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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112685
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】車外警告方法及び車外警告装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240814BHJP
   B60Q 1/52 20060101ALI20240814BHJP
   B60Q 5/00 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
G08G1/16 C
B60Q1/52
B60Q5/00 630B
B60Q5/00 660Z
B60Q5/00 650C
B60Q5/00 670Z
B60Q5/00 660N
B60Q5/00 670A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017905
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 思源
【テーマコード(参考)】
3K339
5H181
【Fターム(参考)】
3K339AA43
3K339BA01
3K339BA02
3K339BA03
3K339BA10
3K339BA22
3K339CA30
3K339EA01
3K339EA03
3K339EA04
3K339EA05
3K339EA06
3K339EA09
3K339EA10
3K339JA21
3K339KA06
3K339KA11
3K339MA01
3K339MA07
3K339MA10
3K339MB02
3K339MB05
3K339MB10
3K339MC01
3K339MC35
3K339MC36
3K339MC41
3K339MC43
3K339MC45
3K339MC46
3K339MC48
3K339MC74
3K339MC76
3K339MC90
5H181AA01
5H181AA21
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL07
5H181LL08
(57)【要約】
【課題】通行者が車両のドライバのよそ見に容易に気が付くことができるように警告情報を出力できる車外警告方法及び車外警告装置を提供する。
【解決手段】車外警告装置100は、車両1の第1検出装置101が検出した車両1のドライバの視線方向D1を取得し、視線方向D1に基づいてドライバがよそ見をしているか否かを判定し、ドライバがよそ見をしている場合は、車両1の車両走行経路Rvと交差する可能性がある通行者Mがいるか否かを判定し、通行者Mがいる場合は、第2検出装置102の検出結果に基づいて通行者Mの通行者状態を取得し通行者状態に応じて通行者Mが認識可能な通知形態で通行者Mに対して警告情報を発するように、出力装置103に制御指令を出力する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられた出力装置が前記車両の外部に警告情報を発するように、車外警告装置を用いて前記出力装置を制御する車外警告方法であって、
前記車外警告装置は、
前記車両の第1検出装置が検出した前記車両のドライバの視線方向を取得し、
前記視線方向に基づいて前記ドライバがよそ見をしているか否かを判定し、
前記ドライバがよそ見をしている場合は、前記車両の車両走行経路と交差する可能性がある通行者がいるか否かを判定し、
前記通行者がいる場合は、第2検出装置の検出結果に基づいて前記通行者の通行者状態を取得し、
前記通行者状態に応じて前記通行者が認識可能な通知形態で前記通行者に対して前記警告情報を発するように、前記出力装置に制御指令を出力する、車外警告方法。
【請求項2】
前記通行者状態を示す情報は、前記通行者の位置及び前記通行者が向いている方向を含み、
前記出力装置は、光を照射する発光装置であり、
前記車外警告装置は、
前記通行者が視認可能な位置に前記警告情報が投影されるように、前記通行者状態に基づいて、前記発光装置が照射する光の照射方向及び光の強さを制御する、請求項1に記載の車外警告方法。
【請求項3】
前記警告情報は、色、模様及び光の点滅の少なくともいずれか1つを含む視覚情報である、請求項2に記載の車外警告方法。
【請求項4】
前記通行者状態を示す情報は、前記通行者の位置を含み、
前記出力装置は、音声出力装置であり、
前記車外警告装置は、
前記音声出力装置が前記通行者の位置に向かって音声を出力するように前記音声の出力方向を制御する、請求項1に記載の車外警告方法。
【請求項5】
前記音声出力装置はクラクション及びガイダンス音声のいずれか一方又は両方を出力する、請求項4に記載の車外警告方法。
【請求項6】
前記通行者状態を示す情報は、前記通行者による携帯端末の使用の有無を含み、
前記出力装置は、前記携帯端末又は前記通行者が装着するイヤフォンと通信可能な通信装置であり、
前記車外警告装置は、
前記通行者状態に基づき、前記通行者が前記携帯端末を使用していると判断した場合は、前記携帯端末の画面に前記警告情報を表示すること、及び、前記携帯端末又は前記イヤフォンが警告音声を発することのいずれか一方又は両方によって前記通行者が前記警告情報を認識できるように、前記通信装置に前記制御指令を出力する、請求項1に記載の車外警告方法。
【請求項7】
前記車外警告装置は、
前記通行者の位置及び移動方向を取得し、
前記通行者の位置及び移動方向に基づいて、前記通行者の通行者移動経路を算出し、
前記通行者移動経路と前記車両走行経路との交点を交差予測地点として取得し、
前記車両の現在位置と前記交差予測地点との距離を前記車両の車速で除した交差余剰時間を算出し、
前記交差余剰時間に応じて前記通知形態を設定する、請求項1に記載の車外警告方法。
【請求項8】
前記車外警告装置は、
前記ドライバから見て前記通行者がいる方向と前記視線方向との差分である視線逸脱角度を算出し、
前記視線逸脱角度に応じて前記通知形態を設定する、請求項1に記載の車外警告方法。
【請求項9】
車両に設けられた出力装置が前記車両の外部に警告情報を発するように前記出力装置を制御する車外警告装置であって、
前記車両の第1検出装置が検出した前記車両のドライバの視線方向を取得する視線方向取得部と、
前記視線方向に基づいて前記ドライバがよそ見をしているか否かを判定するドライバ状態判定部と、
前記ドライバがよそ見をしている場合は、前記車両の車両走行経路と交差する可能性がある通行者がいるか否かを判定する通行者判定部と、
前記通行者がいる場合は、第2検出装置が検出した前記通行者の通行者状態を取得する通行者状態取得部と、
前記通行者状態に応じて前記通行者が認識可能な通知形態で前記通行者に対して前記警告情報を発するように、前記出力装置に制御指令を出力する制御部とを備える、車外警告装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車外警告方法及び車外警告装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、通行者等が車両の状態を把握するために、車両のドライバの視線方向を検出し、ドライバの視線方向を示す情報を車外の表示装置に表示するドライバ状態表示装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-154100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のドライバ状態表示装置がドライバの視線方向を示す情報を車外の表示装置に表示したときに、通行者が表示装置を見ていなければ、通行者は情報の表示に気が付けない可能性が有る。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、通行者が車両のドライバのよそ見に容易に気が付くことができるように警告情報を出力できる車外警告方法及び車外警告装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車両のドライバがよそ見をしているときに、通行者状態に応じて通行者が認識可能な通知形態で通行者に対して警告情報を発するように、出力装置に制御指令を出力することによって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る車外警告方法及び車外警告装置によれば、通行者状態に応じた通知形態で出力装置が警告情報を発するので、通行者は車両のドライバのよそ見に容易に気が付くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る車外警告装置の構成を示すブロック図である。
図2】第1実施形態に係る車外警告方法による警告情報の通知態様の例を示す図である。
図3】第1実施形態に係る車外警告方法の手順を示すフローチャートである。
図4】第2実施形態に係る車外警告方法の手順を示すフローチャートである。
図5】第3実施形態に係る車外警告方法の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
《第1実施形態》
第1実施形態に係る車外警告装置100及び車外警告方法について、図1~3を用いて説明する。
図1に示すように、車両1は、車外警告装置100、第1検出装置101、第2検出装置102及び出力装置103を有する。車外警告装置100は、出力装置103が車両1の外部に警告情報を発するように、車外警告装置100を用いて出力装置103を制御する。
【0010】
第1検出装置101は、車両1を運転しているドライバの視線方向を検出できる検出装置である。すなわち、第1検出装置101の検出対象は、車両1の車内にあるものである。例えば、第1検出装置101は、車内カメラである。
【0011】
第2検出装置102は、車両1の周囲にいる通行者、他車両、障害物等を検出できる検出装置である。すなわち、第2検出装置102の検出対象は、車両1の車外にあるものである。例えば、第2検出装置102は車外カメラであり、車両1の前方の撮像画像を取得する。また、第2検出装置102は車外カメラに限定されず、ミリ波レーダ又はレーザレーダ(LiDAR)であってもよい。
【0012】
出力装置103は、本実施形態においては、車外に光を照射する発光装置である。なお、出力装置103としての発光装置は、例えば、外向けHMI(External Human Machine Interface)である。なお、出力装置103は、発光装置に加えて、後述する音声出力装置及び通信装置のいずれか一方又は両方を含んでいてもよい。
【0013】
図1及び図2に基づいて、車外警告装置100の構成について詳細に説明する。
図1に示すように、車外警告装置100は、視線方向取得部11、ドライバ状態判定部12、車両状態取得部13、車両走行経路算出部14、通行者判定部15、通行者状態取得部16、通行者移動経路算出部17、交差余剰時間算出部18、視線逸脱角度算出部19、通知形態設定部20,及び、制御部21を有する。
【0014】
視線方向取得部11は、第1検出装置101が検出した車両1のドライバの視線方向D1を取得する(図2参照)。
【0015】
ドライバ状態判定部12は、ドライバの視線方向D1に基づいてドライバがよそ見をしているか否かを判定する。ドライバ状態判定部12は、ドライバの視線方向D1が前方(車両1の走行方向)に向いていないときに、ドライバがよそ見をしていると判定する。
【0016】
車両状態取得部13は、車両1の車両位置Pv、走行方向Dv及び動作(車速V、ヨー方向の動作、ピッチ方向の動作等)を取得する(図2参照)。具体的には、車両状態取得部13は、GPSユニット、ジャイロセンサ、および車速センサ等から構成されている。車両状態取得部13は、GPSユニットにより複数の衛星通信から送信される電波を検出し、車両1の車両位置Pvに関する情報を周期的に取得する。また、車両状態取得部13は、ジャイロセンサから取得した角度変化情報、及び、車両1の操舵情報に基づいて、車両1の走行方向Dvを取得する。また。車両状態取得部13は、車速センサから車両1の車速Vを取得する。
【0017】
車両走行経路算出部14は、車両状態取得部13が取得した車両位置Pv、走行方向Dv及び動作(車速V、ヨー方向の動作、ピッチ方向の動作等)に基づいて、車両1が走行すると予測される車両走行経路Rvを算出する。
【0018】
通行者判定部15は、ドライバ状態判定部12が「ドライバがよそ見をしている」と判定した場合は、第2検出装置102の検出結果、及び、車両走行経路算出部14が算出した車両走行経路Rvに基づき、車両走行経路Rvと交差する可能性がある通行者Mがいるか否かを判定する。具体的には、通行者判定部15は、YOLO等の手法で、第2検出装置102が取得した撮像画像を複数の分割画像に分割し、各分割画像の情報に基づいて、物体検出処理を実行し、車外にいる通行者Mの検出を行う。そして、通行者判定部15は、第2検出装置102が取得した撮像画像を写像変換行列(Homography)を用いて、又は、uNetXST等の深層学習手法を用いて、BEV(Bird’s-eye view)、すなわち、俯瞰画像に変換する。通行者判定部15は、BEVに表示される通行者Mの位置を参照して、車両走行経路Rv上に通行者Mがいる場合、又は、通行者Mが車両走行経路Rvに接近するように移動している場合に「車両走行経路Rvと交差する可能性がある通行者Mがいる」と判定する。
なお、通行者Mは歩行者に限定されず、自転車や車椅子の利用者であってもよい。
【0019】
通行者状態取得部16は、第2検出装置102の検出結果、すなわち、第2検出装置102が撮像した撮像画像に基づいて通行者Mの通行者状態を取得する。通行者状態を示す情報は、通行者Mの位置Pm及び通行者Mが向いている方向D2を含む。通行者Mが向いている方向D2は、通行者Mの顔の向き及び/又は胸部の向きに基づいて特定する。
【0020】
通行者移動経路算出部17は、第2検出装置102の検出結果及び通行者状態取得部16が取得した通行者状態に基づき、通行者Mの位置Pm及び移動方向Dmを取得する。そして、通行者移動経路算出部17は、通行者Mの位置Pm及び移動方向Dmに基づき、通行者Mが移動すると予測される通行者移動経路Rmを算出する。具体的には、通行者移動経路算出部17は、BEV(俯瞰画像)に基づいて、カルマンフィルタ等を利用して通行者Mを追跡し、通行者移動経路Rmを予測する。また、通行者移動経路Rmの予測手法はこれに限らず、通行者移動経路算出部17は、Social-GAN等の深層学習手法を用いて通行者移動経路Rmを予測してもよい。
【0021】
交差余剰時間算出部18は、車両1と通行者Mとの交差余剰時間T(TCC:Time To Collison)を算出する。具体的には、交差余剰時間算出部18は、通行者移動経路Rmと車両走行経路Rvとの交点を交差予測地点Pxとして取得する。そして、交差余剰時間算出部18は、車両1の現在位置である車両位置Pvと交差予測地点Pxとの距離Qを車両1の車速Vで除して、交差余剰時間Tを算出する。
【0022】
視線逸脱角度算出部19は、ドライバから見て通行者Mがいる方向D0とドライバの視線方向D1との差分である視線逸脱角度θを算出する。
【0023】
通知形態設定部20は、通行者状態取得部16が取得した通行者状態に基づいて、通行者Mが認識できるように、警告情報の通知形態を設定する。具体的には、図2に示すように、通知形態設定部20は、通行者Mが視認可能な位置に警告情報を示す図像Zが投影されるように、通行者状態(通行者Mの位置Pm及び通行者Mが向いている方向D2)に基づいて、出力装置103(発光装置)が照射する光Eの強さ及び光Eの照射方向を設定する。すなわち、図像Zは、通行者Mの視界に入る領域内の路面、壁又は物体の表面に投影される。また、出力装置103は、図像Zを通行者Mの足元に投影してもよい。なお、図2に示す例において、図像Zは、目のマークであり、瞳の位置によってドライバの視線方向D1を示しているが、図像Zはこの例に限定されない。また、出力装置103が光Eを照射して表示する警告情報は、図形と文字の組み合わせであってもよく、文字のみであってもよい。また、警告情報は、色、模様及び光Eの点滅の少なくともいずれか1つを含む視覚情報である。すなわち、図2の例では、通知形態設定部20は、警告情報の通知形態を設定する際に、図像Zの色及び模様のいずれか一方又は両方を設定する。また、通知形態設定部20は、図像Zが点滅するように通知形態を設定してもよい。さらに、通知形態設定部20は、図像Zが点滅する場合は、点滅の周波数やパターンを設定する。
【0024】
また、通知形態設定部20は、通行者状態のみならず、交差余剰時間算出部18が算出した交差余剰時間T、及び、視線逸脱角度算出部19が算出した視線逸脱角度θに基づいて、通知形態を設定する。具体的には、通知形態設定部20は、以下の式(1)に基づいて、出力装置103が照射する光Eの波長L[nm](光Eの色)を設定する。すなわち、出力装置103が照射する光Eの波長Lを算出するための式は、交差余剰時間Tに反比例する項と、視線逸脱角度θに比例する項とを含む。そのため、交差余剰時間Tが短くなる程、光Eの波長Lは長くなって光Eの色は赤に近づき、通行者Mの注意を惹きやすくなる。また、視線逸脱角度θが大きくなる程、光Eの波長Lは長くなって光Eの色は赤に近づき、通行者Mの注意を惹きやすくなる。
【数1】
【0025】
また、通知形態設定部20は、照射する光Eを点滅させる場合は、光Eの点滅の周波数を、交差余剰時間Tが短くなる程大きくなり、かつ、視線逸脱角度θが大きくなる程大きくなるように設定してもよい。すなわち、交差余剰時間Tが短くなる程、光Eの点滅の周期は短くなり、通行者Mの注意を惹きやすくなる。また、視線逸脱角度θが大きくなる程、光Eの点滅の周期は短くなり、通行者Mの注意を惹きやすくなる。また、通知形態設定部20は、交差余剰時間Tのみに基づいて、光Eの波長L及び/又は光Eの点滅の周波数を設定してもよい。また、通知形態設定部20は、視線逸脱角度θのみに基づいて、光Eの波長L及び/又は光Eの点滅の周波数を設定してもよい。また、通知形態設定部20は、交差余剰時間T及び視線逸脱角度θのいずれか一方又は両方に基づいて図像Zの模様や文字を設定してもよい。
【0026】
制御部21は、通知形態設定部20が設定した通知形態に基づいて、出力装置103(発光装置)が光Eを照射して警告情報を発するように、出力装置103に制御指令を出力する。
【0027】
次に、図3のフローチャートを用いて、車外警告装置100が実行する車外警告方法の手順について説明する。
まず、ステップS1において、視線方向取得部11が、車両1のドライバの視線方向D1を取得する。
次に、ステップS2において、ドライバ状態判定部12は、ドライバがよそ見をしているか否かを判定する。ドライバがよそ見をしていない場合は制御は終了する。
【0028】
一方、ステップS2において、ドライバ状態判定部12が「ドライバがよそ見をしている」と判定した場合は、ステップS3において、通行者判定部15は、車両走行経路Rvと交差する可能性がある通行者Mがいるか否かを判定する。車両走行経路Rvと交差する可能性がある通行者Mがいない場合は制御は終了する。
【0029】
一方、ステップS3において、通行者判定部15が「車両走行経路Rvと交差する可能性がある通行者Mがいる」と判定した場合は、ステップS4において、通行者状態取得部16は、通行者Mの位置Pm及び通行者Mが向いている方向D2を取得する。
そして、ステップS5において、通知形態設定部20は、通行者Mの位置Pm及び通行者Mが向いている方向D2に基づいて、出力装置103が照射する光Eの照射方向及び光Eの強さを設定する。
【0030】
また、ステップS6において、交差余剰時間算出部18は、車両1と通行者Mとの交差余剰時間Tを算出する。
また、ステップS7において、視線逸脱角度算出部19は、視線逸脱角度θを算出する。
そして、ステップS8において、通知形態設定部20は、交差余剰時間T及び視線逸脱角度θに基づいて、光Eの色、光Eによって投影される図像Zの模様、図像Zに含まれる文字、及び、光Eの点滅の周波数のうち少なくともいずれか一つを設定する。なお、通知形態設定部20は、交差余剰時間T及び視線逸脱角度θのいずれか一方のみに基づいて、光Eの色、光Eによって投影される図像Zの模様、図像Zに含まれる文字、及び、光Eの点滅の周波数のうち少なくともいずれか一つを設定してもよい。
そして、ステップS9において、制御部21は、ステップS5及びステップS8で設定された通知態様に基づいて警告情報が出力されるように、出力装置103に制御指令を出力する。
【0031】
なお、図3のフローチャートにおいて、ステップS4,S5の処理より先にステップS6~S8の処理が実行されてもよく、ステップS4,S5の処理とステップS6~S8の処理とが同時に実行されてもよい。また、ステップS6の処理より先にステップS7の処理が実行されてもよく、ステップS6の処理とステップS7の処理とが同時に実行されてもよい。また、ステップS6及びステップS7のうちいずれか一方が省略されてもよい。
【0032】
以上より、本実施形態に係る車外警告装置100は、車両1のドライバがよそ見をしている場合に、車両走行経路Rvと交差する可能性がある通行者Mの通行者状態に応じて、通行者Mが認識可能な通知形態で通行者Mに対して警告情報を発するように、出力装置103に制御指令を出力する。これにより、通行者Mが車両1のドライバのよそ見に容易に気が付くことができ、車両1との交差を避けるための行動を取ることができる。
【0033】
また、本実施形態において、通行者状態を示す情報は、通行者Mの位置Pm及び通行者Mが向いている方向D2を含み、出力装置103は、光Eを照射する発光装置である。車外警告装置100は、通行者Mが視認可能な位置に警告情報が投影されるように、通行者状態に基づいて、出力装置103(発光装置)が照射する光Eの照射方向及び光Eの強さを制御する。これにより、通行者Mは、車外警告装置100が発した警告情報を視覚的に認識しやすくなる。
【0034】
また、本実施形態において、警告情報は、色、模様及び光の点滅の少なくともいずれか1つを含む視覚情報である。これにより、通行者Mは、車外警告装置100が発した警告情報を視覚的に分かりやすく認識することができる。
【0035】
また、車外警告装置100は、車両1と通行者Mとの交差余剰時間Tに応じて警告情報の通知形態を設定する。これにより、車外警告装置100は、車両1と通行者Mとの交差の可能性が高い程、通行者Mがより気が付きやすい通知形態で警告情報を発することができる。
【0036】
また、車外警告装置100は、視線逸脱角度θに応じて警告情報の通知形態を設定する。これにより、車外警告装置100は、車両1のドライバが通行者Mの存在に気が付かない可能性が高い程、通行者Mがより気が付きやすい通知形態で警告情報を発することができる。
【0037】
《第2実施形態》
第2実施形態に係る車外警告方法について、図4を用いて説明する。なお、第2実施形態に係る車外警告装置100の構成は、図1に示す第1実施形態の車外警告装置100の構成と同様である。また、図4に示す符号のうち、図3に示す符号と同一の符号は、同様の処理を示すものであるため、詳細な説明は省略する。
【0038】
本実施形態において、出力装置103は、指向性スピーカ等の音声出力装置である。出力装置103は、クラクション及びガイダンス音声のいずれか一方又は両方を出力する。すなわち、車外警告装置100は、音声を出力することによって通行者Mに警告情報を通知する。また、本実施形態において、通行者状態を示す情報は、通行者Mの位置を含む。
【0039】
図4に示すように、ステップS3において、通行者判定部15が「車両走行経路Rvと交差する可能性がある通行者Mがいる」と判定した場合は、ステップS24において、通行者状態取得部16は、通行者Mの位置Pmを通行者状態として取得する。
そして、ステップS25において、通知形態設定部20は、通行者Mの位置Pmに向かって出力装置103が音を出力するように、音の出力方向を設定する。
【0040】
そして、ステップS6において交差余剰時間算出部18が交差余剰時間Tを算出し、ステップS7において視線逸脱角度算出部19が視線逸脱角度θを算出した後、ステップS28において、通知形態設定部20は、交差余剰時間T及び視線逸脱角度θに基づいて、出力する音の音量及び/又は高さを設定する。具体的には、通知形態設定部20は、音量を、交差余剰時間Tが短くなる程大きくなり、かつ、視線逸脱角度θが大きくなる程大きくなるように設定する。また、通知形態設定部20は、音の高さを、交差余剰時間Tが短くなる程高くなり、かつ、視線逸脱角度θが大きくなる程高くなるように設定する。すなわち、交差余剰時間Tが短くなる程、又は、視線逸脱角度θが大きくなる程、車外警告装置100が発する警告情報は、通行者Mの注意を惹きやすくなる。また、通知形態設定部20は、交差余剰時間T及び視線逸脱角度θに基づいて、ガイダンス音声のガイダンス内容を設定してもよい。また、通知形態設定部20は、交差余剰時間T及び視線逸脱角度θのいずれか一方に基づいて、出力する音の音量、高さ及びガイダンス内容のうち少なくともいずれか1つを設定してもよい。
【0041】
以上より、本実施形態において、通行者状態を示す情報は、通行者Mの位置を含み、出力装置103は、音声出力装置である。車外警告装置100は、出力装置103(音声出力装置)が通行者Mの位置に向かって音声を出力するように音声の出力方向を制御する。これにより、通行者Mは、車外警告装置100が発した警告情報を聴覚で認識しやすくなる。
【0042】
また、本実施形態において、出力装置103(音声出力装置)はクラクション及びガイダンス音声のいずれか一方又は両方を出力する。これにより、通行者Mは、車外警告装置100が発した警告情報を聴覚で分かりやすく認識することができる。
【0043】
《第3実施形態》
第3実施形態に係る車外警告方法について、図5を用いて説明する。なお、第3実施形態に係る車外警告装置100の構成は、図1に示す第1実施形態又は第2実施形態の車外警告装置100の構成と同様である。また、図5に示す符号のうち、図3に示す符号と同一の符号は、同様の処理を示すものであるため、詳細な説明は省略する。
【0044】
本実施形態において、出力装置103は、通行者Mの携帯端末又は通行者Mが装着するイヤフォンと通信可能な通信装置を含む。なお、通行者Mが装着するイヤフォンは、ワイヤレスイヤフォンである。出力装置103は、通行者Mの携帯端末の画面に警告情報を表示すること、及び、携帯端末又はイヤフォンが警告音声を発することのいずれか一方又は両方によって、通行者Mに警告情報を通知する。なお、本実施形態において、出力装置103は、通信装置の他に発光装置及び音声出力装置も含んでいる。また、本実施形態において、通行者状態を示す情報は、通行者Mによる携帯端末の使用の有無を含む。
【0045】
図4に示すように、ステップS3において、通行者判定部15が「車両走行経路Rvと交差する可能性がある通行者Mがいる」と判定した場合は、ステップS4において、通行者状態取得部16は、第2検出装置102が取得した撮像画像に基づいて、通行者Mが携帯端末を使用しているか否かを判定する。例えば、通行者Mが歩きながら携帯端末の画面を見ている場合に、通行者状態取得部16は「通行者Mが携帯端末を使用している」と判定する。
通行者Mが携帯端末を使用していない場合は、ステップS35において、出力装置103としての発光装置又は音声出力装置が、光又は音によって通行者Mに警告情報を通知する。なお、ステップS35において警告情報を通知するための出力装置103としては、発光装置の方が音声出力装置よりも優先的に選択される。
【0046】
一方、ステップS34において、通行者状態取得部16が「通行者Mが携帯端末を使用している」と判定した場合は、ステップS36において、車外警告装置100は、出力装置103が通行者Mの携帯端末又はイヤフォンと通信可能か否かを判定する。具体的には、出力装置103は通行者Mの携帯端末又はイヤフォンに対してGPS情報及びMACアドレスの情報請求を送信する。そして、出力装置103が通行者Mの携帯端末又はイヤフォンからGPS情報及びMACアドレスを取得できた場合に、車外警告装置100は、出力装置103が通行者Mの携帯端末又はイヤフォンと通信可能であると判定する。なお、出力装置103が取得する情報は、GPS情報及びMACアドレスに限定されず、通行者Mの携帯端末又はイヤフォンが特定可能である情報であればよい。
ステップS36において、車外警告装置100が「出力装置103が通行者Mの携帯端末又はイヤフォンと通信可能でない」と判定した場合は、ステップS35において、出力装置103としての発光装置又は音声出力装置が、光又は音によって通行者Mに警告情報を通知する。
【0047】
一方、ステップS36において、車外警告装置100が「出力装置103が通行者Mの携帯端末又はイヤフォンと通信可能である」と判定した場合は、ステップS6において交差余剰時間算出部18が交差余剰時間Tを算出し、ステップS7において視線逸脱角度算出部19が視線逸脱角度θを算出する。
【0048】
そして、ステップS38において、通知形態設定部20は、交差余剰時間T及び視線逸脱角度θに基づいて、通行者Mの携帯端末の画面に表示される警告内容を設定する。また、通知形態設定部20は、交差余剰時間T及び視線逸脱角度θに基づいて、携帯端末の画面に表示されるメッセージの文字の色や大きさを設定してもよい。また、通知形態設定部20は、交差余剰時間T及び視線逸脱角度θに基づいて、通行者Mの携帯端末又はイヤフォンから出力される警告音声の内容を設定してもよい。また、通知形態設定部20は、通行者Mの携帯端末又はイヤフォンから出力される音の音量及び/又は高さを、交差余剰時間Tが短くなる程大きく/高くなり、かつ、視線逸脱角度θが大きくなる程大きく/高くなるように設定してもよい。
【0049】
なお、車外警告装置100は、出力装置103としての発光装置、音声出力装置及び通信装置による警告情報の通知を全て同時に実行してもよく、いずれか2つを組み合わせて警告情報を通知してもよい。
【0050】
以上より、本実施形態において、通行者Mによる携帯端末の使用の有無を含み、出力装置103は、携帯端末又は通行者Mが装着するイヤフォンと通信可能な通信装置である。車外警告装置100は、通行者状態に基づき、通行者Mが携帯端末を使用していると判断した場合は、携帯端末の画面に警告情報を表示すること、及び、携帯端末又はイヤフォンが警告音声を発することのいずれか一方又は両方によって通行者Mが警告情報を認識できるように、出力装置103(通信装置)に制御指令を出力する。これにより、通行者Mが歩きながら携帯端末の画面を見たり通話をしたりしているときであっても、車外警告装置100は、通行者Mがすぐに車両1のドライバのよそ見に気が付けるように、携帯端末又はイヤフォンを介して通行者Mに警告情報を発することができる。
【0051】
100…車外警告装置
1…車両
11…視線方向取得部
12…ドライバ状態判定部
15…通行者判定部
16…通行者状態判定部
21…制御部
101…第1検出装置
102…第2検出装置
103…出力装置
D1…ドライバの視線方向
D2…通行者が向いている方向
Dm…通行者の移動方向
Rm…通行者移動経路
Rv…車両走行経路
Pm…通行者の位置
T…交差余剰時間
θ…視線逸脱角度
図1
図2
図3
図4
図5