(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011269
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
A47J 37/06 20060101AFI20240118BHJP
F24C 15/16 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
A47J37/06 361
F24C15/16 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113149
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】南野 智之
(72)【発明者】
【氏名】林 正二
(72)【発明者】
【氏名】梅澤 功一
(72)【発明者】
【氏名】伊奈 深雪
(72)【発明者】
【氏名】網野 梓
【テーマコード(参考)】
4B040
【Fターム(参考)】
4B040AA03
4B040AA08
4B040AB04
4B040AC02
4B040AD04
4B040AD16
4B040EA03
4B040GA02
4B040GD04
(57)【要約】
【課題】液体の利用を含む複数の調理メニューを取り扱うに適した加熱調理器を提供することを目的とする。
【解決手段】上フタと下フタにより形成した加熱室と、加熱室内に取り外し可能に収納される第一の容器と、第一の容器内に取り外し可能に収納される第二の容器と、第二の容器を昇降させる昇降手段と、上フタと下フタのいずれか一方または双方に取り付けられた加熱手段とを備え、加熱手段の高さ位置は、調理メニューごとに調理開始前位置と調理後位置が定められており、調理メニューの指定に応じて当該調理メニューの調理開始前位置に移動し、調理後は調理メニューの次回の指定があるまで調理後位置に維持されることを特徴とする加熱調理器。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上フタと下フタにより形成した加熱室と、前記加熱室内に取り外し可能に収納される第一の容器と、前記第一の容器内に取り外し可能に収納される第二の容器と、前記第二の容器を昇降させる昇降手段と、前記上フタと前記下フタのいずれか一方または双方に取り付けられた加熱手段とを備え、
前記加熱手段の高さ位置は、調理メニューごとに調理開始前位置と調理後位置が定められており、調理メニューの指定に応じて当該調理メニューの前記調理開始前位置に移動し、調理後は調理メニューの次回の指定があるまで前記調理後位置に維持されることを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱調理器であって、
底面に排水部が設けられた前記第二の容器に被加熱物を収納し、前記第一の容器内に水を入れて調理する調理メニューであるときの調理後位置は、被加熱物が前記上フタに取り付けられた加熱手段と前記第一の容器内の水に接しない中段位置とされることを特徴とする加熱調理器。
【請求項3】
請求項2に記載の加熱調理器であって、
前記調理開始前位置は、前記第一の容器内に前記第二の容器が収納される下段位置とされることを特徴とする加熱調理器。
【請求項4】
請求項1に記載の加熱調理器であって、
前記第一の容器内に水と被加熱物を入れて調理する調理メニューであるときの調理後位置は、前記第一の容器内に前記第二の容器が収納される下段位置とされることを特徴とする加熱調理器。
【請求項5】
請求項4に記載の加熱調理器であって、
前記調理開始前位置は、前記第一の容器内に前記第二の容器が収納される下段位置とされることを特徴とする加熱調理器。
【請求項6】
請求項1に記載の加熱調理器であって、
底面に排水部が設けられた前記第二の容器に被加熱物を収納し、前記第一の容器内に水を入れ、かつ被加熱物が水に接しない状態で調理する調理メニューであるときの調理後位置は、被加熱物が前記上フタに取り付けられた加熱手段と前記第一の容器内の水に接しない中段位置とされることを特徴とする加熱調理器。
【請求項7】
請求項6に記載の加熱調理器であって、
前記調理開始前位置は、被加熱物が前記上フタに取り付けられた加熱手段と前記第一の容器内の水に接しない中段位置とされることを特徴とする加熱調理器。
【請求項8】
請求項1に記載の加熱調理器であって、
前記第一の容器と前記第二の容器は取っ手を備えており、前記第一の容器の取っ手と第二の容器の取っ手は、上面視した場合にそれぞれの取っ手の少なくとも一部が重なっており、前記第二の容器は昇降手段により昇降されることを特徴とする加熱調理器。
【請求項9】
請求項1に記載の加熱調理器であって、
前記昇降手段は、液外となる状態まで前記第二の容器を上昇させたのちに停止可能であることを特徴とする加熱調理器。
【請求項10】
請求項1に記載の加熱調理器であって、
前記第二の容器は、排水部を備える底面と、穴部または空間部により構成されていることを特徴とする加熱調理器。
【請求項11】
請求項8に記載の加熱調理器であって、
前記第二の容器は、前記昇降手段により昇降される2組の片手持ちの容器であることを特徴とする加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に被調理物を載置し、調理状況に応じて容器を上下させて調理を行う加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
容器に被調理物を載置し、調理状況に応じて容器を上下させて調理を行う調理器として、従来から種々のものが知られている。例えば特許文献1では、その
図1と段落0009の記載の通り、焼き網(上容器)とトレイ(下容器)を備えて、両方とも上下動可能としている。また、焼き網やトレイを装置に固定することは記載されていないので、つまりは焼き網やトレイは本体内の上方に位置しても下方に位置しても取り外し可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の調理器は、ただ単に魚等を焼くだけの装置であり、複数の調理メニューを取り扱う調理器を想定していない。然るに複数の調理メニューを取り扱う調理器では、調理メニューによっては液体を使用するものがある。
【0005】
これらの調理では加熱後の調理物が浸ってほしくない液体(酵素液、蒸し用の水)が下容器に溜まっている、あるいは加熱後の調理物が浸っても構わない液体(煮汁)が下容器に溜まっているといったことがある。この点に関し、特許文献1の調理器における上下動の機能は、そのような液体の取り扱いを考慮した構造となっていない。
【0006】
以上のことから本発明においては、液体の利用を含む複数の調理メニューを取り扱うに適した加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明においては、「上フタと下フタにより形成した加熱室と、加熱室内に取り外し可能に収納される第一の容器と、第一の容器内に取り外し可能に収納される第二の容器と、第二の容器を昇降させる昇降手段と、上フタと下フタのいずれか一方または双方に取り付けられた加熱手段とを備え、加熱手段の高さ位置は、調理メニューごとに調理開始前位置と調理後位置が定められており、調理メニューの指定に応じて当該調理メニューの調理開始前位置に移動し、調理後は調理メニューの次回の指定があるまで調理後位置に維持されることを特徴とする加熱調理器」としたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、液体の利用を含む複数の調理メニューを取り扱うに適した加熱調理器を提供することができる。
【0009】
具体的には、本発明の実施例によれば、使用者が調理終了と考えている被調理物が酵素液などの液体に再度浸されるのを防ぐことができる。例えば、使用者が調理終了(いい焼き加減)と判断したあと、加熱調理器内に被調理物を入れたまま保温のためにふたを閉じたりなどの動作をする場合があり、そのとき、加熱調理器が「調理途中」と判断をして、昇降手段を用いて被調理物を下方に移動して酵素液や蒸しモード用の水に浸してしまうリスクを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施例に係る加熱調理器の開状態における外観を示す斜視図。
【
図2】本発明の実施例に係る加熱調理器の閉状態における外観を示す三面図。
【
図3】本発明の実施例に係る加熱調理器の開状態における容器を含む外観を示す斜視図。
【
図4】2つの容器の取っ手部における組合せ事例を示す図。
【
図6b】第2の容器5Bを下位置にした時に取り外す状態を示す図。
【
図6c】第2の容器5Bを上位置又は中間位置から取り外す状態を示す図。
【
図11】調理メニューごとの調理開始前トレイ位置P1と、調理後トレイ位置P2の関係を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例について、図面を用いて説明する。なお以下の実施例1の説明では、まず容器の上下動を可能とする加熱調理器の構造例について、
図1から
図7を用いて明らかにしておくものとする。
【実施例0012】
図1は、本発明の実施例に係る加熱調理器の開状態に置ける外観を示す斜視図である。加熱調理器1は、上フタ2aと下フタ2bがヒンジ4により回転可能に支承されることにより、その内部に加熱室3を形成している。加熱室3内の空間には、食材を載置して調理を行うための容器5が収納され、上フタ2aの裏側(加熱室側)に設置された上ヒータ6aにより加熱調理を行う。なお図示していないが、下フタ2bの加熱室側には下ヒータが設定されていてもよい。また、ヒンジ4側を後側、反対側を前側とするとき、前側には上フタ2aと下フタ2bを対向させて係止し、また係止を解いて上フタ2aを開放するためのプッシュボタン7が設けられている。
【0013】
図2は、本発明の実施例に係る加熱調理器の閉状態に置ける外観を示す三面図である。上フタ2aと下フタ2bにより外観が形成されている加熱調理器1は、概ね箱型形状となっている。加熱調理器1を上方から見たときの平面図によれば、加熱調理器1の前側上面に操作及び表示のための操作パネル8が設けられており、加熱調理器1を前方から見たときの正面図によれば、上フタ2aを開閉し係止するためのプッシュボタン7が設けられている。また加熱調理器1を右側方から見たときの右側面図によれば、上フタ2aと下フタ2bの、かみ合わせライン9が表れている。
【0014】
この図で特徴的なことは、ヒンジ4の位置は比較的に高い位置とされており、後側の上フタ2aの厚みH1に対して、前側の上フタ2aの厚みH2が大きくなるような、かみ合わせライン9とされていることである。つまり、下フタの高さ方向の位置は前方が低く、後方が高くなっている。前側の上フタ2aの厚みH2が大きいことにより、内部の加熱源である上ヒータ2aと操作パネル8の距離が確保でき、断熱を行いやすいことにより、操作パネル8を前側上面に配置可能としている。
【0015】
図3は、本発明の実施例に係る加熱調理器の開状態に置ける容器を含む外観を示す斜視図である。この図によれば、上フタ2aと下フタ2bにより形成される加熱室3内に設置される内容物である容器5が取り外されている。下フタ2bにより形成されるくぼみ部分に収納される容器5は、下側に置かれる第1の容器5Aと第1の容器5A内に収めることが可能な大きさ、形状の第2の容器5Bとで構成されている。また下フタ2bには高さ方向に上下動する昇降部10が設けられており、後述するように第2の容器5Bのみを上下動させることができる。なお、加熱室3内の下フタ2bの上面には下ヒータ6bを設置してもよい。0
第1の容器5Aは、容器本体5A1と、対向する位置に設けられて穴部5A3が形成されている2つの取っ手5A2で構成される。第1の容器5Aは、2つの取っ手5A2が下フタ2bの上面に置かれることで、あるいは、容器本体5A1が下フタ2bにより形成するくぼみ内に着座することで、安定に加熱室3内に取り外し可能に設置される。第1の容器5Aの容器本体5A1には水、調味液および食材を入れ、上下のヒータ6a、6bから加熱することで、煮物調理を行うことができる。
【0016】
第2の容器5Bは、排水部5B3が形成された容器本体5B1と、対向する位置に設けられた2つの取っ手5B2で構成される。第2の容器5Bは、2つの取っ手5B2が下フタ2bに設けられた昇降部10の上面に置かれることで、加熱室3内に配置される。また第2の容器5Bの容器本体5B1は、第1の容器5Aの容器本体5A1内に収納可能な大きさ、形状とされていることで、第1の容器5Aと第2の容器5Bは、重ねた状態で加熱室3内に設置可能である。第2の容器5Bに食材を入れ、水、調味液を入れた第1の容器5A内に収納することで、食材に浸し付けを行うことができ、かつ昇降部10により第2の容器5Bを持ち上げ上下のヒータ6a、6bから加熱することで、食材の蒸調理或は焼き調理を行うことができる。
【0017】
また2つの容器5A、5Bの重ね収納状態において、第1の容器5Aの取っ手5A2と第2の容器5Bの取っ手5B2は、上下方向の少なくとも一部が同一部位となるようにされている。これにより、2つの容器5A、5Bは重ね収納状態のまま、同時に脱着が可能である。なお、これら容器の容器本体と取っ手は、一体に成型しても、また別体に成型したものであってもよい。
【0018】
図4に2つの容器の取っ手部における組合せ状態を示すように、第1の容器5Aの2つの取っ手5A2に形成された穴部5A3内に昇降部10が嵌装されており、昇降部10の上面で第2の容器5Bの2つの取っ手5B2を支持し、かつ第2の容器5Bを上下動させる事例を示している。
【0019】
この図の特徴的なことは、2つの容器を重ねて使用し、その取っ手部分と昇降部10を利用して第2の容器5Bのみを昇降操作させるようにしたことである。なお、取っ手部分と昇降部10の係合関係については、種々のものを採用可能である。
【0020】
かくして第2の容器5Bは、高さ方向の少なくとも3つの設置位置をとることができる。
図5aと
図5bと
図5cは、夫々下位置と上位置と中間位置の時の右側面断面図を示している。
【0021】
図5aの下位置の時、第1の容器5Aは、加熱室3の底面に着座し、或はその取っ手5a2が下フタ2bの上面に当接することで加熱室3に安定に収納されている。また第2の容器5Bは、第1の容器5Aの底面に着座し、或はその取っ手5b2が取っ手5a2、あるいは昇降部10の上面に当接することで第1の容器5A内に安定に収納されている。この状態で第1の容器5Aに水、調味液11を入れておくと、第2の容器5A内の食材を浸し付けすることになる。
【0022】
図5cの中間位置の時、第1の容器5Aは着座状態のまま、第2の容器5Bは取っ手5b2が昇降部10により持ち上げられて、図示の中間位置に達する。このとき水、調味液11は排水部5B3から第1の容器5A内に落下し、食材を空間に位置付けることができるので上下のヒータ6a、6bから加熱することで、食材の蒸調理或は焼き調理を行うことができる。
【0023】
図5bの上位置の時、第1の容器5Aは着座状態のまま、
図5cの中間位置から第2の容器5Bは取っ手5b2が昇降部10により持ち上げられて、図示の上位置に達する。特に焼き調理の場合に、食材を直接上ヒータ6aに接触させることで、焼き色や焦げ目をつけることができる。
【0024】
なお
図5a、
図5b、
図5cにおいて12は、操作パネル8の表示やヒータ、昇降手段10の制御などを行う制御基板で構成される制御部である。制御基板12は一般に熱に弱いが、
図2の右側面図に示すように、前側部分の上フタ2aの厚みH2を大きくとっているので、上ヒータ6aとの距離を長くすることができ、断熱が行いやすい構造になっている。
【0025】
また
図5a、
図5b、
図5cにおいて、上フタ2aと下フタ2bのかみ合わせライン9は、加熱調理器の前側において容器の取っ手位置よりも低い位置とされている。これにより、容器を取り外す時のスペースを確保でき、取り出しやすいものにすることができる。
【0026】
さらに
図5a、
図5b、
図5cにおいて、上フタ2aを回動させるヒンジ4を本体後方かつ、本体前面の着脱可能な容器5A、5Bをセットする高さ方向位置よりも高くしたことにより、上フタ2aの後部が薄いので、上フタ2aを開けた際に本体後部への突出量を短くできる。また上フタ2aにもヒータ6aを設けたことにより、上フタ2aが重くなった場合でも、上フタ2aを開けた際にも後方に転倒しにくいという効果がある。
【0027】
図6a、
図6b、
図6cにより、容器の取り付け、取り外しについて説明する。まず
図6aは容器取り付け前後を示している。取り付け前の上図では、前側厚みH2が大きい上フタ2aと下フタ2bのかみ合わせライン9としているために、上フタ2aを上方に開いた時に加熱室3が大きく広がっており、特に前側(手前側)が低い位置にあり、奥までのぞき込みやすい、従って容器を取り付けやすい構造になっている。これは使用後の清掃が行いやすい構造でもある。取り付け後の下図では、昇降部10による上側位置に第2の容器5Bを設置した状態を示しており、取っ手5A2の穴部5A3を嵌装した昇降部10が上位置にある状態で第2の容器5Bを設置した状態を示している。なお本発明では、調理後の段階において、昇降部10を上中下、いずれに位置させておくのがよいかを、調理時の調理メニューに応じて決定している。
【0028】
図6bは、第2の容器5Bを下位置にした時に取り外す状態を示しており、上フタ2aと下フタ2bのかみ合わせライン9が加熱調理器の前側において容器の取っ手位置よりも低い位置とされているので、十分な隙間を設けることができ、取り出すときの指の隙間を確保できている。なお、
図6bでは容器5Aと容器5Bを一緒に持ち上げているがこれに限られず、容器5Bのみ持ち上げることも可能である。
【0029】
より具体的には、容器の取っ手と調理器本体の間に、十分な隙間(空間)を設けやすく、このため、容器の着脱の際、使用者の指を入れるのに十分な隙間も設けられるので、取っ手を保持して容器の着脱が可能であり、特に容器内に液体がある場合でも、容器を持ち上げて取り外す際に液体をこぼしにくくすることができる。なお、隙間確保のために、調理器本体に凹部を設け、該凹部に着脱可能な容器を載置する事でも同様の効果を得ることができる。
【0030】
図6cは、第2の容器5Bを上位置にした時に取り外す状態を示しており、上位置に支持された容器5Bを取り外した後に容器5Aのみを取り外すことができる。
【0031】
図7は、上フタ2aを開いた時の開放位置を示す図であり、基本的に二段階開放としている。第1段階開放位置は左のようであり、概ね70度ないし80度の開放とする。これはプッシュボタン7を操作した時に上フタ2aがばねなどにより自動的に開放して停止する位置であり、90度以下の開放角度とすることにより、調理により生じた結露が開放により落下しても、加熱調理器1外に飛散せず、第1の容器5A内に回収可能となる。
【0032】
右の第2開放段階は、ユーザが手動で操作することにより取りうる位置であり、概ね110度程度の開放とするのがよい。この程度の開放であれば開いても倒れない程度の角度である。
【0033】
図7右の状態では、上フタ2aを90度より開いた状態で、上フタ2aに設けたヒータ6aを着脱可能としているが、これにより上フタ2aを開けてヒータを取り外した時に、ヒータの落下を抑制できる。さらに、上フタ2aを開くときに75度程度で停止するようにばねやダンパーを設け、停止位置から手で押すとさらに上フタ2aが開くようにすると上フタ2aが開く際の慣性での本体の揺れを抑制できる。このため、容器内に液が存在する場合でも、波打ってこぼれるのを抑制できる。
【0034】
なお、上ヒータ6aは取り外して清掃可能とするのがよく、第2開放段階によれば上フタ2aが大きく開いているので取り出しやすいものとすることができる。また内面の清掃を行いやすい。ここで、上ヒータ6aを取り外す際は
図7中央の図に示した様に、上フタ2aが90度より開いた状態において、上側にくるヒータロック部2a1のラッチを外した際にヒータの落下を防止するため、下側に係止部2a2を備えている。この係止部2a2上ヒータ6a側に凸部を設け、上フタ2a側の凹部に嵌合してもよいし、上ヒータ6a側に凹部を設け、上フタ2a側の凸部に嵌合してもよい。
【0035】
実施例1では、
図2の右側面図に示したように、かみ合わせライン9について上フタ2aの前側厚みH2が後側厚みH1よりも大きくされている。このようにすべき理由は、加熱調理器の開発段階における以下の経緯による。これは、まず容器に液体を入れたあとに調理器に容器を設置する場合、設置する過程で容器が傾いてしまった場合などに液体がこぼれてしまうことに着目したことによる。このことから、調理器に容器を設置後に容器に液体を入れる運用を考えた。このとき、容器を注ぎ入れる場所から容器底面までの距離が長いと(言い換えると、フタを除いた容器の前側の壁が高いと)、液体を高いところから注ぐことになるので液体が容器外に跳ねてしまう。これを防ぐ構造が、上フタ2aの前側厚みH2が後側厚みH1よりも大きくすることである。
【0036】
これにより、調理器本体の前側を低くできるので、着脱可能な容器をセットする高さ方向位置を低くすることができる。調理器に設置した容器内に液体が入っている状況を作る過程での液体の飛び跳ねを低減しつつ、容器内に液体を入れやすくするという効果を奏することができる。
【0037】
またこの構造の採用により副次的に、前側が低くなっているので、覗き込みやすい、容器をセットする際に邪魔な壁は後ろにしかないので、容器を容易にセットできる、容器の前側と両サイドには壁を本体上部側に設けないように構成可能であるという効果が得られる。さらには、上フタ2aの前側を厚く構成しているので断熱材を設けられ、操作パネルを上フタ2aの前側に設けることができる、調理後に上フタ2aを開けた際に、蒸気などが使用者にかかりにくい構成とすることができるという効果も得られる。
【0038】
また実施例1では、容器内に液体(水や酵素、調味液)を入れた状態で被加熱物を加熱する調理器において、調理器は、取り外し可能な第1の容器5A(液体が溜まっている容器)と、取り外し可能かつ第1の容器5Aよりも上方に位置する第2の容器5B(食材を載置する容器)と、第2の容器5Bを昇降させる昇降手段を備え、第1の容器5Aと第2の容器はそれぞれ取っ手が付いており、上面視した場合にそれぞれの取っ手の少なくとも一部が重なっていることにより、高さ方向に重ねて配置した第2の容器5Bの昇降が可能であり、昇降時に第2の容器5Bを安定して持ち上げることができる。
【0039】
また第2の容器5Bは底面に穴あるいは空間が開いている(水を切るための穴)ので、溶液中での調理後に、第2の容器を上昇させることにより湯切り(液切り)ができ、第1の容器5Aに水を入れ、第2の容器5Bに食材を載せ、第1の容器5Aを加熱することにより、食材を蒸し調理可能である。
【0040】
さらに昇降手段は食材が液外となる状態まで第2の容器5Bを上昇させたのちに停止(第2の容器5Bの位置を固定)可能であり、これによりこの状態で加熱/調理を開始すると、蒸し調理用に鍋である第1の容器5Aに水を注いでも、食材が水で浸るのを回避可能であり、蒸し時間に合わせて、液面の高さを変えられるように、多段階で停止位置を変えられるようにしてもよく、液面と食材位置を近くして、蒸気を食材に当てやすくする効果がある。
【0041】
本発明は、
図1から
図7で一例を示した容器上下動構造を利用して、液体利用を含む複数の調理メニューを取り扱い可能としたものである。ここでの調理メニューの例は焼き調理、煮る調理、蒸し調理を例示するが、他の調理メニューが含まれていてもよい。
【0042】
図8、
図9、
図10は、夫々焼き調理、煮る調理、蒸し調理の処理工程を示した図である。焼き調理A、煮る調理B、蒸し調理Cにおける処理工程は、夫々準備段階(A1,B1,C1)、調理段階(A2,B2,C2)調理後段階(A3,B3,C3)に分けて示されている。
【0043】
まず
図8の焼き調理Aの準備段階A1では、A100からA107の工程がユーザによって順次実行される。工程A100では、加熱調理器1の電源がオンにされ、工程A101ではユーザが操作パネル8を操作してレシピを設定する。この場合には焼き調理Aが設定された。これを受けて加熱調理器1は、工程A102において第2の容器5Bのトレイ位置最適化処理を行う。トレイ位置最適化処理では、焼き調理Aにおける調理開始前トレイ位置P1Aとして第2の容器5Bが下段となるように昇降部10の位置を選択する。
【0044】
なお本発明では、調理メニュー(焼き調理A、煮る調理B、蒸し調理C)ごとに調理開始前トレイ位置P1(P1A,P1B,P1C)と、調理後トレイ位置P2(P2A,P2B,P2C)を予め設定したものであり、工程A102のトレイ位置最適化処理では前回調理の時の調理後トレイ位置P2を、今回調理の調理開始前トレイ位置P1に設定したものである。
【0045】
以降の焼き調理Aの準備段階A1では、ユーザにより上フタ2aを開け(工程A103)、食材トレイ(第2の容器5B)に食材をセット(工程A104)、液体トレイ(第1の容器5A)に酵素、水をセット(工程A105)、上フタ2aを閉め(工程A106)、調理スタート(工程A107)が順次行われる。
【0046】
次に
図8の焼き調理Aの調理段階A2では、A200からA203の工程が加熱調理器1内で順次自動実行される。まず工程A200では、ユーザにより調理開始が指示される。
【0047】
この時、第2の容器5Bは下段(下位置)に位置付けられたことで、第1の容器5Aとの配置関係は
図5aのようになっている。第1の容器5Aは、加熱室3の底面に着座し、或はその取っ手5a2が下フタ2bの上面に当接することで加熱室3に安定に収納されている。また第2の容器5Bは、第1の容器5Aの底面に着座し、或はその取っ手5b2が取っ手5a2、あるいは昇降部10の上面に当接することで第1の容器5A内に安定に収納されている。
【0048】
この状態で第1の容器5Aに水、調味液11を入れておくことにより、第2の容器5B内の食材を浸し付けすることになり、工程A200では焼き調理の第一段階として下位置において低温調理を行い、調味液を効率よく食材に吸収させ食材が硬くなるのを抑制する。
【0049】
次に工程A201において、第2の容器5Bを
図5cの中間段階に位置づける。
図5cの時、第1の容器5Aは着座状態のまま、第2の容器5Bは取っ手5b2が昇降部10により持ち上げられて、図示の中間位置に達する。このとき水、調味液11は排水部5B3から第1の容器5A内に落下し、食材の表面に付着した液をきることができる。ここで、工程A201では中間位置において焼き調理の第二段階として焼き工程を実行してもよい。この工程では、さらに第2の容器5Bを
図5bの上段(上位置)に位置づけて、焼き色や焦げ目をつける調理(焼き目調理)が行われるが、
図8では図示を割愛している。なお焼き目調理では、第1の容器5Aは着座状態のまま、
図5cの中間位置から第2の容器5Bは取っ手5b2が昇降部10により持ち上げられて、
図5bに図示の上位置に達する。このとき、食材を直接上ヒータ6aに接触させることで、焼き色をつけることができる。
【0050】
加熱調理器1は
図5bの上位置における焼き目調理が終了すると、中間位置に戻るとともに、焼き目調理を含む焼き調理が終了したことをユーザに報知する。これをうけてユーザは工程A202において食材を取り出し、工程A203においてふたを閉める。なお加熱調理器1は、焼き調理の実行中に焼き具合などを確認するためにユーザが上フタ2aを開放したときも、中間位置に戻るのがよい。
【0051】
その後、焼き調理Aの調理後段階A3では、ユーザにより上フタ2aを開け(工程A300)、2つのトレイを取り出し(工程A301)、洗浄乾燥後に2つのトレイを戻し(工程A302)、ふたを閉めて(工程A303)次回調理まで待機する。なお、焼き調理の場合には、第2の容器5Bの調理後高さ位置は中間位置とされ、以後次回調理となるまで、この位置が保持される。つまり焼き調理における調理後トレイ位置P2Aは中間位置とされている。
【0052】
次に
図9の煮る調理Bの準備段階B1では、B100からB108の工程がユーザによって順次実行される。工程B100では、加熱調理器1の電源がオンにされ、工程B101ではユーザが操作パネル8を操作してレシピを設定する。この場合には煮る調理Bが設定された。これを受けて加熱調理器1は、工程B102においてトレイ位置最適化処理を行う。トレイ位置最適化処理では、煮る調理Bにおける調理開始前トレイ位置P1Bとして第2の容器5Bが下段となるように昇降部10の位置を選択する。
【0053】
以降の煮る調理Bの準備段階B1では、ユーザにより上フタ2aを開け(工程B103)、食材トレイ(第2の容器5B)を取り出し(工程B104)、液体トレイ(第1の容器5A)に食材をセット(工程B105)し、液体トレイ(第1の容器5A)に酵素、調味料をセット(工程B106)し、上フタ2aを閉め(工程B107)、調理スタート(工程B108)が順次行われる。
【0054】
次に
図9の煮る調理Bの調理段階B2では、B200からB202の工程が加熱調理器1内で順次自動実行される。まず工程B200の調理では、第2の容器5Bは取り外されて使用していないが、高さ位置は下段(下位置)に位置付けられている。第1の容器5Aは、加熱室3の底面に着座し、或はその取っ手5a2が下フタ2bの上面に当接することで加熱室3に安定に収納されている。この状態で第1の容器5Aに水、調味液11を入れておくことにより、第1の容器5A内の食材を煮る調理を実行する。
【0055】
加熱調理器1は、
図5aの下位置における煮る調理が終了すると、煮る調理が終了したことをユーザに報知する。これをうけてユーザは工程B201において食材を取り出し、工程B202においてふたを閉める。このとき、煮る調理Bの終了時の位置は下段位置に置かれている。
【0056】
その後、煮る調理Bの調理後段階B3では、ユーザにより上フタ2aを開け(工程B300)、液体トレイを取り出し(工程B301)、洗浄乾燥後に2つのトレイを戻し(工程B302)、ふたを閉めて(工程B303)次回調理まで待機する。なお、煮る調理の場合には、第2の容器5Bの調理後高さ位置は、調理中とそのままに下位置とされ、以後次回調理となるまで、この位置が保持される。つまり煮る調理における調理後トレイ位置P2Bは下位置とされている。また、煮る調理Bの準備段階B1の工程B104では、食材トレイ(第2の容器5B)を取り出さず、そのまま使用してもよい。
【0057】
次に
図10の蒸し調理Cの準備段階C1では、C100からC109の工程がユーザによって順次実行される。工程C100では、加熱調理器1の電源がオンにされ、工程C101ではユーザが操作パネル8を操作してレシピを設定する。この場合には蒸し調理Cが設定された。これを受けて加熱調理器1は、工程C102においてトレイ位置最適化処理を行う。トレイ位置最適化処理では、蒸し調理Cにおける調理開始前トレイ位置P1Cとして第2の容器5Bが中段(中間位置)となるように昇降部10の位置を選択する。
【0058】
以降の蒸し調理Cの準備段階C1では、ユーザにより上フタ2aを開け(工程C103)、食材トレイ(第2の容器5B)を取り出し(工程C104)、食材トレイ(第2の容器5B)に食材をセット(工程C105)し、液体トレイ(第1の容器5A)に水をセット(工程C106)し、液体トレイ(第1の容器5A)を戻し(工程C107)、上フタ2aを閉め(工程C108)、調理スタート(工程C109)が順次行われる。
【0059】
次に
図10の蒸し調理Cの調理段階C2では、C200からC202の工程が加熱調理器1内で順次自動実行される。まず工程C200の調理では、第2の容器5Bは
図5cの中間位置に位置付けられており、第1の容器5Aは、加熱室3の底面に着座し、或はその取っ手5a2が下フタ2bの上面に当接することで加熱室3に安定に収納されている。このため、食材12は水に接することなく、空間に配置されている。この状態で第1の容器5Aに水を入れておき、第1の容器5A内の水を下側から加熱することで発生した蒸気により、第2の容器5B内の食材を蒸し調理を実行する。
【0060】
加熱調理器1は、
図5cの中間位置における蒸し調理Cが終了すると、蒸し調理Cが終了したことをユーザに報知する。これをうけてユーザは工程C201において食材を取り出し、工程C202においてふたを閉める。このとき、蒸し調理Cの終了時の位置は調理時のまま中段位置に置かれている。
【0061】
その後、蒸し調理Cの調理後段階C3では、ユーザにより上フタ2aを開け(工程C300)、2つのトレイを取り出し(工程C301)、洗浄乾燥後に2つのトレイを戻し(工程C302)、ふたを閉めて(工程C303)次回調理まで待機する。なお、蒸し調理Cの場合には、第2の容器5Bの調理後高さ位置は、調理中とそのままに中間位置とされ、以後次回調理となるまで、この位置が保持される。つまり蒸し調理Cにおける調理後トレイ位置P2Cは中段位置とされている。
【0062】
以上述べた
図8から
図10の事例に示すように、本発明では、調理メニュー(焼き調理A、煮る調理B、蒸し調理C)ごとに調理開始前トレイ位置P1(P1A,P1B,P1C)と、調理後トレイ位置P2(P2A,P2B,P2C)を予め設定したものであり、工程A102、B102,C102のトレイ位置最適化処理では前回調理の時の調理後トレイ位置P2を、今回調理の調理開始前トレイ位置P1に設定したものである。
【0063】
因みに焼き調理Aの場合に調理開始前トレイ位置P1Aは工程A103に示すように下段であり、調理後トレイ位置P2Aは工程A202に示すように中段であり、煮る調理Bの場合に調理開始前トレイ位置P1Bは工程B103に示すように下段であり、調理後トレイ位置P2Bは工程B201に示すように下段であり、蒸し調理Cの場合に調理開始前トレイ位置P1Cは工程A103に示すように中段であり、調理後トレイ位置P2Cは工程C202に示すように中段である。
【0064】
図11は、調理メニューごとの調理開始前トレイ位置P1と、調理後トレイ位置P2の関係を示した図である。この図では縦方向に各調理メニューにおける調理開始前トレイ位置P1を示し、横方向に各調理メニューにおける調理後トレイ位置P2を示している。また縦横のマトリクス内には、工程A102、B102,C102のトレイ位置最適化処理内容を示している。
【0065】
これによれば、今回が焼き調理Aである場合(調理開始前トレイ位置P1がP1A)に、前回調理が焼き調理A(調理後トレイ位置P2がP2A)であれば工程A102において中段から下段に移動させ、前回調理が煮る調理B(調理後トレイ位置P2がP2B)であれば工程A102において下段のままとし、前回調理が蒸し調理C(調理後トレイ位置P2がP2C)であれば工程A102において中段から下段に移動させる。
【0066】
同様に今回が煮る調理Bである場合(調理開始前トレイ位置P1がP1B)に、前回調理が焼き調理A(調理後トレイ位置P2がP2A)であれば工程B102において中段から下段に移動させ、前回調理が煮る調理B(調理後トレイ位置P2がP2B)であれば工程B102において下段のままとし、前回調理が蒸し調理C(調理後トレイ位置P2がP2C)であれば工程B102において中段から下段に移動させる。
【0067】
同様に今回が蒸し調理Cである場合(調理開始前トレイ位置P1がP1C)に、前回調理が焼き調理A(調理後トレイ位置P2がP2A)であれば工程C102において中段のままとし、前回調理が煮る調理B(調理後トレイ位置P2がP2B)であれば工程C102において下段から中段に移動し、前回調理が蒸し調理C(調理後トレイ位置P2がP2C)であれば工程C102において中段のままとする。
【0068】
以上、
図8から
図10の焼く、煮る、蒸す、の各調理メニューの事例で述べたように、本発明では調理終了後の昇降部10の高さ位置をそのまま維持することとし、次回調理の調理メニュー決定(工程A101,B101,C101)をもって、次回調理の調理メニューで定まる調理開始前位置に移動させたものである。つまり、加熱指示情報に基づいた加熱の終了から、次の加熱指示情報の指示があるまで、昇降部10の高さ位置を維持することにしたものである。
【0069】
この結果として本発明によれば、ユーザが調理終了と考えている被調理物(食材12)が酵素液などの液体に再度浸されるのを防ぐことができる。具体的には例えば、ユーザが調理終了(いい焼き加減)と判断したあと、加熱調理器1内に被調理物を入れたまま保温のためにふたを閉じたりなどの動作をする場合がある。そのとき、機器が「調理途中」と判断をして、昇降手段を用いて被調理物を下方に移動して酵素液や蒸しモード用の水に浸してしまうリスクがあるが、本発明ではそれを防ぐことができる。
【0070】
また、焼く、蒸す調理では調理後トレイ位置P2が中段とされていることに関連して、下容器(第1の容器5A)に水、上容器(第2の容器5B)に食材を入れることで蒸し器としても使用することができるので、作ったものがそのままの位置(中段位置)で保持することができるため食材が水に濡れず、調理完了後取り出すことができる。また、調理終了後にも水、食材の追加も可能になり、直前の調理情報を引き継ぐため好みに合わせて追加調理できる。
【0071】
また、庫内や蒸し用の水、食材が温かい状態から調理を再開できるので、初期状態(コールドスタート)に比較して時間の短縮・消費電力の削減が期待できる。この結果、意図的に下容器に上容器を浸すことができるため煮物など、多品種のものを煮詰める際に分割された上容器を用い、中段位置まで上下させることで食材や好みに適した調理ができる。上容器を中段位置から上位置まで動かし上ヒータで焼き色を付けるなど独自の調理方法が実現できる清掃時、下から下容器引き上げた際に中間位置の上容器も一緒に引き上げることが可能である。
実施例1では、本発明の簡便な説明のために、代表的な調理メニューとして焼き調理A、煮る調理B、蒸し調理Cを例示した。然しながら本発明の調理メニューはこれらにのみ限定されるわけではなく、これらの組み合わせや各種変形調理を含むものであってもよい。実施例2では、これらのその他の調理メニューについて説明する。
これらの調理メニューの一つ目は、焼き調理Aに関連して焼き目を追加することであり、再度最上部へ移動して焼き目を増加させるケースである。また、裏側の焼き目を追加するために、食材を裏返し、再度最上部へ移動して裏側に焼き目をつけるケースである。
また調理メニューの二つ目は、ウナギや焼き鳥のイメージであり、タレにつけて昇降して焼き色を付ける調理であり、例えば下段での低温調理(タレ漬け)から上昇して焼きを行い、下降してタレ漬けの後に再度上昇して焼き色を付けるといったケースである。
また調理メニューの四つ目は、角煮のように焼いてから煮て焼くものであり、中段や上段での焼きから下降して低温調理で煮るとともに、再度上昇し焼き色を付けるといったケースである。
これらの場合であっても、本発明では一連の調理後の調理後トレイ位置P2のままに、昇降部の高さ位置を維持することとし、次回調理の調理メニュー決定(工程A101、B101、C101)をもって、次回調理の調理メニューで定まる調理開始前位置に移動させることができる。