(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112701
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】測距装置
(51)【国際特許分類】
G01S 7/481 20060101AFI20240814BHJP
G01C 3/06 20060101ALI20240814BHJP
G02B 26/12 20060101ALI20240814BHJP
G01S 17/42 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G01C3/06 120Q
G02B26/12
G01S17/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017931
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】椋本 英
(72)【発明者】
【氏名】安達 剛
(72)【発明者】
【氏名】大石 健太
(72)【発明者】
【氏名】西山 隆彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 豊樹
【テーマコード(参考)】
2F112
2H045
5J084
【Fターム(参考)】
2F112AD01
2F112BA01
2F112CA04
2F112DA04
2F112DA06
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2F112EA05
2H045AA01
2H045AA03
2H045AA13
2H045DA02
2H045DA04
5J084AA05
5J084AA10
5J084AC01
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5J084CA03
5J084DA01
5J084DA02
5J084EA22
5J084EA29
(57)【要約】 (修正有)
【課題】受光面への戻り光の入射効率が高い測距装置を提供する。
【解決手段】光源3からの光L0を透過する第1レンズ4aと、反射または散乱された光である戻り光Rを透過する第2レンズ7と、受光面800に入射した戻り光Rの光強度に応じた受光信号を出力する受光部8と、物体までの距離に関する情報を出力する出力部と、を有し、第1レンズ4aは、第1方向にのみ曲率を有し、光源3からの光L0を透過する第1シリンドリカルレンズSL1と、第1方向と直交する第2方向にのみ曲率を有し、第1シリンドリカルレンズSL1からの光を透過する第2シリンドリカルレンズSL2と、を含み、第2レンズ7から受光面800へ入射する戻り光Rの最大入射角度をθ、受光面800の最小幅をd、第2レンズ7の焦点距離をf、とした場合に、第1レンズ4aを出射する光の最大広がり角度は、θ=tan
-1{d/(2×f)}を満足するように定められている。
【選択図】
図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源からの光を透過する第1レンズと、
前記第1レンズを透過した光を照射する照射部と、
前記照射部から照射された光が物体により反射または散乱された光である戻り光を透過する第2レンズと、
前記第2レンズを透過した前記戻り光が入射する受光面を含み、前記受光面に入射した前記戻り光の光強度に応じた受光信号を出力する受光部と、
前記受光信号に基づいて得られる前記物体までの距離に関する情報を出力する出力部と、を有し、
前記第1レンズは、
第1方向にのみ曲率を有し、前記光源からの光を透過する第1シリンドリカルレンズと、
前記第1方向と直交する第2方向にのみ曲率を有し、前記第1シリンドリカルレンズからの光を透過する第2シリンドリカルレンズと、を含み、
前記第2レンズから前記受光面へ入射する前記戻り光の最大入射角度をθ、前記受光面の最小幅をd、前記第2レンズの焦点距離をf、とした場合に、前記第1レンズを出射する光の最大広がり角度は、θ=tan-1{d/(2×f)}を満足するように定められている、測距装置。
【請求項2】
前記第1シリンドリカルレンズと前記第2シリンドリカルレンズの間において、前記第1シリンドリカルレンズおよび前記第2シリンドリカルレンズのそれぞれに接触して配置されるスペーサ部材を有する、請求項1に記載の測距装置。
【請求項3】
上面視において、前記第1シリンドリカルレンズ、前記第2シリンドリカルレンズ、および前記スペーサ部材を内側に支持する第1支持部材を有し、
前記第1シリンドリカルレンズは、前記光源からの光が入射する側に配置される第1面と、前記光源からの光が出射する側に配置される第2面と、を含み、
前記第2シリンドリカルレンズは、前記第1シリンドリカルレンズからの光が入射する側に配置される第3面と、前記第1シリンドリカルレンズからの光が出射する側に配置される第4面と、を含み、
前記第1面、前記第2面、前記第3面および前記第4面のそれぞれは、前記第1レンズの光軸に直交する平面部を少なくとも一部に含む、請求項2に記載の測距装置。
【請求項4】
前記第1支持部材は、内壁に形成され、前記光軸に沿う方向に延びる溝を含み、上面視において、前記第1シリンドリカルレンズおよび前記第2シリンドリカルレンズのそれぞれにおける1つの側面が、前記第1支持部材の内壁における前記溝以外の部分に接触した状態で、前記第1シリンドリカルレンズおよび前記第2シリンドリカルレンズを支持する、請求項3に記載の測距装置。
【請求項5】
前記溝の内部に配置され、前記第1シリンドリカルレンズおよび前記第2シリンドリカルレンズのそれぞれを前記第1支持部材に固定する接着部材を有する、請求項4に記載の測距装置。
【請求項6】
前記第1シリンドリカルレンズおよび前記第2シリンドリカルレンズの少なくとも一方は、上面視において、その円筒軸およびその光軸のそれぞれに直交する方向を長手とする長方形形状を有し、ゲートを通して金型に充填される樹脂を射出成形することにより加工され、
前記第1シリンドリカルレンズおよび前記第2シリンドリカルレンズの少なくとも一方における前記長手に沿う軸と直交する2つの側面のうち一方の側面は、前記金型を用いて射出成形を行う際に前記ゲートが位置する側に配置される、請求項3に記載の測距装置。
【請求項7】
前記第1支持部材は、上面視において、第1のネジ部を外側に含み、前記第1レンズを内側に支持する円筒状の部材であり、円周方向における異なる位置に設けられた複数の突起を外側に含み、
上面視において、第2のネジ部を内側に含み、前記第1のネジ部と前記第2のネジ部を結合させることで、前記第1支持部材を前記第1レンズの光軸に沿う方向に移動させる円環状部材と、
前記第1支持部材を支持するとともに、前記第1のネジ部と前記第2のネジ部との結合による前記第1支持部材の前記光軸回りの回転を規制する第2支持部材と、を有し、
前記第2支持部材は、貫通孔の内部に前記第1支持部材を配置することで、前記第1支持部材を支持するとともに、前記貫通孔の内壁に形成された複数の窪みと前記複数の突起とを嵌合させることにより、前記第1支持部材の前記光軸回りの回転を規制する、請求項3に記載の測距装置。
【請求項8】
前記第2シリンドリカルレンズに対し、前記第1レンズから光が出射される側に離隔して配置され、前記第2シリンドリカルレンズを透過した光の一部を通過させる開口を有する、請求項1または請求項2に記載の測距装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測距装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、照射した光が物体により反射または散乱された光である戻り光を受光部により受光し、該戻り光の光強度に応じた受光信号に基づき、該物体までの距離を測定する測距装置が知られている。この測距装置は、ロボット、自動車、飛行体等の移動体に搭載され、移動体の周囲に存在する物体を認識する用途等において使用される。
【0003】
上記測距装置には、投受光部と、投受光部から投光された光を走査させる第1偏向機構および第2偏向機構と、を備え、投光された光の投光時期と、該光の物体による反射光の受光時期との時間差から、物体までの距離を測定するものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の測距装置では、受光部が有する受光面への戻り光の入射効率が低くなることで、測距精度が低下する場合がある。
【0006】
本発明は、受光面への戻り光の入射効率が高い測距装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本測距装置(100)は、光源(3)と、光源(3)からの光(L0)を透過する第1レンズ(4a)と、第1レンズ(4a)を透過した光(L0)を照射する照射部(120)と、照射部(120)から照射された光(L2)が物体により反射または散乱された光である戻り光(R)を透過する第2レンズ(7)と、第2レンズ(7)を透過した戻り光(R)が入射する受光面(800)を含み、受光面(800)に入射した戻り光(R)の光強度に応じた受光信号(S)を出力する受光部(8)と、受光信号(S)に基づいて得られる物体までの距離に関する情報を出力する出力部(405)と、を有し、第1レンズ(4a)は、第1方向にのみ曲率を有し、光源(3)からの光(L0)を透過する第1シリンドリカルレンズ(SL1)と、第1方向と直交する第2方向にのみ曲率を有し、第1シリンドリカルレンズ(SL1)からの光を透過する第2シリンドリカルレンズ(SL2)と、を含み、第2レンズ(7)から受光面(800)へ入射する戻り光(R)の最大入射角度をθ、受光面(800)の最小幅をd、第2レンズ(7)の焦点距離をf、とした場合に、第1レンズ(4a)を出射する光の最大広がり角度は、θ=tan-1{d/(2×f)}を満足するように定められている。
【0008】
なお、上記括弧内の参照符号は、理解を容易にするために付したものであり、一例にすぎず、図示の態様に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、受光面への戻り光の入射効率が高い測距装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る測距装置の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図1の測距装置における光源および受光部周辺の一例の斜視図である。
【
図3】光分割部材による光分割の様子の一例を示す図であり、
図3(a)は光分割部材の側面図、
図3(b)は光の入射方向側から視た光分割部材の斜視図、
図3(c)は光分割部材の正面図である。
【
図4】
図1の測距装置における照射部の構成例を示す斜視図である。
【
図5】
図1の測距装置の構成例を示すブロック図である。
【
図6】
図1の測距装置における同期検出部の構成例を示す図である。
【
図7】
図1の測距装置における制御部の構成例を示すブロック図である。
【
図8】
図1の測距装置における受光部基板の構成例を示すブロック図である。
【
図9】
図1の測距装置における制御部の機能構成例を示すブロック図である。
【
図10】
図1の測距装置の制御部による処理例を示すフロー図である。
【
図11】第1実施形態に係る発光ブロックの構成例を示す断面図である。
【
図12】第1実施形態に係る発光ブロックの構成例を示す分解斜視図である。
【
図14】第1実施形態に係る第1支持部材の外観の一例を示す斜視図である。
【
図16】リング部材を取り除いた状態での
図14の第1支持部材の上面図である。
【
図17】第1シリンドリカルレンズを射出成形する際の金型における第1シリンドリカルレンズの側面とゲートとの位置関係の一例を説明する図である。
【
図18】第1レンズと第2レンズの関係を説明する図である。
【
図19】第2実施形態に係る発光ブロックの構成例を示す断面図である。
【
図20】第2実施形態に係る発光ブロックの構成例を示す斜視図である。
【
図21】
図19の発光ブロックの組立前の状態を示す図である。
【
図22】
図19の発光ブロックの組立方法における第1工程を示す図である。
【
図23】
図19の発光ブロックの組立方法における第2工程を示す図である。
【
図24】
図19の発光ブロックの組立方法における第3工程を示す図である。
【
図25】
図19の発光ブロックの組立方法における第4工程を示す図である。
【
図26】第3組立工程における固定部材の挿入前の状態を示す図である。
【
図27】第3組立工程における固定部材の挿入後の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一の構成部分には同一符号を付し、重複した説明を適宜省略する。
【0012】
以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための測距装置を例示するものであって、本発明を以下に示す実施形態に限定するものではない。以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張している場合がある。
【0013】
以下に示す図でX軸、Y軸およびZ軸により方向を示す場合がある。X軸、Y軸およびZ軸は、相互に交差する。Z軸に沿うZ方向は、実施形態に係る測距装置が備える回転ステージの回転軸に沿う方向を示す。X軸に沿うX方向は、実施形態に係る測距装置が備える回転反射体の回転軸に沿う方向を示す。
【0014】
また、X方向で矢印が向いている方向を+X方向、+X方向の反対方向を-X方向と表記し、Y方向で矢印が向いている方向を+Y方向、+Y方向の反対方向を-Y方向と表記し、Z方向で矢印が向いている方向を+Z方向、+Z方向の反対方向を-Z方向と表記する。本明細書における「上面視」とは、図ごとで特に定義した場合を除き、鉛直上方に対応する-Z方向から対象を視ることをいう。-Z方向側が上面側に対応する。但し、これらは測距装置の使用時における向きを制限するものではなく、測距装置は任意の向きに配置可能である。
【0015】
以下、サービスロボットに搭載され、サービスロボットの進行方向または周囲に存在する物体との間の距離を測定する測距装置を、実施形態に係る測距装置の一例として詳細に説明する。ここで、サービスロボットとは、工場内での資材運搬、接客施設での商品運搬および案内業務、施設内警備、或いは清掃等の主に役務の目的で使用される自律移動型の移動体をいう。サービスロボットに搭載される測距装置は、サービスロボットの進行方向または周囲に存在する物体を検出したり、サービスロボットが動作する施設の施設内地図等を作成したりするために使用される。
【0016】
[実施形態]
<測距装置100の全体構成例>
図1~4を参照して、実施形態に係る測距装置100の構成の一例を説明する。
図1は、測距装置100の全体構成を例示する斜視図である。
図2は、測距装置100における光源および受光部の周辺を例示する斜視図である。
図3は、光分割部材41による光分割の様子の一例を示す図である。
図3(a)は光分割部材41の側面図、
図3(b)は光の入射方向側から視た光分割部材41の斜視図、
図3(c)は光分割部材41の正面図である。
図4は測距装置100における照射部120を例示する斜視図である。
【0017】
図1~4に示すように、測距装置100は、台部1と、保持部2と、光源3と、第1レンズ4と、穴あきミラー6と、第2レンズ7と、5つの受光部8と、イケール9と、光分割部材41と、照射部120と、を有する。なお、台部1、保持部2、第1レンズ4、第2レンズ7、イケール9および照射部120のそれぞれは、測距装置100の必須構成部ではない。
【0018】
図1に示すように、台部1は、保持部2と回転ステージ10が設けられた平板状の部材である。台部1は、-Z方向側の面上における相互に異なる領域に、保持部2と回転ステージ10とを固定している。回転ステージ10は、台部1の+Y方向側の領域にネジ部材等により固定されている。保持部2は、台部1における回転ステージ10の-Y方向側の領域に、結合部材11を介してネジ部材等により固定されている。
【0019】
台部1は、回転ステージ10は重量が大きい場合があるため、金属材料等の剛性が高い材料を含んで構成されることが好ましい。台部1は、平板状の部材に限られず、回転ステージ10と保持部2を設置可能であれば如何なるものであってもよい。例えばサービスロボットの筐体に保持部2と回転ステージ10が設置される場合には、サービスロボットの筐体が台部に対応する。
【0020】
保持部2は、天井パネル21と背面パネル22とが結合して構成された部材である。天井パネル21および背面パネル22は、それぞれ平板状の部材である。天井パネル21および背面パネル22は、その材質に特段の制限はなく、例えば金属材料または樹脂材料等を適用可能である。
【0021】
図1および
図2に示すように、天井パネル21の+Z方向側の面には、光源3、第1レンズ4および穴あきミラー6が設けられている。背面パネル22の+Y方向側の面には、第2レンズ7および5つの受光部8が設けられている。
【0022】
光源3は、光L0を発する。光源3は、例えばLD(Laser Diode:半導体レーザ)である。光L0は、パルス状のレーザ光である。光源3は、光L0を+Z方向側に発する。但し、光源3は、LED(light emitting diode:発光ダイオード)等であってもよい。また光L0は、パルス状のレーザ光に限らず、連続波状のレーザ光であってもよい。光L0の波長は、近赤外波長領域等の非可視の波長領域の光であってもよい。非可視の波長領域の光を用いることで、測距装置100は、照射する光を人間に視認させずに測距を行うことができる。
【0023】
第1レンズ4は、光源3からの光L0を透過する。例えば、第1レンズ4は、光L0を略コリメート(略平行化)する。第1レンズ4によりコリメートされた光L0は、光分割部材41に入射する。
【0024】
光分割部材41は、光源3からの光L0を複数の光に分割する。
図3に示すように、光分割部材41は、平面視において略円形の形状を有し、光L0の波長に対して光透過性を有する平板状の部材である。なお、ここでの平面視は、光分割部材41をその法線方向(Z方向)から視ることをいう。光分割部材41は、ガラス、樹脂等の材料を含んで構成される。光分割部材41は、例えば回折素子である。但し、光分割部材41は、回折素子に限定されず、プリズム等であってもよい。
【0025】
光分割部材41の-Z方向側の面、+Z方向の面、またはその両方には、周期構造が形成されている。光分割部材41は、入射される光L0を、周期構造を用いて回折させることにより5つの光L1に分割する。5つの光L1は、分割光L11~L15を含む。分割光L11は、光分割部材41の0次光(透過光)である。分割光L12~L15は、光分割部材41の1次回折光である。但し、光L0が光分割部材41により分割される数は、5つに限らず、要求される空間分解能等に応じて適宜選択可能である。
【0026】
分割光L11~L15は、伝搬方向が相互に異なる平行光束である。分割光L11~L15は、照射部120により走査される。分割光L11~L15のそれぞれが走査された光である5つの走査光L2は、それぞれ照射領域における異なる位置に照射される。
【0027】
図3(a)に示す光分割部材41による分割角度θLは、2.1度以上であってもよい。分割角度θLとは、光分割部材41により分割された5つの光L1それぞれの、伝搬方向に沿う中心軸同士がなす角度をいう。光分割部材41として回折素子を用いた場合には、分割角度θLは、回折素子による回折光の、伝搬方向に沿う中心軸同士がなす角度である回折角に対応する。
【0028】
ここで、IEC60825-1規格では、レーザ光出射する機器から100mm離れた位置において、直径7mmの受光面を有するセンサにより検出した場合の光強度によってレーザ光に対する安全性を規定している。分割角度θLを2.1度以上とすると、測距装置100から100mm離れた位置の直径7mmの受光面内に、光分割部材41により分割した5つの光L1のうち3つ以下が入射する状態になる。これにより、測距装置100は、IEC60825-1規格に準拠しやすくなる。
【0029】
人の目の瞳径および焦点距離に基づくと、5つの光L1のうちの同一直線上に並ぶ3つが並行して人の目に入射し得る角度は、±2.0度よりも小さい角度である。測距装置100では、光分割部材41による分割角度θLを2.1度以上とすることにより、5つの光L1のうちの同一直線上の3つ以上が並行して人の目に入射することを防止し、人の目に対する安全性を意味するアイセーフを実現できる。また、分割角度θLを2.1度以上のできるだけ小さい角度にすることにより、アイセーフを実現しつつ、測距の空間分解能を向上させることができる。
【0030】
平面視における光分割部材41の外形形状は、略円形に限らず、略矩形、略楕円形、略多角形等であってもよい。また、光分割部材41による分割光の方向は、分割光L11~L15の各方向に限定されず、適宜選択可能である。
【0031】
図1および
図2に示すように、穴あきミラー6は、光分割部材41と照射部120との間に配置される。穴あきミラー6は、ミラー面62と、ミラー面62に形成され、光源3からの光L0を通過させる貫通孔61と、を含む。穴あきミラー6は、金属、ガラス、樹脂等の材料を含んで構成される。ミラー面62には、アルミニウム等の金属からなる反射膜が形成されている。
【0032】
光源3からの光L0は、第1レンズ4を透過した後、光分割部材41により5つの光L1に分割され、穴あきミラー6の貫通孔61を通過する。貫通孔61を通過した5つの光L1は、照射部120により走査される。照射部120による5つの走査光L2が物体により反射または散乱された5つの戻り光Rは、照射部120における光反射面51およびミラー面62により反射された後、第2レンズ7を透過し、5つの受光部8に入射する。
【0033】
図1および
図4において、照射部120は、第1レンズ4を透過した光L0を照射する。本明細書に示す例では、照射部120は、5つの光L1がX方向およびZ方向へ走査される光である走査光L2を照射する。測距装置100は、走査光L2を照射することで、広い範囲に存在する1以上の物体それぞれまでの距離を測定できる。
【0034】
図1では、図を簡素化するため、5つの光L1のうちの1つのみと、5つの走査光L2のうちの1つのみと、を表示している。また
図1では、5つの走査光L2のうちの1つを、任意のタイミングに+Y方向側に照射される1つのレーザビームとして表示している。なお、照射部120は、回転反射体5に限らず、揺動ミラー(往復ミラー)等により、5つの光L1のそれぞれを走査してもよい。
【0035】
回転反射体5は、6つの光反射面51を有し、第1軸A1回りに回転する回転体である。回転反射体5は、回転により光反射面51の角度を変化させることによって、5つの光L1のそれぞれを走査する。回転反射体5は、例えばポリゴンミラーである。第1軸A1方向から視た回転反射体5の形状は略正六角形である。回転反射体5は、正六角形の各辺に対応する外周面に6つの光反射面51を有する。回転反射体5は、アルミニウム等の金属材料で形成した略正六角柱状の部材の外周面を、切削または鏡面研磨することにより製作できる。但し、回転反射体5は、金属材料または樹脂材料等で形成された回転体の外周面にアルミニウム等を鏡面蒸着することにより製作されてもよい。
【0036】
光反射面51の数は、6つに限定されず、1以上であればよい。ここで、回転反射体5による光の走査角度範囲は、光反射面51の数に応じて異なる。具体的には、光反射面51の数が多いほど走査角度範囲は狭くなり、光反射面51の数が少ないほど走査角度範囲は広くなる。光反射面51の数は、要求される走査角度範囲に応じて適宜決定可能である。
【0037】
回転反射体5には、回転反射体5の中心軸と回転軸が略一致するように第1軸モータが取り付けられている。回転反射体5は、第1軸モータを駆動源にして第1軸A1周りに回転する。5つの光L1は、第1軸A1を中心にした円の円周方向に走査されるということもできる。回転反射体5の回転方向は一定である。例えば、回転反射体5は
図1における第1軸回転方向A11に沿って連続回転する。但し、回転反射体5は、第1軸回転方向A11とは反対方向に連続回転してもよい。
【0038】
図1において、測距装置100からの走査光L2が照射される範囲に物体が存在すると、物体からの戻り光Rが測距装置100に戻り、回転反射体5の光反射面51で-Z方向側に、また穴あきミラー6のミラー面62で-Y方向側に反射され、5つの受光部8に到達する。本明細書に示す例では、5つの光L1が反射される光反射面51と戻り光Rが反射される光反射面51は同じ面である。なお、
図1は、ある時刻に+Y方向に照射される走査光L2を示している。走査光L2は時々刻々と照射される方向が変化するため、走査光L2が照射される方向は、ある時刻とは別の時刻には、+Y方向とは異なる方向となる。但し、戻り光Rが測距装置100に戻り、光反射面51により-Z方向側に反射される点は、走査光L2が照射される方向によらずほぼ同じである。
【0039】
第2レンズ7は、物体からの戻り光Rを透過する。例えば第2レンズ7は、5つの戻り光Rを透過し、5つの戻り光Rに1対1で対応する5つの受光部8に向けて集束させる。本明細書に示す例では、第2レンズ7は平凸単レンズである。但し、第2レンズ7は、両凸単レンズ、メニスカス単レンズ、複数のレンズからなる組レンズ等であってもよい。第2レンズ7の材質には、樹脂またはガラスを使用できる。
【0040】
5つの受光部8のそれぞれは、第2レンズ7を透過した戻り光Rを受光し、戻り光Rの光強度に応じた第1信号を出力する。この第1信号は、受光信号に対応する。5つの受光部8は、5つの走査光L2それぞれの走査角度ごとでの第1信号を出力する。なお、「走査角度ごと」は、「単位時間当たりに走査光が走査される角度ごと」を意味する。また、受光部8の数は5つに限定されず、光分割部材41による分割数に合わせて適宜変更可能である。
【0041】
5つの受光部8は、受光部81~85を含む。受光部81~85のそれぞれは、例えばAPD(Avalanche Photodiode:アバランシェフォトダイオード)を含む。但し、受光部81~85のそれぞれは、フォトダイオード(Photodiode)や光電子増倍管等を含んでもよい。
【0042】
図4において、イケール9は、屈曲部を含み、回転反射体5を支持する部材である。イケール9は、-Z方向側の面が回転ステージ10の載置面101に接触し、ネジ部材等により載置面101上に固定されている。イケール9は、+X方向側の面に、基板91を介して回転反射体5を支持する。イケール9は、剛性を高くするために、金属等の高剛性の材料を含んで構成されることが好ましい。
【0043】
回転ステージ10は、回転反射体5を支持するイケール9を第2軸A2周りに回転させることにより、回転反射体5を第2軸A2周りに回転させる。回転反射体5によりZ方向に走査される5つの走査光L2のそれぞれは、回転ステージ10の回転によりX方向に走査される。なお、第1軸A1と第2軸A2が傾くように、回転反射体5と回転ステージ10が配置されてもよい。
【0044】
回転ステージ10は、台部1上において、保持部2が設けられた領域とは異なる領域に設けられている。従って回転ステージ10が回転しても、保持部2、並びに保持部2が保持する光源3および5つの受光部8はそれぞれ不動であり、台部1に固定された状態が維持される。回転ステージ10は、載置面101と、ベアリング102と、マグネット103と、モータコア104と、を有する。
【0045】
載置面101は、第2軸A2に略直交し、第2軸A2周りに回転可能である。載置面101はイケール9を載置する。ベアリング102は、載置面101の回転を滑らかにするために使用される。ベアリング102には、ボールベアリング、クロスローラベアリング等を適用できる。
【0046】
マグネット103は永久磁石からなる。モータコア104はモータを構成するステータの鉄心に該当する部材である。マグネット103とモータコア104とを含んでモータが構成されている。電流に応じてマグネット103が回転することにより、ベアリング102を介して載置面101が回転する。
【0047】
回転ステージ10の回転方向は一定である。回転ステージ10の回転方向は、例えば
図1における第2軸回転方向A21に対応する。但し、回転ステージ10は、第2軸回転方向A21とは反対方向に連続回転してもよい。
【0048】
測距装置100は、光L0の中心軸と第2軸A2とが同軸になるように構成されている。光L0の中心軸は、光L0の伝搬方向に沿う光L0の中心を通る軸を意味する。また同軸とは、複数の軸が略一致していることを意味する。
【0049】
測距装置100は、光源3、回転反射体5、5つの受光部8、回転ステージ10等の構成部の一部または全部を覆うための外装カバーを備えてもよい。外装カバーを備えることで、測距装置100の内部へのゴミや埃等の侵入を防ぎ、回転反射体5等にゴミや埃等が付着することを防止できる。また回転反射体5や回転ステージ10が高速回転すると、回転に伴う風切り音が大きくなる場合がある。外装カバーを設けることにより音が周囲に伝わることを抑制できる。外装カバーの材質には、金属または樹脂材料等を適用可能である。
【0050】
一方、外装カバーを設けると、外装カバーにおける走査光L2が出射する窓以外の部分が走査光L2を遮るため、走査角度範囲が制限され、測距装置100による物体200の検出範囲または測距範囲が制限される場合がある。走査光L2の波長に対して光透過性を有する透明な樹脂材料で外装カバーを構成すると、このような走査角度範囲の制限を緩和できる。
【0051】
図5は、測距装置100の構成を例示するブロック図である。なお、
図5における実線で示した矢印は光の流れを示し、破線で示した矢印は電気信号の流れを示している。測距装置100は、駆動部150と、受発光部110と、出射窓130と、制御部140と、を有する。
【0052】
駆動部150は、回転反射体5および回転ステージ10それぞれを回転させる。駆動部150は、第1軸モータ151と、第2軸モータ152と、同期検出部153と、回転制御部402と、給電部155と、を有する。駆動部150は、同期検出部153から出力される回転反射体5の回転周期に対応する同期信号Snに基づき、回転制御部402の制御下で、第2軸モータ152を回転させる。
【0053】
同期検出部153は、第1軸エンコーダ531と、周期光発光部532と、周期光受光部533と、を有する。同期検出部153は、第1軸エンコーダ531から出力される第1角度検出信号En1に基づいて周期光発光部532に発光させ、周期光発光部532からの光を受光した周期光受光部533により同期信号Snを出力させる。第1角度検出信号En1は、回転反射体5の回転角度の検出信号である。
【0054】
周期光発光部532は、LED等を含んで構成される。周期光発光部532は、第1角度検出信号En1に基づき、例えば第1軸エンコーダ531が回転反射体5の回転原点に対応する角度を検出したタイミングにパルス光Opを発する。
【0055】
周期光受光部533は、フォトダイオード(Photo Diode)等を含んで構成され、周期光発光部532により発生されたパルス光Opを受光したタイミングに、第2軸ドライバ基板173を介して同期信号Snを回転制御部402に出力する。
【0056】
給電部155は、発電コイル551と、給電コイル552と、を有する。給電部155は、電磁誘導により第1軸モータ151等に非接触給電する。
【0057】
発電コイル551は、電磁誘導により逆起電力を発生し、第1軸モータ151、第1軸エンコーダ531および第1軸ドライバ基板163のそれぞれに給電する。給電コイル552は、発電コイル551に対向配置され、第2軸ドライバ基板173から流れる電流に応じて、電磁誘導により発電コイル551に逆起電力を発生させる。
【0058】
給電部155は、電磁誘導による非接触給電に限定されず、回転接点により接触給電してもよい。回転接点とは、回転体に配置された金属製リングとブラシを介して、回転体に電気的に接続する構成をいう。
【0059】
基板91には、回転反射体5、第1軸モータ151、第1軸エンコーダ531、第1軸ドライバ基板163、周期光発光部532および発電コイル551等が設けられている。回転ステージ10には、第2軸モータ152、第2軸エンコーダ172、第2軸ドライバ基板173、周期光受光部533、給電コイル552等が設けられている。
【0060】
第1軸モータ151は、回転反射体5を回転させる。第1軸モータ151には、DC(Direct Current)モータまたはAC(Alternating Current)モータ等を適用できる。第1軸エンコーダ531は、第1角度検出信号En1を出力する。第1軸エンコーダ531は、例えばロータリエンコーダである。
【0061】
第1軸ドライバ基板163は、第1軸モータ151に駆動信号を供給する電気回路等を含む基板である。第1軸ドライバ基板163は、第1角度検出信号En1に基づき、回転反射体5が所定の第1周波数(回転数)で回転するように制御できる。なお、第1周波数は、第1軸ドライバ基板163により制御されるため、回転制御部402の制御対象ではない。第1軸ドライバ基板163は、給電部155による給電が開始された場合に、第1軸モータ151により回転反射体5の回転を開始させ、給電部155による給電が停止された場合に、第1軸モータ151により回転反射体5の回転を停止させることができる。
【0062】
第2軸モータ152は、DCモータ、ACモータまたはステッピングモータ等の各種モータにより構成できる。第2軸エンコーダ172は、ロータリエンコーダ等により構成され、回転ステージ10の回転角度を検出する。
【0063】
第2軸ドライバ基板173は、第2軸モータ152に駆動信号を供給する電気回路等を含む実装基板である。第2軸ドライバ基板173は、回転制御部402からの第2軸制御信号Dr2に基づき、回転ステージ10を回転させる。また、第2軸ドライバ基板173は、第2軸エンコーダ172により検出された回転ステージ10の第2角度検出信号En2を回転制御部402に出力する。
【0064】
回転制御部402は、第2角度検出信号En2に基づき、回転ステージ10の回転を制御する。ここで、回転ステージ10の回転数である第2周波数は、回転制御部402の制御対象である。
【0065】
受発光部110は、光源基板111と、発光ブロック112と、穴あきミラー6と、穴あきミラーホルダ63と、受光ブロック113と、受光部基板114と、を含む。
【0066】
光源基板111は、制御部140からの発光制御信号Dr1に応じて光源3を発光させる電気回路を含む実装基板である。発光ブロック112は、光源3と、光源ホルダ31と、第1レンズ4と、第1支持部材40と、を含む。光源ホルダ31は光源3を保持する部材である。第1支持部材40は、第1レンズ4を支持する部材である。穴あきミラーホルダ63は、穴あきミラー6を支持する部材である。
【0067】
受光ブロック113は、第2レンズ7と、第2レンズホルダ71と、5つの受光部8と、受光部ホルダ80と、を含む。第2レンズホルダ71は第2レンズ7を保持する部材である。受光部ホルダ80は5つの受光部8を保持する部材である。
【0068】
受光部基板114は、5つの受光部8から得られる第1信号Sに所定の処理を実行した後の第2信号Uを制御部140に出力する電気回路を含む実装基板である。受光部基板114は、第1信号Sに所定の処理を実行することにより、第1信号Sから後段の制御部140によるデータ処理が可能な第2信号Uを得ることができる。但し、第1信号S自体が、後段の制御部140によるデータ処理が可能な信号であってもよい。
【0069】
制御部140は、測距装置100全体の動作を制御する。制御部140は、電気回路または電子回路等を有する制御回路基板を含む。制御部140は、例えば背面パネル22等に設置される。この制御回路基板は、回転反射体5および回転ステージ10が回転しても動かない。
【0070】
制御部140は、受発光部110および照射部120のそれぞれに電気的に接続しており、信号およびデータを相互に送受可能である。また制御部140は、サービスロボットを制御可能な外部装置300に通信可能に接続している。本実施形態では、回転制御部402は、制御部140内に限らず、制御部140の外部に設けられていてもよい。
【0071】
制御部140は、例えば外部装置300からの測距制御信号Ctに応じて発光制御信号Dr1を出力し、光源基板111に実装された光源3を発光させる。5つの光L1それぞれが走査される5つの走査光L2は、出射窓130を透過して、測距装置100から外部に向けて照射される。
【0072】
出射窓130は、光L0の波長に対して光透過性を有するガラス材料または樹脂材料を含んで構成されている。出射窓130は、測距装置100が装置全体を覆う不透明な外装カバーを備える場合に、走査光L2を透過して出射させる窓として機能する。
【0073】
走査光L2が物体200により反射または散乱された5つの戻り光Rは、出射窓130を透過して回転反射体5の光反射面51に入射する。5つの戻り光Rは、光反射面51により反射され、穴あきミラー6のミラー面により5つの受光部8に向けて反射される。
【0074】
5つの戻り光Rは、第2レンズ7により集光されながら5つの受光部8にそれぞれ入射する。5つの受光部8は、5つの戻り光Rに基づいて、5つの走査光L2の走査角度ごとでの第1信号Sを出力する。受光部基板114は、5つの受光部8から入力した5つの第1信号Sに所定の処理を実行した後の第2信号Uを制御部140に出力する。
【0075】
測距装置100は、例えば、サービスロボットが搭載するバッテリから供給される電力により駆動される。但し、測距装置100は、測距装置100自身が搭載するバッテリから電力供給されてもよい。またサービスロボットは、商用電源からケーブルを用いて給電されてもよい。
【0076】
<同期検出部153の構成例>
図6は、同期検出部153の構成を例示する図である。
図6は、回転ステージ10をYZ平面に沿った仮想平面により切断した断面を模式的に示している。
【0077】
図6に示すように、回転ステージ10は、回転可能な回転部10aと、回転不能な固定部10bと、を含んで構成される。周期光発光部532は、回転部10aにおける載置面101に設けられた発光基板532aに実装される。周期光受光部533は、固定部10bに設けられた受光基板533aに実装される。
【0078】
周期光発光部532は、発光基板532aに入力される第1角度検出信号En1に応じて、周期光発光部532に対向配置された周期光受光部533に向けてパルス光Opを発する。周期光受光部533によるパルス光Opの受光信号は、受光基板533aにより二値信号に変換され、同期信号Snとして回転制御部402に出力される。
【0079】
<制御部140のハードウェア構成例>
図7は、制御部140のハードウェア構成を例示するブロック図である。なお、
図7において、破線のブロックで示した構成部は、アナログ電気回路を含むPWB(Printed Wired Board)を表している。
【0080】
図7に示すように、制御部140は、CPU(Central Processing Unit)141と、Digipot(Digital potentiometer)142と、FPGA(Field Programmable Gate Array)143と、電力生成回路144と、Wireless Tx145と、回転角検出回路146と、メモリ147と、を有する。これらは、システムバスを介して相互に通信可能に接続している。
【0081】
CPU141は、測距装置100全体の動作を制御するプロセッサである。CPU141は、Digipot142を介して、受光部基板114へのバイアス電圧供給と、PLD(Programmable Logic Device)115への電力供給と、をそれぞれ制御する。CPU141は、光源基板111から入力されるAPC(Automatic Power Control)信号APC Sig.に基づいて制御信号S/H/Resetを、FPGA143を介して光源基板111に出力する。CPU141は、制御信号S/H/Resetを出力することで、光源基板111に実装された光源3の発光を制御する。
【0082】
Digipot142は、デジタル制御のポテンショメータである。
【0083】
FPGA143は、主に、受光部基板114から入力される5つの第2信号Uに基づき、物体までの距離に関する情報(以下、距離情報という)を演算により取得する。また、FPGA143は、制御信号FIREをPLD115に出力することにより、PLD115の動作を制御できる。
【0084】
電力生成回路144は、外部電源からPOWER I/F(Interface)301を介して入力される電力から発電コイル551に供給するための一次電力を生成する電気回路である。電力生成回路144により生成された一次電力は、Wireless Tx145を介して発電コイル551に供給される。
【0085】
Wireless Tx145は、発電コイル551に一次電力を無線供給する送信器である。Wireless Tx145から供給される一次電力に応じて発電コイル551および給電コイル552で発生される電力は、受信器であるWireless Tx145を介して第1軸モータ151に供給される。
【0086】
回転角検出回路146は、第1軸エンコーダ531から出力される第1角度検出信号En1から第1軸モータ151の回転角度を検出する。また回転角検出回路146は、第2軸エンコーダ172から出力される第2角度検出信号En2から第2軸モータ152の回転角度を検出する。
【0087】
メモリ147は、ROM(Read Only Memor)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の不揮発性メモリ、またはRAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリを含む。メモリ147は、プログラム、データ等を格納できる。
【0088】
<受光部基板114のハードウェア構成例>
図8は、受光部基板114のハードウェア構成を例示するブロック図である。受光部基板114には、受光部8と、処理回路411と、温度センサ412と、が実装されている。
【0089】
受光部8には、電力生成回路144から駆動電圧が供給される。電力生成回路144は、DCDC(Direct Current to Direct Current)ブーストコンバータ441と、Digipot442と、を含む。電力生成回路144は、外部電源から供給される例えば12Vの直流電圧をDCDCブーストコンバータ441により所定の直流電圧に変換し、Digipot442を介して受光部8に供給する。
【0090】
処理回路411は、過負荷回復機能を有し、受光部8からの第1信号Sに所定の処理を実行した後の第2信号Uを出力する電気回路である。処理回路411は、T/Iアンプ(Transimpedance Amplifier)811と、ゲインアンプ812と、コンパレータ813と、を含む。
【0091】
T/Iアンプ811は、受光部8が受光した戻り光の光強度に応じた電流信号である第1信号Sを電圧信号に変換し、ゲインアンプ812に出力する。ゲインアンプ812は、T/Iアンプ811から入力される電圧信号を所定の電圧に増幅し、コンパレータ813に出力する。コンパレータ813は、ゲインアンプ812から入力される電圧信号を閾値thと比較することで二値化処理し、二値化処理結果に対応する第2信号UをFPGA143に出力する。T/Iアンプ811、ゲインアンプ812およびコンパレータ813それぞれにより実行される処理、並びにこれらの2以上の組合せにより実行される処理は、第1信号Sから第2信号Uを得るための所定の処理に対応する。但し、この所定の処理は、これらに限定されるものではなく、T/Iアンプ811、ゲインアンプ812およびコンパレータ813による処理以外の処理が追加または置換されてもよい。
【0092】
温度センサ412は、受光部基板114上の温度を検出し、検出値をFPGA143に出力する。温度センサ412による温度の検出値は、測距装置100による測距結果の補正等に用いられる。
【0093】
FPGA143は、TDC(Time-to-Digital Converter)コントローラ431を含む。TDCコントローラ431は、第2信号Uを受光時刻に関するデジタル信号に変換する電気回路を含む。FPGA143は、TDCコントローラ431による第2信号Uの変換値と、照射部120による走査光L2の照射時刻に関する照射信号Mと、TDCコントローラ431から入力される受光時刻に関するデジタル信号と、を用いて、物体までの距離情報を演算により取得できる。
【0094】
<制御部140の機能構成例>
図9は、制御部140の機能構成の一例を説明するブロック図である。制御部140は、可変部401と、回転制御部402と、発光制御部403と、距離情報取得部404と、出力部405と、を有する。回転制御部402は、第1軸回転制御部421と、第2軸回転制御部422と、停止制御部423と、を有する。
【0095】
可変部401、回転制御部402、発光制御部403、距離情報取得部404および出力部405の各機能は、
図7に示したFPGA143等により実現される。あるいは、これら各機能の少なくとも一部は、
図7に示したCPU141がメモリ147に格納されたプログラムに規定された処理を実行することにより実現されてもよい。また、これら各機能の少なくとも一部は、複数の回路または複数のソフトウェアによって実現されてもよい。これら各機能の少なくとも一部は、外部装置300等の制御部140以外の構成部により実現されてもよいし、制御部140と制御部140以外の構成部との分散処理により実現されてもよい。
【0096】
可変部401は、以下の式(1)および式(2)における定数αを変更することにより、回転ステージ10の回転周波数である第2周波数fhを変化させる。
fh=M×fv/(N+α) ・・・(1)
0<|α|<1 ・・・(2)
【0097】
式(1)において、Nは、回転ステージ10の1回転中に第1軸A1と交差する方向に走査される5つの走査光L2によって形成される走査線の数を表す。fvは回転反射体5の回転周波数である第1周波数を表す。Mは、回転反射体5の一回転周期中に、Z方向に走査される5つの走査光L2によって形成される走査線の数を表す。m面の回転反射体5であればM=mである。回転反射体5に代えて揺動ミラー(往復ミラー)を用いる場合にはM=2となる。
【0098】
可変部401は、測距装置100に設けられた操作部等の外部からの設定入力情報Seに応じて定数αを変更することができる。
【0099】
第1軸回転制御部421は、給電部155に給電制御信号Stを出力し、給電部155から第1軸モータ151への給電を開始させることにより、第1軸モータ151に回転を開始させる。また第1軸回転制御部421は、給電部155に給電制御信号Stを出力し、給電部155から第1軸モータ151への給電を停止させることにより、第1軸モータ151に回転を停止させる。第1軸回転制御部421は、第1軸モータ151の回転の開始および停止のみを制御し、第1軸モータ151の回転速度等の制御は行わない。
【0100】
第2軸回転制御部422は、同期検出部153からの同期信号Snと、第2軸エンコーダ172からの第2角度検出信号En2と、に基づき、第2軸ドライバ基板173を用いて回転ステージ10の回転を制御する。
【0101】
停止制御部423は、同期検出部153から所定期間、同期信号Snが出力されない場合に、第2軸モータ152による回転ステージ10の回転を停止させる。
【0102】
発光制御部403は、光源基板111を用いて光源3に発光制御信号Dr1を出力することにより、光源3の発光を制御する。また発光制御部403は、光源3が発光し、照射部120が走査光L2を照射した時刻に対応する照射信号Mを距離情報取得部404に出力する。
【0103】
距離情報取得部404は、5つの受光部8により受光される5つの戻り光Rから得られる5つの第2信号Uに基づいて、物体200との間の距離に関する情報である5つの距離情報Dtを演算により取得する。具体的には、距離情報取得部404は、光源3により光L0が発せられた照射信号Mを発光制御部403から入力し、この照射信号Mから照射時刻t0を取得する。また距離情報取得部404は、受光部基板114から入力した5つの第2信号Uから5つの受光時刻t1を取得する。距離情報取得部404は、照射時刻t0と受光時刻t1を用いて5つの時間差Δtを演算により取得する。距離情報取得部404は、以下の式(3)を演算することによって5つの距離情報Dtを取得できる。
Dt(n)=c×Δt(n)/2 ・・・(3)
【0104】
式(3)において、nは、分割光L11~L15それぞれに対応する自然数である。例えば、Dt(1)は分割光L11に基づき得られる距離情報、Dt(2)は分割光L12に基づき得られる距離情報、Dt(3)は分割光L13に基づき得られる距離情報、Dt(4)は分割光L14に基づき得られる距離情報、Dt(5)は分割光L15に基づき得られる距離情報である。cは光速(約3×108m/s)を表す。時間差Δt(n)は、分割光L11~L15それぞれに対応する時間差を表している。
【0105】
分割光L11~L15は、光源3から同時に発せられた光L0を分割したものであるため、照射時刻t0はいずれも等しい。一方、分割光L11~L15に基づく5つの戻り光Rそれぞれの受光時刻t1は異なる。距離情報取得部404は、分割光L11~L15それぞれに基づく距離情報Dtを並行して演算により取得できる。距離情報取得部404は、5つの距離情報Dtを出力部405に出力する。
【0106】
出力部405は、第1信号Sに基づいて得られる物体200(
図5参照)までの距離情報Dtを出力する。本明細書に示す例では、出力部405は外部装置300に距離情報Dtを出力できる。
【0107】
<制御部140による処理例>
図10は、制御部140による処理の一例を示すフローチャートである。例えば制御部140は、測距装置100に電源が投入され、測距装置100が起動したタイミングで
図10の処理を開始する。
【0108】
まず、ステップS11において、制御部140は、可変部401により、走査線間隔またはリフレッシュレートを変更するか否かを判定する。例えば可変部401は、測距装置100の操作部を用いた測距装置100の操作者による設定入力に基づき、走査線間隔またはリフレッシュレートを変更するか否かを判定できる。
【0109】
ステップS11において、変更しないと判定された場合には(ステップS11、NO)、制御部140は、ステップS14に処理を移行する。一方、変更すると判定された場合には(ステップS11、YES)、制御部140は、ステップS12において、可変部401により、設定入力情報Seを受け付ける。
【0110】
続いて、ステップS13において、制御部140は、可変部401により設定入力情報Seに応じて定数αを変更する。これにより、上記の式(1)に応じて、第2周波数fhが変化し、走査線間隔およびリフレッシュレートが変更される。
【0111】
続いて、ステップS14において、制御部140は、第1軸回転制御部421により、給電部155から第1軸モータ151への給電を開始する。第1軸モータ151は、給電部155による給電開始に応じて回転を開始することにより、回転反射体5の回転を開始させる。
【0112】
続いて、ステップS15において、制御部140は、第2軸回転制御部422により、同期検出部153からの同期信号Snと、第2軸エンコーダ172からの第2角度検出信号En2と、に基づき、回転ステージ10の回転を開始させる。以降、回転ステージ10は、第2軸回転制御部422による制御下において回転を続ける。
【0113】
続いて、ステップS16において、制御部140は、発光制御部403により、光源3に発光制御信号Dr1を出力することによって、光源3に光L0を発光させる。以降、光源3は、発光制御部403により光源3の発光を停止するまで、所定の発光周期でパルス状の光L0の発光を継続して行う。
【0114】
続いて、ステップS17において、制御部140は、受光部基板114から出力される5つの第2信号Uを入力する。
【0115】
続いて、ステップS18において、制御部140は、距離情報取得部404により、光源3により光L0が発せられたことを示す照射信号Mを発光制御部403から入力し、照射信号Mから照射時刻t0を取得する。また制御部140は、距離情報取得部404により、受光部基板114から入力した5つの第2信号Uから5つの受光時刻t1を取得する。距離情報取得部404は、照射時刻t0と5つの受光時刻t1を用いて5つの時間差Δtを演算により取得する。
【0116】
続いて、ステップS19において、制御部140は、距離情報取得部404により、5つの時間差Δtを用いて上記の式(3)を演算することによって、5つの距離情報Dtを取得する。
【0117】
続いて、ステップS20において、制御部140は、出力部405により、距離情報取得部404により取得された距離情報Dtを外部装置300に出力する。
【0118】
続いて、ステップS21において、制御部140は、停止制御部423により、同期検出部153からの同期信号Snが出力されない期間が所定の期間閾値以下であるか否かを判定する。
【0119】
ステップS21において、期間閾値以下ではないと判定された場合には(ステップS21、NO)、制御部140は、ステップS23に処理を移行する。一方、期間閾値以下であると判定された場合には(ステップS21、YES)、制御部140は、ステップS22において、測距装置100による測距を終了するか否かを判定する。例えば、制御部140は、測距装置100の操作部を用いた操作者の操作入力に基づき測距を終了するか否かを判定できる。
【0120】
ステップS22において、終了しないと判定した場合には(ステップS22、NO)、制御部140は、ステップS16以降の処理を再度行う。一方、終了すると判定した場合には(ステップS22、YES)、制御部140は、ステップS23において、第2軸回転制御部422により回転ステージ10の回転を停止させるとともに、発光制御部403により光源3の発光を停止させる。
【0121】
続いて、ステップS23において、制御部140は、第1軸回転制御部421により、給電部155から第1軸モータ151への給電を停止させることにより、第1軸モータ151に回転を停止させる。第1軸モータ151は、給電部155による給電停止に応答して回転を停止し、回転反射体5の回転を停止させる。
【0122】
以上のようにして、制御部140は、測距装置100の動作を制御し、測距処理を行うことができる。
【0123】
[第1実施形態]
次に、第1実施形態に係る測距装置について説明する。なお、上述した実施形態と同じ構成部には同じ符号を付し、重複する説明を適宜省略する。この点は、以降における他の実施形態においても同様とする。
【0124】
測距装置では、測距精度を高くするために、測距装置が照射する光の平行度を高くすることが求められる。照射光の平行度を高くすることで、例えば照射光が広がることを低減して遠方まで光を照射でき、遠方に存在する物体からの戻り光の光量を大きくすることができる。戻り光の光量が大きくなることで、戻り光に基づく信号のSN(Signal-Noise)比を高くし、測距装置の測距精度を高くすることができる。照射光の平行度を高くする観点では、第1レンズからの出射光の広がり角度を調整するために、光源と、該光源からの光を透過する第1レンズと、の間の距離を高精度に調整可能であることが求められる。本実施形態に係る測距装置は、光源と、該光源からの光を透過する第1レンズと、の間の距離を高精度に調整可能である点が、上述した実施形態に係る測距装置100と主に異なる。
【0125】
また、測距装置の大型化を防ぎつつ、照射光の光強度を高くする観点では、測距装置の光源として半導体レーザを用いることが好ましい。しかしながら、半導体レーザは、出射光の広がり角度が大きく、かつ出射光の広がり角度が出射光の光軸と直交する複数の方向ごとで異なる広がり角度の異方性を有する。特に、光強度が高い光を出射可能な高出力レーザ光源では、高出力レーザ光源を点光源として扱えないほど、広がり角度の異方性が顕著になる。本実施形態に係る測距装置は、光源からの出射光における広がり角度の異方性を高精度に補正可能である点が、上述した実施形態に係る測距装置100と主に異なる。
【0126】
<発光ブロック112の構成例>
図11~16を参照して、本実施形態に係る測距装置100aが有する発光ブロック112aの構成について説明する。
図11~13は、発光ブロック112aの構成の一例を示す図である。
図11は断面図、
図12は分解斜視図、
図13は
図12における領域XIIIの拡大斜視図である。
図11の断面図は、発光ブロック112aが有する第1レンズ4aの光軸LA1を含み、YZ平面に沿った仮想平面で切断した発光ブロック112aの断面を示している。
図14~16は、第1支持部材40aの構成の一例を示す図である。
図14は、第1支持部材40aの外観の一例を示す斜視図である。
図15は、
図14の第1支持部材40aの分解斜視図である。
図16は、リング部材RGを取り除いた状態における
図14の第1支持部材40aの上面図である。
【0127】
図11~13に示すように、発光ブロック112aは、光源3と、第1レンズ4aと、第1支持部材40aと、円環状部材4010と、第2支持部材4020と、距離規定部材4030と、第3支持部材4040と、を有する。
【0128】
第1レンズ4aは、光源ホルダ31により支持された光源3からの光を透過する。第1支持部材40aは、第1のネジ部4001を外側に含み、第1レンズ4aを内側に支持する筒状の部材である。円環状部材4010は、上面視において、第2のネジ部4011を内側に含み、第1のネジ部4001と第2のネジ部4011を結合させることで、第1支持部材40aを第1レンズ4aの光軸LA1に沿う方向に移動させる。円環状部材4010は、その外周面に、円周方向に沿って複数の凹部4013が形成されている(
図12を参照)。第2支持部材4020は、第1支持部材40aを支持するとともに、第1のネジ部4001と第2のネジ部4011との結合による第1支持部材40aの光軸LA1回りの回転を規制する。
図11に示す例では、第2支持部材4020は、第1支持部材40aを内側に支持する。
【0129】
距離規定部材4030は、第2支持部材4020と円環状部材4010との間に配置され、第2支持部材4020と円環状部材4010との間の距離を所定の距離にするために用いられる。第3支持部材4040は、円環状部材4010を支持するために用いられる。
【0130】
第1支持部材40aおよび円環状部材4010は、光源3からの光のピーク波長に対して光吸収性を有する樹脂材料等を含んで構成される。なお、本明細書において、光吸収性は、90%以上の光吸収率を有すること、換言すると10%未満の光透過率を有することをいう。
【0131】
光源3と第1レンズ4aとの間の距離の調整は、例えば、調整作業者が円環状部材4010を利用して、第1支持部材40aを第1レンズ4aの光軸LA1に沿う方向に移動させることにより行われる。調整作業者は、
図12に示す円環状部材4010の凹部4013に嵌合可能な突起を含む治具を用い、該突起を凹部4013に嵌合させた状態で、治具を円環状部材4010の円周方向に動かす。治具の動きに応じて、円環状部材4010は、その円環軸回りに回転する。第1のネジ部4001が円環状部材4010の第2のネジ部4011と結合(例えば螺合)している第1支持部材40aは、円環状部材4010の回転に応じて、第1レンズ4aの光軸LA1に沿う方向に移動する。この移動により、第1支持部材40aにより支持された第1レンズ4aは、光軸LA1に沿う方向に移動する。
【0132】
調整作業者は、第1支持部材40aを第1レンズ4aの光軸LA1に沿う方向に移動させることで、光源3と第1レンズ4aとの間の距離を微調整し、第1レンズ4aからの出射光の広がり角度を微調整できる。この結果、本実施形態では、平行度が高い出射光を照射可能な測距装置100aを提供することができる。なお、上記の調整作業者による手動の調整作業は、回転機構および該回転機構を駆動させる駆動部等を用いて自動で行われてもよい。
【0133】
また、本実施形態では、
図13に示すように、第1支持部材40aは、円周方向の異なる位置に設けられた2つの突起4002(複数の突起)を外側に含む。第2支持部材4020は、2つの窪み4022(複数の窪み)が内壁に形成された貫通孔4021を含む。第2支持部材4020は、貫通孔4021の内部に第1支持部材40aを配置することで第1支持部材40aを支持するとともに、2つの窪み4022と2つの突起4002とを嵌合させることにより、第1支持部材40aの光軸LA1回りの回転を規制する。これにより、本実施形態では、第1支持部材40aに支持された第1レンズ4aを光軸LA1回りに回転させることなく、第1レンズ4aを光軸LA1に沿う方向に移動させ、光源3と第1レンズ4aとの間の距離を微調整することができる。
【0134】
また、本実施形態では、第1支持部材40aは突起4002を2つ含み、第2支持部材は窪み4022を2つ含む。2つの突起4002および2つの窪み4022を嵌合させることで、本実施形態では、1つの突起および1つの窪みを嵌合させる場合と比較して、第1レンズ4aを光軸LA1回りに回転させることなく、第1レンズ4aを光軸LA1に沿う方向に移動させる動作を、安定して行うことができる。なお、突起4002および窪み4022それぞれの数は、2つに限らず、3つ以上であってもよい。また、第1支持部材40aの円周方向における突起4002の位置と、貫通孔4021の内壁の円周方向における窪み4022の位置は、突起4002と貫通孔4021とが嵌合可能であれば、特に制限されない。
【0135】
図11、
図14および
図15に示すように、本実施形態では、第1レンズ4aは、第1シリンドリカルレンズSL1と、第2シリンドリカルレンズSL2と、スペーサ部材SPと、を含む。第1支持部材40aは、上面視において、第1シリンドリカルレンズSL1、第2シリンドリカルレンズSL2、およびスペーサ部材SPを内側に支持する。リング部材RGは、第1支持部材40aにおける、光源3が位置する側に結合(例えば螺合)し、第1支持部材40aにより支持された第1シリンドリカルレンズSL1、第2シリンドリカルレンズSL2、およびスペーサ部材SPを光軸LA1に沿う方向に押圧することで、これらを第1支持部材40aに固定する。
【0136】
第1シリンドリカルレンズSL1は、第1方向の一例であるX方向にのみ曲率を有し、光源3からの光を透過する。第2シリンドリカルレンズSL2は、第1方向と直交する第2方向の一例であるY方向にのみ曲率を有し、第1シリンドリカルレンズSLからの光を透過する。第1シリンドリカルレンズSL1および第2シリンドリカルレンズSL2のそれぞれは、光源3からの光のピーク波長に対して透光性を有する樹脂材料またはガラス材料等を含んで構成される。なお、本明細書における透光性は、60%以上の光透過率を有することをいう。
【0137】
スペーサ部材SPは、第1シリンドリカルレンズSL1と第2シリンドリカルレンズSL2の間において、第1シリンドリカルレンズSL1および第2シリンドリカルレンズSL2のそれぞれに接触して配置される。スペーサ部材SPは、光源3からの光のピーク波長に対して光吸収性を有する樹脂材料等を含んで構成される。スペーサ部材SPは、第1シリンドリカルレンズSL1からの光を通過させる通過孔4003を含むことで、第1シリンドリカルレンズSL1の光を遮ることなく、第2シリンドリカルレンズSL2に到達させることができる。但し、スペーサ部材SPは、光源3からの光のピーク波長に対して透光性を有する樹脂材料またはガラス材料等を含んで構成されてもよい。スペーサ部材SPが透光性を有する場合には、第1シリンドリカルレンズSL1と第2シリンドリカルレンズSL2との間の光路において、光がスペーサ部材SPにより遮られることがないため、スペーサ部材SPは、必ずしも通過孔4003を含まなくてもよい。
【0138】
本実施形態では、第1シリンドリカルレンズSL1により、光源3からの光をX方向にのみ集束または発散させ、第2シリンドリカルレンズSL2により、第1シリンドリカルレンズSL1からの光をY方向にのみ集束または発散させる。これにより、本実施形態では、第1レンズ4aからの出射光におけるX方向およびY方向それぞれの広がり角度を個別に定めることができるため、光源3からの出射光における広がり角度の異方性を高精度に補正することができる。
【0139】
スペーサ部材SPは、第1シリンドリカルレンズSL1と第2シリンドリカルレンズSL2との間の距離を、簡単な構成で高精度に規定するために用いられる。第1レンズ4aの光軸LA1に沿う方向におけるスペーサ部材SPの厚みは、第1シリンドリカルレンズSL1と第2シリンドリカルレンズSL2との間の距離を規定するために定められている。但し、第1支持部材40aによる第1シリンドリカルレンズSL1と第2シリンドリカルレンズSL2の支持方法等により、第1シリンドリカルレンズSL1と第2シリンドリカルレンズSL2との間の距離を規定できれば、測距装置100aはスペーサ部材SPを必ずしも有さなくてもよい。
【0140】
図11に示すように、本実施形態では、測距装置100aは、第2シリンドリカルレンズSL2に対し、第1レンズ4aから光が出射される側に離隔して配置され、第2シリンドリカルレンズを透過する光の一部を通過させる開口4012を有する。本実施形態では、開口4012により、第1レンズ4aを透過する光の一部を通過させ、他を遮光することで、第1レンズ4aから出射された後にグレア光等の迷光となる光を低減できる。第1レンズ4aを透過する光のうち開口4012により遮光される光は、例えば光軸LA1と略直交する方向に光軸LA1から所定距離以上離れた位置を通る光である。
【0141】
図15に示すように、本実施形態では、第1シリンドリカルレンズSL1は、光源3からの光が入射する側に配置される第1面S1aと、光源3からの光が出射する側に配置される第2面S1bと、を含む。第2シリンドリカルレンズSL2は、第1シリンドリカルレンズSL1からの光が入射する側に配置される第3面S2aと、第1シリンドリカルレンズSL1からの光が出射する側に配置される第4面S2bと、を含む。第1面S1a、第2面S1b、第3面S2aおよび第4面S2bのそれぞれは、第1レンズ4aの光軸LA1に直交する平面部を少なくとも一部に含む。
【0142】
より具体的には、第1シリンドリカルレンズSL1および第2シリンドリカルレンズSL2のそれぞれは、光源3が位置する側(-Z方向側)が平坦面であり、光源3が位置する側とは反対側(+Z方向側)が凸面である、平凸単レンズである。第1シリンドリカルレンズSL1の第1面S1aおよび第2シリンドリカルレンズSL2の第3面S2aのそれぞれは、ほぼ全体が第1レンズ4aの光軸LA1に直交する平面部である。また、第1シリンドリカルレンズSL1は、X方向における第2面S1bの両端付近に第1平面部4004-1を含む。第2シリンドリカルレンズSL2は、Y方向における第4面S1bの両端付近に第2平面部4004-2を含む。第1平面部4004-1および第2平面部4004-2のそれぞれは、第1レンズ4aの光軸LA1に直交する、一部の平面部に対応する。
【0143】
第1面S1a、第2面S1b、第3面S2aおよび第4面S2bのそれぞれに含まれる平面部は、第1支持部材40aにより第1シリンドリカルレンズSL1および第2シリンドリカルレンズSL2を支持する際に、第1支持部材40aにおける平坦な部分に押し当てられる。第1シリンドリカルレンズSL1および第2シリンドリカルレンズSL2は、このように押し当てられた状態でリング部材RGにより押圧されることで、その位置および姿勢の変動を低減して、第1支持部材40aに支持されることができる。この結果、本実施形態では、第1支持部材40aが第1シリンドリカルレンズSL1および第2シリンドリカルレンズSL2を安定して支持することができる。
【0144】
図16に示すように、本実施形態では、第1支持部材40aは、内壁4005に形成され、光軸LA1に沿う方向に延びる溝4006を含む。第1支持部材40aは、上面視において、第1シリンドリカルレンズSL1および第2シリンドリカルレンズSL2のそれぞれにおける1つの側面SSが、第1支持部材40aの内壁4005における溝4006以外の部分に接触した状態で、第1シリンドリカルレンズSL1および第2シリンドリカルレンズSL2を支持する。
【0145】
図16に示す例では、第1支持部材40aは、上面視において、略円形の外形形状を有する。また、第1支持部材40aの内壁4005は、上面視において、第1シリンドリカルレンズSL1の外形形状に応じた略矩形の内壁形状と、第2シリンドリカルレンズSL2の外形形状に応じた略矩形の内壁形状と、を有する。第1シリンドリカルレンズSL1の外形形状に応じた略矩形の内壁形状と、第2シリンドリカルレンズSL2の外形形状に応じた略矩形の内壁形状は、上面視において、それぞれの中心位置が重なるように形成されている。なお、上面視における第1支持部材40aの内壁形状は、第1シリンドリカルレンズSL1および第2シリンドリカルレンズSL2それぞれの外形形状に合わせて適宜変更できる。
【0146】
溝4006は、第1シリンドリカルレンズSL1の側面SSに向き合う溝4006aと、第2シリンドリカルレンズSL2の側面SSに向き合う溝4006bと、を含む。溝4006aは、上面視において、第1シリンドリカルレンズSL1の外形形状に応じた略矩形の内壁形状の4つの角部に対応して4つ形成されている。溝4006bは、上面視において、第2シリンドリカルレンズSL2の外形形状に応じた略矩形の内壁形状の4つの角部に対応して4つ形成されている。
【0147】
溝4006aは、光軸LA1に沿う方向(Z方向)において、第1支持部材40aの上面側から、第1シリンドリカルレンズSL1の第1平面部4004-1が配置される位置までの範囲に形成されている。なお、溝4006aの始点位置は、第1支持部材40aの上面側の領域において適宜選択できる。光軸LA1に沿う方向における溝4006aの終端に位置して光軸LA1と略直交する平坦部分に、第1平面部4004-1が突き当たることで、第1シリンドリカルレンズSL1は、光軸LA1に沿う方向において位置決めされる。
【0148】
溝4006bは、光軸LA1に沿う方向において、第1支持部材40aの上面側から、第2シリンドリカルレンズSL2の第2平面部4004-2が配置される位置までの範囲に形成されている。なお、溝4006bの始点位置は、第1支持部材40aの上面側の領域において適宜選択できる。光軸LA1に沿う方向における溝4006bの終端に位置して光軸LA1と略直交する平坦部分に、第2平面部4004-2が突き当たることで、第2シリンドリカルレンズSL2は、光軸LA1に沿う方向において位置決めされる。
【0149】
平面度を高くしにくい内壁4005の角部の近傍に溝4006を形成することにより、内壁4005において、溝4006以外の部分であって平面度が高い部分に、第1シリンドリカルレンズSL1および第2シリンドリカルレンズSL2の側面SSを押し当てることができる。これにより、光軸LA1と略直交する方向における第1シリンドリカルレンズSL1および第2シリンドリカルレンズSL2の位置決めを、高精度に行うことができる。なお、第1シリンドリカルレンズSL1は、4つの側面SSのうちの1つまたは2つの側面SSが、内壁4005における溝4006以外の部分に押し当てられてもよい。同様に、第2シリンドリカルレンズSL2は、4つの側面SSのうちの1つまたは2つの側面SSが、内壁4005における溝4006以外の部分に押し当てられてもよい。
【0150】
図16に示すように、本実施形態では、測距装置100aは、溝4006の内部に配置され、第1シリンドリカルレンズSL1および第2シリンドリカルレンズSL2のそれぞれを第1支持部材40aに固定する接着部材4007を有する。
図16において、接着部材4007は、ドットハッチングで示されている。接着部材4007は、第1シリンドリカルレンズSL1の4つの側面SSのそれぞれに接触するように、4つの溝4006それぞれの内部に配置される。また、接着部材4007は、第2シリンドリカルレンズSL2の4つの側面SSのそれぞれに接触するように、4つの溝4006それぞれの内部に配置される。本実施形態では、接着部材4007を溝4006の内部に配置することで、接着部材4007が濡れ広がることを低減し、第1シリンドリカルレンズSL1および第2シリンドリカルレンズSL2のそれぞれを第1支持部材40aに安定して固定することができる。
【0151】
また、第1シリンドリカルレンズSL1および第2シリンドリカルレンズSL2は、例えば樹脂を射出成形することで製作される。ここで、
図17は、第1シリンドリカルレンズSL1を射出成形する際の金型KGにおける第1シリンドリカルレンズSL1の側面SSとゲートGTとの位置関係の一例を説明する図である。
図17は、射出成形時における第1シリンドリカルレンズSL1を、その光軸LA11に沿う方向から視た状態を示している。なお、
図17において、上面視とは、第1シリンドリカルレンズSL1をその光軸LA11に沿う方向から視ることをいう。
【0152】
図17において、射出成形の際、金型KGの成形部KGaには、加熱溶融状態にある樹脂がゲートGTを通して流し込まれる。成形部KGaに流し込まれた樹脂が冷却されることで、第1シリンドリカルレンズSL1が所定形状に成形される。射出成形終了後に、第1シリンドリカルレンズSL1は金型KGから取り出され、ゲートGTに繋がる成形部分が切断される。
【0153】
本実施形態では、第1シリンドリカルレンズSL1は、上面視において、その円筒軸B11およびその光軸LA11のそれぞれに直交する方向を長手とする長方形形状を有し、ゲートGTを通して金型に充填される樹脂を射出成形することにより加工される。第1シリンドリカルレンズSL1における長手に沿う軸である長手軸C11と直交する2つの側面SS1およびSS2のうち一方の側面SS1は、金型KGを用いて射出成形を行う際にゲートGTが位置する側に配置される。
【0154】
成形後の第1シリンドリカルレンズSL1における側面SS1には、ゲートGTに繋がっていた成形部分の凸部が存在する。第1支持部材40aにより第1シリンドリカルレンズSL1が支持された際に、この凸部が第1支持部材40aの内壁4005(
図16を参照)に突き当たるように第1シリンドリカルレンズSL1が配置されると、光軸LA1と略直交する方向において、第1シリンドリカルレンズSL1を高精度に位置決めできない場合がある。
【0155】
本実施形態では、金型KGを用いて射出成形を行う際に、ゲートGTが位置する側に側面SS1が配置されるようにすることで、他方の側面SS2に凸部を生じさせることなく平坦にして第1シリンドリカルレンズSL1を加工できる。第1支持部材40aの内壁4005に側面SS2が突き当たるように、第1支持部材40aによって第1シリンドリカルレンズSL1を支持することで、本実施形態では、第1シリンドリカルレンズSL1を高精度に位置決めできる。なお、
図16に示した構成および配置は、第2シリンドリカルレンズSL2にも適用でき、同様の作用効果を得ることができる。
【0156】
<第1レンズ4と第2レンズ7の関係>
図18は、本実施形態における第1レンズ4と第2レンズ7の関係を説明する図である。
図18は、測距装置100aにおいて、第1レンズ4周辺の構成と第2レンズ7周辺の構成を抜き出して示している。
【0157】
図18において、光源3からの光L0は、第1シリンドリカルレンズSL1および第2シリンドリカルレンズSL2を透過した後、物体が存在し得る方向に照射される。物体からの戻り光Rは、第2レンズ7を透過して受光部8の受光面800に入射する。光軸LA2は、第2レンズ7の光軸を表している。
【0158】
本実施形態では、第2レンズ7から受光面800へ入射する戻り光Rの最大入射角度をθ、受光面800の最小幅をd、第2レンズ7の焦点距離をf、とした場合に、第1レンズ4aを出射する光の最大広がり角度は、次の式(4)を満足するように定められている。
θ=tan-1{d/(2×f)} ・・・ (4)
【0159】
第1レンズ4aを出射する光の最大広がり角度は、例えば、第1シリンドリカルレンズSL1および第2シリンドリカルレンズSL2の形状や、第1シリンドリカルレンズSL1と第2シリンドリカルレンズSL2との間の距離等によって決定される。
【0160】
本実施形態では、上記式(4)を満足するように、第1レンズ4aを出射する光の最大広がり角度を定めることで、戻り光Rのうち、受光面800に入射せずに損失となる光を低減できる。これにより、本実施形態では、受光面800への戻り光Rの入射効率が高い測距装置100aを提供することができる。なお、上面視における受光面800の形状が略円形である場合には、受光面800の最小幅dは、受光面800の直径である。上面視における受光面800の形状が略楕円形である場合には、受光面800の最小幅dは、受光面800の短軸の長さである。上面視における受光面800の形状が略正方形である場合には、受光面800の最小幅dは、受光面800の一辺の長さである。上面視における受光面800の形状が長辺と短辺とを含む略長方形である場合には、受光面800の最小幅dは、受光面800における短辺の長さである。なお、ここでの上面視は、受光面800の法線方向から受光面800を視ることをいう。
【0161】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る測距装置について説明する。本実施形態に係る測距装置は、弾性部を含み、円環状部材に接触して配置される固定部材を有する。第2支持部材は、第1支持部材により支持された第1レンズの光軸と交差する方向に円環状部材および固定部材を挿入可能に形成された穴部を含む。固定部材および円環状部材は、穴部に挿入された固定部材における弾性部の弾性を利用して第2支持部材に固定される。これらの点が第1実施形態に係る測距装置100aと異なる。
【0162】
<発光ブロック112bの構成例>
図19および
図20は、本実施形態に係る測距装置100bが有する発光ブロック112bの構成の一例を示す図である。
図19は断面図、
図20は斜視図である。
図19の断面図は、発光ブロック112bが有する第1レンズ4aの光軸LA1を含み、YZ平面に沿った仮想平面で切断した発光ブロック112bの断面を示している。
【0163】
図19および
図20に示すように、測距装置100bは、固定部材4050と、第2支持部材4020bと、を有する点が第1実施形態と異なる。固定部材4050は、円環状部材4010に接触して配置される。固定部材4050は、第2支持部材4020bと円環状部材4010との間の距離を所定の距離にするために用いられる。また固定部材4050は、円環状部材4010を第2支持部材4020bに固定するために用いられる。第2支持部材4020bは、円環状部材4010と固定部材4050とを支持する。
図19において、光源3は、光源基板111に実装された状態で、光源ホルダ31に支持されている。光源ホルダ31は、光源3からの光が第1レンズ4aに入射できるように、第2支持部材4020bに固定されている。
【0164】
図20に示すように、第2支持部材4020bは、穴部4023と、下方開口4024と、を含む。穴部4023は、第1支持部材40aにより支持された第1レンズ4aの光軸LA1と交差する方向に円環状部材4010および固定部材4050を挿入可能に形成されている。
図20に示す例では、第1支持部材40aにより支持された第1レンズ4aの光軸LA1と交差する方向は、X方向に対応する。下方開口4024は、第1支持部材40aに支持された第1レンズ4aを透過した光が通過する部分である。第1レンズ4aを透過した光は、下方開口4024を通って第2支持部材4020bから出射する。
【0165】
<発光ブロック112bの組立方法例>
図21~27は、発光ブロック112bの組立方法の一例を示す図である。
図21は発光ブロック112bの組立前の状態を示す図である。
図22は第1工程、
図23は第2工程、
図24は第3工程、
図25は第4工程、をそれぞれ示す図である。
図26は、第3組立工程における固定部材4050の挿入前の状態を示す図である。
図27は、第3組立工程における固定部材4050の挿入後の状態を示す図である。
【0166】
まず、組立前の状態では、
図21に示すように、光源3、第1支持部材40a、固定部材4050、円環状部材4010、第2支持部材4020bは、それぞれ離隔している。
【0167】
続いて、第1組立工程では、
図22に示すように、円環状部材4010は、第2支持部材4020bの穴部4023の内部に挿入される。
【0168】
続いて、第2組立工程では、
図23に示すように、円環状部材4010は、第1レンズ4aを透過した光が下方開口4024を通って第2支持部材4020bから出射できるように位置決めされる。
【0169】
続いて、第3組立工程では、
図24に示すように、固定部材4050は、第2支持部材4020bの穴部4023の内部に挿入される。
図26および
図27に示すように、固定部材4050は、弾性部4051を含む。穴部4023の内部に挿入された固定部材4050は、弾性部4051がその弾性により穴部4023の内壁を押すことで、第2支持部材4020bに固定される。また固定部材4050は円環状部材4010に接触している。このため、固定部材4050は、自身が穴部4023に固定されることで、円環状部材4010を第2支持部材4020bに固定することができる。換言すると、固定部材4050および円環状部材4010は、穴部4023に挿入された固定部材4050の弾性を利用して第2支持部材4020bに固定される。円環状部材4010は、第1レンズ4aを透過した光が下方開口4024を通って第2支持部材4020bから出射できるように位置決めされた状態で、固定部材4050により第2支持部材4020bに固定される。
【0170】
続いて、第4組立工程では、
図25に示すように、第1支持部材40aは、第2支持部材4020bに固定される。その後、光源3を保持した光源ホルダ31が第2支持部材4020bに固定されることで、発光ブロック112bの組立が完了する。
【0171】
<測距装置100bの作用効果>
以上説明したように、測距装置100bでは、円環状部材4010と固定部材4050を、第1レンズ4aの光軸LA1と交差する方向に第2支持部材4020bの穴部4023に挿入し、円環状部材4010の弾性を利用して、第2支持部材4020bに固定できる。これにより、発光ブロック112bの組立が行いやすくなり、測距装置100bの生産性を向上させることができる。
【0172】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形または変更が可能である。
【0173】
実施形態の説明で用いた序数、数量等の数字は、全て本発明の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本発明は例示された数字に制限されない。また、構成要素間の接続関係は、本発明の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本発明の機能を実現する接続関係をこれに限定するものではない。
【0174】
実施形態に係る測距装置は、サービスロボットに限らず、自動車、飛行体等の移動体に搭載され、移動体の周囲に存在する物体を認識する用途等において使用可能である。
【符号の説明】
【0175】
1…台部、2…保持部、3…光源、4、4a…第1レンズ、5…回転反射体、6…穴あきミラー、7…第2レンズ、8…5つの受光部、81、82、83、84、85…受光部、800…受光面、9…イケール、10…回転ステージ、10a…回転部、10b…固定部、11…結合部材、21…天井パネル、22…背面パネル、31…光源ホルダ、40、40a…第1支持部材、41…光分割部材、51…光反射面、61…貫通孔、62…ミラー面、63…穴あきミラーホルダ、71…第2レンズホルダ、91…基板、100、100a、100b…測距装置、101…載置面、102…ベアリング、103…マグネット、104…モータコア、110…受発光部、111…光源基板、112、112a、112b…発光ブロック、113…受光ブロック、114…受光部基板、115…PLD、120…照射部、130…出射窓、140…制御部、141…CPU、142…Digipot、143…FPGA、144…電力生成回路、145…Wirwless Tx、146…回転角検出回路、147…メモリ、301…POWER I/F、401…可変部、402…回転制御部、403…発光制御部、404…距離情報取得部、405…出力部、411…処理回路、412…温度センサ、421…第1軸回転制御部、422…第2軸回転制御部、423…停止制御部、431…TDCコントローラ、441…DCDCブーストコンバータ、442…Digipot、150…駆動部、151…第1軸モータ、152…第2軸モータ、153…同期検出部、155…給電部、163…第1軸ドライバ基板、172…第2軸エンコーダ、173…第2軸ドライバ基板、200…物体、300…外部装置、531…第1軸エンコーダ、532…周期光発光部、532a…発光基板、533…周期光受光部、533a…受光基板、551…発電コイル、552…給電コイル、553…Wireless、811…T/Iアンプ、812…ゲインアンプ、813…コンパレータ、4001…第1のネジ部、4002…突起、4003…通過孔、4004-1…第1平面部、4004-2…第2平面部、4005…内壁、4006…溝、4007…接着部材、4010…円環状部材、4011…第2のネジ部、4012…開口、4013…凹部、4020、4020b…第2支持部材、4021…貫通孔、4022…窪み、4023…穴部、4024…下方開口、4030…距離規定部材、4040…第3支持部材、4050…固定部材、4051…弾性部、Rx、A1…第1軸、A11…第1軸回転方向、A2…第2軸、A21…第2軸回転方向、L0…光、L1…5つの光、L11、L12、L13、L14、L15…分割光、L2…走査光、R…戻り光、Dr1…発光制御信号、Dr2…第2軸制御信号、Ct…測距制御信号、Dt…距離情報、G1~G5…グラフ、M…照射信号、S…第1信号、U…第2信号、Sn…同期信号、St…給電制御信号、En1…第1角度検出信号、En2…第2角度検出信号、Op…パルス光、t0…照射時刻、t1…受光時刻、Δt…時間差、SL1…第1シリンドリカルレンズ、S1a…第1面、S1b…第2面、SL2…第2シリンドリカルレンズ、S2a…第3面、S2b…第4面、SS、SS1、SS2…側面、SP…スペーサ部材、LA1、LA2、LA11…光軸、RG…リング部材、KG…金型、KGa…成形部、GT…ゲート、B11…円筒軸、C11…長手に沿う軸、θ…最大広がり角度、d…最小幅、f…焦点距離