(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112695
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】ロッカー装置
(51)【国際特許分類】
F25D 13/02 20060101AFI20240814BHJP
F25D 29/00 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
F25D13/02
F25D29/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017923
(22)【出願日】2023-02-08
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1.令和4年9月7日から8日、フードストアソリューションズフェア2022に出展し公開 2.令和4年10月24日、コープ和泉中央店及び南海電気鉄道株式会社泉大津駅へ納品 3.令和5年2月7日から10日、第23回厨房設備機器展に出展し公開
(71)【出願人】
【識別番号】000239585
【氏名又は名称】フクシマガリレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 真吾
(72)【発明者】
【氏名】山口 拓真
(72)【発明者】
【氏名】ファム ディン トゥアン
【テーマコード(参考)】
3L045
【Fターム(参考)】
3L045AA05
3L045AA07
3L045BA01
3L045CA02
3L045PA04
(57)【要約】
【課題】収納室の扉に代えて操作部が配されるロッカー装置において、ロッカー装置の冷却機構の構造変更を必要とすることなく、操作部へ冷熱が伝導されて結露が生じることを防ぐ。
【解決手段】操作部8の後方側に、操作部8への冷熱の伝熱を抑える断熱構造を設ける。この断熱構造は、操作部8の後方に配置され、矩形状の主壁70を有する金属製の仕切り板66と、仕切り板66の後方に配されて、主壁70の全体を覆う断熱材からなる断熱ボード67と、断熱ボード67の後方に配されて、断熱ボード67の後面74と側面75、及び仕切り板66の側壁71を覆う発泡樹脂製の断熱シート68からなり、これら仕切り板66と断熱ボード67と断熱シート68の三者を一体化してなる断熱体69で構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に本体開口(1)を有する直方状の本体ケース(2)と、
本体ケース(2)の内部空間(3)を画成するように構成された複数個の収納室(4)と、
本体ケース(2)の前面側に配されて、各収納室(4)の取出し口(5)を開閉する扉(6)の施錠/解錠を行うロック装置(7)を操作するための操作部(8)とを備え、
収納室(4)の収納空間が冷却機構により冷却されるロッカー装置において、
一又は二の収納室(4)の扉(6)に代えて、これら収納室(4)の取出し口(5)を封するように操作部(8)が配されており、
操作部(8)の後方側に固定されて、操作部(8)への冷熱の伝熱を抑える断熱構造が、操作部(8)の後方に配置され、矩形状の主壁(70)を有する金属製の仕切り板(66)と、仕切り板(66)の後方に配されて、主壁(70)の全体を覆う断熱材からなる断熱ボード(67)と、断熱ボード(67)の後方に配されて、断熱ボード(67)の後面(74)と側面(75)、及び仕切り板(66)の側壁(71)を覆う発泡樹脂製の断熱シート(68)からなり、これら仕切り板(66)と断熱ボード(67)と断熱シート(68)の三者を一体化してなる断熱体(69)で構成されていることを特徴とするロッカー装置。
【請求項2】
断熱シート(68)が、断熱ボード(67)の後面(74)を覆う矩形状の後片(79)と、後片(79)の上下縁/左右縁から前方に向かって伸びて、断熱ボード(67)と仕切り板(66)の対向する2つの側面(75)と側壁(71)とを覆う2つの側片(80)とを備える断面コ字状の第1シート(77)と、側片(80)の形成箇所を除く位置に配されて、断熱ボード(67)と仕切り壁(66)の対向する2つの側面(75)と側壁(71)とを覆う長方形状の2枚の第2シート(78・78)とで構成されている、請求項1に記載のロッカー装置。
【請求項3】
仕切り板(66)が、主壁(70)と、主壁(70)の四周縁から前方に向かって形成された側壁(71)とを備え、前方に操作部(8)の後端部を受け入れる凹入部(72)を有する浅底容器状に形成されている、請求項1又は2に記載のロッカー装置。
【請求項4】
操作部(8)は、表示部(32)を有する操作端末(33)と、操作端末(33)を支持する取付枠(35)とを有し、
取付枠(35)は、操作端末(33)を受け入れる開口(44)を有するベース壁(45)と、ベース壁(45)から左右外方向に向かって延設されて、止め具(53)により本体ケース(2)の開口周縁に止付けられる取付壁(47)とを有し、
仕切り板(66)の側壁(71)には、本体ケース(2)の開口周縁に係合する係合片(73)が左右の外方向に突設されており、
係合片(73)が取付壁(47)と本体ケース(2)の開口周縁とで挟持固定されている、請求項3に記載のロッカー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数個の収納室を備え、これら収納室内に収納された収納物を冷却した状態で保管することができるロッカー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のロッカー装置は、例えば特許文献1、2に開示されている。特許文献1のロッカー装置は、制御ユニット2とクール用ロッカーユニット3と、ドライ用ロッカーユニット4・5とで構成される。制御ユニット2には、操作スイッチや表示パネルなどが設けられている。クール用ロッカーユニット3は、前面開口が扉31a~34aにより開閉可能に構成された収納室31~34を備えている。収納室31~34の後面と上下左右面は、断熱壁11により区画されている。断熱壁11には、内箱に密着するように蒸発器12g-1~4が形成されており、これら蒸発器12g-1~4により各収納室31~34は冷却される(特許文献1の
図5参照)。制御ユニット2は、クール用ロッカーユニット3の側方に配されている(特許文献1の
図1参照)。
【0003】
特許文献2のロッカー装置は、断熱箱体からなる直方状の装置本体10を備える。装置本体10の内部には、複数のロッカー部20と導風路30が形成されている。導風路30はロッカー部20の後方側に形成されており、その上下方向の中央部には、蒸発器41が配されており、導風路30の上端には循環ファンFが配されている。装置本体10の底壁板13の下方には、圧縮機42や凝縮器43などを備える機械室17が設けられている。各ロッカー部20には、流入口25と流出口26とが形成されており、導風路30から供給された冷風は、導入口25を通ってロッカー部20の内部の収納域20aに供給されたのち、流出口26を介して収納域20aから導風路30に流出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3-136609号公報
【特許文献2】特開2022-163992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者等は、コンパクト化と低コスト化を課題としてロッカー装置の設計に携わっており、そこでは特許文献1のように、制御ユニットとロッカーユニットとを別々に設けるのではなく、収納室の1つ或いは2つを廃して、そこに操作部を配することを予定している。つまり、上下方向や左右方向に並ぶ多数個の収納室の中から、使用者の操作しやすい高さ位置にある1つ或いは2つの収納室の扉に代えて、二次元コードリーダーや操作用端末からなる操作部を嵌め込むことを予定している。しかし、特許文献1のロッカー装置では、各収納室31~34を区画する断熱壁11に蒸発器12g-1~4が形成されているため、収納室31~34の扉31a~34aに代えて操作部を配した場合には、冷却機構からの冷熱が操作部に伝導することが避けられず、操作部が冷却されて、結露が生じて操作部が故障するおそれがある。特許文献2のロッカー装置においても同様であり、導風路30から導入口25を通ってロッカー部20(収納室)の内部の収納域20aに供給された冷気により、操作部が冷却されて、結露が生じて操作部が故障するおそれがある。
【0006】
この問題は、例えば、特許文献1の構成では、操作部を配する収納室31~34の断熱壁11に埋め込まれる蒸発器12g-1~4を削除する、或いは蒸発器12g-1~4への冷媒の供給を停止することで解決できるが、その場合には蒸発器12g-1~4の配置を含む断熱箱の構造を変更する、或いは冷媒の供給ラインを変更することなど、ロッカー装置自身の大幅な断熱機構の構造変更が必要となり、ロッカー装置の製造コストが上昇することが避けられない。特許文献2の構成においても同様であり、操作部を配するロッカー部20の導入口25を塞ぐなど、ロッカー装置自身の大幅な断熱機構の構造変更が必要となり、ロッカー装置の製造コストが上昇することが避けられない。別の解決方法としては、操作部の裏面に結露防止用のヒーターを取り付けることが考えられるが、その場合には配線が増える、消費電力が増えるなどの新たな問題が生じる。
【0007】
本発明は、収納室の扉に代えて操作部が配されるロッカー装置において、ロッカー装置の冷却機構の構造変更を必要とすることなく、操作部へ冷熱が伝導されて結露が生じることを確実に防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前面に本体開口1を有する直方状の本体ケース2と、本体ケース2の内部空間3を画成するように構成された複数個の収納室4と、本体ケース2の前面側に配されて、各収納室4の取出し口5を開閉する扉6の施錠/解錠を行うロック装置7を操作するための操作部8とを備え、収納室4の収納空間が冷却機構により冷却されるロッカー装置を対象とする。一又は二の収納室4の扉6に代えて、これら収納室4の取出し口5を封するように操作部8が配されている。そして、操作部8の後方側に固定されて、操作部8への冷熱の伝熱を抑える断熱構造が、操作部8の後方に配置され、矩形状の主壁70を有する金属製の仕切り板66と、仕切り板66の後方に配されて、主壁70の全体を覆う断熱材からなる断熱ボード67と、断熱ボード67の後方に配されて、断熱ボード67の後面74と側面75、及び仕切り板66の側壁71を覆う発泡樹脂製の断熱シート68からなり、これら仕切り板66と断熱ボード67と断熱シート68の三者を一体化してなる断熱体69で構成されていることを特徴とする。
【0009】
断熱シート68は、断熱ボード67の後面74を覆う矩形状の後片79と、後片79の上下縁/左右縁から前方に向かって伸びて、断熱ボード67と仕切り板66の対向する2つの側面75と側壁71とを覆う2つの側片80とを備える断面コ字状の第1シート77と、側片80の形成箇所を除く位置に配されて、断熱ボード67と仕切り壁66の対向する2つの側面75と側壁71とを覆う長方形状の2枚の第2シート78・78とで構成されている。
【0010】
仕切り板66は、主壁70と、主壁70の四周縁から前方に向かって形成された側壁71とを備え、前方に操作部8の後端部を受け入れる凹入部72を有する浅底容器状に形成されている。
【0011】
操作部8は、表示部32を有する操作端末33と、操作端末33を支持する取付枠35とを有する。取付枠35は、操作端末33を受け入れる開口44を有するベース壁45と、ベース壁45から左右外方向に向かって延設されて、止め具53により本体ケース2の開口周縁に止付けられる取付壁47とを有する。仕切り板66の側壁71には、本体ケース2の開口周縁に係合する係合片73が左右の外方向に突設されており、係合片73が取付壁47と本体ケース2の開口周縁とで挟持固定されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明のように、一又は二の収納室4の扉6に代えて、これら収納室4の取出し口5を封するように操作部8が配されているロッカー装置において、操作部8の後方側に断熱構造が固定されていると、当該断熱構造により後方側の収納室4から前方側の操作部8へ冷熱が伝導されることを抑えることができるので、操作部8が冷却されて結露が生じ、操作部8が故障することなどを防ぐことができる。ロッカー装置の冷却機構の構造変更は不要であるため、操作部8を設けたことに伴って、ロッカー装置の製造コストが大幅に上昇することを防ぐことができる。結露防止用のヒーターを取り付ける必要がなく、配線が増える、消費電力が増えるといった問題が生じることもない。
【0013】
断熱構造が、操作部8の後方に配置された金属製の仕切り板66と、仕切り板66の後方側に配された断熱ボード67とを含む断熱体69で構成されていると、より確実に操作部8への冷熱の伝導を抑えることができる。詳しくは、比較的熱伝導率の高い金属製の仕切り板66が前方側、すなわち操作部8側に配され、比較的熱伝導率の低い断熱材製の断熱ボード67が後方側、すなわち収納室4内側に配されていると、両者(仕切り板66と断熱ボード67)が前後逆に配置されている構成に比べて、断熱ボード67による冷熱の遮断効果が良好に発揮されるため、収納室4内の冷熱が仕切り板66に伝導することを防ぐことができる。金属製の仕切り板66が直接的に冷却されることを抑えることができ、この点でも収納室4内の冷熱が仕切り板66に伝導することを防ぐことができる。したがって、操作部8に冷熱が伝導することをより確実に防ぐことができる。
【0014】
加えて、断熱ボード67の後方側に、断熱ボード67の後面74と側面75、及び仕切り板66の側壁71を覆う発泡樹脂製の断熱シート68が配されていると、当該断熱シート68により、断熱ボード67に対して冷熱が伝導することを防ぐことができるので、断熱体69の断熱性能の向上を図ることができる。断熱ボード67の表面に水滴が付着することを防ぐことができるので、付着した水分により断熱ボード67が腐敗することを防ぐこともできる。断熱シート68により、断熱ボード67の側面75だけでなく、仕切り板66の側壁71も覆うように構成されていると、当該側壁71を介して冷気が仕切り板66の主壁70に伝導することを効果的に防ぐことができる。発泡樹脂からなる断熱シート68は、適度なクッション性(圧縮性)を有する。このため、断熱体69を本体ケース2の開口領域に嵌め込む形態を採った場合には、開口領域に合わせて断熱シート68を圧縮変形させて、開口領域と断熱体69との隙間を埋めることができるので、この点でも操作部8側(前方側)へ冷気が伝導することを防ぐことができる。このように断熱シート68が圧縮変形することができると、断熱体69の外形形状や本体開口の内形寸法に過酷な成形精度は要求されず、成形精度に余裕を持たせることができるため、断熱体69の製造コストやロッカー装置の製造コストの上昇を抑えることができる。
【0015】
断熱シート68が、断熱ボード67の後面74を覆う矩形状の後片79と、後片79の上下縁/左右縁から前方に向かって伸びて、断熱ボード67と仕切り板66の対向する2つの側面75と側壁71とを覆う2つの側片80とを備える断面コ字状の第1シート77と、側片80の形成箇所を除く位置に配されて、断熱ボード67と仕切り板66の対向する2つの側面75と側壁71とを覆う長方形状の二枚の第2シート78・78とで構成されていると、断熱シート67を後片79と四つの全ての側片80を含む一枚物の形態とする場合に比べて、断熱シート68、或いは断熱ボード67の成形精度に余裕を持たせることができる。したがって、断熱体69の製造コストやロッカー装置の製造コストの上昇を抑えることができる。
【0016】
仕切り板66が、主壁70と、主壁70の四周縁から前方に向かって形成された側壁71とを備え、前方に操作部8の後端部を受け入れる凹入部72を有する浅底容器状に形成されていると、この凹入部72を介して仕切り板66の内部に操作部8の後端部を差し込むことで、操作部8の全体をより後方寄りに配置させることができる。これにより、断熱体69を設けたことに伴って操作部8が前方寄りに配置されて、操作部8が前方側に突出することを防ぐことができる。換言すれば、操作部8の前端から熱体69の後端までの前後方向の厚み寸法を小さくすることができる。
【0017】
操作部8が、表示部32を有する操作端末33と、操作端末33を支持する取付枠35とを有し、取付枠35は、操作端末33を受け入れる開口44を有するベース壁45と、ベース壁45から左右外方向に向かって伸びて、止め具53により本体ケース2の開口周縁に止付けられる取付壁47とを有し、仕切り板66の係合片73が取付枠35の取付壁47と本体ケース2の開口周縁とで挟持固定されていると、断熱体69を本体ケース2の開口を介して収納室4内に挿入し、係合片73を本体ケース2の開口周縁の前面に位置させたうえで、操作部8の取付枠35を止め具53により固定することで、断熱体69を本体ケース2に固定することができる。このように本発明によれば、専用の取付構造ではなく、操作部8の取付構造により断熱体69を本体ケース2に固定することができるので、この点でも断熱体69を設けたことに伴うコストアップを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係るロッカー装置の要部の縦断側面図である。
【
図6】断熱体のケース本体への装着方法を説明するための図である。
【
図7】操作部と断熱体のケース本体への装着方法を説明するための分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施形態)
図1から
図7に、本発明に係るロッカー装置の実施形態を示す。本実施形態における前後、左右、上下とは、
図1、
図2及び
図4に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。
図2及び
図3に示すように、ロッカー装置は、前面に本体開口1を有する上下方向に長い直方状の断熱箱体からなる本体ケース2と、本体ケース2の内部空間3を画成するように構成された計3つの収納室4と、各収納室4の取出し口5を開閉するように本体ケース2の前面側に配された扉6と、本体ケース2の前面側に配されて扉6の施錠/解錠を行うロック装置7を操作するための操作部8とを備える。各扉6は、本体ケース2の左側の立桟9に設置されたヒンジ10により揺動可能に構成されている。本体ケース2の下端には機械室11が形成されている。
図4に示すように、本体ケース2を構成する断熱箱体は、内箱13と外箱14と、両箱13・14の間に充填された断熱体15とで構成される。符号16は両箱13・14を繋ぐ連結体を示す。
【0020】
本実施形態に係るロッカー装置では、本来においては上から2段目に配されていた収納室4の扉6に代えて、この収納室4の取出し口5を塞ぐように操作部8が装着されている。つまり、本実施形態に係るロッカー装置は、本来は上下方向に列設された計4個の収納室4を備えるものであったところ、上から2段目の収納室4を廃するとともに、この2段目の収納室4の扉6に代えて操作部8を装着している。これにより、ロッカー装置は、正面視において、1つの操作部8と、3つの扉6(6a~6c)とを備えるものとなっている(
図2参照)。
【0021】
図1及び
図3に示すように、本体ケース2の前面には、本体開口1を上下方向に仕切るように計3本の横桟17が固定されている。
図6に示すように、各横桟17は、左右方向に長い前壁18と後壁19と、両者を連結する上下一対の連結体20と、これらにより画成される内部空隙に充填された断熱体21とで構成される。
図3に示すように、各横桟17は、本来の収納室4に対応する位置に配されており、本体開口1の上端縁と最上段の横桟17(17a)とで区画される開口領域(取出し口5(5a))、2段目の横桟(17b)と3段目の横桟(17c)とで区画される開口領域(取出し口5(5b))、及び3段目の横桟(17c)と本体開口1の下端縁とで区画される開口領域((取出し口5(5c)))の計3ヶ所の開口領域を形成し、各開口領域を閉じるように扉6(6a~6c)が配されている。また、最上段の横桟17(17a)と2段目の横桟17(17b)とで区画される開口領域22を閉じるように操作部8が配されている。
【0022】
図3に示すように、本体ケース2には、上下2つの格子棚23・23が配されており、これら格子棚23・23により本体ケース2の内部空間3は、上下3段の領域(収納室4(4a~4c))に区分されている。上下方向の中央に位置する収納室4bは、本来の2段目と3段目の収納室を統合してなるものであるため、その上下寸法は、他の2つの収納室4a・4cの上下寸法よりも大きい。
【0023】
図3に示すように、本体ケース2の天井壁の内面には、冷却機構を構成する蒸発器25と循環ファン26とが設けられている。機械室11には、蒸発器25と共に冷却機構を構成する圧縮機27と凝縮器28と凝縮器ファン29などが配されている。機械室11の前面には機械室パネル30が着脱可能に装着されている。最上段の扉6(6a)の上側には、本体ケース2の前面上端を覆う化粧パネル31が着脱可能に装着されている。全ての扉6を閉じた状態において、化粧パネル31、扉6、機械室パネル30の前面、及び後述する操作部8の外装パネル37は、側方視で略面一となるように構成されている。
【0024】
図7に示すように、操作部8は、タッチパネルである表示部32を有する操作端末33と、二次元コードを読み取るコードリーダー34と、操作端末33及びコードリーダー34を支持する取付枠35と、操作端末33と取付枠35との間に配された四角枠状のパッキン36と、操作端末33の前方側に配された外装パネル37などで構成される。操作端末33の略矩形箱状のケーシング39の前面には、上下左右のケーシング39の側面の前端縁よりも外形の大きな四角枠状のフランジ部40が、上下左右方向に張出形成されている。
図1及び
図7において、符号41は操作端末33を取付枠35に固定するためのビスを、符号42はビス41の雄ねじ部に螺合装着される四角形の板ナットを示す。操作端末33は、計4組のビス41と板ナット42とにより取付枠35に固定される。ケーシング39の上下の側面の計4か所には、板ナット42を受け入れるための凹部43が陥没形成されている。
【0025】
取付枠35は、操作端末33を受け入れる開口44を有するベース壁45と、ベース壁45の下端から後方に向かって伸びる底壁46と、ベース壁45から左右外方向に向かって延出された取付壁47(47a・47b)とを有し、これらを一体に形成したプレス成形品である。右側の取付壁47aは、ベース壁45よりも後方に位置する受片48と、この受片48よりも後方に位置する取付片49とを有する段付き状に形成されている。左側の取付壁47bは、ベース壁45の左端から後方に向かう壁と、当該壁の後端から左方向に伸びる取付片50とを有する断面L字状に形成されている。右側の取付壁47aを構成する受片48の二箇所には、コードリーダー34を固定するためのビス51用の通孔52が開設されている。各取付片49・50のそれぞれには、取付枠35を本体ケース2の開口周縁壁(立桟9)に止付けるためのビス(止め具)53用の通孔54が2つずつ開設されている。これら通孔54に対応して、立桟9にはビス53用のねじ穴55が開設されている。底壁46の左右端には、外装パネル37を取付枠35に固定するためのビス56用のねじ孔57が開設されている。
【0026】
外装パネル37は、操作端末33の表示部32とコードリーダー34に対応する2つの窓開口59・60を有する四角形の前パネル壁61と、前パネル壁61の上下端から後方に向かって伸びる上下のパネル壁62・63とを有し、これらを一体に成形したプレス成形品からなる。上パネル壁62の後端部には、下方に伸びる舌片64が形成されている(
図1参照)。舌片64の左右には、外装パネル37を本体ケース2の開口周縁壁(立桟9)にビス65により掛止するための凹欠部64a・64aが形成されている。外装パネル37の下パネル壁63には、ビス56用の通孔56aが開設されている。
【0027】
このロッカー装置では、冷却機構がオン操作され、循環ファン26が駆動されると、蒸発器25により生成された冷却空気が本体ケース2の内部空間3内を循環し、この冷却空気の冷熱により収納室4内に保管された商品を冷却することができる。蒸発器25により生成された冷却空気は、各収納室4を仕切る格子棚23を介して、上方側の収納室4(4a)から下方側の収納室4(4c)に向かって流れる。このとき、収納室4を冷却するための冷却空気の冷熱が操作部8に伝導されると、操作部8に結露が生じて故障するおそれがある。特に操作部8を構成する操作端末33やコードリーダー34などは電子機器であるため、結露が生じると故障するおそれがある。以上のような問題を解決するため、本実施形態のロッカー装置では、操作部8とその後方の収納室4(4b)との間に、操作部8への冷熱の伝導を抑える断熱構造を設けている。
【0028】
図5に示すように断熱構造は、仕切り板66と断熱ボード67と断熱シート68とからなり、これら三者を不離一体的に結合してなる四角ブロック状の断熱体69で構成される。仕切り板66は、金属板をプレス成形してなるものであり、矩形状の主壁70と、主壁70の四周縁から前方に向かって形成された側壁71とを備え、前方に操作端末33のケーシング39の後端部を受け入れる凹入部72を有する浅底容器状に形成されている。左右の側壁71の前縁の上下方向の中央部には、本体ケース2の開口周縁(立桟9)に係合する係合片73が左右の外方向に突設されている。
【0029】
断熱ボード67は、四角ブロック状のウレタンボードであり、仕切り板66の後方側に図外の両面粘着シートにより固定されている。上下辺と左右辺とで規定される矩形状の主面(前面)74の面寸法は、仕切り板66の主壁70の面寸法と同一に設定されている。また、仕切り板66に断熱ボード67を固定したとき、当該断熱ボード67の側面75は、仕切り板66の側壁71と面一状となるように構成されている。
【0030】
断熱シート68は、ポリエチレン発泡シートからなる断面コ字状の第1シート77と、上下方向に長い長方形状の2枚の第2シート78・78とで構成される。第1シート77は、断熱ボード67の後方側の主面を覆う矩形状の後片79と、後片79の上下縁から前方に向かって伸びる2つの側片80とを有する断面コ字状に形成されており、図外の両面粘着シートにより断熱ボード67及び仕切り板66に固定されている。側片80は、断熱ボード67の上下の側面75と、仕切り板66の上下の側壁71とを覆っている。第2シート78は、断熱ボード67の左右の側面75と、仕切り板66の左右の側壁71とを覆うものであり、図外の両面粘着シートにより、これら側面75と側壁71に固定されている。
【0031】
以上のような断熱体69は、仕切り板66に対して断熱ボード67を図外の両面粘着シートにより固定したのち、断熱シート68(第1シート77と第2シート78)を、図外の両面粘着シートにより固定することで形成される。以上より、仕切り板66と断熱ボード67と断熱シート68の三者が一体化された断熱体69を得ることができる。断熱シート68の前後左右の外周面で規定される断熱体69の外形寸法は、最上段の横桟17aと2段目の横桟17bとの対向間隔、及び左右の立桟9・9の対向間隔で区画される開口領域22の内形寸法と略同一、或いは僅かに大きなものとされている。
【0032】
以上のような構成からなる断熱体69のロッカー装置への装着方法について、
図6及び
図7を使って説明する。まず、
図6に示すように、最上段の横桟17aと2段目の横桟17bとで区画される開口領域22内に前方から断熱体69を嵌め込む。このとき、断熱体69の最外周に位置するポリエチレン発泡シートからなる断熱シート68が圧縮変形することで、断熱体69を開口領域22内に内嵌状に装着することができる。断熱体69の後方への嵌め込み限界は、開口周縁を区画する左右の立桟9・9に仕切り板66の左右の係合片73・73が係合することで規定される(
図7参照)。
【0033】
次に、操作端末33のケーシング39にパッキン36を装着したのち、取付枠35の前方側からケーシング39を開口44内に挿入する。次に、ケーシング39の上下の側面に形成された4つの凹部43のそれぞれに板ナット42を挿入したのち、各板ナット42の雌ねじ部にビス41を後方側から螺合装着させる。この状態からビス41の先端が取付枠35に接するまでビス41をねじ込むことで、取付枠35に対して操作端末33を挟み固定することができる。また、取付枠35の受片48の前面にコードリーダー34を配したのち、受片48の後方から通孔52を介してビス51をコードリーダー34内にねじ込むことで、取付枠35に対してコードリーダー34を固定することができる。
【0034】
次に、操作端末33のケーシング39の後端部を断熱体69の仕切り板66の凹入部72内に進入させながら、取付枠35の取付片49・50の通孔54と、立桟9のねじ穴55とを位置合わせして、通孔54を介してビス53をねじ穴55にねじ込む。これにより、操作端末33とコードリーダー34と取付枠35の三者を本体ケース2にビス止め固定することができる。加えて、このように取付枠35を立桟9にビス止め固定したとき、これら取付枠35と立桟9との間に、断熱体69の仕切り板66の係合片73を挟み固定することができるので、本体ケース2に対して断熱体69を固定することができる(
図4参照)。
【0035】
次に、左右の立桟9・9にビス65をねじ込んだのち、これらビス65に外装パネル37の舌片64に形成された凹欠部64aを係合させて、外装パネル37を立桟9に掛止させる。最後に、ビス56を外装パネル37の下パネル壁63の通孔56aに通したのち、取付枠35の底壁46のねじ孔57にねじ込む。これにより、取付枠35に対して外装パネル37を固定することができる。
【0036】
以上のように本実施形態に係るロッカー装置においては、収納室4の扉6に代えて、開口領域22を封するように操作部8を配して、この操作部8の後方側に断熱構造を固定したので、当該断熱構造により後方側の収納室から前方側の操作部8へ冷熱が伝導されることを抑えることができる。また、操作部8が冷却されて結露が生じ、操作部8が故障することなどを防ぐことができる。ロッカー装置の冷却機構の構造変更は不要であり、操作部8を設けたことに伴って、ロッカー装置の製造コストが大幅に上昇することを防ぐことができる。結露防止用のヒーターを取り付ける必要がなく、配線が増える、消費電力が増えるといった問題が生じることもない。
【0037】
断熱構造を、操作部8の後方に配置された金属製の仕切り板66と、仕切り板66の後方側に配された断熱ボード67とを含む断熱体69で構成したので、より確実に操作部8への冷熱の伝導を抑えることができる。詳しくは、比較的熱伝導率の高い金属製の仕切り板66を前方側、すなわち操作部8側に配し、比較的熱伝導率の低い断熱材製の断熱ボード67を後方側、すなわち収納室4内側に配したので、両者(仕切り板66と断熱ボード67)を前後逆に配置する構成に比べて、断熱ボード67による冷熱の遮断効果が良好に発揮されて、収納室4内の冷熱が仕切り板66に伝導することを防ぐことができる。金属製の仕切り板66が直接的に冷却されることを抑えることができ、この点でも収納室4内の冷熱が仕切り板66に伝導することを防ぐことができる。したがって、操作部8に冷熱が伝導することをより確実に防ぐことができる。
【0038】
断熱ボード67の後方側に、断熱ボード67の主面74と側面75、及び仕切り板66の側壁71を覆う発泡樹脂製の断熱シート68を配したので、当該断熱シート68により、断熱ボード67に対して冷熱が伝導することを防いで、断熱体69の断熱性能の向上を図ることができる。断熱ボード67の表面に水滴が付着することを防ぐことができるので、付着した水分により断熱ボード67が腐敗することを防ぐこともできる。断熱シート68により、断熱ボード67の側面75だけでなく、仕切り板66の側壁71も覆うように構成したので、当該側壁71を介して冷気が仕切り板66の主壁70に伝導することを効果的に防ぐことができる。発泡樹脂からなる断熱シート68は、適度なクッション性(圧縮性)を有する。このため、断熱体69を本体ケース2の開口領域に嵌め込む形態を採った場合には、開口領域に合わせて断熱シート68を圧縮変形させて、開口領域と断熱体69との隙間を埋めることができるので、この点でも操作部8側(前方側)へ冷気が伝導することを防ぐことができる。このように断熱シート68が圧縮変形することができると、断熱体69の外形形状や本体開口の内形寸法に過酷な成形精度は要求されず、成形精度に余裕を持たせることができるため、断熱体69の製造コストやロッカー装置の製造コストの上昇を抑えることができる点でも優れている。
【0039】
断熱シート68を、断熱ボード67の主面74を覆う矩形状の後片79と、後片79の上下縁から前方に向かって伸びて、断熱ボード67と仕切り板66の対向する2つの側面75と側壁71とを覆う2つの側片80とを備える断面コ字状の第1シート77と、側片80の形成箇所を除く位置に配されて、断熱ボード67と仕切り板66の対向する2つの側面75と側壁71とを覆う長方形状の二枚の第2シート78・78とで構成したので、断熱シート67を後片79と4つの全ての側片80を含む一枚物の形態とする場合に比べて、断熱シート68、或いは断熱ボード67の成形精度に余裕を持たせることができる。したがって、断熱体69の製造コストやロッカー装置の製造コストの上昇を抑えることができる。
【0040】
仕切り板66を、主壁70と、主壁70の四周縁から前方に向かって形成された側壁71とを備え、前方に操作部8の後端部を受け入れる凹入部72を有する浅底容器状に形成したので、この凹入部72を介して仕切り板66の内部に操作部8の後端部を差し込むことで、操作部8の全体をより後方寄りに配置させることができる。これにより、断熱体69を設けたことに伴って操作部8が前方寄りに配置されて、操作部8が前方側に突出することを防ぐことができる。換言すれば、操作部8の前端から断熱体69の後端までの前後方向の厚み寸法を小さくすることができる。
【0041】
操作部8を、表示部32を有する操作端末33と、操作端末33を支持する取付枠35とを有するものとし、取付枠35を、操作端末33を受け入れる開口44を有するベース壁45と、ベース壁45から左右外方向に向かって伸びて、ビス53により本体ケース2の開口周縁に止付けられる取付壁47とを有するものとし、仕切り板66の係合片73が取付枠35の取付壁47と本体ケース2の開口周縁とで挟持固定されるようにしたので、断熱体69を本体ケース2の開口を介して収納室4内に挿入し、係合片73を本体ケース2の開口周縁の前面に位置させたうえで、操作部8の取付枠35をビス53により固定することで、断熱体69を本体ケース2に固定することができる。このように本実施形態によれば、専用の取付構造ではなく、操作部8の取付構造により断熱体69を本体ケース2に固定することができるので、この点でも断熱体69を設けたことに伴うコストアップを抑えることができる。
【0042】
上記実施形態に係るロッカー装置においては、縦方向に一列に収納室が列設されているものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、ロッカー装置は、複数個の収納室が前後方向と左右方向にマトリクス状に配されているものであってもよい。操作部8は、一つの収納室4の扉6に代えて、この収納室4の取出し口5を封するものに限定されず、縦方向や横方向に並ぶ2つの収納室4の扉6に代えて、一つの操作部8が配されているものであってもよい。断熱体69や操作部8の本体ケース2への装着構造は、上記実施形態に示したものに限られない。
【符号の説明】
【0043】
1 本体開口
2 本体ケース
3 内部空間
4 収納室
5 取出し口
6 扉
7 ロック装置
8 操作部
33 操作端末
35 取付枠
44 取付枠の開口
45 取付枠のベース壁
47 取付枠の取付壁
53 止め具(ビス)
66 仕切り板
67 断熱ボード
68 断熱シート
70 仕切り板の主壁
71 仕切り板の側壁
72 仕切り板の凹入部
73 仕切り板の係合片
74 断熱ボードの後面(主面)
75 断熱ボードの側面
77 第1シート(断熱シート)
78 第2シート(断熱シート)
79 断熱シートの後片
80 断熱シートの側片