(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112661
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】処分対象物の計量システム及び計量方法
(51)【国際特許分類】
G01G 19/02 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
G01G19/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017864
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000166627
【氏名又は名称】五洋建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591075630
【氏名又は名称】株式会社アクティオ
(71)【出願人】
【識別番号】516206303
【氏名又は名称】株式会社スカイシステム
(71)【出願人】
【識別番号】501497404
【氏名又は名称】株式会社 ダイトク
(71)【出願人】
【識別番号】591020445
【氏名又は名称】立山科学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大月 一真
(72)【発明者】
【氏名】出島 衛
(72)【発明者】
【氏名】千原 大郎
(72)【発明者】
【氏名】高屋 英永
(72)【発明者】
【氏名】笠島 弘毅
(72)【発明者】
【氏名】溝川 大士
(72)【発明者】
【氏名】木村 隆志
(72)【発明者】
【氏名】舘盛 浩二
(72)【発明者】
【氏名】西村 吉弘
(57)【要約】
【課題】車両に積載されている対象物の重量を記録する仕組みとして、より使い勝手のよい記録の仕組みを提供する。
【解決手段】重量算出部11は、車両に積載されている対象物の重量を算出する。工事識別部12は、車両に積載されている対象物に対応する工事を第1の識別方法により識別する。車両識別部13は、記対象物を積載している車両を、第2の識別方法により識別する。記録部15は、重量算出部11により算出された対象物の重量を、工事識別部12により識別された工事、及び、車両識別部13により識別された車両に対応付けて記録する。出力部16は、記録部15に記録されたデータを例えば表示、印刷、送信等の方法で出力する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に積載されている処分対象物の重量を算出する重量算出部と、
前記車両に積載されている前記処分対象物の搬出元に対応する工事を第1の識別方法により識別する工事識別部と、
前記処分対象物を積載している前記車両を、第2の識別方法により識別する車両識別部と、
算出された前記処分対象物の重量を、識別された前記車両及び前記工事に対応付けて記録する記録部と
を備える処分対象物の計量システム。
【請求項2】
前記工事識別部は、前記車両に搭載された第1の記憶媒体から当該工事を識別するデータを無線で読み取る第1の識別方法により、当該工事を識別し、
前記車両識別部は、前記車両を撮像した画像データから当該車両を識別する文字又は数字を画像認識する第2の識別方法により、当該車両を識別する
請求項1記載の計量システム。
【請求項3】
前記工事識別部は、前記車両に搭載された第1の記憶媒体から前記工事を識別するデータを無線で読み取る第1の識別方法により、当該工事を識別し、
前記車両識別部は、前記車両に搭載された第2の記憶媒体から当該車両を識別するデータを無線で読み取る第2の識別方法により、当該車両を識別する
請求項1記載の計量システム。
【請求項4】
前記重量算出部は、
前記処分対象物を積載している前記車両の総重量を計量した結果を取得し、取得した前記総重量から、予め登録されている車体重量を減算することにより、前記処分対象物の重量を算出する請求項2または3記載の計量システム。
【請求項5】
前記重量算出部、前記車両識別部及び前記工事識別部は、前記車両が前記処分対象物を搬出する搬出場所に設けられており、
前記車両識別部及び前記工事識別部は、前記車両が前記処分対象物を搬入する搬入場所に設けられており、
前記記録部は、前記車両が前記処分対象物を搬入するときに識別された前記車両及び前記工事に対応付けて、前記算出された重量の処分対象物が前記工事より前記搬入場所に搬入されたことを記録する
請求項1記載の計量システム。
【請求項6】
前記重量算出部は、前記車両が前記処分対象物を搬入する搬入場所にも設けられており、
前記記録部は、前記車両が前記処分対象物を搬出するときに算出された前記処分対象物の重量と、前記車両が前記処分対象物を搬入するときに算出された前記処分対象物の重量とを照合する
請求項5記載の計量システム。
【請求項7】
前記照合の結果、前記処分対象物を搬出するときに算出された前記処分対象物の重量と、前記処分対象物を搬入するときに算出された前記処分対象物の重量間で、所定の誤差率を超過した重量差を認識した際には、警告を発する出力部を備える
請求項6記載の計量システム。
【請求項8】
車両に積載されている処分対象物の重量を算出する重量算出ステップと、
前記車両に搭載されている前記処分対象物の搬出元に対応する工事を第1の識別方法により識別する工事識別ステップと、
前記処分対象物を積載している前記車両を、第2の識別方法により識別する車両識別ステップと、
算出された前記処分対象物の重量を、識別された前記車両及び前記工事に紐付けて記録する記録ステップと
を備える対象物の計量方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に積載されて搬出又は搬入される処分対象物の重量を計量するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
工事現場等から排出される建設副産物における建設発生土には、その内容によって産業廃棄物とされるもの(汚泥や残土に産業廃棄物が含まれているもの)、他の工事等に転用されるもの(建設残土)、重金属、農薬、油などにより土壌が汚染された汚染土壌と呼ばれるものが含まれる。他の工事に転用できる建設残土と異なり、産業廃棄物や汚染土壌はトラック等の車両によって場外に搬出され、廃棄物中間処理場や場外処理場等の搬入場所へと搬入されて、種別に応じた処理が行われる。工事現場から搬出される産業破棄物や汚染土壌を管理するため、例えば特許文献1には、トラックのエリアの撮影画像を取得する第1撮像装置及 び第2撮像装置と、トラックのナンバープレートに係る車番とトラックの所属先等とを関連づけ記憶する車両マスタと、撮影画像に基きトラックの車番を認識し、該当する所属先等を取得し、車番と所属先等とを該オペレータ端末に送信する車両認識システムが開示されている。また、特許文献2には、積荷を積載した車両の重量を計量するシステムにおいて、車両データベースには車番・車両総重量・事業者名・積荷の種別等が登録されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-43113号公報
【特許文献2】特開2013-015501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両に積載されている産業廃棄物や汚染土壌などの場外処分対象物の重量を記録する場合には、その車両と、その車両に積載されている処分対象物の搬出元である工事名とをそれぞれ紐づけて記録する必要がある。
【0005】
本発明は、産業廃棄物や汚染土壌などの場外処分対象物を積載している車両を識別する方法と、その車両に積載されている処分対象物の搬出元に対応する工事名を識別する方法において異なる識別方法を用いたうえで両識別結果を紐づけさせることで、より使い勝手のよい記録の仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る対象物の計量システムは、車両に積載されている処分対象物の重量を算出する重量算出部と、前記車両に積載されている前記処分対象物の搬出元に対応する工事を第1の識別方法により識別する工事識別部と、前記処分対象物を積載している前記車両を、第2の識別方法により識別する車両識別部と、算出された前記処分対象物の重量を、識別された前記車両及び前記工事に対応付けて記録する記録部とを備える。
【0007】
前記工事識別部は、前記車両に載せた第1の記憶媒体から当該工事を識別するデータを無線で読み取る第1の識別方法により、当該工事を識別し、前記車両識別部は、前記車両を撮像した画像データから当該車両を識別する文字又は数字を画像認識する第2の識別方法により、当該車両を識別するようにしてもよい。
【0008】
前記工事識別部は、前記車両に載せた第1の記憶媒体から前記工事を識別するデータを無線で読み取る第1の識別方法により、当該工事を識別し、前記車両識別部は、前記車両に載せた第2の記憶媒体から当該車両を識別するデータを無線で読み取る第2の識別方法により、当該車両を識別するようにしてもよい。
【0009】
前記重量算出部は、前記処分対象物を積載している前記車両の総重量を計量した結果を取得し、取得した前記総重量から、予め登録されている車体重量を減算することにより、前記処分対象物の重量を算出するようにしてもよい。
【0010】
前記重量算出部、前記車両識別部及び前記工事識別部は、前記車両が前記処分対象物を搬出する搬出場所に設けられており、前記車両識別部及び前記工事識別部は、前記車両が前記処分対象物を搬入する搬入場所に設けられており、前記記録部は、前記車両が前記処分対象物を搬入するときに識別された前記車両及び前記工事に対応付けて、前記算出された重量の処分対象物が前記工事より前記搬入場所に搬入されたことを記録するようにしてもよい。
【0011】
前記重量算出部は、前記車両が前記処分対象物を搬入する搬入場所にも設けられており、前記記録部は、前記車両が前記処分対象物を搬出するときに算出された前記処分対象物の重量と、前記車両が前記処分対象物を搬入するときに算出された前記処分対象物の重量とを照合するようにしてもよい。
【0012】
前記照合の結果、前記処分対象物を搬出するときに算出された前記処分対象物の重量と、前記処分対象物を搬入するときに算出された前記処分対象物の重量間で、所定の誤差率を超過した重量差を認識した際には、警告を発する出力部を備えるようにしてもよい。
【0013】
また、本発明に係る処分対象物の計量方法は、車両に積載されている処分対象物の重量を算出する重量算出ステップと、前記車両に搭載されている前記処分対象物の搬出元に対応する工事を第1の識別方法により識別する工事識別ステップと、前記処分対象物を積載している前記車両を、第2の識別方法により識別する車両識別ステップと、算出された前記処分対象物の重量を、識別された前記車両及び前記工事に紐付けて記録する記録ステップとを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、処分対象物を積載している車両を識別する方法と、その車両に積載されている処分対象物に対応する工事を識別する方法とに分けて別々に識別させることで、より使い勝手のよい記録の仕組みを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る計量システム100の全体構成を例示する図。
【
図2】同実施形態に係るサーバ装置50のハードウェア構成を例示するブロック図。
【
図3】サーバ装置50の機能構成を例示するブロック図。
【
図4】登録部14によって登録される車両データを例示する図。
【
図5】登録部14によって登録される工事データを例示する図。
【
図6】記録部15によって記録されるデータを例示する図。
【
図7】サーバ装置50の処理の手順を例示するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を実施するための形態の一例について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る計量システム100の全体構成を例示する図である。本実施形態において、工事現場等の搬出場所Aから排出される産業廃棄物や汚染土壌などの処分対象物がトラック等の車両Tによって搬出され、中間処理場や場外処理場等の搬入場所Bへと搬入される。計量システム100は、車両Tの車内等に搭載されたRFID(Radio Frequency Identification)タグ1と、搬出場所Aに設けられた計量器10a、カメラ20a及びRFIDリーダー30aと、搬入場所Bに設けられた計量器10b、カメラ20b及びRFIDリーダー30bと、対象工事の事務所に設置されたパーソナルコンピュータ等の情報端末40と、サーバ装置50と、これらの計量器10a、カメラ20a、RFIDリーダー30a、計量器10b、カメラ20b、RFIDリーダー30b、情報端末40及びサーバ装置50を接続するネットワーク60とを備えている。ネットワーク60は複数のネットワークの集合体であってもよい。
【0017】
計量器10aは、搬出場所Aの入退場口の路面に設置されており、処分対象物を積載した車両Tが搬出場所Aから退場するときに処分対象物を含んだその車両Tの重量を計量する。計量が終了すると、計量器10aが備える信号表示器(図示略)において運転出退出可の旨の信号が表示される。カメラ20aは、搬出場所Aの入退場口の近傍に設置されており、処分対象物を積載した車両Tが搬出場所Aから退場するときに、その車両Tを識別する文字又は数字である車両Tのナンバープレートを撮影する。RFIDリーダー30aは、搬出場所Aの入退場口の近傍に設置されており、処分対象物を積載した車両Tが搬出場所Aから退場するときにその車両Tの車内に載せられたRFIDタグ(第1の記憶媒体)から、そのタグに記憶されたデータを無線で読み取る。計量器10a、カメラ20a及びRFIDリーダー30aによって得られたデータはネットワーク60を介して一旦対象工事の事務所に設置された情報端末40に送信され、当該情報端末40からそのデータがネットワーク60を介してサーバ装置50に送信され、各データが紐づけされて保存される。サーバ装置50はいわゆるクラウドサーバとして機能するものであり、上記のようにして保存したデータを予め登録されている内容と照合する。この照合の結果、工事データ又は車両データが認識できなかったときには、認識不可情報として管理表が交付されず、管理者又は担当者に連絡がなされ、所定のデータ欄に認識不可と表示される。この場合は、管理者又は担当者が、カメラ20aで撮影された車両Tのナンバープレートの画像データ等を用いて別途入力を行う。
【0018】
計量器10bは、搬入場所Bの入退場口の路面に設置されており、処分対象物を積載した車両Tが搬入場所Bに入場するときにその車両Tの重量を計量する。カメラ20bは、搬入場所Bの入退場口の近傍に設置されており、処分対象物を積載した車両Tが搬入場所Bに入場するときにその車両Tを識別する文字又は数字である車両Tのナンバープレートを撮影する。RFIDリーダー30bは、搬入場所Bの入退場口の近傍に設置されており、処分対象物を積載した車両Tが搬入場所Bに入場するときにその車両Tの車内に載せられたRFIDタグ(第1の記憶媒体)から、そのタグに記憶されたデータを無線で読み取る。計量器10b、カメラ20b及びRFIDリーダー30bによって得られたデータはネットワーク60を介して一旦対象工事の事務所に設置された情報端末40に送信され、当該情報端末40からそのデータがネットワーク60を介してサーバ装置50に送信される。サーバ装置50において保存したデータは予め登録されている内容と照合され、この照合の結果、仮に車両データが認識できなかったときには、認識不可情報として管理者若しくは担当者に連絡がなされる。この場合、管理者又は担当者により、カメラ20bで撮影された車両Tのナンバープレートの画像データ等を用いて別途入力が行われる。
【0019】
図2は、サーバ装置50のハードウェア構成を示す図である。サーバ装置50は、物理的には、プロセッサ5001、メモリ5002、ストレージ5003、通信装置5004、入力装置5005、出力装置5006及びこれらを接続するバスなどを含む。これらの各装置は図示せぬ電源から供給される電力によって動作する。サーバ装置50のハードウェア構成は、
図2に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。また、サーバ装置50の外部に外付けするようにしてもよい。
【0020】
サーバ装置50における各機能は、プロセッサ5001、メモリ5002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ5001が演算を行い、通信装置5004による通信を制御したり、他の装置から送信されてきたデータを取得したり、メモリ5002及びストレージ5003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0021】
プロセッサ5001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ5001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。
【0022】
プロセッサ5001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ5003及び通信装置5004の少なくとも一方からメモリ5002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。
【0023】
メモリ5002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ5002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ5002は、本実施形態に係る方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0024】
ストレージ5003は、ハードディスクドライブ等の、コンピュータが読み取り可能な記録媒体であり、ストレージ5003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。
【0025】
通信装置5004は、ネットワーク60を介して、情報端末40等の他の装置との通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。
【0026】
入力装置5005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタンなど)である。出力装置5006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、プリンター、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、後述する登録部に登録してある工事データの担当者の連絡先にアラートを発する際には当該担当者の連絡先に相当する携帯電話やスマートフォンも出力装置5006とみなされる。
【0027】
なお、情報端末40のハードウェア構成はサーバ装置50と同様である。
【0028】
図3は、計量システム100の機能構成の一例を示す図である。計量システム100において、RFIDタグ1、計量器10a,10b、カメラ20a,20b、RFIDリーダー30a,30b、情報端末40及びサーバ装置50が連携することで、重量算出部11、工事識別部12、車両識別部13、登録部14、記録部15及び出力部16という機能が実現される。
【0029】
重量算出部11は、車両に積載されている処分対象物の重量を算出する。重量算出部11は、処分対象物を積載している車両の総重量を計量した結果を取得し、取得した総重量から、登録部14に予め登録されている当該車両の車体重量を減算することにより、処分対象物の重量を算出する。処分対象物を積載している車両の総重量を計量した結果とは、搬出場所Aからの退場時及び搬入場所Bへの入場時において、計量器10a,10bによって計量された車両の重量である。
【0030】
図4は、登録部14により予め登録されている車両データを例示する図である。
図4に示すように、車両データは、車両を識別する車両ナンバーと、その車両の所有会社と、その車両を運転している運転手と、その車両の車体重量等を含む。車両ナンバーは、車両の前後に設けられたナンバープレートに記された文字又は数字からなるデータである。車体重量はいわゆる車検証に記された、空荷に相当する車両の車体重量である。これらの車両データは、車両の所有会社によって事前にサーバ装置50に接続され、登録部14に登録される。
【0031】
図3において、工事識別部12は、車両に積載されている処分対象物の搬出元に対応する工事を第1の識別方法により識別する。具体的には、工事識別部12は、車両に載せられたRFIDタグ1から所定の無線通信規格に従って無線でデータを読み取る。RFIDタグ1には、そのRFIDタグを搭載した車両が積載する処分対象物の搬出元に対応する工事を識別するデータが少なくとも記憶されており、工事識別部12は、このデータによって工事を識別する。このように工事識別部12が工事を識別する方法は、本発明における第1の識別方法に相当する。
【0032】
図5は、登録部14に予め登録されている工事データを例示する図である。
図5に示すように、工事データは、RFIDタグに記憶された識別子であるタグIDと、その工事の管理票交付者と、その工事の運搬委託者と、交付担当者氏名・連絡先と、処分対象物の搬出場所と、処分対象物の搬入場所とを含む。
図5において、搬出場所は、処分対象物を搬出する車両Tを計量した計量器10aに予め付与されている計量器番号等の識別子によって表現されている。また、搬入場所は、処分対象物を搬入する車両Tを計量した計量器10bに予め付与されている計量器番号等の識別子によって表現される。これらの工事データは、工事の施工業者によって事前にサーバ装置50に接続され、登録部14に登録される。なお、RFIDタグ1には、そのRFIDタグが載せられた車両が積載する処分対象物の搬出元に対応する工事を識別する施工業者(管理票交付者、運搬委託者)が少なくとも記憶されていればよい。
【0033】
図3において、車両識別部13は、処分対象物を積載している車両を、第2の識別方法により識別する。具体的には、車両識別部13は、カメラ20a,20bが車両を撮像した画像データからその車両を識別する車両ナンバーをいわゆるパターンマッチング等を用いて画像認識する第2の識別方法により、その車両を識別する。
【0034】
記録部15は、重量算出部11により算出された処分対象物の重量を、工事識別部12により識別された工事、及び、車両識別部13により識別された車両と紐付けて記録する。
【0035】
図6は、記録部15により記録されるデータを例示する図である。
図6に示すように、工事ナンバーに対応付けて、処分対象物の搬出日時、搬出場所、処分対象物を搬出した車両の車両ナンバー、その車両の運転手、搬出された処分対象物の搬出重量、処分対象物の搬入日時、搬入場所、処分対象物を搬入した車両の車両ナンバー、搬入された処分対象物の搬入重量が紐づけて記録される。
図6でも
図5と同様に、搬出場所は、処分対象物を搬出する車両Tを計量した計量器10aに予め付与された計量器番号等の識別子によって表現され、搬入場所は、処分対象物を搬入する車両Tを計量した計量器10bに予め付与された計量器番号等の識別子によって表現される。
図6の例では、工事ナンバー「1」の工事については、処分対象物の搬出及び搬入が双方とも行われているが、工事ナンバー「2」の工事については、処分対象物の搬出のみが行われ、搬入はまだ行われていないことを示している。
【0036】
このように、記録部15は、車両が処分対象物を搬出するときに識別された車両及び工事ごとに、算出された重量の処分対象物が搬出場所から搬出されたことを記録し、また、当該車両が処分対象物を搬入したときに識別された車両及び工事ごとに、算出された重量の処分対象物が搬入場所に搬入されたことを記録する。さらに、記録部15は、車両が処分対象物を搬出するときに算出された処分対象物の重量と、車両が処分対象物を搬入するときに算出された処分対象物の重量とを照合する。
【0037】
図3において、出力部16は、記録部15に記録されたデータを、例えば表示、印刷、送信、書き込み等の任意の方法で出力する。この出力には、搬出時に算出された処分対象物の重量と搬入時に算出された処分対象物の重量との照合結果等も含まれる。なお、出力部16は、記録部15による上記照合の結果、処分対象物を搬出するときに算出されたその処分対象物の重量と、処分対象物が搬入されたときに算出されたその処分対象物の重量との間で、所定の誤差率(例えば計量器毎の誤差率)を超える重量差を認識したときには、登録部14に予め登録されている工事データの交付担当者の連絡先にアラート(警告)を発することもできる。
【0038】
次に、
図7を参照して計量システム100の動作を説明する。
図7に示す処理が開始される前に、
図4,5に例示した車両データ及び工事データが登録部14により登録されているものとする。
【0039】
図7において、搬出場所Aに設けられた計量器10a、カメラ20a及びRFIDリーダー30a、又は、搬入場所Bに設けられた計量器10b、カメラ20b及びRFIDリーダー30bからネットワーク60を介して情報端末40にデータが送信されてくると、情報端末40はこれらのデータを取得する(ステップS11)。
【0040】
次に、情報端末40は、取得したデータが搬出場所Aの計量器10a、カメラ20a及びRFIDリーダー30aから取得されたものであれば、搬出に関するデータであると判断し、取得したデータが搬入場所Bの計量器10b、カメラ20b及びRFIDリーダー30bから取得されたものであれば、搬入に関するデータであると判断する(ステップS12)。
【0041】
次に、情報端末40は、取得したデータに基づいて、車両に積載されている処分対象物に対応する工事と、処分対象物を積載している車両とをそれぞれ識別する(ステップS13)。仮に車両の識別ができなかったときには、情報端末40において識別不可情報として表示され、カメラ20a又はカメラ20bが撮影した車両の画像データが添付されて送信される。作業者は、当該認識不可情報の表示に対し、情報端末40を操作して、添付さ画像データを基に不足している情報を追加入力する。
【0042】
次に、情報端末40は、車両に積載されている処分対象物の重量を算出する(ステップS14)。つまり、情報端末40は、処分対象物を積載している車両の総重量を計量したデータから、登録部14に予め登録されている車体重量を減算することにより、処分対象物の重量を算出する。
【0043】
そして、情報端末40からサーバ装置50に対して、ステップS11にて取得したデータに加えて、処分対象物の重量が送信される。サーバ装置50は、処分対象物の重量を、識別された工事及び車両に対応付けて記録する(ステップS15)。
【0044】
本実施形態の効果について説明する。上記実施形態では、工事識別部12は、車両に積載されている処分対象物に対応する工事を、無線を用いた第1の識別方法により識別し、車両識別部13は、処分対象物を積載している車両を、画像認識を用いた第2の識別方法により識別する。廃棄処分管理において車両が積載する処分対象物の搬出元である工事を識別するためのデータは工事ごとに異なるから、工事の施工開始及び終了のタイミングで都度変更する必要があるが、このようなデータ書き換えはRFIDタグのような記録媒体を用いると、容易且つ確実に実行することができ、該当する工事のRFIDタグを車両に載せるだけで対応できる。一方、車両を識別するための識別情報として、既に車両ごとに公的に登録されている車両ナンバーを用いるようにすれば、その車両識別のための方法も容易且つ確実に実行することができる。これにより、例えば或る工事zに車両xを用いていたが、これを車両yに変更したい場合には、車両xに搭載されていたRFIDタグを車両に載せかえることで、車両yを工事zに直ちに用いることが可能となる。このような利用形態も工事を識別する方法と車両を識別する方法とを分けることで実現することができる。以上のように、工事を識別する方法と車両を識別する方法とを分けることで、廃棄処分管理におけるより使い勝手の良い記録の仕組みを提供することが可能となる。
【0045】
上記実施形態では、車両が処分対象物を搬出するときに識別された車両及び工事に対応付けて、算出された重量の処分対象物が搬出場所から搬出されたことを記録し、また、車両が処分対象物を搬入するときに識別された車両及び工事に対応付けて、算出された重量の処分対象物が搬入場所に搬入されたことを記録する。つまり、処分対象物の搬出及び搬入の双方が確実に行われたことを記録することができる。さらに、車両が処分対象物を搬出するときに算出された処分対象物の重量と、車両が処分対象物を搬入するときに算出された処分対象物の重量とを照合することで、搬出された処分対象物が確実に搬入されたことを確認することが可能となる。
【0046】
また、仮に処分対象物の搬出時の重量と搬入時の重量とで許容範囲(例えば搬出先と搬入先の計量器における誤差率等)を超える相違が生じていたときには、該当する工事の担当者は当該相違の発生を直ちに知ることができ、早期に対応することができる。
【0047】
[変形例]
本発明は、上述した実施形態に限定されない。上述した実施形態を以下のように変形してもよい。
【0048】
[変形例1]
車両に積載される処分対象物は、実施形態の例示に限定されず、どのようなものであってもよい。
【0049】
[変形例2]
本発明における第1の識別方法及び第2の識別方法は、上記実施形態の例示に限定されない。例えば車両Tの車内等に搭載されるRFIDタグ1を2つ用意しておき、第1の識別方法として一方のRFIDタグ(第1の記憶媒体)に工事を識別するためのデータを記憶させておき、第2の識別方法として他方のRFIDタグ(第2の記憶媒体)に車両を識別するためのデータを記憶させておく。この例では、実施形態で説明したカメラ20a,20bは不要である。そして、搬出場所Aの入退場口の近傍に設置されたRFIDリーダー30aは、処分対象物を積載した車両Tが搬出場所Aから退場するときに、その車両Tの車内に搭載された2つのRFIDタグ(第1の記憶媒体及び第2の記憶媒体)から、そのタグに記憶されたデータを無線で読み取る。また、搬入場所Bの入退場口の近傍に設置されたRFIDリーダー30bは、処分対象物を積載した車両Tが搬入場所Bに入場するときに、その車両Tの車内に搭載された2つのRFIDタグ(第1の記憶媒体及び第2の記憶媒体)から、そのタグに記憶されたデータを無線で読み取る。この場合も2つの異なるRFタグ(第1の記憶媒体及び第2の記憶媒体)を用いるから、工事識別部12は、車両に載せられた第1の記憶媒体から工事を識別するデータを無線で読み取る第1の識別方法により、工事を識別するものであるし、車両識別部13は、車両に別途載せられた第2の記憶媒体から車両を識別するデータを無線で読み取る第2の識別方法により、車両を識別するものである。このように、工事を識別する方法と車両を識別する方法とを分けることで、より使い勝手の良い記録の仕組みを提供することが可能となる。
【0050】
[変形例3]
実施形態では、車両が処分対象物を搬出するときにその処分対象物の重量を算出し、且つ、車両が処分対象物を搬入するときにその処分対象物の重量を算出して、搬出時及び搬入時の重量を照合していたが、搬入時の処分対象物の重量算出は必ずしも必須ではない。つまり、重量算出部、車両識別部及び工事識別部は少なくとも搬出場所に設けられており、車両識別部及び工事識別部は少なくとも搬入場所に設けられていればよい。
【0051】
本発明を、車両に積載されている処分対象物の重量を算出する重量算出ステップと、前記車両に搭載されている前記処分対象物に対応する工事を第1の識別方法により識別する工事識別ステップと、前記処分対象物を積載している前記車両を、前記第1の識別方法とは異なる第2の識別方法により識別する車両識別ステップと、算出された前記処分対象物の重量を、識別された前記車両及び前記工事に紐付けて記録する記録ステップとを備える処分対象物の計量方法として実施することも可能である。また、本発明は、実施形態で説明したサーバ装置50(コンピュータ)を稼働するためのプログラムであってもよい。
【符号の説明】
【0052】
1:RFIDタグ、10a,10b:計量器、11:重量算出部、12:工事識別部、13:車両識別部、14:登録部、15:記録部、16:出力部、20a,20b:カメラ、30a,30b:RFIDリーダー、40:情報端末、50:サーバ装置、60:ネットワーク、100:計量システム、5001:プロセッサ、5002:メモリ、5003:ストレージ、5004:通信装置、5005:入力装置、5006:出力装置、A:搬出場所、B:搬入場所、T:車両。