のエリアと前記第4のエリアとの間に延びたサブエリアを含み、
前記サブエリア内の前記第1の構造体は、前記第2のソース線を、前記第1のソース線から分離する、
請求項1に記載のメモリデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、メモリデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
データを不揮発に記憶することが可能なメモリデバイスとして、NANDフラッシュメモリが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-150037号公報
【特許文献2】特開2021-048249号公報
【特許文献3】特開2022-035158号公報
【特許文献4】特開2022-041052号公報
【特許文献5】特開2022-045192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
メモリデバイスの製造コストを低減する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のメモリデバイスは、基板と、前記基板上の回路と、を含む第1のチップと、前記第1のチップと貼り合わされた第2のチップと、を備え、前記第2のチップは、第1のソース線と、前記第1のソース線に接続された第1のメモリセルアレイと、を含む第1のエリアと、前記基板の表面に対して垂直な第1の方向における前記第1のソース線と同じ第1の高さに設けられた第1の層と、前記第1の層に形成された第1の開口部内に、前記第1の開口部から前記第1の方向に延びて前記回路に電気的に接続される部材を含んで設けられたコンタクト部と、を含む第2のエリアと、前記第1のエリアと前記第2のエリアとの間で、前記第1の高さの層に形成された第2の開口部内に設けられた第1の構造体を含む第3のエリアと、を含み、前記第1の開口部は、前記第1のチップ側における前記基板の表面に対して平行な第2の方向に沿う部分の寸法が前記第2のチップ側における前記第2の方向に沿う部分の寸法より小さいテーパー形状を有し、前記第2の開口部に関してその側面が前記第1のチップ側における前記第2の方向に沿う部分と成す角は、前記第1の開口部に関してその側面が前記第1のチップ側における前記第2の方向に沿う前記部分と成す角よりも90度に近い。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態のメモリデバイスの構成例を示すブロック図。
図2】実施形態のメモリデバイスのメモリセルアレイの回路図。
図3】実施形態のメモリデバイスの貼合構造の概略図。
図4】実施形態のメモリデバイスの平面図。
図5】実施形態のメモリデバイスの構造例を示す断面図。
図6】実施形態のメモリデバイスのアレイチップの構造例を示す平面図。
図7】実施形態のメモリデバイスの貼合パッドの構造を示す断面図。
図8】実施形態のメモリデバイスのメモリセルアレイの構造例を示す断面図
図9】実施形態のメモリデバイスのメモリピラーの構造例を示す断面図。
図10】実施形態のメモリデバイス内の各領域の構造例を示す断面図。
図11】実施形態のメモリデバイスの製造方法の一工程を示す断面工程図。
図12】実施形態のメモリデバイスの製造方法の一工程を示す断面工程図。
図13】実施形態のメモリデバイスの製造方法の一工程を示す断面工程図。
図14】実施形態のメモリデバイスの製造方法の一工程を示す断面工程図。
図15】実施形態のメモリデバイスの製造方法の一工程を示す断面工程図。
図16】実施形態のメモリデバイスの製造方法の一工程を示す断面工程図。
図17】実施形態のメモリデバイスの製造方法の一工程を示す断面工程図。
図18】実施形態のメモリデバイスの製造方法の一工程を示す断面工程図。
図19】実施形態のメモリデバイスの製造方法の一工程を示す断面工程図。
図20】実施形態のメモリデバイスの製造方法の一工程を示す断面工程図。
図21】実施形態のメモリデバイスの製造方法の一工程を示す断面工程図。
図22】実施形態のメモリデバイスの変形例を説明するための図。
図23】実施形態のメモリデバイスの変形例の構造を示す断面図。
図24】実施形態のメモリデバイスの変形例の構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<実施形態>
図1乃至図24を参照して、実施形態のメモリデバイス及びメモリデバイスの製造方法について、説明する。
【0008】
以下、図面を参照しながら、本実施形態について詳細に説明する。以下の説明において、同一の機能及び構成を有する要素については、同一符号を付す。また、以下の各実施形態において、末尾に区別化のための数字/英字を伴った参照符号を付された構成要素(例えば、回路、配線、各種の電圧及び信号など)が、相互に区別されなくとも良い場合、末尾の数字/英字が省略された記載(参照符号)が用いられる。
【0009】
(1)構成
(1-1) メモリデバイスの全体構成
図1を参照して、本実施形態のメモリデバイス1の全体構成の一例について説明する。図1は、本実施形態のメモリデバイス1の全体構成を示すブロック図である。なお、図1において、各構成要素の接続の一部を矢印線により示しているが、構成要素間の接続はこれらに限定されない。
【0010】
メモリデバイス1は、例えば、三次元積層型NANDフラッシュメモリである。三次元積層型NANDフラッシュメモリは、半導体基板上に三次元に配置された複数のメモリセル(以下において、メモリセルトランジスタともよばれる)を含む。
【0011】
図1に示されるように、本実施形態のメモリデバイス1は、複数のプレーンPLN、電圧発生回路23、及びシーケンサ24を含む。
【0012】
複数のプレーンPLNのそれぞれは、互いに独立に且つ並列(同時)に動作し得る回路群である。複数のプレーンPLNのそれぞれは、メモリセルアレイ11、ロウデコーダ21、及びセンスアンプ22を含む。
【0013】
各メモリセルアレイ11は、複数のブロックBLKを含む。ブロックBLKは、例えば、一括してデータが消去される複数のメモリセルの集合である。メモリセルは、メモリセルアレイ11内において、三次元に配置されている。ブロックBLK内の複数のメモリセルは、ロウ及びカラムに対応付けられる。メモリセルアレイ11及びブロックBLKの内部構成の詳細は、後述される。
【0014】
ロウデコーダ21は、ロウアドレスのデコードを行う回路である。ロウアドレスは、メモリセルアレイ11のロウ方向の配線を指定するアドレス信号である。ロウデコーダ21は、ロウアドレスのデコード結果に基づいて、メモリセルアレイ11の動作に用いられる電圧を、メモリセルアレイ11に供給する。
【0015】
センスアンプ22は、データの書き込み及び読み出しを行う回路である。センスアンプ22は、読み出し動作時に、メモリセルアレイ11から読み出されたデータをセンスする。センスアンプ22は、書き込み動作時に、書き込みデータに応じた電圧をメモリセルアレイ11に供給する。
【0016】
電圧発生回路23は、書き込み動作、読み出し動作、及び消去動作等に用いられる各種の電圧を発生(生成)する回路である。例えば、電圧発生回路23は、各プレーンPLNのロウデコーダ21及びセンスアンプ22に接続される。電圧発生回路23は、発生した電圧を、各ロウデコーダ21及び各センスアンプ22に供給する。
【0017】
シーケンサ24は、メモリデバイス1の制御回路である。シーケンサ24は、メモリデバイス1の全体の動作を制御する。例えば、シーケンサ24は、ロウデコーダ21、センスアンプ22、及び電圧発生回路23に接続される。シーケンサ24は、ロウデコーダ21、センスアンプ22、及び電圧発生回路23を制御する。シーケンサ24は、外部コントローラ(図示せず)の制御に基づいて、メモリセルアレイ11に対する書き込み動作、読み出し動作、及び消去動作等を実行する。
【0018】
以下において、ロウデコーダ21、センスアンプ22、電圧発生回路23、及びシーケンサ24のような、メモリセルアレイ11の動作を制御するための回路群は、CMOS回路(又は周辺回路)ともよばれる。
【0019】
(1-2) メモリセルアレイの回路構成
図2を参照して、メモリセルアレイ11の回路構成の一例について説明する。図2は、メモリセルアレイ11の回路図である。図2の例は、1つのブロックBLKの回路構成を示している。
【0020】
図2に示されるように、ブロックBLKは、複数のストリングユニットSUを含む。ストリングユニットSUは、例えば、書き込み動作又は読み出し動作において、一括して選択される複数のNANDストリングNSの集合である。NANDストリングNSは、直列に接続された複数のメモリセルMCの集合を含む。例えば、1つのブロックBLKは、4つのストリングユニットSU0,SU1,SU2,SU3を含む。
【0021】
なお、メモリセルアレイ11内のブロックBLKの数及びブロックBLK内のストリングユニットSUの数は任意である。
【0022】
各NANDストリングNSは、複数のメモリセルMC、セレクトトランジスタST1及びセレクトトランジスタST2を含む。図2の例において、NANDストリングNSは、8つのメモリセルMC0,MC1,・・・,MC6,MC7を含む。なお、NANDストリングNSに含まれるメモリセルトランジスタMCの数は、任意である。
【0023】
メモリセルMCは、データを不揮発に記憶するメモリ素子である。メモリセルMCは、制御ゲート及び電荷蓄積層を含むトランジスタである。メモリセルMCは、MONOS(Metal-Oxide-Nitride-Oxide-Silicon)型のトランジスタであってもよいし、FG(Floating Gate)型のトランジスタであってもよい。MONOS型のメモリセルトランジスタにおいて、電荷蓄積層に、窒化シリコン層のような絶縁層が用いられる。FG型のメモリセルトランジスタにおいて、電荷蓄積層に、ポリシリコン層のような導電層が用いられる。以下において、メモリセルMCがMONOS型のトランジスタである場合について説明する。
【0024】
セレクトトランジスタST1,ST2は、スイッチング素子である。各セレクトトランジスタST1,ST2は、メモリデバイス1の各種動作時におけるストリングユニットSUの選択に使用される。NANDストリングNSに含まれるセレクトトランジスタST1,ST2のそれぞれの数は任意である。セレクトトランジスタST1,ST2は、NANDストリングNSにそれぞれ1個以上含まれていればよい。
【0025】
NANDストリングNS内のセレクトトランジスタST2の電流経路、メモリセルMC0,・・・,MC7の電流経路、及びセレクトトランジスタST1の電流経路は、直列に接続される。セレクトトランジスタST1のドレインは、ビット線BLに接続される。セレクトトランジスタST2のソースは、ソース線SLに接続される。
【0026】
同一のブロックBLK内のメモリセルMC0,・・・,MC7の制御ゲートのそれぞれは、ワード線WL0,・・・,WL7のうち対応する1つに接続される。4つのストリングユニットSUのそれぞれは、メモリセルMC0を含む。ブロックBLK内の複数のメモリセルMC0の制御ゲートは、1つのワード線WL0に共通に接続される。メモリセルMC1,・・・,MC7も、メモリセルMC0と同様に、対応するワード線WL1,・・・,WL7にそれぞれ接続される。
【0027】
ストリングユニットSU内の複数のセレクトトランジスタST1のゲートは、1つのセレクトゲート線SGDに共通に接続される。より具体的には、ストリングユニットSU0内の複数のセレクトトランジスタST1のゲートは、セレクトゲート線SGD0に共通に接続される。ストリングユニットSU1内の複数のセレクトトランジスタST1のゲートは、セレクトゲート線SGD1に共通に接続される。ストリングユニットSU2内の複数のセレクトトランジスタST1のゲートは、セレクトゲート線SGD2に共通に接続される。ストリングユニットSU3内の複数のセレクトトランジスタST1のゲートは、セレクトゲート線SGD3に共通に接続される。
【0028】
ブロックBLK内の複数のセレクトトランジスタST2のゲートは、1つのセレクトゲート線SGSに共通に接続される。なお、セレクトゲート線SGDと同様に、ストリングユニットSU毎に、異なる複数のセレクトゲート線SGSが、ブロックBLK内に設けられてもよい。
【0029】
ワード線WL0,・・・,WL7、セレクトゲート線SGD0,・・・,SGD3、及びセレクトゲート線SGSは、ロウデコーダ21にそれぞれ接続される。
【0030】
ビット線BLは、各ブロックBLKの各ストリングユニットSU内の1つのNANDストリングNSに共通に接続される。同一のカラムアドレスが、1つのビット線BLに接続された複数のNANDストリングNSに、割り当てられる。各ビット線BLは、センスアンプ22に接続される。
【0031】
ソース線SLは、例えば複数のブロックBLK間で共有される。
【0032】
1つのストリングユニットSU内で共通のワード線WLに接続された複数のメモリセルMCの集合は、例えば、セルユニットCUと表記される。例えば、書き込み動作及び読み出し動作は、セルユニットCU単位で実行される。
【0033】
(1-3) メモリデバイスの貼合構造
図3を参照して、本実施形態のメモリデバイス1の構造の概要について説明する。図3は、メモリデバイス1の貼合構造の概要を示す鳥瞰図である。
【0034】
図3に示されるように、本実施形態のメモリデバイス1は、2つの半導体チップ10,20を含む。
【0035】
2つの半導体チップ10,20のうち一方は、アレイチップ(メモリセルアレイチップともよばれる)10である。アレイチップ10は、複数のメモリセルアレイ11が設けられたチップである。
【0036】
2つの半導体チップ10,20のうち他方は、CMOS回路チップ(CMOSチップともよばれる)20である。CMOS回路チップ20は、アレイチップ10を制御するCMOS回路が設けられたチップである。
【0037】
本実施形態のメモリデバイス1は、アレイチップ10とCMOS回路チップ20との貼り合わせによって、形成される。メモリデバイス1は、アレイチップ10とCMOS回路チップ20とを貼り合わせた構造(以下では、「貼合構造」と表記する)を有する。以下において、アレイチップ10とCMOS回路チップ20とが区別されない場合、アレイチップ10及びCMOS回路チップ20のそれぞれは、単にチップと表記される。
【0038】
なお、複数のアレイチップ10が、メモリデバイス1内に設けられてもよい。この場合、CMOS回路チップ20上に複数のアレイチップ10が積層されるように貼り合わされてもよい。複数のCMOS回路チップ20が、メモリデバイス1内に設けられてもよい。
【0039】
図3に示されるように、アレイチップ10は、面F1において、複数のパッド(電極、導電層、導電体)BP1を含む。CMOS回路チップ20は、面F2において、複数のパッドBP2を含む。パッドBP1,BP2は、2つのチップの貼合に用いられる。
【0040】
貼合構造のメモリデバイス1において、アレイチップ10の面F1が、CMOS回路チップ20の面F2に貼り合わせられる。このように、アレイチップ10のパッドBP1が設けられた面F1が、CMOS回路チップ20のパッドBP2が設けられた面F2に、向かい合う。以下では、アレイチップ10とCMOS回路チップ20とが貼り合わされる面F1,F2は、貼合面BFとも表記される。
【0041】
貼合構造において、アレイチップ10のパッドBP1とCMOS回路チップ20のパッドBP2とが貼り合わされる。これによって、1つの貼合パッドBPが、メモリデバイス1内に形成される。
【0042】
換言すれば、アレイチップ10に設けられたパッドBP1を構成する電極が、CMOS回路チップ20に設けられたパッドBP2を構成する電極に接合される。これによって、貼合構造のメモリデバイス1の貼合パッドBPが、形成される。
【0043】
貼合パッドBPは、アクティブパッドとダミーパッドとを含む。アクティブパッドは、メモリデバイス1の動作時に信号又は電源の経路として機能する。アクティブパッドは、信号及び電源のいずれかの経路に電気的に接続される。ダミーパッドは、メモリデバイス1の動作時に信号の経路及び電源の経路として機能しない。ダミーパッドは、信号の経路及び電源の経路に電気的に接続されない。
【0044】
以下において、アレイチップ10とCMOS回路チップ20とが貼り合わされる面(貼合面BF)は、XY面とされる。XY面内において互いに直交する方向は、X方向及びY方向とされる。X方向及びY方向は、XY平面に平行な方向である。XY平面に略垂直であり、アレイチップ10からCMOS回路チップ20に向かう方向は、Z1方向とされる。XY平面に略垂直であり、CMOS回路チップ20からアレイチップ10に向かう方向は、Z2方向とされる。Z1方向及びZ2方向が区別されない場合、XY平面に略垂直な方向は、Z方向と表記される。
【0045】
(1-4) メモリデバイスの平面レイアウト
図4を参照して、本実施形態のメモリデバイス1のチップ内の平面レイアウトの一例について説明する。図4は、メモリデバイス1の平面図である。
【0046】
図4に示されるように、メモリデバイス1の平面レイアウトにおいて、各半導体チップ10,20は、コア領域R1、壁領域R2、外周領域R3、及び、カーフ領域R4を含む。
【0047】
コア領域R1は、各半導体チップ10,20の中央部に配置されている。アレイチップ10のコア領域R1は、メモリセルアレイ、複数のコンタクト、及び複数のパッドを含む。CMOS回路チップ20のコア領域R1は、電界効果トランジスタ(例えば、MOSトランジスタ)、抵抗体、キャパシタ、複数のコンタクト、複数のパッドを含む。
【0048】
壁領域R2は、コア領域R1の外周を囲むように設けられている。壁領域R2は、例えば、四角環状の領域である。導電性の封止部材(保護構造)が、壁領域R2内に設けられている。封止部材は、メモリデバイス1の外周の電位を、或る電位(例えば、接地電位VSS)に固定する。これによって、メモリデバイス1の電源線及びウェル等の電位が、安定化される。例えば、壁領域R2に設けられた封止部材は、静電気を基板に逃がす機能を有する。これによって、静電気による素子等の破壊が抑制される。壁領域R2の封止部材は、例えば、ダイシング工程において、メモリデバイス1のチップの端部に、クラックや層間絶縁膜等の剥離が発生した際、メモリデバイス1の内側にクラック及び/又は剥離が到達するのを抑制できる。
【0049】
外周領域R3は、壁領域R2の外周を囲むように設けられている。外周領域R3は、例えば、四角環状の領域である。例えば、アレイチップ10において、外周領域R3は、導電性の除電部材が形成される領域である。除電部材は、アレイチップ10の製造工程において、ウェハ上方の半導体層をウェハに電気的に接続することによって半導体層を接地する。除電部材は、例えば、反応性イオンエッチング(RIE)時における半導体層のチャージアップによる絶縁破壊(アーキング)の抑制に、使用される。例えば、アレイチップ10とCMOS回路チップ20が貼り合わされた後のメモリデバイス1の製造工程において、除電部材は除去される。外周領域R3内において、絶縁体が、除電部材が除去された部分(領域)内に設けられる。
【0050】
カーフ領域R4は、外周領域R3の外周を囲むように設けられている。カーフ領域R4は、例えば、四角環状の領域である。カーフ領域R4は、チップ端部を含む端部領域である。カーフ領域R4は、ウェハ上に形成された複数のチップの間に設けられた領域である。ダイシング工程において、カーフ領域R4が切断されることによって、ウェハ上に形成された複数のチップが、チップ毎に切り分けられる。
【0051】
なお、本実施形態において、外周とは、XY平面内においてチップの或る部分よりもチップの端部側の部分であることを、示す。
【0052】
(1-5) メモリデバイスの断面構造
図5を参照して、本実施形態のメモリデバイス1の断面構造の一例について説明する。図5は、メモリデバイス1の断面構造の一例を示す断面図である。図5の例において、本実施形態のメモリデバイス1の構成要素の一部が抽出されて、示されている。
【0053】
図5に示されるように、実施形態のメモリデバイス1は、アレイチップ10とCMOS回路チップ20との貼合構造を有する。
【0054】
アレイチップ10は、分離部材90、埋め込み部材92、半導体層101、絶縁層102,113,118,119,121(121a,121b,121c,121x),150,190,192,193、導電層103、配線(導電層)106,108,191(191a,191b,191c)、導電体104,105,107,109、コンタクトプラグCC、電極(パッド)111、壁構造120、表面保護層198、メモリピラーMPを含む。半導体層101は、半導体層101a,101b,101c,101j,101k,101m,101n,101p,101q,101x,101zを含む。貼合パッドBPに用いられる電極111は、電極111a,111dを含む。
【0055】
CMOS回路チップ20は、半導体基板201、N型不純物拡散層(N型半導体領域)NW、P型不純物拡散層(P型半導体領域)PW、トランジスタTR、導電体(プラグ)204,206,208,210、配線205,207,209、電極(パッド)211、及び絶縁層218,219を含む。トランジスタTRは、ゲート絶縁層202、ゲート電極203、及びソース/ドレイン層(図示せず)を含む。貼合パッドBPに用いられる電極211は、電極211a,211dを含む。
【0056】
(1-5-1) アレイチップの構造
図5及び図6を参照して、本実施形態のメモリデバイス1における、アレイチップ10の構造について説明する。
【0057】
<アレイチップの平面レイアウト>
図6を参照して、本実施形態のメモリデバイス1における、アレイチップ10の平面レイアウトについて、説明する。図6は、アレイチップ10の平面レイアウト構造の一例を示す平面図である。
【0058】
図6に示されるように、コア領域R1は、アレイチップ10の中央部に設けられている。アレイチップ10のコア領域R1は、複数のメモリセルアレイエリアMA、コンタクトエリアCA、パッドエリアPA、及びプレーン分離エリアDAを含む。
【0059】
複数のメモリセルアレイエリアMAは、コア領域R1内において、X方向に並ぶ。複数のメモリセルアレイエリアMAのそれぞれは、メモリセルアレイ11を含む。
【0060】
コンタクトエリアCAは、複数のメモリセルアレイエリアMAの周囲を囲むように、コア領域R1内に配置されている。コンタクトエリアCAは、複数のプラグ配置部を含む。各プラグ配置部の開口部OP1内に、後述の複数のコンタクトプラグCCが、設けられている。
【0061】
パッドエリアPAは、コンタクトエリアCAとメモリセルアレイエリアMAとの間の領域内に配置されている。パッドエリアPAは、複数のパッド99を含む。例えば、パッドエリアPA内のパッド99は、外部接続端子である。パッド99は、コンタクトエリアCA内のコンタクトプラグCC、メモリセルアレイエリアMA内の配線、及び/又は、CMOS回路チップ20内の配線などに電気的に接続される。
【0062】
プレーン分離エリアDAは、メモリセルアレイエリアMAを区画する。プレーン分離エリアDAは、各メモリセルアレイエリアMA(メモリセルアレイ11)を囲む。プレーン分離エリアDAは、複数のメモリセルアレイ11を、プレーン毎に分離している。プレーン分離エリアDAは、Z方向から見て格子状のレイアウトを有している。プレーン分離エリアDAは、2つのメモリセルアレイエリアMAの間、メモリセルアレイエリアMAとコンタクトエリアCAとの間、メモリセルアレイエリアMAとパッドエリアPAとの間に、それぞれレイアウトされている。
【0063】
プレーン分離エリアDAは、Z方向から見て格子状のスリット(開口部)S1を含む。分離部材90は、スリットS1内に設けられている。分離部材90は、絶縁体である。分離部材90は、スリットS1の形状に応じて、格子状の構造を有する。スリットS1及び分離部材90は、X方向に延在する部分と、Y方向に延在する部分と、を有する。
【0064】
アレイチップ10の壁領域R2は、複数の壁構造(エッジシールともよばれる)120を含む。上述のように、壁構造120は、導電性の封止部材である。例えば、各壁構造120は、Z方向から見て略四角環状の形状を有する。例えば、3つの壁構造120-1,120-2,120-3が、壁領域R2内の3つのスリット(開口部)S2内に設けられている。壁構造120-1は、Z方向から見て、コア領域R1の外周を囲んでいる。壁構造120-2は、Z方向から見て、壁構造120-1の外周を囲んでいる。壁構造120-3は、Z方向から見て、壁構造120-2の外周を囲んでいる。壁構造120-2は、壁構造120-1と壁構造120-3との間の領域内に設けられている。
【0065】
図6の例において、3つの壁構造120が、壁領域R2内に設けられている。壁領域R2内に設けられる壁構造120の数は、3より少なくともよいし、3より多くともよい。壁構造120の形状は、コア領域R1の外周を囲む形状を有していれば、四角環状でなくともよい。各壁構造120は、複数の部分に分割されていてもよい。
【0066】
外周領域R3は、壁領域R2とカーフ領域R4との間に設けられている。アレイチップ10の外周領域R3は、複数のスリット(開口部)S3を含む。絶縁体の埋め込み部材92が、各スリットS3内に設けられている。スリットS3及び埋め込み部材92は、Z方向から見て、略四角環状の形状を有している。
【0067】
3つの埋め込み部材92-1,92-2,92-3が、コア領域R1及び壁領域R2を囲んでいる。埋め込み部材92-1は、Z方向から見て、壁領域R2の外周を囲んでいる。埋め込み部材92-2は、Z方向から見て、埋め込み部材92-1の外周を囲んでいる。埋め込み部材92-3は、Z方向から見て、埋め込み部材92-2の外周を囲んでいる。
【0068】
図6の例において、3つの四角環状の埋め込み部材92及びスリットS3が、外周領域R3内に設けられている。外周領域R3内に設けられる埋め込み部材92の数及びスリットS3の数は、3より少なくともよいし、3より多くともよい。埋め込み部材92及びスリットS3の形状は、四角環状でなくともよい。埋め込み部材92のそれぞれは、複数の部分に分割されていてもよい。
【0069】
カーフ領域R4は、アレイチップ10の端部を含む領域である。例えば、カーフ領域R4内に、メモリデバイス1の製造時に使用されるアライメントマークAM及び特性チェック用パターン等が設けられる。カーフ領域R4内の構造体は、ダイシング工程によって切断又は除去されてもよい。
【0070】
<コア領域の構造>
アレイチップ10のコア領域R1について説明する。メモリセルアレイ11、及び、メモリセルアレイ11とCMOS回路チップ20とを接続するための各種の部材が、アレイチップ10のコア領域R1内に、設けられる。
【0071】
図5及び図6に示されるように、コア領域R1は、複数のメモリセルアレイエリアMA、コンタクトエリアCA、及びプレーン分離エリアDAを含む。
【0072】
メモリセルアレイエリアMAについて、説明する。
【0073】
図5に示されるように、メモリセルアレイエリアMAにおいて、半導体層101(101a,101b,101c)は、X方向及びY方向に延びる。メモリセルアレイエリアMA内に設けられた半導体層101は、ソース線SLとして機能する。例えば、半導体層101は、シリコンを含む。ソース線SLとしての半導体層101は、Z方向に積層された3つの半導体層101a,101b,101cを含む。以下において、ソース線SLとして機能する3つの半導体層101a,101b,101cの集合は、ソース線層BSLとも表記される。
【0074】
メモリセルアレイエリアMAにおいて、複数の絶縁層102と複数の導電層103とが、半導体層101のZ1方向を向いた面上に、1層ずつ交互に積層される。複数の絶縁層102と複数の導電層103とを含む積層体が、メモリセルアレイエリアMA内に設けられる。絶縁層102によってZ方向に離間して積層された複数の導電層103が、CMOS回路チップ20と半導体層101との間に、設けられている。図5の例では、10層の絶縁層102と10層の導電層103とが1層ずつ交互に積層されている。Z方向に積層される絶縁層102の数及び導電層103の数は、メモリセルアレイ11の構成(例えば、記憶容量)に応じて、設定される。
【0075】
導電層103は、X方向に延びる複数の導電層103は、ワード線WL、セレクトゲート線SGD、及びセレクトゲート線SGSのいずれかとして機能する。導電層103は、例えば、タングステン(W)のような導電材料を含む。
【0076】
絶縁層102は、Z方向に隣り合う2つの導電層103を分離する。絶縁層102は、酸化シリコンのような絶縁材料を含む。
【0077】
メモリセルアレイエリアMA内に、複数のメモリピラーMPが設けられる。1つのメモリピラーMPが1つのNANDストリングNSに対応する。メモリピラーMPは、例えば、Z方向に延びる円柱形状を有する。メモリピラーMPは、複数の絶縁層102及び複数の導電層103を貫通(通過)する。
【0078】
メモリピラーMPの側面(XY平面に交差する面)は、導電層103に対向する。メモリピラーMPのZ2方向の端部は、半導体層101の層内に達する。メモリピラーMPは、メモリ層142、半導体層143及びコア層144を含む。半導体層143は、Z方向に延びる。半導体層143の一部は、半導体層101と接する。メモリピラーMPの構造の詳細については、後述する。
【0079】
例えば、X方向に延びるスリットSLTが、絶縁層102及び導電層103を含む積層体内に設けられる。絶縁体170が、スリットSLTの内部に充填されている。絶縁体170は、複数の絶縁層102及び複数の導電層103を貫通する。絶縁体170のZ1方向の端部(絶縁体170の下端)は、絶縁層118内に位置する。絶縁体170のZ1方向の端部は、絶縁層118に接する。絶縁体170のZ2方向の端部(絶縁体170の上端)は、ソース線層BSL内に位置する。絶縁体170のZ2方向の端部は、半導体層101bに接する。絶縁体170は、絶縁体170を挟んでY方向に隣り合う導電層103を、分断している。例えば、絶縁体170(及びスリットSLT)によって区切られた領域が、1つのブロックBLKに対応している。絶縁体170は、例えば、酸化シリコンを含む。なお、スリットSLT内において、酸化シリコンのような絶縁材料によって少なくともその側面が囲まれた金属又は半導体等の導電材料が充填されていてもよい。
【0080】
スリットSLTは、メモリセルアレイ11の形成工程において、ソース線層BSLの半導体層101a,101c間の犠牲層を半導体層101bにリプレースするためのエッチング剤及び半導体層101bの原料が供給される開口部として用いられる。スリットSLTは、メモリセルアレイ11の形成工程において、絶縁層102間の犠牲層を導電層103にリプレースするためのエッチング剤及び導電層103の原料が供給される開口部として用いられる。
【0081】
絶縁体170(及びスリットSLT)のZ1方向側(CMOS回路チップ20側)におけるY方向に沿う寸法は、絶縁体170のZ2方向側(アレイチップ10側)におけるY方向に沿う寸法より大きい。
【0082】
なお、スリットSLT及び絶縁体170は、ソース線層BSLを複数の部分(例えば、プレーンPLN毎の部分)に分断しない。
【0083】
導電体104が、メモリピラーMPのZ1方向を向いた面上に、設けられる。導電体104は、例えば、Z方向に延びる円柱形状を有する。導電体104のZ1方向を向いた面上に、導電体105が設けられる。導電体105は、例えば、Z方向に延びる円柱形状を有する。導電体105のZ1方向を向いた面上に、配線106が設けられる。メモリセルアレイエリアMA内に、X方向に並ぶ複数の配線106が、設けられている。複数の配線106のそれぞれは、Y方向に延びる。複数のメモリピラーMPのそれぞれは、導電体104,105を介して、複数の配線106のいずれか1つに電気的に接続される。配線106は、ビット線BLとして機能する。導電体104は、例えば、タングステンを含む。導電体105及び配線106は、例えば、銅(Cu)を含む。
【0084】
配線106のZ1方向を向いた面上に、導電体107が設けられる。導電体107は、例えば、Z方向に延びる円柱形状を有する。導電体107のZ1方向を向いた面上に、配線108が設けられる。配線108のZ1方向を向いた面上に、導電体109が設けられる。導電体109は、例えば、Z方向に延びる円柱形状を有する。導電体107,109及び配線108は、例えば、銅を含む。
【0085】
絶縁層118は、半導体層101のZ1方向を向く面側において、アレイチップ10内に設けられている。絶縁層118は、絶縁層102、導電層103、メモリピラーMP、導電体104,105,107,109、及び配線106,108を覆う。
【0086】
絶縁層119が、絶縁層118のZ1方向を向いた面上に設けられる。絶縁層119は、CMOS回路チップ20の絶縁層219に接する。絶縁層119と絶縁層219とが接する面が、貼合面BFである。
【0087】
複数の電極111は、絶縁層119と同じ階層内に、設けられる。電極111は、絶縁層119内に配置されている。コア領域R1内において、電極111は、Z方向から見て四角形の形状を有する。メモリセルアレイエリアMAにおいて、電極111aが、導電体109のZ1方向を向いた面上に設けられる。電極111aは、導電体107、配線108、及び導電体109を介して、複数の配線106のうち対応する1つの配線106に電気的に接続される。電極111aは、CMOS回路チップ20の対応する電極211aに接する。電極111a,211aは、貼合パッドBPaとして機能する。貼合パッドBPaは、アクティブパッドである。電極111aは、銅を含む。なお、配線106と電極111aとの間に設けられる配線の層数は、任意である。
【0088】
図5において、図示が省略されているが、導電層(ワード線)103とCMOS回路チップ20との間を電気的に接続する電極111aが、メモリセルアレイエリアMA内において、配線(ビット線)106とCMOS回路チップ20との間を電気的に接続する電極111a以外に、設けられる。
【0089】
絶縁層113及び絶縁層190が、半導体層101のZ2方向を向いた面上に積層される。絶縁層113,190は、例えば、酸化シリコンのような絶縁材料を含む。
【0090】
メモリセルアレイエリアMA内において、配線191aが、半導体層101及び絶縁層190のZ2方向を向いた面上に設けられる。配線191aは、絶縁層113,190に設けられた開口部OPa内において、半導体層101と接する。配線191aは、半導体層101(ソース線SL)とCMOS回路チップ20とを電気的に接続する経路の一部(裏打ち配線)として機能する。配線191aは、例えば、アルミニウム(Al)を含む。
【0091】
絶縁層192が、絶縁層190及び配線191aのZ2方向を向いた面上に、設けられる。絶縁層193が、絶縁層192のZ2方向を向いた面上に、設けられる。表面保護層198が、絶縁層193のZ2方向を向いた面上に設けられる。絶縁層192は、例えば、酸化シリコンを含む。絶縁層193は、例えば、窒化シリコンのような透水性の低い絶縁材料を含む。表面保護層198は、例えば、ポリイミド等の樹脂材料を含む。
【0092】
絶縁層192,193及び表面保護層198は、アレイチップ10におけるコア領域R1、壁領域R2、外周領域OR、及びカーフ領域R4を覆う。但し、絶縁層192,193及び表面保護層198は、外周領域R3の外周部分及びカーフ領域R4から除去されてもよい。
【0093】
アレイチップ10のプレーン分離エリアDAについて説明する。
【0094】
半導体層101及び絶縁層121aを含む層が、プレーン分離エリアDA内の絶縁層118のZ2方向を向く面上に設けられている。半導体層101は、2つの半導体層101j,101kを含む。絶縁層121aは、半導体層101jと半導体層101kとの間に設けられている。半導体層101kは、絶縁層118上に設けられている。絶縁層121aは、半導体層101k上に設けられている。半導体層101jは、絶縁層121a上に設けられている。絶縁層121a(121)は、例えば、酸化シリコン層、窒化シリコン層及び酸化シリコン層を含む積層膜である。絶縁層121内において、窒化シリコン層は、2つの酸化シリコン層の間に設けられている。
【0095】
プレーン分離エリアDA内の半導体層101j,101k及び絶縁層121aは、メモリセルアレイ11を他の構成要素と電気的に接続する経路として用いられない。以下において、プレーン分離エリアDAにおける、半導体層101j,101k及び絶縁層121aを含む層(構造)は、ダミー層DM1とよばれる。但し、半導体層101j,101kは、ソース線層BSLとしての半導体層101に連続する部分を含み得る。
【0096】
絶縁層113は、ダミー層DM1のZ2方向を向く面上に設けられている。なお、プレーン分離エリアDA内の半導体層101j,101k、絶縁層121a及び絶縁層113を含む構成部材が、ダミー層とよばれてもよい。
【0097】
絶縁層190、絶縁層192、絶縁層193、及び表面保護層198が、Z2方向に向かって、絶縁層113のZ2を向く面上に積層されている。配線191が、プレーン分離エリアDA内の絶縁層190上に設けられてもよい。
【0098】
プレーン分離エリアDA内において、分離部材90が、設けられている。例えば、分離部材90は、プレーン分離エリアDA内に形成されたスリット(開口部)S1内に設けられている。スリットS1は、ソース線層BSL、ダミー層DM1及び絶縁層113に設けられている。分離部材90としての絶縁体が、スリットS1内に充填されている。分離部材90は、Y方向(又はX方向)において、ソース線層BSL、ダミー層DM1及び絶縁層113に隣り合う。
【0099】
2つのメモリセルアレイエリアMA間の領域(例えば、サブエリアともよばれる)において、分離部材90は、ソース線層BSL間に設けられている。分離部材90としての絶縁体は、隣り合う2つのメモリセルアレイ11間において、一方のメモリセルアレイ11内のソース線SLを、他方のメモリセルアレイ11内のソース線SLから分離する。メモリセルアレイエリアMAとコンタクトエリアCAとの間において、分離部材90は、ソース線層BSLとダミー層DM1との間に設けられている。分離部材90としての絶縁体は、ソース線SLを、ダミー層DM1から分離する。
【0100】
分離部材90に用いられる絶縁体は、絶縁層190に連続する部材である。分離部材90としての絶縁体は、絶縁層190からZ1方向に向かって突出した部分(突出部)である。分離部材90としての絶縁体のZ1方向側の端部は、絶縁層118に接触する。なお、分離部材90は、絶縁層190と連続しない部材でもよい。分離部材90は、絶縁層190の材料と異なる絶縁材料を含んでもよい。空隙(ボイド)が、分離部材90の内部に設けられている場合もある。
【0101】
分離部材90は、メモリセルアレイエリアMAの半導体層101からなるソース線層BSLを、プレーンPLN毎の部分(メモリセルアレイ11)に分離する。ソース線層BSLとしての半導体層101は、メモリセルアレイ11毎の部分に独立している。これによって、複数のプレーンPLNのそれぞれに対応する複数のメモリセルアレイ11が、コア領域R1内に設けられる。
【0102】
なお、プレーン分離エリアDA内の分離部材90及びスリットS1の構造の詳細は、後述される。
【0103】
アレイチップ10のコンタクトエリアCAについて説明する。
【0104】
コンタクトエリアCAは、半導体層101及び絶縁層121bを含む。コンタクトエリアCAの半導体層101は、半導体層101p,101qを含む。絶縁層121bは、2つの半導体層101p,101q間に設けられている。半導体層101qは、絶縁層118上に設けられている。絶縁層121bは、半導体層101q上に設けられている。半導体層101pは、絶縁層121b上に設けられている。コンタクトエリアCAの半導体層101p,101qは、プレーン分離エリアDAによって、メモリセルアレイエリアMA内の半導体層101a,101cから分離されている。半導体層101p,101qは、ソース線SL(及び配線)として機能しない。
【0105】
以下において、半導体層101p,101q及び絶縁層121bを含む層(構造)は、ダミー層DM2とよばれる。半導体層101p上の絶縁層113をさらに含む構成部材が、ダミー層とよばれてもよい。
【0106】
開口部OP1が、ダミー層DM2に設けられている。開口部OP1内において、ダミー層DM2の側面は、絶縁層190の部分91に覆われている。
【0107】
複数の導電体(コンタクトプラグCC-1,CC-2,CC-3)及び配線191bが、コンタクトエリアCA内に設けられている。
【0108】
複数の導電体は、ダミー層DM2及び絶縁層113内に設けられた開口部OP1に対応する位置に設けられている。図5の例において、Y方向に並ぶ3つの導電体が、コンタクトエリアCA内に設けられている。導電体は、コンタクトプラグCCとして機能する。コンタクトプラグCCは、主に絶縁層118内をZ方向に延びる円柱形状を有する。コンタクトプラグCCのZ2方向の端部は、開口部OP1に対して、絶縁層118から突出している。コンタクトプラグCCは、配線191bとCMOS回路チップ20内の構成要素(例えば、トランジスタ)との間の電気的接続に用いられる。コンタクトプラグCCは、例えば、タングステンを含む。
【0109】
配線191bは、開口部OP1内において、複数のコンタクトプラグCC-1,CC-2,CC-3に電気的に接続される。配線191bは、メモリセルアレイエリアMA内の配線191aから電気的に絶縁される。なお、配線191bは、絶縁層190の部分91を介して、ダミー層DM2の側面を覆う。配線191bは、ダミー層DM2の側面を経由して、コンタクトプラグCCからダミー層DM2のZ2方向を向く面の上方の領域まで延在する。絶縁層192,193及び表面保護層198が、配線191b上に積層されている。配線191bは、例えば、アルミニウムを含む。
【0110】
コンタクトエリアCA内において、複数の電極(パッド)111a及び複数の電極(パッド)111dが、絶縁層119内に設けられる。コンタクトエリアCA内において、電極111a,111dのそれぞれは、Z方向から見て四角形の形状を有する。
【0111】
絶縁層118内におけるコンタクトプラグCCと電極111aとの間の領域内に、複数の導電体105,107,109及び配線106,108が、設けられている。複数のコンタクトプラグCCのZ1方向側の端部上に、導電体(ビアプラグ)105が設けられている。導電体105のZ1方向側の端部上に、配線106が、設けられている。導電体(ビアプラグ)107が、配線106のZ1方向を向く面上に設けられている。配線108が、導電体107のZ1方向側の端部上に設けられている。導電体(ビアプラグ)109が、配線108のZ1方向を向く面と電極111aとの間に、設けられている。これによって、コンタクトプラグCCは、複数の導電体105,107,109及び複数の配線106,108を介して、配線191bを対応する電極111aに電気的に接続する。
【0112】
なお、コンタクトプラグCCと電極111aとを接続するための複数の導電体105,107,109及び複数の配線106,108の構成は、図5の例に限定されない。コンタクトプラグCCと電極111aとの間の各導電体105,107,109の数、及び、コンタクトプラグCCと電極111aとの間の各配線106,108の数は、適宜変更され得る。
【0113】
電極111aは、アレイチップ10とCMOS回路チップ20との間を電気的に接続する。電極111aは、CMOS回路チップ20の対応する電極211aに接する。これによって、コンタクトエリアCA内において、アクティブパッドとしての貼合パッドBPaが、形成される。
【0114】
電極111dは、CMOS回路チップ20の対応する電極211dに接する。電極111d及び電極211dは、貼合パッドBPdとして機能する。貼合パッドBPdは、ダミーパッドである。貼合パッドBPdは、アレイチップ10内のメモリセルアレイ11、各種の配線、CMOS回路チップ20内の半導体基板201及び各種の配線に対して電気的に絶縁される。
【0115】
メモリセルアレイエリアMAとコンタクトエリアCAとの間のパッドエリアPAにおいて、絶縁層192,193及び表面保護層198が部分的に除去されている。配線191bの一部が、絶縁層192,193及び表面保護層198に設けられた開口部OPzを介して、露出している。開口部OPzにおいて、露出した配線191bの一部分は、メモリデバイス1の外部接続端子(パッド99)として機能する。例えば、ボンディングワイヤ(図示せず)が、開口部OPzを介して、露出した配線191b(パッド99)に接続される。なお、開口部OPzは、開口部OP1とZ方向に重なる位置に設けられてもよい。
【0116】
コンタクトエリアCA内の開口部OP1の構造及び開口部OP1内の部材の構造の詳細については、後述される。
【0117】
<壁領域の構造>
アレイチップ10の壁領域R2について説明する。アレイチップ10の壁領域R2内に、複数の壁構造120(120-1,120-2,120-3)、各種の配線が設けられている。壁構造120は、絶縁層118内の各種の配線を介して、CMOS回路チップ20に接続される。
【0118】
図5の例において、壁構造120は、3つの壁構造120-1,120-2,120-3を含む。壁構造120の各々は、Z方向に延びる。上述のように、壁構造120-1,120-2,120-3は、Z方向から見て、略四角環状の形状を有する。壁構造120-1,120-2,120-3のそれぞれは、導電体を含む。壁構造120-1,120-2,120-3は、例えば、タングステンを含む。
【0119】
壁領域R2内に、半導体層101p,101q及び絶縁層121bを含むダミー層DM3が、設けられている。絶縁層121bは、2つの半導体層101p,101q間に設けられている。例えば、ダミー層DM3は、ダミー層DM2と連続している。但し、ダミー層DM3は、ダミー層DM2と同じ階層内に設けられ、ダミー層DM2からは分離された部材であってもよい。
【0120】
スリット(開口部)S2が、壁領域R2内におけるダミー層DM3及び絶縁層113に設けられている。スリットS2内において、ダミー層DM3の側面は、絶縁層190の一部に覆われている。スリットS2内において、壁構造120のZ2方向の端部は、絶縁層118から突出している。スリットS2は、X方向から見て、テーパー形状の断面構造を有している。スリットS2は、Z方向から見て、略四角環状の形状を有する。壁領域R2内のスリットS2は、コンタクトエリアCA内の開口部OP1と同じ階層内に設けられている。
【0121】
配線191cは、スリットS2内に設けられている。配線191cは、壁構造120のZ2方向の端部に接続される。スリットS2内において、絶縁層190の一部がダミー層DM3の側面上に設けられているため、配線191cは、半導体層101p,101qと接しない。配線191cは、ダミー層DM3の側面を経由して、壁構造120の端部からダミー層DM3のZ2方向を向く面の上方まで、延在する。配線191cは、コア領域R1内の配線191a,191bから電気的に分離されている。配線191cは、例えば、アルミニウムを含む。
【0122】
絶縁層192は、配線191cを覆う。絶縁層193は、絶縁層192のZ2方向を向く面上に設けられている。表面保護層198は、絶縁層192のZ2方向を覆う面上に設けられている。
【0123】
壁領域R2内において、複数の電極111a及び複数の電極111dが、絶縁層119内に設けられる。電極111aは、対応する電極211aに接する。電極111dは、対応する電極211dに接する。これによって、壁領域R2内において、貼合パッドBPが形成される。
【0124】
複数の壁構造120のうち、壁構造120-1のZ1方向の端部は、例えば、導電体105に接続されない。壁構造120-2のZ1方向の端部は、導電体105、配線106、導電体107、配線108、及び導電体109を介して、電極111aに電気的に接続される。壁構造120-3のZ1方向の端部は、導電体105、配線106、導電体107、配線108、及び導電体109を介して、電極111aに電気的に接続される。
【0125】
壁領域R2内において、壁構造120に電気的に接続された複数の導電体105,107,109、複数の配線106,108、及び電極111aの各々は、Z方向から見て、コア領域R1を囲む四角環状の形状を有し得る。
【0126】
<外周領域の構造>
アレイチップ10の外周領域R3について説明する。
【0127】
ダミー層DM4が、外周領域R3内に設けられている。ダミー層DM4は、半導体層101m,101n及び絶縁層121cを含む。絶縁層121cは、2つの半導体層101m,101n間に設けられている。半導体層101mは、絶縁層118上に設けられている。絶縁層121cは、半導体層101m上に設けられている。半導体層101nは、絶縁層121c上に設けられている。
【0128】
外周領域R3内におけるダミー層DM4は、メモリセルアレイ11のソース線層BSL及びコア領域R1内のダミー層DM1,DM2と同じ階層内に設けられている。外周領域R3に設けられた半導体層101m,101nは、コア領域R1内の同じ階層内に設けられている半導体層101から電気的に分離されている。
【0129】
複数のスリット(開口部)S3が、ダミー層DM4及び半導体層101n上の絶縁層113に設けられている。埋め込み部材92としての絶縁体が、スリットS3内に設けられている。埋め込み部材92としての絶縁体は、Z方向から見て、略四角環状の形状を有する。埋め込み部材92としての絶縁体は、絶縁層190に連続する部材である。埋め込み部材92としての絶縁体は、絶縁層190からZ1方向に向かって突出した部分(突出部)である。埋め込み部材92のZ1方向の端部は、絶縁層118に接触する。なお、埋め込み部材92は、絶縁層190に連続しない部材であってもよい。
【0130】
アレイチップ10の製造工程中において、導電体を含む除電プラグ(図示せず)が、スリットS3内に埋め込まれている。スリットS3内の除電プラグは、アレイチップ10の製造工程において、半導体層101をアレイチップ10の半導体基板(図示せず)に電気的に接続する。例えば、半導体層101は、除電プラグを介して半導体基板に接地される。除電プラグは、ドライエッチング時における半導体層101のチャージアップによるアーキングの抑制に使用される。除電プラグは、2つの半導体チップ10,20の貼合後に除去される。除電プラグが除去された空間に、上述の埋め込み部材92としての絶縁体が充填される。
【0131】
例えば、アレイチップ10の外周領域R3において、複数の電極111dが、絶縁層119内に設けられる。電極111dは、CMOS回路チップ20の電極211dに接する。これによって、外周領域R3において、貼合パッドBPdが形成される。
【0132】
<カーフ領域の構造>
アレイチップ10のカーフ領域R4について説明する。
【0133】
カーフ領域R4は、アレイチップ10の端部領域である。カーフ領域R4は、ウェハのダイシングエリア内の領域である。
【0134】
アライメントマークAMが、カーフ領域R4内に設けられている。アライメントマークAMは、アレイチップ10の製造工程におけるウェハとマスクとのアライメントのため、又は、アレイチップ10とCMOS回路チップ20との貼合時のアライメントのために、用いられる。
【0135】
アライメントマークAMは、複数の絶縁層102、複数の絶縁層150、半導体層101x、絶縁層121xを含む。
【0136】
絶縁層102及び絶縁層150は、メモリセルアレイエリアMAにおける絶縁層102及び導電層103を含む積層体と同じ階層内に、設けられている。複数の絶縁層102及び複数の絶縁層150は、Z方向において1層ずつ交互に積層されている。半導体層101xは、絶縁層121xとZ2方向の一端の絶縁層102との間に設けられている。絶縁層121xは、酸化シリコン層及び窒化シリコン層を含む積層体を含む。絶縁層150は、例えば、窒化シリコン層である。
【0137】
アライメントマークAMは、Z2方向に突出する部分991を含む。アライメントマークAMのZ2方向に突出する部分991は、半導体層101z及び絶縁層113に設けられた開口部(溝、スリット、段差)999内に、設けられている。半導体層101zは、メモリセルアレイエリアMAにおける半導体層101aと同じ階層内に設けられている。
【0138】
絶縁層121x、半導体層101x、半導体層101xのZ1方向を向いた面上に設けられた1層以上の絶縁層102及び1層以上の絶縁層150のそれぞれは、開口部999の形状に応じて湾曲し、開口部999内に突出する。
【0139】
絶縁層190は、半導体層101z及び絶縁層113に囲まれた開口部999内において、アライメントマークAMのZ2方向に突出する部分991が設けられた以外の空間に埋め込まれる。絶縁層190は、開口部999内において、絶縁層121xの側面を覆う。絶縁層190は、開口部999内において、絶縁層121xの湾曲した部分に接する。絶縁層190は、開口部999内において、絶縁層121xを介して半導体層101xの湾曲した部分に対向する。
【0140】
なお、アライメントマークAMの構造及び構成部材は、図5の例に限定されない。例えば、アライメントマークAMは、単層構造又は積層構造の絶縁体であってもよい。
【0141】
(1-5-2) CMOS回路チップの断面構造
本実施形態のメモリデバイス1における、CMOS回路チップ20の断面構造について説明する。
【0142】
CMOS回路チップ20は、半導体基板201を含む。CMOS回路チップ20において、複数のトランジスタTRが、半導体基板201のZ2方向を向く面上に設けられる。トランジスタTRは、ロウデコーダ21、センスアンプ22、電圧発生回路23、及びシーケンサ24の構成要素として用いられる。トランジスタTRは、ゲート絶縁層202、ゲート電極203、ソース/ドレイン層(図示せず)を含む。ゲート絶縁層202は、半導体基板201のZ2方向を向いた面上に設けられる。ゲート電極203は、ゲート絶縁層202のZ2方向を向いた面上に設けられる。ソース/ドレイン層は、半導体基板201内に設けられている。例えば、CMOS回路チップ20において、トランジスタTRは、壁領域R2及び外周領域R3内に、設けられていない。
【0143】
CMOS回路チップ20の壁領域R2において、N型不純物拡散層(例えば、N型ウェル領域)NW及びP型不純物拡散層(例えば、P型ウェル領域)PWが、半導体基板201内に設けられる。
【0144】
複数の導電体(コンタクトプラグ)204が、半導体基板201のZ2方向を向いた面上に、設けられる。CMOS回路チップ20のコア領域R1において、導電体204は、トランジスタTRのソース/ドレイン層上及びゲート電極203上に、それぞれ設けられる。CMOS回路チップ20の壁領域R2において、導電体204は、N型不純物拡散層NWのZ2方向を向いた面上及びP型不純物拡散層PWのZ2方向を向いた面上に、それぞれ設けられる。
【0145】
配線205が、各導電体204のZ2方向を向いた面上に、設けられる。導電体(ビアプラグ)206が、配線205のZ2方向を向いた面上に、設けられる。配線207が、導電体206のZ2方向を向いた面上に、設けられる。導電体(ビアプラグ)208が、配線207のZ2方向を向いた面上に設けられる。配線209が、導電体208のZ2方向を向いた面上に、設けられる。導電体(ビアプラグ)210が、配線209のZ2方向を向いた面上に、設けられる。コア領域R1内において、導電体204,206,208,210は、例えば、Z方向に延びる円柱形状を有する。
【0146】
CMOS回路チップ20の壁領域R2において、導電体204,206,208,210、及び、配線205,207,209は、例えば、コア領域R1を囲む四角環状の形状を有する。N型不純物拡散層NW及びP型不純物拡散層PWは、四角環状の形状を有していてもよい。なお、N型不純物拡散層NW及びP型不純物拡散層PWは、CMOS回路チップ20のコア領域R1を囲むように、四角環状の形状に沿って互いに離れて並ぶ複数の部分を有するように設けられてもよい。
【0147】
絶縁層218が、半導体基板201のZ2方向を向いた面上に設けられる。絶縁層218は、トランジスタTR、導電体204,206,208,210、配線205,207,209を覆う。例えば、絶縁層218は、複数の絶縁性酸化物層及び/又は複数の絶縁性窒化物層を含む積層構造(多層配線構造)を有する。なお、CMOS回路チップ20内に設けられる配線の階層数は、任意である。
【0148】
絶縁層219が、絶縁層218のZ2方向を向く面上に設けられる。絶縁層219のZ2方向を向く面は、例えば、絶縁層119のZ1方向を向く面に接する。互いに接する絶縁層219及び絶縁層119の面が、2つの半導体チップ10,20の貼合面BFに対応する。
【0149】
複数の電極(パッド)211a,211dが、絶縁層219内に設けられる。電極211aは、電極111a及び導電体210に接続される。電極211dは、電極111dに接続される。
【0150】
例えば、CMOS回路チップ20のコア領域R1内において、電極211aは、Z方向から見て四角形の形状を有する。例えば、CMOS回路チップ20の壁領域R2内において、壁構造120-2に電気的に接続される電極211aは、コア領域R1を囲む四角環状の形状を有し得る。壁構造120-3に電気的に接続される電極211aは、壁構造120-2に電気的に接続される電極211aを囲む四角環状の形状を有し得る。
【0151】
これによって、半導体基板201上のトランジスタTRは、アレイチップ10のメモリセルアレイ11、又は、アレイチップ10のコンタクトプラグCCに電気的に接続される。P型不純物拡散層PWは、アレイチップ10の壁構造120-2に電気的に接続される。N型不純物拡散層NWは、アレイチップ10の壁構造120-3に電気的に接続される。なお、壁構造120-3がP型不純物拡散層PWに電気的に接続され、壁構造120-2がN型不純物拡散層NWに電気的に接続されてもよい。壁構造120-1が、P型不純物拡散層PW又はN型不純物拡散層NWに、電気的に接続されてもよい。
【0152】
ゲート電極203、導電体204,206,208,210、配線205,207,209、及び、電極211a,211dは、例えば、金属又は半導体等の導電材料を含む。電極211a,211dは、例えば、銅を含む。ゲート絶縁層202、及び絶縁層218,219は、例えば、酸化シリコンのような絶縁材料を含む。
【0153】
(1-5-3) 貼合パッドの断面構造
図7を参照して、貼合パッドBPの断面構造について説明する。図7は、貼合パッドBPdの断面構造の一例を示す断面図である。なお、以下の貼合パッドBPdに関する説明は、貼合パッドBPaについても、同様に適用され得る。
【0154】
図7に示されるように、電極111dは、銅層70及びバリアメタル層71を含む。電極211dは、銅層72及びバリアメタル層73を含む。
【0155】
アレイチップ10とCMOS回路チップ20との貼合工程において、電極111dは、電極211dに接続される。図7の例において、貼合面BFにおける電極111dの面積と電極211dの面積とは、略等しい。このような場合、銅が電極111d及び電極211dに用いられているならば、電極111dの銅層70と電極211dの銅層72とが一体化する。この結果として、2つの電極111d,211dにおいて、互いの銅の境界の確認が、困難となり得る。但し、貼り合わせの位置ずれによる電極111dと電極211dとが貼り合わされた形状の歪み、及び/又は、バリアメタル層71,73の位置ずれ(側面における不連続箇所の発生)によって、2つの半導体チップ10,20の貼り合わせが、確認され得る。
【0156】
電極111d及び電極211dがダマシン法によってそれぞれ形成される場合、電極111d,211dの側面はテーパー形状を有する。このため、電極111dと電極211dとを貼り合わせた部分におけるZ方向に沿った貼合パッドBPの断面の形状は、貼合パッドBPの側壁(側面)が直線状とはならず、非四角形状となる。
【0157】
電極111dと電極211dとが貼り合わされた場合、貼合パッドBPを形成する銅層70,72の底面、銅層70,72の側面、及び銅層70,72の上面をバリアメタル層71,73が覆う構造となる。これに対して、銅を用いた一般的な配線において、銅の酸化を防止するための絶縁層(SiNまたはSiCN等)が銅の上面に設けられ、バリアメタルは銅の上面に設けられていない。それゆえ、貼り合わせの位置ずれが発生していなくても、貼合パッドBPと一般的な配線層との区別は、可能である。
【0158】
(1-5-4) メモリセルアレイの断面構造
図8を参照して、メモリセルアレイ11の断面構造について説明する。図8は、メモリセルアレイ11の断面構造の一例を示す断面図である。図8において、メモリセルアレイ11に含まれる2つのメモリピラーMPが示される。
【0159】
図8に示されるように、半導体層101は、例えば、3層の半導体層101a、101b,101cを含む。3つの半導体層101a,101b,101cが、ソース線層BSLとして機能する。半導体層101bが、半導体層101aのZ1方向を向いた面上に設けられる。半導体層101cが、半導体層101bのZ1方向を向いた面上に設けられる。半導体層101bは、例えば、半導体層101aと半導体層101cとの間に設けられた絶縁層121を半導体層に置き換える(リプレースする)ことによって、形成される。半導体層101a,101b,101cは、例えば、シリコンを含む。半導体層101a,101b,101cは、例えば、半導体の不純物としてリン(P)を含む。
【0160】
半導体層101cのZ1方向を向いた面上に、複数(例えば、10層)の絶縁層102と複数(例えば、10層)の導電層103とが1層ずつ交互に積層されている。
【0161】
図8の例では、10層の導電層103のそれぞれは、半導体層101に近い側から順に、セレクトゲート線SGS、ワード線WL0,WL1,・・・,WL6,WL7、及びセレクトゲート線SGDとして、機能する。なお、セレクトゲート線SGS,SGDのそれぞれは、複数の導電層103によって構成されてもよい。
【0162】
例えば、導電層103の導電材料に、窒化チタン(TiN)/タングステン(W)の積層構造が用いられ得る。この場合、窒化チタンは、タングステンを覆うように形成される。窒化チタンは、例えばCVD(chemical vapor deposition)によるタングステンの形成時において、タングステンの酸化を抑制するためのバリア層、及び/又は、タングステンの密着性を向上させるための密着層としての機能を有する。
【0163】
導電層103は、酸化アルミニウム(AlO)等の高誘電率材料を含んでもよい。この場合、高誘電率材料は、導電材料を覆うように形成される。
【0164】
絶縁層118は、絶縁層102及び導電層103を含む積層体を覆っている。
【0165】
複数のメモリピラーMPは、メモリセルアレイ11内に、設けられる。Z方向に延びるメモリピラーMPは、10層の導電層103を貫通する。メモリピラーMPの底面は、半導体層101に達する。メモリピラーMPは、Z方向に複数のピラーが連結された構造であってもよい。
【0166】
メモリピラーMPの内部構成について説明する。メモリピラーMPは、メモリ層142、半導体層143、コア層144、及びキャップ層145を含む。メモリ層142は、ブロック絶縁層40、電荷蓄積層41、及びトンネル絶縁層42を含む。
【0167】
メモリピラーMPの側面の一部及びZ2方向を向いた面は、メモリピラーMPの外側から順に、ブロック絶縁層40、電荷蓄積層41、及びトンネル絶縁層42によって覆われる。半導体層101bと同じ階層及び半導体層101bの近傍において、メモリピラーMPの側面のブロック絶縁層40、電荷蓄積層41、及びトンネル絶縁層42は、除去される。
【0168】
半導体層143が、トンネル絶縁層42の側面及び底面及び半導体層101bに接するように、設けられる。半導体層143は、メモリセルMC及びセレクトトランジスタST1,ST2の電流経路(チャネル)が形成される領域である。半導体層143は、コア層144の側面及び底面を覆う。
【0169】
キャップ層145が、Z1方向におけるメモリピラーMPの端部(上部)において、半導体層143及びコア層144のZ1方向側の端部を覆うように、設けられる。キャップ層145の側面は、トンネル絶縁層42に接する。半導体層143及びキャップ層145は、例えば、シリコンを含む。
【0170】
導電体104が、キャップ層145のZ1方向を向いた面上に設けられる。導電体104のZ1方向を向いた面上に、導電体105が設けられる。導電体105は、ビット線BLとしての導電層106に接続されている。
【0171】
図9を参照して、メモリピラーMPのXY平面に沿った断面構造の一例を示す。より具体的には、図9は、導電層103を含む階層におけるメモリピラーMPの断面構造を示す。
【0172】
導電層103を含む断面において、コア層144は、例えば、メモリピラーMPの中央部に設けられる。半導体層143は、コア層144の側面を覆う。トンネル絶縁層42は、半導体層143の側面を覆う。電荷蓄積層41は、トンネル絶縁層42の側面を覆う。ブロック絶縁層40は、電荷蓄積層41の側面を覆う。導電層103は、ブロック絶縁層40の側面を覆う。コア層144、トンネル絶縁層42及びブロック絶縁層40のそれぞれは、例えば、酸化シリコンを含む。電荷蓄積層41は、電荷を蓄積する機能(性質)を有する。電荷蓄積層41は、例えば、窒化シリコンを含む。
【0173】
メモリピラーMPとワード線WLとしての導電層103との組み合わせによって、メモリセルMCが構成される。メモリピラーMPとセレクトゲート線SGDとしての導電層103との組み合わせによって、セレクトトランジスタST1が構成される。メモリピラーMPとセレクトゲート線SGSとしての導電層103との組み合わせによって、セレクトトランジスタST2が構成される。これによって、各メモリピラーMPは、1つのNANDストリングNSとして機能し得る。
【0174】
(1-5-5) プレーン分離エリア内及びコンタクトエリア内の部材の構造
図10を参照して、本実施形態のメモリデバイス1における、アレイチップ10のプレーン分離エリアDA及びコンタクトエリアCA内の構成部材の構造の一例について説明する。
【0175】
図10は、プレーン分離エリアDA及びコンタクトエリアCAを抽出して示している断面図である。
【0176】
図10に示されるように、プレーン分離エリアDAにおいて、ソース線層BSL及びダミー層DM1が、絶縁層118のZ2方向を向く面上に、設けられている。ダミー層DM1は、Z方向において、メモリセルアレイ11のソース線層BSLと同じ階層内に設けられている。Z方向におけるダミー層DM1の高さ(Z方向における位置)は、Z方向におけるソース線層BSLの高さと略同じである。
【0177】
ダミー層DM1は、半導体層101j、絶縁層121a、及び半導体層101kを含む。半導体層101kは、絶縁層118上に設けられている。絶縁層121aは、半導体層101k上に設けられている。半導体層101jは、絶縁層121a上に設けられている。絶縁層121aは、半導体層101jと半導体層101kとの間に設けられている。
【0178】
半導体層101jは、ソース線層BSLの半導体層101aと同じ材料から構成される。半導体層101kは、ソース線層BSLの半導体層101cと同じ材料から構成される。絶縁層121aは、メモリセルアレイ11の形成工程においてソース線層BSL内にスペース(空隙)を形成するための犠牲層に用いられる部材である。
【0179】
スリット(開口部)S1が、ダミー層DM1及び絶縁層113に設けられている。上述のように、スリットS1は、Z方向から見て格子状のレイアウトを有している。
【0180】
スリットS1は、X方向(又はY方向)から見て、テーパー形状の断面構造を有している。テーパー形状のスリットS1のZ2方向側の寸法は、“d1”である。テーパー形状のスリットS1のZ1方向側の寸法は、“d2”である。寸法d1は、寸法d2より小さい。
【0181】
なお、Z2方向側は、アレイチップ10側、表面保護層198側、又は、CMOS回路チップ20側に対して反対側に対応する。Z1方向側は、CMOS回路チップ20側、又は、半導体基板201側に対応する。
【0182】
テーパー形状のスリットS1によって、ダミー層DM1のスリットS1に面する側面に、勾配(傾斜)が形成される。ダミー層DM1の側面の勾配の角度(傾斜角)は、ダミー層DM1の底面(Z1方向を向く面)とダミー層DM1の側面との間の角度とする。ダミー層DM1の側面の勾配は、鈍角(90度より大きい角度)である。
【0183】
角θ1は、スリットS1内におけるダミー層DM1(又はソース線層BSL)の側面とCMOS回路チップ20側におけるY方向に平行な部分(例えば、絶縁層118のZ2方向を向く上部)との間に、形成される。角θ1は、分離部材90(及びスリットS1)のテーパー角に対応する。角θ1は、分離部材90の側面とCMOS回路チップ20側における基板の表面に対して平行な方向(ここでは、Y方向)に沿う部分との間に形成される。角θ1は、スリットS1内に設けられる分離部材90の側面と分離部材90の底面との間に形成される角度であると言うこともできる。角θ1は、90度より小さい。角θ1は、鋭角である。但し、角θ1は、90度でもよい。
【0184】
分離部材90としての絶縁体が、スリットS1内に設けられている。分離部材90としての絶縁体は、例えば、絶縁層190からCMOS回路チップ20に向かって突出した部分(突出部)である。分離部材90は、スリットS1の形状に応じて、テーパー形状を有する。分離部材90は、スリットS1内において、ダミー層DM1の側面に接する。分離部材90の底部は、絶縁層118に接する。
【0185】
なお、図5において、メモリセルアレイエリアMAとコンタクトエリアCAとの境界におけるプレーン分離エリアDAの構成が、示されている。但し、上述のように、プレーン分離エリアDAは、2つのメモリセルアレイエリアMA間にも、設けられている。この場合において、分離部材90は、2つのソース線層BSL間に設けられている。また、図5において、メモリセルアレイエリアMA内のソース線層BSLは、絶縁体170に接する部分から分離部材(絶縁体)90に接する部分まで、半導体層101bが延在する例が示されている。但し、分離部材90の近傍の領域において、絶縁層121から半導体層101bにリプレースされること無しに、絶縁層121が、ソース線層BSL内の半導体層101aと半導体層101cとの間に残存する場合がある。
【0186】
コンタクトエリアCAにおいて、ダミー層DM2が、絶縁層118のZ2方向を向く面上に、設けられている。ダミー層DM2は、Z方向において、メモリセルアレイ11のソース線層BSL及びプレーン分離エリアDAのダミー層DM1と同じ階層内に設けられている。Z方向におけるダミー層DM2の高さは、Z方向におけるダミー層DM1の高さ及びソース線層BSLの高さと略同じである。
【0187】
ダミー層DM2は、半導体層101p、絶縁層121b、半導体層101qを含む。半導体層101qは、絶縁層118上に設けられている。絶縁層121bは、半導体層101q上に設けられている。半導体層101pは、絶縁層121b上に設けられている。絶縁層121bは、半導体層101pと半導体層101qとの間に設けられている。半導体層101pは、半導体層101j,101aと同じ材料を含む。絶縁層121bは、絶縁層121aと同じ材料を含む。半導体層101qは、半導体層101c,121kと同じ材料を含む。
【0188】
コンタクトエリアCAのプラグ配置部に対応する領域内において、開口部OP1が、ダミー層DM2に設けられている。コンタクトプラグCCは、開口部OP1からZ1方向に延びて、開口部OP1に面した絶縁層118の領域内にも設けられている。コンタクトプラグCCのZ2方向の端部は、開口部OP1において、ダミー層DM2から露出している。
【0189】
開口部OP1は、Z方向から見て、四角形の形状を有する。開口部OP1は、X方向(又はY方向)から見てテーパー形状を有する。テーパー形状の開口部OP1のZ2方向側の寸法は、“d3”である。テーパー形状の開口部OP1のZ1方向側の寸法は、“d4”である。寸法d3は、寸法d4より大きい。
【0190】
例えば、寸法d3は、寸法d1,d2より大きい。例えば、寸法d4は、寸法d1,d2より大きい。寸法d1,d2,d3,d4の大小関係に関して、複数の寸法d1,d2,d3,d4は、“d3>d4>d2>d1”の関係を有する。なお、寸法d1,d3は、ソース線層BSL(及び各ダミー層DM)のZ2方向側の面の位置におけるスリットS1及び開口部OP1の各寸法に読み替えられ得る。
【0191】
テーパー形状の開口部OP1によって、ダミー層DM2の開口部OP1に面する側面に、勾配が形成される。ダミー層DM2の側面の勾配の角度は、ダミー層DM2の底面(Z1方向を向く面)とダミー層DM2の側面との間の角度とする。ダミー層DM2の側面の勾配は、鋭角(90度より小さい角度)である。
【0192】
角θ2が、開口部OP1内におけるダミー層DM2の側面とCMOS回路チップ20側におけるY方向に平行な部分(例えば、絶縁層118のZ2方向を向く上部)との間に形成される。角θ2は、開口部OP1のテーパー角に対応する。例えば、開口部OP1の角θ2が、ダミー層DM2の側面と絶縁層118のZ2方向側の面(絶縁層118の上部)との間に、形成される。角θ2は、90度より大きい。角θ2は、鈍角である。
【0193】
上述のように、開口部OP1内に、絶縁層190、配線191b、及び絶縁層192が、設けられている。開口部OP1の内部は、絶縁層190及び配線(導電層)191bを含む部材(構造体)によって、埋め込まれる。絶縁層190の部分91は、開口部OP1内においてダミー層DM2を覆い、ダミー層DM2の側面に接している。絶縁層190に関して、開口部OP1内の部分91は、ダミー層DM2の側面の勾配に応じて、Z方向に対して傾斜している。
【0194】
本実施形態のメモリデバイス1において、プレーン分離エリアDA内のスリットS1のテーパー形状は、コンタクトエリアCA内の開口部OP1のテーパー形状と異なっている。これに伴って、プレーン分離エリアDA内のダミー層DM1の側面の勾配は、コンタクトエリアCA内のダミー層DM2の側面の勾配と異なっている。
【0195】
分離部材90(及びスリットS1)がテーパー形状を有する場合、分離部材90のZ2方向側(アレイチップ10側、表面保護層198側)のY方向に沿う寸法d1が、分離部材90のZ1方向側(CMOS回路チップ20側)のY方向に沿う寸法d2より小さい。一方、開口部OP1のテーパー形状に関して、開口部OP1のZ2方向側(アレイチップ10側、表面保護層198側)のY方向に沿う寸法d3が、開口部OP1のZ1方向側(CMOS回路チップ20側)のY方向に沿う寸法d4より大きい。
【0196】
このように、本実施形態において、スリットS1及び開口部OP1は、テーパーの向きが互いに反対である。
【0197】
以下において、開口部OP1のテーパー形状のように、Z2方向側におけるXY平面に沿う寸法d3がZ1方向側におけるXY平面に沿う寸法d4より大きいテーパー形状は、順テーパー形状とよばれる。分離部材90(及びスリットS1)のテーパー形状のように、Z2方向側におけるXY平面に沿う寸法d1がZ1方向側におけるXY平面に沿う寸法d2より小さいテーパー形状は、逆テーパー形状とよばれる。なお、分離部材90及びスリットS1の側面の角度が90度である場合、分離部材90及びスリットS1の断面形状は、非テーパー形状である。
【0198】
本実施形態において、スリットS1内におけるダミー層DM1の側面とCMOS回路チップ20側におけるY方向に平行な部分(例えば、絶縁層118のZ2方向を向く面の部分)とが成す角(例えば、スリットS1のテーパー角)θ1は、開口部OP1内におけるダミー層DM2の側面とCMOS回路チップ20側におけるY方向に平行な部分とが成す角(例えば、開口部OP1のテーパー角)θ2と異なる。角θ1は、鋭角又は直角である。角θ2は、鈍角である。角θ1は、角θ2よりも90度(直角)に近い。
【0199】
なお、図5に示されるように、壁領域R2内において、スリットS2が、設けられている。スリットS2は、開口部OP1と同様に、順テーパー形状を有する。スリットS2は、ダミー層DM3に設けられている。Z方向におけるダミー層DM3の高さは、Z方向におけるソース線層BSLの高さと略同じである。絶縁層190及び導電層191cが、スリットS2内に充填されている。スリットS2のZ2方向側におけるY方向に沿う寸法は、スリットS2のZ1方向側におけるY方向に沿う寸法よりも大きい。例えば、スリットS2内において、ダミー層DM3の側面とCMOS回路チップ20側におけるY方向に平行な部分とが成す角は、角θ2に実質的に等しい。スリットS2は、例えば、共通の製造工程によって開口部OP1と同時に形成される。
【0200】
また、図5に示されるように、外周領域R3内に、スリットS3が、設けられている。スリットS3は、スリットS1と同様に、逆テーパー状又は非テーパー状の形状を有する。スリットS3は、ダミー層DM4に設けられている。Z方向におけるダミー層DM4の高さは、Z方向におけるソース線層BSLの高さと略同じである。埋め込み部材92としての絶縁体が、スリットS3内に充填されている。埋め込み部材92は、分離部材90と同様に逆テーパー形状又は非テーパー形状を有する。埋め込み部材92(及びスリットS3)のZ2方向側におけるY方向に沿う寸法は、埋め込み部材92(及びスリットS3)のZ1方向側におけるY方向に沿う寸法以下である。例えば、スリットS3内において、ダミー層DM4の側面とCMOS回路チップ20側におけるY方向に平行な部分とが成す角は、角(例えば、テーパー角)θ1に実質的に等しい。スリットS3は、例えば、共通の製造工程によってスリットS1と同時に形成される。
【0201】
図5に示されるように、メモリセルアレイエリアMAとコンタクトエリアCAとの間のパッドエリアPA内において、配線191bを露出させる開口部OPzは、順テーパー形状を有する。この開口部OPzのZ2方向側におけるY方向(又はX方向)に沿う寸法は、この開口部OPzのZ1方向側におけるY方向(又はX方向)に沿う寸法より大きい。この開口部OPzは、コンタクトエリアCA内の絶縁層192,193及び表面保護層198に、設けられている。開口部OPzのZ2方向側の開口面は、スリットS1及び開口部OP1のZ2方向側の開口面よりも表面保護層198側(Z2方向側)に位置している。
【0202】
メモリセルアレイエリアMA内において、配線191aが設けられる開口部OPaは、順テーパー形状を有する。この開口部OPaのZ2方向側におけるY方向(又はX方向)に沿う寸法は、この開口部OPaのZ1方向側におけるY方向(又はX方向)に沿う寸法より大きい。この開口部OPaは、メモリセルアレイエリアMA内の絶縁層113,190に、設けられている。配線191aが設けられた開口部OPaのZ1方向側の端部は、スリットS1及び開口部OP1のZ1方向側の端部よりも表面保護層198側に位置している。
【0203】
図5に示されるように、メモリセルアレイエリアMA内において、絶縁体170及びスリットSLTは、分離部材90及びスリットS1と同様に、逆テーパー形状を有する。但し、絶縁体170及びスリットSLTのZ2方向側の端部は、分離部材90及びスリットS1のZ2方向側の端部よりもZ方向において下方(CMOS回路チップ20側)に位置している。絶縁体170及びスリットSLTのZ2方向側の端部は、半導体層101aのZ1方向を向く面よりもZ1方向側に位置している。また、絶縁体170及びスリットSLTのZ1方向側の端部は、分離部材90及びスリットS1のZ1方向側の端部よりもZ方向において下方(CMOS回路チップ20側)に位置している。絶縁体170は、ソース線層BSLを複数の部分に分離しない。
【0204】
上述のように、本実施形態のメモリデバイス1は、プレーン分離エリアDA内に逆テーパー形状又は非テーパー形状のスリットS1を含むダミー層DM1と、コンタクトエリアCA内に順テーパー形状の開口部OP1を含むダミー層DM2と、を含む。
【0205】
本実施形態において、プレーン分離エリアDA内のスリットS1の角θ1は、開口部OP1の角θ2よりも90度に近い鋭角又は直角である。これによって、本実施形態のメモリデバイス1は、メモリセルアレイ11をプレーンPLN毎に分断するための領域の面積を、縮小できる。また、本実施形態のメモリデバイス1は、分離部材90としての絶縁体によるスリットS1の閉塞を、改善できる。
【0206】
本実施形態において、順テーパー形状の開口部OP1の角θ2は、角θ1よりも90度から離れた鈍角である。これによって、アルミニウムを含む導電層191bが、開口部OP1の側壁(ダミー層DM2の側面)上に、比較的厚い膜厚で設けられ得る。この結果として、本実施形態のメモリデバイス1は、開口部OP1の側壁上の導電層191bにおいて、エレクトロマイグレーションの影響を、抑制できる。
【0207】
(2)製造方法
図11乃至図21を参照して、実施形態のメモリデバイスの製造方法について、説明する。
【0208】
(2-1)アレイチップの製造方法
図11乃至図16を参照して、本実施形態のメモリデバイス1における、アレイチップ10の製造方法の一例について説明する。図11乃至図16は、アレイチップ10の製造工程の一例を示す断面図である。
【0209】
図11に示されるように、絶縁層113が、アレイチップ10の半導体基板(ウェハ)100上に形成される。ウェハのダイシングエリア内のカーフ領域R4において、絶縁層113は、フォトリソグラフィ及びエッチングによって、加工される。これによって、カーフ領域R4のアライメントマークに対応する箇所において、開口部(溝、スリット、段差)999が、絶縁層113に形成される。カーフ領域R4内において、半導体基板100の上面(Z1方向を向く面)は、開口部999を介して、露出する。
【0210】
半導体層101aが、絶縁層113上に形成される。アライメントマークに対応する部分(以下では、アライメントマーク部とよばれる)において、半導体層101aは、開口部999を介して、半導体基板100に接する。
【0211】
絶縁層121が、半導体層101a上に形成される。例えば、絶縁層121は、3つの層を含む。3つの層を含む絶縁層121において、酸化シリコン層が、半導体層101a上に形成される。窒化シリコン層が、酸化シリコン層上に形成される。酸化シリコン層が、窒化シリコン層上に形成される。
【0212】
アライメントマーク部において、半導体層101a及び絶縁層121は、絶縁層113内に形成された開口部999に応じて、半導体基板100側に窪む。換言すれば、半導体層101a及び絶縁層121は、開口部999内においてZ2方向側へ突出した形状を有するように形成される。
【0213】
プレーン分離エリアDA内及び外周領域R3内において、絶縁層113、半導体層101a、及び絶縁層121が、フォトリソグラフィ及びエッチングによって、所定の形状に加工される。
【0214】
これによって、プレーン分離エリアDAにおいて、スリットS1が、形成される。スリットS1は、Z方向から見て、格子状のレイアウトを有する。外周領域R3において、複数(例えば、3つ)のスリットS3が、形成される。各スリットS3は、Z方向から見て、略四角環状のレイアウトを有する。スリットS1,S3を介して、半導体基板100のZ1方向を向く面が、露出する。
【0215】
スリットS1,S3は、X方向(又はY方向)から見て、テーパー状の断面形状を有する。スリットS1,S3は、Z1方向側(絶縁層121側)からZ2方向側(半導体基板100側)へ向かうエッチングによって、形成される。それゆえ、スリットS1(及びスリットS3)のZ1方向側におけるY方向に沿う寸法d2は、スリットS1のZ2方向側におけるY方向に沿う寸法d1より大きい。
【0216】
スリットS1,S3を形成するためのエッチングは、比較的速いエッチング速度で、実行される。それゆえ、各スリットS1,S3のテーパー角は、90度に近い角度を有する。なお、この時点において、スリットS1(又は、スリットS3)の側面の角θ1は、スリットS1の開口面(Z1方向側におけるXY平面に平行な部分)と絶縁層121の側面とによって形成される角度とする。
【0217】
例えば、スリットS1,S3は、非テーパー形状を有する場合もある。この場合において、スリットS1,S3の側面は、XY平面に対して90度の角度を有する。
【0218】
図12に示されるように、半導体層101cが、絶縁層121上及びスリットS1,S3内に形成される。プレーン分離エリアDAにおいて、半導体層101cが、スリットS1の内部に充填される。外周領域R3において、半導体層101cが、スリットS3の内部に充填される。スリットS1,S3内の半導体層101cは、半導体層101a及び半導体基板100に接する。半導体層101cは、半導体基板100に電気的に接続される。半導体層101aは、半導体層101cを経由して半導体基板100に電気的に接続される。
【0219】
スリットS1,S3内の半導体層101cは、後述の反応性イオンエッチング工程における半導体層101の帯電に対して、除電プラグAP1,AP2として、機能する。
【0220】
図13に示されるように、複数の絶縁層102及び複数の犠牲層150が、半導体層101c上に形成される。複数の絶縁層(例えば、酸化シリコン層)102と複数の犠牲層150とが、1層ずつ交互に積層される。犠牲層150は、後述する工程において、導電層(配線)103にリプレースされる。例えば、犠牲層150に、窒化シリコンが用いられる。
【0221】
複数の絶縁層102及び複数の犠牲層150は、プレーン分離エリアDA内、コンタクトエリアCA内、パッドエリア(図示せず)内、壁領域R2内及び外周領域R3内から選択的に除去される。
【0222】
これによって、複数の絶縁層102及び複数の犠牲層150を含む積層体80,81が、メモリセルアレイエリアMA及びカーフ領域R4内に、それぞれ残存する。カーフ領域R4内において、積層体81の1つ以上の絶縁層102及び1つ以上の犠牲層150は、開口部999内に形成された半導体層101a及び絶縁層121の窪み(突出した形状)に応じて、Z2方向側へ突出した形状を有する。
【0223】
メモリセルアレイエリアMAにおいて、複数の絶縁層102及び複数の犠牲層150は、図示されない部分(領域)において、積層体80の端部が階段形状を有するように、加工される。
【0224】
この後、絶縁層118aが、積層体80,81及び半導体層101c上に形成される。
【0225】
図14に示されるように、メモリホールMHが、メモリセルアレイエリアMA内の積層体80に形成される。メモリホールMHは、犠牲層150、絶縁層102、半導体層101c及び絶縁層121を貫通する。メモリホールMHの底面は、半導体層101aの内部に達する。
【0226】
メモリホールMHは、積層体80に対する反応性イオンエッチングによって、形成される。そのため、半導体層101がフローティング状態である場合、電荷が、半導体層101内に蓄積される。
【0227】
本実施形態において、プレーン分離エリアDA内のスリットS1及び外周領域R3のスリットS3内に埋め込まれた半導体層101cが、除電プラグAP1,AP2として機能する。半導体層101cは、半導体基板100に電気的に接続(例えば、接地)されている。半導体層101aは、半導体層101cを介して半導体基板100に電気的に接続される。
【0228】
それゆえ、反応性イオンエッチングによって発生した電荷は、除電プラグAP1,AP2としての半導体層101cを介して、半導体層101から半導体基板100に放出される。
【0229】
これによって、半導体層101の帯電に起因するアーキングが、防止される。
【0230】
図15に示されるように、メモリセルアレイエリアMAにおいて、メモリピラーMPが、積層体80内に形成される。
【0231】
図8及び図9に示されたメモリ層142、半導体層143、及びコア層144が、積層体80の上面上、メモリホール内における積層体80の側面上に順次形成される。メモリ層142は、ブロック絶縁層40、電荷蓄積層41、トンネル絶縁層42を含む。メモリホールは、メモリ層142,半導体層143、及びコア層144によって、埋め込まれる。
【0232】
半導体層143の一部分及びコア層144の一部分が、メモリピラーMPのZ1方向を向く端部(上部)から除去される。キャップ層(図示せず)が、メモリピラーMPの上部上に形成される。
【0233】
積層体80,81及び絶縁層118のZ1方向を向く面(上面)上のメモリ層142、半導体層143、コア層144、及びキャップ層が除去される。メモリピラーMPの上部上及び積層体80,81の上面上に、絶縁層が形成される。これによって、絶縁層118bが、半導体基板100上に形成される。
【0234】
メモリセルアレイエリアMA内において、半導体層101a,101c間の絶縁層121が、半導体層101bにリプレースされる。絶縁層121から半導体層101bへのリプレース処理において、例えば、メモリセルアレイエリアMAの或る領域内に、スリットSLTが形成される。スリットSLTのZ1方向側におけるY方向に沿う寸法は、スリットSLTのZ2方向側におけるY方向に沿う寸法より大きい。スリットSLTは、絶縁層118b、積層体80、及び半導体層101cを貫通する。スリットSLTの底面は、絶縁層121の内部に達する。スリットSLTは、半導体層101aを複数の部分に分断しない。
【0235】
例えば、絶縁層121は、ウェットエッチングによって、スリットSLTを介して、メモリセルアレイエリアMA内から選択的に除去される。絶縁層121が除去されたスペースを介して、メモリ層142が、ウェットエッチングによって除去される。メモリピラーMPの半導体層143の側面が、半導体層101aと半導体層100cとの間のスペースに対して露出する。絶縁層121及びメモリ層142が除去されたスペース内に、半導体層101bが、形成される。これによって、メモリピラーMPの半導体層143は、半導体層101bと接続される。
【0236】
半導体層101a,101b,101cの集合は、ソース線層BSLとして機能する。
【0237】
積層体80内の犠牲層150が、導電層103にリプレースされる。例えば、犠牲層150は、ウェットエッチングによって、スリットSLTを介して、積層体80内から除去される。これによって、積層体80内の絶縁層102間に、スペースが形成される。導電層103が、犠牲層150が除去されたスペース内に、形成される。このように、導電層103が、積層体80内の絶縁層102間に形成される。
【0238】
図16に示されるように、スリットSLT内に絶縁体170が充填された後、メモリセルアレイエリアMA内において、導電体104が、メモリピラーMPの上部上に形成される。
【0239】
コンタクトエリアCA内において、コンタクトプラグCCが、絶縁層118b内に形成される。壁領域R2において、複数の導電体(壁構造)120が、絶縁層118b内に形成される。例えば、コンタクトプラグCCは、円柱状の構造を有する。例えば、壁構造120は、Z方向から見て、略四角環状の形状を有する。コンタクトプラグCC及び壁構造120のZ2方向側の端部(底部)は、半導体層101の内部(例えば、半導体層101a)内に達する。
【0240】
この後、周知の技術を用いて、複数の配線106,108及び複数の導電体(ビアプラグ)105,107,109を含む多層配線構造が、絶縁層118bのZ1を向く面側に形成される。さらに、貼合パッドBPに用いられる電極111が、多層配線構造上の絶縁層119内に形成される。
【0241】
以上の製造工程によって、本実施形態のメモリデバイス1における、アレイチップ10が、形成される。
【0242】
アレイチップ10の製造工程とは別の製造工程によって、CMOS回路チップ20が、周知の技術を用いて、形成される。
【0243】
(2-2) 貼合構造の製造方法
図17乃至図21を参照して、本実施形態のメモリデバイス1における、貼合構造の製造方法の一例について説明する。図17乃至図21のそれぞれは、メモリデバイス1の貼合構造の製造工程の一例を示す断面図である。
【0244】
図17に示されるように、アレイチップ10とCMOS回路チップ20とが貼り合わされる。アレイチップ10の電極111が、CMOS回路チップ20の電極211と接触する。電極111と電極211との接触によって、貼合パッドBPが、2つの半導体チップ10,20の貼合面BF上に形成される。これによって、アレイチップ10は、貼合パッドBPによって、CMOS回路チップ20に接続される。
【0245】
2つの半導体チップ10,20が貼合された後、半導体基板100は、例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)により除去される。
【0246】
プレーン分離エリアDA及び外周領域R3において、除電プラグAP(半導体層101)のZ2方向を向く面が、半導体基板100の除去によって、露出する。カーフ領域R4において、半導体基板100の除去によって、アライメントマークAMの半導体層101zのZ2方向を向く面が、露出する。
【0247】
図18に示されるように、プレーン分離エリアDA及び外周領域R3において、スリットS1,S3内の除電プラグ(半導体層)が、スリットS1,S3の内部から除去される。これによって、スペースが、絶縁層113のスリットS1,S3内部に形成される。
【0248】
また、スリットS1内の除電プラグの除去によって、半導体層101j,101k及び絶縁層121aを含むダミー層DM1が、プレーン分離エリアDA内に、形成される。ダミー層DM1は、ソース線層BSLから分離されている。スリットS3内の除電プラグの除去によって、半導体層101m,101n及び絶縁層121cを含むダミー層DM4が、外周領域R3内に、形成される。
【0249】
絶縁層118及びダミー層DM1,DM4が、スリットS1,S3を介して露出する。
【0250】
カーフ領域R4のアライメントマークAMにおいて、開口部999内の半導体層101zが、除電プラグの除去と共通の工程によって、除去される。開口部999内の絶縁層121xが、露出する。開口部999の近傍では、半導体層101zが、Z方向における絶縁層113と絶縁層121xとの間に残存する。
【0251】
図19に示されるように、複数の開口部OP1が、フォトリソグラフィ及びエッチングによって、コンタクトエリアCA内に形成される。各開口部OP1は、Z方向から見て、四角形状の形状を有する。コンタクトプラグCCのZ2方向側の端部は、開口部OP1を介して、露出する。開口部OP1の形成によって、半導体層101p,101q及び絶縁層121bを含むダミー層DM2が、コンタクトエリアCA内に、形成される。
【0252】
スリットS2が、開口部OP1の形成と共通の工程によって、壁領域R2内に形成される。スリットS2は、Z方向から見て四角環状の形状を有する。スリットS2の形成によって、半導体層101p,101q及び絶縁層121bを含むダミー層DM3が、壁領域R2内に、形成される。
【0253】
開口部OP1の形成によって、コンタクトエリアCAのダミー層DM2の側面は、露出する。勾配が、ダミー層DM2の側面に生じる。開口部OP1は、X方向(及びY方向)から見て、テーパー状の断面形状を有する。
【0254】
開口部OP1は、Z2方向側の面からZ1方向側の面へ向かうエッチングによって、形成される。それゆえ、開口部OP1のZ2方向側におけるY方向に沿う寸法d3は、開口部OP1のZ1方向側におけるY方向に沿う寸法d4より大きい。
【0255】
この結果として、開口部OP1のテーパー形状の向きは、スリットS1(及びスリットS3)のテーパー形状の向きに対して、反対になる。このように、順テーパー形状の開口部OP1が、コンタクトエリアCA内に形成される。これに対して、スリットS1のZ2方向側におけるY方向に沿う寸法d1は、スリットS1のZ1方向側におけるY方向に沿う寸法d2より小さい。それゆえ、逆テーパー形状(又は非テーパー形状)のスリットS1が、プレーン分離エリアDA内に形成される。また、逆テーパー形状(又は非テーパー形状)のスリットS3が、外周領域R3内に形成される。
【0256】
開口部OP1を形成するためのエッチング条件は、スリットS1,S3のエッチング条件に比較して、比較的遅いエッチング速度の条件に設定される。それゆえ、開口部OP1内におけるダミー層DM1の側面とCMOS回路チップ20側におけるY方向(又はX方向)に平行な部分とが成す角(開口部OP1のテーパー角)θ2は、90度より大きい角度(鈍角)となる。開口部OP1の角θ2は、スリットS1,S3の角θ1よりも90度から離れる。
【0257】
コンタクトエリアCAにおけるダミー層DM2の側面(半導体層101の側面)の勾配は、プレーン分離エリアDAのダミー層DM1の側面(半導体層101の側面)の勾配に比較して、90度より離れている。
【0258】
壁領域R2のダミー層DM3は、コンタクトエリアCAのダミー層DM2と同時の工程によって加工される。これによって、壁領域R2内に、順テーパー形状のスリットS2が形成される。壁領域R2のダミー層DM3の側面の勾配は、コンタクトエリアCAのダミー層DM2の側面の勾配と実質的に同じである。壁領域R2のスリットS2のテーパー角は、コンタクトエリアCAの開口部OP1の角θ2と実質的に同じである。スリットS2のテーパー角は、90度より大きい角度である。例えば、スリットS2のY方向における寸法は、開口部OP1のY方向における寸法と異なる。
【0259】
図20に示されるように、絶縁層190が、アレイチップ10のZ2方向を向く面側に形成される。
【0260】
絶縁層190が、プレーン分離エリアDAのスリットS1内、外周領域R3のスリットS3内に埋め込まれる。これによって、スリットS1内に、分離部材90としての絶縁体が、形成される。スリットS3内において、埋め込み部材92としての絶縁体が、形成される。
【0261】
分離部材90によって、各メモリセルアレイエリアMAのソース線層BSLは、互いに電気的に分離される。また、メモリセルアレイエリアMAとコンタクトエリアCAとの境界領域において、ソース線層BSLは、分離部材90によって、ダミー層DM1から電気的に分離される。このように、分離部材90(及び埋め込み部材92)としての絶縁体の埋込によって、ダミー層DM1(及びダミー層DM4)は、他の部材から電気的に分離される。
【0262】
カーフ領域R4内において、絶縁層190は、アライメントマークAMの絶縁層121x上に形成される。絶縁層190は、開口部999内に充填される。絶縁層190は、絶縁層121xの湾曲した部分に接触する。絶縁層190は、開口部999内において、アライメントマークAMの突出する部分991の絶縁層121xと半導体層101zとの間に設けられている。
【0263】
絶縁層190は、コンタクトエリアCAの開口部OP1内、及び、壁領域R2のスリットS2内に形成される。開口部OP1内において、絶縁層190の部分91は、ダミー層DM2の側面を覆う。スリットS2内において、絶縁層190は、ダミー層DM3の側面を覆う。例えば、開口部OP1の内部及びスリットS3の内部は、絶縁層190によって、充填されない。
【0264】
メモリセルアレイエリアMA内において、開口部OPaが、フォトリソグラフィ及びエッチングによって、絶縁層190及び絶縁層113に、形成される。半導体層101aのZ2方向を向く面が、開口部OPaを介して、露出する。例えば、開口部OPaは、X方向から見て、順テーパー形状を有する。
【0265】
例えば、開口部OPaの形成と共通の工程によって、開口部OPb,OPcが、絶縁層190に形成される。開口部OPbは、コンタクトプラグCCとZ方向と重なる位置において、コンタクトエリアCAを覆う絶縁層190に形成される。コンタクトプラグCCのZ2方向側の端部は、開口部OPbを介して露出する。四角環状の開口部(スリット)OPcは、壁構造120とZ方向に重なる位置において、壁領域R2を覆う絶縁層190に形成される。壁構造120のZ2方向側の端部は、開口部OPcを介して露出する。
【0266】
図21に示されるように、複数の配線191(191a,191b,191c)が、アレイチップ10のZ2方向を向く面側に形成される。
【0267】
メモリセルアレイエリアMA内において、配線191aは、ソース線層BSL及び絶縁層113,190上に形成される。配線191aは、半導体層101aに接触する。これによって、配線191aは、半導体層101aに電気的に接続される。配線191aは、ソース線層BSLに対する裏打ち配線として機能する。
【0268】
コンタクトエリアCA内において、配線191bが、開口部OP1内に形成される。配線191bは、コンタクトプラグCCに接触する。配線191bは、絶縁層190の部分91を介してダミー層DM2の側面を覆う。配線191bは、ダミー層DM2の側面を経由して、開口部OP1の底部からダミー層DM2のZ2方向を向く面(上面)の上方の領域PAまで、延在する。
【0269】
壁領域R2内において、配線191cが、スリットS2内に形成される。配線191cは、壁構造120に接触する。配線191cは、絶縁層190を介してダミー層DM3の側面を覆う。配線191cは、ダミー層DM3の側面を経由して、スリットS2の底部からダミー層DM3のZ2方向を向く面の上方の領域まで、延在する。
【0270】
この後、図5に示されるように、絶縁層192,193及び表面保護層198が、アレイチップ10のZ2方向を向く面側に、順次形成される。
【0271】
Z方向において配線191bと重なる位置(例えば、パッドエリアPA)において、開口部OPzが、表面保護層198及び絶縁層192,193に形成される。これによって、開口部OPzを介して露出した配線191bの部分が、外部接続端子として機能するパッド99を形成する。
【0272】
以上の製造工程によって、本実施形態の貼合構造のメモリデバイス1が、完成する。
【0273】
(3)変形例
図22乃至図24を参照して、実施形態のメモリデバイス1の変形例について、説明する。
【0274】
図22及び図23は、実施形態のメモリデバイス1の変形例の一例を示す断面図である。
【0275】
図22に示されるように、変形例のメモリデバイス1は、除電プラグAPを外周領域R3内に含まない。
【0276】
上述のように、メモリデバイス1の製造工程中において、プレーン分離エリアDAのスリットS1内の半導体層101cが、除電プラグAP1として機能する。それゆえ、除電プラグは、外周領域R3内に設けられずともよくなる。
【0277】
したがって、図23に示されるように、変形例のメモリデバイス1は、外周領域R3のスリット及びスリット内に埋め込まれる部材を設けること無しに、外周領域R3内の除電プラグを配置するためのスペースを、削除できる。
【0278】
この結果として、変形例のメモリデバイス1は、アレイチップ10のチップサイズを縮小できる。
【0279】
図24は、実施形態のメモリデバイス1の変形例の他の一例を示す断面図である。
【0280】
図24に示されるように、溝80aが、プレーン分離エリアDA内の絶縁層118の一部分に、設けられてもよい。溝80aは、Z方向においてスリットS1に重なる位置に設けられる。溝80aは、Z方向から見て格子状の形状を有する。
【0281】
例えば、溝80aは、スリットS1内の半導体層101cの除去工程、及び/又は、スリットS1内の半導体層101cの除去後におけるコンタクトエリアCA内の開口部OP1の形成工程(図18及び図19参照)によって、絶縁層118のZ2方向を向く面に、形成される。
【0282】
溝80aの形成によって、プレーン分離エリアDA内の絶縁層118のZ2方向を向く面の位置は、コンタクトエリアCA内の絶縁層118のZ2方向を向く面の位置よりも、局所的にCMOS回路チップ20側に後退する。
【0283】
例えば、外周領域R3内のスリットS3とZ方向において重なる位置において、溝80bが、溝80aの形成と同時に、絶縁層118の一部分に形成される。溝80bは、例えば、Z方向から見て、略四角環状の形状を有する。
【0284】
なお、溝が、コンタクトエリアCA及び/又は壁領域R2内の絶縁層118のZ2方向を向く面に設けられてもよい。コンタクトエリアCA内における絶縁層118のZ2方向を向く面の位置は、形成された溝によって、プレーン分離エリアDA内における絶縁層118のZ2方向を向く面の位置よりCMOS回路チップ20側(半導体基板201側)に後退していてもよい。壁領域R2内における絶縁層118のZ2方向を向く面の位置は、形成された溝によって、プレーン分離エリアDA内における絶縁層118のZ2方向を向く面の位置よりCMOS回路チップ20側に後退していてもよい。コンタクトエリアCAの絶縁層118の一部分に形成される溝は、例えば、Z方向から見て、四角状の形状を有する。壁領域R2の絶縁層118の一部分に形成される溝は、例えば、Z方向から見て、略四角環状の形状を有する。
【0285】
このように、変形例のメモリデバイス1は、プレーン分離エリアDA及び外周領域R3、又は他の領域において、絶縁層118が、局所的に掘り込まれた構造を有していてもよい。
【0286】
なお、外周領域R3内の導電体からなる除電プラグAPは、外周領域R3から除去されずともよい。この場合、外周領域R3内において、メモリデバイス1の製造時にスリットS3内に埋め込んで除電プラグAPの導電体として機能させた半導体層が、絶縁体の代わりに、埋め込み部材92としてスリットS3内に設けられる。
【0287】
(4)まとめ
上述のように、本実施形態のメモリデバイス1は、プレーン分離エリアDAにおいて第1のテーパー形状(又は非テーパー形状)の開口部(スリット)S1を有するダミー層DM1と、コンタクトエリアCAにおいて第2のテーパー形状の開口部OP1を有するダミー層DM2と、を含む。
【0288】
本実施形態において、例えば、プレーン分離エリアDAの開口部S1のテーパー形状の向きが、コンタクトエリアCAの開口部OP1のテーパー形状の向きと異なっている。
【0289】
開口部S1に関して、Z2方向側におけるXY平面に平行な方向の寸法d1が、Z1方向側におけるXY平面に平行な方向の寸法d2以下である。開口部OP1に関して、Z2方向側におけるXY平面に平行な方向の寸法d3が、Z1方向側におけるXY平面に平行な方向の寸法d4より大きい。例えば、寸法d2は、寸法d3及び寸法d4より小さい。
【0290】
スリットS1内におけるダミー層DM1の側面とCMOS回路チップ20側におけるY方向に平行な部分(例えば、絶縁層118の上部)とが成す角(例えば、スリットS1のテーパー角)θ1は、90度以下である。開口部OP1内におけるダミー層DM2の側面とCMOS回路チップ20側におけるY方向に平行な部分(例えば、絶縁層118の上部)とが成す角(開口部OP1のテーパー角)θ2は、90度より大きい。角θ1は、角θ2よりも90度に近い。
【0291】
このように、スリットS1が形成されたダミー層DM1の側面の角度(勾配)は、半導体基板201の主面(XY平面)に対して垂直な角度に近くなる。これに伴って、スリットS1の半導体基板201の主面に対して平行な方向における寸法は、より狭くされ得る。
【0292】
したがって、本実施形態において、プレーン分離エリアDAの面積は、小さくなる。この結果として、本実施形態のメモリデバイス1は、チップサイズを縮小できる。
【0293】
ボンディングワイヤのような接続部材が、開口部OPzを介して、コンタクトエリアCA内の配線191bに電気的に接続される。このため、メモリデバイス1の動作時に、比較的大きな電流が、配線191bを流れる。
【0294】
アレイチップ10のコンタクトエリアCAにおいて、ダミー層DM2の側面の勾配(開口部OP1のテーパー角)が90度に近くなる場合、ダミー層DM2の側面上の配線191bの膜厚は、薄くなる傾向がある。この場合において、薄い膜厚の配線191bは、エレクトロマイグレーションによって、断線されやすくなる。
【0295】
本実施形態において、配線191bは、開口部OP1のテーパー形状に応じて、比較的小さい勾配のダミー層DM2の側面上に、形成される。これによって、ダミー層DM2の側面上の配線191bの膜厚は、より厚く成り得る。この結果として、配線191bのエレクトロマイグレーション耐性が、向上する。
【0296】
それゆえ、本実施形態のメモリデバイス1は、エレクトロマイグレーションに起因した配線191bの断線を抑制できる。
【0297】
以上のように、本実施形態のメモリデバイス1は、チップコストを低減できる。また、本実施形態のメモリデバイス1は、メモリデバイスの製造歩留まりを向上できる。
【0298】
したがって、本実施形態のメモリデバイス1は、メモリデバイスの製造コストを低減できる。
【0299】
(5) その他
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0300】
1:メモリデバイス、10:アレイチップ、11:メモリセルアレイ、20:CMOS回路チップ、R1:コア領域、MA:メモリセルアレイエリア、DA:プレーン分離エリア、CA:コンタクトエリア、R2:壁領域、R3:外周領域、S1,S2,S3:スリット(開口部)、OP1:開口部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24